<フライ級/5分5R>
ブランドン・モレノ(メキシコ)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46
アミール・アルバジ(イラク)
様子見のなかで、互いにジャブを伸ばす。一瞬の踏み込みから振るわれるパンチが、揃って鋭い両者。アルバジがワンツーを伸ばし、ジャブを当てる。さらに右を見せたアルバジの方が手数が多い。右を見せて左ミドルを蹴ったモレノが、右を決める。モレノは独特な拳を固めず、広げた構えで左右の連増を良くしている。
ボディストレートを入れたアルバジに対し、左リードフックのモレノ。一進一退の攻防のなかで、モレノが飛びこんで左を振るうが当たりは浅い。右を返したアルバジは、右を受けた直後にスリップし、腹ばいに。すぐに立ち上がると、大きな振りのワンツーをかわして腹を殴った。残り10秒、ワンツーから右ローのコンビを見せたモレノが、仕上げに右ローをもう一発蹴った。
2R、右アウトローから左インローを入れたモレノ。さらにワンツーから左ハイを蹴ると、アルバジの動きが止まる。モレノの右に組みついたアルバジはすぐに離れ、ジャブを伸ばす。モレノは攻め急がずジャブ、ストレート、左ボディショットを繰り出す。直後にダブルレッグでテイクダウンを決めたアルバジだが、すぐにモレノがスタンドに戻る。
モレノは左ミドルを入れ、アルバジの勢いがある右をかわす。インローで削るモレノは左ジャブ、右オーバーハンドを届かせる。さらに右をテンプルの辺りに入れるなど、モレノのパンチは精度が高い。さらにジャブを続けたモレノは、アルバジの前蹴りにも距離を詰めてショートのワンツーを決め、左フックをヒット。続いて左アッパーを打ち込むなど、この回もモレノが取った。
3R、アルバジが右ボディを入れ、モレノがバランスを崩すも即持ち直しショートのワンツーを振るう。左ハイ、左ボディ、ワンツーも最後の右に力が入り過ぎたモレノが前のめりに姿勢を乱す。直後にボディを打たれたアルバジが右をヒット。モレノもすかさず右を返す。ステップインにヒザが僅かに届かなかったアルバジは、モレノの適格な左から右を被弾する。空振りもコントロールし武器としているモレノに対し、アルバジはどうしても受け身のファイトになってしまう。
インローを蹴られたアルバジが、アウトローを返した直後にアイポークがあったとアピールする。レフェリーは流し、モレノが追撃へ。右をヒットさせたアルバジだが、場内はモレノ・チャントが起こった。
4R、近い距離で回転の速いパンチの交換を繰り広げた両者。落ち着くと、モレノが前蹴り、左ボディを入れる。ジャブから右を見せて、ロングの左フックを当てた元世界チャンピオンは、ここまでと同じようにこの回も支配するのか。モレノの手数と精度の前に、慎重にならざるを得ないアルバジが、意を決したように前に出てもモレノがしっかりと攻撃を当てる。
メヒコ・チャントにもモレノは、ややペースを落としたなかで左ハイを蹴っていく。残り1分、アルバジの右ヒザにも右を返したモレノがヘッドムーブを駆使し、パンチを受けないで自らの右を決める。ダブルのジャブから右と、モレノはアルバジにやりたいことをさせなかった。
最終回、勝利を手にするにはフィニッシュが必要なアルバジだが、先手を取ったのは左から右を当てたモレノだ。さらにテイクダウン狙いを切り、左フックを入れたモレノがアイポークでブレイクを要求する。「見えるか?」というレフェリーの呼びかけに「イエス。目が二つ、鼻が一つ見える」と返答するなど、精神的に余裕が感じられるモレノはリスタート後にダブルジャブ、右から左ハイを繰り出す。さらにジャブからボディと右、組まれると逆にボディロックテイクダウンを狙ったモレノが、ヒザ蹴りの直後に左を打ち込む。
完全に動きが落ちたアルバジはケージを背負うと、再びモレノが左を入れる。クリンチのアルバジは、逆転KOでなくサバイバル・モードか。モレノはアルバジの右オーバーハンドにも、腹を抉る。スイッチして飛び込んで左を当てたモレノが、続いて右をヒットさせる。さらにカウンターの左を入れ、アルバジの打ち合えというアピールに応じると左を決める。最後は前転しながらの蹴り、そして左ミドルを見せたモレノが――25分間、アルバジを完封。
文句なしの判定勝ちを収め「最高だ。新しい人間になったように感じる。今日のような練習通りのパフォーマンスを前回の試合では見せることができなくて、チームも僕もフラストレーションを感じていたんだ。今日は最高だった。カナダの皆、エンジョイできたかな。足技で有利に運べることは分かっていたけど、僕はメキシカン。知っての通りバッドアスでいたいんだ(笑)」と話すと、タイトル奪回を宣言した。