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【Road FC66】グローバルT決勝=キム・スーチョル戦へ、原口央「自分のスタイルを貫く、曲げないこと」

【写真】強度高め、集中力の持続。ハードなトレーニングを重ねて、スーチョル戦に挑む原口央(C)MMAPLANET & TAKUMI NAKAMURA

29日(日・現地時間)、韓国はウォンジュのチアック体育館で開催されるRoad FC66で、原口央がキム・スーチョルとグローバル63キロトーナメント決勝で戦う。
Text by Takumi Nakamura

トーナメント準決勝でラザバリ・シェイドゥラエフと対戦を予定していた原口だが、シェイドゥラエフが計量遅刻&体重オーバーで失格。不戦勝で決勝に勝ち進み、逆ブロックの準決勝でブルーノ・アゼベドに勝利したスーチョルと拳を交える。シェイドゥラエフ戦消滅という事態に見舞われながらも、すぐに決勝へ気持ちを切り替えたという原口は、VS日本人無敗&アジア最強とも目されるスーチョル戦に向けて静かに燃えている。


――Road FC65で予定されていたグローバル・トーナメント63キロ級準決勝のラザバリ・シェイドゥラエフ戦はシェイドゥラエフ選手の計量オーバー&失格となり、試合そのものがキャンセルとなりました。あの時どういう状況だったのかを教えてもらえますか。

「基本的な計量時間は11時~12時で、トーナメント選手のみ9時から計量可、クリアした選手は12時からのルールミーティングまでに戻ってくればいいという話だったんですね。それで僕は計量をクリアして、ルールミーティングに参加しようとしたら、シェイドゥラエフ選手が会場にいなかったんです。それでマネージャーに確認したら『シェイドゥラエフは体重が落ちていない』と言われて。それで色々と話し合いがあって、最終的に試合はなしと言われました」

――トーナメントの契約書には遅刻と体重オーバーが重なった場合は失格という条項が記されていたと聞いています。

「そうなんですよ。主催者からは『シェイドゥラエフ選手は体重オーバーに加えて計量時間のオーバーもあるから失格、原口選手が決勝進出です』と言われて。ちゃんと確認していなかった僕も悪いんですけど、そういうルールがあったみたいです(苦笑)」

――契約条項とはいえシェイドゥラエフ選手は200グラム・オーバーだったので、何かしらのペナルティを加えて試合実施という道はなかったのかなと思ってしまいます。

「実はそのあとに『トーナメントとしては不戦勝で決勝進出だけど、試合はやってくれないか』と打診があったんです。それでもし僕が負けて決勝進出というのも違和感があるし、決勝戦が10月というのも決まっているので、KO負けや怪我で決勝をキャンセルしたら元も子もないじゃないですか。それも含めて宮田(和幸)先生と相談して、試合をやらないという選択をしました」

――そういった打診もあったんですね。ワンマッチではなくトーナメントの準決勝ということを考えると、その選択は間違っていないと思います。

「あと一回戦の時にリザーブマッチが組まれていて、そこで勝った選手はどこに行ったんだろう?と思いました(苦笑)。僕としては試合がないと言われた時点で決勝のことを考えていたので、すぐにその場で気持ちを切り替えました」

――その決勝では順当に勝ち上がったキム・ス―チョルとの対戦になりました。原口選手もスーチョルの勝ち上がりを予想していましたか。

「スーチョル選手が本命で、もしかしたらブルーノ・アゼベド選手もあるかな?という予想でした。僕はアゼベド選手も強いと思っていたので、準決勝でアゼベド選手に完勝したスーチョル選手はやっぱり強いですよね」

――直接スーチョル選手の試合を見て、どんなことを感じましたか。

「ボディへの攻撃がめちゃくちゃ上手いですよね。顔面とボディのパンチの打ち分けとプレッシャーをかけながらのヒザ蹴り。RIZINで扇久保(博正)選手からダウンを奪ったのもボディへの攻撃でしたけど、全く同じ入り方でアゼベド選手を効かせていたので、あれは警戒しています。あとは首相撲も強かったですし、左ハイキックでぐらつかせていたので、どの攻撃にも気を付けないといけないです」

――スーチョル選手は試合経験も豊富ですし、試合の緩急のつけ方、攻めどころを見極める力も感じます。

「試合を創るのが上手いですよね。独特なステップで前に詰めて、相手にペースを掴ませない。試合慣れしているところも印象的でした」

――スーチョル攻略のために、どういうことを意識して練習していますか。

「僕の強みはスタミナとドロドロにして競り勝つところなので、そういう展開に持ち込んでスクランブルで必ず上を取る。そこは意識しています」

――ずばりスーチョル選手は穴という穴がないです。

「全局面で強いので、出たとこ勝負でやりあっても勝てないと思うんですよ。だから僕が出来ることは自分のスタイルを貫く、曲げないことだと思います」

――またスーチョル選手は×日本人無敗でもあります。その相手と戦うことをどう捉えていますか。

「日本人が誰も勝てていない、アジア最強の選手だと思います。でも、いずれこういう選手とやることになっていたと思うし、その舞台がROAD FCになったというだけで、僕は勝ちに行くことしか考えてないです」

