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【ONE FN10】モライシュと決着戦。デメトリウス・ジョンソン「試合が終れば、直に日が沈む時を迎える」

【写真】今回の試合が最後になる空気を漂わせていたDJは 「Covid19のおかげで、ONEが日本大会から遠ざかってしまった。日本はいつだって最高に訪れたい、そして戦いたい国。ファンの皆もそうだし、スシ、うどんヌードル、ヤキニク、何もかも恋しい。日本をまた訪れたい。この試合が終われば、今後のことを決める。ただ、ONEが日本大会を開くなら日本に行って新宿を楽しみたい」と言っていた (C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、コロラド州ブルームフィールドの1stバンク・センターで開催されるONE FN10「Johnson vs Moraes 3」。同大会のメインでONE世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンが、アドリアーノ・モライシュと3度目の世界戦を戦う。

2021年4月の第1戦はモライシュがTKO勝ち。昨年8月の再戦はDJがヒザでリベンジした。決着戦はONE米国初大会のメインで組まれた。計量方法、階級、ルールと北米MMAとは一線を画すONEの上陸が、どのような影響を与えるのか──をDJにモライシュとの3度目の試合、今や練習仲間のヘンリー・セフード✖アルジャメイン・ステーリング戦の行方とともに語ってもらった。


──ONEにとって初の米国大会でヘッドライナーを務めます。試合まで約3週間、今の気持ちは?(※取材は4月14日に行われた)。

「最高だよ。体調も体重もバッチリだ。あと4日、ワシントン州にいてコロラドに向かう。コロラドの標高に体を合わせる必要があるからね。またフィニッシュするために。

WECのときにニック・ペースとデンバーで戦ったことがあるんだけど(※2010年9月30日)、あの時は違和感はなかった。でも今回は2週間前に入ることにしたんだ。36歳になり、18年間戦ってきて……今も最高のレベルで戦うのだから、それぐらいの準備期間を設けようと思った」

──ONEの米国デビューに、母国のファンの期待が高まっている空気を感じますか。

「期待しているかどうか分からないけど、エキサイトしている様子は伝わってくる。でも米国にはUFC、PFL、Bellatorがあるし、LFAやCFFCや僕が覚えていないショーもたくさんある。そんな状況でONEがUSデビューを飾るわけだからファンも喜んではいても、期待をしているというのとは違うかと思う」

──開催地のブルームフィールドは、UFCが第1回大会を開いたデンバーの郊外。何か運命的なモノを感じないですか。

「ノー。そんなこと考えたこともなかった。コロラドで試合だと言われ、ただ了解しただけだから」

──ではONEのMMAルールセットや計量システムは、北米の他のショーに影響を与えることになるでしょうか。

「ノー。計量方法ってカルチャーなんだよ。米国ではMMAだけでなくボクシング、レスリング、キックボクシング、ムエタイ、柔術が行われており、このONEの素晴らしい計量方法を取り入れているところは一つもない。そして何級で戦うかは、選手が決めることだ。誰かの指図を受けて、その階級で戦っているわけじゃない。

対して計量方法は選手が選ぶものでなく、団体がチョイスしている。僕はONEのやり方が気にいっているし、ハイドレーションがあるなかで適した階級で戦っていく。でも米国は米国の減量文化があるから、このシステムが広まることはないだろう」

──なるほど、です。ではルールの方はどうでしょうか? ヒザ蹴りがグラウンドで認められているのは危険にも感じますが、フェアでもあるように思います。そしてファンはデンジャラスな攻撃を好むのではないでしょうか。

「そこに関して……僕はアドリアーノとの初戦で受けたヒザ蹴りで反則勝ちにならないのかという説明を、何度も米国でしないといけなかった。皆、UFCやBellatorで北米ユニファイドのルールの試合を見慣れているからね。う~ん、どうだろうね。ファンはこれまでもPRIDEやDREAM、今はRIZINでサッカーボールキックも見ている。でも米国のプロモーションは、どこもこのルールを採用していない。まぁ、将来的にどうなるのかは様子を見る必要があるだろうね。とにかく僕に必要なのは、このルールに合わせた戦いをすることだけだから」

──ONEとしては特色としてアピールはできるかと。

「う~ん、そこも思わないなぁ。僕はただ合わせて戦うことしか考えていないから。僕らは米国で拳銃の出回っているなかで生活をしている。そこに関して目の前のある状況に合わせているだけで。それと同じことなんだよ。寝技でヒザ蹴りを認めた州は本当にわずかだ。コロラドとジョージアだけじゃないかな。だから米国のファンは、その攻撃を見ると『なんだ? 反則だろ?』ってなるだけで。

だから、そういう攻撃が認められているということは伝えても、そこをPRがプッシュすることはないはずだ。彼らがやるべきはMMAだけでなくキックボクシング、ムエタイ、サブミッショングラップリングというマーシャルアーツが一同に会しているのがONEという大会をアピールすることだから。

グラップリングより柔術が好きだという人もいるし、昨夜、実際に『試合を見るなら柔術やグラップリングよりもムエタイの方が好きだ』という人がいた。僕は『じゃあMMAのなかで組み技を見るのは?』って彼に尋ねたんだ。すると『パンチやキックがあるなら良いよ』って言うんだよ。『そこで使われる技術は、MMAもサブミッショングラップリンも変わりはないよ』と説明したよ。そして、ONEなら全てを一度に見ることができるからってね」

──それがONEのエンターテイメント性でしょうか。

「う~ん、エンターテイメント性というよりも、スポーツ性が強調されていると思う。もし、そのエンターテイメント性がWWEのような方向性にあるなら、僕はエンターテイナーじゃない。それは2人の人間が、人々を煽って一つの完成された世界観を提供するショーだから。僕はONEだけでなく他の団体の試合もスポーツとして見ている。そう、エンターテイメントよりスポーツだ。NFLやNBAを見ている時もそうだ。僕個人としては、そういう風に見ているよ」

──キック、ムエタイ、グラップリング、そしてMMAが一つのパッケージになっていることでONEのエンターテイメント性は上がっているのかと思った次第です。球技ならバレーボール、バスケットボール、テニスや卓球の試合を1枚のチケットで観戦できるのは。

「なるほど、そういう観点なら立派なエンターテイメントだ。ショーのパート、パートで楽しむ人もいるだろう。ただ僕に関しては、サブミッショングラップリングが好きな人、立ち技が好きな人にも楽しんでもらえるフルパッケージのMMAを皆に見てもらう。それこそが、ONEが僕に望んでいるマーシャルアーツだと思っている。パーティーのメニューなら、誰もが食べられる食事でありたい。それが僕の役目だからね」

──では3度目の対戦となるアドリアーノ・モライシュのことをMMAファイターとして、どのように評価していますか。

「ONE、アジアで戦ってきたから米国のファンには知られていないけど、本当に良い選手だよ。レンジ、背の高さはこの階級で頭抜けている」

──前回の対戦から、DJはどのあたりが成長していると感じていますか。

「2度戦い、僕が良い動きをした時、彼は不完全で。彼が良い動きをした時は、僕が不完全だった。試合に勝って、ファミリーと時間を過ごし、また試合が決まるとアリゾナに行ってヘンリー・セフードと話し、練習をしてきた。互いの知識を交換し、クリンチゲームでは僕の知識がヘンリーのアルジャメイン・ステーリング戦に役立てば良い。そして僕のレスリングゲームは、ヘンリーのアドバイスが絶対的に生きてくる。

それからワシントン州に戻り、道着を着たブラジリアン柔術をマスターとやり、マット(ヒューム)と練習を続けてきた。当然、成長している。前回の試合から7カ月、この期間で目に見えて成長するということはちょっと困難だ。でも、この7カ月間が僕にとって戦略を実行するうえでの一部となっている。だから……う~ん、ここではそれほど話せない部分だし……試合で見せたいと思う。僕が強くなっていることを」

──DJには大切な試合が控えているなかで、このような質問をすることを許してください。セフード✖アルジャメイン戦は、どのような結末を予測していますか。

「とにかく楽しみにしている。最初はアルジャメイン・ステーリングが、どういうアプローチでヘンリーと相対するのかを楽しみにしていた。ただ一緒に練習し、ヘンリーのケツを叩いてきた。だからベストバージョンのヘンリー・セフードが見られることを楽しみにするようになった。本当にヘンリー・セフードは知性的なファイターなんだ。

