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【UFC300】ケイラ・ハリソンがUFCと契約。実力者揃いのALLSTAR戦=UFC300でホーリー・ホルム戦決定

【写真】PFLの顔だったケイラ・ハリソンが、このタイミングでUFCへ。33歳、バンタム級転向は最後の勝負か(C)PFL

23日(火・現地時間)、ダナ・ホワイトが自身のXでブレイキング・ニュースとしてUFCがケイラ・ハリソンと契約し、UFC300でホーリー・ホルムと対戦することを発表している。
Text by Manabu Takashima

さらにダナは動画で「皆、UFC300の新しい情報だ。2022年のボクシング殿堂入りのホーリー・ホルム。女子バンタム級で最多勝記録4位タイ、有効打撃6位、テイクダウン防御4位とその歴史を創ってきた彼女は、これまでボクシングとMMAで世界最高のファイターと戦い続けてきた。たった一人を除いて。米国の柔道史上、唯一の五輪二連覇を達成したケイラ・ハリソンとUFCは正式に契約した。16勝1敗、テイクダウンからのパウンドがヤバすぎる彼女は初めてバンタム級で戦うことになった。この試合はUFC300で行われる」と興奮気味に語っている。


ロンドンとリオの女子柔道78キロ級の金メダリストであるケイラは2016年にWSOFと契約し、女子ライト級を開拓していくという発言をしていた。

その後、WSOFを買収したPFLで2018年6月にデビューを果たすと3連勝し、PFLは2019年に女子ライト級を創設した。まさにケイラのための階級と呼ばれた女子ライト級2019年シーズンを制すると、コロナ禍でPFLは1年間活動を休止する。同年11月にケイラはフェザー級の試し切りを行うようにInvicta FCに参戦し、FFCフェザー級王者コートニー・キングをパウンドアウト──この試合が、現時点まで彼女にとって唯一のPFL以外でのMMA戦となっていた。

その後、PFLがフェザー級を開設かという憶測のなか、2021年もライト級でシーズンは実施されケイラが2連覇を達成し、PFLとの契約が切れてBellatorとサイン──と思いきや、マッチング期間に当たりPFLと再契約、女子ライト級2022年シーズンに参戦した。

しかし、11月の決勝でラリッサ・パチェコと3度目の対戦で判定負けを喫し、キャリア初黒星を喫した。2023年にPFLはライト級に代わり、女子フェザー級シーズンを採用したもののケイラは不参加。11月のファイナル大会に出場すると、150ポンド契約戦でアスペン・ラッドから判定勝ちを収めている。結果的にこの試合がPFLでのラストマッチとなった。

今回のケイラのUFC入りと、バンタム級転向は大きなトピックだが、Bellatorを買収したPFLでクリス・サイボーグとの一騎打ちが期待されていただけで、肩透かしを食らった感もある。いずれにせよ、PFLでは勝っても負けても女王、試合も横綱相撲だったケイラだが、UFCではOne of themとまではいかないが、オクタゴン内での特別扱いはない。そして、柔道時代と比較すると16キロも軽くなるバンタム級で、どのようなパフォーマンスを発揮することができるのか。そこはそこで、興味深い。

なおUFC300は4月13日にラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されレオン・エドワーズ✖ベラル・モハメッドのウェルター級と、女子ストロー級ではジャン・ウェイリ✖イェン・シャオナン──というUFC史上初の中国人同士の──世界タイトル戦2試合が組まれており、さらにジャスティン・ゲイジー✖マックス・ホロウェイのBMFタイトル戦も行われる。

イリー・プロハースカ、シャーウス・オリヴェイラ、アルジャメイン・ステーリング、ボー・ニコル、デイヴィソン・フィゲイレド✖コディー・ガーブラント、ジム・ミラーら実力者が勢ぞろいのオースターの様相を呈しているが、ケイラとホルムの女子バンタム級戦は同大会に巨大な華を添えるこのなる。

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【UFC ESPN52】メディアデーでホロウェイの目に涙。コリアン・ゾンビはアジア強化策に指針を示す

【写真】今回のシンガポール大会も、やはり圧倒的に韓国メディアの数が多く、会見時間もジョン・チャンソンが最長だった (C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN52「Holloway vs The Korean Zombie」のメディアデーが、24日(木・同)に同地セントーサ島にあるリゾートワールド・コンベンションセンターで行われた。
Text by Manabu Takashima

メインのフェザー級マッチで戦うマックス・ホロウェイとジョン・チャンソン、日本からデビュー戦を戦う中村倫也&風間敏臣の両者など13人の選手が登壇し、アジアのメディアのインタビューを受けた。


ジョン・チャンソンはホロウェイ戦に向けて「激しく楽しい試合にしたい」と話すと、タイトルを目指すかという問いには「この試合で自分がどれだけできるのかを確認して、次のことを考えたい」とコメントした。

また日曜日に開かれるRoad to UFCに出場するアジアの新鋭に対して期待していることという問いに関して「米国などのMMAh技術的に見て、アジアの国々より進んでいるのは確かなことで。韓国、日本、中国はそれぞれ独自の基盤があり、そこだけで戦っていると難しい。だからといって米国に行って練習するのが絶対ということではなくて、オープンマインドで新しい練習にも挑戦して、自分が持ち得ているモノを発展させないといけない。それこそがファイターには欠かせない要素で、そうすることでアジアのファイターもチャンスが広がりUFCで良いキャリアを過ごせることになるだろう」と指針を示した。

ホロウェイは「1年4カ月間、試合をしていないからこそベストのコリアン・ゾンビであることを求めている。UFCはベストファイターを対戦相手にとして常に用意してくれる。だから誰と戦いたいとか、そういうことは余りに考えていない」と言うと、アルジャメイン・ステーリングのフェザー級転向についても、「分からない」と目の前のこと、当たられた相手に最善を尽くすという姿勢を改めて見せた。

そのホロウェイは、ハワイ島の大火事について尋ねられると、「俺の人生にこんなことが起こるなんて初めてのことだ。ハワイの皆が立ち上がる。この試合を通して、世界が立ち上がるんだ」というと、涙をこぼす一幕が見られた。

また実に1年7カ月ぶりの実戦復帰となるギガ・チガゼは、「娘のバレーボールの試合を応援に行き、隣に耳のわいた父親がいて、向うもこっちを見ている。それがレオ・ヴィエイラだった。そこから柔術の指導を受けるようになり、指導者と選手以上の関係になったんだ」という運命的な出会いを語る。

