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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC306 ケトレン・ソウザ ジャスミン・ハウレギ

【UFC306】ハウレギのコンビネーションに苦戦も、ソウザが左フックで逆転→RNCで絞め落とす

<女子ストロー級/5分3R>
ケトレン・ソウザ(ブラジル)
Def.1R3分02秒 by RNC
ジャスミン・ハウレギ(メキシコ)

ハウレギが左前蹴り、ガードを固めて左ジャブ、右カーフを放つ。ソウザの右ローに右ストレートを合わせるハウレギ。ソウザが組んで来ると右を打ち込んで離れた。左ミドルからワンツーを繰り出すハウレギは、左ボディから右ローと対角線コンビネーションを打ち込んだ。続く左インローがソウザの下腹部を捉えてローブローに。ソウザに休憩が与えられる。再開後、ソウザが頭を振って前に出る。ハウレギは右カウンターからニータップで尻もちを着かせるが、ソウザはすぐに立ち上がった。

ハウレギはソウザが中に入ってくると右ヒジを当てていく。ハウレギが右ストレートでソウザの顔面を跳ね上げた。ソウザは組んでも右で跳ね返されてしまう。ソウザの右前蹴りがローブローに。試合が再開されると、首相撲を突き放されたソウザが、打ち合いからカウンターの左フックでダウンを奪う。すぐにバックを奪取したソウザがRNCでハウレギを絞め落とした。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC306 エドガー・チャイレス キック ジョシュア・ヴァン

【UFC306】初回にカーフを効かされたヴァンが2Rに左ボディから反撃。3Rを制して判定勝ちを収める

<フライ級/5分3R>
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
エドガー・チャイレス(メキシコ)

チャイレスが左右のカーフ、ジャブを伸ばす。ヴァンも右カーフを返すが、チャイレスが前蹴りと右カーフ、左ミドルで距離を取る。さらにチャイレスは左フックと右カーフ、サウスポーにもスイッチする。ヴァンは右ハイを蹴ってジャブで前進。チャイレスはジャブと右カーフで前に出ると、ヴァンは右フックを合わせる。

チャイレスは距離を取りながら右カーフを当て、飛び込もうとするヴァンに右アッパーを合わせる。なかなか距離を詰められないヴァンはチャイレスの右カーフで足が流れる。チャイレスは距離が詰まると首相撲からヒザ蹴りを突き上げ、ジャブと右カーフで削る。

ヴァンは右フックを狙いつつ、右カーフを蹴り込む。チャイレスはやはり右カーフ、さらにインローでもヴァンの前足を狙う。チャイレスが左ミドルを蹴ると、ヴァンは左フックを狙い、スピニングバックキックを狙うが当たらない。チャイレスがワンツーを突き刺すとヴァンがバランスを崩す。前に出るチャイレスはジャブと足へのスピニングバックキックも繰り出した。

2R、いきなりチャイレスが飛びヒザ蹴り。ヴァンはチャイレスのジャブに右フックをかぶせ、ジャブから前に出ていく。チャイレスはサウスポーにもスイッチしつつジャブを当てる。今度はヴァンは右カーフを蹴ってジャブで前進し、ボディを交えたパンチのコンビネーションを繰り出す。さらにヴァンが左ボディを叩き込むとチャイレスの足が止まる。

ここからヴァンは左ボディを叩き込むとボディにヒザ蹴り。明らかに効いたチャイレスに左右のフックで襲い掛かり、パンチとヒザ蹴りで猛攻。チャイレスもスピニングバックエルボーを見せ、ヴァンはチャイレスのヒザ蹴りをキャッチしてテイクダウンする。チャイレスは下から三角絞めを狙いつつ、ヴァンが立ち上がって試合をスタンドに戻る。

ヴァンは再び右を見せつつ左ボディ、スピニングバックキック。、チャイレスも右ストレートを当てて前に出る。ヴァンがダブルレッグに入り、チャイレスがギロチンを狙うが極まらない。ガードポジションになったチャイレスは下からエルボーを入れる。

3R、チャイレスはジャブと右カーフ、ヴァンはジャブから右ストレートにつなげ、右カーフと前蹴りを当てる。チャイレスがサウスポーにスイッチして左の前蹴り、オーソドックスに戻してジャブとワンツーを当てる。ヴァンはジャブを見せながら左ボディと右カーフ、ジャブをボディにも振って右ストレートを打ち下ろす。

チャイレスが右で前に出ると、かわしたヴァンが右アッパー、右ストレートから前に出る。ここでヴァンが足払いのような形でチャイレスをテイクダウンし、チャイレスが背中を見せて立ち上がると、ヴァンが自らガードに引き込むようにしてヒールホールドへ。

