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45 AB Brave Fight27 Grachan Grachan59 MMA MMAPLANET o ROAD FC Road to UFC Road to UFC2023 Road to UFC2023Ep04 Road to UFC2023Ep06 Special UFC   イー・チャア ウィンドリス・パティリマ キム・スーチョル シャオ・ロン チーニョーシーユエ パク・ジェヒョン リー・カイウェン ロン・チュウ 原口伸 小谷 小谷直之 海外 鶴屋怜

【Special】J-MMA2023─2024、Road to UFC決勝へ。原口伸「全然、負ける気はしないです」

【写真】既に計量を終えている両者。ロン・チュウはかなり戻してきそうな体をしており、当日はフィジカルの差は出てきそうだ (C)Zuffa/UFC

2024年も早くも1カ月が過ぎ、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、こらからの1年について話してもらった。
Text by Manabu Takashima

J-MMA2023-2024、第十九弾はRoad to UFCライト級ファイナルを控える原口伸に話を訊いた。

3日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるRoad to UFC2023 Finalでロン・チュウと対戦する原口は、いわばレスリング一本槍のMMAスタイルを今回の決勝まで全うすると断言。MMAファイターとしての底上げは、UFCとの契約後であることを明らかとした。

なおRoad to UFCバンタム級決勝はシャオ・ロンの負傷欠場で不成立、フェザー級はリー・カイウェンが4.5ポンドのリミットオーバーとなっている。

■2023年原口伸戦績

2月12日 Grachan59 X BRAVE FIGHT27
〇 1R3分57秒 by TKO 小谷直之(日本)

5月28日 Road to UFC2023Ep04
〇 2R1分25秒 by TKO ウィンドリス・パティリマ(インドネシア)

8月27日 Road to UFC2023Ep06
○ 3-0 パク・ジェヒョン(韓国)


──昨年の今頃はGrachanライト級王座防衛戦の準備をしていたかと思います。あの時、1年後にUFCとの契約まで一歩のところにいる自分を想像できていましたか(※取材は16日に行われた)。

「Road to UFCに出ることを目指していましたけど、声も掛かっていない状況で。気持ちとしてはあやふやな感じでした。現実味がなかった、それが本当のところですね」

──対して決勝を控えるだけとなった今の心境を教えてください。

「Road to UFC出場が決まった時から、心のどこかで優勝するもんだと思い、普段の生活から練習への取り組みができていました。なので、ようやく来たかというぐらいの感覚です」

──10月にお兄さんの央選手と対談をさせていただいた時、試合に向けての練習に関して悩みがあって病んでいるという発言もありました(笑)。

「あっ、でも次の日にはケロッとしていました(笑)」

──アハハハ、何なのですか。それは(笑)。

「気楽にはやれてなかったですね(苦笑)。今から思うと、色々と背負ってしまってやりたいこととデキていることが噛み合っていなかったです。僕は完璧主義みたいなところがあると思うので、上手くいかないとモヤモヤしてしまうということはあります」

──12月9日に当初は予定されていた決勝戦ですが、その1カ月少し前に韓国で央選手がRoad FCのグローバルT決勝をキム・スーチョルと戦いました。敗れはしましたが、あの激闘を傍で見て何か得ることはできましたか。

「兄貴という一番近い存在が、キム・スーチョルというメチャクチャ強い相手と対峙する。その緊張感はセコンドでも、味わうことができました。キム・スーチョル選手は普段はニコニコしていて凄く良い感じの人なのですが、試合になると殺気に溢れていて。MMAファイターになって初めて、怖いと感じました。アレを感じ取れたことは良かったです。

その怖いと感じた選手に向かっていく──アニキの覚悟が見えました。あそこは自分が見習わないといけない部分ですね。そこは決勝戦に向けて、良い経験になりました」

──同時になかなか日程がハッキリせず、2カ月ズレたことをどのように捉えていますか。

「僕にとってはプラスです。一番大きなことは開催地が上海からラスベガスになったことですね。米国はホームではないですけど、アウェイでもない。中立の場所なので」

──十数時間の飛行機の旅、時差もある。それでもベガスの方が良いと。

「ラスベガスと聞いて、『良しッ!』ってなりました。ラスベガスはMMAのメッカですし、意識しないところでテンションが上がっていたと思います。経験という部分では相手の方がずっとあって。だからこそ、この2カ月という時間は少しでも詰めることができたと思いますし」

──対戦相手のロン・チュウですが、準々決勝と準決勝の試合を見返して思っていた以上に手強い選手だと思うようになりました。

「Road to UFCから見るようになって1回戦は強烈なKO勝ちをして、強さを見せて準決勝は判定で手堅く勝っていた。最初は韓国人選手をマークしていたのですが、ロン・チュウの方が全然強いですね(苦笑)。

それでも全然、負ける気はしないです。なんか燃えていますね」

──テイクダウン対策は徹底してくると思います。

「得意なのはバレていますよね。すぐに行ってダメなら、我慢するのも手かと思っています。打撃戦につき合うということではなくて、動いてタイミングをずらしてテイクダウンへの意識が薄まった時に一気に狙う。切られて、そのまま続けるとそこは防がれるので、そういう風に戦おうかと考えていますし、練習もしています。

ただし自分のテイクダウンは初速なんかは、普通のMMAファイターと違うと思っています。だから、基本は切られないと考えています。でも相手が準備をしているところで仕掛けると切られます。準決勝では、相手が準備しているのに仕掛けて切られたので……言ってみれば、プレッシャーをかけても仕掛けない。そこで相手が出てきたところで、仕掛けるとかタイミングに変化を持たせようと思います」