KINGS MMA所属しており、自分の周囲はほとんどブラジル人。ほとんどブラジリアンになっているとメディアを笑わせた

中村倫也は記者会見中、英語での回答を続けて、その姿勢をUFC関係者も大いに感心し、「チャンピオン道を歩んでいる」という風に話す関係者もいた。

さらに韓国のメディアから「テッキョン、シルムを経験したことで、何かMMAに生きることがあるか」という問いに、中村は「テッキョンの道場で秘密兵器を手にした」と笑顔を見せていた。

一方、風間敏臣はファイトウィークの過ごし方について、「会見があることを想定して準備してきた」とストレスがないことを強調。「本音をいえば試合に集中したいか」という質問にも、「本音はそうですが、会見に出ることも戦いの一部です」とプロフェッショナリズムが芽生えていることをうかがわせた。

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午前6時~UFC FIGHT PASS
午前5時30分~U-NEXT

■UFC ESPN52対戦カード

<フェザー級/5分5R>
マックス・ホロウェイ(米国)
ジョン・チャンソン(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ライアン・スパーン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ギガ・チガゼ(ジョージア)
アレックス・カサレス(米国)

<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ファーニー・ガルシア(メキシコ)

<女子フライ級/5分3R>
エリン・ブランクフィールド(米国)
タイラ・サントス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ジュニオール・タファ(豪州)
パーカー・ポーター(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)
ウーカシュ・プジェスキ(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
風間敏臣(日本)
ギャレット・アームフィールド(米国)

<ミドル級/5分3R>
チディ・ンジョグアニ(米国)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
ロランド・ベドヤ(ペルー)

<ウェルター級/5分3R>
木下憂朔(日本)
ビリー・ゴフ(米国)

<女子フライ級/5分3R>
リャン・ナ(中国)
JJ・オルドリッチ(米国)

<フェザー級/5分3R>
チェ・スンウ(韓国)
ヤルノ・エレンズ(オランダ)

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【UFC ESPN52】オクタゴン初陣へ、風間敏臣「MMAは変わったけど、自己主張する部分は変えない」

【写真】中村倫也とデビュー戦が同日というのも、運命。さぁ風間のUFCファイター人生が始まる (C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC ESPN52「Holloway vs The Korean Zombie」で風間敏臣がUFCデビュー戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

2月のRoad to UFCバンタム級決勝で、中村倫也に33秒KO負けを喫して世界最高峰との契約に、一本気の風間は何を想ったのか。そしてUFCで戦うことを決め、彼の技術や内面にどのような変化が見られたのか。

ABEMA海外修行プロジェクトで過ごしたベガスの日々から、今週末のギャレット・アームフィールド戦に向けての心境を尋ねた。


――UFCデビュー戦を週末に控えている風間選手ですが、まずにお伺いしたいことは契約時の話です。RTU決勝で、いうと秒殺KO負け。去年のトーナメントは当初、決勝まで進むと契約はあるという話も存在していたのですが、フライ級とフェザー級はそうはならなかったです。

「そういう話もあったのですが、契約の話が最初に来た時は『いらねぇな』と思いました。本当にいらねぇなって」

――風間選手の性格だと、そうなることは十分に予想されます。

「本当にそう思いました。契約するという話が来るとも思っていなかったですし……。自分のプライドですよね。回りの目というよりも『それはねぇだろう』って思っていて」

――その心情が痛いほど分かっても、絶対に逃してはいけない機会だと周囲の誰もが思っていたかと。

「ハイ。正直、それでも2週間ぐらい返事はできなかったです」

――2週間も……。

「本当にいらないと思っていたので。大沢(ケンジ)さん、家族、指導してくれる方、応援してくれる方、皆が逃しちゃいけないと言ってくれて。『誰もがUFCで戦いたくてMMAをやっている。でも、多くの選手がUFCで戦うことができない。そのなかでチャンスがあるということは、UFCで何かやれという運命なんだ』と言われたことが、かなり響きました。

UFCに行って見返してやろうとか、そういうことではないんです。俺はUFCでやるべきことがあるんだと思うようになりました。普通だったら、あそこで契約はないので。だからこそ、今回のデビュー戦を含め1試合、1試合が重要になってきます。その何かをするためにはこんなところで、こけてはいられない。だから、土曜日の試合に向けて気持ちは凄く入っています」

――あの時、ここで契約の話があるのは逆に酷かなとも思いました。

「そうですね。気持ちの面だけでなく、UFCは憧れの舞台であるけど修羅の道です。その手前で負けている人間が、現状の力では生きのびることはできない。それもあって、俺がUFCと契約して良いのか、なおさら深く考えました」

――一番下からのスタートかと思います。

「ハイ。一番下です。ただし、凄く自信を持ってシンガポールに来ました。負ける気もしないし。2月に負けて、ここまでやってきたことを信じているので」

――2月の時点では風間選手は自分の形になれば、UFCファイターでもある程度のところまで勝てる。ただし自分の形に入れない戦いこそUFCでの風間選手の戦いであり、それ故に2月までのMMA観ではUFCでは勝ち残れないというのは正直にありました。

「それ、本当にまんま米国に行って思ったことなんです。自分の寝技はUFCファイターにも通用する人には通用します。ただしMMAになると通用しない。攻防にならない。皆、その大きさはともあれ、五角形が綺麗に揃っている。何かが抜けているのは良いことではあるけど、限界がある。抜けている部分に、他を追いつかせて五角形を綺麗にしないといけないと強く感じました。だから米国に行って、技術面だけでなく考え方という面で大きく成長できたんじゃないかと思っています」

――ABEMA海外武者修行プロジェクト。米国ではどれぐらいの期間、練習していたのですか。

「6月の最初から1カ月半ですね。ラスベガスのエクストリーム・クートゥアーで。アルジャメイン・ステーリング、コディ・ガーブラント、マネル・ケイプ、ジャビッド・バシャラット、アミル・アルバジ……僕が名前を知らないだけで、もっと多くのUFCファイターと練習していたはずです。そういうなかでやらせてもらって、足りない部分は凄く目立っていたし、その分成長できたと思います」

――急激に変わることはなく、強みを生かすためのプロセスを変えていくということだと思いますが、米国を経験してどのように変化を加えましたか。

「そうですね、現状の話で寝技オンリーは通用すると思っています。そのなかでMMA、打撃になると劣る部分がある。この数カ月の間、寝技を捨てたぐらいのイメージでレスリングと寝技に取り組んできました。そこを上手く混ぜて戦う。組み付くまでの展開、手数、フェイク、そういう練習をしてきました。MMAは1度のトライで終わるわけではないので、何回も何回もそれを繰り返すイメージを持っています」

――では帰国してからの練習も、米国修行以前とは変わったのでは?