――シェイドゥラエフ戦前のインタビューでは「本当に強い選手たちと戦って勝ちたい」という言葉もありました。ROAD FCに戦いの場を求めて、こういった強豪たちと戦えることはうれしいですか。

「はい。もし僕がRIZINでスーチョル選手やスーチョル級の選手とやろうと思ったら、もっともっと戦績を積まないといけないと思うんですよ。でもROAD FCを選んだおかげで、こういうチャンスが巡ってきたので、必ず結果を残したいです」

――日本人初のスーチョル撃破&グローバル・トーナメント優勝がかかった一戦で、今後のキャリアにおいても重要な一戦です。

「僕はずっと強い選手とやりたいと言ってきて、スーチョル選手と戦えることをうれしく思うし、SNSでも『原口じゃスーチョルには勝てない』と書かれていますけど、見とけよって感じですね。格闘技はやってみないと分からないし、下馬評通りにいくものじゃないので」

――先日RIZIN LANDMARK07、アゼルバイジャン大会に出場する武田光司選手を取材させていただいたのですが、Braveにはプロ練習に参加する選手が20名近くいて、国内外の様々な団体で活躍していますよね。ジムとしての躍進の理由はなんだと思いますか。

「最近は色んなタイプの選手が集まっていて、ストライカー、グラップラー、柔道家……みんなで意見交換をしながらお互いを高め合って、成長していけるのかなと思います」

――Brave設立当初は宮田代表とレスリング出身の選手が多い印象でしたが、そういった色もいい意味で薄れてきていますよね。

「はい。DEEPに出ている野村(駿太)やGladiatorでデビューした南(友之輔)は伝統派空手出身ですし、打撃だけで言ったら2人とも相当レベルが高いんですよ。そうやって色んなタイプの選手たちがいて、宮田先生が練習メニューを考えて選手たちをまとめてくれているので、本当にジム全体でレベルアップしていると思います」

――「原口ではスーチョルに勝てない」というアンチ・コメントもあるなか、今回のスーチョル戦ではどんな試合を見せたいですか。

「まずアンチに対しては、やっと僕もアンチされるところまで来たんだなと思います。無名のままだったらアンチすらされないと思うので(笑)。ファンだけじゃなく、選手のなかでも僕がスーチョル選手とやることに色々と思うことがある選手もいると思いますが、スーチョル選手に勝てる日本人がいるというところを見せたいです」


■視聴方法(予定)
10月29日(日・日本時間)
午後2時00分~KAKAO TV、AFREECA TV

■メインカード対戦カード

<Road FC グローバル63キロ決勝/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
原口央(日本)

<Road FC グローバル70キロT決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)
アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ヤン・ジヨン(韓国)
高橋謙斗(日本)

<無差別級/5分3R>
シム・ゴンオ(韓国)
キム・ミョンファン(韓国)

<Road FC グローバル70キロT補欠戦/5分3R>
ユ・ジェナム(韓国)
ハン・ユンス(韓国)

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Report ROAD FC Road FC65 キム・スーチョル ブルーノ・アゼベド ブログ

【ROAD FC65】アゼベドにTDを許さず左ハイを効かせて判定勝ちしたキム・スーチョルが決勝で原口央と対戦

【写真】最終回の左ハイ→パウンド連打でダメ押し(C)ROAD FC

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
Def.3-0
ブルーノ・アゼベド(ブラジル)

キム・スーチョルがプレスをかけて左インローを当てる。アゼベドにケージを背負わせたが、アゼベドも右ローを返した。左右ボディブローから組みついたキム・スーチョルは、右腕を差し上げてアゼベドをケージに押し込む。左ヒザを顔面に突き上げたキム・スーチョルに対し、アゼベドは首相撲へ。しかし体勢を入れ替えられず、フェレリーがブレイクをかける。前に出て来るアゼベドに右ストレートのカウンターを合わせたキム・スーチョルは、続く左インローがローブローに。再開後、アゼベドが左ボディから右ローに繋げて組みつく。しかしキム・スーチョルが右の足払いでアゼベドにマットへ手を着かせた。