──組んで倒しても、立たれる。だから、組みは淡泊になり打撃戦が多くなるのも今のMMAです。組み技は疲れるという意識を持っていますか。

「疲れます。でも、自分の武器なので。最後は離れると死ぬぐらいの意識でやっています。それでも無理から打撃をするよりも、組んでいる方が……そうですね、体力的には疲れますが、気持ちは一切折れないです。そこで相手が嫌がるような素振りを見せれば、また元気になりますし」

──UFCでは準決勝の動きだと、切られるだけでなくパウンドを打たれるかと思います。今回はその辺りも意識することはありますか。

「次の試合はトーナメントの決勝ですし、今持っている強さをぶつけます。勝ちに徹するというか、全てをぶつけて戦います。そうなると、これまでやってきた打撃の展開になることもあるだろうし、結果的にそうなれば先を見越していることになるかもしれないですね。理想は倒して殴る。でも、パウンドでは隙間ができてスクランブルに持ち込まれるので、エルボーとか密着して打つ方向で考えています。

テイクダウン後の相手の処理が上手いと、テイクダウンから後の勝負になります。テイクダウンは取れるので。意識は倒した後、そこから何をやるのかは3パターンほど用意していて、そのうちのどれかを当てはめる。相手の動きとかでなく、そこにはめ込みます」

──契約することがデフォルトとして、2024年はどのような活動をしていこうと考えていますか。

「それこそUFCを契約した後は、MMA選手として完成度を上げていきたいです。だから契約した後は、少し時間を空けるかもしれないですね。UFCデビューは夏から秋、その前に海外で練習もしてみたいです。トーナメント中は勝つ事に集中してきたので、終わればMMAを楽しめる時間も創りたいと思っています。幸い、今回の試合でビザも取れ、アッチで練習する障害はなくなったので米国──キルクリフFCとかで練習したいですね。また、しっかりと考えますけど、MMAを……知らない世界を味わいたいです」

──そのためにもロン・チュウ戦、クリアしてください。

「ハイ。一部では厳しいとか言われているようですけど、僕は勝つことしか考えていないです。そうやって自分を信じ込んでいるので、それを当日にしっかりと見せることができれば……と思っています」


■視聴方法(予定)
2月4日(日・日本時間)
午後1時30分~UFC FIGHT PASS
午後1時15分~U-NEXT

■Road to UFC2023 Final計量結果

<Road to UFCライト級T決勝/5分3R>
ロン・チュウ: 156ポンド(70.76キロ)
原口伸: 155.5ポンド(70.53キロ)

<Road to UFCフェザー級決勝/5分3R>
リー・カイウェン: 149.5ポンド( 67.81キロ)
イー・チャア: 145.5ポンド(66.0キロ)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
鶴屋怜: 125.5ポンド(56.92キロ)
チーニョーシーユエ: 125.5ポンド(56.92キロ)

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【Special】J-MMA2023─2024、佐藤将光「ミュージックステーションにはアイドルも出れば、B’zも出る」

【写真】耳を傾ける者が、イメージで映像化できるようなクリアな言葉を佐藤将光はいつも発している(C)TAKUMI NAKAMURA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA2023-2024、第十五弾はONEでの戦いにピリオドを打ち、新天地としてRIZINの舞台を選んだ佐藤将光に話を訊いた。

2023年は1月のONE Fight Night 6でキム・ジェウォンに勝利して、幸先のいいスタートを切った佐藤だったが、その後ONEから試合オファーが届くことはなく、自らリリースを希望してONEを離れる道を選んだ。様々な可能性があるなか、佐藤はRIZINに参戦して太田忍に勝利。2024年も継続してRIZINで戦うことを決め、3月のRIZIN神戸大会で井上直樹との一戦が発表されている。「RIZINは自分とは別世界の出来事」と思っていた佐藤がなぜRIZINでの戦いを選んだのか。

■2023年佐藤将光戦績

1月14日 ONE FN06
○3-0 キム・ジェウォン(韓国)

10月1日 RIZIN LANDMARK06
○2-1 太田忍(日本)


――佐藤選手にとって2023年はONEを離れ、RIZINに参戦するという大きな変化がある一年だったと思います。

「まさに戦う舞台が変わった一年でしたね。ONEを離れてから急きょRIZINに参戦して。2試合しかやっていないんですけど、どちらも勝つことが出来て。特に大事なRIZINのデビュー戦でしっかり勝って、期待外れにならなかったのはよかったなと思います」

――2023年の年始にはこんな1年になることは予想していなかったと思いますし、ONEを離れる選択は大きな決断だったと思います。

「僕はずっとONEで戦うつもりでしたからね。実際に1月の試合にも勝っていたので、次も試合があると思っていたら、なかなかオファーがなくて。ONE全体の流れとしてキックとムエタイが増えて、MMAの試合が少なくなる中で、そこで試合の枠をもらう評価はされていなかったんだなと思います。最終的にはしばらく試合はないということだったので、こちらからリリースをお願いして契約に区切りをつける形になりました」

――ONEを離れてRIZINで戦うことを選んだわけですが、契約がフリーになった時点で他のイベントも候補には上がっていたのですか。

「ONEからフリーになった時は、次もまた海外のイベントに出るにしても、国内で一試合やってからにしようと思っていたんです。それで色んな国内団体も考えていたなかで、大会直前でしたけどRIZINからオファーがきて、そういう出方も面白いなと思ってRIZIN参戦を決めました」

――そのRIZINデビュー戦では太田忍選手に判定勝利。試合後のインタビューではRIZINへの継続参戦とPFLを含む海外イベントへの参戦を示唆していました。最終的にRIZINへの継続参戦を選んだのはなぜですか。

「PFLはBellatorの買収もあって、バンタム級が今後どうなるかは分からない、と。Road to UFCは仮に開催されても自分が出られる保証がない。そういう状況で定期的に試合が組まれる可能性があって、ちゃんと団体側とコミュニケーションをとれるのがRIZINでした。しかも井上直樹選手という最高の相手を用意してくれたので、またRIZINで試合をしようと思いました。

