2024年も早くも1カ月が過ぎようというなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、こらからの1年について話してもらった。
Text by Nakamura Takumi
J-MMA2023-2024、第十七弾はUFCでも5連勝し、ついに待望のランキング入りを果たした平良達郎だ。
UFCでの戦いも2年目を迎えた平良。ランキング外の選手たちからきっちりと勝利を重ね続け、そのレベルの選手たちには「負けないという自信が確信に変わった」1年を過ごした。本格的にスタートするランカーたちとの戦いに向けて、平良は何度も「ワクワクする」という言葉を使った。またUFC参戦を意思表示した堀口恭司や朝倉海についても訊いた。
■2023年平良達郎戦績
5月6日 UFN218
○1R4分20秒by 腕十字 ヘスウ・アギラー(メキシコ)
7月8日 UFC290
○3-0 エドガー・チャイレス(メキシコ)
12月9日 UFN233
○2R0分55秒by KO カーロス・ヘルナンデス(米国)
――2023年も3戦3勝と負けなしで終えた一年でした。平良選手にとってはどのような1年でしたか。
「UFCファイター、MMAファイターとして経験を積ませてもらった1年でした。戦ってきた相手はみんなランキング外。僕の方が有利と見られるような相手で、挑戦というよりも実力を証明する試合だったかなと思います」
――しっかり勝たなければいけない相手、勝って当然という気持ちもあったのですか。
「勝って当然というよりは、負けられない気持ちがありましたね。ずっとランキング戦をやりたいと言っている手前、ランキング外の選手に負けると、僕の言葉が軽いものになってしまうし、ここでこけたらまずいなという想いが毎試合ありました」
――一年を通じて自分ではどこが一番成長したと思いますか。
「自分のスキルを心から信頼できるようになったというか。UFCに初参戦した2022年は『世界はどのくらいなんだろう?』とか『フライ級の中でもどのくらいの立ち位置にいるんだろう?』というのが分からなかったのですが、UFCで5戦やってみて、UFC以外の他団体でベルトを持っているけど上位に入っていない選手には負けないというのが自信から確信に変わりました。今年はそれを持って上のレベルの選手にアタックしていきたいです」
――では前回12月のカーロス・ヘルナンデス戦を振り返っていただけますか。
「あの試合は米国にいるときに決まったんですけど、決まった瞬間から練習と試合でやることをリンクさせるように意識していました」
――試合でも練習でやっていることと差がないものをできた、と。
「はい。まさに練習通りに進んだと思います」
――個人的にはスタンドの重心が安定して、プレッシャーがよくなったように見えました。
「打撃に関しては変えないといけない部分が多くて、まだ変わりきっていないと思うんですけど、そこが試合では変わっているように見えたのかなと思います。僕自身はあとで振り返って『こんな打撃をやっていたんだ』と思いながら見ていて、自分の変化をあとで振り返ってみて気づくんです。細かいですがフェイントをかけて相手の反応を見たり、ディフェンスも徹底的に意識しているので、打撃の交錯そのものは多くなかったですが、そういった部分が構えの部分に出たのかなと思いました」
――実際に重心を意識した練習は取り入れたのですか。
「バランスや軸のぶれない打撃、そういうことの大切さには気づきました」
――またヘルナンデス戦前のインタビューでは「いかにグラウンドでダメージを与えるかを意識している」と言っていましたね。
「はい。でももっともっとパウンドを打ちたいですし、スクランブルでも上を取ったのに立たれちゃったんで(苦笑)。修正しなきゃいけないことはたくさんあるし、ケージレスリングで進化したところもあるので、それを次の試合を見せたいです」
――さて2024年についてですが、現時点で試合の予定はありますか(※取材は20日に行われた)。
「現時点では決まっていないです。希望としては3月にやりたいというリクエストはしているのですが、もう1月中旬なのですが、そこがどうなるかですね。それに合わせてトレーニングのメニューを決めようと思っています。相手によっては沖縄にスパーリングパートナーを呼ぶ必要もあるし、エレベーション・ファイトチームにも行こうと思います」
――待望のランキング入りも果たし、ここから本格的なチャレンジがスタートすると思います。
「間違いなくランカーと勝負できるという手応えもありますし、それと同時に試合になったら、そこを100パーセント勝つところまでもっていかないといけない。もうひと段階強くならないといけないですし、MMAの幅というかスタンドでもグラウンドでももっと武器と安定感が必要だと思います。だからやることはたくさんですね」
――こうしてお話を聞いていると非常に楽しそうなのですが、これからの試合にワクワクしていますか。
「はい。ここからは誰とやっても楽しいと思うので、今はワクワクしかないです」
――平良選手やMMAPLANETでも取り上げたジョシュア・ヴァンをはじめ、フライ級は下から上がってきた選手も多く、2024年は世代交代含めてフライ級が盛り上がる気がしています。
「ランキング戦が増えれば、ランカーのメンツも変わってくると思うし、入れ替わりが激しい1年になると思って…やっぱりワクワクしています(笑)」
――UFCの舞台で積みたいキャリアとは?
「一番は僕がUFCでベルトを獲る姿を見せたい。僕自身、エリートみたいな人間ではなくて、野球をやっていても人数が少ないチームでスタメンと控えの狭間みたいな選手だったんです。そんな僕みたいな普通の人間が努力やスキルで世界と勝負できること、そしてベルトが撮れることを証明したいです」
――大晦日RIZINで勝利した堀口恭司選手や朝倉海選手がUFCフライ級への参戦を示唆しています。そういった報道を目にして、どんなことを感じていますか。
「もしそういった選手たちがUFCに来てくれたら、UFCを見てくれる人も圧倒的に増えるでしょうし、仮にそうなったとしても、僕がそこでトップを張っていたいという欲はあります。もし戦う時が来たら僕もワクワクすると思います」
――ちなみに両選手の大晦日の試合はご覧になりましたか。
「率直に強いなと思いました。どちらもストライカーで一発がある、世界と勝負できる選手だと思います。ただ自分とやったらどうなるんだろう?というのは想像しますし、UFCに来たらどういうパフォーマンスになるのか楽しみです」
――完全に個人的&ファン目線で言うと平良選手と堀口選手がUFCで向かい合う時が来たら大興奮するでしょうね(笑)。
「ありがとうございます(笑)。実はメディアを通して、堀口選手がUFC復帰も考えているという話を聞いた時は、堀口選手と交わる可能性もゼロじゃないんだと思って、僕自身すごく熱くなったんですよ。これからどうなるか分かりませんが、僕も楽しみにしています」
――日本人選手たちがUFCに参戦してきたとしても、自分がトップでい続けたいですか。
「“日本人の中で”ではなくて“UFCの世界の中で”トップを張っていたいです。そこに日本人選手が絡んでくることがあったら、そこは僕も譲れないですね」
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