ヘンリーがフィニッシュできると思っているけど、絶対にハードな時間も過ごすことになるだろう。きっと、それだけの練習をアルジャメイン・ステーリングもやってきたはずだ。うん、どうなるのか──そこは試合を見てみないと分からないね」

──DJ✖ミキーニョ、セフード✖アルジャメインと連夜で視られるファンは、エキサイティングかつファイトIQの高いファイトが堪能できますね。

「そうなってくれれば嬉しいよ(笑)。でも、MMAファンならエキサイトしてほしい。僕とアドリアーノ、ヘンリー・セフードとアルジャメインの試合が続くことに。僕もヘンリーも年を重ね、36歳になった。家庭もある。僕らはこの試合が終れば、直に日が沈む時を迎える。そうだね、金曜日に自分の試合が終わると、土曜日は僕もしっかりとヘンリー・セフードの試合を見たいと思っている。ファンの皆もそうしてほしいね」

■放送予定
5月6日(土・日本時間)
午前8時00分~ABEMA格闘チャンネル

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【UFC288】フォークスタイル=ステーリング✖フリースタイル=セフード戦展望─02─、間と圧

【写真】凄まじいフィジカルの持ち主同士、戦い方&思考はセフード=剛✖アルジャメイン=柔 という見方も成り立たないわけではない(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークにあるプルデンシャル・センターにてUFC 288「Sterling vs Cejudo」が開催され、メインでUFC世界バンタム級王者アルジャメイン・ステーリングにトリプルCこと元UFCフライ&バンタム級王者のヘンリー・セフードが挑む。
Text by Isamu Horiuchi

両者の1年に渡る伏線から、試合直前の舌戦を経て世界最高峰の座を争うのに相応しい技術的な側面を考察したい。

<アルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフード考察Part.01はコチラから>


ESPNでのZOOM共同インタビューはセフードとステーリングが自らのファイトを論題とし、ディベートと化し熱を帯びていった。

セフードが「お前の戦い方など分かる。前に出てきて前蹴りを放ち、えらい遠くからテイクダウンを狙ってくるんだろ。ラテラルムーブメント(横の動き)も使いながらな。俺はお見通しだ。お前など及びもつかない高いファイトIQがあるからな!」と先陣を切る。

(C)Zuffa/UFC

対してチャンピオンも「俺に別のプランがないと思っているのか?

俺は試合中に戦い方を変えることができるんだ。あんた自分を過大評価しすぎなんだよ。一人でイージー・ファイトだと思っているがいい。あんたは試合が始まった瞬間、自分はバカだったと気づくんだ。マイティマウス(DJ)があんたにやったのと同じことをやってやるからな。柔術で極めるのではなく、ぶっ倒してやる」と言葉を返す。

このような舌戦を展開し試合を盛り上げつつも、両者とも試合に向けての準備は抜かりない。セフードは復帰に向けて地元アリゾナでフィジカルから栄養、そして打倒ステーリングに必要な各能力を段階的に築き上げる綿密なファイトキャンプを計画&実行。

さらにかつての宿敵DJ(以前セフードは、ONE にてアドリアーノ・モラエシュ戦を控えたDJの練習を手伝った)もアリゾナに招き、さらなる技術の習得にも余念がないようだ。

(C)Zuffa/UFC

対するステーリングも、地元ロングアイランドで順調に調整を進めている。

セフードがDJと練習していると聞くと「俺はマイティ・マウス(DJ)の何倍も力が強いぜ」一笑に付した現王者は、こちらも軽量級のレジェンドであるドミニク・クルーズと練習。自分の戦いに役立つアドバイスを得ることができたと満足げだ。

さらにコロンビア大学のレスリング部(NCAA D1)に出向き、ヘッドコーチにして、かつてセフードと一緒にオリンピック・トレーニングセンターで一緒だったザック・タネーリ氏とも練習するなど、着々とセフード対策を進めている。トレーニングパートナーとして、セフードと似た体格のトップランカーのドゥヴァリシビリがいることも大きな利点だろう。

最後に、この両者の攻防における注目点をいくつか挙げてみたい。

まずはなんと言っても、スタンドの主導権をどちらが取るか。レスリングをバックグラウンドに持つ両者だが、MMAの最高峰に上り詰めることができたのは、高度な打撃技術を併せ持つからこそ。そして二人の打撃スタイルはきわめて対照的だ。

(C)Zuffa/UFC

殺傷力で大きく勝るのはセフードだ。

リーチは163センチと短いものの、松濤館空手を取り入れた遠い間合いのコントロールに長け、そこから素早くステップインしての右は一撃必殺の威力を持つ。踏み込んでのローも強烈だ。クルーズ戦では変幻自在のステップに幻惑されることもなく、ローを当て立ちの攻防を制していった。

(C)Zuffa/UFC

が、ステーリングはセフードの攻めを無効化するのに適した戦い方を持つ。

180センチという長いリーチを活かし、蹴りを多用して距離を取ることに巧みな現王者。左右の立ち方を自在に使い分け、テイクダウンのフェイントも交えながら、相手が距離を詰めようとするその出鼻にノーモーションの左右ジャブ、前手でのヒジ、スピニングエルボー等多彩な打撃を先に当てては横に動く。「ファンクマスター」の異名の通り、まさにファンキーにして変則的なスタイルだ。

「そんなお前の戦い方などお見通しだ」と語ったセフードは、いかにステーリングの手数を突破して間合いを詰め、強打を打ち込むつもりなのか。逆にステーリングはセフードの侵攻を止め続けることができるのか。

両者とも弱点らしきものがないわけではない。ステーリングはペドロ・ムニョス戦後に「俺の足はクソ細いから奴のローは効いたぜ」と認めたことがあった。逆にセフードはDJとの第1戦ではボディへのヒザで倒されており、今回ステーリングは「腹が奴を攻略する鍵になる。酒ばかり飲んでいた肝臓をテストしてやるよ」と語っている。いかに自分の弱点を守りつつ相手のそれを突くか、ともに自負するファイトIQの高さが問われるところだ。

この立ち技の攻防に加わる重要なピースが、テイクダウンを起点とするレスリングの攻防だ。寝技に絶対の自信を持つステーリングは「奴は俺とレッスルしたがらず、打撃で戦いたがるだろう」と予測するが、同時に「奴が(強打を狙って)間合いを詰めてきた時は、俺が組み付ける距離になるってことだよ」と、試合を組みに持ち込む自信を覗かせている。が、セフードは言わずと知れた金メダリスト。これまでMMAの試合でテイクダウンされたことはない。「あんたの体を浮かせてやる」というステーリングの予言は本当に成就するのか。

そのステーリングの最大の武器はバックコントロール&チョーク。別にセフードを倒して背中を付けさせる必要はなく、流れの中でバックを奪えば目的達成だ。「奴はフリースタイルレスラー。俺はフォークスタイルレスラー。この違いは大きいよ」と語るステーリングのレスリングが、MMAにおいて金メダリストを凌駕する場面は見られるか。

またステーリングが認めていたように、セフードが得意の大内刈りを決めて上になる場面も想像できる。もしそうなれば、寝技においても異なるスタイルによる興味深いせめぎ合いが見られるだろう。

(C)Zuffa/UFC

セフードのグラウンド&トップでの武器は圧とパウンドだ。

カレッジに進まず、フリースタイルに特化し五輪センターでの日々を送って金メダリストとなったセフードは、このレスリングをDJとの第2戦で駆使して僅差の判定をものにした。今回の練習メニューでもグラウンド&パウンドを重点的に組み込んでいる模様だ。

一方ステーリングの寝技は、フォークスタイル独特のボディクラッチのないコントールに最先端のノーギ・グラップリングの影響をより強く受けたもの。ジョン・ダナハーの弟子にして世界最高峰のテクニシャンの一人として呼び声高いジェイソン・ラウの指導を受けるステーリングは、「もし俺をテイクダウンしても、俺のガードの中で苦労するのは奴の方だ」と語る。