「変わりましたね。本当は2カ月の予定だったのですが、試合の話もあり日本での練習も違うモノになるので1カ月半で切り上げさせてもらったんです。米国でやってきたこと、考えが変わったことを反映させた練習を日本でやってきました。ただし、自分がやりたいことはやるという姿勢は変えたくなかったです(笑)。

MMAに対する考え方は変わったけど、自分は自分でいないといけない。オクタゴンは審判を除けば、対戦相手と2人だけの世界だから。その中でどっちが上に立てるか。自己主張するという部分は変えなくて良いと思っています。

ただトレーニングの質は変わりました。UFC PIで自分の体をチェックしてもらって、意識することも変わって。自分はガニ股で、極端な話をすると外側に体重を乗せていました。両足とも外側に力が入っていた。でも機敏な動きをするには、内側に体重を乗せないといけない。それは日常から意識するようになりました。

それにテイクダウンに入った時に関しても、考え方を変えました。リフトをすること。それは凄く疲れることなので、ずっとリフトをすると自分が削られます。でもリフトできる相手はテイクできる。とりあえずリフトの意識を持つようになりましたね。それ以外にも細かいところから自分は変わったと思います」

――そのなかで迎えるギャレット・アームフィールド戦です。どのような印象を持っていますか。

「打撃が良くて、テイクダウンへの反応も良い。ただしワキ差しの反応は早いけど、そのほかの仕掛けはワンテンポ遅い。Fighting Alliance Championshipというところのバンタム級のチャンピオンなんですけど、去年の7月のUFCデビュー戦ではフェザー級で戦っていました」

――フェザーで契約して、バンタム級で勝負を賭ける。その勝負の相手が風間選手になったわけですね。

「それだけのフィジカルはあるかと思います。今の自分にUFCで楽な相手なんていないですけど、慎重かつ大胆に戦いたいです」

――翌日のRoad to UFCと合わせて7人の日本人選手の出場、国内で一際注目の集まる週末ですが、他の日本人選手に負けたくないという意識はありますか。

「日本人同士……やっぱり中村倫也、あんな風にやられた相手だし敵対心を持ち続けないといけないと思っています。憧れとかではないですが、彼は自分のなかで目標の存在です。目標にしなければならないと思っています。彼はデビュー戦でもメインカードで戦うわけですし、目標だし越えて行かないといけない選手としてUFCという舞台に足を踏み入れています」

――ではデビュー戦、どのような風間敏臣を見せたいですか。

「う~ん、なんだろう……。本当に考え方自体が変わったので、見せたいというか……そもそもが分かるんじゃないかと。自分の動き、ステップを見た時に『コイツ、何か変わったんだろうな』と思ってもらえるんじゃないかと。勝って、それを伝えたいです。勝って、風間変わったな。成長したな。これからも成長していくな。UFCで、世界が見えるなと思ってもらいたいです」

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午後6時~UFC FIGHT PASS
午後5時30分~U-NEXT

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MMA MMAPLANET o UFC UFC292 アルジャメイン・ステーリング ショーン・オマリー

【UFC292】アルジャメインのステップインに、右ストレート一閃。ショーン・オマリーが新世界王者に

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
ショーン・オマリー(米国)
Def.2R0分51秒by TKO
アルジャメイン・ステーリング(米国)

まず右ローを見せたステーリングが、続いて軽く右ハイを繰り出す。距離をつめにいく王者に対し、ステーリングはサークリングで間合いを取る。互いに構えを変えるなか、オマリーが右前蹴りで腹を狙う。ステップインし、構えを変えるオマリーが、サークリングしながらもスイッチする。ステーリングが左ミドルを蹴ったところで、初回半分が過ぎた。

オマリーの前蹴り、チャンピオンはローを繰り出す。関節蹴りも見せたオマリーだが、フェイクと間合いの測り合いが続く。ついには盛り上がりまくっていた観客がブーイングを送るように。下がるのではなくて、角度をかえて踏込みをかわすオマリーだが、最後がステーリングが組みつきケージに押し込んだ形で初回を終えた。

2R、自らの蹴りでスリップしたオマリーに組みついたステーリングが、シングルに移行する。ウィザーを取ったオマリーが離れ、右前蹴りをくりだす。直後に、左を振るってステップインしたステーリングだが、右を合わせされ頭からキャンバスに倒れ込む。直ぐに上を向いたステーリングに立ったまま鉄槌、さらにパンチを落とすオマリー。懸命に足をきかせようとしたステーリングだが、勢いのある右パンチを落とされる。続く左の鉄槌に背中を見せたステーリングを見て、レフェリーが試合を止めた。

「正直、この試合ほどナーバスだったことはない。それでも自信は持っていた。シュガー時代の始まりに過ぎない。チート(ヴェラ)が勝ったね、でもつまらない試合だった。12月にベガスのTモバイルでチートとやることになるかな」と新チャンピオンは話した。


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【UFC292】ニール・マグニー戦へ、イアン・ギャリー「必要がないから、組み技を見せてこなかっただけ」

【写真】文中にあるようにマグニーは191センチの長身だが、ギャリーも同じだけの上背を誇っていた(C)Zuffa/UFC

19日(土・現地時間)、マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンでUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。UFC世界バンタム級選手権試合と女子ストロー級選手権試合──2つのタイトル戦を控えた第10試合で、イアン・ギャリーがニール・マグニーと戦う。
Text by Manabu Takashima

オクタゴン5勝0敗、キャリアを通して12連勝中のギャリーは、ジェフ・ニールからマグニーに相手が代わったことで、これまで見せてこなかった彼の一面をこの試合で披露する腹積もりだ。25歳、世界のトップが見えてきたギャリーは、無敗のファイターしか持ちえない純粋無垢、真っ新な前進力を持っている。


──イアン、インタビューを受けていただきありがとうございます。

「こちらこそ、ありがとう。もうすぐUFCシンガポールがあるから、忙しいんじゃないの? たくさんのアジア人ファイターが出場するし、凄く楽しみだよ」

──今週末、ニール・マグニーと対戦しますが、もともとはジェフ・ニールと戦う予定でした。構え、スタイルとまるで違う相手になったのですが、問題はなかったですか。

「ジェフ・ニールと戦うことは、とても楽しみにしていたんだ。僕がこの間に学んできたこと、全てを出す戦略を立てていたから。ジェフ・ニールははサウスポーで背が低い。そしてアグレッシブなファイターだ。対して、ニール・マグニーは背が高いオーソドックスの選手(笑)。だからジェフ・ニールと戦うために準備してきた武器を見てもらうことはできないけど、マグニーを血まみれにして破壊する。彼がこれまで経験したことがない、ファイトを初体験させてやるつもりだ」

