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【UFC292】アルジャメインのステップインに、右ストレート一閃。ショーン・オマリーが新世界王者に

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
ショーン・オマリー(米国)
Def.2R0分51秒by TKO
アルジャメイン・ステーリング(米国)

まず右ローを見せたステーリングが、続いて軽く右ハイを繰り出す。距離をつめにいく王者に対し、ステーリングはサークリングで間合いを取る。互いに構えを変えるなか、オマリーが右前蹴りで腹を狙う。ステップインし、構えを変えるオマリーが、サークリングしながらもスイッチする。ステーリングが左ミドルを蹴ったところで、初回半分が過ぎた。

オマリーの前蹴り、チャンピオンはローを繰り出す。関節蹴りも見せたオマリーだが、フェイクと間合いの測り合いが続く。ついには盛り上がりまくっていた観客がブーイングを送るように。下がるのではなくて、角度をかえて踏込みをかわすオマリーだが、最後がステーリングが組みつきケージに押し込んだ形で初回を終えた。

2R、自らの蹴りでスリップしたオマリーに組みついたステーリングが、シングルに移行する。ウィザーを取ったオマリーが離れ、右前蹴りをくりだす。直後に、左を振るってステップインしたステーリングだが、右を合わせされ頭からキャンバスに倒れ込む。直ぐに上を向いたステーリングに立ったまま鉄槌、さらにパンチを落とすオマリー。懸命に足をきかせようとしたステーリングだが、勢いのある右パンチを落とされる。続く左の鉄槌に背中を見せたステーリングを見て、レフェリーが試合を止めた。

「正直、この試合ほどナーバスだったことはない。それでも自信は持っていた。シュガー時代の始まりに過ぎない。チート(ヴェラ)が勝ったね、でもつまらない試合だった。12月にベガスのTモバイルでチートとやることになるかな」と新チャンピオンは話した。


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Cage Warriors MMA MMAPLANET o UFC UFC292   アマンダ・レモス アルジャメイン・ステーリング アンドレア・リー アンドレ・ペトロスキー イアン・ギャリー カマル・ウスマン カリーニ・シウバ グレゴリー・ホドリゲス シャクハト・ラクモノフ ショーン・オマリー ジェフ・ニール ジャック・グラント ジャン・ウェイリ ジルベウト・ドゥリーニョ デニス・チュルリン デモン・ブラックシアー ニール・マグニー ブラック ブラッド・カトーナ ブラッド・タヴァレス ペドロ・ムニョス マリオ・バウティスタ マリナ・モロズ ライカ ヴィセンチ・ルケ

【UFC292】ニール・マグニー戦へ、イアン・ギャリー「必要がないから、組み技を見せてこなかっただけ」

【写真】文中にあるようにマグニーは191センチの長身だが、ギャリーも同じだけの上背を誇っていた(C)Zuffa/UFC

19日(土・現地時間)、マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンでUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。UFC世界バンタム級選手権試合と女子ストロー級選手権試合──2つのタイトル戦を控えた第10試合で、イアン・ギャリーがニール・マグニーと戦う。
Text by Manabu Takashima

オクタゴン5勝0敗、キャリアを通して12連勝中のギャリーは、ジェフ・ニールからマグニーに相手が代わったことで、これまで見せてこなかった彼の一面をこの試合で披露する腹積もりだ。25歳、世界のトップが見えてきたギャリーは、無敗のファイターしか持ちえない純粋無垢、真っ新な前進力を持っている。


──イアン、インタビューを受けていただきありがとうございます。

「こちらこそ、ありがとう。もうすぐUFCシンガポールがあるから、忙しいんじゃないの? たくさんのアジア人ファイターが出場するし、凄く楽しみだよ」

──今週末、ニール・マグニーと対戦しますが、もともとはジェフ・ニールと戦う予定でした。構え、スタイルとまるで違う相手になったのですが、問題はなかったですか。

「ジェフ・ニールと戦うことは、とても楽しみにしていたんだ。僕がこの間に学んできたこと、全てを出す戦略を立てていたから。ジェフ・ニールははサウスポーで背が低い。そしてアグレッシブなファイターだ。対して、ニール・マグニーは背が高いオーソドックスの選手(笑)。だからジェフ・ニールと戦うために準備してきた武器を見てもらうことはできないけど、マグニーを血まみれにして破壊する。彼がこれまで経験したことがない、ファイトを初体験させてやるつもりだ」

──ジェフ・ニールと戦っていた方が、ファンが喜ぶ試合展開になったという風に思うことはありますか。

「ただ、ファンの間ではジェフ・ニールよりも、ニール・マグニーの名前の方が知れ渡っていると思うんだよね。またトップ15を破る、絶好の機会だと思っている。ジェフ・ニールにしても、ニール・マグニーにしても僕の名前が立つためには恰好の相手だよ。それにどっちと戦うのかっていうことよりも、僕がオクタゴンに入って戦えることが、最重要なんだ。どっちにしても、僕の引き立て役にしかならないんだから(笑)」

──とはいえイアン自身が言及していたように構えも違いますし、ファイトスタイルはニールがストライカーなのに対して、マグニーがやるべきことはクリンチゲームからテイクダウンし、コントロールをすること。まるでスタイルが違いますが、準備期間は十分でしたか。

「実はヴィセンチ・ルケの練習パートナーを務めるために、2カ月半ブラジルにいたんだ。この間、毎日のように柔術の練習をしてきた。マグニーがクリンチからテイクダウンを狙っても僕は倒されない。仮に倒されたとすれば、僕の柔術を皆に見てもらう丁度良い機会になる。グラップリングを皆に披露できるなら、それも楽しみだよ。UFCに来て、初めてグラップリングの腕前を見てもらうことができる。マグニーが寝技で戦ってくるなら、いくらでも受けたつよ」

──2021年6月、イアンがジャック・グラントを破ってCage Warriorsウェルター級王座と獲得した試合ではダブルレッグでテイクダウン、スクランブルでダース、クリンチでエゼキエルを仕掛けるなど、組み技でも十分に強いところを見せていました。

「イエス。僕は打撃が好きなんだ。そして、肉体を駆使したチェスのような試合を好んでいる。でも殴らたり、蹴られたり、傷つくことが嫌な相手が立ち技で勝負せずに、柔術やレスリング、グラップリングを攻めてきても別に構わない。僕にテイクダウンを仕掛けてきたとして、世界中の誰を相手にしてもバックに回ることができる。世界中の誰からも、一本勝ちできる。

そうする必要がないから、UFCでは組み技を見せてこなかっただけで。ニール・マグニーが僕を相手に組んでくるなら、グラップリングファイトに応じる。そして、チョークで落とすことを約束する」

──これまでUFCで5連勝中ですが、そろそろグラップリングのスキルを皆に披露する時がやってきたと考えていますか。

「最終的にウェルター級のトップは、グラップラーが多い。グラップリングに比重を置いたファイトをしている。僕がここでグラップリングを駆使して戦えば、多くの相手は僕と組みたがらないようになるだろう」

──グラップリングは今もブーイングの対象ですが、ジャック・グラントのようにマグニーが動いて来れば、ファンが盛り上がることができるグラップリングMMAになるかと思います。

「この試合では、最後はグランドワークを見せることになるだろう。今回のマグニー戦か、それとも次の試合になるかもしれないけど、如何に僕のグラップリングが優れているのかを皆に証明する」

──キルクリフFCのジルベウト・ドゥリーニョ、シャクハト・ラクモノフの両者が既にニール・マグニーを破っていますが、2人が戦っていることでキルクリフFCにはマグニーの情報が豊富にあり、有利になるのではないですか。

「ノー、そんなことはないよ。同じチームでも僕はドゥリーニョでも、シャクハトでもないから。それにマグニーだって、あの時のままのはずがない。ドゥリーニョはUFCの歴史上、最高のグラップラーの1人だ。シャクハトも最高のトップファイターだよ。ただし、彼らがマグニーに勝っていることは、何も僕にとってアドバンテージにはならないよ」