すぐに立ち上がったアゼベドがダブルレッグで組みつく。ケージに押し込まれたキム・スーチョルだが、背中を向けて足を抜いた。向かい合ったキム・スーチョルが左ハイを繰り出す。アゼベドは何とか組みつこうと試みるが、キム・スーチョルが腕を差し上げてディフェンンスする。残り45秒でアゼベドのダブルレッグを潰したキム・スーチョルがトップへ。パウンドを連打すると、アゼベドの口から出血が見られるように。スクランブルに持ち込むアゼベドをガブったキム・スーチョルが、シングルバックからパンチを連打し、立ち上がるアゼベドをケージに押し込んで初回を終えた。

2R、アゼベドが右ローを打ち込む。右縦蹴りでアゼベドを下がらせたキム・スーチョルだが、組みつかれてケージに押し込まれてしまう。しかしケージから離れるとスタンドでプレスをかけていく。左ジャブの差し合いからキム・スーチョルが左右のボディブロー、さらにヒザを突き上げてアゼベドをケージに押し込んだ。アゼベドがケージから離れると、キム・スーチョルが右カーフキックを当てる。キム・スーチョルは右ミドルをヒットさせ、左ボディを突き上げる。アゼベドはダブルレッグでドライブするも、キム・スーチョルからテイクダウンを奪うことができない。

レフェリーがブレイクをかけ、両者はケージ中央に。スタンドではキム・スーチョルがスイッチを繰り返す。アゼベドの右ミドルがキム・スーチョルのボディに突き刺さるが、右ハイはディフェンスされた。左フックの相打ちのあと、アゼベドはパンチから右ミドルに繋げる。キム・スーチョルは左テンカオから組みつき、右腕を差し上げてアゼベドをケージに押し込むも、ラウンド終了間際に離れたアゼベドの左フックをもらった。

最終回、キム・スーチョルがワンツーから左ハイを伸ばす。アゼベドが右ストレートの交錯から左フックを返した。組みついたキム・スーチョルが右腕を差し上げ、アゼベドをケージに押し込む。アゼベドは首相撲に持ち込むが体勢を入れ替えることができない。アゼベドは離れて左のパンチを当て、ニータップを狙うがキム・スーチョルに潰された。キム・スーチョルも抑え込みきれず、アゼベドが立ち上がる。消耗戦の様相を呈するなか、キム・スーチョルが組んできたアゼベドの両ワキをすくってトップへ。立ち上がるアゼベドのバックに回ったキム・スーチョルだが、アゼベドに立ち上がられてしまう。

ケージ中央でキム・スーチョルは首相撲からヒザを打ち込む。そして離れるとキム・スーチョルの左ハイがアゼベドの顔面を捕らえた。グラついたアゼベドが組みついてくると、それを潰したキム・スーチョルがパウンドを浴びせていく。ハーフガードから潜りにきたアゼベドを潰したキム・スーチョルがサイドへ移行する。アゼベドはガードに戻してキム・スーチョルの両リストを掴むも、一旦立ち上がったキム・スーチョルがガードの中に戻りパウンドを連打。アゼベドはキム・スーチョルの左腕を取って腕十字を狙ったが、極めることはできず試合終了のゴングを聞いた。

裁定はユナニマスでキム・スーチョルの勝利に。ラザバリ・シェイドゥラエフの遅刻&計量オーバーによる失格で、決勝進出を決めていた原口央がケージインし「キム・スーチョル戦は全局面で圧倒していた。強い選手だと思います。僕はトーナメントで一番目立っていない選手だと思いますが、このトーナメントに懸けているので絶対に優勝します」と語った。


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MMA MMAPLANET o ROAD FC Road FC65 アルトゥル・ソロヴィエフ キック キャプテン☆アフリカ マックス・ザ・ボディ ムングントスズ・ナンディンエルデン

【ROAD FC65】ナンディンエルデンがキャプテンをパウンドアウト。ライト級決勝でソロヴィエフと対戦へ

【写真】キャプテン☆アフリカはテイクダウンを奪えず。ナンディンエルデンのパンチの強さが光った(C)ROAD FC

<Road FC グローバル70キロT準々決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン(韓国)
Def.1R4分33秒 by TKO
キャプテン☆アフリカ(日本)

韓国在住のモンゴル人ファイターであるナンディンエルデンは、今回の試合前に韓国籍を取得し、名前もキム・インスとなったという。試合は開始早々、ナンディンエルデンが距離を詰めた。サウスポーのキャプテンが左インローを当てる。互いのローが交錯し、さらにパンチが当たる。プレスを務めたキャプテンが、ケージを背負ったナンディンエルデンにダブルレッグで組みつく。ボディロックに切り替えても倒れないとみるや、キャプテンがケージキックから引き込んだ。

クローズドガードの中に入ったナンディンエルデンが上下にパンチを散らす。連打を受けるキャプテンだが、ナンディンエルデンの左腕を取って腕十字へ。しかし、これは極まらずナンディンエルデンがパウンドの雨を降らせた。ここでナンディンエルデンが立ち上がり、レフェリーがブレイクをかけて試合はスタンドに戻った。右アッパー、右フックを振るうナンディンエルデンのパンチをかわしてキャプテンがダブルレッグへ。テイクダウンできず、ここでもキャプテンが背中を着いた。あくまでナンディンエルデンはスタンド勝負を要求する。

