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【団体戦KO集】ケンカバトルロワイアル選手を簡単にKOで沈める。 #shorts

FIRST IMPACT Special2
MCバトル×喧嘩自慢

ケンカバトルロワイアル VS FIRST IMPACT
5対5で行われた団体戦のKO集。

プロキックボクサーの神助。

経験値の違いを見せ付ける綺麗なKO勝利!

ショートでは収まり切らなかった映像はチャンネル内から。

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#FIRSTIMPACT
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Black Combat11 Interview K-MMA other MMA Special SUPER RIZIN03 ブログ 山本聖悟 芦澤竜誠

【Special】Fight&Life#104より。芦澤竜誠×山本聖悟「竜誠に言われたことは間違ってない」(山本)

【写真】練習はもちろん、お互いにセコンドについて試合をサポートする芦澤と山本。対談でも2人の息はぴったり合っていた(C)MASASHI KIKAWA

現在発売中のFight & Life#104のワイド特集「格闘技日本代表」内で芦澤竜誠と山本聖悟による対談が行われた。
Text by Takumi Nakamura

7月13日に行われたBlack Combat 11でパク・ソンジュンをKOした山本、そして7月28日の超RIZIN03で皇治に判定勝利してMMA初勝利を挙げた芦澤。2人は芦澤がK-1参戦当初から交流があり、芦澤のMMA転向に合わせて共にMMAに取り組むようになった。

今回の対談ではそれぞれの試合を振り返りつつ、独自の打撃論について語っている。MMAPLANETでは「Black Combat 11」での山本×ソンジュンについて語っている部分の一部を掲載したい。


──それでいくと、山本選手は韓国のBlack Combat(以下、BC)に参戦していて、7月のパク・ソンジュン戦でもKO勝利して、現在3連勝中です。ちょうど芦澤選手と練習するようになった時期と重なりますよね。

山本 最後に負けた試合(2023年1月のキム・ジョンフン戦)から竜誠にセコンドについてもらっていて、今年は3戦3勝です。

芦澤 俺がセコンドについて、試合前に「絶対にこれやったら勝てるよ」って話をして、それが実際にハマったことがいっぱいあるんですよ。俺がセコンドにつく以上、勝たせなきゃいけないんで。

山本 BCはプロモーションも兼ねて試合の一週間前くらいから現地に入るんですけど、竜誠もそのタイミングから来てくれて、向こうのジムで一緒に練習して、その一週間で分かることも多いんです

芦澤 それで結果が出て、ってことがお互い積み重なっているから、お互いを信じて、自信にも繋がる。基本的に俺と聖悟は一緒じゃないですか、ストライカーとして。だから聖悟の打撃が段々と試合でもハマって、俺たちがやっていることは間違いないよねっていう。

──山本選手としても芦澤選手のアドバイスを受けて打撃の向上や変化は感じていますか?

山本 感じますね。例えば前回の試合は相手がサウスポーで、試合の一カ月前くらいからクレイジービーの選手にスパーリングパートナーをお願いして、サウスポー対策をやっていたんです。でもその時のスパーリングで怪我しちゃって。その時の動画を見ていたら、僕の位置取りとか動きがよくなかったんです。

芦澤 そうそう。だから俺がスパーリングの映像を見て「それじゃダメだよ。こうやって動かないと」ってアドバイスして。

山本 竜誠のアドバイスを聞いたら、なんで自分が怪我したのか分かるし、骨折してからはスパーリングはできなかったんですけど、動きそのものを修正することが出来たんです。

芦澤 俺もずっと立ち技やってたから“見える”んですよ、有利なポジション取りとか。それでいうと怪我した時の聖悟は相手にとって有利なポジションでやっちゃってたから、ある意味、自滅してた。だからそこを俺が修正したら、試合でKOしたんですよ。

山本 まさに竜誠に言われたことは間違ってないなと思いました

■「俺はK-1の頃から距離で戦うタイプ。MMA用の距離感が自分の中で分かってきた」(芦澤)「一度ブランクがあって復帰して、今年から連勝が始まった。これから竜誠と一緒に上がっていく」(山本)。ファイトスタイルや技術体系はもちろん、人間性も含めて盟友と言いたくなるほど息の合った2人。両者の対談が掲載されたFight&Life Vol.104は現在発売中です。

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45 MMA MMAPLANET o Special UFC カマル・ウスマン クレイ・グイダ コナー・マクレガー コルビー・コヴィントン ショーン・オマリー ダナ・ホワイト ネイト・ディアス ベラル・モハメッド ベンソン・ヘンダーソン レオン・エドワーズ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:7月 エドワーズ×モハメッド「モハメッドの良さを伝えたい」

【写真】決して派手なスタイルではない。だからこそモハメッドの試合にはMMAの奥深さが詰まっている(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年7月の一番──7月27日に行われたUFC 304「Edwards vs Muhammad 2」のレオン・エドワーズ×ベラル・モハメッドについて語ろう。


――7月の一番として、レオン・エドワーズ×ベラル・モハメッドのUFC世界ウェルター級選手権試合を選んでもらいました。この試合を選んだ理由を教えてもらえますか。

「僕はモハメッドの地味強感が好きというか、彼はフィジカル的にすごく優れているわけでもないし、リーチが長かったり、なにか特徴があるわけでもない。バックボーンはレスリングですが、決してエリートレスラーというわけでもなくて、そういう選手がMMAファイターとしてUFCのトップ戦線で戦っている。しかもフィニッシュするのではなくて、5Rフルに使って戦って勝つというのが非常に僕好みですね。

今回はエドワーズ相手にモハメッドの良さがすごく出ていて、こういう試合をみなさんに伝えられたらなと思って選びました。おそらくもっと派手な試合、例えばエドワーズのKO勝ちを期待したファンの方も多いと思うんですけど、僕的には見たいものを見ることが出来た試合です」

――この取材前にモハメッドのプロフィールを調べたら、モハメッドは高校時代にレスリングをやっていたくらいの経歴なんですよね。それで開始早々にモハメッドがテイクダウンするという展開でスタートしました。

「まずそこがすごく驚きました。エドワーズのここ数戦を見て カマル・ウスマンやコルビー・コヴィントンといったテイクダウンが強い相手に対して(エドワーズは)はほとんどテイクダウンを許してないんですよ。そのエドワーズ相手にモハメッドは開始早々テイクダウンをとってるんですよね。その作り方もすごく上手いですし、この最初のテイクダウンが活きて、その後のラウンドも有利に試合を進めていくので、試合の作り方の上手さも感じました。

もちろん1個1個の格闘技の技術もバランスよく使うものは持ってるんですけど、それ意外の部分での試合巧者というか、相手の心理を読むというか。そういう心理戦がすごい上手いんじゃないかなと思います。それがまさに最初のテイクダウンで、あれはほぼファーストコンタクトに近いようなタイミングでのタックルでしたが、おそらくエドワーズはああいうタックルはが来るとは思っていなかったと思います」

――結果的に最初にモハメッドがテイクダウンを取ったことで、エドワーズはモハメッドのテイクダウンを警戒せざるをえなくなりましたよね。逆にモハメッドはテイクダウンだけでなく打撃でもいけると踏んだと思いますし、まさにあの一発目のテイクダウンが25分間の試合の流れを決めたと思います。

「そうなんですよ。エドワーズはいきなり予想外のタックルに入られて、焦ってテイクダウンを取られてしまった。 それで打撃・スタンド勝負でも、モハメッドは楽になったと思うんですよね。それで1Rの終わりぐらいにモハメッドが打撃をまとめるシーンがあるんですよ。あれはおそらくエドワーズがテイクダウンを警戒して自分の打撃ができなかったところに、モハメッドがパンチを当てて、明らかにエドワーズが嫌がったんです。

