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『UFC on ABC 7: Sandhagen vs. Nurmagomedov』パフォーマンスボーナス

パフォーマンス心理学が教える実力全開メソッド



 UFCが『UFC on ABC 7: Sandhagen vs. Nurmagomedov』のパフォーマンスボーナスを発表。

▼ファイト・オブ・ザ・ナイト
・シャラ・マゴメドフ vs. ミハウ・オレキシェイジュク

▼パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト
・ジョエル・アルバレス、アザマット・ムルザカノフ


 4選手には各5万ドルのボーナス。続きを読む・・・
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45 MMA MMAPLANET o Special UFC アレッシャンドリ・パントージャ ドミニク・クルーズ マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 大沢ケンジ 平良達郎 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:6月 平良達郎×ぺレス「フィニッシュより、あの戦い方に驚き」

【写真】おたつロックからのフィニッシュが話題になったが、そこに至るまでの戦いぶりを再評価したい(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年6月の一番──6月15日に行われたUFC on ESPN58の平良達郎×アレックス・ぺレスについて語ろう。


――平良選手がフライ級5位のぺレスに2RTKO勝利し、日本人前人未到のオクタゴン6連勝を果たし、フライ級で5位にランクされることとなりました。当然、水垣さんにもこの試合をセレクトしてもらったのですが、率直にどんな感想を持ちましたか。

「フィニッシュもそうなんですけど、僕は一発でテイクダウンを決めたことに驚きましたね。ああいう風にパっと(テイクダウン)出来るとは思っていなかったので。ムハマド・モカエフもぺレスをテイクダウンするのに手こずっていたので、ああいう形でテイクダウンしたことに驚きました。またあの時の平良選手のテイクダウンはどちらかというと(テイクダウンを)切られるパターンなんですよ。タックルに入って、出ている頭と逆側の脇を差されるっていう。あの形は仮にケージまで押し込めたとしても、脇を差し上げられて四つ組みになりやすいんです。でも平良選手はそうなりそうなところで、上手くぺレスの身体を引き出して足をかけてテイクダウンする。あれは見ていて僕も勉強になりました」

――私も試合前は平良選手が勝つにしても、一発でテイクダウンを取るという展開は想定ませんでした。

「僕も平良選手がどこで勝負するのかなと思っていて、もっとスタンドでカーフを蹴って削ったり、四つ組で上手くテイクダウンしたり、そういう試合をイメージしていたんです。実際の試合では自分からタックルに入ってテイクダウンしましたけど、あれは考えていなかったですね。レスリングレスリングしていない、足をかけてのテイクダウンというか、ダゲスタン系の選手がやるような足をかける系のテイクダウンですよね。アメリカの純レスリングにはない技術だと思うし、それを上手く使って戦っているなと思いました。それでいて彼には柔術的なテクニックもあって、そこをミックスさせたものが平良選手のスタイルだし、フィニッシュは機転を利かせた技というか、ああいう技を使うのは彼の頭の良さであり、すごく頭が柔らかいなと思いました」

――むしろ平良選手にとってぺレスは苦戦を強いられる、攻略が難しい相手だと思っていました。

「フィニッシュもそうですけど、ぺレス相手にあの戦い方をして勝ったことが驚きました。僕は『どうやってぺレスを攻略するんだろう?』と見ていて、例えば組みの部分でも下になってスクランブルを仕掛ける、もしくはスイープして上を取るのかなと思っていたんですよ。ただぺレスは首系サブミッションも上手いので怖いなとか。だから平良選手がどう戦うのかすごく興味深くて。最後のフィニッシュも、試合後のインタビューで『レスラー対策のスペシャルムーブだ』ということを言っていましたが、ああやって自分がスタンドでバックを取るところまでイメージしていたんじゃないのかなと思います。レスラーに尻餅をつかせれば背中を見せて立ってくるから、そこに飛び乗ってスタンドのバックから攻める、みたいな」

――あとはぺレス相手に一切気持ちがひかない、自信たっぷりに堂々と戦っている姿が頼もしく見えました。

「僕が引退して思ったのが、相手がランキングのトップ5以内の選手になってくると、博打を打たないと勝てないんじゃないのかなというマインドになっていたんです。普段通りのスタイルを貫くのが難しいというか。チャンピオンクラスの選手と戦うと、どこかで自分が劣っているという考え方になって、自分自身の戦い方に自信を持てないから、一発先に当ててやろうとかどうやって一発逆転しようみたいな。ドミニク・クルーズとやった時なんかはそういうメンタルだったんです。でも平良選手を見ていると、そういうメンタルになっていないところがすごい。相手がトップ5でもなんとも思わずに、いつもの自分を出せば勝てると思ってやっている。それが僕からするとすごいなと思いますね」