チャイレスはこれを極めさせず、立ち上がるヴァンのバックにつく。正対したヴァンはダブルレッグから持ち上げるようにしてチャイレスをテイクダウンする。チャイレスはガードからヒジを入れて三角絞めへ。ヴァンはそれをディフェンスして細かくパンチを入れる。ヴァンはチャイレスの左足を右ヒザで抑えつつ、左のパンチを落としながら、最後は右を強振した。

判定はジャッジ3名とも29-28でヴァンが勝利。初回にカーフを効かされたヴァンが2Rに左ボディから反撃。3Rを制して逆転の判定勝ちを収めた。


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45 DWCS MMA MMAPLANET o UFC UFC306 アオリー・チーラン ラウル・ロサスJr

【UFC306】フィニッシュだけじゃない。ポイントも押さえるロサスJrがトップキープでチーランに判定勝ち

<バンタム級/5分3R>
ラウル・ロサスJr(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
アオリー・チーラン(中国)

ガードを固めて距離を詰めるチーランに、ロサスJrは右ローを当ててサウスポーにスイッチする。サークリングするロサスJrが足を止めて左ミドルを打ち込んだ。オーソドックスからワンツーを伸ばしたロサスJrに、チーランもワンツーを返す。スイッチしながらチーランの右をブロックしたロサスJrが、サウスポーから左インロー→シングルレッグでテイクダウンした。

トップからパンチで削るロサスJr、チーランは下からヒジを突き刺したものの、ハードガードに。右腕を差し込んだロサスJrが右側へパスする。マウント奪取と同時にチーランが背中を向けた。バックマウントから四の字フックで固めたロサスJrが右腕をチーランの首に回す。チーランはケージウォークの際に、足の指がケージに引っかかり注意を受ける。ロサスJrはバックから削りつつ、ラウンド終了間際にマウントに移行してパンチを浴びせた。

2R、チーランが距離を詰める。ロサスJrはスイッチから左右ローを散らす。チーランは跳びヒザなどフェイントを見せて左ジャブを突き刺す。さらに左ジャブから右を大きく振ったチーロンに対し、ロサスJrはニータップで組むも切られた。ワンツーでチーロンを中に入れさせないロサスJr。右ジャブからシングルレッグに繋げるも、これは組みつけない。

ロサスJrのワンツーに対し、チーロンが少し足を滑らせた。ロサスJrはオーソドックスで左アッパーを突き上げるも空振りに。チーロンがロサスJrの右に、右ストレートを合わせた。チーロンのワンツーをかわして右を打ち込んだロサスJrが打ち合いからシングルレッグへ。しかしこれも切られてしまう。両者ミドルを打ち込んでラウンドを終えた。

最終回、ロサスJrは鼻から出血が見られる。距離を詰めるチーロンに対し、スイッチ&サークリングからジャブとローでけん制するロサスJr。シングルレッグで尻もちを着かせたロサスJrは、立ち上がったチーロンをボディロックでリフトアップしてからマットに叩きつける。サイドについたロサスJrは右ヒジを落とす。

亀になったチーロンのボディに右ヒザを突き刺すロサスJrは、チーロンが反転するとトップをキープする。フルガードのチーロンは両手を広げるが、これはブレイクのアピールか。しかしロサスJrがトップから手を出し続けている。腰を上げてチーロンの動きを潰するロサスJrは、そのままチーロンのガードの中で試合終了を待った。

裁定はロサスJrがユナニマスで勝利。ロサスJrにとっては2年前のDWCS以来、2度目の判定勝ちとなった。


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AB MMA News o UFC UFC306  

『UFC 306: O’Malley vs. Dvalishvili』速報

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Noche UFC 306 ‘O’Malley vs. Dvalishvili’ Play-by-Play, Results & Round Scoring(Sherdog)

 上記を参照。以下、速報です。続きを読む・・・
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45 AB K-1 MMA MMAPLANET o PRIDE UFC UFC306 エステバン・リボビチ ダニエル・セルフーベル ブログ

【UFC306】UFC for Mexico。ダニエル・セルフーベル「特別な夜に、僕の名前を皆の胸に刻む」

【写真】エクストリーム・クートゥアーで練習をするセルフーベル。メキシコにはベガス、上海に次ぎPIが設立されている (C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガス近郊のパラダイスにあるスフィアでNOCHE UFC 306が行われる。昨年9月にオープンしたばかり、世界中で話題の地球上最大の球形建造物におけるUFCの記念すべき初興行は、メキシコ合衆国独立記念日にもリンクしている。
Text by Manabu Takashima

今大会にはプレリミに4名、メインに3名と7人のメキシコ人ファイターが出場する。メイン出場の1人、ダニエル・セルフーベルはエステバン・リボビチと戦う。キャリア15勝1敗、オクタゴンでは3勝1敗のセルフーベルが、今もなかなか伝わってこないメキシコのMMA事情共に、この特別な夜に賭ける気持ちを話してくれた。