ここでモハメッドは打撃で攻めるんじゃなくて、もう一回タックルに入るんですよ。で、そこでもまた1発でテイクダウンを決めました。そういった試合運びの巧さというかクレバーさ。フィッシュを狙うファイターであれば、打撃であそこまで行けたら そのまま打撃で行くと思うんですよね。でもそこで自分がやることを明確にして、打撃からテイクダウンに切り替えることが出来る。相手が打撃を嫌がって意識が上に行ったら、タックルに行くという。そこをパっと切り替えられることの凄さですよね」

――またモハメッドは上(打撃)と下(テイクダウン)の散らしが絶妙ですよね。

「僕もモハメッドのテイクダウンの何がいいのかを考えて、僕は理由が2つあると思うんですよ。まず1つは位置取りですよね。モハメッドはたまにスイッチを使いながら、 ナチュラルに相手にケージを背負わせるんですよ。それで相手のバックステップを殺しておいて、パンチかタックルの2択にして、パンチを散らしてタックルって入っていますよね。あともう1つは左手=前手の使い方がすごく上手いです。ジャブだけじゃなく、アッパーも打ったり、左のパンチを散らすことができる。その2つの要素がモハメッドの試合の作りにすごく関係している気がします」

――エドワーズからすると知らないうちにケージに詰められていて、打撃を散らされてテイクダウンに入られていたわけですね。

「おそらく打撃の1発はそんなにないと思うんですよね。いざ打てば強いかもしれないですけど、そういう打ち方をしていない。相手としては(モハメッドのパンチを受けて)これなら大丈夫かなと自然にステップしていたら、いつの間にかケージを背負っていって『あっ!』と思った時には、目の前で左のパンチを散らされている。今度はそれを鬱陶しいなと思ったら、タックルに入られているみたいな。そういう作りが完成されている気がします」

――技術的なところで言えば、股下で腕をクラッチして相手を持ち上げるテイクダウンが目立っていました。

「僕はあれをクレイ・グイダ・スローと呼んでいるんですよ。クレイ・グイダがネイト・ディアスを投げた時の技があれだったので(笑)」

――確かにクレイ・グイダがやっているイメージがあります(笑)。

「ハイクロッチから股下でクラッチして持ち上げる技なんですけど、あれはサクラバアームロック(キムラロック)を取られた時のカウンターでやると有効なんですよね」

――モハメッドはバックを取った時でも、すぐに両足フックせずにレスリング的なコントロールで上手く時間を使っていました。

「時間の使い方もすごい上手いですよね。バックキープはしつつも、あまりそこには固執せず。下になったシーンもありましたけど、基本的にはもう1回上を取りに行っている。あの辺りのポジションコントロールも、いい意味でフィニッシュにこだわりすぎていない。 本人もインタビューで言っているように、ドミネイトして制圧して強さを見せることが好きなんでしょうね。僕もそういう戦い方は好きですね」

――しかもそういった試合運びをエドワーズにやったことがすごいと思います。

「エドワーズはウスマンやコビントンのテイクダウンを切って、逆にテイクダウンするぐらいの選手なので、このレスリング力で、あの打撃があったら、なかなか崩せる選手はいないだろうなと思っていたところで、モハメッドが開始早々にテイクダウンを取って。モハメッドがMMAというものを見せてくれた感じがして、すごくよかったです」

――年齢的にも36歳での王座戴冠でした。

「階級がウェルター級なので、軽量級よりも多少は競技寿命が長いと思うのですが、身体能力に頼った戦い方ではないですよね。反射神経や瞬発力に頼らず、試合運びや駆け引きを武器として戦ってる選手なので、基本的な技術プラス試合作りが上手いですよね。その試合作りで言うと、3Rにエドワーズにバックを取られた時点で、僕はモハメッドがラウンドを捨てたような印象があるんですよ。このラウンドを取られてもいいから、体力回復にあてよう、みたいな。だから僕は5Rこそモハメッドの良さが出る気がしています」

――ポイントを計算できるからこそ、そういった戦い方もできる、と。

「3Rも最初はモハメッドが攻めに行って、スクランブルの攻防でバックを取られちゃって、その瞬間に、フィニッシュさえされなければいいやと思ったんじゃないのかなと。僕は見ていてそう感じていて、そういったラウンドを捨てる潔さもいいなと思いました。

例えなハビブ(・ヌルマゴメドフ)の過去の試合を見てみると、試合中に休むんですよね。1・2Rを明確に取ったら3Rは休む、みたいな。ただハビブの場合はポジションを許して休むのではなくて、攻めのテンションを一旦落ち着けて休むみたいな戦法で。モハメッドの場合は先に攻めたんだけど、守勢に回る展開になって、そこで休むことを選択したように見えました。そこでの切り替えの良さというか、すごくクレバーだなと思いましたね」

――なるほど。3Rはサブミッションさえ凌いで休めればいいという判断だったんですね。

「僕はそう思いました。バックを取られて相手に首を絞められたり、うつ伏せで潰されてしまうとダメですが、モハメッドのようにエドワーズを下にして、自分が天井を見ているような状態でバックを取られている分には強い打撃をもらうことはないと思うんです。

だからダメージもそんなに受けないし、サブミッションだけ気をつけていれば意外に疲れないのかなと。もちろん寝技が超一流の相手にバックを許して休むのは危険ですけど、エドワーズからはそういった危険を感じなかったと思うんですよね。だから一本を取られないようにディフェンスして、休もうという感覚もあったのではないかと思います」

――少し話題はずれますが5Rにモハマッドがバックを取っていて、最後の最後にエドワーズが正対して肘で流血させたじゃないですか。ああいう展開でエドワーズにポイントが入ることもありえそうですね。

「それはあると思います、ダメージ重視の視点でいくと」

――バックを取られて相手に攻めさせないで守るというのも戦法の一つとしてありえるのかなと思いました。

「自分と相手の技量を比べて極められない自信があって、ポイント的にもリードしているという、非常に限定されたシチュエーションにはなりますけど、5Rマッチであればそういう選択もありなのかもしれません。

もちろんモハメッドがバックを取られた状態から粘るのが得意だったのかもしれないし、その辺も含めて自分が持ってる引き出しと使い方、それを完全に熟知して戦っていると思います。ずば抜けて特別なものを持った選手ではないけれど、自分が持っている引き出しをどう使えばいいかを分かっている。だから勝つ。そういう選手なんだと思います。僕もそういう戦い方をしたかったので、モハメッドにはすごく惹かれますね」

――今のUFCチャンピオンの顔ぶれを見ると、また新たな個性を持ったチャンピオンが誕生しましたよね。

「ぶっちゃけ人気は出ないと思うんですよ(笑)。PPVが売れなくて、ダナ・ホワイトがキレる姿を想像しちゃいますけど、間違いなく通好みの選手ではあるので。MMA好きはチェックすべき試合、選手だと思います」

――確かに派手さはないかもしれませんが、例えば選手サイドからすると参考になる点が多い選手かもしれませんね。

「この企画でも以前話したことですが、教科書にしていい選手としちゃいけない選手がいて、ショーン・オマリートやコナー・マクレガーを真似するのは相当難しいと思うんです。そういう選手に憧れる気持ちは分かりますが、僕のような凡人が(笑)憧れる選手、見本とする選手は今回のムハマッドだったり、僕は結構ベンソン・ヘンダーソン戦い方が好きだったんですけど、そういう真似できる可能性がある選手を見るべきだと思いますね」

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45 AB MMA MMAPLANET o Special UFC UFC305 YouTube アレッシャンドリ・パントージャ アーセグ カイ・カラフランス スティーブ・アーセグ ブランドン・ロイヴァル ボクシング マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 平良達郎 福田龍彌