――まさに強い人間のメンタリティですね。

「僕もランキング5位~10位の相手だったら、そういうメンタリティで戦えたんですよ。でもチャンピオン付近・トップ5になってくると、そうは思えなかったんです。でも平良選手はそうじゃないから、今後の試合にも期待が膨らみますよね」

――戦い方という面で先ほどは「平良選手のスタイルがある」という言葉もありましたが、彼独自のスタイルがあったうえでMMA的にもレベルが高いという印象ですか。

「これもまた僕との比較になっちゃうんですけど、僕はレスラーに対してレスリングを頑張って何とかしようと思って、それでレスリングを必死に練習して、自分のいい部分を出すこともできました。ただそれがトップレスラー相手になると、どうしてもレスリングが弱点になっていて、そこで勝てない苦手意識がありました。でも平良選手はレスラー相手にレスリングだけじゃなく、レスリング以外の色んな技術を駆使して対抗していると思うんですね」

――ランキング5位のぺレス相手に今回の試合内容で勝ったわけなので、僕はこのまま平良選手には自分のスタイルをぶつける形でトップ5の選手と戦ってほしいんですよね。

「チャンピオンのアレッシャンドリ・パントージャが柔術家なので、柔術家相手にどう戦うのかが見たいですよね。今回のぺレスの試合を見ると、柔術家とやるとどうなるんだろう?というところがあるので。僕はレスラーが苦手で、柔術家は得意なところがあったので」

――今後、平良選手よりも組み技・寝技が強い相手と戦うことになったら、平良選手はどんな戦い方をするんだろうという興味も沸きます。

「想像が膨らみますよね。7月27日(現地時間)にマネル・ケイプとモカエフが試合をしましたけど、あの試合を比べると平良選手の方が期待感を持てる試合だったと思うんですよ。しかもモカエフがUFC離脱という話(※取材日は28日)も出ているので、それだったらなおさら(タイトルマッチを)期待しちゃいますよね。同じ日本人だからということを抜きにしても、どちらがチャンピオンとやった時に期待を持てるかと言ったら、僕は平良選手の方だと思いますね」

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『UFC on ESPN 59: Namajunas vs. Cortez』メディカルサスペンション

病院の実力 総合編(2024) (YOMIURI SPECIAL) [ 読売新聞医療部 ]


 コロラド州が『UFC on ESPN 59: Namajunas vs. Cortez』のメディカルサスペンションを公表。

・アンジェ・ルーサが右足の裂傷が医師の診察をクリアするまで無期限出場停止。

・コディ・ブランデージがCTスキャン検査をクリアするまで無期限出場停止。

・ダモン・ブラックシアーがKO負けにより90日間の出場停止。


 その他の選手は60日間以内でした。続きを読む・・・
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【Special】月刊、柏木信吾のこの一番:6月 シェイドゥラエフ&ダウトベック=中央アジアの脅威<01>

【写真】これから数回に分けて、ノジモフ、タウトベック、シェイドゥラエフらの強さと、来日の経緯をお伝えしていきたい (C)RIZIN FF

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。
Text by Manabu Takashima

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾という3人のJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。

今回は柏木信吾にMMAPLANETからリクエストした2024年6月の一番、6月9日に行われたRIZIN47からラジャブアリ・シェイドゥラエフ×武田光司カルシャガ・ダウトベック×関鉄矢の2試合を──月末を迎える前に、食い気味のタイミングで語ってもらった。

彼ら2人に加え、RIZIN46で山本空良を倒したイルホム・ノジモフというキルギス=シェイドゥラエフ、カザフスタン=ダウトベック、そしてウズベキスタン=ノジモフという中央アジア勢の強さを振り返り、「なぜ今、中央アジア勢なのか」を柏木氏に訊いた。


ムサエフやラモフの息抜きって、アイスクリームを食べることなんです

――掲載が半年以上、取材は実に11カ月も空いてしまいましたが、この間にMMAPLANET内外のゴタゴタもようやく着地点が見えてきました。このタイミングで、柏木さんが選ぶ今月の一番を食い気味に復活させて頂きたいと思います。

