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【UFC ESPN50】コディ・ダーデンがジェイク・ハードリーにフルマーク勝利。意外な選手が台頭してきたッ!!

<フライ級/5分3R>
コディ・ダーデン(米国)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ジェイク・ハードリー(英国)

サウスポーのハードリーが素早い右ジャブから左を伸ばす。そこに右を合わせていくダーデンが、右ローから右ストレートを当てる。ダーデンは右ボディも見せ、右から左と近距離で打っていく。シングルにダースを合わせようとしたハードリーは、離れた直後に左を伸ばしたところで、シングルレッグでテイクダウンを奪われる。

ダーデンはエルボーを落としてハードリーを流血に追い込むと、スクランブルでバックに回る。背中をつけたハードリーをサイドで抑えたダーデンは、スクランブルから胸を合わせてきたハードリーをボディロックで倒してトップをキープする。シングルレッグ&レッスルアップのハードリーが離れると、左を伸ばす。ワンツーからテイクダウンに出たダーデン、ハードリーのギロチンは極めるには時間が足らなかった。

2R、ハードリーは左ボディを見せ、テイクダウン狙いにギロチンを合わせるが、頭を抜かれてダーデンにトップを許す。足関狙いを捌いてスタンドに戻ったダーデンが右エルボーをヒット。続くシングルレッグへのハードリーのカウンターのギロチンを防ぎ、クリンチから打撃の間合いに。ダーデンはハードリーのダブルレッグをスプロールし、アナコンダへ。そのまま上を取って絞め続けるが、腹ばいになったハードリーがエスケープし、直後にバックに回る。乗り過ぎて落とされそうになったハードリーは、後ろ三角からエルボー、パンチを打ちつける。ハードリーは左腕を伸ばして腹ばいに。苦悶の表情を浮かべるダーデンだが足首を掴んで解除にかかる。ハードリーは三角クラッチを続けることができず、腕を抜いたダーデンはシングルレッグを潰してパンチを落とし時間となった。

3R、握手で最後の5分に向かった両者。ハードリーが左ハイ、左ボディを入れフックを当てる。ダーデンも右ストレートをヒットし、右インローでハードリーのバランスを崩す。右ボディ&左というコンビのダーデン、ハードリーも左を打って前に出る。ダーデンはそこにエルボーを合わせ、インローで削っていく。引き続き右を当てるダーデンはハードリーのダブルレッグを初回同様にスプロールし、がぶると足首をコントロールしてしっかりと潰す。

根負けしたハードリーはガードを取り、ダーデンは立ち上がってローへ。レッスルアップのハードリーは、ここもダブルレッグを切られる。残り40秒を切り、頭を刈られたハードリーはまたも引き込んでしまう。そしてシングルもスプロールされ、ダーデンはパンチを落としながら観客を煽り――時間に。同時にシャウトして勝利をアピールしたダーデンが、フルマークの判定勝ち。

「ナッシュビル、立ち上がれ。みな、やれるんだ」と興奮して話すと「腕十字は入っていた。でも、俺はケージで死んでも構わない覚悟で戦っている。タップはしない」と言葉を続けた。モカエフ戦の秒殺一本負けから4連勝、意外なファイターが台頭してきた。


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【UFC ESPN50】アザット・マスクンに続き、アス・アルマバエフ。UFCフライ級にカザフ旋風起こるか!?

<フライ級/5分3R>
アス・アルマバエフ(カザフスタン)
Def.2R3分11秒by RNC
オーデ・オズボーン(米国)

M-1王者からBRAVE CFのフライ級で活躍したアルマバエフが、オズボーンを相手にオクタゴン初陣に挑む。まず右カーフを蹴ったアルマバエフが左右に動き、サウスポーのオズボーンに右カーフをもう一度見せる。左ローのオズボーンに対し、アルマバエフが右オーバーハンドを繰り出す。続く右オーバーハンドから、シングルレッグでオズボーンをテイクダウンしたアルマバエフが右のパンチを入れる。

このままトップキープがアルマバエフのスタイルだが、UFCではどのようなファイトを見せるか。ガードの中でエルボー、パウンドを落とすアルマバエフに対しオズボーンが三角絞め、腕十字を狙う仕草を見せる。アルマバエフは対処して、ガードの中に留まり鉄槌、パンチを落とす展開が続く。と、一気にパスを決めたアルマバエフはサイドで抑えてエルボーを振り下ろす。シングルからスクランブル狙いのオズボーンに対し、アルマバエフは得意のペルヴィアンネクタイをセットしたが時間となった。