――ダニエル、今日はインタビューの機会を設けていただきありがとうございます。

「こちらこそ。日本の人に僕のキャリアを知ってもらえる機会をもらって感謝しているよ」

――ボクシング王国に生まれ育ったダニエルは、いつ頃からMMAに興味を持っていたのでしょうか

「12歳の時に小学校で虐められていて、強くなるためにムエタイの練習を始めたんだ。あの日から長い旅が始まった。だただ、あの時はMMAのことも知らなかったし、興味も持っていなかった」

――では、ファイターとしてはムエタイがベースになるのですね。

「そうだね、ムエタイではメキシコでナショナル王者になり、プロでも戦った。そんな時にMMAに出会ったんだ……というか、自然とMMAに興味を持つようになった。というのはムエタイを始めてから、ブラジリアン柔術も練習するようになっていたからなんだ」

――柔術も。意外と言えば失礼なのですが、柔術はメキシコで広く普及しているイメージがあります。

「グラップリングは見て楽しむモノではないよね。メキシコではボクシングやルチャリブレという動きの激しいモノが親しまれてきたから。それでも、柔術も広まっている。ただ何と言っても、MMAだ。柔術やムエタイよりも、今ではずっとMMAが広まっている。ただ柔術はMMAの基本、MMAを戦うなら柔術を習得しなければいけない。僕自身、ムエタイと柔術の練習をするようになり、UFCを知って15歳の時にMMAの練習を始めたんだよ」

――当時のMMA人気は?

「大して注目されていなかった。やっぱりボクシング人気が絶対だったから。でもブランドン・モレノやアレクサ・グラッソがUFC世界チャンピオンになって一気にMMA人気は高まった。今やボクシングジムと同じだけ、MMAのジムがあるぐらいだよ」

――凄いですね。

「まだボクシング人気に肩を並べたとは言えないけど、凄い勢いで人気が高まっているのは間違いないね」

――ダニエルはどのような環境でMMAの練習を始めたのですか。

「元K-1ファイターのラウル・ロメロとずっと一緒に練習してきた。メキシコでも十分な練習はできる。でも、UFCで戦うとなると話は違ってくるよ。だから今はラスベガスに住んで、こっちで練習をしている。凄くメキシコもレベルは上がっているんだけど、まだ世界標準には至っていない」

――国内MMAイベントはUFCへのフィーダーショーという位置づけでしょうか。

「日本のRIZINのようなショーはないよ」

――RIZINを知っているのですか。

「僕らメキシコ人はRIZINのビッグファンだよ。PRIDEの輝かしい時代も知っている。RIZINにはたくさんのタレントが戦っている。メキシコにはRIZINのようなビッグショーはなくて、小さなプロモーションだらけだ。そのなかで一番大きいのは、LUX Fight Leagueといえるだろう。

僕もLUXでは3、4度戦っている。LUXで力をつけた。もう少しメキシコのプロモーションは成長しないといけないけど、機会があるならLUXをチェックしてほしい。メキシコ人の激しいファイトは当然として、今ではラテンアメリカ全域からファイターが集まっているから。つまりラテンアメリカの国々の間では、一番のチャンスがLUXにあるということなんだ。Combateがもうメキシコで大会を開かなくなったからね」

――私が尋ねたいと思っていることを先に話してくれました(笑)。そこが知りたかったです。そしてLUX、注目します。色々とメキシコの現状を教えてくれて、ありがとうございます。そして、今週末の試合です。エステバン・リボビチの印象を教えてください。

(c) Zuffa/UFC

「エステバンはタフな相手だよ。素晴らしい選手だ。

ただ、彼が何を仕掛けようと僕は対応できる。フィニッシュできる自信もある。対戦相手のことは常に尊敬している。でも、僕がやるべきことはフィニッシュすることだ」

――ウェルラウダ―のダニエルですが、どのような局面で戦うことを望んでいますか。

「基本的に僕はストライカーだ。でもレスリングの練習もしているし、柔術は黒帯だからね。どの局面でも問題ない。打撃だけ、柔術だけっていうファイターになりたくないんだ。全てをミックスして戦いたい。そして、全ての面で成長している」

――NOCHE UFCという舞台で戦うことについて、どのように思っていますか。

「この経験は、何ものにも代えがたいよ。きっと人生で1度きりのイベントになるだろう。そのことが、特別なモチベーションになっている。こんなショーは2度とない。凄くハッピーだ。そんな特別な夜に戦うんだ。皆の胸に僕の名前が刻まれる試合をするよ。最高にエキサイティングなファイターとして、トップ15の力があることを証明する。そして、トップ15の誰とでも戦えると宣言するつもりだよ」

■視聴方法(予定)
9月15日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前8時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ショーン・オマリー(米国)
[挑戦者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)

<UFC世界女子フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレクサ・グラッソ(米国)
[挑戦者] ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ダニエル・セルフーベル(メキシコ)
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)