あとは試合後にも話したことですが、実際に10月に試合をしてみてRIZINというイベントの魅力や良さを感じたんです。僕は実力派と言われるカードといわゆる数字を持っている選手のカードが一緒に行われることに抵抗がない。例えばミュージックステーションにはアイドルも出れば、B’zも出るわけじゃないですか。そうやってより多くの人に番組を見てもらうために出演アーティスト決めるわけだから、僕はそういうマッチメイクに否定的な意見はないです」

――僕も一記者としてRIZINを取材するようになり、ちゃんとMMAの試合を見る・楽しんでいるファンも多いことに驚きました。

「RIZINをちゃんと見ている“RIZINファン”がいますよね。その層でUFCまで追っている人もいるだろうけど、RIZINというイベントを好きなお客さんがいる。試合の前後でSNSのフォロワー数が激増して、反響の大きさも今までと違いました」

――実力派の選手と数字を持っている選手、どちらも受け入れられていますよね。

「どちらか一方ではイベントが成り立たないわけで、プロモーター目線で考えたらそういうイベント構成にするのは間違いじゃないと思いますね」

――まさに先ほどのRIZIN=Mステ理論ですね。

「ロックシンガーとアイドルのファンが共存することは難しいけど、アイドルファンがロックシンガーの曲を聞く機会にはなるわけじゃないですか。それきっかけでロックシンガーに興味を持ってくれる人も一部はいるだろうから、それでもいいと思います」

――そして2024年最初の試合が3月23日のRIZIN46神戸大会、対戦相手は井上直樹選手に決まりました。先ほど井上選手=最高の相手という言葉もありました。なぜそう思ったのでしょうか。

「彼はDEEPでデビューして、それからUFC→RIZINというキャリアだったので、僕とは全く接点がなかったんですよね。というよりも僕はONEでキャリアを終えるつもりだったから、井上選手に限らずRIZINに出る選手とは絡むことがないと思っていたんです。だから2021年にRIZINでバンタム級JAPANグランプリが行われていた時も自分とは別世界の出来事というか。その選手たちと交わる時が来るのかと思うと不思議ですよね。井上選手自体は小さい頃から空手をやっていて、10代でプロデビューして、UFCと契約して…というまさに格闘エリートですよね」

――対戦相手としての印象はいかがでしょうか。

「穴がないですね。もともとストライカーのイメージがありましたけど、試合映像を見るとRNCでフィニッシュしていることが多くて、バックを取ってからが上手いですよね。実は5年以上前に同じ柔術の大会に出ていたことがあって、彼が青帯で僕が紫帯だったのかな。『あっ、井上選手だ』と思って見ていたら、やっぱり明らかに動きが違いましたね」

――フィニッシュ力に打撃を上乗せしているタイプですね。

「ジャブもうっとおしいし、リーチも長い。ずっと映像を見て穴を探しているんですけど………穴がないんだよなぁ(苦笑)。これを攻略するのは難しいぞと思っています。それでも攻略法を見つけなきゃいけないんですけど、簡単な攻略方法はないです」

――それこそ井上選手は2021年のバンタム級GPではベスト4になっていますが、その通りの位置にいる選手だと思いますか。

「僕はRIZINのバンタム級で朝倉海、フアン・アルチュレタ、井上直樹、キム・スーチョル。この4人が抜けていると思っているから、本当に強敵ですよね。ただ今回は試合が決まって3カ月あるから、攻略とか対策を考える時間はあるんですよ。だから今まで以上にじっくり考えます」

――準備期間があるのは井上選手も一緒なので、今回は戦略・作戦も含めた総力戦になりそうですね。

「はい。ただ井上選手は比較的相手に付き合いますよね。アルチュレタ相手に組みでいったり、金太郎選手と打撃でやり合ったり。僕は相手の弱いところを探して、そこを突いていく戦い方なんですけど、井上選手は相手の強いところで勝負して勝とうとしますよね。それで勝てちゃうからすごいんですけど」

――発想そのものがエリート的なのかもしれないですね。

「僕からすると不思議なので、試合が終わったらどういうメンタリティでやっているのか聞いてみたいです(笑)」

――大晦日は朝倉海選手がアルチュレタに勝ってRIZINバンタム級の新王者になりました。今後は朝倉選手のベルトを狙うことになると思いますが、あの試合を見た感想はいかがですか。

「強かったですよね。朝倉海はこの階級で攻撃力が頭二つ抜けていると思います。ただ朝倉海とアルチュレタに関しては、これからどういう路線で試合をしていくかにもよると思うので、今は井上選手に勝つことに集中したいです。井上選手に勝たないことには始まらないので。僕は今回も…というか今回勝って初めて実力を認められると思うし、井上選手に勝てば一気に(上に)出られるし、負けたらそこまでの選手だと見られると思うので」

――RIZINでも一戦一戦意味のある試合を戦っていきたいですか。

「そうですね。そういうヒリヒリしたものを求めて試合をしているし、年を取るにつれて勝ち負けにこだわることよりも、自分がやってきたことや実力を試合で出し切りたいって気持ちが強くなっていますね。昔は勝てばなんでもよかったというか。もちろん実力を出し切って勝てれば嬉しいですが、ラッキーパンチで秒殺しても、それはそれで良かったんですよ。でも今は自分がやってきたことをすべてリングに置いていきたい。その方が勝ち負けよりも大事になってきていますね。それをたくさんの人たちに見てもらえるのはうれしいことです。次の試合でも自分を出し切ったうえで勝ちにいきます」


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AB DEEP MMA MMAPLANET o ROAD FC Special キム・スーチョル ブログ