「ハイ。いや、楽しみですね。また、こうやって話をすることができて」

──ところでZOOMの背景からすると、海外でしょうか。

「ハイ、昨日からアイルランドのダブリンに来ていまして。このあとはタイに寄る予定です(※取材は21日に行われた)」

──相変わらずお忙しいなか、復活した今月の一番ですが、今回はMMAPLANETからの要望としてRIZIN47で強烈なインパクトを残したラジャブアリ・シェイドゥラエフ、そしてカルシャガ・ダウトベックの両者の戦いを振り返り、同時に中央アジア勢やアゼルバイジャンというコーカサス勢の登用という部分に関して、話を聞かせていただければと思います。

「分かりました。まず、彼らを招聘した背景から話せば良いでしょうか」

──アッ、スミマセン。その前になぜ、中央アジア、コーカサス軍団は強いのか。そうなるとすぐにジューサーだ云々という話になるのですが、そこ以外でも要因を見つけたくて。自分はキルギスには行ったことはあるのですが、コーカサスは未踏の地で。アゼルバイジャンを訪れたことがある柏木さんは、現地で彼らを見て何か想うところがありましたか。

「自分達が理解できない強さにぶち当たると、なんでもドーピングに結びつけるというのも…僕はどうかなという想いはあります。アゼルバイジャンだけでなく、隔離が必要だった2週間の間に見た──トフィック・ムサエフやヴガール・ケラモフは本当にストイックでした。イスラム教徒で酒も飲まないし、遊ばない。殆ど息抜きもせずにトレーニングに没頭しているんです。だって試合後の彼らの息抜きって、アイスクリームを食べることなんですよ。

試合が終わるとアイスクリーム・パーティーをやって、アイスとピザを食べる。翌日から、もう次の試合のことを考えた生活に戻っています。そんなストイックな生活を3年間、5年間と彼らはやってきています。食事にも本当に気を遣っていますし」

──中央アジア、そしてムスリムとなると豚肉は食せず、羊肉中心かと。羊の肉は低脂肪高たんぱく。鉄分や亜鉛も豊富で必須アミノ酸も含まれていて、栄養価が高い割にヘルシーだと一般的に言われています。

「ほかの肉と比べるとヘルシーということですよね。何と言っても彼らは1年中、3部練習をしているんですよ。日本人選手も彼らと同じ生活をしていると、彼らに近づくと思います。彼らの練習量、食生活、そしてストイックさを踏襲して、強くなれないのであればドーピングを疑うのも致し方ないですけどね」

羊肉と乗馬ですね。それが強さの鍵

──羊の肉に関していえば、もう20年も前の話ですがノルウェーに取材に行った時に、現地で伝統的な羊肉とキャベツの煮物を御馳走になりました。ユノラフ・エイネモのお母さんが創ってくれたのですが、ユノラフによると「これは人が歩いて移動をしている時に食べていた料理なので、車に乗るようになった現代人が食べると肥満体になる」とのことで。ただし、彼らは厳しい練習をしているから御馳走になるということでした。

「これは全く根拠のない僕の自論なんですけど、羊肉と乗馬ですね。それが強さの鍵だと思います。子供の頃から馬に乗って、羊を食っている人間は強い。そこがコーカサスや中央アジアの選手のベースにある。それが僕の自論です」

──柏木さん、モンゴルのウランバートルのジムへ行くと全てのジムの指導者が「ウランバートルの子供は体力も運動神経もない。彼らは地方の子供と違って馬に乗っていない。だから強いファイターは地方出身の選手ばかりだ。体幹、筋肉、反応全てが違う」と言っています。

「えぇ、そうなんですか!!」

──地方の子は遊びと生活が一体化していて乗馬とモンゴル相撲を続けているそうで。

「うわぇ、凄い。嬉しいです。ホント、モンゴルで馬に乗っている女性のS〇Xは凄いらしいですよ。気持ちが良いそうです」

──おっ、インタビュー終盤でないのにもう柏木節が炸裂ですか(笑)。しかし、男も女性も馬に乗っているカップルだとどうなるのか。

「……。スミマセン、いきなり、飛ばしちゃいましたね(笑)話を戻しましょう。RIZINが招聘している外国人選手の全てに言い当てはまるとは言わないですが、ケラモフとムサエフにドーピング疑惑が生まれるのは彼らが強いから。ずっとトレーニングをしてきて、今もピークに向かっているのだから……なかなか追いつけないと思います」

──押忍。そのなかでアゼルバイジャン勢に優るとも劣らないインパクトがあったRIZIN47……中央アジアの衝撃。シェイドゥラエフとダルベックの強さは、あの一夜でRIZINファンの脳裏に刻まれたのではないかと思います。