2R、テイクダウン狙いを警戒するオズボーンは、右ハイで上体を反らされた直後のシングルレッグをケージを使って耐えて、離れる。アルマバエフのハイに右を合わせて行ったオズボーンは、スピニングバックキックからのシングルもかわす。しっかりとアルマバエフの動きを研究しているように見えたオズボーンだが、続くテイクダウン狙いではボディロック&大内刈りで倒される。スクランブルでバックに回ったアルマバエフは、両足をフックして寝技に持ち込むと、RNCへ。アゴの上からの絞めを防いだオズボーンを後方から殴り、もう一度RNCをセットしたアルマバエフがタップを奪った。キャリア14勝目(※2敗)をオクタゴンで挙げたアルマバエフ、カザフスタンからアザット・マクスンに続き、怖いフライ級ファイターが現れた。

「UFC、俺はフライ級のニュースターだ」と勝者は英語で話した。


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【UFC ESPN50】ATTでの練習から国内を考える。中村倫也─03─「同じ志を持って練習仲間が集まるのは──」

【写真】 1カ月暮らしたATTのファイターズハウスから(C)RINYA NAKAMURA

8月26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN50「Holloway vs The Korean Zombie」で、ファーニー・ガルシアとUFC初陣を戦う中村倫也インタビュー最終回。

ATTでの練習、米国での生活を1カ月経験し、これからのトレーニング内容、練習環境について中村がどのように考えているのかを尋ねた。そして韓国で得た──あの技が、MMAで通じるのか。ATTでの試し斬りについて中村が話してくれた。

<中村倫也インタビューPart.02はコチラから>


──今後、日本と米国での練習の比率はどのようにしたいと現時点で考えていますか。

「全部、米国にするということは考えていないです」

──それは米国だけで練習をすると、デメリットが生じるということですか。

「そうですね。組み技は凄く細かく、レスリングなども突出していると思います。ただ打撃の面において、ミットを持ってもらえる人がいない。これも帰国してから日本で練習してみないと分からないところですけど、日本にいるとより細かいコミュニケーションがとれるというのはあります。

やはり食事の問題もありますし。あとは……虫が凄く多い(笑)。練習場所の移動とかを改善すれば、普段の生活はどうしても日本の方が、居心地が良いのは絶対です」

──練習面に特化すると、ATTの経験を如何に生かすのか。どの点を見極めたいと考えていますか。

「これは見極めるというのとは違うのですが、向うで確認できたことがドリルの重要性でした。一つのことにテーマを持って、ずっとしつこく練習を重ねる。1つの技術をドリルで1週間やり続けるということをやってきました。あれは指導者同士が、何を指導していくのかを共有しあっているんだと思います。

それだけやりこんだので、次の週のスパーとかでもかなり自然にその態勢に入れることがありました。ここはいつも練習している仲間に声を掛けて、テーマを持ってドリル練習をして、その動きが自然と出るようになるまで反復したいです。練習の前後なのか、あるいは一コマを使っても良いと思っています」

──そのような練習を日本で行っていく場合、練習パートナー達も同じ意識を持っていないと成り立たないのではないでしょうか。

「そうですね、日替わりメンバーでなくチーム……グループを創ることが重要で。僕のなかでも心当たりはあり、時間的にフルにMMAに生活を捧げているメンバーを中心に声を掛けていこうと思っています。それはアーセンであったり、スソン君であったり。ATTのように人は多くないですが、他にも何人かいるので積極的に声を掛けていきます。

自分は所属ジムがないので、その辺りは上手く考えながら今、お世話になっている方たちに相談しないといけないだろうし」

──所属ジム問題というのは、早急ではなくてもいずれは解決しないといけない課題の一つですね。

「日本のジムに関しては……仲間も含めてメインはKRAZY BEEかなとは、今は思っています。やっぱり仲間ですよね。同じぐらいの志を持って練習仲間が集まるのは、KRAZY BEEだと思っています。そこではまだ整った指導環境があるわけでなく、選手主体の練習になります。

ただし日本はMMAに必要な技術の個々の指導に関しては長けているので、そういう個々の技術を学んで持ち帰る。それをドリルに落とし込んで練習することを、プロ練習以外の時間にやっていこうとかも相談していきたいです」