【Special】Fight&Life#104より。ロイヴァル戦決定、平良達郎「向うの攻撃が想定内になることが重要」

【写真】MMAへの透明度が、さらに上がっているように感じた (C)FUMIO KURODA

今月23日(金)に発売されるFight & Life#104のワイド特集「格闘技日本代表」内で平良達郎の巻頭インタビューが掲載される予定だ。UFCフライ級5位の平良は、10月12日に1位のブランドン・ロイヴァルとの一戦が決まった。
Text by Manabu Takashima

ロイヴァル戦を通して、タイトル挑戦への筋道。平良のUFCへの想いを尋ねたインタビューで、スペースの都合上誌面で掲載できなかった箇所を切り取って、MMAPLANETで公開したい。


──ペレスに勝った直後にはムハマド・モカエフという同い年で無敗同士の対戦というストーリーラインも盛り上がるという話もされていました。しかしUFCはモカエフとの契約を更新せず。モカエフが12月に予定されるアレッシャンドリ・パントージャへのチャレンジャーの有力候補でもあったので、平良選手にその枠が回ってくるかもしれないという話が内々では聞かれていました。

「モカエフがマネル・ケイプ戦で圧倒的な勝ち方をして、彼が次の挑戦者になってもいずれは交わる日が来る。そうなれば僕らの試合は盛り上がるから、モチベーションも高く保てるという心境でした。結果としてモカエフがいなくなり、僕はランク5位だし挑戦者になるのは唐突だなという想いでしたね。

同時にちょっと早いと思いつつ、そうなった時のために準備はしていました。ただ、モカエフとは将来的にオクタゴンで戦える日が来ることを期待しています」

──結果、10月にロイヴァルと戦うことになった。同時に8月18日のUFC305ではカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグのタイトルコンテンダー同士の一戦も組まれており(※結果はカイ・カラフランスが勝利)、挑戦権争いのライバルと見て良いかと。

「ロイヴァル戦がなくて12月に挑戦となれば、美味しいという見方はできかと思います。でも、14位の状態で5位の選手と試合ができたわけだし、そこまで都合が良いようには望んでいなかったです(笑)。元々トップ5の選手と戦うには、あと2勝ぐらい必要だと考えていたので。5位になったといっても、ここから上の選手と戦って自分の力を見せることでよりタイトル戦が盛り上がるはずです。

同時にカイ・カラフランスとアーセグの試合の勝者の方が先に挑戦することになるかもしれないですが、ロイヴァル戦は文句なしで挑戦者決定戦の意味合いを含んでいるので、凄く気合いが入っています」

──おおッ!! 力強い言葉です。同時に今のMMAはテイクダウンを軸に攻撃が評価対象になりやすい打撃、スクランブル、攻防になることが少なくなってきた寝技という3つの局面があるなかで、ロイヴァルは寝技の攻防が可能になるファイターで極めが強いです。そういう点でも、過去の試合と比較して対策練習の比重も変わってくるかと思われます。そこで平良選手がフィニッシュを警戒するレベルにある練習パートナーは存在しているのでしょうか。

「なかなか練習相手で下からの極めを積極的に使う人はいないです。柔術家で下からの仕掛けが上手い人を沖縄に呼んで、対策練習をする必要はあります。ロイヴァルにしても他の対戦相手にしても、向うの攻撃が僕のなかで想定内になることが重要で。

できるだけクローズドガードの中に入らない。入るとラバーガードで足が上って来るので、できるだけハーフガードで足を潰すことはイメージしています。それに柔術に関しては、パラエストラ沖縄時代から松根(良太代表)さんに基礎から習ってきているので、やりあえる基盤はあると思っています」

──ロイヴァルは胴と手が長い。そんな印象があります。

「長いですね(笑)。ただ、その手の長さに関連してくるのは寝技の前の打撃の展開、サウスポー対策が先決だと思っています。そこは松根さんと相談して、福田(龍彌)選手にまた沖縄に来てもらうことになっています」

──福田選手とは今年の1月にも一緒に練習をしていますね。

「ハイ。今回は10日から2週間ほど来てくれます」

──福田選手の呼ぶところのセッションとは、毎回斬り合うイメージで練習をする。スパーだけでなく、ミット打ちも真剣勝負という姿勢です。

「福田選手はスネ当てもつけないし、グローブもボクシンググローブでなくMMAグローブです。僕の打撃スパーはソフトな方なので、福田選手との練習は緊張感があります。それでも福田選手も、京都の方で練習をしている時ほどガチではないと思います。とにかく福田選手の話してくれる打撃論が面白くて」

──福田選手から学べることは、どういったモノですか。

「福田選手はスパー中に、本当に隙を見せないです。だからこそ、あれだけ手数を増やすことができる。逆に僕は福田選手の動きを見てしまうんですよね。そうなると、僕の方に隙ができる。福田選手はミットでも何でもMMAをとことんイメージして、練習をすることができる人で。それをスパーリングと上手く連動させているから、積み上げてきている部分が凄いです。福田さんとは新鮮な気持ちで練習できます」

■「UFCで戦っていると、選手の体調を気遣ってくれるので長く現役生活を送ることできる」、「相手の嫌がることを選択していくことが一番大切」、「1位のロイヴァルに勝ってタイトルに挑戦しようとすることは間違ったことをやっているわけじゃない。納得して歩んでいる道」。なぜ、UFCなのか。MMAという戦いの本質。朝倉海×パントージャ戦の噂──等々への問いに関して、平良達郎の人間性が伝わってくるインタビューが掲載されたFight&Life Vol.104は8月23日(金)の発売です。

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45 Fight&Life MMA MMAPLANET o Special UFC UFC303   アレックス・ポアタン イリー・プロハースカ キック ジョン・ジョーンズ 大沢ケンジ 柏木信吾 水垣偉弥

【Special】月刊、良太郎のこの一番:特別編 ペレイラ×プロハースカ「武器を厳選して殺傷能力を上げる」

【写真】二度目のプロハースカはペレイラの格闘IQの高さが詰まったKO劇だった(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客にMMAPLANET執筆陣がインタビューをしてきた「月刊、この一番」シリーズ。そこに新たに初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者にして、立ち技・MMA問わず多くの選手を指導する良太郎も参加。MMAの主要選手はすべてチェックしているという打撃の専門家の目線でMMAを語ってもらう。

今回は良太郎が選んだ2024年7月の一番として、試合をセレクトしてもらう予定だったが、さっそく良太郎のこだわりがさく裂。どうしてもこの試合を語らせて欲しいということで──6月29日に行われたUFC303のアレックス・ポアタン・ぺレイラ×イリー・プロハースカについて語ろう。


――さて今回から「月刊、この一番」に良太郎選手にも参加していただくことになりました。当初、7月の大会から試合を選んでもらう予定だったのですが、良太郎選手の強い希望で6.29「UFC303」のアレックス・ペレイラとイリー・プロハースカの試合をセレクトしてもらいました。

「この話をいただいて、ペレイラとイリーの試合しかないよなと思って、映像を再チェックしてたら6月30日(※日本時間)だったんですよ。改めて7月の試合からも選ぼうと思ったんですけど、どうしてもペレイラのことを話したいので、第1回目から特別編になっちゃいますが、よろしくお願いします(笑)」

――そういうこだわりを語ってもらうのがこの連載の趣旨なので、全く問題ありません(笑)!では良太郎選手はこの試合を見て、どんな感想を持ちましたか。

「過去に一度両者が対戦していて、ややスクランブル的に決まった試合だと思うんですけど、僕は予想として普通にペレイラがいくだろうなと思っていました。ペレイラは武骨だし、器用には見えないんですけど、ものすごく格闘技IQが高い選手だということを再確認しました」

――どこにペレイラの格闘技IQの高さを感じましたか。

「ペレイラは自分の戦い方が確立していて、イリーはやや変則的で、一度目の対戦とは大差ない試合になると思っていたんです。それがいざ蓋を開けてみると、ペレイラが細かく段階を踏んでKOにつなげていて、すごく上手くなっているなと感じました。例えば一度目の対戦ではイリーがタックルのフェイントを入れて、スイッチしながら飛び込んでいて、そこでペレイラはスイッチヒッターにやってはいけない動きをしてしまって、打撃を被弾していました。