「そうですね。内部から戦犯って呼ばれています(笑)」

──アハハハハ。

「何してくれるんだって(笑)」

──そうなると別にMMAってことでなく、勝負だから勝つしかないです。

「ハイ。その通りなんです。箱庭派と開国派なんて、論議がありますけど……」

──えっ、そうなのですか。ペリーがやってきたのだから、もう鎖国はできないのでは。

「現実を見てしまったわけですからね。現実から目をそらしてきた結果が今なんじゃないかと。もちろん、お金が続かないと格闘技興行は打てない。だから箱庭を大切にするという気持ちも分かります。でも今のRIZINは、その狭間をやってきている。

RIZINの人気はストーリーメイク、各選手達を主人公にしていく。それは世界にはないユニークなスタイルです。そのストーリーメイクも、日本人だけでなく海外勢まで広がって来てもRIZINのファンなら楽しんでもらえるんじゃないかと僕は思うようになっています。もちろん、彼らは日本人選手のように創り手側の意図をくめるわけじゃないですけど」

──創るって、別に目の前にある材料にスパイスを与えるだけも良いって思うことがあります。なんだが、最近は切り刻んで揚げて、焼いて、ソースを掛けてって。実際の本人と伝わってくる人間性が違うやんと思うことが多いです。

「う~ん、バランスですよね。『ファンなんて関係ない。観客なんて、どうでも良い』、『自分のためにやっているんだ』という感じの選手はなかなか売り出すのは難しいです。日本の格闘技で食っていくには。それが日本の格闘技の歴史だし。

仕事ってギブ&テイクですから、テイクばかりだと難しい。そういう選手はそれこそ修羅の道、UFCの道を往くと。そういう茨の道の一択しかなくなると思います」

馬のアキレス腱の煮凝り

──素でも面白くないですか。

もう12年も前の話なのですが、ジャダンバ・ナラントンガラグに「モンゴル人選手の強さの源は?」と尋ねると「馬のアキレス腱の岩塩です」と朴訥なまま返答してくれて。

「うわぁ、最高ですね。それがストーリーになっていくなら。でも、そこがストーリーになるって我々のようにはみ出ている人間なんですよ」

──えっ、我々ははみ出ているのですか!!

「そこは、そう思ってないですよね(笑)。マスに向けたコンテンツを創るには、分かりやすさですよね。キム・スーチョルが任天堂Switch発言で、人気者になっちゃったように。あの発言で共感できる人が、たくさん生まれたんだと思います。スーチョルは素なんですけど、そういう部分を見つけたあげることで、マスが共感できるアングルを創り上げるというやり方は全然有りだと思います」

──そのために創り手の方が、よりMMAを理解すれば拾い上げる要素を今よりも広がるかと。

「その通りですね」

感謝をしてくれて日本で戦ってくれる選手となると、中央アジアの選手

──そういう今後への期待を先に話してもらったのですが、改めてなぜ中央アジア勢だったのか。そこを柏木さんに伺いたかった次第です。正直なところ、彼らはRIZINも招聘している元UFCファイターよりもハングリーで、日本で成功するんだという強い意思が感じられました。

「彼らの来日は、円安の影響があることは隠せないです。だから元UFCファイターよりも、Road to UFCかRIZINかという若くて強い選手。そしてコストパフォーマンスの良い選手を招聘するということですね。それに元UFCといっても、至るところにいて。だから元UFCファイターでも資金を投入して呼ぶなら、最低限ランカーでないと。元UFCっていうだけでコストパフォーマンスの良くないファイターを呼んでも、ファンの人達に喜んでもらえないです。

そのファイトスタイルが特別で、どうしても戦って欲しいという風にならない限り、なかなか元UFCファイターというだけ円安の壁を乗りこえて飛びつけないですよね」

──円安の問題は輸入業からすると、本当に大問題です。

「ハイ、少しでもコストを抑えて強い選手。しかもオファーを喜び、感謝をしてくれて日本で戦ってくれる選手となると、中央アジアの選手になります。南米も本当は喉から手が出るほど、呼びたい選手がいます。特にLFAブラジル大会なんてチェックしていると、本当に魅力的な選手だらけです。皆、RIZINで活躍できるだろうって」

──確かにLFAのブラジル大会はフィーダーショーとしても頭抜けていますね。

「ハイ。本当にヤバいですし、全面対抗戦をすればRIZINは全敗するんじゃないかと思います。でも、渡航費がブラジルと中央アジアでは違います。それこそコスパに関係してくるので、ブラジル勢は呼びたい選手の数が本当に多いけど中々ハードルが高い。結果、才能があってダイヤの原石で継続して招聘できる選手となると、中央アジアになります」