スタンドに戻り、キャプテンはダブルレッグをスプロールされ、ボトムを強いられてしまう。ナンディンエルデンのパウンドに防戦一方となるキャプテン。残り30秒で亀になり、そのままレフェリーが試合をストップした。

マックス・ザ・ボディをKOしたアルトゥル・ソロヴィエフとトーナメント決勝を争うことになったナンディンエルデンは「勝てて気分が良いです。必ず優勝します」と語った。直後にソロヴィフがケージインして「見どころ満載の試合をします」とアピールすると、たナンディンエルデンは再びマイクを持ち、「強い選手と戦いたくて、ロシアのレスリングが強い選手と戦えてうれしいです。でも、Road FCのトーナメントはそんなに簡単に勝てるモノじゃないです」と答えた。


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MMA MMAPLANET o ROAD FC Road FC65 アルトゥル・ソロヴィエフ ボクシング マックス・ザ・ボディ

【ROAD FC65】マックス・ザ・ボディ、ソロヴィエフの右アッパー→左フックで沈む

【写真】マックス・ザ・ボディの右は当たらず、左を打ち抜かれた(C)ROAD FC

<Road FC グローバル70キロT準決勝/5分3R>
アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)
Def.1R1分53秒by TKO
マックス・ザ・ボディ(カメルーン)

オーソ同士、マックスが左ハイを見せてワンツーで前に出る。バックステップでかわしたソロヴィエフだが、マックスが右ローに右を合わせてダウンを奪う。バックを取らせず立ち上がったソロヴィエフは跳びヒザから左右のフックで前に出る。続く右をかわしたマックスが組んで、ケージにソロヴィエフを押し込む。ここからアッパー、右を繰り出したマックスが左から右を当て、ダーティーボクシングでアッパーを連打する。

ソロヴィエフもパンチを打ち返し、一旦マックスが間合いを取り直す。自然と下がるようにケージを背負ったマックスに対し、ソロヴィエフが右アッパーをヒット。返しの左フックで後方に倒れたマックスは、背中を見せてパウンドの追撃を受け――TKO負けとなった。


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【ROAD FC65】計量終了 原口央と戦う予定だったシェイドゥラエフが2つの違反で失格に……

【写真】セレモニアル計量の場には姿が見えた原口央。弟の伸は「ラッキーと思っているんじゃないですか」と言っていたが、彼が明日戦う予定のバーハートゥブールゥ・アトゥボラティも計量開始から40分を過ぎた時点で計量会場に姿を見せていない……(C)ROAD FC

本日26日(土・現地時間)に韓国はアニャンのアニャン室内体育館で開催されるRoad FC65の計量が、昨日25日(金・同)に行われ――グローバル・トーナメント63キロ級準決勝で原口央と対戦予定だったラザバリ・シェイドゥラエフが失格になった。
Text by Manabu Takashima

衝撃的なニュースが韓国から伝わってきた。原口にとってキャリアを賭けた大一番は、キャンセルという未完の形で終幕を迎えた。


本来は11時スタートの本計量、主催者はトーナメント出場選手に限り9時から体重チェックを開始し、リミットは正午まで3時間。そしてシャイドゥラエフは正午から送れること12時12分に計量をし、63.2キロと体重オーバーに。

同トーナメントの契約書には遅刻と体重オーバーが重なった場合は失格という条項が記されていた。これにより原口はセミファイナルを戦わずして10月29日の決勝でキム・スーチョルとブルーノ・アゼベド戦の勝者と戦うことが決まった。

キャプテン☆アフリカ、マックス・ザ・ボディの両者は、対戦相手も含めてパス。

本日午後1時スタートのショーで、2時半からのメインカード出場に備えている。

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午後1時00分~KAKAO TV、AFREECA TV

■ROAD FC65主な計量結果

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
キム・スーチョル:62.8キロ
ブルーノ・アゼベド:62.9キロ

<Road FC グローバル63キロT補欠戦/5分3R>
ムン・ジェフン:62.6キロ
ヤン・ジヨン:62.9キロ

<Road FC グローバル70キロT準々決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン:69.9キロ
キャプテン☆アフリカ:69.0キロ

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
ラザバリ・シェイドゥラエフ:63.2キロ
原口央:62.9キロ