<フライ級/5分3R>
ロナルド・ロドリゲス(メキシコ)
オーデ・オズボーン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス(メキシコ)
イグナシオ・バハモンデス(チリ)

<女子ストロー/5分3R>
ジャスミン・ハウレギ(メキシコ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
エドガー・チャイレス(メキシコ)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<バンタム級/5分3R>
ラウル・ロサスJr(米国)
アオリーチーラン(中国)

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【UFC306】展望  ついに決着なるか。史上最強の女子MMA三部作=グラッソ×シェフチェンコ

【写真】グラッソが124ポンド、シェフチェンコが125ポンドで計量をパス。フェイバリットは-140でグラッソ。とはいえシェフチェンコも+115でほぼ差はない (C)Zuffa UFC

14日(土・現地時間)、ラスベガス近郊のパラダイスにあるスフィアにて、NOCHE UFC 306が行われる。昨年9月にオープンしたばかり、世界中で話題の地球上最大の球形建造物におけるUFCの記念すべき初興行。
Text Isamu Horiuchi

メキシコの独立記念日(16日)に合わせて行われるこの大会のコメインを飾るのは、王者アレクサ・グラッソと、元王者ヴァレンチーナ・シェフチェンコによるトリロジー最終章=UFC女子フライ級タイトルマッチだ。

既報の通り、昨年オープンしたばかりの光り輝く球形アリーナ=スフィアで開催される世界初のスポーツイベントとして、2000万ドル(約28億円)という莫大な演出費をかけて行われる今大会。そのメインテーマがメキシコのファイトカルチャーの祝福ということもあり、総勢7人のメキシコ人ファイター(加えてメインカードに出場するブライアン・オルテガもメキシコ系だ)が出場する。そんな彼女/彼らの大トリとして登場するのが、現在UFC唯一のメキシコ人王者であり、女子UFCパウンドフォーパウンドランキングにおいても頂点に君臨するグラッソだ。


(C)Zuffaf/UFC

昨年3月にグラッソは、当時7度王座防衛に成功していた絶対女王シェフチェンコに挑戦。

圧倒的に不利が予想される中、4Rに逆転のバックチョークで一本勝ちし、まさに世界が震撼する王座戴冠劇を演じてみせた。そして半年後、ベガスのT-Mobileアリーナで行われたメキシコ独立記念日を祝福する第1回「NOCHE UFC(UFCナイト)」大会のメインイベントにてリマッチが実現。一進一退の大激闘の判定は三者三様のドローとなり、グラッソが初防衛に成功した。

(C)Zuffa/UFC

それからちょうど一年――。

2度目の「NOCHE UFC」大会──販売開始当初のチケット最高価格250万円以上という、前代未聞のメガイベント──で、両者の決着戦が行われる。ちなみに同日、昨年のNOCHE UFCが行われたT-Mobileではメキシコ人が誇るボクシング世界4階級王者のカネロ・アルヴァレズの防衛戦も行われることになっている。当然デイナ・ホワイト代表やメインを飾るショーン・オマリーは「興行としてカネロに完勝してやる」と息巻いているが、対照的にグラッソは「彼と同じ日に戦えて光栄」と謙虚なコメントを残している。

さて、この夏にESPNでオンエアされたTUF32にて、チームを率いてコーチ対決を行うなど決着戦の機運を盛り上げてきた両者。ただしどちらも対戦相手へのトラッシュトーク等は好まず、互いに敬意を持つ二人の間に特筆すべき個人的な遺恨は存在しない。その代わり昨年の両者の2戦そのものが、純粋な競技としてのMMAの魅力がこれでもかとばかりに凝縮された連続ドラマと言える。両者がケージの上で見せているのは、試合を通してお互いが打・投・極の全てにおいて進化を重ね、どんな苦境にも屈しない魂をぶつけ合う、究極の総力戦としてのMMAだ。

第1戦。4Rまで試合をリードしていたシェフチェンコのスピニングバックキックの空振りに乗じたグラッソは、あっという間にバックを奪ってチョークを極めた。絶対王者のたった一つの不用意な攻撃が仇となった、まさかの大番狂わせとの印象が強かったが、実はグラッソの所属するロボジムのヘッドコーチにして叔父のフランシスコ氏が、王者の試合映像を繰り返し研究して生み出した作戦の成果だったことが後に判明した。

そこに至るまでの試合展開も決して一方的なものではなく、1Rはグラッソが自分の最大の武器であるボクシングを存分に活かし、待ちの姿勢の王者を追い込む場面が目立っていた。2、3Rは戦い方を変えた王者にテイクダウンを取られたグラッソだが、高い危機意識をもって動き続けて凌いでみせた。そして迎えた4R、グラッソは王者のテイクダウンを切り始めると、再びスタンドで攻勢に──命運を分けたバックキックは、ジャブでプレッシャーをかけるグラッソに対し、ややケージ側に詰められかけた王者が放ったものだった。