<この項、続く>

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2024#02 45 BELLATOR MMA MMAPLANET o PFL Special UFC セルジオ・ペティス パッチー・ミックス フアン・アルチュレッタ マゴメド・マゴメドフ ラフェオン・スタッツ 堀口恭司 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:5月 ミックス×マゴメドフ「もっと勝ちパターンが固まれば…」

【写真】マゴメドフに勝利して王座防衛に成功したミックス。水垣の目にはどう見えているのか(C)Bellator

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年5月の一番──5月17日に行われたBellator Champions Series2024#02「Paris」のパッチー・ミックス×マゴメド・マゴメドフについて、Bellatorの今後も踏まえて語ろう。


――5月の一番は久々にUFC以外、Bellatorでのパッチー・ミックス×マゴメド・マゴメドフを選んでもらいました。ミックスがスプリット判定でマゴメドフに勝利した試合ですが、水垣さんはこの試合をどう見ましたか。

「判定の話をするとマゴメドフが勝ったかなと思いました。5R以外はマゴメドフという印象だったので。ただ3Rにマゴメドフがパンチを効かした以外は、どちらにポイントがつくか分からない展開だったので、ジャッジそのものは割れそうだなとも思っていて。でも、各ラウンドを見直すと、僕はマゴメドフが取ったと思った試合ですね」

――約1年半前の対戦ではミックスがギロチンで一本勝ちしているので、マゴメドフがミックスを追い込んだ試合という見方もできます。

「試合前もすごく楽しみにしていて、5R通して緊張感のある試合ではあったんですけど、改めて試合を見てみると、意外と期待していたものではなかったのかなと(苦笑)。悪い言い方にはなってしまうんですけど。ライブで見る分には緊張感のある試合でしたが、あとで見直して面白い試合かと言われると……でしたね。ずばりもっと組み技を見たかったというのが本音です」

――必ずしもと得意分野での攻防にはならない、ある意味、MMAだからこその展開だったかもしれないです。

「お互い一度対戦していることもあって組み技を警戒していたと思うんですよ。それで打撃勝負になって、お互い意外と打撃ができるところが分かりました。ただやっぱりこの2人だったら……組み技が見たいじゃないですか(笑)。MMAでは組み技が強い選手同士が戦うと打撃戦になることがありますけど、まさにそういうパターンだったのかなと思います」

――これでミックスは21戦20勝1敗となり、Bellatorの王座防衛にも成功しました。水垣さんはミックスのことはどう見ていますか。ものすごくレコードもいいし、一本勝ちも多いのですが、個人的には圧倒的な強さやインパクトが残るタイプではないという印象です。

「2022年にBellatorでバンタム級GPがあって、僕の優勝候補はラフェオン・スタッツ、次点がマゴメドフ、その次にセルジオ・ペティスと堀口恭司選手だったんです。そのなかでミックスが優勝したので、あのトーナメントで評価が変わった感じなんですね。強いのは間違いないのですが、一発で誰でも全員極めてしまうような強烈な強さはないのかなと」

――確かにギロチンを狙って下になることもありますし、一本勝ちできなくても相手を一方的に攻めるスタイルではないかもしれません。

「今回も先に組みに行くのはマゴメドフで、そこにミックスがカウンターでサブミッションを狙う展開になると思っていたんですよ。レスリング的なところはマゴメドフの方が強いし、ミックスがリーチを活かした打撃を見せて、マゴメドフが来たところにサブミッションを合わせる、みたいな。ただ意外とマゴメドフがパンチを当てていて、ミックスも打撃で応戦して、それで打撃戦になっちゃったのかなと」

――だからミックスは打撃は打撃で出来るわけですよね。

「そうなんですよ。どちらかと言えば極め寄りで、あまりレスリング力がないのかなと思いつつ、過去の試合を振り返るとフアン・アルチュレッタをテイクダウンしたり、レスリング力もあるんですよね。ただいまいち強さが伝わりにくいというか…どこが強いんだろうと思わせてしまう。逆にそれで勝ち続けているからすごいのかなと思いつつ、もっと勝ちパターンがしっかり固まれば、圧倒的な強さを見せられる選手になると思います」

――実際に対戦すると見ている側とは違う強さがあるのかもしれないですね。

「バンタム級で180㎝あるので、まずは体がデカい。もし堀口選手やペティスが再戦しても苦戦するだろうなと思うし、そのくらいサイズ感が違うと思います」

――いざ組んでみたら力が強かったり。

「そういうものがあるんだと思います。結果的に(マゴメドフとの)再戦は接戦だったし、前回もギロチンを極めたけど、あれが極まっていなかったら、今回みたいになっているかもしれないですよね。だから僕はもう一度、ミックス×マゴメドフを見たいんですよ。2回勝っているミックスからしたら、モチベーション的にやりたくないでしょうけど(苦笑)」