 それでも最終的にペレイラは右の縦拳アッパーからの左フックでKOしていて、今回の再戦にあたってイリーからすると一度倒されている恐怖心もあるし、右のカーフや左フックが強烈だという刷り込みもあったと思うんです。それもあって2度目の対戦ではペレイラのゾーンがより確立されているなと思いました。右のカーフでコツコツ削って、イリ―がスイッチしたら左の三日月蹴りを蹴って、またカーフを蹴る。これで完全に制空権を支配して、イリーがステップインして来たらバックステップして得意のスマッシュを合わせる。1R終了間際のダウンはまさにそれでしたよね」

――フィニッシュになった左ハイはいかがでしたか。

「あれも完璧でしたね。試合後にペレイラがコメントしていたように、あの左ハイは試合までに用意していたものではなくて、試合直前に流れたイリーのウォーミングアップの映像を見て、コーチたちと『イリーはカーフを蹴ると手が下がるから、ハイキックを蹴ろう』とセッションして、その場で左ハイを蹴ることを決めたそうなんです。直前でもそこまで相手のことを観察して、それをチームでセッションできる。本人はもちろん、そういう役割を担う参謀役もいるんだろうなと思います」

――直前にそこまでチームで作りこんでいたのはすごいですね。ちなになぜイリーはペレイラにカーフを蹴られて手を下げてしまったのでしょうか。

「もともとイリーはガードを上げない構えで、手を下げたところから差すようなパンチを打ったり、タックルのモーションを見せるんですね。それでペレイラにカーフを蹴られたらカットするのではなく、おそらくパンチを合わせようとしていたんだと思うんです。それで自然に手が下がってしまっていたんでしょうね。あとペレイラが左ハイを蹴った時、手が下がっていたイリーはペレイラの左足をすくおうとしているんですよ。あれは三日月蹴りを蹴られていたから、そういう蹴りが来ると思って左の蹴りをすくおうとしていたんだと思います」

――まさに計算しつくされた左ハイだった、と。

「ペレイラはペレイラで試合直前のアップで左ハイを蹴っていましたからね。前回はカーフを効かされたイリーがタックルに入っていましたが、今回はそれすらさせなかったですし、以前、Fight&Lifeの取材でペレイラのことを“ヘタウマ”と表現しましたが、制空権の支配はピカイチですね。そして必ず自分の勝ちパターンに持っていくところはすごいです。僕はペレイラのことが大好きで、もしかしたらペレイラは左利きのオーソドックスかなと思ったこともあったんですよ。セーム・シュルトも右利きのサウスポーだから、ジャブがストレート並みに強いというじゃないですか。でもペレイラがサインしているところを見ると右手でペンを持っていたので、右利きは右利きだと思うんですよね」

――そこまでチェックしていたんですね(笑)。

「はい(笑)。だから日々の積み重ねであの左を磨いたんだと思います」

――これでペレイラは3連勝、完全に勝ちパターンが確立されてきました。

「相手からしたらとてつもなく嫌ですよね。ただペレイラの戦い方は自分のフレーム、骨格、リーチ、得意不得意、年齢……そういうすべてのものを加味して、自分にしかできないことをやっていると思います。必要なことしかやらない=マイナスの練習をしながら、それが結果的にプラスになっている。持っている武器を厳選しつつ、その武器一つ一つの殺傷能力が上がっていますから」

――ある意味、達人的なところまでいきつつある選手でしょうか。

「そう思いますよ。実際に“触れたら倒せる”のところまで近づいているわけですし」

――UFCでミドル級とライトヘビー級を獲って、もしヘビー級まで獲ることになったら、いよいよ最強と言える選手になるのではないかなと思います。

「山の頂上が見えている選手ですよね。僕はずばりジョン・ジョーンズをぶつけてほしいですね。ペレイラは戦績はもちろん、武骨なキャラも浸透してきて、ファイターとしての色気もあるじゃないですか。みんなジョン・ジョーンズVSアレックス・ペレイラは見たいと思いますよ」

――ジョーンズは次戦で引退という報道もありましたが、なんとかこの夢のカードは実現して欲しいですね。そういうわけで今後もよろしくお願いいたします!

「次回はちゃんと8月の大会からセレクトします(笑)!」

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【Special】アジアの猛者たち─03─ラジャブアリ・シェイドゥラエフ「基本的にバンタム級のファイターだ」

【写真】シェイドゥラエフと同様に、いや彼以上のノリノリだったマネージャー氏もスクショでしっかりと写り込んでくれました(笑)。そして――シェイドゥラエフ、まるまるしているぞ (C)MMAPLANET

UFC、RIZIN、北米フィーダーショー、日本のプロモーションと世界中のMMAを見渡してみると、明らかにアジア勢が台頭しつつある。もちろん、アジアといっても広い。その勢いの中心は東アジアではなく、中央アジアだということも百も承知だ。MMAPLANETでは6月から日本人ファイターと肌を合わせた経験がある──あるいは今後その可能性が高いアジアのファイター達にインタビューを続けてきた。

題して「アジアの猛者たち」──第3弾はキルギスからラジャブアリ・シェイドゥラエフのインタビューをお届けしたい。
Text by Manabu Takashima

6月9日のRIZIN47で武田光司をテイクダウンからバック奪取、ほぼワンアームでRNCを極め一本勝ち――初来日で、大きなインパクトを残した。日本のフェザー級トップファイターを圧倒したシェイドゥラエフに格闘家人生を振り返ってもらい、今後について尋ねた。

求められた階級で戦うが、武田に圧勝したフェザー級は本来の階級ではない――とシェイドゥラエフは断言した。


日本人と戦う僕に声援を送ってくれて、本当にビックリした

――RIZIN47での武田光司戦、大きなインパクトを残しました。改めてRIZINデビューを振り返ってもらえますか。

「日本で初めて試合をしたけど、大会自体を振り返ってもレベルの高い試合が多くて素晴らしかった。自分自身、凄く良い勝ち方ができたのでチャンピオンシップで日本に戻ることを期待している。

(C)ROAD FC

去年は韓国で1試合を戦って(6月にヤン・ジヨンにRNCで一本勝ち)、韓国も凄く発展した素晴らしい国だった。

日本は、とにかく人々が優しい。それが日本の印象だよ。そして街が凄く綺麗だ。日本のことが大好きになったよ」

――私は1度ビシュケクを訪れたことがあるですが、羊肉の美味しさと3泊の滞在で交通事故を3度目撃し、一度は自分が乗ったタクシーだったので、車の運転が危ないという印象が残っています(笑)。

「日本では皆がルールを守っていることも驚いた(笑)。そして、物凄く大人しい。赤信号を無視している人もいない。東京はあんなに大都市なのに、大して交通渋滞もなかった。皆がルールを守っているからだよね。歩いている人も、信号が変わるのをジッと待っていて本当に驚かされたよ(笑)」

――そこまで交通ルールを守っているとは思わないですが、多くのドライバーが譲り合いの精神を持って車を運転しているのは確かですね(笑)。

「凄く我慢強くて、ビックリしたよ。それとRIZINで戦って人生で2つの初体験ができた。1つはあんなに大きなイベントで戦ったこと。過去最大のショーに参加することができた。少しナーバスになったけど、本当にエキサイティングだった。2つ目はファンの皆が歓迎をしてくれたことだ。日本人と戦う僕に声援を送ってくれて、本当にビックリしたし嬉しかったよ」