【Special】J-MMA2023─2024、原口央─01─「デビューして4年目だったのですが、一皮剥けた……」

【写真】実弟の伸と2人で日本と国内で結果を残した (C)MMAPLANET

2023年も残り僅か、2024年という新たな1年を迎えるには当たり、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過行く1年を振り返り、これから始める1年について話してもらった。
Text by Manabu Takashima

J-MMA 2023-2024、第一弾はRoad FCグローバル63キロ級トーナメントで準優勝となった原口央に話を訊いた。バンタム級転向初年、Road FCでの2戦を終えて原口は何を感じ、これから目指すモノは何なのか。


――2023年も残りわずかとなってきました(※取材は26日に行われた)。原口選手にとって、どのような1年でしたか。

「去年までフェザー級で戦ってきて、今年はバンタム級に転向してDEEPとRoad FCの63キロ級トーナメントで出させてもらいました。デビューして4年目だったのですが、一皮剥けた……殻を破ることができたかと思います。成長できたかなって。

バンタム級はスピードもフィジカルもフェザー級とは違っていて、まずDEEPで戦った時に『これが自分の適正体重だ。これからバンタムで戦っていこう』と思いました」

──そしてRoad FCのグローバルTに出場し、初戦はムン・ジェフンをコントロールして判定勝ち。準決勝のラザバリ・シェイドゥラエフ戦が相手の計量失敗で不戦勝。決勝はキム・スーチョルと真っ向勝負の上、TKO負けとなりました。敗れたスーチョル戦、まさに殻を破った試合に感じました。

「去年の大晦日にキム・スーチョル選手とフアン・アルチュレタの試合をスーパーアリーナで見ていたんです。僕はスーチョル選手が勝ったと思った試合でした。正真正銘の世界のトップクラスで雲の上の存在だったので、まさか自分が戦うことになると思っていなかったです。それがこのトーナメントに出場して、決勝で戦うことで雲の上の存在から、メチャクチャ差があるとは思えない。戦える自分がいたので、負けはしましたが終わってから凄い自信になりました」

──テイクダウンして、コントロールし続けて勝てれば最高でした。ただし、スーチョルは組みも強く、組みと打撃の融合ができているストライカーです。なのでテイクダウン狙いを切られて、殴られるとバッタリと動きを止めてパウンドを被弾するという試合展開も予想していました。それが殴られても、殴り返すという試合を原口選手はやりましたね。

「本当に打撃は絶対にやらないという作戦でした。スーチョル選手は寝技が強いことを分かっていても、やっぱりレスリングで攻めようと。ただファーストコンタクトでレスリングも通用しないと思わされました(苦笑)。反応がメチャクチャ早かったです。テイクダウンを狙っても、ギロチンのセットもメチャクチャ早かったですし」

──あのシーンは危ないように見えました。

「それは皆に言われました。でもギロチンのディフェンスには自信があって、相当タイトには入っていたのですが全然大丈夫でした。あそこでスーチョル選手が力を使っているのも分かっていたので、もう少し力を使わせようと考えることができるぐらい余裕がありました。あそこから試合が打撃の間合いに戻ると、あれだけステップを踏むスーチョル選手がベタ足になっていたんです。

きっとステップを踏むと、テイクダウンへの反応が遅れると感じたんじゃないでしょうか。あのベタ足の構えを見ると、『これ、打撃が入るんじゃないか?』って思えました」

──その言葉通り、原口選手のパンチも当たりました。

「特に離れ際とか、ですよね」

──ただし、足を止めたスーチョル。覚悟を持っての殴り合いも強いです。そこに応じた時、原口選手に恐怖感というものは?

「メチャクチャ怖かったです。普段、やっていないことなのでメチャクチャありました。でも、こっちも腹を括るしかないので。なんか、行けましたね。ヒザ蹴りで腹を抉られても効いたのは一瞬だけだったし、あのヒザも大丈夫でした。

ただ最後は……見えていないんですよね、きっと。来るなとは思っていたんです。でもガードが疎かになっていて、もう体に力も入っていなかった。打撃を見極めるとかできないので、やられる覚悟で行きました」

──本当は良くないのかもしれないです。見ることができないのに、闇雲に行くことは。ただし、それができたことも大きいと思います。特にキム・スーチョルを相手にして、自信を得ることができたということですし。

「打撃で行けたのもそうですが、スーチョル選手は打撃が強いだけでなく、寝技も強い。でも防御も含めて自分のグラップリングも通用したし、持ち上げてテイクダウンもできた。レスリング力も負けていないから、全局面で自信になりました。

スーチョル戦だけでなく、1回戦のムン・ジェフン戦でも打撃の強い相手に最後まで自分のスタイルを貫いて戦うことができて──Road FCで戦うことで、自分のMMAがレベルアップしたのかなとは思います」

──決勝は負けても評価が高くなったかと思います。

「評価されることは素直に嬉しいです。でも欲を言えば、勝って評価されたいというのはあるので……何とも言えないです。頑張ったと評価されるのは、前評判が悪かったからで」

──勝って評価されるために、キム・スーチョルの域に達するためには何が必要だと感じましたか。

「う~ん、何だろう……。何なんですかね……難しいです。感じたのは、まだバンタム級のスピードについていけなかったこと。打撃のスピードがメチャクチャ速くて」

──そこを埋めるために、新たに練習で採り入れたモノはありますか。

「今採り入れているということではないですが、JTTに行かせてもってヴィンス・モラレス選手と練習して……海外で練習したいと思いました。これまで日本の選手としか練習してこなかったですけど、モラレスは打撃もレスリングも柔術も全て強くて経験豊富です。一緒に練習させてもらって、自分の小ささが分かりました。ホントに世界は広いなぁと思うようになりました。だから機会があれば米国で練習したいですね。

スピードに関してはJTTで練習している時も朝倉海選手だとか、階級が下のヒロヤ選手の打撃がメチャクチャ速いです。あのスピードになれないといけない。パワーとかレスリングは勝っているので、スピードが大切になってくると思います」

──JTTでの練習の良さというのは?

