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Interview Special アルマン・オスパノフ ブログ ラスル・ミルザエフ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その壱─オスパノフ✖ミルザエフ「画一化されていないMMA」

Ospanov【写真】オスパノフの公開練習には多くの報道陣やファンが集まっていた (C) ACA

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

Ospanov vs Mirzaev背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

そんな青木が選んだ2020年3月の一番、第一弾は6日に行われたACA105からアルマン・オスパノフ✖ラスル・ミルザエフの一戦を語らおう。


──2020年3月度、選択肢がほぼ2つの週末に限られてきてしまうMMA界となってしまいましたが、青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「オスパノフとミルザエフです」

──ACAで行われたカザフスタン✖ロシアの一戦ですか!!

「しかもカザフスタン大会なんですよね。地元のALASH PRIDEが興行を買ったというか、共同開催で。その事実がまた凄いです」

今大会にはキルギスからカナット・ケルディベコフが出場も、ブラジルのヴァウテウ・ペヘイラJrに敗れる

今大会にはキルギスからカナット・ケルディベコフが出場も、ブラジルのヴァウテウ・ペヘイラJrに敗れる

──中央アジアはやはり旧ソ連圏。今回やACA102もカザフ大会としてACAとALASH PRIDEが協力し、そこキルギスのWEFからチャンピオンクラスが派遣されている。そういう一つのMMA圏が成立されていますよね。

「でも、そもそもALASH PRIDEって何なんですかね。僕、把握できていないんですけど」

──私も確かなことは分かりませんが、ジム、マネージメント、そして大会と一手にカザフスタンのMMAを牛耳っているイメージはあります。

「ONEでもカイラット・アクメトフがALASH PRIDEの所属ですよね?」

──ハイ。今日、青木選手が取り上げたオスパノフは英語が話せるので、以前にONEの前にアクメトフをインタビューした時に通訳を手伝ってくれたことがありました(笑)。

「そうなんですか(笑)」

パンチ、蹴り、投げ、決勝で極めた後ろ三角などコンバットサンボ時代から、全局面に優れていたオスパノフ

パンチ、蹴り、投げ、決勝で極めた後ろ三角などコンバットサンボ時代から、全局面に優れていたオスパノフ

──その時に『俺、日本人と戦っているんだ』と言ってきて気付いた次第です。

「ああ、中島太一とやって。そうやって色々とやっている選手がちゃんといるから、今大会はカザフスタンの選手がたくさん出ていた。そこも興味深かったですよね。

オスパノフが中島太一を倒した時も、今の他のカザフスタンの選手と同じで別に頭になかったじゃないですか?」

──自分はオスパノフ自身は、2014年に成田で行われたサンボ世界選手権のコンバットサンボ68キロ級で優勝した時に『こんな選手がいて、アマでパウンド有りとかやっているとどんどん強くなるな』という印象を持ったことがあったのですが、その選手と中島選手がACAで戦うカザフスタン人が一致していなかったです。

「僕は中島太一の試合で知ったんですけど、地が強いですよね。今回の対戦相手のミルザエフも戦極のあとにロシアで戦った金ちゃん(金原正徳)をKOしたヤツですよ。まだ5戦目とかで」

──あぁ、あの選手だったのですか。いやぁ、青木選手に言われるまで気付いていなかったです。

「バーかなんかで人を殴って、入っていたんですよ──確か。で、戻ってきてファイトナイトとかACBに出るようになって、ここで負けているんですよね(※キャリア17連勝後、FNGでジョージアのレヴァン・マカシュビリ、ACAではシャミル・シャブラトフに敗北。18勝2敗で、今回のオスパノフ戦を迎えていた)。

パーフェクトレコードが崩れていたミルザエフですが、この試合は彼が勝つと思っていたんです。そこをオスパノフがパウンドでもっていって。オスパノフは体の強さあって、バックスピンキックを入れたりするのが、独特ですよね。底力がある。そういう国の人間が、ACAと結びつくことでもっと強くなってくるなと正直思いましたね」

──画一的でないのがロシア的ですね。

「ハイ、これまでにない発想があります。う~ん、僕らみたいなある程度見ている人になると、あんな風でないと興奮できないのかと思います。今のUFCは画一化、均一化されつつあるので、そうでない格闘技をMMAで楽しみたいと思うとロシアや中央アジアになっていくのかと」

──グローブ持参で試合に出てしまう様な(笑)。

「それを今の時代にやっているという……。競技や大会としては追いついていないけど、戦っている連中は強い。でも、2005年とかの修斗も僕はメインとかで出ると、誰かがその大会で使ったグローブが回ってくるのを待たないといけないような感じでした。それだけMMAグローブの数も確保できていなかった」

──あぁ、そうでしたか。外国人選手が使用グローブを持って帰らないかと北森さんが目を見張らせていたのは覚えています(笑)。

「今の話を聞いて日本も15年前は一つの大会で使いまわしていたなって思い出しました。だから、ロシアや中央アジアだとグローブ持参もあるんだろうなって(笑)。あの頃の僕は誰かが使う前のグローブで試合がしたいって思っていましたよ。それに今も日本の大会だと、RIZIN以外は基本は団体がグローブを回収して、使いまわしであることは変わらないですよね」

──そう考えると、毎大会のように使用グローブをそのまま選手に譲るというのは、それなりの規模でないとありえないということですね。

「1セットが1万円少しして、10試合とか15試合あると少なくない額が掛かってしまいますからね。それは理解しています」

──そんななかACAもイベントの延期や中止を発表していますが、青木選手はUFC的でないMMAを楽しむならACAだと。

「そうですね。KSWもそうだし、ACAはアリ・バゴフがウェルター級で戦ったり、65キロが回ってきていたので、ちょっと残念ですね。バンタム級でも同じ大会でダニエル・オリヴェイラがシャミル・シャフプラトフに勝って新チャンピオンになりましたよね。2人ともレコード的には凄く綺麗なわけでない(※オリヴェイラが28勝7敗、シャフプラトフが11勝4敗)けど、強い。

韓国人選手のレコードが汚いのと同じです。7勝5敗でも強いのと一緒だと思います」

──オスパノフは10勝3敗ですが、その実力のほどは。

「強いは強いです。ただし、主戦場がACAだからチャンピオンシップとかはまだ見えてこないんじゃないでしょうか。それによりもカザフスタンにはオスパノフのような選手がたくさんいるだろうっていうことが怖いです。

カザフスタン、キルギスのような中央アジア、あとはウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ジョージア、黒海沿岸の東欧やユーロロシアの貧しい国はどうなるのか。レベルがドンと上がると思います」

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