(C)RIZIN FF

――シェイドゥラエフ選手のファイトは、それ以上に日本のファンを驚かせたと思います。

あの武田選手にレスリングで勝ち、一本勝ちをしたのですから。ライト級から階級を下げた武田選手に対し、シェイドゥラエフ選手はバンタム級から上げてきたわけですし。

「タケダが70キロで戦っていて、優れたレスラーだとは聞いていた。もともと僕のベースはグラップリングと柔術で記者会見の時からRNCか何かで一本を狙うと宣言していた。特にRNCにこだわったわけではないけど、とにかくグラウンド戦に持ち込むつもりだった。その試合で一本勝ちができて、自分でも自信になったよ」

(C)RIZIN FF

――最後はRNグリップで終わらせましたが、ワンアームでほぼ極めていました。

「僕はワンアームでチョークを完成させることができる。

あの時はコーチからラウンド終了まで時間がないという指示があったから、RNグリップに切り替えたんだよ」

高校の頃までは自分でトレーニングをして、それをストリートで試すことしかできなかった

――あのフィニッシュで大きなインパクトを残したラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手ですが、我々はまだまだ知らないことだらけです。最初の格闘技経験は何だったのでしょうか。

「柔術やグラップリングを始める前は、レスリングをやっていた。高校を卒業してからレスリングを始めたんだけど、それ以前は自分の家で自己流のトレーニングをしていた。腕立て伏せ、そして石を持ち上げていたんだ(笑)」

――石を!! それはファイターを目指すためのトレーニングだったのですか。

「そう、ファイターになるためだよ。実際にレスリングを始めたのは高校卒業後で、高校時代はサッカーと柔道をやっていた」

――柔道の経験もあったのですね。とはいえ高校を卒業するまでレスリングの経験がなかったのは意外です。

「実は僕の育った環境は少し変わっていて、タジキスタンとキルギスの国境付近の小さなジェルゲタウ村で生まれて、高校まではタジキスタンで生活をしていたんだ。そして高校を卒業して、国境を越えキルギスでプロフェッショナルを目指すためのトレーニングを積むようになった」

――国境の小さな村……シェイドゥラエフ選手は子供の頃から乗馬の経験は?

「もちろん、あるよ。僕らは皆、馬に乗って成長しているようなもので。いうと、もうプロ級だと思ってもらっても構わない(笑)」

――RIZINの柏木信吾さんの言う「羊肉を食べて、乗馬をしていたファイターは強い」説そのものです。ところでタジキスタンとキルギスの境にある村から、どのようにプロのMMAファイターになる過程が必要だったのでしょうか。

「ずっとMMAに興味はあった。でも高校の頃までは自分でトレーニングをして、それをストリートで試すことしかできなかったんだ。卒業後、ビシュケクに移りプロになるためにレスリングのトレーニングを本格的に始めた。イェラムというジムで、エラリアス・アカルベコフにレスリングを習った。3年後MMAに転じて、イーラスMMAに移って今も所属している」

――イーラスMMAはBRAVE CFライト級王者アブディサラム・クバチニエフ、ONE FFからBRAVEに転じたアジエット・ヌルマトフ、オクタゴン戦うルスラン・カシマリ・ウルルというキルギスのトップファイターが所属するジムですね。ところで、あれだけの組み力と極め力を持っているシェイドゥラエフ選手ですが、柔術では何帯を巻いているのですか。

「帯は持っていない。でもグラップリングも柔術もトーナメントは把握できないほど出ている。両方のスタイルで何度も優勝しているよ。それとは別に打撃も許されたコンバット柔術(Combat Jiu Jitsuではなく、Combat Ju Jutsu。コンバットサンボのようにスタンドで打撃、投げ、寝技で打撃も認められた道着有りの柔術)でも戦いアジア王者になっている」

――今もビシュケクで練習を続けているのですか。

「普段はビシュケクで練習をすることが多いけど、キャンプではタイ、ダゲスタンに行くこともある。タイやダゲスタンでスパーリングをすることで、成長の助けになる。経験値を高めることができるからね」

――ところで前回の日本での試合ではフェザー級で戦っていましたが、以前はバンタム級でも試合をしています。今後はどちらの階級で試合をしようと考えていますか。

「キャリアの序盤はバンタム級で戦っていた。でも、前回の日本での試合は体重を61キロまで落とすには十分な時間がなかった。だから66キロで戦ったんだ。体重を落とす時間があればバンタム級、なければフェザー級。どちらの階級でも構わない。オファーがあった階級で戦うよ。どちらの階級でも、誰とだろうが戦う準備はできている。チャンスが巡ってきた階級でチャンピオンを目指すよ。

だたし基本的に僕はバンタム級のファイターだ。フェザー級で戦うと、体格的に厳しい相手が時折り出てくる。だからRIZINでもバンタム級で戦っていきたいというのが本音だよ。前回の試合は66キロまでしか落とせないと思ったからフェザー級で戦った。継続参戦できるなら、バンタム級でやっていきたい」

――今の言葉を聞いたRIZINフェザー級とバンタム級のファイターの反応が知りたいです(笑)。

「アハハハハ。子供の頃から地元のローカルファイターやカビブ・ヌルマゴメドフの映像を視ていて、大きな会場で試合をすることを夢見るようになった。今、RIZINという世界で最大のプロモーションの一つで戦えるようになった。夢が実現して、神に感謝している。

日本のファンにも同様に感謝の言葉しかない。大会中の彼らの声援は本当に最高だった。少しでも早く日本に戻りたい。ファンの皆をガッカリさせない、最高の試合をしたいと思っている」

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【Special】「あそこを目指して欲しい」。柏木信吾のこの一番から中央アジアの猛者たちへ、プロローグ

【写真】強さを目指すなら、中央アジア勢に目を瞑ることはできない (C)RIZIN FF

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。「柏木信吾が選んだ2024年6月の一番」からスピンオフ、そしてアジアの猛者特集に通じるインタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

6月9日に行われたRIZIN47で強いインパクトを残したラジャブアリ・シェイドラフとダウトベック、RIZIN46のイルホム・ノジモフら中央アジア勢の来日について、その背景を柏木氏に語ってもらった。

そこには円安を要因とする現状に合致した最善の強い海外勢の招聘の最善策ともいえるが、同時に中央アジアの猛者を躊躇なく招聘できるのは、RIZINの日本人選手の力があるからだ。実際パンクラスもタジキスタンの選手を招聘しているが、IMMAFからプロデビューという選手たちがランカーを撃破し、GLADIATORへ外国人選手をブックする長谷川賢は「カザフスタンの選手を呼ぶと、今のグラジに出ている選手で勝てない」と断言している。

ダウトベック、シェイドゥラエフの招聘経由、そしてこれからについての柏木氏の言葉が、個々のインタビューへのプロローグとなる

<柏木信吾が選んだ2024年6月の一番はコチラから>


クレベル×ダウトベックは代替カードとして

――そういうなかでRIZIN47にカルシャガ・ダウトベック、ラジャブアリ・シェイドゥラエフの両者を同時に招聘したのは、何か意図があったのでしょうか。

「ダウトベックはもともと良い選手でした。ただ朝倉未来選手に一度負けています。それもあって疎遠になっていたことがあります。そこでTOP BRIGHTSで松嶋こよみ選手に勝って『RIZINで見たい』という声が聞かれるようになりました。

ダウトベックは打撃の選手でフィニッシュできます。マッチアップ次第では皆に喜んでもらえる試合をする選手です。だから、タイミングが合えばと思ってきました。それでも負けている選手を呼び戻すのには、なかなか踏ん切りがつかない……なので、随分と放置してしまっていましたね。

それがRIZIN47では堀口恭司×セルジオ・ペティスとクレベル・コイケ×フアン・アルチュレタという2つのカードが確定しているなかで、誰かが欠けた時にそこに当てはまるピースを考えるとクレベル×ダウトベックは代替カードとして成立する。本来は補欠的ぐらいだったのですが、カードがどんどん決まるなかで、ダウトベックの試合を組もうということになって。すぐに関鉄矢選手に連絡をした感じです」