──イアンも他のファイターと同様に、目標はUFC世界王座であることは間違いないかと思います。

「イエス」

──ウェルター級ランカーにはドゥリーニョ、ラクモノフ、ヴィセンチというチームメイトがいます。世界を獲るためにドゥリーニョが、カマル・ウスマンに挑戦したように友人同士のファイトを求められるとどうしますか。

「ドゥリーニョは僕にとって家族のようなものだ。今週末も、僕のコーナーに就いてくれる。彼と戦うことは考えられない。ヴィセンチも友人だ。皆、僕の友達だよ。そんな風に僕も思っていた時期がある。今の僕は……もしシャクハトがチャンピオンなら、シャクハトと戦う。僕ら2人がベストでも、チャンピオンは1人だから。

ドゥリーニョが世界最高でチャンピオンだったとしても、僕はチャンピオンになりたい。そして彼に挑戦表明をするよ。『僕は世界王者になりたい。ベストになりたいんだ。ギルバート、君と同じなんだ。アイ・ラブ・ユー。どうする? やるだろう?』ってね。レガシーとヒストリーが、僕にとって一番大切なモノなんだ。世界のベストになるためなら、誰とでも戦う。いつでも、戦う。友人とタイトルを争う期間は、友人ではなくなるだけだよ」

──タイトルショットでなく、普通のワンマッチでは?

「繰り返すけど、僕は誰とでも戦う。夢に近づくためならね」

──分かりました。では、そこに近づくためにも今週末はマグニーを相手にどのような試合をしたいと考えていますか。

「僕がスーパースターであることを示す。旗が風にはためていることが、なぜあれほどまでに美しいのか。それは旗の後ろに巨大なパワーが存在しているからだ。そこれそ情熱の象徴であり、感動、楽しさの表れなんだ。僕の打撃、僕の戦い方は旗が風にはためているように美しい。過去、誰も見たことがない世界最高の打撃だ。イアン・ギャリーはウェルター級に比肩する者がいない。この世界で唯一の存在なんだと皆が思うような戦いを見せる」

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング: 135ポンド(61.24キロ)
[挑戦者]ショーン・オマリー: 135ポンド(61.24キロ)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ: 115ポンド(52.16キロ)
[挑戦者]アマンダ・レモス: 114ポンド(51.7キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー: 170.5ポンド(77.34キロ)
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
マーロン・ヴェラ: 136ポンド(61.69キロ)
ペドロ・ムニョス: 135ポンド(61.24キロ)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ: 136ポンド(61.69キロ)
デモン・ブラックシアー: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン: 186ポンド(84.37キロ)
ブラッド・タヴァレス: 185ポンド(83.91キロ)

<ミドル級/5分5R>
グレゴリー・ホドリゲス: 186ポンド(84.37キロ)
デニス・チュルリン: 185ポンド(83.91キロ)

<TUF31ライト級決勝/5分3R>
カート・ホロボウ: 155.5ポンド(70.53キロ)
オースティン・ホバート: 155ポンド(70.31キロ)

<TUF31バンタム級決勝/5分3R>
コディ・ギブソ: 136ポンド(61.69キロ)
ブラッド・カトーナ: 136ポンド(61.69キロ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート: 185ポンド(83.91キロ)
アンドレ・ペトロスキー: 186ポンド(84.37キロ)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー: 125ポンド(56.7キロ)
ナタリア・シウバ: 125ポンド(56.7キロ)

<女子フライ級/5分3R>
マリナ・モロズ: 125ポンド(56.7キロ)
カリーニ・シウバ: 125ポンド(56.7キロ)

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MMA MMAPLANET o UFC UFC292 アマンダ・レモス アルジャメイン・ステーリング アンドレア・リー アンドレ・ペトロスキー イアン・ギャリー カリーニ・シウバ キック グレゴリー・ホドリゲス コリー・サンドハーゲン ショーン・オマリー ジャン・ウェイリ デニス・チュルリン デモン・ブラックシアー ニール・マグニー ブラック ブラッド・カトーナ ブラッド・タヴァレス ペドロ・ムニョス マリオ・バウティスタ マルロン・モラエス ライカ

【UFC292】極めるか、倒すか。間合いと減量&睡眠=ステーリング✖オマリー戦展望─02─

【写真】さぁ、いよいよ3日後に両者の競演が見られる(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、ボストンのTDガーデンにてUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。メインのUFC世界バンタム級選手権試合展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

絶対的なバック奪取能力と、コントール力を誇る王者ステーリングと、卓越した打撃の当て勘を有する挑戦者オマリー。当然のように事前の挑発の試合を行うなかには、ステーリングの減量とオマリーの睡眠というエレメントにも言及は及んでいた。

<アルジャメイン・ステーリング✖ショーン・オマリー考察Part.01はコチラから>


ステーリングの卓越した打撃回避の能力、多少不格好でも組みついてしまえばケージに押し込んで強引にテイクダウンやバックを奪ってしまう無類の組み力、そして一度有利な体勢を取ったら決して相手を逃さない圧倒的なコントロール力こそが、王者優位説の強力な根拠だ。

さらに注目したいのは、試合開始直後の攻防だ。というのも以前ステーリングは、オマリー同様に長いリーチを誇るストライカーのコリー・サンドハーゲンと対戦した際に、スタートと同時に──絶妙な間合いを保ちつつも──プレッシャーをかけて下がらせ、蹴り足を掴むとあっという間にテイクダウンからバックを奪取、そのままチョークを極めて驚愕の圧勝劇をみせているのだ。

今回の試合に向けても王者は「サンドハーゲン戦と同じように極めてやるよ。前に出てプレッシャーをかけてやる。奴はフットワークを使うだろうけどこっちは逃げ道を遮断する。すると奴は苦し紛れに蹴ってくるだろうから、それを掴んで奴の体を二つ折りにしてやるさ。1ラウンド半分で極めるよ」と宣言している。

王者が予告通り試合開始と同時に圧力をかけてゆく可能性は高いと思われる。対するオマリーがそれに屈せず、逆に王者を下がらせる、あるいは出鼻の打撃を当てることはできるのか。試合開始直後から、まったく目が離せない一戦だ。

また、オマリーとしては序盤から組み伏せられてしまったとしても、極められさえしなければ次のラウンドはスタンドから再開となる。2019年のクインテッド・ウルトラにて五味隆典をギロチンチョークで仕留める等、以前からグランプリング大会にも精力的に出場して実績を出しているオマリーは、前戦から1年間、さらなるグラップリングの強化に多くの時間を割いてきたという。

何度ポジションを奪われようが極めさせず、試合を長引かせれば長引かせるだけ王者の集中力は下がり、必殺の左右のストレートが当たる可能性が上がるだろう。

またオマリーは、ステーリングがキャリア唯一のKO負けを喫した2017年のマルロン・モラエス戦についても言及し「モラエスがやったように、俺が奴を眠らせる姿をいつも頭に浮かべているよ」と語ってもいる。

スタンドでオマリーのプレッシャーを感じた王者が不用意にテイクダウンに行くようなことがあれば、モラエス戦のようにカウンターのハイキック、あるいはヒザを当てるチャンスが広がる。

昨年10月のTJディラショー戦の時のステーリングの公式計量時の様子

さらに──。

「アルジョは俺よりはるかにキツい減量をしているはずだ。だから脳から水分が抜けて一発で倒れるよ」とも語るオマリー。

王者に対してSNS上で「俺は今日すげえカロリーの高い美味い晩飯を食ったぜ。アンタはなにを食ったんだい?」、「俺は今日もたっぷり質の高い睡眠を摂ったぜ。アンタの睡眠はどうだい?」(※最近オマリーは、睡眠の専門家を雇ってその向上に努めている)とユーモラスな挑発を繰り出してもいる。

対するチャンピオンも、その投稿に対して「お前は寝ているんだな。俺は練習するんだ。違いが分かるか?」と気の利いたリプをしている。とまれ、当代最高のグラップラー✖ストライカー、クラシカルにして最先端の攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■UFC292対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[挑戦者]ショーン・オマリー(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者]アマンダ・レモス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<バンタム級/5分3R>
マーロン・ヴェラ(エクアドル)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ(米国)
デモン・ブラックシアー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
ブラッド・タヴァレス(米国)