――そこで気になるのがこれからミックスは誰と戦っていくのかというところです。

「BellatorがPFLと合流して、Bellator Champions Seriesがどうなっていくんだろうなという部分はありますよね。ストッツも試合をしていないし、堀口選手の去就も分からない。でもそれはバンタム級に限らず、Bellatorそのものがどういうコンセプトでマッチメイクしていくのかなという部分でもあります」

――2月のPFL世界王者×Bellator世界王者の対抗戦もBellatorが5勝1敗と大勝しているので、それもマッチメイク的には難しいところですよね。

「Bellatorは大会数そのものも少ないし、メインどころはPFLのレギュラーシーズンに入っていて、そこを勝ち上がると11月まで拘束される。じゃあPFLのレギュラーシーズンで負けた選手がBellatorのタイトルを狙うのかというと、それも微妙じゃないですか。PFLの賞金100万ドルは選手にとっては魅力的だし、BellatorではなくてPFLを目指す選手も多いと思うんですよ」

――現時点ではPFLとBellatorの2ブランドが存在していますが、まだ試行錯誤している段階なのかもしれませんね。

「ヨーロッパの大会が増えているので、そういうマーケットを狙っているのかなと思います。ミックスの試合から脱線してしまいましたが、Bellatorがイベントとして、どういう道を進むのかも見ていきたいと思います」

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【Special】Fight&Life#103より。UFCと契約、朝倉海が話した──平良達郎、鶴屋怜、中村倫也

【写真】迷いがない、ハキハキとした言葉が続いた朝倉海 (C)AP.inc

今月24日(月)に発売されるFight & Life#103で朝倉海の巻頭インタビューが掲載される予定だ。朝倉といえば9日(日)に東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開催されたRIZIN47の第5試合終了後時にリングに上がり、UFCと契約したことをファンに報告している。
Text by Manabu Takashima

「僕は必ずUFCでチャンピオンになってきます。そして世界中のファンを連れて必ずここに戻ってくる」とファンに誓ってから2日後、Fight & Lifeでは港区のJAPAN TOP TEAMを訪れ朝倉をインタビューし、UFCへの想い、RIZINへの恩、UFCで戦っていけると自信を得られた時期と理由等々を尋ねた。

話せること、話せないことがあるなかで、オクタゴンでの階級に関してもしっかりと返答をしてくれた朝倉海インタビューから、UFCファイター3選手とUFC復帰を考えている堀口恭司について言及した部分を抜粋してお届けしたい。


──Fight Nightとはいえベガスの大会でメインを戦う平良達郎選手のことは、どのように思っているのでしょうか。

「いやぁ、平良君は素晴らしいです。無敗っていうことが、まず凄いです。負けない強さって……。MMAは立ち技があって、寝技もある。その分、リスクが高いです。そういうMMAで無敗っていうのは、ボクシングやキックボクシングで無敗より遥かに凄いことですよ。

実際に強い選手とも戦って勝っていますし。海外に乗り込んで勝つというメンタルの強さを持っている。実力もそうだし、そういう精神面も本当に凄いです」

──さらに若い鶴屋怜選手について、どのような印象を持っていますか。

「鶴屋怜選手はレスリング力に、圧倒的な自信を持っていますよね。若さと勢いが凄い。負けん気の強さが、試合からも感じられます。結構、日本人ってその部分が弱い人が多いですよね。気負ったり、気弱になったり。メンタル的に下がったりして。

そういうのが彼にはない。圧倒的に自分に自信を持っている。実力ももちろんありますし、そういうマインドを持っている。若いのに素晴らしいです」

──では年齢的には近い、中村倫也選手に関しては?