(C)Zuffa/UFC

予告した三角絞めの他にも、足関節やさまざまな下から崩し、スクランブルに持ち込む形を持っているだろう。

それがセフードの強力きわまるトップコントロールに通用するのか。

そしてステーリングは、一度上になれば無類の強さを誇る。相手のガードの中にステイすることなく、まず腰を制してから上半身のコントロールに移行してポジションを進めるきわめて現代的なパスガードの使い手であり、スクランブルを試みた相手からバックを奪いチョークにつなげる流れは天下一品だ。もし下になった時、驚異のフィジカルを持つセフードがどう対処するかも興味深い。

打撃、レスリング、グラップリングとどの局面においても、全く異なるスタイルをきわめて高いレベルで実践する両者の頂上決戦。3年間不在だったセフードに人気と知名度で遅れを取り、試合前の舌戦でも押され気味の印象が否めないステーリングは、ハードワークを重ね戦績を積み上げてきた現役王者の意地を見せることはできるのか。それとも傲慢不遜なるセフードが、ブランクをものともせずに現王者を凌駕し、改めてその天才ぶりとファイトIQの高さを見せつけ、前人未到の3階級制覇&4冠王に王手をかけるのか。

世界最高峰のMMAの攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
5月7日(日)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

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【UFC288】UFC世界バンタム級選手権試合=ステーリング✖セフード展望─01─、プロローグ&前哨舌戦

【写真】トリプルCからクアドラプルCを狙うことを公言したセフードと現王者のアルジャメイン。話術も優れた両者(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークにあるプルデンシャル・センターにてUFC 288「Sterling vs Cejudo」が開催される。
Text by Isamu Horiuchi

クロン・グレイシーが約3年半ぶりに復帰し、シャルル・ジョーデインと戦うなど興味深いカードが揃った今大会だが、最注目はやはりメインイベントのUFCバンタム級タイトルマッチ、王者アルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフードだ。


今回3度目の防衛戦を迎えるステーリングだが、もともとこの王座は3年前、当時圧倒的な強さを誇っていたセフードが引退発表と共に返上したものだ。

2008年北京五輪フリースタイルレスリング55キロ級金メダリストのセフードがMMAの頂点に立ったのは、2018年8月のこと。一度は完敗を喫したフライ級絶対王者デミトリウス・ジョンソンに再挑戦し、判定2-1で接戦を制して世界を驚かせたのだ。

続く翌年1月には、あえて階級を落として挑んできたバンタム級王者TJ・ディラショーと王者同士の決戦へ。このスーパーファイトも1R0分32秒KOで制したセフードは、軽量級最強の座を不動のものとした。

その後、禁止薬物EPOの使用が発覚したディラショーがバンタム級王座を返上すると、7月にセフードはマルロン・モラエスとのバンタム王座決定戦に臨む。2Rに打撃で圧をかけ主導権を奪うと、3Rにヒザでダメージを与えるや上を取って強烈な鉄槌を連打してTKO勝利。この勝利を受けてセフードは、「俺はただのチャンプ・チャンプ(二冠王)ではない。我こそはTriple C(トリプルチャンプ=五輪金+UFC二階級制覇)。歴史上最も偉大な格闘家だ!」と勝ち誇った。

続く2020年5月、セフードは元王者ドミニク・クルーズとバンタム級王座の初防衛戦に。序盤から打撃戦で主導権を握り、2Rにカウンターの右ヒザをヒット。さらに追撃を加えてTKOに下した。そして直後の勝利者インタビューにてセフードは、もう全て達成し尽くしたと引退を宣言。世界を獲ったレスラーが打撃でMMAの頂点に君臨するという、恐るべき戦いの才の底を見せぬままベルトを返上し、オクタゴンを去ったのだった。

空位となったバンタム級王座は、7月の決定戦でジョゼ・アルドを下したピョートル・ヤンが獲得。2021年3月にこのヤンに挑んだのがステーリングだが、体重調整の失敗が原因で中盤から失速してしまう。しかし4R、片ヒザをマットに付けたステーリングの顔面にヤンが膝を当ててしまい、ステーリングが試合続行不可能となりヤンは反則失格に。新王者となったステーリングは敗色濃厚の展開で最後は打ちのめされるという──なんとも嬉しくない戴冠となってしまった。

昨年4月にステーリングはヤンと再戦。2、3Rに見事なテイクダウンからバックを奪って完全にコントロールすると、4、5Rはヤンの猛追をかわしきって判定2-1で勝利──王者に相応しい実力を証明しての初防衛だった。

続く10月には、元王者TJ・ディラショーと2度目の防衛戦を戦う。ステーリングは1Rに肩を脱臼して片腕で戦う挑戦者をテイクダウンして一方的に攻め込むと、2Rにマウントパンチを連打して圧勝した。

そんな世界の頂点に君臨する王者ステーリングに、セフードが復帰第一戦でいきなりタイトル挑戦する形となった。

実は両者の対戦の機運は、セフードが昨年4月に復帰を宣言し、USADA(米国アンチドーピング機構)の検査選手リストに再加入した直後から作られていた。この時期にヤンとの2戦目を制してバンタム級王者の座を不動のものとしたステーリングは、ダニエル・コーミエーのYoutubeチャンネルの企画でアリゾナ州にあるセフードの自宅を訪問。コーミエを司会役にして机に向き合った両者は、来るべき対戦について語り合ったのだった。

「引退後、ジョン・ジョーンズやデイヴィドソン・フィゲレード等をコーチすることを通してMMAの見方が断然変わったよ。以前よりはるかに深い理解を得て賢くなった。そして今でも戦う力があると分かっているから戻ってきたんだ」と話すセフードは、現王者を目の前にしてコーミエに「この男が王者となるなんて思っていなかったよ。あまりにも多くの欠点があるからね。俺と戦うことになればそこが露呈するさ。こいつとの試合は俺にはイージーマネーだな!」と言い放つ。

さらにステーリングに向かって「お前は力は持っているよ。特に長い手足は最大の長所だ。でもお前はまだ自分の能力の全てを理解してはいない。そこを理解して、単なるファイターではくコンペティターとして上達すれば、もっと危険な選手になるだろうがね。まあ怒らず聞けって、俺様が褒めてやっているんだから」と言い放つと、さらに「お前は俺をKOする力を持ってはいる。その長い手足を使ってな。特にヒザだ。それがお前が俺を倒す一番の可能性だろうが、俺は賢いからそんなことさせるわけはない。俺はコンペティターとして誰よりも優れているんだ」と上から目線&余裕の表情で現役王者を論評した。

当然ステーリングも言われっぱなしでは終わらない。「俺はいつもそうやって負けると言われてきたけど、試合でそういう奴らを黙らせてきた。それこそ俺の生きがいだ。ファイトじゃなくコンピートする必要があるというのは同意だが、その点でもあんたを上回るさ」と反論をスタートさせると、「俺はレスリングでもあんたと渡り合える。ダブルアンダーフックを取ればあんたの体を浮かせることができるし、たとえあんたが得意のインサイドトリップ(大内刈り)で俺をテイクダウンしたとしても、すぐに三角絞めに捕らえてやるよ。俺はまだ自分の戦い方の半分も見せていない」と言葉を続けた。

こうしてSNS時代ならではの手法を用いて、現王者と元王者は将来の対戦の布石を打ったのだった。そしてステーリングが昨年10月にディラショーを倒して王座防衛に成功した後、両者の試合は正式に決定した。

そして──試合を約1カ月後に控えた3月末、再びコーミエの司会のもと、両者はESPNが企画するZOOM会議で論戦を交わすこととなる。

予定の時間にやや遅れて入室したセフードは、ステーリングが遅刻に不快感を表していると聞き「まあ本物のキングは自分のやりたいように行動するってことだ!  アルジョよ、キングの前にひざまづく準備はできているか? ダニエル、こいつはいつも俺から逃げているんだ。今回も直前で逃げ出すかもしれないから、UFCはこいつのボーイフレンドのマラブ(・デカリシビリ。ステーリングの同門にしてバンタム級トップランカー)を代役に用意しておいた方がいいだろうな!」と傲慢キャラクターを全開に。