<ミドル級/5分5R>
グレゴリー・ホドリゲス(ブラジル)
デニス・チュルリン(ロシア)

<TUF31ライト級決勝/5分3R>
カート・ホロボウ(米国)
オースティン・ホバート(米国)

<TUF31バンタム級決勝/5分3R>
コディ・ギブソン(豪州)
ブラッド・カトーナ(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート(米国)
アンドレ・ペトロスキー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー(米国)
ナタリア・シウバ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
マリーナ・モロズ(ウクライナ)
カリーニ・シウバ(ブラジル)

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【UFC292】UFC世界バンタム級級選手権=ステーリング✖オマリー、展望。絶対の組み力の前の拳の精度

【写真】135ポンドの世界の頂点は組と打が頭抜けたウェルラウンダー対決だ(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、ボストンのTDガーデンにてUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。王者ジャン・ウェイリーにアマンダ・レモスが挑戦する女子ストロー級タイトルマッチをコメインとするこの大会のメインは、王者アルジャメイン・ステーリングにショーン・オマリーが挑むバンタム級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

世界王者ステーリングは、5月に3年ぶりに復帰した元二階級王者ヘンリー・セフードとの大一番に臨み、お互いが裏をかき合う総力戦の末に2-1で競り勝って3度目の防衛に成功している。この3度連続防衛は、とかく移り変わりの激しいUFCバンタム級の史上最多記録だ。


対するオマリーは、17年のコンテンダーシリーズ2にて衝撃的なKO勝ちを収めてUFCとの契約を得た選手。その後も──薬物検査失格による2年のブランクを挟んだものの──順調にKO勝ちを重ねてボーナスの山を積み上げスターダムに駆け上がると、昨年10月のアブダビ大会において元王者ピョートル・ヤンとの大激闘を判定2-1で制し、今回のタイトル初挑戦権を得た。

実績で圧倒的に上回るのは、当然長期政権を樹立する王者ステーリングの方だ。が、人気では派手なKOを量産し弁も立つ優男=オマリーが大きく勝る。挑戦者もそのことを十分に認識しており、

「アルジョにとって俺との試合はリスキーだよな。俺を避けてフェザー級に上げて(同級絶対王者ヴォルカノフスキーとの)チャンプ・チャンプファイトに挑むという選択肢もあったはずだ。でもスーパースターである俺との試合は、(不人気王者の)アルジョにとってはビッグマネーを稼げる試合になる。だから奴はいかに危険だと分かっていても、俺との試合から逃げることはできなかったんだろうな」と、完全に上から目線で語っている。

そんな両者の試合だが、勝敗に関しては相性的に王者有利を指摘する声が大きい。その背景には、この試合が近年のタイトル戦では珍しいほど明確な「ストライカー✖グラップラー」の構図を描いていることがある。

ステーリングはMMA界最高峰のバック取り&コントロールの名手だ。昨年4月にヤン戦では2、3ラウンドに序盤にテイクダウンからバックの奪取に成功し、そのままラウンド終了まで圧倒的有利なポジションをキープしてみせた。また5月の前戦では、五輪金メダリストのセフードに対してもケージレスリングで五分以上に渡り合い、テイクダウンやバック奪取に成功している。

対するオマリーは、前戦でストライカーのヤンにテイクダウンやバックを取られる場面が何度も見られた。

そのたびに見事なガードワークや体捌きで脱出してみせていたが、もしステーリング相手に一度でもポジションを許してしまったら、そのままチョークを極められてしまうか、あるいはラウンド終了まで一方的にコントロールされる可能性が高い。

よって、この試合の最大の見所はその前の段階──つまり、オマリーがいかに王者に組み付かせずに打撃を当てるか、逆にステーリングがいかにオマリーの打撃をもらわずに組みつくかとなるだろう。

バンタム級では突出した身長&リーチ(180センチ&183センチ)を誇るオマリー。その長い間合いとスムーズなフットワーク、精妙なフェイントや体捌きを見て伝統派空手出身ではと思う者も多いだろうが、高校を中退して初めて習った格闘技がMMAだ。相手の出鼻に抜群のタイミングで蹴りやジャブを放って距離を保ち、またスイッチを自在に使いこなし左右どちらからも鋭い打撃を繰り出すことができる。

特に「無造作に」とでも言いたくなるほど肩の力が抜けた状態から放たれ、相手の顎を瞬時に撃ち抜く左右のストレートの威力は天下一品だ。

打撃格闘技のバックグラウンドなしに、かくなる打撃技術を習得しているのだから天賦の才に恵まれているとしか言いようがない。

「詳しいことは言えないけど、アルジョの穴はたくさん見えているよ。そして顎を打ち抜いてライツ・アウトしてやるさ。俺は今までもそうやってキャリアを築いてきたんだから」と挑戦者は自信を覗かせている。

が、王者ステーリングはただのグラップラーではない。スタンドで有効打をもらわないことにおいても──これまた天下一品だ。

前述のヤン戦やセフード戦では、常に相手から視線を外さずにスイッチを繰り返しては、やはり長いリーチ(180センチ)を活かした前蹴りや、軽いが予測困難な変則のヒジや手技足技で距離を保ち、強引に詰めて来られてもテイクダウンに入ることで、5Rにわたって見事に被弾を回避してみせた。

試合前は自信満々だったセフードも、試合後には「アルジョは頭をいつも振っていて、こちらが予想していたよりもはるかにパンチを当て辛かったよ」と、「ファンクマスター」の異名に相応しい王者の変則的な立ち技スタイルの手強さを認めている。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前7時00分~U-NEXT

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MMA MMAPLANET o UFC UFC290 アルジャメイン・ステーリング アレックス・ペレス アレックス・ヴォルカノフスキー アレッシャンドリ・パントージャ カイ・カラフランス ジャイー・ロドリゲス ティム・エリオット デイヴィソン・フィゲイレド ブランドン・モレノ ブランドン・ロイヴァル 佐々木憂流迦 扇久保博正

【UFC290】UFC世界フライ級選手権、展望。3度目の正直=モレノ✖2度あることは3度ある=パントージャ

【写真】この小憎らしい笑みが、板についてきた王者モレノ (C)Zuffa/UFC

8日(土・現地時間)ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、UFC 290が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

メインでは正規王者アレックス・ヴォルカノフスキーと暫定王者ジャイー・ロドリゲスによるフェザー級タイトル統一戦が行われるこの豪華大会のコメインは、王者ブランドン・モレノにアレッシャンドリ・パントージャが挑戦するフライ級タイトルマッチだ。


この両者は、揃って扇久保博正も参加した16年のTUF 24「Tournament of Champions」というMMA歴史上唯一にして無二の世界中のフィーダーショーから同階級の王者が集まり、生き残りと世界王座挑戦権を賭けて戦いが繰り広げられたシリーズに出演していた。

当時第1シード(=優勝候補筆頭)だったパントージャと第16シード(参加者中最下位)のモレノは初戦で激突し、予想をはるかに上回る大激闘の末、パントージャが2Rチョークで一本勝ちを収めている。

が、そのパントージャは次戦でカイ・カラフランスを倒すものの、準決勝では扇久保に2R3-0の判定負け。決勝で扇久保を破ったティム・エリオットがシーズン優勝を飾った。そして当時の絶対王者DJへの挑戦権を得たエリオットに加え、パントージャもカラフランスもパントージャもその後UFCとの契約を獲得。後者3人は現在UFCフライ級のトップに君臨している。

そう考えると、当時UFCが準優勝の扇久保に一度も本戦出場のチャンスを与えなかった仕打ちが、いかに格闘技の道理に反するものだったか──今更ながら実感できるというものだ。

とまれ、UFCで頭角を現した二人は2018年5月に再戦。この時もパントージャが判定3-0で完勝している。が、モレノはこの敗戦後に引き分けを一つ挟んで4連勝を記録し、2020年12月にはフライ級王者デイヴィソン・フィゲイレドへの挑戦を実現した。この試合は大激闘の末ドローに終わったが、翌年の再戦では3Rチョークで見事勝利、最軽量級の頂点に輝いたのだった。

