【写真】20歳になった田上。2連敗、これ以上負けられない(C)SHOJIRO KAMEIKE
17日(日)、沖縄市のミュージックタウン音市場で開催されるThe Shooto Ookinawa06のメインで、修斗世界フライ級7位の田上こゆるが敵地に乗り込み、当真佳直と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
プロデビューから連勝街道を突き進んでいた田上だったが、昨年は7月の安芸柊斗戦、そして12月のマッチョ・ザ・バタフライ戦と2連敗を喫している。関係者から注目を浴び、スターダムを駆け上がっていくと思われた矢先の敗北――この2連敗を、本人はどのように捉えているのか訊くと、田上はその胸の内と、今後に向けた光明について語ってくれた。
――試合直前にインタビューを受けていただき、ありがとうございます(※取材は4月11日に行われた)。今は追い込みが終わった段階ですか。
「追い込みは先週終わって、あとは体重を落としながらコンディションを調整していくっていう感じですね。それでもスパーリングはやっていますし、試合の感覚に近い形で体は動かしています。今回は土曜日に沖縄へ移動するので、木曜日か金曜日まで体を動かしていると思います」
――今回は敵地での試合なので、長距離の移動が加わりますね。
「はい。大阪での試合が続いていたので、今回は遠征という感じです」
――対戦相手の地元である沖縄の試合……敵地での戦いとなった点については、どう考えていますか。
「そんなに気にはしていないですね。キックボクシングをやっていた頃から数えると、もう50回以上は日本全国で試合しているので。相手の地元で試合をするからどう、っていうことはないです」
――なるほど。ただ、遠征となると日常のスケジュールも変わってきますよね。今は格闘技以外のお仕事はされているのでしょうか。
「現場の仕事をしています。3年前にバイトのような形ですけど、父の仕事の現場に行かせてもらうようになって。2年前から正社員になりました。今年に入ってからは、平日にお休みをもらって練習させてもらうとか、仕事を減らして格闘技のために使う時間を増やすようにさせてもらっています」
――今年に入って……昨年末、判定負けを喫したマッチョ・ザ・バタフライ戦の結果と内容については、どのように受け止めていますか。
「絶対に勝たなアカン試合やったと思うんで、悔しいです。負けてしまったことはショックでした。
試合が終わって思ったんは、もっと前に出て倒しにいかなアカンかった。でも自分が寝技を警戒しすぎて、前に行かれへんかったところがありました。打撃では圧されている感じがなくて、そのまま進めていたんですけど、最終ラウンドにバックを取られたのが印象悪かったかなって思います」
――以前の田上選手には、もっと打撃の手数と回転の速さがあったと思います。しかし昨年7月の安芸柊斗戦から2試合、その手数と回転が見られないように感じたのですが……。
「今は試合の中で考えすぎていて。あとは無敗で来ていたこともあって、そのプレッシャーを感じるようにもなっていました。昔はそういう考えもなくて、ガムシャラにやっていたんですよ。そのガムシャラさがなくなってきているんかな、と思うところはあります」
――やはり無敗で世界ランキングも上がっていくなかで、自分の中に何か守る気持ちがあったのでしょうか。
「負けたらアカン、という気持ちが強くなりました。ガムシャラに前へ出て、寝技に持ち込まれて負けたらアカン……そう思うようになって、昔より守るスタイルになってしまっていたかなと思います」
――ここまで勝ち上がってきたなかで、寝技が全くできないわけはないと思います。しかし、なぜそこまで「寝技に持ち込まれたくない」という意識が強くなってしまうのでしょうか。
「もちろん寝技の練習もやっています。寝技になった時のディフェンスは、こうしようと考えて練習していて。試合前も、寝技でいこうと考えていたりもするんです。でも試合になったら、守りに入ってしまう感じで」
――……。
「この間の試合については、自分がランカーで相手はランカーじゃない。だから負けられない、気持ちが強かったです。さらにマッチョ選手は寝技が上手い選手だったので、余計に打撃で戦おうという意識が強くなってしまい、試合が始まっても打撃ばっかりになったのかなと思います」
――そのなかでマッチョ戦では、セコンドの中蔵隆志BLOWS代表からカーフキックの指示が飛び、田上選手も指示通り右カーフキックを当てていました。
「カーフキックは効いている感じがありました。2R後半からは相手がパンチを打ってきても、前足の踏ん張りが利いてへんなと思って。3Rはそれがハッキリと分かっていたので、ダメージはメッチャあるなと。パンチも1R目ほどは力がないのも感じていました」
――田上選手の中では今、カーフキックを武器にしようと練習しているのでしょうか。
「いえ、練習ではあまりカーフキックは蹴らないんです(笑)。マッチョ戦でカーフを効かせることができて……あとはもっとローを散らしたかったんです。でも相手のパンチに合わせて踏み込んでローを蹴るのは少し怖くて。カーフやとローよりは距離を保ちやすいので、あの試合では結構カーフを蹴ることができましたね」
<この項、続く>
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【The Shooto OKINAWA06】沖縄で当真佳直戦、田上こゆる─01─「ガムシャラさがなくなってきて……」 first appeared on
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