──志が同じでも、スパーリング面でいえば力の差がある場合もあります。その辺りはどのように考えていますか。

「ATTでスパーリングをやっていると、本当に得意な展開をやり切れないということがありました。すると自分の攻めに関して、良いイメージが創り切れない。『俺はこのサイドを取ると、この展開でここに手を置く』とかっていうことを創っていくことができるのは、競い合いながらも自分の形に持っていける相手とのスパーリングだと思うんです。

まずそのイメージをしっかりと固める。もう1度創り上げる時期が来ていると感じています。そこは日本でやっていこうと思っている皆の協力があって、できると思います。そうやって創ったモノを、またATTのような強い選手が集まっている練習環境で試す。イメージをガッツリと創って体が覚えてから、強い選手にドンドン試していきたいです。

やっぽり米国のジムにいる選手はヒートし易いというのはあります(苦笑)。練習で上を取ってガンガン動いていると、スタンドになった時にもの凄く強いのを当てられたりっていうのがあったので(笑)。そういう意味では日本の方がやり易い面もあります。そういう意味では日本の良さを生かしたうえで、こっちでの練習の良さも落とし込めるようにしたいですね。

でも試合が決まったら、4週間か6週間はこっちでやろうと思います。その方が強度の高い練習ができます。なので日本でやること、米国でやることをしっかりと見極めて、実践していこうと思います」

──では瞑想の場所だけ、気を付けてください。

「アハハハハ。虫との戦いにも、しっかりと適応していきます」

──ところで一点、個人的に興味があることなのですが……。

「ハイ、何ですか」

──韓国のテッキョンで授けられたネッチャギを応用したアウトサイドで蹴るインロー。モンゴルでも試していましたが、ATTでもトライしてみましたか。

「あれ、やっぱり相手は動きが止まります。世界共通ですっ!!」

──では使えそうですか。

「絶対に使えます」

──凄いですね。

「ただし、懐に入り過ぎるとストレートを食らいます。だから組みから離れる時とか、そういう風に使い方を工夫したいですね。ホント、マジで動きを止めてくれるので。本当に決ると面白くて。でも、その面白さが出てしまって……」

──面白さが出る?

「ハイ。『やっぱり、コイツも止まる』っていう余計な思考が自分のなかに出てきてしまって、僕の方の動き出しも止まってしまうんです」

──あぁ、そういうことですか!! 自分も止まってしまうと。

「そうなんです。『うわぁ、止まってくれたぁ』と思って、自分も止まっています(笑)。次にどう繋ぐのか。でもATTという世界中から強い選手が集まってくるところの練習で、確認はできたので。ここはモノにします」

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【UFC ESPN50】ATT滞在1カ月の意味。中村倫也─02─「もう永遠にジャンケンをしているようなもの」

【写真】ATTヘッドクォーター。玄関を入ったところに陳列されているベルトコレクションの横で (C)RINYA NAKAMURA

8月26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN50「Holloway vs The Korean Zombie」で、ファーニー・ガルシアとUFC初陣を戦う中村倫也インタビューPart.02。

ATTでの1カ月の練習の最終盤に、その日々を振り返ってもらった。ATTでの練習で中村はMMAファイターとして、何を気付き、どこに向かおうとしているのか。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>



──予想以上に嫌なリズムにも適応できたと。

「それは彼がスパーリングをしながら、アドバイスをしてくれたからです。だから途中から、そういう動きも使えるようになりました。ただ、それでも追い足が上手いですね」

──ATTではマット上での全体練習と、ケージで1✖1のスパーをするなど練習中にも振り分けがありますが、あの個別の方でスパーリングをすることもあったのでしょうか。

「実績のある主要メンバーは、メインマットでないところでスパーをしたりするのですが、『こっちで』と呼んでもらえることもありました」

──短期間でも受け入れられたのですね。

「ATTの皆、凄くウェルカムで優しいです。ブラジルの皆は凄く優しくてフレンドリーで、コーチ陣もPRIDEが好き世代で。コナンなんて『俺はUFCでサクラバとやったんだって、皆に言ってくれ』って(笑)」

──アハハハ、桜庭選手の伝説の一歩となった相手が自ら(笑)。

「あとはダニー・サバテーロがめちゃくちゃ良いヤツでした。練習が終わると『お前とのスクランブル最高だったよ。来週も一緒にやってくれ』とか言ってくれて。スパーリングも1本目、2本目とやろうとダニーと申しわせていました。でも、マイク・ブラウンから『ナカムラはこっちだ』って違う選手とやる指示があると、なぜかダニーがメッチャ謝ってきて」