その後モレノはフィゲイレドに惜敗して王座を明け渡すも、昨年の暫定王者戴冠を経て今年1月、元王者の地元リオにて4度目の対戦。4RTKOで勝利し、バンタム級転向を宣言をしたフィゲイレドとの名勝負数え歌に終止符を打ったのだった。

ちなみに王座防衛を果たした舞台裏でモレノを待っていたのが、ここのところ3連勝を記録しているパントージャだ。ハグする際に「次(の挑戦者)は君だね!」とモレノが言うと、「いつ、どこでだ?」とパントージャ。モレノが「まあ(挑戦を受けると)約束するよ」と返答すると、パントージャがさらに「だからいつやるんだ?」と迫り、モレノは「いやいや、今は分からないよブラザー」と苦笑。ここでモレノのセコンドが介入し「おいおい、試合直後の今は許してやってくれよ!」と笑顔でパントージャをなだめるという一幕が見られた。

そうして今回3度目の対決に至った両者だが、過去2戦はいずれもパントージャが完勝。5年以上前のことなので、「パントージャはまだブランドン・モレノのベストヴァージョンとは戦ったことがないのさ!」と持ち前の満面の笑みを見せるモレノだが、今回期するところは大きいだろう。

7年前の第1戦では、 1Rから大振りの右フックで強引に迫るパントージャに対して、コンパクトな打撃で主導権を握ったのはモレノの方だった。が、2Rに失速。なんとかテイクダウンを奪うものの、パントージャの強固なフレーム&ニーシールドの前に有効な攻撃ができずに終わったモレノは、逆にパントージャのテイクダウンへの反応が遅れてスプロウルに失敗。そのままバックを許しチョークで敗れた。

5年前の第2戦では、前回の勝者パントージャの方が優れたアジャストメントを発揮。前戦の1Rの荒く不用意な打撃とはうって変わって、モレノの動きをよく見て鋭いジャブやカウンターを当てて主導権を握ると、倒れながらハイをかわしたモレノの上になり、強烈なパウンドからバックを奪取。さらに強烈なパウンドを入れて圧倒的優勢に1ラウンドを終えると、以後も鋭いジャブとカウンターを駆使してモレノを寄せ付けずに完勝した。

この2試合ともパントージャのバックテイクが決定打となったことを考えると、今回の試合の焦点の一つが、バックポジションをめぐる攻防であるのは間違い無いだろう。実際、過去に在籍していたノヴァウニオン・スペシャルともいえるバック奪取とそこからの絞めはパントージャの無二の必殺技で、UFCでも2018年11月の佐々木憂流迦戦や、直近のブランドン・ロイヴァル戦アレックス・ペレス戦でもこれで仕留めている。

佐々木戦では下からインヴァーテッドガードのように回転し、股下をくぐってバックに回るという現代柔術的な動きも見せたパントージャは、UFCでは一階級上の王者アルジャメイン・ステーリングと並ぶバック取りの名手であり、さらに下になっても強固なフレーム&シールドですぐに距離を作り立ち上がる卓越した柔術流スクランブル力の持ち主だ。ピュアレスリングでは上を行くと思われるモレノが、パントージャをグラウンドでいかにコントロールし、バックを許さないかはこの試合の大きな鍵となりそうだ。

とはいえ現在のモレノの打撃技術の洗練度は当時とはまるで別人だ。顔面もボディもしっかりガードした構えから、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃を放つ現在のモレノが、第2戦で猛威を振るったパントージャの鋭いジャブをどう切り崩すか、そして時にパントージャが見せる強引なラッシュにいかに対応するかもまた、この試合の見所だろう。そこでモレノがカウンターのテイクダウンを合わせた時には、上述のように興味深い組技の攻防が展開されることになる。

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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【UFC FPI04】魂の耐久戦を戦ったスミスがテイシェイラと再戦。NCAAを2度制したブラボーヤングも注目!!

【写真】こんな攻防は絶対にない。ではどのような我慢合戦が見られるのだろうか (C)Zuffa/UFC

29日(木・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC FPI04。フィリッピ・ペナ✖クレイグ・ジョーンズのメインを筆頭に$3万が懸かった無差別級Tなど、世界のトップグラップラー&新鋭が集結する同大会では、MMA色の強いワンマッチも組まれている。

それがコメインで組まれたグローバー・テイシェイラ✖アンソニー・スミスのヘビー級マッチとフェザー級のローマン・ブラボーヤング✖アレックス・ペレスの2試合だ。


2020年5月、まだ未知の病原菌としてコロナの脅威が全世界を襲っていた頃にテイシェイラとスミスはUFN171──活動再開第2弾──のメインで戦っている。序盤の拮抗した勝負から3R以降はテイシェイラが、スミスをコントロールし徹底的にパウンドで痛めつけ、辛くも2つのラウンドはサバイブしたスミスが遂には最終回に仕留められている。

とはいってもスミスの粘りは驚異的でしかなく、今回は3年の時を経てグラップリングで両者が再び相対する。

ヘビーパンチャーのテイシェイラだが、柔術も黒帯で組み技競技の出場でいえば時を14年も遡るが、2009年のADCCブラジル予選で優勝し、同年にバルセロナで開かれた世界大会にも出場している。ばかりか、99キロ級で4位に輝いている。

続く2011年度の挑戦はブラジル予選で準優勝に終わり、2019年末のQuintet UltraまでテイシェイラはMMAに専念してきた。その後2021年10月にはUFCヘビー級王座となっていることは、周知の事実だ。元世界王者テイシェイラのグラップリング力は、スミスを上回ると予想される。とはいってもキャリア36勝(※18敗)のうち、14勝が一本勝ち(※KO勝ちは20度)のスミスも、極め力は相当なモノがある。

膠着無用、スタンド回避のサブオンリー・ルールでは、当日のコンディションも大いに勝敗を左右するものだが、5分3R制でなく、インターバルがないことも勝敗の鍵となるに違いない。43歳のテイシェイラを34歳のスミスが動かす試合となれば、マット上でのリベンジも大いにあり得るだろう。

またフェザー級戦ではフライ級タイトルコンテンダーのペレスが、ペンシルバニア州立大時代にNCAA D1を2度制したブラボーヤングの初のグラップリング戦(現地では初の柔術マッチと喧伝されている)の相手を務める。

レスリングベースのペレスは、ジヴァ・サンタナに長年に渡り柔術の手解きも受けており、サブミッション・レスラーとしての側面も持つ。対してブラボーヤングは大学を卒業後、フリースタイルでパリ五輪を目指す立場でありながら、レスリングのキャリアを全うした後にはMMA転向を既に宣言している。

このブラボーヤング、2020年の12月にアルジャメイン・ステーリングと6分間のフリースタイルレスリングの後、3分間のグラップリングというガチのエキシビションマッチを経験。レスリングでは6-4でリードし、グラップリングではRNCで敗れている。

いずれケージに足を踏み入れるであろうブラボーヤングは133ポンドでNCAAを制しており、ペレスはフライ級ファイターということを考えると、フェザー級契約はフィジカル的にはブラボーヤングが優位という見方も成り立とう。

レスラーとしてはフットワークを駆使し、シングルレッグやアンクルピックなどに強味を発揮するブラボーヤングは、ドミニク・クルーズともトレーニングもしてようだが、如何にペレスの柔術的な動きを断ち切ることができるのか──焦点はズバリこの一点に掛かってくる。つまりは、ペレスが引き込む可能性は十分にある対戦だ。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC FPI04対戦カード

<ヘビー級/20分1R>
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

<ヘビー級/10分1R>
グローバー・テイシェイラ(ブライジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ヘビー級/10分1R>
ニコラス・マレガリ(ブラジル)
ホベルト・サイボーグ・アブレウ(ブラジル)

<フェザー級/10分1R>
ローマン・ブラボーヤング(米国)
アレックス・ペレス(米国)