――力は最初から買っていたということですね。

「ハイ。でも能面なので、なかなかストーリーが創り辛い。キャラが創り辛いというのはあったのですが、あの試合を続けてくれれば――それがキャラになるとは思っていました(笑)。で、実際に試合を見るとやっぱり強い」

――プレッシャーの掛け方、そして踏み込み。関選手が日本人選手のアベレージ的にリトマス試験紙の役割を果たすとすると、悔しいですが違いは明白でした。

「序盤から右に回らされていました。最初はアレ、どういうことだろうと思ったんですけど、それはもうダウトベックにそういう風に動かされていた。左回りができなかった。だからダウトベックはリングの方が良いんじゃいかと思うぐらい、追い足が良かったです。関選手の苦しみが、伝わってくるような試合でした。

上下を散らして、ローからハイを狙っていたと思いますが、あのプレッシャーの強さは……」

――被弾したらしたで、過去に経験したことがない拳だったかと。

「岩みたいだったと言っていました」

――左フックでよく立ち上がったと思いました。しかしフィニッシュの左ボディフックが、また強烈で。

「もっと見たいと思えるファイトでしたよね。寝技がどうなのかというのもありますが」

太田忍選手が手が付けられなくなった時の相手として、シェイドゥラエフは呼びたかった

――ではシェイドゥラエフに関しては?

「シェイドゥラエフはアゼルバイジャン大会をやった時に、中央アジアからアゼルバイジャンに選手を呼ぼうということで、現地のプロモーションやマネージャーと繋がりができました。そのなかの1人が、シェイドゥラフの名前を出してきたんです。僕もRoad FCでヤン・ジヨン戦を見ていたので、ぜひ欲しいと思いました。

ただ最初はバンタム級として考えていたんです。バンタム級は太田忍選手がそろそろ手がつけられなくなってくると思うので。あと3試合、4試合と経験を積むと無双状態になるのではないかと僕は思っていて。太田忍選手が手が付けられなくなった時の相手として、シェイドゥラエフは呼びたかったです」

――おお、そういうことだったのですね。これはもう、今後のバンタム級戦線を見るうえで貴重な意見だと思います。

「そういうことで契約をしたのですが、Road FCでは63キロでも計量を失敗しているので、『62キロで本当に戦える?  RIZINは体重オーバーをした選手には凄く厳しいよ』という話をしました。そうしたら66キロで戦うという返事で、フェザー級になってしまったんですよ(笑)」

――一気に2人も……。こんなに強いの同時に要らないだろうという声が出るのも頷けます(笑)。

「そうですね……僕の中で予定が崩れたというか、フェザー級にはもうダウトベックとイルホム・ノジモフという中央アジア勢とビクター・コレスニックというロシア人選手がいる。もうこれ以上、突っ込む必要がない強烈な駒がバンタム級でなくフェザー級を選んだということなんです(苦笑)。

こういうことになったのですが、バンタム級に強い外国人選手を1人、2人と入れたいと思います」

――う~ん。バンタム要員の予定だったシェイドゥラフが武田光司選手に完勝したという事実は重いです。

「武田選手だったらフィジカル負けはしないだろうと思っていました。同じ生態の選手を当てるというイメージでした。シェイドゥラエフは本当に本物なのか。そういう意味で武田選手と戦うことで分かる。戦績がキレーで、パーフェクトでも実は、それほど強くない選手もいるじゃないですか」

――ハイ。

「ヤン・ジヨンに勝っていると言っても、そこで株が大いに上がるというわけではない。だから武田選手と打撃、フィジカル、四つ組みになった時にどうなるのか。圧倒されるようなことがあれば招聘した側のミスになるなという不安も、本当はあったんです」

――それが……。

「逆の意味でヤバいなと」

――結果的にフェザー級転向の武田選手の価値を落としたマッチメイクとなってしまいました。

「本当にそうなんです……。武田選手の強いところで、完敗を喫してしまったので。正直、『やっちゃったなぁ』という想いになりました(苦笑)。試合後の武田選手からは悔しさよりも、虚無感が見られて。ホント、どうしましょう……。

と同時に、打撃が得意な選手からすると全然いけると思ったところはあるとは感じています」

――とはいえレスリングができたうえでの打撃でないといけないので、やはり武田選手にあの勝ち方は驚異でしかないかと。

「そこなんですよ。あの組みに対抗できて、打撃を入れることができるのか。触れる怖さがあると、打撃の威力は半減してしまうでしょうね」

――武田選手はいわば日本人のなかでは、ヌルマゴ・スタイルというか。組みが強力で打撃を苦にしない選手です。繰り返しますが、その武田選手にあの勝ち方をした……これは……。

「とんでもない選手を呼んでしまいましたね。まぁ、あとはスタミナがあるのか。武田選手がどこまで引き出すことができるのかという気持ちでもいました。だってあの動きを15分間続けるなんて、できないですよ。それができるなら、すぐに解約するのでUFCに行ってほしいです」

――バックを取るためのパスの圧力、フリップにつられなかった動きも秀逸でした。

「いや判断力も良いし、体幹も強いんでしょうね。際が強いというか、シェイドゥラエフは楽しいMMAを見せてくれました。MMA特有の際の攻防が凄く出来ていて。見ていて楽しいというか、心地よかったです。相手が武田選手だから、あの攻防が生まれた。MMAの魅力が全面に出た試合でしたね。僕はそう思います」

強い選手と戦うことはデメリットでなく、メリットになる

――外国人選手は勝てば、もうタイトル挑戦と一直線で来ます。ただし、RIZINフェザー級タイトル戦線を考えると、この2人があと1勝を挙げても挑戦はないと考えるのが普通で。同時にあの強さを見せつけられ、来日が途絶えるようなことがあれば「逃げた」と思います。柏木さん個人的としては、9月からノジモフも含めて中央アジア3人衆はどのようにマッチメイクしていこうと考えていますか。

「どこかで潰し合いをしてもらわないと、困ります。アハハハハ」

――アハハハハ。

「でも強者と強者が戦うというマッチアップでも、今のRIZINファンは乗れると思います。キム・ギョンピョとスパイク・カーライルの試合も、そこそこ盛り上がっていましたし。そろそろ、そういうのがあっても良いんじゃないかと」

――「中央アジア3人衆、誰でもやってやるよ」と声を挙げる選手に出てきてほしいです。

「そうですね。強い選手と戦うことはデメリットでなく、メリットになる。それが格闘家ですからね。強い選手同士をぶつけるだけでは、日本の現状としてビジネスは成立しない部分はあるかとは思います。だからこそ、彼らが生きるマッチメイクもRIZINには必要になってきます」

――9月にいきなり潰し合いが組まれたら、色々な意味で逃げたと言わせてもらいます(笑)。

「そこはまだないです。そこでは(笑)。日本人選手が困るから、潰し合わせるということはしないです(笑)。中央アジア勢に勝てば強さの証明になる。だからタイトル挑戦に近づく。そういう状況にしたいですね。ファンの期待値が上がれば、そこは逃げられなくなりますから」

――日本国内にいて直視しない傾向もみられる円安と向き合う柏木さん、僭越ながら中央アジア勢の投入はgood jobだと書かせてください。

「ありがとうございます。シェイドゥラエフを呼んで、褒められたのは初めてかもしれないです(笑)。でも、攻略はできます。ダウトベックもシェイドゥラエフも完璧ではないので。強いけど、日本人選手にはあそこを目指して欲しいです。

なぜ、ファイターをやっているのか。そこをもう一度、自分に問いかけて欲しいです。格闘技って強くなりたいからやっているんじゃないですか――と。その原点は大切だと僕は思っています。強いヤツはたくさんいるので、そいつらに勝つことを目標にしてほしいです」

――MMAPLANETみたいなことを言っているじゃないですか。

「ホント、会社で村八分ですよ(笑)。本当に社内で浮いていますからね、僕。ビックリするほど」

――アハハハハハハ。

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【Special】アジアの猛者たち─02─パク・シウォン「Global Tで優勝すればRIZIN王座奪取は朝飯前」