──ジェフ・ニールと戦っていた方が、ファンが喜ぶ試合展開になったという風に思うことはありますか。

「ただ、ファンの間ではジェフ・ニールよりも、ニール・マグニーの名前の方が知れ渡っていると思うんだよね。またトップ15を破る、絶好の機会だと思っている。ジェフ・ニールにしても、ニール・マグニーにしても僕の名前が立つためには恰好の相手だよ。それにどっちと戦うのかっていうことよりも、僕がオクタゴンに入って戦えることが、最重要なんだ。どっちにしても、僕の引き立て役にしかならないんだから(笑)」

──とはいえイアン自身が言及していたように構えも違いますし、ファイトスタイルはニールがストライカーなのに対して、マグニーがやるべきことはクリンチゲームからテイクダウンし、コントロールをすること。まるでスタイルが違いますが、準備期間は十分でしたか。

「実はヴィセンチ・ルケの練習パートナーを務めるために、2カ月半ブラジルにいたんだ。この間、毎日のように柔術の練習をしてきた。マグニーがクリンチからテイクダウンを狙っても僕は倒されない。仮に倒されたとすれば、僕の柔術を皆に見てもらう丁度良い機会になる。グラップリングを皆に披露できるなら、それも楽しみだよ。UFCに来て、初めてグラップリングの腕前を見てもらうことができる。マグニーが寝技で戦ってくるなら、いくらでも受けたつよ」

──2021年6月、イアンがジャック・グラントを破ってCage Warriorsウェルター級王座と獲得した試合ではダブルレッグでテイクダウン、スクランブルでダース、クリンチでエゼキエルを仕掛けるなど、組み技でも十分に強いところを見せていました。

「イエス。僕は打撃が好きなんだ。そして、肉体を駆使したチェスのような試合を好んでいる。でも殴らたり、蹴られたり、傷つくことが嫌な相手が立ち技で勝負せずに、柔術やレスリング、グラップリングを攻めてきても別に構わない。僕にテイクダウンを仕掛けてきたとして、世界中の誰を相手にしてもバックに回ることができる。世界中の誰からも、一本勝ちできる。

そうする必要がないから、UFCでは組み技を見せてこなかっただけで。ニール・マグニーが僕を相手に組んでくるなら、グラップリングファイトに応じる。そして、チョークで落とすことを約束する」

──これまでUFCで5連勝中ですが、そろそろグラップリングのスキルを皆に披露する時がやってきたと考えていますか。

「最終的にウェルター級のトップは、グラップラーが多い。グラップリングに比重を置いたファイトをしている。僕がここでグラップリングを駆使して戦えば、多くの相手は僕と組みたがらないようになるだろう」

──グラップリングは今もブーイングの対象ですが、ジャック・グラントのようにマグニーが動いて来れば、ファンが盛り上がることができるグラップリングMMAになるかと思います。

「この試合では、最後はグランドワークを見せることになるだろう。今回のマグニー戦か、それとも次の試合になるかもしれないけど、如何に僕のグラップリングが優れているのかを皆に証明する」

──キルクリフFCのジルベウト・ドゥリーニョ、シャクハト・ラクモノフの両者が既にニール・マグニーを破っていますが、2人が戦っていることでキルクリフFCにはマグニーの情報が豊富にあり、有利になるのではないですか。

「ノー、そんなことはないよ。同じチームでも僕はドゥリーニョでも、シャクハトでもないから。それにマグニーだって、あの時のままのはずがない。ドゥリーニョはUFCの歴史上、最高のグラップラーの1人だ。シャクハトも最高のトップファイターだよ。ただし、彼らがマグニーに勝っていることは、何も僕にとってアドバンテージにはならないよ」

──イアンも他のファイターと同様に、目標はUFC世界王座であることは間違いないかと思います。

「イエス」

──ウェルター級ランカーにはドゥリーニョ、ラクモノフ、ヴィセンチというチームメイトがいます。世界を獲るためにドゥリーニョが、カマル・ウスマンに挑戦したように友人同士のファイトを求められるとどうしますか。

「ドゥリーニョは僕にとって家族のようなものだ。今週末も、僕のコーナーに就いてくれる。彼と戦うことは考えられない。ヴィセンチも友人だ。皆、僕の友達だよ。そんな風に僕も思っていた時期がある。今の僕は……もしシャクハトがチャンピオンなら、シャクハトと戦う。僕ら2人がベストでも、チャンピオンは1人だから。

ドゥリーニョが世界最高でチャンピオンだったとしても、僕はチャンピオンになりたい。そして彼に挑戦表明をするよ。『僕は世界王者になりたい。ベストになりたいんだ。ギルバート、君と同じなんだ。アイ・ラブ・ユー。どうする? やるだろう?』ってね。レガシーとヒストリーが、僕にとって一番大切なモノなんだ。世界のベストになるためなら、誰とでも戦う。いつでも、戦う。友人とタイトルを争う期間は、友人ではなくなるだけだよ」

──タイトルショットでなく、普通のワンマッチでは?

「繰り返すけど、僕は誰とでも戦う。夢に近づくためならね」

──分かりました。では、そこに近づくためにも今週末はマグニーを相手にどのような試合をしたいと考えていますか。

「僕がスーパースターであることを示す。旗が風にはためていることが、なぜあれほどまでに美しいのか。それは旗の後ろに巨大なパワーが存在しているからだ。そこれそ情熱の象徴であり、感動、楽しさの表れなんだ。僕の打撃、僕の戦い方は旗が風にはためているように美しい。過去、誰も見たことがない世界最高の打撃だ。イアン・ギャリーはウェルター級に比肩する者がいない。この世界で唯一の存在なんだと皆が思うような戦いを見せる」

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング: 135ポンド(61.24キロ)
[挑戦者]ショーン・オマリー: 135ポンド(61.24キロ)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ: 115ポンド(52.16キロ)
[挑戦者]アマンダ・レモス: 114ポンド(51.7キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー: 170.5ポンド(77.34キロ)
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
マーロン・ヴェラ: 136ポンド(61.69キロ)
ペドロ・ムニョス: 135ポンド(61.24キロ)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ: 136ポンド(61.69キロ)
デモン・ブラックシアー: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン: 186ポンド(84.37キロ)
ブラッド・タヴァレス: 185ポンド(83.91キロ)

<ミドル級/5分5R>
グレゴリー・ホドリゲス: 186ポンド(84.37キロ)
デニス・チュルリン: 185ポンド(83.91キロ)

<TUF31ライト級決勝/5分3R>
カート・ホロボウ: 155.5ポンド(70.53キロ)
オースティン・ホバート: 155ポンド(70.31キロ)