<140ポンド契約/10分1R>
ヘレナ・クレヴァー(米国)
エミリー・フェルナンデス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ロベルト・ヒメネス(米国)
ニック・ロドリゲス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ハイサム・リダ(ガーナ)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ダン・マナスー(米国)

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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MMA MMAPLANET o UFC UFC288 アルジャメイン・ステーリング キック ショーン・オマリー ヘンリー・セフード ボクシング

【UFC288】五感&五体を駆使したチェスゲームは、ステーリングに軍配。セフードからスプリット判定勝ち

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
アルジャメイン・ステーリング(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ヘンリー・セフード(米国)

前に出るステーリングが右ハイを蹴る。さらに左ローから左ハイを繰り出し、セフードは見る展開に。左右に動き、右を伸ばしたセフードに対し、構えを変えて前に出るステーリングがヒザ蹴りへ。蹴り足を掴み、ボディロックに移行したセフードが簡単にテイクダウンを奪う。バタフライガードのステーリングは、セフードの腰を浮かしてレッスルアップへ。シングルを許さずにセフードががぶると、3/4ネルソン&エルボー。立ち上がって離れ両者、パンチの応酬からステーリングの蹴り足を掴んだセフードの右は空振りに。

ここから組み合いとなり、セフードがケージに押し込む。体を入れかえ、ダブル狙いのステーリングを切ってがぶったセフードだが、スイッチ狙いからステーリングが左腕を差してケージに押し込む。前方に下してバックに回ったステーリングが、ヒザを腿やワキ腹に入れ、小外刈りでテイクダウンで倒してバックを取る。ヒザ&ヒジを打ったステーリングが初回をリードした。

2R、まず右カーフを蹴ったセフードに対し、前に出るステーリングがカーフを返す。セフードの右は届かず、逆にステーリングが左を入れる。一瞬のクリンチアッパーもステーリングが間合いを外し、セフードの右ハイが頭部をかすめる。ステーリングは前蹴り、シングルを切って離れる。左フックを見せたセフードだが、ステーリングが蹴りを多用し詰めることはできない。それでもステーリングのダブルレッグも遠く、動じることなく立ち続けるセフードの圧が上回って来る。

ステーリングの右をかわし、バックを伺ったセフードは、ここに固執せず真正面に立つとカーフからパンチを狙う。ボディを殴ったステーリングは下がり、回る場面が増えてきた。セフードは逆にジャブを貰っても前に出て、スピニングバックエルボーをかわす。右オーバーハンドをダック気味にかわしたステーリング、そこにセフードが右ハイを狙う。ニータップからパンチにつなぐセフードに対し、ステーリングが右ロー。セフードがローを返し右を当てると、シングルをかわしてスクランブルからがぶって時間に。

3R、左ミドル、ローと蹴りを使うステーリングに対し、セフードが右ミドルを蹴り、右を当てて跳びヒザへ。ステーリングのテイクダウン狙いをがぶったセフードは、リリースして立ちの間合いに戻る。すぐにシングルを仕掛けても、切られたステーリングがヒザをボディに被弾する。それでも組んでボディロックに入ったステーリングは、ここの逆にケージに押し込まれてしまう。

ケージ際でポジションを2度、3度と入れ替えステーリングが小外で姿勢を乱させ、起き上ってきたセフードのボディにヒザを突き刺す。しっかりと左腕を差しいれ、ここからダブルレッグ、さらにボディロックに転じたステーリングだが、回ったセフードが離れる。セフードは組んでくるステーリングに右を当て、シングルレッグはスプロール。ステーリングもバックに回らせないが、ここもセフードががぶってリリース、胸をマットにつけているステーリングが立ち上がるをまっている。ステーリングはパンチから組んでヒザ蹴り、ここでセフードがボディロック&大内刈りでテイクダウンを決め、ガードの中からパンチを繰り出してラウンド終了を迎えた。

4R、右カーフを3発蹴ったステーリング。さらに右カーフを見せると、セフードも右ローを返す。足を使い左右に回るステーリングが左ミドル、セフードは左ボディフックを振るう。シングルのフェイクに続き、右を狙ったステーリングが左ヒジを見せる。セフードは右を振るって前に出て、組み狙いにヒザを突き刺す。

トリッキーなステーリングに対して、セフードは王道の圧を掛けて組むというファイトでケージに押し込む。押し返され離れたセフードだが、圧を掛けてテイクダウン狙いを切る。懸命に動いて仕掛けるステーリングは、組んでヒザをボディに入れる。離れては左ジャブのステーリングが、やや動きが落ちてきたように見えるセフードに右を当てる。

セフードはここで組むと、押し返してきたところでスナップダウン、さらにシングルにクレイドルで対抗する。ここでステーリングが起き上り、ダブルレッグからリバーサル。右足を両足で挟み、勢いのあるパンチを見舞ってラウンドを取った。

最終回、セフードが圧を掛けステーリングが右ハイを蹴る。左右に動くステーリングが左ミドル、セフードの左は届かない。正面に立ったステーリングに対し、セフードが右ミドルを蹴り、右をかわす。パンチからテイクダウン狙いという動きのステーリングだが、右の蹴りで上体を伸ばされる。と、ステーリングがスピニングバックキックも当たりは浅い。さらにテイクダウン狙いから右を当て、直後に左をヒットさせる。

セフードも左も返し、シングルレッグから右を打ちこむ。ステーリングの動きの多さに、惑わされそうになりながら前に出て圧を掛けることで、流されなかったセフードはダブルレッグをスプロール、ウィザーで止めて離れる。ここでヒザ蹴りを決めたセフードは、クリンチでケージに押し込まれてヒザを受けるが、離れて圧をかけなすとシングルレッグからレッグリフト、そのまま押し込んでテイクダウンを奪う。

スクランブルでバックに回ったセフードは、ステーリングがスピニングバックエルボーを放ったタイミングで正対すると、ダーティボクシングでパンチを入れた時間を迎えた。

1Rと4Rはステーリング、2R、3R、5Rはセフードか。この接戦ではジャッジがどう判断するかは、もう主観でしかない。結果、スプリット判定でステーリングが王座防衛に成功した。

次期挑戦者としてショーン・オマリーがオクタゴンインし、ステーリングと罵り合いを始める。それでも会場のファンは、裁定結果に不満を持っているようで──その空気を両者のフェイスオフでも払拭することはできず、セフードがマイクを握ると大きな声援が送られた。


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【ONE FN10】モライシュと決着戦。デメトリウス・ジョンソン「試合が終れば、直に日が沈む時を迎える」

【写真】今回の試合が最後になる空気を漂わせていたDJは 「Covid19のおかげで、ONEが日本大会から遠ざかってしまった。日本はいつだって最高に訪れたい、そして戦いたい国。ファンの皆もそうだし、スシ、うどんヌードル、ヤキニク、何もかも恋しい。日本をまた訪れたい。この試合が終われば、今後のことを決める。ただ、ONEが日本大会を開くなら日本に行って新宿を楽しみたい」と言っていた (C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、コロラド州ブルームフィールドの1stバンク・センターで開催されるONE FN10「Johnson vs Moraes 3」。同大会のメインでONE世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンが、アドリアーノ・モライシュと3度目の世界戦を戦う。

2021年4月の第1戦はモライシュがTKO勝ち。昨年8月の再戦はDJがヒザでリベンジした。決着戦はONE米国初大会のメインで組まれた。計量方法、階級、ルールと北米MMAとは一線を画すONEの上陸が、どのような影響を与えるのか──をDJにモライシュとの3度目の試合、今や練習仲間のヘンリー・セフード✖アルジャメイン・ステーリング戦の行方とともに語ってもらった。


──ONEにとって初の米国大会でヘッドライナーを務めます。試合まで約3週間、今の気持ちは?(※取材は4月14日に行われた)。

「最高だよ。体調も体重もバッチリだ。あと4日、ワシントン州にいてコロラドに向かう。コロラドの標高に体を合わせる必要があるからね。またフィニッシュするために。

WECのときにニック・ペースとデンバーで戦ったことがあるんだけど(※2010年9月30日)、あの時は違和感はなかった。でも今回は2週間前に入ることにしたんだ。36歳になり、18年間戦ってきて……今も最高のレベルで戦うのだから、それぐらいの準備期間を設けようと思った」