【写真】2002年4月4日、ソウル生まれでコヤン市イルサン育ちのパク・シウォン(C)MMAPLANET

UFC、RIZIN、北米フィーダーショー、日本のプロモーションと世界中のMMAを見渡してアジア勢が台頭しつつある。もちろん、アジアといっても広い。その勢いの中心は東アジアではなく、中央アジアだということも百も承知だ。MMAPLANETでは6月から日本人ファイターと肌を合わせた経験がある──あるいは今後その可能性が高いアジアのファイター達にインタビューを続けてきた。

題して「アジアの猛者たち」──第2弾は韓国からパク・シウォンのインタビューをお届けしたい。
Text by Manabu Takashima

8月31日(土・現地時間)に韓国はウォンジュのウォンジュ総合体育館で開催されるRoad FC69で戦いの火蓋が切って落とされるGlobal Tournament。昨年は負傷欠場したRoad FCライト級最強の男、パク・シウォンが今年は出場を果たす。

22歳、キャリア6勝0敗のパク・シウォンは中央アジア、ロシア、ブラジル人ファイターが参戦する同トーナメントを経験の積む場――ワールドクラスのファイターに成長を遂げるステージとしている。そしてRIZINと協力関係のあるRoad FCのトップファイターは「日本の格闘技文化に惚れた」と言いつつ、「このトーナメントで優勝すれば、RIZINライト級王座を取るのは朝飯前」と断言した。


韓国でこれだけのメンバーが集まる大会は他にない

――キャリア6勝0敗、底知れぬポテンシャルを感じさせるパク・シウォン選手です。長期離脱前に「K-MMAの青木真也だ」と韓国の格闘技記者から聞いた時から、インタビューをさせていただきたいと思っていました。

「ありがとうございます(笑)」

――初めて対面させてもらったのですが、物凄く大きいですね。ウェルター級やミドル級に感じるほどです。

「身長が186センチか187センチあるので。そういう風に見えるんだと思います。ただリーチはそれほどでなくて、身長と同じぐらいなんです」

――とはいえ190センチ近くてライト級……。それはアドバンテージになりますね。そんなパク・シウォン選手ですが、いつぐらいからMMAに興味を持つようになったのですか。

「14歳の時にMMAを見始めて、15歳になって試合に出たくなり練習を始めました。UFCのジョゼ・アルド×コナー・マクレガーに夢中になり、Road FCのチュモギンダ(拳が鳴る)というリアリティTVショーを視て、自分もやろうと思ったんです。

イルサンにチームMAXというジムがあり、そこに入門してプロデビューをしたのもチームMAX時代です」

――それまでに格闘技の練習をした経験は?

「柔道を町道場で半年ほどやっていたぐらいです。実はMMAの練習をしたくて親に話すと許してもらえず、柔道なら良いということなので仕方なく習うようになったんです。でも半年ぐらい経ってMMAのジムに通うことを認めてもらえて、柔道は辞めました。だから格闘技歴はほぼMMAだけです」

――中学生がMMAの練習をする。どのような内容だったのでしょうか。

「Road FCのフライ級王者だったソン・ミンジョン選手がやっていたMMAのプロ練習にいきなり参加していました。当時から身長は180センチを超えていて、体重は60キロぐらいしかなかったのですが……。まぁ毎日、しこたま殴られましたね(笑)。もちろん、本気じゃないです。でも自分がMMAの手ほどきを受けたのは、間違いなくソン・ミンジョン選手からです」

――根性ファイトが信条のファイターでした。

「メチャクチャ腹が据わっていました。ただ下の人間には本当に優しくて、今でも尊敬している先生であり人物です。自分の人生のなかでも、最も誠実な人です。チームMAXで練習をしていたのは3年ほどでしたが、あの時に鍛えられたことで、今の自分がいると思っています」

――チームMAXを離れてからは、どのように練習をしてきたのでしょうか。

「チームMAXで練習を始めて2年4カ月後にプロデビューをしました。そこからチーム・スタンガンに移り、2年ほどしてフリーになり、2022年7月のパク・スンモ選手と戦う前からカウボーイMMAに合流しました。

カウボーイMMAからコーチが離れ、ダイヤMMAを立ち上げて今に至る感じです」

――デビューから2年目にコロナ・パンデミックが起り、練習も試合も大変な時期を経験したかと思います。もともとRoad FCでキャリアを積もうと考えていたのですか。

「それこそコロナの時にARCというRoad FCが行なっていた大会で戦っていたので、Road FCと契約をした形です。あの時は実はチームメイトが欠場し、代役出場だったんです。まだ19歳でしたが、長期契約を結ぶことでMMAを戦って収入を得ることができるからRoad FCで戦うことを決めました」

――今もデビューした時にサインした契約下で戦っているのですか。

「いえ、今年になって契約を更新しました。結果、2022年12月に巻いたベルトを返上して、今回のトーナメントで再びベルトを目指すことになったんです」

――タイトルは返上したのですか!!

「Road FCはチャンピオン制からグランプリ制に移行しました。結果としてRoad FCライト級最後のチャンピオンをいう肩書を持てるようになりました」

――コロナ後、Road FCから離れRoad to UFCで戦うチャンピオンやBlack Combatに移る選手も出てきましたが、パク・シウォン選手はRoad FCに継続参戦を決めたということですね。

「色々な選択肢がありました。そのなかでRoad FCが提示してくれた条件は非常に満足がいくものでした。同時にチャンピオンは適正な挑戦者が現れるのを待たないといけないのですが、トーナメントは勝てば確実に3試合が戦えます。

自分はまだまだ経験が浅いファイターです。もっと試合をしないといけないですし、Road FCが海外の強豪をトーナメントに出場させると約束をしてくれたので。それもあってRoad FCで戦うことに満足しています。

昨年のトーナメント優勝のアルトゥル・ソロヴィエフ、UAEWのライト級王者アレックス・ダ・シウバ。それにBRAVE CFでライト級王座挑戦経験のあるカミル・マゴメドフ。修斗のキャプテン☆アフリカ選手も出場します。韓国でこれだけのメンバーが集まる大会は他にないです。こんな選手を呼んで大会を開く力があるのはRoad FCだけだと思います。なので、このトーナメントに出ないという選択はなかったです。

アジアより中央アジア、ロシア、ブラジル人と戦う経験がいずれは自分のキャリアに役立つと思っています。それが可能になるRoad FCで戦うことは今の自分に最適です」

日本の格闘技文化に惚れてしまいました(笑)

――単刀直入に伺いますが、Road FCは縛りが強い印象があるなかでRIZINとは協力関係にあります。RIZINで戦いたいという気持ちはありますか。

「4月にRIZINを観戦したのですが、日本の格闘技文化に惚れてしまいました(笑)。とにかくお客さんがファイターを尊敬してくれています。鈴木千裕選手が入場した時と勝った時のお客さんの反応が凄まじかったです。自分もああいう選手になりたいと素直に思いました。

同時に、あれだけ高額のチケット代を支払ってまでファンがMMAの試合を見ることは韓国では考えられないです。その事実を知った時は正直、ショックでした」

――今後はまずグローバルTに集中することになるかと思いますが、最短でいつ頃RIZINで戦いたいという希望を持っていますか。

「Road FCのチャンピオンだったのでRIZINで戦うチャンスは、あるはずです。でも今はトーナメントに集中しないといけない。トーナメントで優勝することしか考えていないです」

――今回のトーナメントで優勝をして、箔をつけてRIZINライト級に殴り込みという青写真を描くこともできますね。

「この厳しいトーナメントで優勝できれば、RIZINのライト級でチャンピオンになるのは朝飯前です。アハハハハハ」

――そのグローバル・ライト級トーナメントに向けて、日本のファンにパク・シウォンとはどういうMMAファイターかアピールしてもらえないでしょうか。

「いつでも相手を仕留めることができる。それが持ち味です。キックでもパンチでも、寝技でもフィニッシュできます。それにトラッシュトークも任せてください。力もあり、口も達者です(笑)。