さらに「俺が復帰する理由は、フェザー級のベルトを取るためだよ。その前にバンタム級王者であるこいつを倒し、その後ショーン・オマリーも倒してから、(アレックス)ヴォルカノフスキーと戦う。こいつらは俺にとっては単なる踏み台に過ぎないな! お前は(ヤン初戦で)アカデミー賞並の演技でタイトルを獲得しただけだ。次の試合はジャッジの間違いだ。その次のTJなど、俺が32秒で倒した男だ。奴がEPO(禁止薬物)を使ってきたにもかかわらずだ。そんな野郎が片腕だけで戦っていたのに、お前は倒すのに2Rもかかったんだ」と、ステーリングが苦闘の末に掴み取った栄光の軌跡まで侮辱し続ける。

さらに「アルジョよ、次の試合でお前は死ぬのだぁ! WHOO!」とリック・フレアーの物真似まで繰り出して挑発してみせた。

当然王者ステーリングも黙ってはおらず、「そもそもあんたがどうして引退したかを思い知らせてやるよ。おい、今この場で “I quit (私はもう辞めました)”と言ってみろよ。そのニヤついた顔をぶん殴るのが待ち切れないぜ」と言い返したのだった。

もっとも話題は単なる煽り合いだけでは終わらず、両者は具体的な試合展開についても言及している。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月7日(日)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

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【RIZIN LANDMARK05】倉本一真 inアリゾナ─01─「ヘンリー・セフードのファイトキャンプが始まった」

【写真】倉本は凄まじい勢いで、色々なモノを吸収しているように感じる(C)SHOJIRO KAMEIKE

29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05で、倉本一真が太田忍と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

レスリング時代に対戦経験のある両者の激突が発表されたのは、3月3日に行われた記者会見だった。しかし倉本は会見を欠席、そのとき彼は米国アリゾナ州フェニックスのファイト・レディーで、元UFC世界フライ&バンタム級王者のヘンリー・セフードと練習していたのだ。なぜ彼は米国に渡っていたのか。その理由と現地の練習について訊いた。


――現在、米国アリゾナ州のファイト・レディーで練習されているそうですね。

「はい。以前からヘンリー・セフードがいるファイト・レディーで練習したいと思っていたんですよ。もともとヤマニハ選手に負けた(2021年6月、アラン・ヤマニハに判定負け)あとに、マネージャーから『米国で練習してみるのも良いですよ』と言われていて」

――なぜファイト・レディーに興味を持ったのでしょうか。

「やっぱり組みのファイターが、組みを生かしつつ打撃をやって結果を残している。そういうファイターが育っているジムで練習したいと思ったんです。それでファイト・レディー側も受け入れてくれることになったんですけど、当初は去年の末に来るつもりでいたものの、ジムの受け入れ態勢の確認とかもあって。

僕は元谷選手に負けた直後に行きたい気持ちが強くなっていたけど、コーチやヘンリー・セフードのスケジュールとか、そういったことを確認して、ようやく2月15日に日本を発つことが決まりました。ちょうどその頃に次の試合も決まったという流れです」

――2月15日に日本を発ったということは、2カ月ファイト・レディーで練習しているわけですね。

「そうです。4月13日にこちらを出発するので、ちょうど2カ月ですね。もともと『米国で練習するなら3カ月』と言われていました。1カ月でこちらの環境に慣れて、2カ月でさらに練習にも慣れていき、3カ月でもっと良くなっていく。そういう感じで話をしていたんですが、出発日も伸びて、僕の試合が決まったこともあって――それでも丸2カ月はいることができると思って、アリゾナに来ました。ただ、すぐ2カ月経ってしまいましたね。時間が経つのは早いです」

――ファイト・レディーでは、どのような練習を行っているのでしょうか。

「最初の1カ月はヘッドコーチのエリック・アルバラシンさんが、マンツーマンで指導してくれました。ちょうど僕がファイト・レディーに来る頃に、セフードの次の試合(5月6日、アルジャメイン・ステーリングとのUFC世界バンタム級タイトルマッチ)が決まって、ここにセフードのファイトキャンプのメンバーが集まっていたんですね。それで僕もファイトキャンプに参加させてもらい、すごく勉強になっています」

――セフードのファイトキャンプも始まるとは、絶好のタイミングですね。では1日の練習スケジュールを教えてください。

「ジムは朝10時から練習開始で、セフードのファイトキャンプとファイト・レディーの練習は完全に分かれているんですよ。僕はオモニファイトキャンプのほうに参加して、朝10時からの練習は12時から12時30分ぐらいに終わります。そこから各自のトレーニングに入り、また午後6時30分ぐらいからファイトキャンプのメンバーと練習が再開されます。MMAのスパーリングはファイトキャンプというよりジム全体で、火曜日と金曜日に行われていますね。MMAの練習はセフードのお兄さん(アンヘル・セフード)が、レスリング中心のMMAを教えてくれたり。他にも打撃のコーチやグラップリングのコーチが、入れ替わりながら練習を見てくれるという感じです」

――そこにデメトリウス・ジョンソンをはじめ、多くのトップファイターが集まっていたのですよね。

「DJがいたのは何日かだけだったと思うんですけど、すごいですよね。試合前の大事な時期はDJもファイト・レディーに来ているらしいです。他にもデイヴィソン・フィゲイレド、ジャン・ウェイリ、ジョン・ジョーンズが来ていて。パウロ・コスタやブルーノ・シウバはファイト・レディー所属で、他にもUFCファイターやベラトールの選手がたくさん練習しています。でもそのメンバーでジムに常駐しているのはセフードぐらいで、他はファイトキャンプや何かある時に来るという感じです」

――常駐はしていなくても、それだけのファイターが練習に訪れるということは、皆が求める練習環境がファイト・レディーにあるということですね。

「そうだと思います。ヘッドコーチのエリックをはじめ、打撃コーチのエディ・チャーさん、グラップリング中心のコーチでサンティノ・デフランコさん、そしてセフードのお兄さんが主なコーチで、他にも選手兼コーチという人たちもいます。そうしたコーチ陣が的確な意見をくれるし、コーチ同士で意見を言い合うことができる良い雰囲気なんですよ」

――トップファイターたちが集まる中で、いわゆるガチスパーは行われるのですか。

「こっちは結構ガチでやりますね。火曜日と金曜日は大きめのMMAグローブとシンガード、ヘッドギアは着けてガチスパーをやります。他の大きなジムについて訊いたら、大きいボクシンググローブを着けてスパーするところが多いらしくて。でもボクシンググローブだと、たとえ8オンスでもスタイルが変わってしまうじゃないですか。まず組むことができないですからね。でもファイト・レディーではMMAグローブを着けてガチスパーをやるので、良かったです。さすがにセフードとはスパーしていないですけど……。彼はもうファイトキャンプに入っていて、完全にアルジャメインを研究したメニューをやっていました」

――そのなかで、「コイツは強い」という選手はいましたか。

「いやぁ、みんな強いですよ。何回もスパーしているのは、モンゴルのバットゲレル・ダナーですね。身長も高いし、前に出て来るストライカーで強い。僕も勉強になっています」

――ではファイト・レディーでの練習を通じて、一番得たものは何なのでしょうか。

「次の試合にも関わってくるので、細かいことは言えないんですが……いろいろと変わってきました。教わったことを全部できるようになったかといったら、それは難しいですけど。2カ月の練習だけで全部できるようになったら、僕もUFCチャンピオンになれると思いますし。アハハハ。でも次の試合で、変わった自分を見せることはできると思います」

<この項、続く>

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Gladiator MMA MMAPLANET o PFL PFL2023#01   アルジャメイン・ステーリング アレハンドロ・フローレス インパ・カサンガネイ ガブリエル・ブラガ クリシュトフ・ヨッコ クリス・ウェード ジョゼ・アルド ダニエル・トーレス チアゴ・マヘタ・サントス チョ・ソンビン バッバ・ジェンキンス ブレンダン・ラウネーン ヘスス・ピネド マルロン・モラエス マールシン・ハムレット モハマド・ファフレディン モヴィッド・ハイブラエフ ロブ・ウィルキンソン 工藤諒司

【PFL2023#01】計量終了 チョ・ソンビン、メディカルにパスせず欠場。モラエス「今もベストの1人」

【写真】映像では、もっと身長差があったように見えたラウネーンとモラエスだった(C)PFL

1日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのザ・シアター@ヴァージンホテルで開催されるPFL2023#01の計量が、3月31日(金・同)に終了している。