チームの総力を結集して、あまりにも厚い絶対王者の壁に挑んだグラッソは、序盤は自分の強みを最大限に用いて王者に肉薄。中盤作戦を変えてきたシェフチェンコの攻撃を凌いだ上で後半反撃に転じ、最後についに致命的なミスを誘い出したのだ。たゆまぬ努力と研究、不屈の精神と勝負強さの全てが組み合わさりはじめて可能となった、きわめて劇的な王座戴冠だった。

そして第2戦では、初戦を経て進化した両者によるさらなる高次元の攻防が展開された。「もう同じことは起こらない」と断言したシェフチェンコは、スタンドで受けに回った前回の反省を踏まえて先に仕掛け、鋭いジャブとワンツーを次々とヒット。コンビネーションの最後に強烈な左ミドルも放って完全にペースを掌握した。

しかし2Rは、グラッソが前回見せなかった首相撲からのヒザで反撃。さらにランディ・クートゥアばりに相手の首を抱えてのダーディボクシングで元王者を豪快に殴りつけるという、荒々しくも力強い新しい側面を見せて取り返した。3Rは、シェフチェンコの方が(簡単にエスケープを許した)前回以上にタイトさを増したバックコントロールを披露してさらに上をゆく。続く4Rは、グラッソの荒々しさが再び炸裂。クリンチからの打撃を入れた後にワキをくぐってバックを奪い、高々と抱え上げて元王者を叩きつけるという驚きの新展開を見せた。それを凌いだシェフチェンコが終盤バックを奪い返すと、グラッソは前転してのヒール狙いで逆襲し、さらなる引き出しを開けた。

お互いがお互いの進化に対応し、「その先」を行き合って迎えた最終R。消耗し被弾が目立つグラッソだが、頭を振りながら前に。その右フックをくぐったシェフチェンコは組みつくと、首を抱える形で強引に倒しにいってしまう。ここで一瞬体をずらしたグラッソは、首をすっぽ抜けさせるような形でバックを奪取。前回のスピンキック同様、会場の誰もが思わず大声を上げてしまうような決定的なシーンを経て有利なポジションを奪ったグラッソが、背後からの強烈なパウンドやフェースロックを仕掛けるうちに試合は終了した。

1Rと3Rは間違いなくシェフチェンコ。逆に2Rと5Rは明らかにグラッソ。4Rをどちらに付けるか次第と思われた判定は、何と3者3様のドロー。4Rの判断によって48-47、あるいは47-48と付けた2人の採点は十分理解できるとして、問題はもう一人のジャッジ。4Rをシェフチェンコに付けたにもかかわらず、最終Rは10-8でグラッソに与えていた。

この最終回、ダメージという点で全ラウンド中もっとも差があったことは確かだ。しかし現代MMAにおいては、よほど一方的な展開にならない限り2点差を付けることはない。例外的な──意図的な「得点調整」と思われても仕方のないような──採点が行われた上で、グラッソのドロー防衛が成立したことになる。

試合直後のインタビュー。母国メキシコを祝う日に初防衛を果たしたグラッソは「私のパンチの方が強力だった。私が勝者よ!」と宣言し、インタビュアーのダニエル・コーミエに「でも結果はドローですよ」と訂正されてしまうも笑顔を見せた。

対するシェフチェンコの方は苦笑しながら「メキシコ独立記念日のプレッシャーで、ジャッジはこんな採点をしたのでしょうね。もしもこれがフェアな競技だったとしたら、勝利は私のものだった」と語り、当然のようにメキシコ系の大観衆からブーイングを浴びてしまう。元・絶対女王の名前に恥じない素晴らしい戦いを見せてくれただけに、最終Rのジャッジは確かに気の毒だった。

しかし、前回と同じく最後の最後に痛恨の、かつ決定的なミステイクを犯してしまったことは否めない。そしてそのミスが、苦境に立たされながらも自分を信じて前に出たグラッソの気迫と執念によって引き出されたこともまた、前回と同様だ。そして最終的には、もはや両選手の力ではどうすることもならない領域=ジャッジによる判断によって明暗が別れた。

グラッソとシェフチェンコ。お互いに研究を尽くして全局面での進化を遂げ、全てをぶつけ合った両者による昨年の2試合は、究極的には技術や理屈を超越した勝負強さと、それさえも及ばぬ運が作用し、刹那で天国と地獄が入れ替わってしまう──そんな現実の残酷さも我々に見せつけてくれた。MMAの凄さ、奥深さ、さらには不条理さまで堪能させてくれる極上の連続ドラマだった。

あれから一年──今度はどのような形で両者は「極上の、さらなる先」を見せてくれるのだろうか。前回シェフチェンコの鋭いジャブに翻弄されたグラッソ陣営が今回出してくる答は? 逆にグラッソのダーティボクシングにしてやられたシェフチェンコの対策は? 回を増すごとに高度化する両者のテイクダウン&コントロール&スクランブル&サブミッションの攻防の行き着く先は? そして何より、二度に渡って土壇場で自らのミスを引き出したグラッソの無類の勝負強さを、今回シェフチェンコは克服することができるのだろうか? 