ワールドクラスになるには全てが万能でないといけないです。まさにイスラム・マカチェフの試合を見てもレスリングも打撃も寝技も全てトップクラスです。自分はまだまだ足りないと感じています。これから、そこは勉強に行きます」

――ところでトラッシュトークも任せてくださいという言葉ありましたが、Road FCでは100秒のキックルールのような試合を組むようになりました。あの試合に関して、パク・シウォン選手はどのように感じていますか。

「格闘技としては『どうかな?』とは思っています。ただ、あの試合をフォローする人も多いですし、コア層以外にRoad FCを知ってもらうための宣伝としては良いかと。自分のやるべきことは、そうファンにMMAの方が面白いと思ってもらえるよう戦うことです」

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【Special】アジアの猛者たち─01─ヒザ神バヤンドゥーレン「あの足関節ではタップはしません」

【写真】迫力がある面構えのバヤンドゥーレン(C)MMAPLANET

UFC、RIZIN、北米フィーダーショー、日本のプロモーションと世界中のMMAを見渡してアジア勢が台頭しつつある。もちろん、アジアといっても広い。その勢いの中心は東アジアではなく、中央アジアだということも百も承知だ。MMAPLANETでは6月から日本人ファイターと肌を合わせた経験がある──あるいは今後その可能性が高いアジアのファイター達にインタビューを続けてきた。

題して「アジアの猛者たち」──第1弾はモンゴルからガントゥルム・バヤンドゥーレンのインタビューをお届けしたい。
Dedicated to Mr.Junichi Aarai
Text by Manabu Takashima

2022年世界サンボ選手権コンバットサンボ58キロ級優勝のバヤンドゥーレンは、MMA戦績も3勝0敗ながらONEでMMAでなくグラップリング世界戦をマキシー・ムスメシと戦った。左ヒザが異様な方向に捩じれ、バキバキと音が鳴り続けてもタップをしない対戦相手に対し、マイキーが困惑して技を解く場面も見られた一戦でバヤンドゥーレンは判定負けに終わり、交通事故なみの負傷を追い長期欠場を強いられた。

その後の情報は日本に届かず、選手生命が断たれたという見方もされていたが、実際にはバヤンドゥーレンは昨年の夏からモンゴル国内のアマ大会で腕試しを行っていた。

コンバットサンボやガルダントラン(徒手格闘技)のトーナメントで打撃と組みの融合、MMA前哨戦も済ませた。そんな──ある意味、ヒザ神バヤンドゥーレンを所属するガルーダMMAではなく、ガルダントランの本拠地であるDeasand Bambar Clubに尋ねた。

あくまでもMMAに拘っていたバヤンドゥーレンは、インタビュー後に今週末10日(土・現地時間)に中国はシャンシー省ルーリャンで開催されるJCK FN90に出場し、メインのフライ級マッチでDWCS、Rod to UFC、そしてUAEWに出場経験のあるチウ・ルェンと戦うことが決まった。

再び世界に向けて歩み始めた──バヤンドゥーレンが語ったマイキー戦、そのヒザの真実とは。


──バヤンドゥーレン選手、今日は取材を受けていただきありがとうございます。

「こちらこそ、わざわざ練習場所まで来てトレーニングを見てもらう機会が得らえて嬉しいです。ありがとうございます」

──バヤンドゥーレン選手といえば、やはり気になるのはヒザの具合です。昨年1月にONEでマイキー・ムスメシの持つサブミッショングラップリング世界フライ級王座に挑戦し、左ヒザがえげつない方向に捩じれるほど足関節を仕掛けられましたが、タップをしませんでした。なぜ、あの状況でタップをせずに戦い続けることができたのでしょうか。

(C)ONE

「あの足関節は完璧には極まっていなかったです。

だからタップをする必要がなかった。それに試合の時は最後まで勝負を諦めないというのが、自分のポリシーなのでタップをすることは絶対にないです。

途中で戦い方を切り替えられて、RNCを仕掛けられて落ちることはあるかもしれない。でも、あの足関節ではタップはしません」

──あのう……極まっていないと言われましても、あれだけヒザが捩じれていましたしマイキーは「20回はポップしていた」と言っていました。結果、交通事故並みの負傷だという情報も入ってきました。実際にタップをするだけの痛みもなかったということでしょうか。

「完全に入ったという感覚はなかったです。確かに最初に仕掛けられた時は痛かったですが、途中から麻痺したように痛みも感じなくなったのでタップでなく、どうやってこの状況から脱しようかと考えていまし」

──それは……感覚が麻痺してしまっていたということですよね……。

「まぁ結果として、ケガをしてしまったのは確かです。でも、自分としてはマイキー・ムスメシのように世界的に知名度がある相手に対して、どれだけ戦えるのかを試したかった。試合前は簡単に極められてしまうかと不安に思うこともありましたが、予想に反してそれほどでもなかったので、できる限り戦いたいという気持ちになっていました」

──今日は打撃の練習をされていましたが、左ヒザの状態はいかがですか。

「ヒザの方はケガをする前の状態に戻っています。5カ月後には回復していたので、去年の夏にモンゴルで開催された柔術の国際大会に出場して回復具合を確かめました。結果、問題はなかったです。

今年に入ってから試合勘を取り戻すために、柔術、グラップリング、コンバットサンボ、ガルダントランなど色々な試合に出ています。そのうち3大会で優勝をしているので回復もして、試合勘も戻ってきました」

──ONEにおけるマイキーとのグラップリング戦前にMMAの試合をカリフォルニアで3度戦っています。ONEでの組み技戦後、コンバットサンボやガルダントランという道着有りで打撃、投げ、寝技がある試合に出て如何に役立ちましたか。

「MMAの試合は1日に1試合です。コンバットサンボやガルダントランは1日に4試合ほど戦うので、さっきも言ったように試合勘を養うことができます。そして、対戦相手のタイプも違うので経験値を高めることにも役立っています」

──現状ではMMAで戦うことを念頭に置いているということでしょうか。

「ハイ。MMAファイターですし、世界中の全てのMMAファイターと同じようにUFCで戦いたいと思っています。UFCのチャンピオンになることが夢です。国内で様々なルールの試合に出て、もう準備は整っているので次は海外のMMAプロモーションと契約をしてUFCを目指したいです」

──モンゴル人ではニャムジャルガル・トゥメンデムベレルがGLADIATORからRoad to UFCワンマッチ戦を経てUFCファイターになりました。そのグラジにはオトゴンバートル・ボルドバートルがタイトルマッチ出場を決めています。

「自分としては米国で戦いたいです。ただし日本でチャンスがあるなら当然、日本で戦うことになります」

──ONEではMMAを戦うということは考えていなかったのですか。

「実はグラップリングだけの契約だと思って、サインをしました。でも、ONEとの専属契約になっていたので、MMAもONEで戦わないといけない状況だったんです。なので復調してからMMAの試合を組んで欲しいと打診をしているのですが、芳しい返答はないままです。

ONEのジャッジにはモンゴル人も1人いるので、その人を通しても試合がしたいと尋ねました。それでも返事がなくて、相手にされていないようです。無視をされているように感じるので、正直なところ心穏やかではないです。

これからONEとの契約を見直して、どういう風にしていくのかを進めていくつもりです。モンゴルはMMA人気が高まっていて、良い指導者も増えています。モンゴル人はもともとファイターです。この強い気持ちがあって練習環境も整ってきているので、もっともっとモンゴル人ファイターは海外で活躍できると信じています。自分たちのファイター気質は、そういうプロモーターたちにも気に入ってもらえるはずです」

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