<TUF31バンタム級決勝/5分3R>
コディ・ギブソ: 136ポンド(61.69キロ)
ブラッド・カトーナ: 136ポンド(61.69キロ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート: 185ポンド(83.91キロ)
アンドレ・ペトロスキー: 186ポンド(84.37キロ)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー: 125ポンド(56.7キロ)
ナタリア・シウバ: 125ポンド(56.7キロ)

<女子フライ級/5分3R>
マリナ・モロズ: 125ポンド(56.7キロ)
カリーニ・シウバ: 125ポンド(56.7キロ)

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【UFC292】極めるか、倒すか。間合いと減量&睡眠=ステーリング✖オマリー戦展望─02─

【写真】さぁ、いよいよ3日後に両者の競演が見られる(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、ボストンのTDガーデンにてUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。メインのUFC世界バンタム級選手権試合展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

絶対的なバック奪取能力と、コントール力を誇る王者ステーリングと、卓越した打撃の当て勘を有する挑戦者オマリー。当然のように事前の挑発の試合を行うなかには、ステーリングの減量とオマリーの睡眠というエレメントにも言及は及んでいた。

<アルジャメイン・ステーリング✖ショーン・オマリー考察Part.01はコチラから>


ステーリングの卓越した打撃回避の能力、多少不格好でも組みついてしまえばケージに押し込んで強引にテイクダウンやバックを奪ってしまう無類の組み力、そして一度有利な体勢を取ったら決して相手を逃さない圧倒的なコントロール力こそが、王者優位説の強力な根拠だ。

さらに注目したいのは、試合開始直後の攻防だ。というのも以前ステーリングは、オマリー同様に長いリーチを誇るストライカーのコリー・サンドハーゲンと対戦した際に、スタートと同時に──絶妙な間合いを保ちつつも──プレッシャーをかけて下がらせ、蹴り足を掴むとあっという間にテイクダウンからバックを奪取、そのままチョークを極めて驚愕の圧勝劇をみせているのだ。

今回の試合に向けても王者は「サンドハーゲン戦と同じように極めてやるよ。前に出てプレッシャーをかけてやる。奴はフットワークを使うだろうけどこっちは逃げ道を遮断する。すると奴は苦し紛れに蹴ってくるだろうから、それを掴んで奴の体を二つ折りにしてやるさ。1ラウンド半分で極めるよ」と宣言している。

王者が予告通り試合開始と同時に圧力をかけてゆく可能性は高いと思われる。対するオマリーがそれに屈せず、逆に王者を下がらせる、あるいは出鼻の打撃を当てることはできるのか。試合開始直後から、まったく目が離せない一戦だ。

また、オマリーとしては序盤から組み伏せられてしまったとしても、極められさえしなければ次のラウンドはスタンドから再開となる。2019年のクインテッド・ウルトラにて五味隆典をギロチンチョークで仕留める等、以前からグランプリング大会にも精力的に出場して実績を出しているオマリーは、前戦から1年間、さらなるグラップリングの強化に多くの時間を割いてきたという。

何度ポジションを奪われようが極めさせず、試合を長引かせれば長引かせるだけ王者の集中力は下がり、必殺の左右のストレートが当たる可能性が上がるだろう。

またオマリーは、ステーリングがキャリア唯一のKO負けを喫した2017年のマルロン・モラエス戦についても言及し「モラエスがやったように、俺が奴を眠らせる姿をいつも頭に浮かべているよ」と語ってもいる。

スタンドでオマリーのプレッシャーを感じた王者が不用意にテイクダウンに行くようなことがあれば、モラエス戦のようにカウンターのハイキック、あるいはヒザを当てるチャンスが広がる。

昨年10月のTJディラショー戦の時のステーリングの公式計量時の様子

さらに──。

「アルジョは俺よりはるかにキツい減量をしているはずだ。だから脳から水分が抜けて一発で倒れるよ」とも語るオマリー。

王者に対してSNS上で「俺は今日すげえカロリーの高い美味い晩飯を食ったぜ。アンタはなにを食ったんだい?」、「俺は今日もたっぷり質の高い睡眠を摂ったぜ。アンタの睡眠はどうだい?」(※最近オマリーは、睡眠の専門家を雇ってその向上に努めている)とユーモラスな挑発を繰り出してもいる。

対するチャンピオンも、その投稿に対して「お前は寝ているんだな。俺は練習するんだ。違いが分かるか?」と気の利いたリプをしている。とまれ、当代最高のグラップラー✖ストライカー、クラシカルにして最先端の攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■UFC292対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[挑戦者]ショーン・オマリー(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者]アマンダ・レモス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<バンタム級/5分3R>
マーロン・ヴェラ(エクアドル)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ(米国)
デモン・ブラックシアー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
ブラッド・タヴァレス(米国)

<ミドル級/5分5R>
グレゴリー・ホドリゲス(ブラジル)
デニス・チュルリン(ロシア)

<TUF31ライト級決勝/5分3R>
カート・ホロボウ(米国)
オースティン・ホバート(米国)

<TUF31バンタム級決勝/5分3R>
コディ・ギブソン(豪州)
ブラッド・カトーナ(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート(米国)
アンドレ・ペトロスキー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー(米国)
ナタリア・シウバ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
マリーナ・モロズ(ウクライナ)
カリーニ・シウバ(ブラジル)

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【UFC292】UFC世界バンタム級級選手権=ステーリング✖オマリー、展望。絶対の組み力の前の拳の精度

【写真】135ポンドの世界の頂点は組と打が頭抜けたウェルラウンダー対決だ(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、ボストンのTDガーデンにてUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。王者ジャン・ウェイリーにアマンダ・レモスが挑戦する女子ストロー級タイトルマッチをコメインとするこの大会のメインは、王者アルジャメイン・ステーリングにショーン・オマリーが挑むバンタム級タイトルマッチだ。
Text by ISAMU HORIUCHI

世界王者ステーリングは、5月に3年ぶりに復帰した元二階級王者ヘンリー・セフードとの大一番に臨み、お互いが裏をかき合う総力戦の末に2-1で競り勝って3度目の防衛に成功している。この3度連続防衛は、とかく移り変わりの激しいUFCバンタム級の史上最多記録だ。


対するオマリーは、17年のコンテンダーシリーズ2にて衝撃的なKO勝ちを収めてUFCとの契約を得た選手。その後も──薬物検査失格による2年のブランクを挟んだものの──順調にKO勝ちを重ねてボーナスの山を積み上げスターダムに駆け上がると、昨年10月のアブダビ大会において元王者ピョートル・ヤンとの大激闘を判定2-1で制し、今回のタイトル初挑戦権を得た。

実績で圧倒的に上回るのは、当然長期政権を樹立する王者ステーリングの方だ。が、人気では派手なKOを量産し弁も立つ優男=オマリーが大きく勝る。挑戦者もそのことを十分に認識しており、