「レスリングでビリー・ビグロー、打撃ではエリー・ケーティッシュという専属のコーチがいることですね。ビリーからはレスリングでも、これまで全然知らなかった技術とか教えてもらっています」

<この項、続く>


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【Special】K-MMA、2023年・秋。RTUバンタム級決勝進出、イ・チャンホ「上久保選手の仇を取る」

【写真】試合の時の印象とは違い、常に優し気な表情でシャイな受け答えだったイ・チャンホ (C)MMAPLANET

日本と韓国、MMAにおいても永遠のライバルである両国。Road FCを頂点とするK-MMAは規模的には日本のRIZINのようなビッグステージを持たない。対してUFCファイターの評価は引退したコリアンゾンビに代表されるように、韓国勢の方が高い。9月のDEEP vs BLACK COMBATで後者が日本の老舗を圧倒した。日韓関係に少し変化が見られるようにもなった10月最終週に訪韓、K-MMAの今を歩いた。
Text by Manabu Takashima

特集「K-MMA、2023年・秋」。第六弾はRoad to UFCバンタム級決勝戦でシャオ・ロンと対戦するイ・チャンホに話を訊いた。

準決勝のダールミス・チャウパスウゥイ戦では初回と2Rは劣勢だったが、勝負を諦めることなく粘ってポジションを挽回。最終回に逆転のTKO勝ちを収めたイ・チャンホは──上久保周哉に勝利したシャオ・ロン戦に絶対の自信を持っていた。


──チームメイトの応援に駆け付けた大会後に、取材を受けていただきありがとうございます。

「いえ、こちらこそインタビューをして頂きありがとうございます」

──同じバンタム級でK-MMAをリードしてきたキム・スーチョル選手が、日本の原口央選手から衝撃的なKO勝ちを収めグローバル63キロ級トーナメントで優勝したばかりです。あの試合を見て、どのような印象を持ちましたか。

イ・チャンホと入れ替わりにやってきたキム・スーチョルと

「今日の試合を見ていると、キム・スーチョル選手がアジア圏のバンタム級ではナンバーワンでないかと思います。

体力もあって力強い、動きも本当に良かったです。凄く感銘を受けました」

──UFCを目指すイ・チャンホ選手にとって、キム・スーチョルとはどのような存在なのでしょうか。

「キム・スーチョル選手は憧れです。同時に越えなければならない、目標です。何よりキム・スーチョル選手の試合での動きを見ると、凄く勉強になります。原口選手のあのレスリングでのプレッシャーを受けると、普通の選手だとスタミナをロスして厳しい戦いになるはずです。でも、キム・スーチョル選手はその面でも強かったです。原口選手も頑張っていましたが──」

──その原口選手の頑張りに負けない、いやそれ以上の頑張りをイ・チャンホ選手も8月のダールミス・チャウパスウゥイ戦で見せていました。2Rまでの劣勢を跳ね返し、最終回に逆転TKO勝ち。Road to UFCバンタム級決勝戦進出を果たしました。

「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。もともと最終回に勝負を懸けようというのが作戦でした。なので1Rと2Rはどれだけテイクダウンを奪われても構わないという風に考えていました。攻められているように見えたかと思いますが、自分としてはずっと冷静に戦うことができていたんです。いえば最初の2Rは向うに動かせて疲れさせようというぐらいの気持ちで。スクランブルに関しては、一番自身のある部分なので問題ありませんでした」

──12月9日に予定されている決勝戦(※その後、2月4日に変更された)で戦うシャオ・ロンは、組み技の強さで定評のある上久保周哉選手を準決勝で破りました。彼の印象を教えてください。

「シャオ・ロンに関して、特に印象の残る選手ではないです。一応、何でもこなすウェルラウンダーですね。でも、スタミナ、スクナブル、柔術的なポジショニングと自分が彼を上回るところはいくらでもあります。試合がどのような状況になろうが、気にすることないですね。トーナメントに参加する選手は全員がそう思っているはずですが、絶対に優勝するつもりでRoad to UFCに出たので、優勝するのは絶対に自分です」

──昨年は韓国と日本勢の争いになると思われるなかでフライ級は韓国人対決、バンタム級は日本人対決。フェザー級は中韓決戦。そしてライト級はまさかのインド✖インドネシアという決勝戦でした。それが今年は決勝戦8試合中、日中対決が2試合。中国人対決が1試合、そしてシャオ・ロンとイ・チャンホ選手の中国✖韓国が1試合。実に決勝進出8選手中5人が中国人ファイターになりました。

「5月の準々決勝では上海にあるUFC PIの施設で練習や試合をしたのですが、MMAに必要な設備が全て揃っていました。練習システムにしても同じで、体のケアまで含め至れり尽くせりでMMAに没頭できます。あの環境がある中国人選手は、これからもっともっと強くなると思います。PIの決して大きくない会場に集まった中国人ファンの声援も凄かったです」

──今回はメルセデスベンツ・アリーナ、あの10倍以上の中国人サポーターが駆けつけるはずで、全ては中国人選手が勝てるよう舵取りがされている感がプンプンします。

「ただ自分の1人だけ生き残った韓国人MMAファイターとして、中国人サポーターが言葉を失う試合をします。十分にその自信を持っています。任せてください。自分は決勝では上久保選手と、思い切りやりあえると思っていました。残念ながら、自分のなかでも一番期待していた試合は戦えなくなりましたが、決勝戦では上久保選手の仇を打つので日本のファンの皆さんも期待してください」

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【RIZIN】RIZIN.45の展望~扇久保博正×ジョン・ドッドソン~

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【MMA RIZINフライ級】
扇久保博正 (パラエストラ松戸)
ジョン・ドッドソン (米国)