──あの中指ポーズとトラッシュトーカーの真実がそこにあると。いやぁダニー・サバテーロ、応援したくなってしまいますね。

「とにかく律儀な人でした」

──ところで国内において倫也選手のテイクダウンの強さは、疑いようがないです。そのテイクダウンもMMAでは打撃とミックスして使う必要がある。その辺り、ATTで学べることはありましたか。

「とにかく自分が色々試していた打撃って、ごまかしでしかなかったんだと理解できました。本当にテイクダウンに繋がる打撃を打っていかないと……。これまで、トップレベルの選手は何も警戒しないで打って来る。そこに対すると、僕は絶対に打ち負けてしまいます。だから色々と試してやってきたのですが、使える打撃はギュッと絞らえています。

結果、戦い方をシンプルに。そういう大枠を考えて、そのなかで深みを持たせていけるのが一番だと、自分が追求すべきスタイルを見つけることができました。

そのなかで壁の使い方も、色々な選手とやって……強い人は徹底してシンプルなことを二択でやってきます。左・右、左・右──頭を落とす、起き上ってきたら差す。この二択をどれだけ速くやるのか。そこはどれだけ攻めるのか、その数でしかないです。もう永遠にジャンケンをしているようなもので。どれだけ勝った負けたを続けても、最後に勝てるかどうか。最後に勝つまで、その二択を続ける。そこにマイク・ブラウンの指導が入るという形で」

──気合が入っていますね。

「いや、しんどい練習です。でも、しんどいのを嫌うという感覚が全くないです。『当たり前だろ。ファイターなんだから。そこで勝つために、今日も来ているんだよ』という風に、シンプルに集まっているので。『ここではどうすれば良い?』とか悩んでいる時間がもったいない。だったら、やろう。やるしかないんだっていう気持ちになります」

──常にそのテンションで、皆がいられるものですか。

「そこは土曜の午後に練習が終わって1日半休んだ後、月曜日の朝のレスリングのクラスが一番参加選手が多くて、だんだんと減っていきます(笑)。土曜日はもう半分も来ていないです」

──そこが午前のプロ練習だと思いますが、夕方や夜にサーキットや柔術、レスリングなど個々のクラスがありますが、そこでの練習はどのようにしていましたか。

「午後は月曜日のマイク・ブラウンのMMAドリルに参加したり、火曜の午後はボクシングと柔術のクラスがあるので、参加したい方に混ざる。テーブルに最高の食事が並んでいて、どれを食べようかなって……それが毎回続きましたね、その悩みが。やっぱりできるだけ多くのことを経験したかったので」

──メインマットと個々のマットスペース、その個別マットが日本の平均的なジムよりも大きい。その環境だからこそ、生まれる悩みですね。

「ホントに。ATT同士の試合があるから、個別で練習して。その時に使うためのケージが違う部屋にある。やはり環境としては最高のモノが用意されていますね」

──韓国やモンゴルでチームとしての強さの必要性を感じていましたが、その辺りはATTではいかがでしたか。

「そこはまた別モノですね。単一ジムと、この規模のチームでは。なんせATT内での試合が組まれるわけですしね。世界中から強い人が集まっている。それぞれの選手が、それぞれのコーチを連れてきて。だから一つのチームという感じではなく、皆が仲良くやっている組織のなかでブラジル人選手はブラジル人で集まり、チェチェン人選手はチェチェン人コーチとやっている。僕にしても最後の練習は元谷さんと打ち込みのドリルをやったり、それぞれが独立した雰囲気を持っています。

それでもオーナーとジム・マネージメントの方が凄く厳しい方針なので、激しい当たりの練習をしています。過去にも出禁になる選手もいたみたいで、凄くフレンドリーな中に規律が存在していました。個人的な禍根のような話も1カ月いて、全く耳に入って来なかったです。

僕の場合は恭司さんが毎回、量り売りのブラジリアン・レストラン食事に連れていってくれて。食事面はなかなか大変だったので、あそこが一番でしたね。それに休日には釣りにも連れて行ってもらいました。

牛久選手や元谷さん、僕らを恭司さんが引っ張ってくれました。何より日本人だと、恭司さんが創ってくれた道があって、そこを心地よく歩くことができている感じがしましたね。日本人はしっかりと練習するという認識があって、皆がしっかりと受け入れてくれました」

<この項、続く>

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BELLATOR MMA MMAPLANET o PFL UFC UFC ESPN50 アドリアーノ・モライシュ クリス・ダンカン ファーニー・ガルシア ペドロ・ムニョス ヤーソラフ・アモソフ 中村倫也 元谷友貴 堀口恭司 海外 牛久絢太郎

