【写真】この肢体が、中村倫也の関節や首をがんじがらめにできるか(C)MMAPLANET
2月 4日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN218:UFN on ESPN+76「Lewis vs Spivak」内で、Road to UFCのファイナルが行われ風間敏臣が中村倫也と相対する。
父は修斗を支え続けた人物で、ピュアブレット大宮が遊び場だった中村はレスリングで活躍した後、当然というようにMMA転向を果たした。当時からUFCで活躍することを期待された中村に対し、風間は柔術からMMAに転向して地道で結果を残していた。
中村戦──いや、UFCとの契約が懸かった一戦に向けて風間の言葉の一つ一つに、この試合に賭ける想いが伝わってきた。
──Road to UFC決勝が2週間近くに迫ってきました。今の調子はいかがですか。
「絶好調です。絶対に絶好調としか言えないですよね(笑)」
──「スミマセン、わき腹いってます」っていう選手は、絶対にいないですね(笑)。
「『調子悪いです』とか言わないッスよ。アハハハハハ」
──準決勝で肩透かしを食らい、決勝戦を迎えることになりました。どのような気持ちで凄いしてきましたか。
「あっと言う間でした。もともと準決勝で戦う予定だったじゃないですか。あの時点から考えてもアッと言う間でした」
──準決勝で戦うことが決まった時に、ある程度の対策は立てていたのでしょうか。
「ハイ。それと実際に生で見た時から、微調整をしています」
──10月は試合が無かったとしても、そのまま決勝があるからと張りつめた状況でいることはできなかったと思われるのですが、不戦勝に終わったアブダビから帰国してからはどうしていたのですか。
「試合をした体で、同じように休みました。ノーダメージだったことをプラスに考えて、減量はしていたのでそこも含めてリセットして。いつも通り、1週間ほどオフをいれてしっかりと休みました」
──あのアブダビから帰国する時、ワクチンを2度しか接種していなかったのに風間選手はPCR検査の陰性証明を取っておらず、空港で飛行機に搭乗できないかもしれないという状況でした。
「アハハハハ。あの時はスミマセンでした。カウンターで何か言われても分からなかった時に、大沢さんがたまたま後ろを通りかかった高島さんに助けを求めて(笑)」
──いやぁ、ビックしましたよ。2人とも事態の大きさに気付いていないし(笑)。でも本来なら数時間かかる検査を40分程度で終わらせてもらって……。陰性証明も携帯が壊れていてチェックできないのに、立ち会ってくれたエティハド航空のマネージャーさんの鶴の一声でチケッティングができて、パスポートコントロールも音速で通してもらえました。そのままダッシュで搭乗口に行き何とか帰国できた。でもああ事態になること自体が、風間選手の図太さを見た想いがしました。普通はそこ、気にするだろうってシンガポールで経験しているんだから。
「何て言うんですかね……あの時も確かに急いでいたんだけど、大沢さんと高島さんがいるから急いでいた自分がいて。もし、あれが1人だったら飛行機に乗れなくても、一つ後のに乗れば良いんでしょっていう感じだったんで(笑)」
──勘弁してくださいよ(笑)。アブダビからそんな都合の良い便なんてないし、そうなるとホテルもチケットも取らないといけない。携帯も壊れている。英語もできない。だから、こっちは懸命になっていたのに。腹が立ちますよ(笑)。
「ホントに申し訳ないです。もう乗れないなら、乗れないでっていう感じでした(笑)。お二人がいてくれて飛行機に乗ることができたし、本当に感謝しています。だから急いで走っていました。アハハハ」
──本当に図太い。尊敬してしまいます。あのあと、ワクチンの方は?
「帰国して3度目のワクチン接種をしました」
──ワクチンが正しいかとか、寿命を縮めるのか分からない。ひょっとすると5年後、10年後に何か症状がでるかもしれない。でも、2022年と2023年にUFCにチャレンジするなら接種するしか選択肢はなかったかと。ワクチン接種しないで、Road to UFCで戦えないなら。それだって、一生の後悔になるでしょうし。
「ハイ。副反応は少しありましたけど、特に問題はなかったです。どうなるか分からないから、怖さはありました。でも、どうするかっていえば接種して戦います」
──そんなファイナル。当初、ソウルで大会があるということから、ラスベガスに開催地が代わりました。それでもRoad to UFC決勝に関しては、なかなか正式発表がなかったです。不安はなかったですか。
「う~ん、でもいつかやりますから。それが多少遅くなっても。そこに焦りとかはなかったです」
──やっぱり図太い方が良いですね。MMAファイターは。では移動時間とUFCの本拠地で試合ができるということを天秤にかけて、何か想うところはなかったですか。
「移動は嫌です。だから減量は早めにやっています。向うって乾燥しているんですよね?」
──していると思います。それと建物のなかは基本、冷房が掛かっていますし。乾燥しているのが普通かと。
「向うでは落ちにくいという前提で、体重は落としていきます。ただ大会が行われることに関してはラスベガスでも韓国でも、正直どっちでも良かったです。なんか、そういう感情がないんですよ。ラスベガスは本拠地だから、『良かったじゃん』って言われるんですけど、そこに感情はないです。ホントに新宿でやろうが、他のところでやろうが」
──では中村倫也選手に関してですが、Road to UFCに2人して出場するまでどのように見ていましたか。
「自分はやると思っていました。中村倫也という存在はレスリングの時は知らなかったです。それがホンの少しの違いですけど、MMAに来て。彼を見た時に『あっ、やるな』と思いました。そこから準備をしていたということはないですが、『あぁ、これはやるな』っていう感じはありました」
──実際にケージの中で戦うようになった中村選手を見て、どのように感じましたか。
「あれだけプレッシャーがあって。自分より2歳、3歳上であのプレッシャーを背負って生きているっていうのは、単純に凄いなっていうのはあります」
──MMAファイターの技量としては?
「そこは自分が言えることはないです(笑)。別に自分が言うことではない」
──では対戦相手として見るようになって、何か違う印象を持つことはありましたか。
「印象は変わらないです。どれだけ凄いって言われていても、上に行くやつは上にいく。だからここで、決勝で当たることができて。最初に自分がやると感じたのは、間違いなかったと。この重要な舞台で当たるっていうのは、自分の見る目は間違いがなかったと思っています」
──格闘技界的にいえば中村倫也選手は日本をリードして、UFCに行ってもらわないといけない──ぐらいの見方を転向した時点からされてきました。そういう相手に対して、負けん気というのは?
「もちろん、あります。もちろん、ありますけど──何だろう……。う~ん、皆が敵みたいな感じですよね。『世の中、どいつもこいつもアイツ側だな』みたいな(笑)。このジムでも実際に応援してくれているかもしれないけど、心の中では向うが勝つと思っている人はいっぱいいると思います」
──こうやって一緒に練習している仲間に対して、そう思うのですか。
「絶対にいますよ。そんなん(笑)」
──そんな考え方、アカン。幸せになりましょうよ。
「アハハハ。でもケージの中は1人、どうせ孤独なんで変わらないです」
<この項、続く>
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