堀口恭司×神龍誠で争うRIZINフライ級のベルトの次期挑戦者決定戦と言っても過言ではないこの一戦。ドッドソンはRIZIN参戦して所英男竿本樹生に連勝中。竿本戦ではKO出来なかったものの、遠めの距離から一気に間合いを詰めてのパンチやカーフキックで試合を組み立て安定感のある試合運びを見せました。

対する扇久保はキム・スーチョル、堀口恭司、ファン・アーチュレッタに3連敗中。負けのイメージはあるものの、この相手になら仕方ないという見方も出来ます。しかもスーチョル、アーチュレッタとの試合は1階級上のバンタム級。フライ級なら扇久保にもワンチャンあるかもしれません。

扇久保はある程度打撃に付き合いつつ、愚直に組み付いてテイクダウンを狙う戦術か。しつこくしつこく組み付いてグラウンドのアリ地獄に引きずり込めば扇久保がしぶとく判定勝ちという可能性も十分にあり得ます。

あとはドッドソンのスピードとハードパンチに対応出来るかどうか。所英男戦を思い返しても、とても40近いとは思えない素早い身のこなしで翻弄していたのが印象的。さらにベアナックル・ボクシングのBKFCで活躍しているだけあって、アッパー、ボディを交えて手数と威力は脅威。

短期決戦であればドッドソンのKO勝ち。ドロドロの消耗戦に持ち込めば扇久保の判定勝ちといったところか。どちらが勝つにせよ、平良達郎、鶴屋怜、神龍誠とZ世代の台頭が著しいフライ級戦線の中で、ベテランの凄味を見せて立ち塞がってほしい。そんな試合です。
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【Road FC67】イ・ジョンヒョンの再起戦は100秒キックの前座に。K-MMA界の老舗は、どこへ向かう

【写真】どのような気持ちで、ケージに足を踏み入れるのだろうか(C) Zuffa/UFC

明日16日(土・現地時間)、韓国はソウルのスイスグランドホテル・エメラルドホールにてRoad FC67が開催される。
Text by Manabu Takashima

10月大会で2階級のグローバルトーナメントが終幕、キム・スーチョル✖原口央の激闘は今も記憶に新しい。あれから1カ月半、Road FC2023年最後の大会は韓国版Breakingdownというべきファイター100ルールが適応された2試合がメインとコメインに組まれている。


ファイター100ルールとは元Road FCライト級王者クォン・アソルが主導する100秒(延長100秒)のキックボクシングマッチだ。最終試合は80キロ契約で韓国からユン・ヒョンビン、その1試合前にはクォン・アソルが95キロ契約マッチに出場し、日本から遠征する醤油ニキ、かずややねんけどと戦う。

残り6試合はMMA、注目は第4試合に組まれたイ・ジョンヒョンの再起戦だ。Road FCフライ級の超新星はRoad to UFCに出場も5月の上海大会にマーク・クリマコの前に、フルマークの判定負けを喫しMMAとしてのトータル的な強さが不足していることを露わにした。

あれから半年、ケージに戻ってくるイ・ジョンヒョンの相手となるイ・ギルスはMMA戦績1勝1敗ながら、全国大統領杯を制するなど著名なアマボクサーだった選手だ。

もちろんMMAとボクシングは違う。そして、イ・ジョンヒョンがキャリアの序盤に戦っていたARCの3分3R&寝技30秒ルールもあくまでもモディファイドMMAでしかない。クリマコ戦の敗北の要因がARC出身というのは暴論だが、テイクダウンを打撃と融合させた北米MMAファイターを相手に打撃を使いこなせなかったのも事実だ。

そんな超新星を生んだRoad FCが、自らのイベントのなかでファイター100ルールを組む。K-MMA界の老舗は、どこに向かっているのだろうか。

■視聴方法(予定)
12月16日(土・日本時間)
午後4時~ KAKAO TV、AFREECA TV

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【Special 】K-MMA、2023年・秋。原口央戦後のキム・スーチョル「ギロチンは手応えがありました」

【写真】大会終了後、夫人と7カ月の長男ジウ君とファミリーショット(C)MMAPLANET

日本と韓国、MMAにおいても永遠のライバルである両国。Road FCを頂点とするK-MMA国内シーンは規模的には日本のRIZINのようなビッグステージを持たない。対してUFCファイターの評価は引退したコリアンゾンビに代表されるように、韓国勢の方が高い。9月のDEEP vs BLACK COMBATで。後者である韓国の新興プロモーションの王者たちが日本の老舗団体のチャンピオンを圧倒した。日韓関係に少し変化が見られるようにもなった2023年の秋、10月の最終週に韓国を訪れK-MMAの今を歩いた。
Text by Manabu Takashima

特集「K-MMA、2023年・秋」。第一弾は10月29日(日・現地時間)、Road FC66のメイン=グローバル63キロトーナメント決勝戦で原口央を破ったキム・スーチョルの優勝直後の声をお届けしたい。

故郷のファンの熱烈なサポートを受け──4カ月で3試合目を迎えたスーチョルは、彼が期待した通りの原口の奮闘が見られた大激闘を制した。大会終了直後、原口戦を振り返り大晦日について尋ねた。


――おめでとうございます。

「アリガトウゴザイマシタ(※日本語で)」

──キム・スーチョルが圧勝するという予想が多かったなか、本当に頑張った原口選手を相手に強さを見せて勝利しました。

「なぜ、そんなに原口選手を日本の皆が軽視していたのか。そういう気持ちが大きいです。実際に日本人選手が誇るべき、粘り強さを本当に感じました」

──試合開始直後のギロチン、あの時の手応えは。

「ギロチンは極まったという手応えがありました。しっかりと入っていたので」

──では秒殺もあったと。

「ハイ。極めるつもりで絞めていました。アレを耐えるのだから、『この選手は本当に凄いな』と戦っている最中も原口選手については思っていました。あれ以上力を込めていると試合に影響が出ると思って、戦いにアジャストを加えました。