1月にGladiatorで衝撃的な強さを見せたチョ・ソンビンは、2年振りのPFL参戦に向け本計量を146ポンドでパスしたが、何とメディカルをパスせず欠場に。

セレモニアル計量開始15分前にガブリエル・ブラガの代替出場が決まった。

3月のPFLチャレンジャーシリーズで勝利しているブラガは、144.5ポンドで計量をパス。

セレモニアル計量で体重計の上で「レッツゴー」と叫び声を挙げ、終始笑顔だった。


メインで対戦する昨年のフェザー級王者ブレンダン・ラウネーンと、マルロン・モラエスは明らかな身長差があり、フェイスオフでは上と下から視線をぶつけあった。

2014年3月にハードロックホテル&カジノ内ザ・ジョイントと呼ばれた同会場でWSOF世界バンタム級王座を獲得しているモラエスは「素晴らしい雰囲気だよ。会場は最高だ。PFLは最高の大会を開き、僕はここでベルトを巻く。戦い続ける理由? コレが好きだから戦い続けているんだ。そして、この試合で勝って、僕は今も世界のベストの1人だと証明してみせる」と話した。

一方ラウネーンは「チャンピオンになって、シーズンオフは少し休んだ。家族や友人と楽しい時を過ごしてね。けど、1月からタイに渡ってトレーニングをし、この日のためにほとんどを過ごしてきた。モラエスはジョゼ・アルド、アルジャメイン・ステーリングに勝っている。明日はベストバージョンのマルロン・モラエスと戦いたい」と意気込みを語っている。

なお日本から出場の工藤諒は+500というオッズがつき、対するは2021年度の世界王者モヴィッド・ハイブラエフは実に-675と掛け率では圧倒的な差がついている。

そんな両者はフェイスオフを終え、穏やかな表情で握手を交わした。

■視聴方法(予定)
4月2日(日・日本時間)
午前7時30分~DAZN

■ PFL2023#01計量結果

<フェザー級/5分3R>
ブレンダン・ラウレーン: 146ポンド(66.22キロ)
マルロン・モラエス: 145.4ポンド(65.95キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ロブ・ウィルキンソン: 205.4ポンド(93.16キロ)
チアゴ・マヘタ・サントス: 206ポンド(93.44キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
クリシュトフ・ヨッコ: 205.4ポンド(93.16キロ)
ウィル・フルーリー: 205.6ポンド(93.25キロ)

<フェザー級/5分3R>
モヴィッド・ハイブラエフ: 145.8ポンド(66.13キロ)
工藤諒司: 146ポンド(66.22キロ)

<フェザー級/5分3R>
クリス・ウェード: 145.6ポンド(66.04キロ)
バッバ・ジェンキンス: 146ポンド(66.22キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
マールシン・ハムレット: 205.6ポンド(93.25キロ)
モハマド・ファフレディン: 205ポンド(92.99キロ)

<ライトヘビー/5分3R>
ジョシュ・シルヴェイラ: 202.8ポンド(91.98キロ)
サム・ケイ: 206ポンド(93.44キロ)

<フェザー級/5分3R>
アレハンドロ・フローレス: 145.4ポンド(65.95キロ)
ダニエル・トーレス: 146ポンド(66.22キロ)

<フェザー級/5分3R>
チョ・ソンビン: 146ポンド(66.22キロ)
ヘスス・ピネド: 144.6ポンド(65.58キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
デラン・モンチ: 205.4ポンド(93.16キロ)
タイ・フローレス: 206ポンド(93.44キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
コリー・ヘンドリックス: 205ポンド(92.99キロ)
インパ・カサンガネイ: 205.4ポンド(93.16キロ)

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ABEMA Combate Global DEEP DEEP113 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET o ONE ONE FN10 PANCRASE Pancrase333 RIZIN UFC アルジャメイン・ステーリング エフェヴィガ雄志 伊藤裕樹 宇田悠斗 安谷屋智弘 本田良介 杉山廣平 松場貴志 澤田千優 福田龍彌 越智晴雄

【DEEP113】5月7日、フライ級GP決勝=福田龍彌✖本田良介が黄金週間終盤戦/MMA観戦耐久レースの大取

【写真】この試合が終了した時、日本のMMAファンはやり切った感にひたっているだろう(C)MMAPLANET

14日(火)、DEEPより5月7日(日)に東京都文京区の後楽園ホールでDEEP113 IMPACTの開催とDEEPフライ級GP決勝戦=福田龍彌✖本田良介戦が組まれることが発表されている。

昨年8月より実施されてきたフライ級GP(※福田の初戦は9月)がいよいよフィナーレを迎える。

本田は盟友・越智晴雄、松場貴志、伊藤裕樹を全て判定で下し、福田も杉山廣平、安谷屋智弘、宇田悠斗の3者を5-0、4-1、5-0で破り決勝進出を決めた。両者揃ってフィニッシュはなし、このトーナメントが如何に拮抗していたのかが分かる勝ち上がり方をしている。

そのDEEPフライ級決勝が行われる同大会が、ゴールデンウィークの最後2日間のゴールデンMMAウィークエンドの締めとなる。


4月29日から始まる黄金週間。最初の週末にはRIZIN LANDMARK、UFC FIGHT NIGHT、そしてPANCRASE333といってみれば日常的な週末のスケジュールとなっている。

一方でゴールデンウィーク終盤戦は国内のMMA大会のLIVE観戦もしくは視聴と、米国での大会をストリーム視聴しようというファンには超過密スケジュールとなる。

まず5月6日(土)は米国時間の5日(金)にコロラド州ブルームフィールドで行われるONEにとって初の米国大会=ONE FN10が午前9時から中継スタート。そして午後2時にはRIZIN42が開演となる。

翌7日(日)は午前7時からアルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフードがメイン、クロン・グレイシーが3年7カ月振りにMMAに出場するUFC288のストリーミングが始まる。午後5時半からはDEEP113、さらにこの日は米国時間6日(土)にエフェヴィガ雄志、澤田千優ともう1人日本人選手が出場予定のCombate Globalもフロリダ州マイアミで開かれ、ONEと同様にABEMAでライブ配信される予定だ。

Combateの試合開始時間は明らかとなっていないが、過去の大会は日本時間で正午か午後1時スタートが多かった。ここはUFC PPVと時間的に被るが、UFCはイベント終了後に即見逃し配信がチェックできる。

MMAファンは、この2日間は完全な耐久レース。練習に関わらず、しっかりと体力を温存してONEからDEEPまで乗り切りたい。

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MMA MMAPLANET o UFN221   アルジャメイン・ステーリング ピョートル・ヤン マラブ・デヴァリシビリ

【UFN221】百メートル走でフルマラソン。動きが落ちないデヴァリシビリがピョートル・ヤンに圧勝

<バンタム級/5分5R>
マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
Def.3-0:50-45.50-45.50-45
ピョートル・ヤン(ロシア)

タッチグローブを受けなかったヤン。ジャブを見せてシングルに出たデヴァリシビリがバックに回り、後方からパンチを連打する。間合いを取り直し、すぐにテイクダウンを仕掛けたデヴァリシビリに対し、ヤンが距離を取る。両者カーフを蹴り、ヤンに指をマットと並行に伸ばさないよう注意が与えられる。

ダブルレッグを切り、左ミドルを入れたヤンだがデヴァリシビリが再びシングルレッグで右足を取り、抜こうするところでパンチを打っていく。右を見せ、シングルレッグ。レッグリフトと徹底して組んで削るデヴァリシビリが、打撃でも右をヒットさせてまたもテイクダウンを狙う。ヤンは右カーフ、デヴァリシビリもカーフを返しヤンの体が流れる。シングルレッグを切ったヤンをがぶったデヴァリシビリは離れ際のエルボーに対し、同時に右を離す。

再度、指を注意されたヤンは左ミドルをガードしてテイクダウン狙いも、一瞬のリバーサルでトップを取ったデヴァリシビリがスクランブルでがぶってヒザを頭部に突き刺す。手をマットについてヒザを避けるヤンは劣性のまま5分が終わった。

2R、デヴァリシビリが右カーフ。ヤンはダブルのジャブもシングルで倒され、即立ち上がる。右エルボーを打ったデヴァリシビリは右ロー、カットしたヤンはテイクダウン狙いを察知して離れる。デヴァリシビリは右を伸ばし、ローをキャッチされてパンチを受けそうになってもワンツー、ローと前に出る。スイッチしたヤンは、オーソに戻し前足を効かされる。サウスポーで右を被弾したヤンは、下がるようになりカットをしても右足も蹴られる。