「アルジョにとって俺との試合はリスキーだよな。俺を避けてフェザー級に上げて(同級絶対王者ヴォルカノフスキーとの)チャンプ・チャンプファイトに挑むという選択肢もあったはずだ。でもスーパースターである俺との試合は、(不人気王者の)アルジョにとってはビッグマネーを稼げる試合になる。だから奴はいかに危険だと分かっていても、俺との試合から逃げることはできなかったんだろうな」と、完全に上から目線で語っている。

そんな両者の試合だが、勝敗に関しては相性的に王者有利を指摘する声が大きい。その背景には、この試合が近年のタイトル戦では珍しいほど明確な「ストライカー✖グラップラー」の構図を描いていることがある。

ステーリングはMMA界最高峰のバック取り&コントロールの名手だ。昨年4月にヤン戦では2、3ラウンドに序盤にテイクダウンからバックの奪取に成功し、そのままラウンド終了まで圧倒的有利なポジションをキープしてみせた。また5月の前戦では、五輪金メダリストのセフードに対してもケージレスリングで五分以上に渡り合い、テイクダウンやバック奪取に成功している。

対するオマリーは、前戦でストライカーのヤンにテイクダウンやバックを取られる場面が何度も見られた。

そのたびに見事なガードワークや体捌きで脱出してみせていたが、もしステーリング相手に一度でもポジションを許してしまったら、そのままチョークを極められてしまうか、あるいはラウンド終了まで一方的にコントロールされる可能性が高い。

よって、この試合の最大の見所はその前の段階──つまり、オマリーがいかに王者に組み付かせずに打撃を当てるか、逆にステーリングがいかにオマリーの打撃をもらわずに組みつくかとなるだろう。

バンタム級では突出した身長&リーチ(180センチ&183センチ)を誇るオマリー。その長い間合いとスムーズなフットワーク、精妙なフェイントや体捌きを見て伝統派空手出身ではと思う者も多いだろうが、高校を中退して初めて習った格闘技がMMAだ。相手の出鼻に抜群のタイミングで蹴りやジャブを放って距離を保ち、またスイッチを自在に使いこなし左右どちらからも鋭い打撃を繰り出すことができる。

特に「無造作に」とでも言いたくなるほど肩の力が抜けた状態から放たれ、相手の顎を瞬時に撃ち抜く左右のストレートの威力は天下一品だ。

打撃格闘技のバックグラウンドなしに、かくなる打撃技術を習得しているのだから天賦の才に恵まれているとしか言いようがない。

「詳しいことは言えないけど、アルジョの穴はたくさん見えているよ。そして顎を打ち抜いてライツ・アウトしてやるさ。俺は今までもそうやってキャリアを築いてきたんだから」と挑戦者は自信を覗かせている。

が、王者ステーリングはただのグラップラーではない。スタンドで有効打をもらわないことにおいても──これまた天下一品だ。

前述のヤン戦やセフード戦では、常に相手から視線を外さずにスイッチを繰り返しては、やはり長いリーチ(180センチ)を活かした前蹴りや、軽いが予測困難な変則のヒジや手技足技で距離を保ち、強引に詰めて来られてもテイクダウンに入ることで、5Rにわたって見事に被弾を回避してみせた。

試合前は自信満々だったセフードも、試合後には「アルジョは頭をいつも振っていて、こちらが予想していたよりもはるかにパンチを当て辛かったよ」と、「ファンクマスター」の異名に相応しい王者の変則的な立ち技スタイルの手強さを認めている。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前7時00分~U-NEXT

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【UFC290】UFC世界フライ級選手権、展望。3度目の正直=モレノ✖2度あることは3度ある=パントージャ

【写真】この小憎らしい笑みが、板についてきた王者モレノ (C)Zuffa/UFC

8日(土・現地時間)ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、UFC 290が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

メインでは正規王者アレックス・ヴォルカノフスキーと暫定王者ジャイー・ロドリゲスによるフェザー級タイトル統一戦が行われるこの豪華大会のコメインは、王者ブランドン・モレノにアレッシャンドリ・パントージャが挑戦するフライ級タイトルマッチだ。


この両者は、揃って扇久保博正も参加した16年のTUF 24「Tournament of Champions」というMMA歴史上唯一にして無二の世界中のフィーダーショーから同階級の王者が集まり、生き残りと世界王座挑戦権を賭けて戦いが繰り広げられたシリーズに出演していた。

当時第1シード(=優勝候補筆頭)だったパントージャと第16シード(参加者中最下位)のモレノは初戦で激突し、予想をはるかに上回る大激闘の末、パントージャが2Rチョークで一本勝ちを収めている。

が、そのパントージャは次戦でカイ・カラフランスを倒すものの、準決勝では扇久保に2R3-0の判定負け。決勝で扇久保を破ったティム・エリオットがシーズン優勝を飾った。そして当時の絶対王者DJへの挑戦権を得たエリオットに加え、パントージャもカラフランスもパントージャもその後UFCとの契約を獲得。後者3人は現在UFCフライ級のトップに君臨している。

そう考えると、当時UFCが準優勝の扇久保に一度も本戦出場のチャンスを与えなかった仕打ちが、いかに格闘技の道理に反するものだったか──今更ながら実感できるというものだ。

とまれ、UFCで頭角を現した二人は2018年5月に再戦。この時もパントージャが判定3-0で完勝している。が、モレノはこの敗戦後に引き分けを一つ挟んで4連勝を記録し、2020年12月にはフライ級王者デイヴィソン・フィゲイレドへの挑戦を実現した。この試合は大激闘の末ドローに終わったが、翌年の再戦では3Rチョークで見事勝利、最軽量級の頂点に輝いたのだった。

その後モレノはフィゲイレドに惜敗して王座を明け渡すも、昨年の暫定王者戴冠を経て今年1月、元王者の地元リオにて4度目の対戦。4RTKOで勝利し、バンタム級転向を宣言をしたフィゲイレドとの名勝負数え歌に終止符を打ったのだった。

ちなみに王座防衛を果たした舞台裏でモレノを待っていたのが、ここのところ3連勝を記録しているパントージャだ。ハグする際に「次(の挑戦者)は君だね!」とモレノが言うと、「いつ、どこでだ?」とパントージャ。モレノが「まあ(挑戦を受けると)約束するよ」と返答すると、パントージャがさらに「だからいつやるんだ?」と迫り、モレノは「いやいや、今は分からないよブラザー」と苦笑。ここでモレノのセコンドが介入し「おいおい、試合直後の今は許してやってくれよ!」と笑顔でパントージャをなだめるという一幕が見られた。