試合前から言っていたように、原口選手が準決勝でラハザリ・シェイドゥラエフと戦っていても、絶対に勝つと思っていました。それだけの実力の持ち主だと、自分は確信していました。だから今日の試合の原口選手の頑張りは自分にとっては驚きではなかったです」

──ギロチンを凌いだ原口選手は試合前の宣言通りに、テイクダウン勝負に出ました。バック奪取、スラムを受けたスーチョルですが、スタンドで左のパンチを被弾したシーンは逆に驚かされました。

※ここでイ・ゴウン夫人から「背中に負担がかかるから、立ってインタビューを受けて」と声が掛る。

「パンチの威力にも驚きました。それでも一応、急所でないところに当たっていたので。原口選手のパンチがアゴに入っていたら、ベルトは誰が巻いていたか分からなかったでしょう」

──そこまでだったのですね。とはいえ、打撃戦になるとしっかりと左ボディフックを効かせました。原口選手も一番警戒していたショットだと思われますが。

「ただ、あの時も原口選手の目は死んでいなかったです。絶対に負けないという目をしていました。同時にあの原口選手の表情を見て、嬉しくなりました」

──結果、左でダウンを奪いパウンドアウト勝利を手にしました。この勝利にはどのような意味があるでしょうか。

「原口選手のような強い選手に勝てて良かったです。自分もRIZINでは余りスポットライトが当たっていない選手ですが、選手を指導する立場となった今──彼のような強い選手と戦う姿を皆に見せることができて光栄でした。この試合内容と結果は、より良い評価を受けることができるのではないかと期待しています」

──では大晦日について、どのような気持ちでいますか。

「RIZINの大晦日大会で戦える。そのオファーを貰えるのであれば、ファイターとして光栄極まりないです。声がかかれば、メチャクチャ出たいです……ただ、今、奥さんが隣にいて、それを声高に口にすることはできないです(苦笑)」

イ・ゴウン夫人 4カ月で3試合よ。

「……。自分としては戦いたいです。ただ、この短期間でこれだけの試合をしてきたことは体の負担も大きく、奥さんが心配するのも分かります。なので、体と相談します──(ウィンクをして、小声で)必ず、戦います(笑)」

──1年振りにスーチョルの試合を日本で見たいという気持ちは当然ありますが、私の人生を振り返ると、一番の理解者の言葉に従うことが正解ではないかという想いもあります(笑)」

イ・ゴウン夫人 ほらぁ、そうでしょ!!

「……。そうですね、ごもっともです。勉強になります(笑)」

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【DEEP115】北岡悟が振り返るDEEP X BC対抗戦─02─「負けた人が考えていない感が出ちゃいました」

【写真】ユ・スヨン。この選手と交わることができることを北岡は、良いことだと言い切った(C)DEEP

9月18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP vs BLACK COMBATの対抗戦を北岡悟が振り返るインタビュー第2弾。
Text by Manabu Takashima

大島沙織の意外な敗北に続く、石司晃一と大原樹理のベルト流出劇に関して、北岡はどのような気持ちでいたのか。

<北岡悟のDEEP vs BLACK COMBAT対抗戦振り返り、Part.01はコチラから>


――それでも最後は足関節をパク・シユンに切り返されました。

「それは相手も組み技の技量を上げてきたということだと思います。大会が終わって青木真也さんから『韓国は柔術が盛んで、柔術のレベルは上がっている』という連絡があったんです。ちゃんと組み技も修練していて、その部分は次の試合にも表れていましたね」

――その次、ユ・スヨンが石司晃一選手に圧勝した試合になります。

「石司選手と戦ったユ・スヨンは、パンクラスに来ていましたよね。大橋悠一選手という期待されていた選手、組みができるけど殴り勝てる選手と戦ってパンチを纏めて秒殺した。しかも、結構バリバリの柔術家で。あの選手は強いですね」

――BLACK COMBATの試合を見て、ユ・スヨンは強いという認識はあったのですが。石司選手にあのような形で勝つとは思っていなかったです。

「日本でトップ10に入る実力の持ち主、石司選手はトップ5を狙うことができるトップ10の選手です。身体能力も高く、体も強い。その彼が下になってニーシールドとプッシュだけで返そうとしていたけど、普通に纏められましたね」

――ユ・スヨンの寝技のコントロール……技術力で完全に上回っていたように見えました。

「柔術でいえば青・紫帯と、黒帯の差のような上と下の攻防になりました。悪くない青帯、紫帯の動きを良い黒帯が抑えた――ような。そもそも上を取ったテイクダウンも、ハイクロッチから入って。石司選手から、あんなイージーにナイス・テイクダウン……当たり前のMMAテイクダウンを取った。凄いですよね、良い選手です」

――一部でキム・スーチョルより強いのではないかという声も挙がっています。

「それはやってみないと分からないけど、普通にRIZINのレベルであることは確かです。RIZINレベルというか、RIZINで上の方と――ベスト5と戦っても良いじゃないかという選手ですよね」

――Road to UFCに出ている韓国人選手より強いようにも見える。そういう選手を抱えることができるのは、ファイトマネーが良いから。Road to UFCに行こうとせず、BLACK COMBATで知名度を上げて、UFCを狙っているファイターがユ・スヨンだと思います。

「それは成功しているということですよね。BLACK COMBATはMMAで、Breaking Downのやっていることをしている。そういう良い選手が、DEEPと絡んでくれる。これは日本のMMAにとっても良いことです。

DEEPのチャンピオンになったのだから、防衛戦をすることになると聞いていますし。でも、めっちゃ強いですよ。ユ・スヨンは色々な日本人選手との試合が見てみたいですね」

