【写真】カウンターを当てることができる。それが松根の勝算の一つだった (C)KEISUKE TAKAZAWA
23日に東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#07で、清水清隆から平良達郎が判定勝ちを手にし、キャリア8戦目での世界王座挑戦の狼煙をあげた。
20歳、沖縄の新星を育てた松根良太氏は平良を最もよく知る人間として、どのように捉えているのか。そして松根氏の古巣であるパラエストラ千葉ネットワーク時代の教え子と、沖縄の愛弟子との対戦をどのように想うのか。
明日29日(日)に自らの手でプロ修斗沖縄大会を開く松根氏に尋ねた。
──愛弟子である平良選手が、清水選手から判定勝利を収めました。新人王やそこに少しキャリアを積んだ選手が、タイトルに絡むようなベテランの壁に跳ね返される。それが修斗の歴史でもありました。実際のところ、松根さんとしては事前の手応えというのは、どういうものだったのでしょうか。
「3月の時点でも行けるんじゃないかという見込みはありました。あれから8カ月、この間の平良の伸びを見ていると、もうこれは勝てるという確信がありました」
──今回が確信で、3月の時点で、勝てると見込んでいたのですか!!
「そうですね。1月にラカイの選手に勝って……まだ20歳で、若いから教えたことを吸収するのも早いです。本当に成長が早いです」
──その成長度合いで、さらに8カ月が積み重ねられていたわけですね。
「勝負なので、やってみないと分からない部分はありますけど、テイクダウン、寝技に関しては大丈夫、それに打撃でもカウンターが取れると思っていました。当然、清水選手の右は危険ですし、そこは気を付けなかったです。でも、行けるなと思っていましたね」
──昨年11月の沖縄大会での試合も実に活きが良かったです。ただ、月曜日の試合の落ち着きようは別人レベルでした。
「去年はまだ勢いだけで戦っていましたからね」
──それにしても実質クラスAは小堀選貴広選手としか、戦ったことがないわけですし。そこで清水選手に勝てると絶対の自信を持てていた。何が平良選手は違うのでしょうか。
「まぁ、本人には言うことはないですが、センスはあります。それと以前は練習でムラがあったのが、今は本当に熱心に考えて練習するようになりました。そこも大きいかと思います」
──今回の勝利は決してフロックではなく、修斗のフライ級ランカーの誰と戦っても勝てる力を持っていると考えていますか。
「ハイ。その力はあります。福田龍彌選手が暫定王者で上にいますが。遜色ないと思っています。それでもまだ7試合、経験は足りていないです。本人はベルトに挑戦したいと言っていましたが、僕としてはもう少し経験を積ませたいところはあります」
──松根さんが大石丈真選手に挑戦したのは、何戦目でしたっけ?
「僕は13戦目でした」
──そんなに戦っていましたか……そういえば、やたらと試合間隔が短かったような記憶があります。
「そうですね、デビュー後は1年で6試合、2年目は4試合しました。若林さんがどんどん試合を組んでくれたんですよね。だから、それが凄く良い経験になりました。だから僕も平良にもう少し試合をさせたいというのはあります。
何よりも僕は扇久保の強さを知っているので、今年の初めとかでは相手にならなかったはずです。今でもちょっとは良い試合をするようになったというぐらいで。平良が挑戦したいというのは分かりますが、もっと色々な相手と戦って経験を積んでおかないと、いずれ海外で戦った時なんか苦労するかもしれないので」
──それは修斗でも世界挑戦でない試合を戦うこともあるということですか。
「状況が状況ですけど、外国人選手を呼んでもらえて国際戦ができるのが一番良いのですが……。前田選手や内藤弟とかもいますが、これでランキング1位になっているので難しい部分はありますよね。
RIZINで鎬を削るというも選択肢の1つでしょうし……とにかく試合をするたびに力をつけているので、試合間隔をそれほど開けずに経験値を上げていきたいですね。まぁ、本当に扇久保がどういう風に考えているのか。そこも影響してくるかと思います」
──暫定王者の福田選手と戦う可能性もあるでしょうし。そうなったときの自信の程は?
「勝てないとは全然思わないです。打撃が強い選手です……そうですね、今回の平良が良かったのは2Rに寝技を見せて、3Rは打撃で戦えたことです。スタンドでも打撃でも、どちらでも戦えた。もう少し時間があればフィニッシュもあると思えたんです」
──ところで砂辺選手が「平良が真面目に寝技の練習をするのは、松根さんが彼より強いからです」というようなことを教えてくれました。
「あぁ、ありがとうございます(笑)」
──つまり本当だということですね。
「まだ、やられないです」
──おお、それは平良幻想に加えて、松根幻想が膨らみます!!
「沖縄だと首都圏とは違い出稽古もできないので、自分が壁になり続ける必要があるので」
──ところで先ほどから名前の出ている扇久保選手、内藤頌貴選手は松根さんの古巣に所属しており、自らが指導した選手たちでもあります。彼らと平良選手を戦わせることは平気なのですか。
「実は清水選手とは3月が流れ、5月は平良の都合で断らせてもらい──7月は清水選手がZSTのGTFに出るということで、試合が決まらなかった。そんな風だったので、もうないのかなと思ったことがあったんです。
そこで8月頃ですかね……沖縄大会を11月29日に開催できることが決まり、11月のサステインの大会で清水選手との試合がなければ、ここで内藤弟と組もうと思っていたんです。それを鶴屋さんにも相談しました。内藤弟も対戦相手がいないから、平良でもやると言っていて。僕自身、もうそういう時期が来たんだと考えていました」
──千葉ネットの選手と、ザ・パラエストラ沖縄の教え子が試合をすることは、もう松根さんのなかではデフォルトだと。
「正直、自分が一番しんどいと思います(苦笑)。去年の大阪大会で内藤弟のセコンドもしていますし」
──内藤のび太選手のONE世界王座挑戦の時など、バンコクまで来られていましたよね。
「そうですね……。正直、複雑という言葉では言い表せないような気持ちになります。と同時に、沖縄大会のプロモーターとして選手同士が戦いたいというのであれば組まないといけないです。内藤弟も、試合がしたかったでしょうし」
──なるほど、それは頌貴選手のためでもあるわけですね。ではパラエストラ沖縄バラ千葉ネットの試合は平良選手に限らず、組まれていくことになるかもしれないわけですね。
「一番はチャンピオンシップで戦うことです。もちろん、自分はいつだって千葉の人間を応援してきました。でも、そういう時代が来たんだと思います。それに沖縄の選手が、千葉の選手と戦えるところまできたというのは、自分にとっては嬉しいことでもありますしね。
修斗のチャンピオンを沖縄から出したいという想いは絶対です。本人の意向もありますが、勝ち続けて修斗のチャンピオンからUFCで戦えるようになると最高だと思っています」
<この項、続く>
■The Shooto OKINAWA03視聴方法(予定)
11月29日(日)
午後2時00分~ Twit Casting LIVE
■The Shooto OKINAWA03対戦カードto
<フライ級/5分3R>
木内SKINNY ZOMBIE 崇雅(日本)
当真佳直(日本)
<バンタム級/5分3RT
六本木洋(日本)
TARKER(日本)
<バンタム級/5分3R>
金内サイダー雄哉(日本)
若山達也(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
檜山美樹子(日本)
小生由紀(日本)
<フライ級/5分2R>
大城正也(日本)
畠山隆称(日本)
<フェザー級/5分2R>
南風原吉良斗(日本)
藤谷敦史(日本)
<フェザー級/5分2R>
阿部剛卓(日本)
波平コング(日本)
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