そうして今回3度目の対決に至った両者だが、過去2戦はいずれもパントージャが完勝。5年以上前のことなので、「パントージャはまだブランドン・モレノのベストヴァージョンとは戦ったことがないのさ!」と持ち前の満面の笑みを見せるモレノだが、今回期するところは大きいだろう。

7年前の第1戦では、 1Rから大振りの右フックで強引に迫るパントージャに対して、コンパクトな打撃で主導権を握ったのはモレノの方だった。が、2Rに失速。なんとかテイクダウンを奪うものの、パントージャの強固なフレーム&ニーシールドの前に有効な攻撃ができずに終わったモレノは、逆にパントージャのテイクダウンへの反応が遅れてスプロウルに失敗。そのままバックを許しチョークで敗れた。

5年前の第2戦では、前回の勝者パントージャの方が優れたアジャストメントを発揮。前戦の1Rの荒く不用意な打撃とはうって変わって、モレノの動きをよく見て鋭いジャブやカウンターを当てて主導権を握ると、倒れながらハイをかわしたモレノの上になり、強烈なパウンドからバックを奪取。さらに強烈なパウンドを入れて圧倒的優勢に1ラウンドを終えると、以後も鋭いジャブとカウンターを駆使してモレノを寄せ付けずに完勝した。

この2試合ともパントージャのバックテイクが決定打となったことを考えると、今回の試合の焦点の一つが、バックポジションをめぐる攻防であるのは間違い無いだろう。実際、過去に在籍していたノヴァウニオン・スペシャルともいえるバック奪取とそこからの絞めはパントージャの無二の必殺技で、UFCでも2018年11月の佐々木憂流迦戦や、直近のブランドン・ロイヴァル戦アレックス・ペレス戦でもこれで仕留めている。

佐々木戦では下からインヴァーテッドガードのように回転し、股下をくぐってバックに回るという現代柔術的な動きも見せたパントージャは、UFCでは一階級上の王者アルジャメイン・ステーリングと並ぶバック取りの名手であり、さらに下になっても強固なフレーム&シールドですぐに距離を作り立ち上がる卓越した柔術流スクランブル力の持ち主だ。ピュアレスリングでは上を行くと思われるモレノが、パントージャをグラウンドでいかにコントロールし、バックを許さないかはこの試合の大きな鍵となりそうだ。

とはいえ現在のモレノの打撃技術の洗練度は当時とはまるで別人だ。顔面もボディもしっかりガードした構えから、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃を放つ現在のモレノが、第2戦で猛威を振るったパントージャの鋭いジャブをどう切り崩すか、そして時にパントージャが見せる強引なラッシュにいかに対応するかもまた、この試合の見所だろう。そこでモレノがカウンターのテイクダウンを合わせた時には、上述のように興味深い組技の攻防が展開されることになる。

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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【UFC FPI04】魂の耐久戦を戦ったスミスがテイシェイラと再戦。NCAAを2度制したブラボーヤングも注目!!

【写真】こんな攻防は絶対にない。ではどのような我慢合戦が見られるのだろうか (C)Zuffa/UFC

29日(木・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC FPI04。フィリッピ・ペナ✖クレイグ・ジョーンズのメインを筆頭に$3万が懸かった無差別級Tなど、世界のトップグラップラー&新鋭が集結する同大会では、MMA色の強いワンマッチも組まれている。

それがコメインで組まれたグローバー・テイシェイラ✖アンソニー・スミスのヘビー級マッチとフェザー級のローマン・ブラボーヤング✖アレックス・ペレスの2試合だ。


2020年5月、まだ未知の病原菌としてコロナの脅威が全世界を襲っていた頃にテイシェイラとスミスはUFN171──活動再開第2弾──のメインで戦っている。序盤の拮抗した勝負から3R以降はテイシェイラが、スミスをコントロールし徹底的にパウンドで痛めつけ、辛くも2つのラウンドはサバイブしたスミスが遂には最終回に仕留められている。

とはいってもスミスの粘りは驚異的でしかなく、今回は3年の時を経てグラップリングで両者が再び相対する。

ヘビーパンチャーのテイシェイラだが、柔術も黒帯で組み技競技の出場でいえば時を14年も遡るが、2009年のADCCブラジル予選で優勝し、同年にバルセロナで開かれた世界大会にも出場している。ばかりか、99キロ級で4位に輝いている。

続く2011年度の挑戦はブラジル予選で準優勝に終わり、2019年末のQuintet UltraまでテイシェイラはMMAに専念してきた。その後2021年10月にはUFCヘビー級王座となっていることは、周知の事実だ。元世界王者テイシェイラのグラップリング力は、スミスを上回ると予想される。とはいってもキャリア36勝(※18敗)のうち、14勝が一本勝ち(※KO勝ちは20度)のスミスも、極め力は相当なモノがある。

膠着無用、スタンド回避のサブオンリー・ルールでは、当日のコンディションも大いに勝敗を左右するものだが、5分3R制でなく、インターバルがないことも勝敗の鍵となるに違いない。43歳のテイシェイラを34歳のスミスが動かす試合となれば、マット上でのリベンジも大いにあり得るだろう。

またフェザー級戦ではフライ級タイトルコンテンダーのペレスが、ペンシルバニア州立大時代にNCAA D1を2度制したブラボーヤングの初のグラップリング戦(現地では初の柔術マッチと喧伝されている)の相手を務める。

レスリングベースのペレスは、ジヴァ・サンタナに長年に渡り柔術の手解きも受けており、サブミッション・レスラーとしての側面も持つ。対してブラボーヤングは大学を卒業後、フリースタイルでパリ五輪を目指す立場でありながら、レスリングのキャリアを全うした後にはMMA転向を既に宣言している。

このブラボーヤング、2020年の12月にアルジャメイン・ステーリングと6分間のフリースタイルレスリングの後、3分間のグラップリングというガチのエキシビションマッチを経験。レスリングでは6-4でリードし、グラップリングではRNCで敗れている。

いずれケージに足を踏み入れるであろうブラボーヤングは133ポンドでNCAAを制しており、ペレスはフライ級ファイターということを考えると、フェザー級契約はフィジカル的にはブラボーヤングが優位という見方も成り立とう。

レスラーとしてはフットワークを駆使し、シングルレッグやアンクルピックなどに強味を発揮するブラボーヤングは、ドミニク・クルーズともトレーニングもしてようだが、如何にペレスの柔術的な動きを断ち切ることができるのか──焦点はズバリこの一点に掛かってくる。つまりは、ペレスが引き込む可能性は十分にある対戦だ。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC FPI04対戦カード