女子MMA史上最高の連続ドラマは、週末に完結する。

■視聴方法(予定)
9月15日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前8時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ショーン・オマリー(米国)
[挑戦者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)

<UFC世界女子フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレクサ・グラッソ(米国)
[挑戦者] ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ダニエル・セルフーベル(メキシコ)
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)

<フライ級/5分3R>
ロナルド・ロドリゲス(メキシコ)
オーデ・オズボーン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス(メキシコ)
イグナシオ・バハモンデス(チリ)

<女子ストロー/5分3R>
ジャスミン・ハウレギ(メキシコ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
エドガー・チャイレス(メキシコ)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<バンタム級/5分3R>
ラウル・ロサスJr(米国)
アオリーチーラン(中国)

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【UFC306】展望  チケット代250万円!! 史上最強のワンオフ大会メイン=世界バンタム級選手権試合を読む

【写真】これぞ、どちらが自分を通し切る我儘さを貫けるか──という一戦だ (C)MMAPLANET & Zuffa/UFC

14日(土・現地時間)、ラスベガス近郊のパラダイスにあるスフィアにて、NOCHE UFC 306が行われる。昨年9月にオープンしたばかり、世界中で話題の地球上最大の球形建造物におけるUFCの記念すべき初興行のメインを飾るのは、王者ショーン・オマリーに、ランキング1位のマラブ・デヴァリシビリが挑戦するバンタム級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ラスベガスに出現した巨大な輝く地球儀の如きアリーナ=スフィアは、NYのマジソン・スクエア・ガーデン社により、合計23億ドル(3200億円以上)という桁外れの建築費をかけて作られたエンターテインメント施設だ。建物の外壁、内壁ともに最高解像度の巨大LEDスクリーンが全面に張り巡らされている。


前代未聞の興行のメインイベンターとしてUFCが選んだのが、バンタム級王者のショーン・オマリー

常に何らかの形でライトアップされているその姿は、外から見ても壮観極まりない。昨年11月に実に41年振りに行われたF1ラスベガスGPでは、F1のオーナー企業であるリバティ・メディアはストリートコースが、スフィアが所有する土地を使用するためにレース期間中はこの奇抜な建築物に使用料を支払い、その間スフィアは閉館していたという逸話を持つ。F1ファンなら記憶に残っているだろうが、世界最速マシンが走るワキをこの球体上の建物は常に同GPのスポンサーの映像を流し続けていた。

さらに20000人収容可能なアリーナ内部においては、全視界を覆うスクリーンによる視覚効果だけでなく、あらゆる場所に響き渡る最高品質の音響システムと、風や香り、はたまた触覚までも刺激する4D技術を駆使した演出が可能で、誰もが人生で味わったことがないような「没入型」の体験が提供されるとのことだ。

そんな斬新すぎる巨大アリーナにおける初のプロスポーツ興行として、世界のエンターテインメント業界から注目を集めている今大会。ダナ・ホワイト代表の力の入れようも尋常ではない。サウジアラビアのリヤドで毎年開催される世界最大級の観光アトラクション「リヤド・シーズン」を開催する総合エンタータインメント庁をパートナーに得て、2000万ドル(約28億円)以上の金額を演出に注ぎ込んだという。

「これは一度きりのイベントだ。もう二度とないよ。ここでスポーツイベントを敢行した者は存在しない。私は今まで誰もやったことがないことを成し遂げたいんだ。不可能だと言われているけど、だからこそ最高に魅力的だ。そもそもスフィアは映画やコンサート用のシアターであり、我々が普段使っている照明設備も使えない。(スフィア初イベントとして行われた)U2のコンサートより、はるかに複雑な照明を使うことになる(※ちなみにU2のこけら落としライブは9月29日を皮切りに週に2、3回の頻度で2月まで実施されたが、F1ウィークの前後は11月4日から12月11日まで休演となっていた)」

昨年もメキシコ独立記念日に合わせて、ベガスのT-MobileアリーナでNOCHE UFC(ノーチェは古くからあるスペイン語で「夜」の意味。つまり「UFCナイト」といったところか)を開催したUFCだが、今回の大会の正式名称は「リヤド・シーズン・ノーチェUFC」となる。

「この大会は、メキシコのファイトカルチャーに向けた私からのラブレターさ」ともホワイト代表は語っている。選手たちも特殊効果の撮影に駆り出されているようで、照明設備や壁全面を覆うスクリーンがどう用いられるのか、入場シーン等で果たしていかなるスペクタクルが展開されるのか、それだけでも見逃せない注目のイベントとなっている。