<Road FC グローバル70キロT準決勝/5分3R>
アルトゥル・ソロヴィエフ:69.9キロ
マックス・ザ・ボディ:69.7キロ

<Road FC グローバル70キロT補欠戦/5分3R>
シン・ドングク:69.6キロ
ハン・サングォン:69.9キロ

<無差別級/5分3R>
関野大成:69.9キロ
オ・イルハク:69.9キロ

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【Road FC65】Global T準決勝=アゼベド戦へ。キム・スーチョル「プレッシャーを感じる自分を愛して」

【写真】アゼルバイジャン?と首を傾げたキム・スーチョル(笑)。このあと頭も掻いていた(C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、韓国はアニャンのアニャン体育館で開催されるRoad FC65のグローバル63キロ・トーナメント準決勝でブルーノ・アゼベドと戦うキム・スーチョル。
Text by Manabu Takashima

6月のトーナメント準々決勝大会では韓国勢が総崩れするなか、スーチョルはわずか55秒でギロチンを極め。初戦突破を果たした。唯一の韓国勢としてK-MMA界代表の責務、そして一家の大黒柱の責務を果たそうというスーチョルを計量終了6時間後にインタビューした。


――大会前日、本計量を終えセレモニアル計量を待つ状態のキム・スーチョル選手です。まず計量を終えて体調の方はいかがですか。

「今回は主催者の計らいでトーナメント出場選手だけ、午前11時スタート予定だった計量が9時に変更されました。なので6時間半ほど前に計量は終わっているのですが、現時点で7キロほどリカバリーできました。年を食ったのか、体重が戻るのが早いです(笑)」

――いやぁ、代謝が今も激しいということではないですか(笑)。明日戦うブルーノ・アゼベドや原口央×ラザバリ・シェイドゥラエフの両選手も問題なかったですか。

「ハイ。ブルーノも計量が早く終わることを喜んでいる感じでした。ただキルギスの選手は随分と遅くに計量にやってきましたが、なんかコンディションは芳しくない様子でした。でも、自分はとにかく眠かったので、何かやっているなぁという感じで気にしていなかったです。自分も減量で『死にそうだ……』っていうぐらいの状況だったので(苦笑)」

――前回の準々決勝大会、スーチョル選手まで韓国人選手が全滅でした。最後の登場でプレッシャーにならなかったですか。

「プレッシャーは感じていました。韓国人としてだけでなく、一家の大黒柱として負けられなかったです。でもプレッシャーを抱えて戦う方が、自分は良いと思います。プレッシャーがないと、危険を察知する能力も下がりポカをしてしまいます。なのでプレッシャーを感じる自分を愛しています(笑)」

――アハハハ。では対戦相手のブルーノ・アゼベドですが、右カーフとねちっこい組み技が印象的です。

「組み技、寝技が強いと思いますが、なぜかオープン・ワークアウトで右のハイばかりを蹴っていて。自信があるのか、何か隠しているのか。ただ、右の蹴りは良かったです。もちろん、それで組んでくることも十分にあると思いますが、それならそれで構わないです。クリンチに来るなら、その局面でも圧倒してやります」

――スーチョル優位の声が圧倒的です。

「そういう声があるのは知っていますが、相手もわざわざ負けるために来るわけがないので。いつも試合中に『相手の打撃は当たらない。試合を支配できる』というフレーズを呟いてマインドコントロールをしていますが、今もやっています」

――どのような試合をファンに見せたいと思っていますか。

「自分から攻撃できるよう、その攻撃の幅を厚くしカードも揃えています。接近戦から自分がフィニッシュできる技を披露したいと考えています」

――明日の試合に集中しないといけないのですが、決勝は10月29日です。スーチョルはその後に大晦日のRIZINで戦いたいということを明言していましたが、なんだか11月4日のアゼルバイジャン大会への出場をRIZINは考えていたという話もありました。

「アゼルバイジャンですか……(笑)。そういう風に希望してくれるなら、本当に幸せなことです。ただし、自分は試合前は試合のことしか集中できないんです。そうでないと対戦相手に失礼です。SNSで相手を殴っている写真などアップする人もいますが、それは戦った選手への礼を欠いています。なので、今は明日のことだけを考えて――決勝戦やアゼルバイジャン(苦笑)、大晦日のことはブルーノに勝ってから、決めれば良いことです。自分はジョン・ムンホン館長と並び、大山倍達の両者を誰よりも尊敬しています。なので日本から声が掛かることはとてもありがたいですが、今は明日の試合のことだけを考えています」

――明日、日本からスーチョル選手の応援をしているファンに一言お願いします。

「日本のファンに人たちには、本当にありがとうございますと伝えたいです。日本の格闘技人気が100だとすれば、韓国は10もありません。それでもプロの舞台があるのはPRIDEと日本の格闘技界のおかげです。自分はPRIDEと日本の格闘技が大好きで、ジョン・ムンホン代表が日本の格闘技に挑戦した話と、大山倍達の逸話が本当に大好きです。日本の格闘技があり、二人の先人がいたことで自分がMMAで食べていけるようになりました。つまりは日本の格闘技界と日本のファンのおかげです。本当にありがとうございます」