──ONEの米国デビューに、母国のファンの期待が高まっている空気を感じますか。

「期待しているかどうか分からないけど、エキサイトしている様子は伝わってくる。でも米国にはUFC、PFL、Bellatorがあるし、LFAやCFFCや僕が覚えていないショーもたくさんある。そんな状況でONEがUSデビューを飾るわけだからファンも喜んではいても、期待をしているというのとは違うかと思う」

──開催地のブルームフィールドは、UFCが第1回大会を開いたデンバーの郊外。何か運命的なモノを感じないですか。

「ノー。そんなこと考えたこともなかった。コロラドで試合だと言われ、ただ了解しただけだから」

──ではONEのMMAルールセットや計量システムは、北米の他のショーに影響を与えることになるでしょうか。

「ノー。計量方法ってカルチャーなんだよ。米国ではMMAだけでなくボクシング、レスリング、キックボクシング、ムエタイ、柔術が行われており、このONEの素晴らしい計量方法を取り入れているところは一つもない。そして何級で戦うかは、選手が決めることだ。誰かの指図を受けて、その階級で戦っているわけじゃない。

対して計量方法は選手が選ぶものでなく、団体がチョイスしている。僕はONEのやり方が気にいっているし、ハイドレーションがあるなかで適した階級で戦っていく。でも米国は米国の減量文化があるから、このシステムが広まることはないだろう」

──なるほど、です。ではルールの方はどうでしょうか? ヒザ蹴りがグラウンドで認められているのは危険にも感じますが、フェアでもあるように思います。そしてファンはデンジャラスな攻撃を好むのではないでしょうか。

「そこに関して……僕はアドリアーノとの初戦で受けたヒザ蹴りで反則勝ちにならないのかという説明を、何度も米国でしないといけなかった。皆、UFCやBellatorで北米ユニファイドのルールの試合を見慣れているからね。う~ん、どうだろうね。ファンはこれまでもPRIDEやDREAM、今はRIZINでサッカーボールキックも見ている。でも米国のプロモーションは、どこもこのルールを採用していない。まぁ、将来的にどうなるのかは様子を見る必要があるだろうね。とにかく僕に必要なのは、このルールに合わせた戦いをすることだけだから」

──ONEとしては特色としてアピールはできるかと。

「う~ん、そこも思わないなぁ。僕はただ合わせて戦うことしか考えていないから。僕らは米国で拳銃の出回っているなかで生活をしている。そこに関して目の前のある状況に合わせているだけで。それと同じことなんだよ。寝技でヒザ蹴りを認めた州は本当にわずかだ。コロラドとジョージアだけじゃないかな。だから米国のファンは、その攻撃を見ると『なんだ? 反則だろ?』ってなるだけで。

だから、そういう攻撃が認められているということは伝えても、そこをPRがプッシュすることはないはずだ。彼らがやるべきはMMAだけでなくキックボクシング、ムエタイ、サブミッショングラップリングというマーシャルアーツが一同に会しているのがONEという大会をアピールすることだから。

グラップリングより柔術が好きだという人もいるし、昨夜、実際に『試合を見るなら柔術やグラップリングよりもムエタイの方が好きだ』という人がいた。僕は『じゃあMMAのなかで組み技を見るのは?』って彼に尋ねたんだ。すると『パンチやキックがあるなら良いよ』って言うんだよ。『そこで使われる技術は、MMAもサブミッショングラップリンも変わりはないよ』と説明したよ。そして、ONEなら全てを一度に見ることができるからってね」

──それがONEのエンターテイメント性でしょうか。

「う~ん、エンターテイメント性というよりも、スポーツ性が強調されていると思う。もし、そのエンターテイメント性がWWEのような方向性にあるなら、僕はエンターテイナーじゃない。それは2人の人間が、人々を煽って一つの完成された世界観を提供するショーだから。僕はONEだけでなく他の団体の試合もスポーツとして見ている。そう、エンターテイメントよりスポーツだ。NFLやNBAを見ている時もそうだ。僕個人としては、そういう風に見ているよ」

──キック、ムエタイ、グラップリング、そしてMMAが一つのパッケージになっていることでONEのエンターテイメント性は上がっているのかと思った次第です。球技ならバレーボール、バスケットボール、テニスや卓球の試合を1枚のチケットで観戦できるのは。

「なるほど、そういう観点なら立派なエンターテイメントだ。ショーのパート、パートで楽しむ人もいるだろう。ただ僕に関しては、サブミッショングラップリングが好きな人、立ち技が好きな人にも楽しんでもらえるフルパッケージのMMAを皆に見てもらう。それこそが、ONEが僕に望んでいるマーシャルアーツだと思っている。パーティーのメニューなら、誰もが食べられる食事でありたい。それが僕の役目だからね」

──では3度目の対戦となるアドリアーノ・モライシュのことをMMAファイターとして、どのように評価していますか。

「ONE、アジアで戦ってきたから米国のファンには知られていないけど、本当に良い選手だよ。レンジ、背の高さはこの階級で頭抜けている」

──前回の対戦から、DJはどのあたりが成長していると感じていますか。

「2度戦い、僕が良い動きをした時、彼は不完全で。彼が良い動きをした時は、僕が不完全だった。試合に勝って、ファミリーと時間を過ごし、また試合が決まるとアリゾナに行ってヘンリー・セフードと話し、練習をしてきた。互いの知識を交換し、クリンチゲームでは僕の知識がヘンリーのアルジャメイン・ステーリング戦に役立てば良い。そして僕のレスリングゲームは、ヘンリーのアドバイスが絶対的に生きてくる。

それからワシントン州に戻り、道着を着たブラジリアン柔術をマスターとやり、マット(ヒューム)と練習を続けてきた。当然、成長している。前回の試合から7カ月、この期間で目に見えて成長するということはちょっと困難だ。でも、この7カ月間が僕にとって戦略を実行するうえでの一部となっている。だから……う~ん、ここではそれほど話せない部分だし……試合で見せたいと思う。僕が強くなっていることを」

──DJには大切な試合が控えているなかで、このような質問をすることを許してください。セフード✖アルジャメイン戦は、どのような結末を予測していますか。

「とにかく楽しみにしている。最初はアルジャメイン・ステーリングが、どういうアプローチでヘンリーと相対するのかを楽しみにしていた。ただ一緒に練習し、ヘンリーのケツを叩いてきた。だからベストバージョンのヘンリー・セフードが見られることを楽しみにするようになった。本当にヘンリー・セフードは知性的なファイターなんだ。

ヘンリーがフィニッシュできると思っているけど、絶対にハードな時間も過ごすことになるだろう。きっと、それだけの練習をアルジャメイン・ステーリングもやってきたはずだ。うん、どうなるのか──そこは試合を見てみないと分からないね」

──DJ✖ミキーニョ、セフード✖アルジャメインと連夜で視られるファンは、エキサイティングかつファイトIQの高いファイトが堪能できますね。

「そうなってくれれば嬉しいよ(笑)。でも、MMAファンならエキサイトしてほしい。僕とアドリアーノ、ヘンリー・セフードとアルジャメインの試合が続くことに。僕もヘンリーも年を重ね、36歳になった。家庭もある。僕らはこの試合が終れば、直に日が沈む時を迎える。そうだね、金曜日に自分の試合が終わると、土曜日は僕もしっかりとヘンリー・セフードの試合を見たいと思っている。ファンの皆もそうしてほしいね」

■放送予定
5月6日(土・日本時間)
午前8時00分~ABEMA格闘チャンネル

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【UFC288】フォークスタイル=ステーリング✖フリースタイル=セフード戦展望─02─、間と圧

【写真】凄まじいフィジカルの持ち主同士、戦い方&思考はセフード=剛✖アルジャメイン=柔 という見方も成り立たないわけではない(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークにあるプルデンシャル・センターにてUFC 288「Sterling vs Cejudo」が開催され、メインでUFC世界バンタム級王者アルジャメイン・ステーリングにトリプルCこと元UFCフライ&バンタム級王者のヘンリー・セフードが挑む。
Text by Isamu Horiuchi

両者の1年に渡る伏線から、試合直前の舌戦を経て世界最高峰の座を争うのに相応しい技術的な側面を考察したい。

<アルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフード考察Part.01はコチラから>


ESPNでのZOOM共同インタビューはセフードとステーリングが自らのファイトを論題とし、ディベートと化し熱を帯びていった。

セフードが「お前の戦い方など分かる。前に出てきて前蹴りを放ち、えらい遠くからテイクダウンを狙ってくるんだろ。ラテラルムーブメント(横の動き)も使いながらな。俺はお見通しだ。お前など及びもつかない高いファイトIQがあるからな!」と先陣を切る。

(C)Zuffa/UFC

対してチャンピオンも「俺に別のプランがないと思っているのか?