「中村倫也選手は、余り試合を見たことがないです。でも、彼も無敗ですよね。確かMMA歴も短いですよね。でも元々レスリングがベースにあることは、凄い強みです。それ以上に凄く頭の良い選手で、もの凄く考えています。格闘技って考えることができないと、強くなれないです。

そういう部分で、中村倫也選手は色々なことを自分のなかに落とし込むことができている。そういう思考があって、感覚を持っている。そう思います」

──いやぁ、海選手が彼らのことをそこまで見ているのが意外でした。

「日本人選手は仲間ですからね。海外で戦っている日本人選手には、仲間みたいな意識があります。絶対に負けて欲しくないし、一緒に頑張っていきたいので……試合を視るようになりました」

──ではオリコンニュースの五十嵐さんのような質問になりますが、UFCで戦いたいと公言している堀口恭司選手の進路がなかなかハッキリしない。この現状について、海選手はどのような見解を持っているのでしょうか。

「これは米国と日本の違い、熱の差だと思います。米国は数字じゃないですか。堀口選手が戦っていた時期はフライ級の人気が全然なかった頃で。デメトリウス・ジョンソンに挑戦した大会(2015年4月25日、UFC186)のPPVの売り上げも良くなかった。(※12万5000件。前後の大会は31万件と38万件。2020年ごろまでワースト10位の売り上げだった)。そういう数字が出てしまっているので、UFCも気にするのかしれないですね。それだと名前がなくても、若くて可能性のある選手と契約しようってなるんだと思います」

──実力的には、どのように思っていますか。

「力という点では、メチャクチャ強いです。UFCの世界チャンピオンと戦っても、勝ちそうなぐらい強いと思います」

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AB o RIZIN RIZIN47 Special YouTube  

【Special Ring Side】Yogibo presents RIZIN.47(動画)

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 『RIZIN.47』スペシャルリングサイド動画です。続きを読む・・・
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[ZFN 뉴스] UFC와 계약했습니다 l Z-FIGHT NIGHT

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6월 29일 ZFN 대회 티켓은 아래 링크로 들어가면 구매 가능합니다!

[ZFN 티켓 구매 링크]
https://tickets.interpark.com/special/sports/promotion?seq=33

제작: (주)라이크플레이
비즈니스 문의: biz@lkpl.net

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【Special】『MMAで世界を目指す』第6回:鈴木陽一ALIVE代表「MMAファイターの脱水と脳震盪」─02─

【写真】鶴和レフェリー&ドクターに脱水について訊きます(C)SHOJIRO KAMEIKE

世界的なスポーツとなったMMAで勝つために、フィジカル強化は不可欠となった。この連載では「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく。
Text by Shojiro Kameike

連載第6回目は、救急科のドクターでありMMAのレフェリーも務めている鶴和幹浩氏にご登場いただく。前編では鶴和氏にドクターとしてのお仕事と、MMAのレフェリーについてご説明いただいた。後編は本題である「MMAファイターの脱水と脳震盪」について考えていこう。減量で水抜きを行う選手が多いMMAだけに、ぜひ知っておいてほしい。

<連載第6回Part.01はコチラから>


極限の状態でも水があれば生命を繋ぐことができる。逆に……

鈴木 選手の体づくりに関する連載の中で、ドクターでレフェリーもやっている鶴和さんに脱水と脳震盪についてお聞きしたいと思っていたんです。特に脱水については、たとえば私がやっていた陸上競技では、試合前に体重の2~3パーセントも脱水していたら出場停止でした。でもMMAの場合は通常体重の7~8パーセントも水抜きをして、24時間後に試合をする。MMAはほとんど室内で行われていますが、たとえば炎天下の中で行うスポーツで、試合前に7~8パーセント脱水していると怖いですよね。

鶴和 怖いですね。まず脱水が身体に良いわけはなく、悪いとしか言いようがないのです。よく知られているのは、人間の身体の約6割……つまり体重の半分以上は水で出来ています。その水分が出たり入ったりしながら、身体を維持しているわけです。救急診療の現場でも、口から水を飲めるかどうかは非常に重要で、病気がなんであれ、口から飲めない患者さんは入院して点滴が必要になります。

たとえば山で遭難した人が2週間後に救出されたというニュースがありました。その人たちは2週間、食事をしていないのに生存していて。なぜかというと沢の水を飲んでいたというんです。水分を摂っていたから生還することができた。極端な話、食事は摂らなくてもある程度大丈夫ですが、水分を飲まないと干からびて危険な状態になります。

鈴木 まずは水分なのですね。

鶴和 極限の状態でも水があれば生命を繋ぐことができるという一例です。逆に脱水は全ての臓器、器官に悪影響を及ぼし、生命に関わることもあります。

鈴木 通常体重の5パーセント前後の脱水をした場合、24時間あれば筋肉や内臓の水分バランスは良くなるけど、脳や脊髄の水分はなかなか戻らないという話を聞いたことがあります。だから10パーセントも脱水した人は、試合で受けるダメージも違ってくると。