<ヘビー級/20分1R>
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

<ヘビー級/10分1R>
グローバー・テイシェイラ(ブライジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ヘビー級/10分1R>
ニコラス・マレガリ(ブラジル)
ホベルト・サイボーグ・アブレウ(ブラジル)

<フェザー級/10分1R>
ローマン・ブラボーヤング(米国)
アレックス・ペレス(米国)

<140ポンド契約/10分1R>
ヘレナ・クレヴァー(米国)
エミリー・フェルナンデス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ロベルト・ヒメネス(米国)
ニック・ロドリゲス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ハイサム・リダ(ガーナ)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ダン・マナスー(米国)

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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MMA MMAPLANET o UFC UFC288 アルジャメイン・ステーリング キック ショーン・オマリー ヘンリー・セフード ボクシング

【UFC288】五感&五体を駆使したチェスゲームは、ステーリングに軍配。セフードからスプリット判定勝ち

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
アルジャメイン・ステーリング(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ヘンリー・セフード(米国)

前に出るステーリングが右ハイを蹴る。さらに左ローから左ハイを繰り出し、セフードは見る展開に。左右に動き、右を伸ばしたセフードに対し、構えを変えて前に出るステーリングがヒザ蹴りへ。蹴り足を掴み、ボディロックに移行したセフードが簡単にテイクダウンを奪う。バタフライガードのステーリングは、セフードの腰を浮かしてレッスルアップへ。シングルを許さずにセフードががぶると、3/4ネルソン&エルボー。立ち上がって離れ両者、パンチの応酬からステーリングの蹴り足を掴んだセフードの右は空振りに。

ここから組み合いとなり、セフードがケージに押し込む。体を入れかえ、ダブル狙いのステーリングを切ってがぶったセフードだが、スイッチ狙いからステーリングが左腕を差してケージに押し込む。前方に下してバックに回ったステーリングが、ヒザを腿やワキ腹に入れ、小外刈りでテイクダウンで倒してバックを取る。ヒザ&ヒジを打ったステーリングが初回をリードした。

2R、まず右カーフを蹴ったセフードに対し、前に出るステーリングがカーフを返す。セフードの右は届かず、逆にステーリングが左を入れる。一瞬のクリンチアッパーもステーリングが間合いを外し、セフードの右ハイが頭部をかすめる。ステーリングは前蹴り、シングルを切って離れる。左フックを見せたセフードだが、ステーリングが蹴りを多用し詰めることはできない。それでもステーリングのダブルレッグも遠く、動じることなく立ち続けるセフードの圧が上回って来る。

ステーリングの右をかわし、バックを伺ったセフードは、ここに固執せず真正面に立つとカーフからパンチを狙う。ボディを殴ったステーリングは下がり、回る場面が増えてきた。セフードは逆にジャブを貰っても前に出て、スピニングバックエルボーをかわす。右オーバーハンドをダック気味にかわしたステーリング、そこにセフードが右ハイを狙う。ニータップからパンチにつなぐセフードに対し、ステーリングが右ロー。セフードがローを返し右を当てると、シングルをかわしてスクランブルからがぶって時間に。

3R、左ミドル、ローと蹴りを使うステーリングに対し、セフードが右ミドルを蹴り、右を当てて跳びヒザへ。ステーリングのテイクダウン狙いをがぶったセフードは、リリースして立ちの間合いに戻る。すぐにシングルを仕掛けても、切られたステーリングがヒザをボディに被弾する。それでも組んでボディロックに入ったステーリングは、ここの逆にケージに押し込まれてしまう。

ケージ際でポジションを2度、3度と入れ替えステーリングが小外で姿勢を乱させ、起き上ってきたセフードのボディにヒザを突き刺す。しっかりと左腕を差しいれ、ここからダブルレッグ、さらにボディロックに転じたステーリングだが、回ったセフードが離れる。セフードは組んでくるステーリングに右を当て、シングルレッグはスプロール。ステーリングもバックに回らせないが、ここもセフードががぶってリリース、胸をマットにつけているステーリングが立ち上がるをまっている。ステーリングはパンチから組んでヒザ蹴り、ここでセフードがボディロック&大内刈りでテイクダウンを決め、ガードの中からパンチを繰り出してラウンド終了を迎えた。

4R、右カーフを3発蹴ったステーリング。さらに右カーフを見せると、セフードも右ローを返す。足を使い左右に回るステーリングが左ミドル、セフードは左ボディフックを振るう。シングルのフェイクに続き、右を狙ったステーリングが左ヒジを見せる。セフードは右を振るって前に出て、組み狙いにヒザを突き刺す。

トリッキーなステーリングに対して、セフードは王道の圧を掛けて組むというファイトでケージに押し込む。押し返され離れたセフードだが、圧を掛けてテイクダウン狙いを切る。懸命に動いて仕掛けるステーリングは、組んでヒザをボディに入れる。離れては左ジャブのステーリングが、やや動きが落ちてきたように見えるセフードに右を当てる。

セフードはここで組むと、押し返してきたところでスナップダウン、さらにシングルにクレイドルで対抗する。ここでステーリングが起き上り、ダブルレッグからリバーサル。右足を両足で挟み、勢いのあるパンチを見舞ってラウンドを取った。

最終回、セフードが圧を掛けステーリングが右ハイを蹴る。左右に動くステーリングが左ミドル、セフードの左は届かない。正面に立ったステーリングに対し、セフードが右ミドルを蹴り、右をかわす。パンチからテイクダウン狙いという動きのステーリングだが、右の蹴りで上体を伸ばされる。と、ステーリングがスピニングバックキックも当たりは浅い。さらにテイクダウン狙いから右を当て、直後に左をヒットさせる。

セフードも左も返し、シングルレッグから右を打ちこむ。ステーリングの動きの多さに、惑わされそうになりながら前に出て圧を掛けることで、流されなかったセフードはダブルレッグをスプロール、ウィザーで止めて離れる。ここでヒザ蹴りを決めたセフードは、クリンチでケージに押し込まれてヒザを受けるが、離れて圧をかけなすとシングルレッグからレッグリフト、そのまま押し込んでテイクダウンを奪う。

スクランブルでバックに回ったセフードは、ステーリングがスピニングバックエルボーを放ったタイミングで正対すると、ダーティボクシングでパンチを入れた時間を迎えた。

1Rと4Rはステーリング、2R、3R、5Rはセフードか。この接戦ではジャッジがどう判断するかは、もう主観でしかない。結果、スプリット判定でステーリングが王座防衛に成功した。

次期挑戦者としてショーン・オマリーがオクタゴンインし、ステーリングと罵り合いを始める。それでも会場のファンは、裁定結果に不満を持っているようで──その空気を両者のフェイスオフでも払拭することはできず、セフードがマイクを握ると大きな声援が送られた。


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