俺は試合中に戦い方を変えることができるんだ。あんた自分を過大評価しすぎなんだよ。一人でイージー・ファイトだと思っているがいい。あんたは試合が始まった瞬間、自分はバカだったと気づくんだ。マイティマウス(DJ)があんたにやったのと同じことをやってやるからな。柔術で極めるのではなく、ぶっ倒してやる」と言葉を返す。

このような舌戦を展開し試合を盛り上げつつも、両者とも試合に向けての準備は抜かりない。セフードは復帰に向けて地元アリゾナでフィジカルから栄養、そして打倒ステーリングに必要な各能力を段階的に築き上げる綿密なファイトキャンプを計画&実行。

さらにかつての宿敵DJ(以前セフードは、ONE にてアドリアーノ・モラエシュ戦を控えたDJの練習を手伝った)もアリゾナに招き、さらなる技術の習得にも余念がないようだ。

(C)Zuffa/UFC

対するステーリングも、地元ロングアイランドで順調に調整を進めている。

セフードがDJと練習していると聞くと「俺はマイティ・マウス(DJ)の何倍も力が強いぜ」一笑に付した現王者は、こちらも軽量級のレジェンドであるドミニク・クルーズと練習。自分の戦いに役立つアドバイスを得ることができたと満足げだ。

さらにコロンビア大学のレスリング部(NCAA D1)に出向き、ヘッドコーチにして、かつてセフードと一緒にオリンピック・トレーニングセンターで一緒だったザック・タネーリ氏とも練習するなど、着々とセフード対策を進めている。トレーニングパートナーとして、セフードと似た体格のトップランカーのドゥヴァリシビリがいることも大きな利点だろう。

最後に、この両者の攻防における注目点をいくつか挙げてみたい。

まずはなんと言っても、スタンドの主導権をどちらが取るか。レスリングをバックグラウンドに持つ両者だが、MMAの最高峰に上り詰めることができたのは、高度な打撃技術を併せ持つからこそ。そして二人の打撃スタイルはきわめて対照的だ。

(C)Zuffa/UFC

殺傷力で大きく勝るのはセフードだ。

リーチは163センチと短いものの、松濤館空手を取り入れた遠い間合いのコントロールに長け、そこから素早くステップインしての右は一撃必殺の威力を持つ。踏み込んでのローも強烈だ。クルーズ戦では変幻自在のステップに幻惑されることもなく、ローを当て立ちの攻防を制していった。

(C)Zuffa/UFC

が、ステーリングはセフードの攻めを無効化するのに適した戦い方を持つ。

180センチという長いリーチを活かし、蹴りを多用して距離を取ることに巧みな現王者。左右の立ち方を自在に使い分け、テイクダウンのフェイントも交えながら、相手が距離を詰めようとするその出鼻にノーモーションの左右ジャブ、前手でのヒジ、スピニングエルボー等多彩な打撃を先に当てては横に動く。「ファンクマスター」の異名の通り、まさにファンキーにして変則的なスタイルだ。

「そんなお前の戦い方などお見通しだ」と語ったセフードは、いかにステーリングの手数を突破して間合いを詰め、強打を打ち込むつもりなのか。逆にステーリングはセフードの侵攻を止め続けることができるのか。

両者とも弱点らしきものがないわけではない。ステーリングはペドロ・ムニョス戦後に「俺の足はクソ細いから奴のローは効いたぜ」と認めたことがあった。逆にセフードはDJとの第1戦ではボディへのヒザで倒されており、今回ステーリングは「腹が奴を攻略する鍵になる。酒ばかり飲んでいた肝臓をテストしてやるよ」と語っている。いかに自分の弱点を守りつつ相手のそれを突くか、ともに自負するファイトIQの高さが問われるところだ。

この立ち技の攻防に加わる重要なピースが、テイクダウンを起点とするレスリングの攻防だ。寝技に絶対の自信を持つステーリングは「奴は俺とレッスルしたがらず、打撃で戦いたがるだろう」と予測するが、同時に「奴が(強打を狙って)間合いを詰めてきた時は、俺が組み付ける距離になるってことだよ」と、試合を組みに持ち込む自信を覗かせている。が、セフードは言わずと知れた金メダリスト。これまでMMAの試合でテイクダウンされたことはない。「あんたの体を浮かせてやる」というステーリングの予言は本当に成就するのか。

そのステーリングの最大の武器はバックコントロール&チョーク。別にセフードを倒して背中を付けさせる必要はなく、流れの中でバックを奪えば目的達成だ。「奴はフリースタイルレスラー。俺はフォークスタイルレスラー。この違いは大きいよ」と語るステーリングのレスリングが、MMAにおいて金メダリストを凌駕する場面は見られるか。

またステーリングが認めていたように、セフードが得意の大内刈りを決めて上になる場面も想像できる。もしそうなれば、寝技においても異なるスタイルによる興味深いせめぎ合いが見られるだろう。

(C)Zuffa/UFC

セフードのグラウンド&トップでの武器は圧とパウンドだ。

カレッジに進まず、フリースタイルに特化し五輪センターでの日々を送って金メダリストとなったセフードは、このレスリングをDJとの第2戦で駆使して僅差の判定をものにした。今回の練習メニューでもグラウンド&パウンドを重点的に組み込んでいる模様だ。

一方ステーリングの寝技は、フォークスタイル独特のボディクラッチのないコントールに最先端のノーギ・グラップリングの影響をより強く受けたもの。ジョン・ダナハーの弟子にして世界最高峰のテクニシャンの一人として呼び声高いジェイソン・ラウの指導を受けるステーリングは、「もし俺をテイクダウンしても、俺のガードの中で苦労するのは奴の方だ」と語る。

(C)Zuffa/UFC

予告した三角絞めの他にも、足関節やさまざまな下から崩し、スクランブルに持ち込む形を持っているだろう。

それがセフードの強力きわまるトップコントロールに通用するのか。

そしてステーリングは、一度上になれば無類の強さを誇る。相手のガードの中にステイすることなく、まず腰を制してから上半身のコントロールに移行してポジションを進めるきわめて現代的なパスガードの使い手であり、スクランブルを試みた相手からバックを奪いチョークにつなげる流れは天下一品だ。もし下になった時、驚異のフィジカルを持つセフードがどう対処するかも興味深い。

打撃、レスリング、グラップリングとどの局面においても、全く異なるスタイルをきわめて高いレベルで実践する両者の頂上決戦。3年間不在だったセフードに人気と知名度で遅れを取り、試合前の舌戦でも押され気味の印象が否めないステーリングは、ハードワークを重ね戦績を積み上げてきた現役王者の意地を見せることはできるのか。それとも傲慢不遜なるセフードが、ブランクをものともせずに現王者を凌駕し、改めてその天才ぶりとファイトIQの高さを見せつけ、前人未到の3階級制覇&4冠王に王手をかけるのか。

世界最高峰のMMAの攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
5月7日(日)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

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【UFC288】UFC世界バンタム級選手権試合=ステーリング✖セフード展望─01─、プロローグ&前哨舌戦