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午後1時00分~KAKAO TV、AFREECA TV

■ROAD FC65主な対戦カード

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
ブルーノ・アゼベド(ブラジル)

<Road FC グローバル63キロT補欠戦/5分3R>
ムン・ジェフン(韓国)
ヤン・ジヨン(韓国)

<Road FC グローバル70キロT準々決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)
キャプテン☆アフリカ(日本)

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
ラザバリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
原口央(日本)

<Road FC グローバル70キロT準決勝/5分3R>
アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)
マックス・ザ・ボディ(カメルーン)

<Road FC グローバル70キロT補欠戦/5分3R>
シン・ドングク(韓国)
ハン・サングォン(韓国)

<無差別級/5分3R>
関野大成(日本)
オ・イルハク(韓国)

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【ROAD FC65】豪腕=難敵ナンディンエルデンと準決、キャプテン☆アフリカ―02―「組んで倒したい」

【写真】寝技のブレイクを避けるために相手にある程度攻めさせたというリスキーな選択も、寝技に自信があるから。今回は寝技に付き合わない相手に、どのようなゲームプランを立てているのか(C)ROAD FC

26日(土・現地時間)、韓国はアニャンのアニャン体育館で開催されるRoad FC65で、ムングントスズ・ナンディンエルデンとグローバル70キロトーナメント準決勝で戦うキャプテン☆アフリカのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

準々決勝のパク・ヘジン戦は、まさに試合前のインタビューで言っていたとおりの「出力のコントロール」が見えた試合だった。同じグラップラーであるパク・ヘジンを相手に新たな実力を示してくれたキャプテン☆アフリカだが、完全ストライカーであるナンディンエルデンに対しても同様の自信を見せた。

<キャプテン☆アフリカ・インタビューPart.01はコチラから>


――前回のパク・ヘジン戦の話に戻りますが、まず開始早々テイクダウンに成功しました。パク・ヘジンもグラップラーですが、組み力についてはどのように感じましたか。

「テイクダウンした時点で、フィジカル差があると思いましたね。もともと1階級下のチャンピオンなので、もっと体が小さいイメージを持っていました。でも計量前日の記者会見で見た時は、思っていたよりも相手が大きくて。ただ、本計量が終わってから自分のほうが体重は戻ったはずです。セレモニアル計量の時は、相手の体の大きさは感じられなくなっていました。実際に試合でテイクダウンした後は、『これはずっと抑え込み続けることができるな』と感じました。

ただ、ルール説明の時から『グラウンドでは抑え込み続けていたらブレイクが掛かる』ということを厳しく言われていたんですよ。たとえパウンドを打っていても『軽いパウンドだけなら立たせる』と。だから――あえて相手が動けるような状態にしていて。相手が腕十字や足関節を狙いに来ても、絶対に極めさせない自信はありましたから。やっぱり相手も柔術黒帯で寝技は強かったです。自分も2Rにスイープされてしまいました。ただ、とにかく極めさせへんフィジカル差はあったと思います」

――そうだったのですね。2Rに内ヒールを狙われたり、スイープからマウントを奪われた時はヒヤリとしました。

「理想をいえば足関節も、あそこまで足を抱えさせたくはなかったです。でも相手に動きをつくらせておかないと、ブレイクが掛かりスタンドで五分の状態に戻されてしまう。それよりは抱えられた足を抜いて、また抑え込みに行ったほうが有利なので」

――1Rと2Rを取り合った末の最終ラウンドは、まさにキャプテン選手が「やりきった!」という印象を持ちました。

「試合前にMMAPLANETのインタビューでも言っていたとおり、前の試合は最初から3Rフルで戦うつもりでした。1Rから3Rまで出力をコントロールしながら戦い続けるというプランで。そのプランどおりに、やりきることができましたね。敵地でRoad FCのチャンピオンを相手に、自分のやりたいことをやれたというのは気持ちの面でも大きいです」

――その「出力のコントロール」こそが、マックス・ザ・ボディ選手との2連戦の後に課してきたトレーニングの成果であったわけですね。2022年7月の長田拓也戦では試合後に倒れ込んでいましたが、パク・ヘジン戦はまだまだ戦えるような状態に見えました。

「アハハハ、ありがとうございます。もちろん疲れはありました。試合が終わって控室に戻ったら、本当にしんどくて(笑)。とにかく試合中に失速しないためのトレーニングを積んできました。マックス戦のあともそうですし、長田戦から試合がない間も自分が強くなっている実感は持っていたんです。でも『試合をしてみないと分からない』という不安もあって。パク・ヘジン戦の内容と結果で、自分が強くなっていることを証明できたと思います」