チケットの最高価格は約250万円、一番安価の席でも約32万円という超高額の設定で販売開始したチケットはさすがに即完売とはいかず、変動価格制によって現在チケット代は半額ほどに下がっている。ゲート収入の見込みも大幅に下方修正され、演出費を賄うのがやっとの2100万ドルあたりを予想しているという(もっともこの数字でも、これまでの最高ゲート収入──UFC 205における1770万ドル──を大きく上回ってはいる)。素人目には果たして採算が取れるのかと心配になってしまうが、プロスポーツの枠を超越したイベントを開くことで新たなファンの獲得も期待され、長期的に考えれば大きな利益につながるという算段のようだ。

この前代未聞の興行のメインイベンターとしてUFCが選んだのが、バンタム級王者のショーン・オマリーだ。2017年のコンテンダーシリーズ2にて衝撃的なKO勝ちを収めてUFCとの契約を得て以来──薬物検査失格による2年のブランクはあったものの──順調にKO勝ちを重ねてボーナスの山を積み上げスターダムに駆け上がった。

2022年10月のアブダビ大会において元王者ピョートル・ヤンとの大激闘を判定2-1で制したオマリーは、昨年8月には長期政権を築いていた王者アルジャメイン・ステーリングとの大一番へ。

(C)Zuffa/UFC

2R、ステーリングのテイクダウンを巧みに凌ぐと強引に前に出てきた王者に対して、下がりながら完璧なタイミングの右ストレート一閃。

倒れ込んだステーリングに鉄槌とパウンドの追撃を浴びせ、鮮烈なTKO勝利をもって戴冠を果たした。そして今年3月の初防衛戦の相手には、UFCで唯一敗戦を喫しているチートことマルロン・ヴェラを指名。

(C)Zufffa/UFC

5ラウンドを通して打撃で一方的に試合を支配して判定3-0で完勝し、コナー・マクレガー以来のスーパースターへの道を着実に歩んでいる。

対するマラブ・デヴァリシビリは、ここまで10連勝中。底知れぬスタミナを武器にテイクダウンを仕掛け続け、相手が何度立ち上がろうと前に出て組み伏せ続ける、他には真似のできない戦い方を身上とする。2年前、ベガスのシンジケートMMAにて修行中の朝倉海と出会って意気投合したことで、朝倉のYouTube動画を通してその親しみやすい性格を知るファンも多いだろう。

デヴァリシビリは長いことトップコンテンダーの座にありながらも、チームメイトのステーリングが王座に君臨してきたためタイトル挑戦表明をせずにいた。英語を母国語としないジョージア共和国出身ということもあり、白星を重ねながらもなかなか北米のカジュアルファン層から注目を集められずにいた。

実は本人はUFCで初勝利を挙げた6年前からオマリーとの対戦希望を口にしていたが、オマリーは一切反応せず。昨年5月には、ステーリングと睨み合うオマリーのジャケットを背後から取り、自ら着用してケージに登ってアピールするという直接行動に出たデヴァリシビリ。

が、それでもオマリーは「なんとも馬鹿げた行動だよな。あの時俺は、どこかの従業員がこっちの上着を脱がしてくれているのかと思ったから、そのまま渡したんだよ。あれがマラブだったなんて気付きもしなかった。まあ、奴はこれでファンに少しは知られるようになったかもな。俺のジャケットを着ることができた人間という、ただそれだけの理由でね」とまるで相手にしなかった。

オマリー戴冠=ステーリング陥落により、ついにチャンスが巡ってきたかに見えたデヴァリシビリだが、新王者は話題性と自分のリベンジを優先し、ヴェラを初防衛戦の相手に指名した。その先にはフェザー級王者のイリア・トプリアとの対決を希望し「まあマラブのように注目度の低い選手の優先度は、どうしても低くなるよな」と語っていたオマリー。

(C)Zuffa/UFC

が、デヴァリシビリが今年2月にヘンリー・セフードに完勝し流れは変わった。

この試合結果を受けて、オマリーは自らのYouTubeチャンネルにて「俺はみんながイリア戦を望んでいると思っていたんだ。でもファンは『お前はマラブから逃げている』とか『次はマラブと戦うべきだろ』とかうるさく言ってくる。いいだろう、次はマラブだ。チートを倒したらね。KOしてやるよ。奴の動きは雑だ。対して俺は正確無比。奴には速すぎるし鋭すぎる。失神させてやる」と宣言した。

そして翌月オマリーは予告通りヴェラに完勝し、今回のスーパーイベントでの両者のタイトルマッチが決定したのだった。圧倒的な人気を誇るオマリーに先を越されてしまっていたデヴァリシビリだが、ひたすら勝ち続けることで説得力を得てファンの声を動かし、ついに実力で挑戦権を勝ち取った形だ。