【写真】トリプルCからクアドラプルCを狙うことを公言したセフードと現王者のアルジャメイン。話術も優れた両者(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークにあるプルデンシャル・センターにてUFC 288「Sterling vs Cejudo」が開催される。
Text by Isamu Horiuchi

クロン・グレイシーが約3年半ぶりに復帰し、シャルル・ジョーデインと戦うなど興味深いカードが揃った今大会だが、最注目はやはりメインイベントのUFCバンタム級タイトルマッチ、王者アルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフードだ。


今回3度目の防衛戦を迎えるステーリングだが、もともとこの王座は3年前、当時圧倒的な強さを誇っていたセフードが引退発表と共に返上したものだ。

2008年北京五輪フリースタイルレスリング55キロ級金メダリストのセフードがMMAの頂点に立ったのは、2018年8月のこと。一度は完敗を喫したフライ級絶対王者デミトリウス・ジョンソンに再挑戦し、判定2-1で接戦を制して世界を驚かせたのだ。

続く翌年1月には、あえて階級を落として挑んできたバンタム級王者TJ・ディラショーと王者同士の決戦へ。このスーパーファイトも1R0分32秒KOで制したセフードは、軽量級最強の座を不動のものとした。

その後、禁止薬物EPOの使用が発覚したディラショーがバンタム級王座を返上すると、7月にセフードはマルロン・モラエスとのバンタム王座決定戦に臨む。2Rに打撃で圧をかけ主導権を奪うと、3Rにヒザでダメージを与えるや上を取って強烈な鉄槌を連打してTKO勝利。この勝利を受けてセフードは、「俺はただのチャンプ・チャンプ(二冠王)ではない。我こそはTriple C(トリプルチャンプ=五輪金+UFC二階級制覇)。歴史上最も偉大な格闘家だ!」と勝ち誇った。

続く2020年5月、セフードは元王者ドミニク・クルーズとバンタム級王座の初防衛戦に。序盤から打撃戦で主導権を握り、2Rにカウンターの右ヒザをヒット。さらに追撃を加えてTKOに下した。そして直後の勝利者インタビューにてセフードは、もう全て達成し尽くしたと引退を宣言。世界を獲ったレスラーが打撃でMMAの頂点に君臨するという、恐るべき戦いの才の底を見せぬままベルトを返上し、オクタゴンを去ったのだった。

空位となったバンタム級王座は、7月の決定戦でジョゼ・アルドを下したピョートル・ヤンが獲得。2021年3月にこのヤンに挑んだのがステーリングだが、体重調整の失敗が原因で中盤から失速してしまう。しかし4R、片ヒザをマットに付けたステーリングの顔面にヤンが膝を当ててしまい、ステーリングが試合続行不可能となりヤンは反則失格に。新王者となったステーリングは敗色濃厚の展開で最後は打ちのめされるという──なんとも嬉しくない戴冠となってしまった。

昨年4月にステーリングはヤンと再戦。2、3Rに見事なテイクダウンからバックを奪って完全にコントロールすると、4、5Rはヤンの猛追をかわしきって判定2-1で勝利──王者に相応しい実力を証明しての初防衛だった。

続く10月には、元王者TJ・ディラショーと2度目の防衛戦を戦う。ステーリングは1Rに肩を脱臼して片腕で戦う挑戦者をテイクダウンして一方的に攻め込むと、2Rにマウントパンチを連打して圧勝した。

そんな世界の頂点に君臨する王者ステーリングに、セフードが復帰第一戦でいきなりタイトル挑戦する形となった。

実は両者の対戦の機運は、セフードが昨年4月に復帰を宣言し、USADA(米国アンチドーピング機構)の検査選手リストに再加入した直後から作られていた。この時期にヤンとの2戦目を制してバンタム級王者の座を不動のものとしたステーリングは、ダニエル・コーミエーのYoutubeチャンネルの企画でアリゾナ州にあるセフードの自宅を訪問。コーミエを司会役にして机に向き合った両者は、来るべき対戦について語り合ったのだった。

「引退後、ジョン・ジョーンズやデイヴィドソン・フィゲレード等をコーチすることを通してMMAの見方が断然変わったよ。以前よりはるかに深い理解を得て賢くなった。そして今でも戦う力があると分かっているから戻ってきたんだ」と話すセフードは、現王者を目の前にしてコーミエに「この男が王者となるなんて思っていなかったよ。あまりにも多くの欠点があるからね。俺と戦うことになればそこが露呈するさ。こいつとの試合は俺にはイージーマネーだな!」と言い放つ。

さらにステーリングに向かって「お前は力は持っているよ。特に長い手足は最大の長所だ。でもお前はまだ自分の能力の全てを理解してはいない。そこを理解して、単なるファイターではくコンペティターとして上達すれば、もっと危険な選手になるだろうがね。まあ怒らず聞けって、俺様が褒めてやっているんだから」と言い放つと、さらに「お前は俺をKOする力を持ってはいる。その長い手足を使ってな。特にヒザだ。それがお前が俺を倒す一番の可能性だろうが、俺は賢いからそんなことさせるわけはない。俺はコンペティターとして誰よりも優れているんだ」と上から目線&余裕の表情で現役王者を論評した。

当然ステーリングも言われっぱなしでは終わらない。「俺はいつもそうやって負けると言われてきたけど、試合でそういう奴らを黙らせてきた。それこそ俺の生きがいだ。ファイトじゃなくコンピートする必要があるというのは同意だが、その点でもあんたを上回るさ」と反論をスタートさせると、「俺はレスリングでもあんたと渡り合える。ダブルアンダーフックを取ればあんたの体を浮かせることができるし、たとえあんたが得意のインサイドトリップ(大内刈り)で俺をテイクダウンしたとしても、すぐに三角絞めに捕らえてやるよ。俺はまだ自分の戦い方の半分も見せていない」と言葉を続けた。

こうしてSNS時代ならではの手法を用いて、現王者と元王者は将来の対戦の布石を打ったのだった。そしてステーリングが昨年10月にディラショーを倒して王座防衛に成功した後、両者の試合は正式に決定した。

そして──試合を約1カ月後に控えた3月末、再びコーミエの司会のもと、両者はESPNが企画するZOOM会議で論戦を交わすこととなる。

予定の時間にやや遅れて入室したセフードは、ステーリングが遅刻に不快感を表していると聞き「まあ本物のキングは自分のやりたいように行動するってことだ!  アルジョよ、キングの前にひざまづく準備はできているか? ダニエル、こいつはいつも俺から逃げているんだ。今回も直前で逃げ出すかもしれないから、UFCはこいつのボーイフレンドのマラブ(・デカリシビリ。ステーリングの同門にしてバンタム級トップランカー)を代役に用意しておいた方がいいだろうな!」と傲慢キャラクターを全開に。

さらに「俺が復帰する理由は、フェザー級のベルトを取るためだよ。その前にバンタム級王者であるこいつを倒し、その後ショーン・オマリーも倒してから、(アレックス)ヴォルカノフスキーと戦う。こいつらは俺にとっては単なる踏み台に過ぎないな! お前は(ヤン初戦で)アカデミー賞並の演技でタイトルを獲得しただけだ。次の試合はジャッジの間違いだ。その次のTJなど、俺が32秒で倒した男だ。奴がEPO(禁止薬物)を使ってきたにもかかわらずだ。そんな野郎が片腕だけで戦っていたのに、お前は倒すのに2Rもかかったんだ」と、ステーリングが苦闘の末に掴み取った栄光の軌跡まで侮辱し続ける。

さらに「アルジョよ、次の試合でお前は死ぬのだぁ! WHOO!」とリック・フレアーの物真似まで繰り出して挑発してみせた。

当然王者ステーリングも黙ってはおらず、「そもそもあんたがどうして引退したかを思い知らせてやるよ。おい、今この場で “I quit (私はもう辞めました)”と言ってみろよ。そのニヤついた顔をぶん殴るのが待ち切れないぜ」と言い返したのだった。

もっとも話題は単なる煽り合いだけでは終わらず、両者は具体的な試合展開についても言及している。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月7日(日)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

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