右を振るってレベルチェンジ、高速テイクダウンを決めたデヴァリシビリはバックから殴り、離れても打撃で圧をかける。ヤンは左ボディを入れるが、勢いは落ちている。デヴァリシビリはシングルレッグ、足を抜かれても右ハイを3発見せて右フックを振るう。右の蹴りをキャッチして倒したヤンは、逆にスクランブルでバックへ。正対したデヴァリシビリが、逆にケージに圧しこみ、離れ際に左を入れる。

疲れたヤンは、下がりながら頭を防御し、エルボーを受けてテイクダウンを許す。呼吸が粗いヤンのバックに回ったデヴァリシビリはがぶりに切り替え、左フックを打つ。疲れを知らないデヴァリシビリだが、首を抱えての投げがすっぽ抜けに下に。パウンドを受けそうになったところで時間を迎えた。

3R、すぐにサウスポーに構えたヤンに対し、右ミドルを蹴ったデヴァリシビリがもう一発腹を蹴る。ヤンも右ミドルを蹴り、スピニングバックフィストをかわしシングルを切る。右フックで距離を詰め、エルボーを見舞うデヴァリシビリに対し、ヤンは間合いを取り直す。直後に右ストレートからシングル出たデヴァリシビリが、ヒザを入れて離れる。オーソに戻したヤンは、テイクダウンを切ってスクランブルの展開でハイを見せる。

デヴァリシビリがシングルからバック、ボディロックでバックに回る。向き返し、ダブルレッグを狙ったヤンは足の後ろでクラッチを組むが、デヴァリシビリが左を差し返す。離れたヤンをシングル、さらにダブルでケージに押し込んだデヴァリシビリは尻もちをつかせ、スクランブルでバックへ。自ら離れたデヴァリシビリは。左足へのシングルを切られると同時に右足を取ってテイクダウン。スクランブル後は、左足を取ってレッグリフトしバックへ。

ヤンはシングルで切り返すも、キムラで後方に投げたデヴァリシビリがスタンドに戻る。足への蹴りを出さなくなったデヴァリシビリは、投げを失敗するがバックを許さず動き続けたまた3Rも取った。

4R、両者が蹴りを見せ、デヴァリシビリはすぐにはテイクダウンにいかない。パンチの交換で右ボディを入れたデヴァリシビリはヤンのスイッチに合わせてシングルからバックへ。ボディロックテイクダウンを決め、スクランブルで背中に回る。前方に落としつつ、体を入れ変えたヤンがケージにデヴァリシビリを押し込み、両ワキを差す。デヴァリシビリは離れて右ロー、ヤンの右目が大きく腫れている。

ヤンは右カーフもデヴァリシビリが左ジャブを当て、ダブルレッグへ。切って来るのを予測し、そこにパンチを入れる。右ミドルを見せたデヴァリシビリが、ヤンの左フックに合わせてテイクダウンへ。切られても、打撃を交えて前に出続けるデヴァリシビリが、左フックをヒットさせる。

ヤンも左を返すが、右エルボーから左を伸ばして前に出たデヴァリシビリはカーフを蹴られてもワンツー、組んでバックを伺う。シングルから足を刈ったヤン、すぐに立ちあがったデヴァリシビリががぶりから崩していく。残り10秒、牽制しあった両者は最後の5分に向かった。

最終回、切れのあるローをで左足を蹴られ、すぐにスイッチしたヤンだが組まれてケージへ。離れたデヴァリシビリが右を当てる。と、ダブルからバック。離れて蹴りを繰り出すデヴァリシビリに対し、ヤンがケージを背負って止まる。すかさずダブルレッグに出てバック、ボディロックで前方に崩したデヴァリシビリの動きは全く止まらない。

2分を使い、離れたデヴァリシビリがシングルレッグ。足を抜かれても右から左ジャブ当て、ダブルレッグへ。スラム&バック奪取のデヴァリシビリは、ヤンに付け入る隙を与えない。ヤンは右カーフ、エルボーをかわすがミドルからローを蹴られる。ヤンは左ミドルを入れたが、シングルで倒され観念したように手をマットにつける。

シングルでヤンを転がせて立ち上がったところで右をヒットする。前蹴り、ワンツー、そしてダブルで距離を潰したデヴァリシビリは、燃料が全く切れず、組みに。前転からスタンドに戻ったヤンの最後の勝負──スタンド戦でも、互角以上にやりあったデヴァリシビリがタイムアップと同時にケージに駆け上がり、勝利をアピールをした。同僚で世界バンタム級王者のアルジャメイン・ステーリングとハグするデヴァリシビリは、100メートル走の速さで42.195キロを走るようなファイトでフルマークの判定勝ち。

勝ち名乗りを受け、「ジョージアを代表して戦えて幸せだ。自分を誇りに思う。ジョージアは500万人しか人口がないけど、最強だ。プロフェッショナルとして、チームとともにハードに取り組んだ。48度のテイクダウンの仕掛け? もちろん僕のテイクダウンは誰にも効果的だ。僕らにはチャンピオンがいる。世界の誰とやっても通じる……ほとんど通じる。誰か僕と戦いたいヤツはいないか? 僕はハングリーだ。アルジャメインと僕は兄弟。彼はリアルなチャンピオンだ。彼が階級を上げると、僕がタイトルを獲りに行く。そりゃあタイトルは欲しいし、それが可能だと自分の力を証明した」と興奮気味にまくし立てた。


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ABEMA JJ・オルドリッチ MMA MMAPLANET o UFC UFN221   アルジャメイン・ステーリング アレキサンダー・ヴォルコフ アントン・トゥルキャリ カールストン・ハリス カール・ウィリアムス グイド・カネッティ コリー・サンドハーゲン サイド・ヌルマゴメドフ サイード・ヌルマゴメドフ ショーン・オマリー ジャレッド・グッデン ジョナサン・マルチネス タイソン・ナム デイヴィー・グラント トニー・グレーブリー ニキータ・クリロフ ハファエル・アスンソン ビクター・ヘンリー ピョートル・ヤン ブルーノ・シウバ マラブ・デヴァリシビリ マリオ・バウティスタ ヴィトー・ペトリーノ 中村倫也 風間敏臣

【UFN221】計量終了 今、Must Watch=メインのヤン×デヴァリシビリを始め、バンタム級5試合

【写真】マラブの突進力とヤンの技術の激突(C)Zuffa/UFC

11日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのザ・シアター・アット・ヴァージンホテルで開催されるUFN221:UFN on ESPN+79「Yan vs Dvalishvili」の計量が10日(金・同)に行われている。

フェザー級でオースチン・リンゴと対戦予定だったヒカルド・ラモスが、1ポンドオーバー規約より8ポンドも重い154ポンドとライト級と変わらない状況で、この試合はキャンセルされた。

そんな今大会、メインのピョートル・ヤン×マラブ・デヴァリシビリを始めバンタム級の試合が5試合組まれており、さながらバンタム級祭りの様相を呈している。UFCでも最も激しい戦いが繰り広げられている同階級、5月6日には世界王者アルジャメイン・ステーリングが、復帰するトリプルCことヘンリー・セジュードの挑戦を受けることで、果てしないほど質&量が上がっている。


世界王者ステーリングとショーン・オマリー戦で2連敗を喫したとはいえ、2試合ともスプリット判定負けと今も世界が視野に入っているヤンに対し、デヴァリシビリは現在8連勝中でタイトル挑戦権を手にするための戦いに挑む。

蹴りを交えた遠近両用の打撃と、絶妙な足払いを持ち合わせたテイクダウン能力を誇る元世界王者ヤン。フィジカル的にはUFCでは平均値だが、スピード……反応力とタイミングはトップ中のトップといえる。対して、デヴァリシビリは打撃にしても最大の武器といえるテイクダウンにしても、それほどテクニカルではない。

ただし、このテイクダウンを軸にした荒い打撃とねちっこいコントロールは常に高い圧力を誇り、無限のスタミナで削り続けてくる。技術力では完全にヤンだが、圧に負けなくても対応するだけで削られることも十分にあり得る。優勢でも劣勢でも、終盤はデヴァリシビリの追い上げを覚悟しないといけないヤンは、序盤の3Rを如何に取るのかが大切になってくる。