UFC最大のスターである現王者オマリーと、自他ともに認める最強挑戦者デヴァリシビリによる頂上決戦となるこの一戦。自らを「スナイパー(狙撃手)」と呼ぶ王者オマリーは、卓越したタイミングで瞬時に相手の顎を撃ち抜く左右の拳を持つ。対するデヴァリシビリは、常に前に出て手を出してはテイクダウンを仕掛ける恐るべきハイペースの戦いを、5R完遂してしまう底無しの体力の持ち主だ。

つまりこの試合の戦いの構図は、先々月のエドワーズ対モハメッドのウェルター級タイトル戦、先月のデュプレッシー対アデサニャのミドル級タイトル戦と同様──圧をかけ間合いを潰しグラップリングに持ち込みたい総合格闘家と、フットワークと打撃を駆使してその圧力を無効化したいストライカーによる凌ぎ合いということになる。

上述の二戦ではいずれも圧力をかけて組みに持ち込んだ側が勝利しているが、だからと言って必ずしも今回デヴァリシビリが有利ということにはならない。たとえば先日モハメッドは、巧みなスイッチと打撃を用いてエドワーズを金網側に追いやり、逃げ場を塞いでからテイクダウンを決めてみせた。しかし──同様に打撃を駆使して組みに持ち込むタイプではあっても──デヴァリシビリの戦い方はまた異なるものだ。

常にオーソドックスから思い切り良く踏み込んでパンチを放ってゆくデヴァリシビリ。打撃勝負上等の姿勢を見せておいて、その距離から上体を下げて(レベルチェンジして)シングルを取りにゆく。あるいはワンツー等で踏み込んだその勢いのままレベルチェンジして組みにゆく。

つまり、先日のモハメッドのように打撃で圧をかけ相手の逃げ場を封じてからテイクダウンに行くのではなく、デヴァリシビリはテイクダウンをまるで打撃のコンビネーションの一部であるかの如く放つ。そして、何回振り解かれようがそれを続け、やがて相手を呑み込んでしまうのが真骨頂だ。

無敵のデヴァリシビリ・スタイルがオマリー相手には命取りになる?!

(C)Zuffa/UFC

昨年3月のピョートル・ヤン戦では、5R中に何と48回テイクダウンに入るという前人未到のUFC記録を達成。

その上で判定3-0完勝している。

(C)Zuffa/UFC

これまで、このデヴァリシビリの「打撃の如くテイクダウンを放ち続ける」戦い方を止めることができた者は一人として存在しない。

上述のヤンやセフード以外にもジョゼ・アルドという元UFC世界チャンピオンが達がことごとくその軍門に下っている

しかし、まさにこのスタイルがオマリー相手には命取りになるのでは、という見方も成り立つ。たとえば同じバンタム級トップコンテンダーのコリー・サンドハーゲンは、この試合について「マラブは距離を詰めるのがすごく上手いわけではないよね。特に試合やラウンドの序盤はそうだ。それは本当にマズいことだと思う。なぜなら、ショーン・オマリーは距離を保つことにおいてベストの一人だから。同時に、相手が自分に距離に入って来ようとしたところで、酷い目に合わせることにおいても彼はベストだ」とオマリー有利を予想している。

オマリーのヘッドコーチのティム・ ウェルチも「マラブのように足を残してバランスを崩した状態で振り回してくる相手をKOするのは、ショーンには難しいことではないよ」と語っている。

実際、昨年8月にオマリーがステーリングを仕留めたのは、2R、打撃を放つステーリングが──デヴァリシビリがよくやるように──強引に体を伸ばして前に出てきた瞬間だった。卓越した距離感とタイミング、一撃必殺の左右の拳を持つスナイパー=オマリーが「まあマラブがレスリングで戦おうとしてこようが、打撃で戦おうとしてこようがどっちでもいいよ。早いうちに奴の顎を捕らえるよ」と自信を覗かせるのには確固たる根拠があるのだ。

が、その試合をステーリングのセコンドとして目の当たりにしたデヴァリシビリもまた、「オマリーは優れたフットワークとスピードの持ち主で、下がりながらのカウンターも打てて確かに危険だ。でも僕がやるべきはオマリーではなく、自分であることに集中すること。奴が勝つには僕をKOする必要がある。それさえ起きなければこの試合はこっちのものだ。スタミナには自信があるし、パンチもテイクダウンもある。防がれても構わない。今までいくらでも経験済みだ。殴られてもいい。僕はそれで目覚めるだけだ。今まで誰にもKOされたことがない。奴をブレイクする(心身を打ち砕く)よ」と揺るぎない自信を見せている。

他の追従を許さないスピードとフットワークに加え、体の微妙な動きを用いたフェイントの精妙さも天下一品、そして侵入者はたちまち撃ち落としてしまうオマリーの制空圏。そこにノンストップ・カーディオモンスターのデヴァリシビリがいかに侵入し、突破を試みるのか。一瞬たりとも見逃せない。

■視聴方法(予定)
9月15日(日・日本時間)
午前8時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前8時00分~U-NEXT

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