【UFC ESPN50】中村倫也 に1カ月間のATT滞在を訊く─01─「アドリアーノ・モライシュ。リズムが……」

【写真】牛久絢太郎、元谷友貴、堀口恭司ら日本勢、アモソフ、ペドロ・ムニョス、モライシュらとラストトレーニングセッション後に (C)RINYA NAKAMURA

8月26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN50「Holloway vs The Korean Zombie」で、ファーニー・ガルシアとUFC初陣を戦う中村倫也。

まさに今、帰国の途に途中である中村は1カ月間、フロリダのATTで出稽古を行った。米国の最先端メガジムを経験して、中村は何を想ったのか。帰国直前に話を訊いた。


――6月5日から7月5日まで1カ月間、ATTでの出稽古もほぼ終わり、明明後日に帰国する中村選手です(※取材は2日に行われた)。

「ハイ。4日まで練習をして、5日に出国して帰国は6日です」

──つまり、練習としては残すところは2日間だけですね。練習の話を聞かせてもらう前ですが、今いる場所はファイターズハウスですか。

「ハイ」

──ベッドが2つということはルームメイトも一緒で?

「いえ、1人で使っています。Airbnbやホテルに泊まる選手もいますし。今いるのはBellator世界ウェルター級王者のヤーソラフ・アモソフ、PFLのマゴメド・ウマラトフ、それとUFCのクリス・ダンカンの4人っていう感じですね」

──とんでもないメンバーですね。Fight&Lifeの「韓国&モンゴル格闘紀行」のレポートなかで、今はATTにいるという紹介で使わせてもらったツーショットの写真を送ってもらいましたが、彼女がファイターズハウスの清掃などをしてくれるのですね。

「あの写真、鬼木(貴典マネージャー)さんから『選手でなく、何か米国にいるっていう感じの写真をリクエストされたから、掃除をしてくれるおばちゃんの写真はどうですかって伝えると、ぜひそれでって言われたよ』って言われて。写真をクリス・ダンカンに撮ってもらったスけど、実はそんなにおばちゃんでなくて……」

──ハイ、確かに。想像していたラテン系の丸いお母さんという感じではなかったです。

「だからクリスが『お前、狙っているのか』という感じになって……(苦笑)」

──あれを機に、何か進展はありましたか。

「ないッスよ、ない(笑)。それよりもクリスがそういうことをすぐに言うから、アレから話もできなくなってしまって」

──アハハハハ。今回はATTの練習を通して、倫也選手が何を感じたのか。そこを話してもらいたいのですが、まずはヒアリ事件からお願いできますか。

「アハハハハ。そこからっスか」

──アハハハ。体調ですね。せっかくフロリダまできたけど、体調を崩して練習できないと勿体ないですから。そんな日々があったのかどうか、まず教えてください。

「そうですね、時差がようやくなくなったぐらいの時に……ガッと体調を崩しました。部屋の空調から埃っぽい空気が出ているなっていうのは、最初から気になっていたんです。朝起きると喉がカラカラで、痰が絡んでいるような感じで。喉がイガイガして血が出るようになると、一気に体調が悪くなりました。でも空気が汚いというよりも、乾燥が一番原因だと思います。

熱も結構出ましたけど、ちょうど週末だったので金曜日の練習を休んで土日と3日寝ていると、全く大丈夫になりました。それから夜は空調を止めるようにして。でも、今はエアコンをつけていても平気です。体がフロリダに適応しましたね」

──最初は張り切って、飛ばし過ぎたということはないですか。

「多分、あります(笑)。時差があって。疲労が溜まっているのに、思い切り練習したことも体調を悪くした原因になっていると思います。練習量も増えていましたし。鬼木さんからも『慎重に』とは言われていたのですが、最初の頃は嬉しくてしょうがなくて(笑)」

──ケガのないようにと申し合わせていた韓国とモンゴルでも、あれだけ一生懸命になっていたのでそりゃあATTだと止まらないというのは、ある意味想定内ですね(笑)。

「ただ韓国とモンゴルで練習できたことで、海外での練習というものに慣れることができて本当に良かったと思っています。ATTにきても積極的にお願いして、良い練習ができました」

──そんななかヒアリ事件が勃発したわけですね。

「体調が戻って1週間しっかりと練習して、次の週の火曜日ですかね。ATTの裏にはちょっとした自然が残っていて大きめのリザード……トカゲとかいるんですよ。そういうなかで1日の初めに瞑想をしていたんです。その時に〇〇玉の毛をむしり取られるような痛みが走って……」