――続く大原選手は、イ・ソンハにスロエフストレッチで一本負け。この試合はどのように捉えられていますか。北岡選手は大原選手と戦った当人ですが。

「これが一番悔しいと言っちゃあ、悔しい気がしますけど……。まぁ、しょうがないですよね。しょうがないです」

――大原選手はストライカーですが、組み技&寝技対策をしっかりとやっている選手だと思います。

「絶対にやっていますね。絶対に」

――その大原選手が仕留められた。

「まぁ、ちょっと動き方にはクエスチョンが残るディフェンスはしていました。ただし、体格的なところでまかり通っていた部分はあると思うんです。ぶっちゃけて僕の時も、テイクダウンとサブミッション・アタックはできているので……いや、自分の話はいいや(苦笑)」

――小金翔選手の対戦ではバックグラブを許し、ブレイクでスタンドに戻ったことがありました。

「上迫戦も微妙な節はありました。解説でも話したのですが、あの相手選手は、バックに回ると包めますもんね。容易に包めることができる。打撃でそこまで押しきれなかったことも、あの結果にもちろん通じているでしょうし。そこは総合力だから。結果的に大原選手には相性が良くなかったのかと。う~ん、まぁまぁまぁ――しょうがないです」

――では最終戦のヘビー級、酒井リョウ選手が腕十字でヤン・へジュンに下りました

「酒井選手は最近の試合で、良い勝ち方をしてきました。でも、総合格闘技だからね――と。解説では『ヘビー級なんで、複雑なことを考えずに』とか言っていて。そうしたら酒井選手がグワァっていくと、ヤン・ヘジュンが『ナイス・テイクダウン!!』と(笑)。で、ここからヤン・ヘジュンの抑え込みがメッチャ上手くて。ちょっと上の方で抑えているけど、ヘビー級なんで酒井選手も潜るとかできないじゃないですか。

酒井選手は後ろを向こうとしたけどできなくて。ヤン・ヘジュンは柔術的にも茶・黒の力がある。最低でも紫帯でしょう。マウント、S字マウント、腕十字と流れるような動きで仕留めました」

――試合タイムは1分32秒。防がれると下になって殴られるリスクのある腕十字をこの時間帯で狙うというのは……力の差を感じたのか。

「とにかく綺麗でしたね。しっかりと動けていますよ。まぁ、もともとミドル級の選手だったというのもあるけれど――総合格闘技ですからね」

――結果、DEEP側は最初の2試合の勝利後はチャンピオンが5連敗で完敗を喫しました。試合内容的に大島選手と戦ったパク・シユンは、大島選手の投げを許さなかった。ユ・スヨンとイ・ソンハ、そしてヤン・ヘジュンらは逆に一発で自分の形で持ち込んでいました。結果論として、対戦相手のことをしっかりと研究して、今回の試合に臨んでいたように感じました。

「いや、それは……本当はそこをやるものですからね。とにかく最初のアプローチで、やるべき形に持ち込むと差があるように感じられますしね」

――スクランブルに持ち込ませないで、コントロールして仕留めた。彼らが自分の間で戦ったのに対し、逆にパク・シユンは大島選手の間にさせなかった。

「まぁ1Rがあんな風なら、2Rからは変えないといけない。もちろん、僕らには分からない何かがあったというのは考えられますけど、普通は流れを変える戦いをしないといけないですよね。逆にいえば自分たちがラウンドを取っていると判断しているのか――ぐらいに思いました」

――韓国勢の取り組み方と、日本勢の取り組み方に差を感じた次第です。

「今回は特に、負けた人が考えていない感が出ちゃいましたね(苦笑)。負けた人たちの負け方はそうです。大島選手の敗北に関しては、韓国勢は個の力でなくて、チームの工夫で勝った。それが見えるから、パク・シユンを応援している人達からすると、熱いモノがこみあげてくる勝利ですよね。工夫や努力を感じられました」

<この項、続く>

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AB o ONE ROAD FC YouTube   アルトゥル・ソロヴィエフ キム・スーチョル ムングントスズ・ナンディンエルデン ヤン・ジヨン 原口央 高橋謙斗

『ROAD FC 066』試合結果/フルファイト動画

D37 地球の歩き方 韓国 2023~2024(地球の歩き方D アジア)


▼ROAD FC グローバル63kgトーナメント決勝 5分3R
〇キム・スーチョル(韓国)21勝7敗1分
[2R TKO]
×原口 央(日本)9勝5敗
※スーチョルが63kgトーナメント優勝

▼バンタム級 5分3R
〇ヤン・ジヨン(韓国)9勝1分
[判定3-0]
×高橋謙斗(日本)7勝2敗1分

▼ROAD FC グローバル70kgトーナメント決勝 5分3R
〇アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)
[1R 1分32秒 TKO]
×ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)
※ソロヴィエフが70kg級トーナメント優勝

▼無差別級 5分3R
〇キム・ミョンファン(韓国)
[2R TKO] ※左ストレート
×シム・ゴンオ(韓国)

▼ROAD FC グローバル70kgトーナメント補欠戦 5分3R
〇ユ・ジェナム(韓国)
[判定3-0]
×ハン・ユンス(韓国)

 遅ればせながら10月29日に韓国ウォンジュのチアック体育館で開催された『ROAD FC 066』の試合結果。メインイベントの63kgトーナメント決勝はキム・スーチョルが原口央に2R TKO勝ち。高橋謙斗はヤン・ジヨンに判定負け。70kgトーナメント決勝はアルトゥル・ソロヴィエフがムングントスズ・ナンディンエルデンに1R TKO勝ちしています。





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【ROAD FC】キム・スーチョルが原口央にTKO勝利 63kgトーナメント優勝

440: 実況厳禁@名無しの格闘家 2023/10/29(日) 13:56:09.87 ID:UXhv5Mi/0NIKU
スーチョルの試合だけ見れればいいかな


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