――ちなみにご自身の試合前ですが、マックス選手の試合は視ていましたか。

「いえ。アップのためにテレビの前から離れていて、その時は視ることができなかったんですよ。他の試合も視ることはなく、とにかく自分の試合に集中していました。大会が終わってから試合映像を視て――お互いに勝って、決勝で戦う可能性が出てきましたね(笑)」

――1勝1敗からの決着戦がトーナメント決勝で実現してほしいところですが、キャプテン選手が準決勝で対戦するムングントスズ・ナンディンエルデンも難敵です。

「先ほど言ったとおり前回は自分の試合だけに集中していたので、他の選手についてはチェックしていませんでした。誰と誰が対戦する、というぐらいで。改めてナンディンエルデン選手の試合を視ると、とにかく打撃が強い。ボクシングとキックボクシングの王者みたいで。どのパンチが怖いかということではなく、打ち合いの中で打ち勝っているという印象です。自分としては、そういう打ち合いの場面をつくらせずに戦いたいですね」

――打撃の攻防があるなかで、いかにして打ち合いにならずに試合を進めるか。

「まずは自分の打撃の入り方を大切にしないといけないですね。そのうえで相手が得意な展開――打ち合いの中で相手の打撃をもらうことは避けることが重要になると思います」

――ナンディンエルデンは在韓モンゴル人選手で、アマチュア時代からRoad FCに出ている「生え抜き」ファイターです。以前は打撃も粗い印象はありましたが、キャリアを積むにしたがって精度が高くなっているように思います。

「Road FCに出てみて、韓国にはナンディンエルデン選手のように打ち合うファイターが多いという印象を受けました。日本だとあれだけ足を止めて、どちらかが倒れるまで打ち合うような展開は少ないですよね。特にナンディンエルデン選手ほど打ち合いに来るような選手とは、自分も対戦した経験がないです。
ただ、相手の過去の試合映像を視ても、グラウンドで戦っているシーンがほとんど無いですよね。それほど寝技が強そうな相手と試合をしているわけでもないですし、まず試合で組んでみないと分からないというところで。いずれにしても、僕としては組んで倒したいです。出力をコントロールするようになったことで、今の自分が一番強いと思っています」

――では最後に、次の試合に向けての意気込みをお願いします。

「改めてトーナメントの試合を見返してみると、本当に強い選手が揃っています。同じ準決勝でマックス選手と戦うロシア人選手(アルトゥル・ソロヴィエフ)も本当に強いです。このトーナメントで優勝できたら、世界的な評価も高まるんじゃないかと思います。ただ、優勝するためにまずは次の試合のことしか考えていません。しっかり自分のスタイルで――自分を信じて戦います。日本の皆さんが今回も、キャプテン☆アフリカの試合をアフリカTVでご覧いただけることを願っています!」

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午後1時00分~KAKAO TV、AFREECA TV

■ROAD FC65主な対戦カード

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
ブルーノ・アゼベド(ブラジル)

<Road FC グローバル63キロT補欠戦/5分3R>
ムン・ジェフン(韓国)
ヤン・ジヨン(韓国)

<Road FC グローバル70キロT準々決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)
キャプテン☆アフリカ(日本)

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
ラザバリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
原口央(日本)

<Road FC グローバル70キロT準決勝/5分3R>
アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)
マックス・ザ・ボディ(カメルーン)

<Road FC グローバル70キロT補欠戦/5分3R>
シン・ドングク(韓国)
ハン・サングォン(韓国)

<無差別級/5分3R>
関野大成(日本)
オ・イルハク(韓国)

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【ROAD FC65】グローバルT準決勝へ、キャプテン☆アフリカ─01─「決勝戦も一緒に行きたいです」

【写真】過去最強のキャプテン☆アフリカ、降臨を!!(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(土・現地時間)、韓国はアニャンのアニャン体育館で開催されるRoad FC65で、キャプテン☆アフリカがムングントスズ・ナンディンエルデンとグローバル70キロトーナメント準決勝で戦う。
Text by Shojiro Kameike

6月のトーナメント準々決勝ではROAD FCフェザー級王者のパク・ヘジンを下したキャプテンが大会当日、さらに翌日に感じた韓国MMAとは。そしてパク・ヘジン戦直後のインタビューで口にした言葉の意味を訊いた。


――この取材は8月15日に行われていますが、近畿圏を台風7号が襲っています。何か影響はありませんか。

「ちょっと風が強くなっていましたが、今は雨だけになったので特に影響はないです。2018年の台風(平成30年台風21号、非常に強い勢力で近畿圏に大きな被害をもたらした)に比べれば、まだウチのほうは大丈夫ですね」