鶴和 その可能性はあるかもしれません。やはり試合前の脱水は極力避けたいですが、そうせざるを得ない状況がありそうですよね。よく選手が計量当日の朝から水抜きをして、カラカラになって計量会場に現れるじゃないですか。良くないことだとは分かっていても、戦略上、仕方ないという理由でやっているように感じます。

鈴木 試合当日に体重差があると不利だ、という気持ちはありますよね。選手によっては計量から試合前に10パーセントは体重が戻りますし。

鶴和 それだけ戻ると、当日のパンチに乗る体重が変わってきますし、そのぶん攻撃力も違ってくるでしょうね。

先ほど鈴木さんから体重の2パーセントという数字を伺いましたが、通常体重が60キロだとすると2パーセントは1.2キロです。身体から1.2kgつまり1.2リットルもの水分が失われるというのは結構キツい。でも選手は5~6キロを水抜きで落とすわけですよね。

2リットルのペットボトル×3=6キロ。500ミリリットル1本と比べると、その量がよく分かる

鈴木 6キロというのは、2リットルのペットボトル3本分だと考えてくれれば、よく分かりますよね。それだけの水分はもう脳、脳幹、脊髄の水分もなくなるでしょう。

鶴和 全身のあらゆる臓器から水分を抜いてしまっている可能性はありますね。医師としては「脱水はよくない」としか言いようがないです。ただ、競技の性格上、難しいですよね。

水抜き後にカラカラになった状態での長距離移動は危険

鈴木 本来は、脱水は体に良くない行為です。それを前提として、MMAが階級制であるかぎり減量という行為はなくならない。特に心配なのは、脱水後は血液が濃い状態になっている。その状態で心拍数が上がると血管が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞の心配も出てきませんか。

鶴和 救急の現場では「脱水は何でも悪くする」と患者さんに説明しています。病気や診断が何であっても、脱水状態になれば病状は悪化しますよ……と。だから入院して点滴を受けてもらうとか、水分補給については詳しく説明しています。

鈴木 他の病気にも影響を及ぼすのですね。

鶴和 はい。様々な病気やケガ、全身の臓器も脱水によって状態は悪化します。腎臓などは特に脱水の影響をモロに受けやすい臓器ですね。

鈴木 競技トレーナーからすれば、減量のために脱水せざるをえない時があります。だから、できるだけ脱水のパーセンテージを下げて、最低でも脱水中は付いてあげてほしい。ウチは脱水のパーセンテージが高い選手は、計量前日からコーチと一緒に入ります。そのホテル代は自費になっても、選手の安全のためですから。

鶴和 そうですね。計量会場まで長距離移動の場合、水抜き後にカラカラになった状態で新幹線や飛行機に乗るのは危険です。特に飛行機での長時間の移動では、エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)で血液の塊が肺に詰まったりすることもあります。肺血栓塞栓症は致死的な病気で、脱水では、より起こりやすくなりますね。

鈴木 ウチの場合は全選手、試合が決まると体重の折れ線グラフをつくります。バンタム級=61.2キロの選手だと、計量の前々日=塩分抜き前にリミットまで4キロの状態にしておく。現状が試合の6週間前で71キロであれば、65キロまで落とす。その6キロを6週間で割ると、1週間に1キロになりますよね。その数字を目安にして毎週チェックします。

ジムでの計量風景。どれだけ普段から自分緒体のことを考えられているかが大切だ(C)ALIVE

もし途中で体脂肪を落とせていなかったら、サンドバッグやヒートトレーニングを余分にやらせたりとか。逆に落ちすぎている選手は健康状態をチェックしたりしますね。急に落ちるのは脱水状態だから、睡眠が足りていないかもしれないと。

鶴和 体組成までチェックされているのですか?

鈴木 道場に体組成計があるので、若い選手は最初に体組成をチェックします。見た目と体組成は結構違っていて、体組成計でチェックしますね。ONEが導入しているハイドレーション・テストは、形を変えてジム単位でも導入したほうが良いのかなと思うんですよ。ONEのように計量当日ではなく、計量日までの確認として。

鶴和 パンクラスでも計量3日前の体重を報告してもらっています。参考値としてですが、その時点でリミットから大幅に重い選手が3日間で落とせるのかどうか。果たして3日間で落としていいものなのかどうか、と。

鈴木 医療面から考えると、脱水は良くないという結論は変わらないと思います。でもMMAの前提として減量があり、減量のための水抜きもある。ただ現在、UFCは選手が現地に入ったあと、減量食からリカバリーのドリンクまで順番を決められているそうです。だとすれば、できるだけ健康な状態に戻して試合に臨めるように、次はリカバリーも含めて専門的に考えていきたいですね。

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