メインカードで組まれたバンタム級戦は他に2試合。

サイド・ヌルマゴメドフ✖ジョナサン・マルチネスに加え、上記のフェザー級戦の不成立でマリオ・バウティスタ戦が昇格した。オクタゴン6勝1敗、回転系の蹴りとパンチを多用し、効かせたあとの集中打とパウンドが迫力満点のサイドに対し、マルチネスはUFCで8勝3敗、バンタム級とフェザー級の両階級で戦い、現在は4連勝中だ。

サウスポーのマルチネスの特徴は、とにかく動きが柔軟なことだ。柔軟な肩回りは独特のリズムのパンチを繰り出し、接近戦でも繰り出すことができる左ハイとパンチのコンビネーションを多用する。打撃戦ならサイドに遅れを取らないといっても過言でないマルチネス。その主武器である左の蹴りをキャッチされた場合、もしくはサイードのここ一番のテイクダウンの強さを如何に対処できるか。ウマルの陰に隠れた感のある──もう1人のヌルメゴメドフ=サイドとの戦い、マルチネスが勝利を手にするには組みの攻防が鍵となる。

そしてメイン昇格なった一戦。

トレヴィン・ジョンスにまさかのパウンドアウトを去れた以外ではコリー・サンドハーゲンに対して黒星のみ、11勝2敗のバウティスタは跳びヒザや後ろ三角から腕を伸ばしたサブミッションなど特徴点な勝利を挙げているファイターだ。これらの動きは基本となる打撃、テイクダウン、柔術という3つの要素がアベレージで高いバウティスタが、UFCという舞台でそれ以上の動きを見せた勝ち方だった。サウスポーのパンチャー、2連勝で調子を戻しているカネッティーとはグラップリングでは差があるように感じられるが……果たして。

プレリミで組まれたハファエル・アスンソン×デイヴィー・グラント、そのアスンソン戦の敗北から再起を図るヴィクター・ヘンリーとトニー・グレーブリーのマッチアップという2試合。

これだけの猛者が登場しながら、メインの両者以外でランカーは14位のサイード・ヌルマゴメドフのみ。世界の頂の高さを見せつけるUFCバンタム級戦線。中村倫也、風間敏臣がその戦いの輪に加わるからこそ、目を皿にしてチェックする必要がある──マスト・ウォッチの戦いの数々だ。

■視聴方法(予定)
3月12日(日・日本時間)
午前5時00~UFC FIGHT PASS

■UFN221計量結果

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン: 136ポンド(61.69キロ)
マラブ・デヴァリシビリ: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルコフ: 258ポンド(117.02キロ)
アレクサンドル・ロマノフ: 264 ポンド(119.74キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ニキータ・クリロフ: 213ポンド(96.61キロ)
ライアン・スパーン: 213ポンド(96.61キロ)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ: 136ポンド(61.69キロ)
ジョナサン・マルチネス: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ: 136ポンド(61.69キロ)
グイド・カネッティ: 136ポンド(61.69キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ: 204ポンド(92.53キロ)
アントン・トゥルキャリ: 205ポンド(92.99キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ウーカシュ・プジェスキ: 245ポンド(111.13キロ)
カール・ウィリアムス: 240.5ポンド(109.08キロ)

<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン: 136ポンド(61.69キロ)
デイヴィー・グラント: 136ポンド(61.69キロ)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ: 184.5ポンド(83.68キロ)
ジョシュ・フレムド: 186ポンド(84.37キロ)

<バンタム級/5分3R>
トニー・グレーブリー: 136ポンド(61.69キロ)
ビクター・ヘンリー: 136ポンド(61.69キロ)

<女子フライ級/5分3R>
JJ・オルドリッチ: 125.5ポンド(56.92キロ))
アリアニ・リプスキ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フライ級/5分3R>
タイソン・ナム: 125.5ポンド(56.92キロ)
ブルーノ・シウバ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ウェルター級/5分3R>
カールストン・ハリス: 169.5ポンド(76.88キロ)
ジャレッド・グッデン: 177ポンド(80.28キロ)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN10 UFC アドリアーノ・モライシュ アルジャメイン・ステーリング キック クリスチャン・リー ジャスティン・スコッギンス ジャレッド・ブルックス ダナ・ホワイト デメトリウス・ジョンソン ピョートル・ヤン ボクシング

【ONE】ONE世界ストロー級王者、ジャレッド・ブルックス―02―「僕がデンバー大会に出るのが筋」

【写真】ONEのMMAにはブルックス、DJ、クリスチャン・リーと3人の米国人世界チャンピオンが存在している(C)MMAPLANET

2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしたインタビュー──ジャレッド・ブルックス編Part.02。

ONE世界ストロー級王座に就いたブルックスは、米国でのデメトリウス・ジョンソン戦を熱望する。とはいえ5月のデンバー大会=ONE FN10では既にDJ×アドリアーノ・モライシュIIIが発表されている。米国人チャンピオンとして、米国におけるキックオフ大会への出場は筋が通っていると断言するブルックスに、フライ級とストロー級の兼ね合いとONEが米国で受け入れられるか否かを尋ねた。

<ジャレッド・ブルックス・インタビューPart.01はコチラから>


――5月でなくとも、DJとは戦いたいということですね。

「DJとの試合は夢といっても良い。ただし、ただ戦いたいんじゃない。勝ちたいんだ。もし実現するなら、文字通り夢が現実になる。DJは間違いなくリアルディール、本物だよ。僕がリアルにマーシャルアーツの道を進むうえで避けて通れない相手だと認識している」

――ONEフライ級チャンピオンと戦うということは、他のフライ級ファイターとも戦って二階級制覇を目指すのか。ストロー級王座を防衛しつつチャンプ・チャンプを目指すのか。どちらを考えていますか。

「100パーセント、フライ級とストロー級で戦っていくよ。もちろん、誰が僕の対戦相手になるのかっていうことは関係してくるけどね。そうそうジャスティン・スコッギンスのことは知っているよね」

ブルックスのベルト奪取に満面の笑みを浮かべていたスコッギンス。ONEフライ級で戦うことはあるのか

――もちろんです。

ジャレッドのトレーニングパートナーで、スイッチスタンスの打撃をいつも絶賛していますね。

「ジャスティンとはずっと一緒に練習してきた。ジャスティンがONEのフライ級戦線に参入すれば、輝かしい結果を残すことは間違いない。ブラザーのようなジャスティンがONEのフライ級を制覇し、僕と2人でストロー級とフライ級を支配する。これこそ僕らにとってパーフェクト・ワールドだよ。ただし、さっきも言ったように僕も絶対にフライ級でも戦うことになる」

――世界戦でなくランカーたちともジャレッドは戦っていくつもりなのでしょうか。

「フライ級でも僕をチャンピオンとして、扱ってくれるのであればね。それだけのファイトマネーは要求したい。チャンプ・チャンプ対決が望むべき最上位にある。それは絶対だ。でも、そうではなくランクで下の選手と戦えという要望があるなら、全くもって構わない。フライ級のトップファイターと1,2試合戦うことは問題ないよ。それからDJと戦えば良いんだ。もしくはアドリアーノ・モライシュとね」

――ところで5月のデンバー大会ですが、まだDJ×ミキーニョの世界フライ級選手権以外、カードは発表されていません。米国人世界王者として、母国でのファイトをどれだけ熱望していますか。

「5月にデンバーで試合をするとすれば100パーセント、ストロー級世界王者としてその舞台に立つ。僕は米国人チャンピオンだ。米国大会のカードに名前が並ぶべきだと思っている。それが筋ってもんだろう。大会開催のアナウンスから1カ月、まだ声は掛かっていない。でも、そうなるものだと思っていつも通り練習しているよ」

――ユニファイド・ルールに見慣れた米国のMMAファンが、ONEルールにどのような反応をすると考えていますか。

「まぁ、ONEルールならアルジャメイン・ステーリングとピョートル・ヤンの試合は、あんなことにはなっていなかったからね。米国のファンって残酷なシーンが大好きだよ。スポーツファンでなく、ファイティングファンの受けは良くなるに違いない。ただし、そういう戦いばかりをONEはファンに届けているわけじゃない。