──〇〇玉に毛は生えていないから、それは分からないですね(笑)。

「アハハハ。それでどれだけ痛いのか分かってくれると思ったのに……(笑)」

──アハハハ。しかし、ヒアリは日本でも要緊急対処特定外来生物に指定されていますし、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあり本当に危険です。

「神経に来るようなピリピリした強烈な痛みを感じました。僕自身、噛まれたらもうそれで終わりかと思っていて。でも『ちゃんと薬を塗らないと2、3日後にリンパが腫れてガッツリと熱が出ますよ』と恭司さんが、すぐに薬局に連れて行ってくれました。そこでヒアリの薬を買って塗ることができて、ただUFCの検査でひっかかる成分がないか、それだけはチェックしてから塗りました」

──薬を塗ると問題なかったですか。

「ハイ、その日の夕方はちょっとだるいなぁとは思ったのですが、患部にも塗りたくっていたので大丈夫でした」

──おばちゃんが塗ってくれましたか(笑)。

「下品(笑)。それは頼めなかったです(笑)。大体、おばちゃんの名前も知らないままですから。でも、あの教わったスペイン語で日本に来てねっていう言葉は伝わって、『Thank you』って言ってもらえましたけど」

──Espero que vengas a Japonですね(笑)。いずれにせよ、ヒアリに刺された影響が最低限で良かったです。

「ハイ、練習も休まなかったです。ただアレ以来、瞑想も室内でするようになりました(笑)」

──ではATTの練習についてですが、想像以上、想像通り、色々と感じたか思います。

「ハイ。想像と違っていたのは、打撃において外国人選手特有のリズムの違いですね。実際は想像をしていたのですが、想っていた以上に違いました。テンポの取り方がグニャァとしている人や、正確なリズムでなく気持ち悪くされてしまう。そういう打ち方の選手が、いますね。日本では一緒に練習をしているということもありますが、リズムを創るとやりやすいです。

それがこっちに来てからは、崩しにいってもまるで動じない。凄く我を押し付けてくる。主張の強さを感じました。性格的なモノだと思います。絶対に譲らないです」

──特にそういうリズムだった選手というのは?

「アドリアーノ・モライシュですね。リズムが気持ち悪かったです。ヌルッと来たり、それすら来たり、来なかったり。そうしていたら、来る。途中から掴めるようにはなったのですが、体が先に入ってきて手が後から遅れて出てくる。あれは日本ではあまり経験してこなかったです。キレーに来ないので、そのモーションを見てしまうと、そこから速くて貰ってしまう。良い経験ができました。

それと外国人選手は歩きながら打つ技術が、平均して高いです。ステップオーバーして打つ。追い足がありますね。最初は真っ直ぐ下がる癖があったので、そこで被弾して練習後は頭が痛かったです。下がりながら、左右に外していく。その位置も安全圏と危ないところがあるのも、掴めるようになりました」

<この項、続く>

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【UFC ESPN50】木下憂朔のオクタゴン2戦目が、8/26シンガポール大会に決定。対戦相手は新顔ゴフ

【写真】ともに世界最高峰で、初勝ち名乗りを狙う木下✖ゴフ (C)Zuffa/UFC

8月26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN50「Holloway vs Tha Korean Zombie」に木下憂朔が出場し、ビリー・ゴフと対戦することが両陣営から確認が取れた。

木下は今年2月のオクタゴン初陣でアダム・ヒューギットに敗れて以来、半年ぶりのファイトとなる。

対するゴフは木下と同じ昨年のコンテンダーシリーズからUFCとの契約を勝ち取ったファイターで、今回がUFCデビュー戦となる8勝2敗のファイターだ。


木下にとって本格的にキルグリフFC所属なって初めてのファイトということもあり、この間の経験を生かし1人になったUFCウェルター級J-MMAファイターとして、UFC初白星を狙う。

同大会のメインはフェザー級5回戦=マックス・ホロウェイ✖コリアンゾンビことジョン・チャンソンのスーパーカードで、中村倫也のオクタゴン・デビュー戦=ファーニー・ガルシア戦も組まれている。現状、木下✖ゴフで8試合のラインナップが揃っており、通常のUFCの規模でいえば残りは4試合から5試合、さらなる日本人選手の投入があるのか気になるところだ。

また同大会の翌日には同所で5月スタートを切ったRoad to UFC2023の準決勝大会が実施される。MMAファンの夏休み最終週は、シンガポールに行くしかないっ!!

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