サブミッショングラップリングの試合で柔術が見られる。ムエタイやキックというMMAと違った戦いを同時に見せることで、ONEは米国のマーケットに風穴を空けようとしている。それがONEの素晴らしいところだよ」

――そのONEの米国進出の地が、UFCが30年前に第1回大会を開いたコロラド州デンバーの近郊ブルームフィールドになったのも運命的なモノを感じます。

「UFCが生まれた街で、ONEがスタートを切る。最高にクールな話だ。UFCとダナ・ホワイトはボクシング界の横っ面を引っ叩いてきたんだ。僕はUFCには何もいうことはない。素晴らしい団体だから。他のあらゆる団体を踏みつぶしてきたとしてもね(笑)。

だけどONEはUFCや他のMMAプロモーションとは違った特色を武器に、米国市場を開拓しようとしている。土台が違う、そういう大きな話だよ」

――ジャレッド、今日もインタビューを受けてくれてありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。

「コンニチワ、マイ・ジャパニーズ・ファン。初めて日本に行った時以来、皆のことが大好きだ。僕のキャリアをずっと見守ってくれてありがとう。まだ始まったばかり、僕はこれからもっとデカいことをやっていくから、変わらずサポートをしてほしい。いつも感謝しているよ」

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【DEEP JEWELS39】須田萌里戦、53日前の本野美樹─01─「打撃は前よりもビビらなくなった」

【写真】溌剌という言葉が本当に当てはまるベガスでの本野だ(C)TSP

23日(水・祝)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS30のコメインで須田萌里と対戦する本野美樹。

元ストロー級暫定チャンピオンは9月の1カ月間をABEMAの海外武者修行プログラムに参加し、ラスベガスのシンジケートMMAで練習をしてきた。須田戦が決まっていたという水野だが、キャリア3年で7勝3敗というMMA歴の彼女が同プロジェクトに申し込んだ理由とは。そして──ベガスで何を掴んだのか。現地を離れる前日に行っていたインタビュー、本野がベガスで見つけたMMAファイターとしての生き方とは。


──今、どのような場所でインタビューを受けていただいているのでしょうか。

「UFC世界バンタム級チャンピオンのアルジャメイン・ステーリング選手のラスベガスの自宅です。アルジャメインは先週、NYに戻ったのですが、ここに泊まらせてもらっています」

──今回、ABEMA海外武者修行プロジェクトに申し込み、シンジケートMMAで約1カ月に渡り、練習をしてきました。偏見かもしれないですけど、AACC所属の本野さんがABEMAのプロジェクトで海外で練習をするというのが意外でした。このプロジェクト参加選手はルーキー的な選手が多いのですが、本野選手は既にDEEP JEWELSで暫定ストロー級のベルトを巻いていましたし。

「この企画をツイッターで見て、試合も組まれていなかったので直感的に海外で練習したいと思って、その日の練習の時に阿部(裕之)さんに伝えました。そして、すぐにABEMAに連絡してもらいました。正直、海外で戦いたいとか思っていたわけでもなかったです。ただ去年、田中路教さんが日本に帰国していた時にグランドスラムの練習で会って、練習への取り組みとかMMAへの姿勢を見て、自分の向き合い方と全然違っていると感じました。

本当に尊敬できて。田中選手は普段は海外で練習しているのを知って、その時から海外で練習したいと興味を持つようになっていました」

──田中選手に関していえば人生を賭けているのではなくて、人生を捨てているぐらいの取り組みです(笑)。

「アハハハハ。でも、スタート地点から違うような気がしました。だから武者修行プロジェクトに応募したのは海外で試合をしたいというよりも、海外のMMAに興味を持ったからです。どれぐらいの強さなのかを知りたいと思って。直感と海外の技術が進んでいると聞いていたので、その技術を学びたいと思いました」

──伊澤星花選手に敗れてから、キャリアの積み方など立ち位置が難しい状況になっているなど考えたことはなかったでしょうか。そもそも伊澤選手が何者か世に知れわたる前にプロ2戦目の選手と戦うことはベルトを持つ者として、どのように思っていたのでしょうか。

「ストロー級で戦う相手が本当にいなくて。伊澤選手のことは試合を見て、強いと思っていました。あの時はボクシングを習い始めたばかりだったので、それを試したくて。試合を組んでもらえるなら、誰とでも戦いたいと思っていました」

──タイトルマッチで挑戦を受ける時は、心構えは違っていましたか。

「全然違いました。初戦は舐めていたわけでもないですが、打撃を試したいという気持ちで戦って本当に打撃しか使わなかったです。そこもあって、2戦目は負けるわけにはいかないので自分の得意な組み技を使って、最初にペースを掴もうという作戦でした。でも、伊澤選手のペースに巻き込まれて腕十字でアッサリと負けてしまいました……」

──組み技主体の選手同士の対戦は、組み技力で試合の大勢が決まってしまうという印象がMMAでは強いです。伊澤選手との2連戦を終えて、MMAファイターとして完成度を高めたいという気持ちには?

「ストライカーと試合をするのとは全然違っていました。自分の得意なところが伊澤選手は得意で、自分より極めが上手でした。勝つポイントを見つけることが難しかったです。そういう相手とこれからも戦っていかないといけないのですが、最近は……ベガスに来てからもそうでしたけど、外国人選手と練習すると打撃でも手足が長いし、日本と同じような打撃をしていたら通用しない、圧されてしまいます。

なら彼女たちよりもスピードを速く、動きを増やしてみようとか。少しずつ考えながら……ようやくですけど、デキるようになったかもしれないです」

──そのベガスでの練習も、もうほとんど終了したタイミングだと聞いています。

「ハイ、選手練習は今日終わって。明日の一般のキックボクシングに出て終わりです」

──約1カ月の練習で、一番ガツンと来るものは何でしたか。

「正直、グラップリングに関しては細かい技術を教えてもらったのですが、今直ぐに使うことは難しいので日本に帰国して反復練習をしようと考えています。打撃は……日本にいた時はジャブならジャブと単発で終わっていたのが、こっちの選手はパン、パン、パンと連続で重たい形で来て、蹴りも多いので最初は戸惑いました。ただ練習しているうちに慣れてきて、打撃は前よりもビビらなくなったと思います。

日本では打ち合うということを練習でやっていなかったのですが、少し打ち合いがデキるようになったり、フェイントのバリエーションが増えました。打撃の部分では成長できているというのは感じられています」

──日本では男子とも練習をしていたのですか。

「グランドスラムではMMAスパーを男の選手ともやらせてもらっていました」

──なるほど。いやAACC女子部だと選手の特性上、打撃が続くというMMAスパーにはならないのかと……。

「ジムが広いので、下がりたいだけ下がることができます。だから組みたくて組めないという状況にはなりました。シンジケートで練習すると、皆、下がらないです。そこが日本と考え方、取り組み方が違うというのはありました」

──一発当てると、『この野郎』とより強くなることは?

「最初から強かったです(笑)。でも強く来てくれる分、こっちも強くできてやりやすい。試合のような練習ができました」

──アンジェラ・ヒルとのスパー映像を見せてもらったのですが、凄く溌剌としているように見えました。

「アハハハ。なんかこっちに来て練習していると、自分より強い選手がたくさんいて。考えてやらないとボコボコにされます。

強い選手とやっている練習は、凄く楽しくできました。環境的にも自分に向いているのかと思いました。たくさん考えてできるので、楽しいです」

<この項、続く>

■視聴方法(水・祝)
11月23日(日)
午前11時30分~SPWN PPV
午前11時30分~ニコニコ生放送

■ DEEP JEWELS39対戦カード

<バンタム級/5分3R>
東よう子(日本)
ダイヤモンドローズ・ザ・ロケット(タイ)

<49キロ契約/5分3R>
本野美樹(日本)
須田萌里(日本)

<フライ級/5分2R>
ミッコ・ニルバーナ(日本)
NØRI(日本)

<フライ/5分2R>
栗山葵(日本)
藤田翔子(日本)

<ストロー級/5分2R>
長野美香(日本)
松田亜莉紗(日本)

<ストロー級/5分2R>
ARAMI(日本)
万智(日本)

<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈(日本)
細谷ちーこ(日本)

<54キロ契約/5分2R>
MANA(日本)
谷山瞳(日本)

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