――それは良かったです。前回の試合に関するお話ですが、まずキャプテン☆アフリカ選手の試合が「アフリカTV(Afreeca TV)」で放送された件について……。

「アハハハ! ビックリしましたよね。周りからも『冗談やろ!?』って言われました(笑)」

――日本からは韓国のライブストリーミングサービス『アフリカTV』で視聴することができました。まさにアフリカ繋がりの奇跡です。

「試合が決まってから、いろんな方から『韓国の試合を視る方法はないんか?』と問い合わせがあったんですよ。いくつか主催者から聞いていたサイトやアプリは、日本からアクセスできなくて。そんななかでROAD FCに参戦経験のある練習仲間から『アフリカTVというところで視られる』と聞き、周りにも伝えていました。もともと韓国ではROAD FCが地上波で無料放送されているうえ、インターネット上でも無料で視られるんですよ」

――地上波やインターネット上で無料放送されているということは、多くの人が視聴できる環境にあったわけですよね。韓国に滞在中、何か反響はありましたか。

「大会の翌日にトーナメント準決勝用のインタビュー動画を撮りに同じ会場へ行ったんです。そうしたらアマチュア格闘技フェスティバルが開催されていて。会場に来ている人から声をかけてもらったり、一緒に写真を撮ってほしいと言われたりしました。

アマチュアの格闘技フェスティバルも参加者が多く――特に子供たちの試合が多かったですね。日本では、あの規模のアマチュア大会って少ないと思うので、驚きました」

――試合の反響やアマチュア大会をご覧になって、韓国のMMAに対してどのような印象を持ちましたか。

「以前の韓国MMA事情を知らないのでハッキリ言うのは難しいですが……、まず韓国ではMMAの人気が凄く高いと感じました。特にあれだけ多くの子供がMMAの試合に出ているのを見て、技術的なレベルも高かったですし、『韓国MMAはもっと強くなるだろう』と思いましたね。プロ興行も僕が出た大会は7000席ほどが完売していて。会場も盛り上がっていました」

――それだけの盛り上がりを見せる韓国で、しかもROAD FCフェザー王者であるパク・ヘジンと対戦する完全アウェイの状況下でプレッシャーはなかったのでしょうか。

「あまりプレッシャーは感じなかったですね。自分の戦いをするだけ、という気持ちでいました。試合も自分の作戦どおりに進めることができたと思います。自分でも試合しながら『えらいウマいこといってるなぁ』と思ったぐらいで」

――ご自身でも驚くほど(笑)。

「はい(笑)。よほどのことがないかぎり、このまま3Rいけるなと思いました。相手は今までの試合とは違うスタイルを見せて来るのかな、とも考えたんですよ。だけど自分のスタイルに自信があるのか、大きな変化もなくて。それは僕が試合前から抱いていたイメージと同じだったので、自分も想定どおりに試合を進めることができました」

――それだけアウェイの環境であっても、試合に集中できていたわけですね。

「現地に着いてから試合に専念できる環境が整っていました。日本で試合する時は、試合直前は減量とチケットに関して、いろいろやることが出て来ますよね。まず僕が売っている分のチケットが試合直前になって届いたりして、その調整が大変でした。でも韓国の試合だと、チケットの部分で時間を割かれることがないです。

それと減量については、ホテルに浴槽がなくて水抜きができるかどうかという問題もあったんですよ。だけど近くにサウナがあって、スタッフの方が送迎してくれました。計量や記者会見も全てバス移動でしたし、思っていたよりもストレスなく試合当日を迎えることができましたね」

――パク・ヘジン戦後のインタビューで「母は重い病気をおして、応援に来てくれて。お母さん、ありがとう」と話されていました。お母さんも韓国へ同行されていたのですね。「重い病気」と仰っていましたが、渡航も大変だったのではないですか。

「はい、母も会場で観てくれていました。『重い病気』と言ったのは……実は春ごろに、癌が見つかったんですよ」

――!!

「ずっと体調が悪くて、病院で検査した時にはステージ4まで癌が進行していました。でも驚くのは――僕の試合が決まってから、少しだけ体調が良くなったんです」

――えっ!? どういうことでしょうか。

「もう癌が脊椎にまで転移して、歩けない状態でした。でも僕が韓国で試合することを聞いてから『試合を観に行きたい』って、飛行機で移動できるようになるまで回復したんです」

――人の気持ちが特別なパワーを生む。凄いお話です。ただ、それだけの状態で韓国へ渡航することに反対はなかったのですか。

「……もう完治するのは難しいと思うんですよ。入院はせず、自宅から病院に通っている状態で。母は次の試合も観に行きたいと言っています。もともと海外旅行をするのが好きで、しかも僕の試合で韓国に行けるって喜んでくれました。だから僕が準決勝に進んで、また韓国に行けるようになって良かったです。そして、決勝戦も一緒に行きたいです」

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【Road FC65】キルギスの未知強シェイドゥラエフと対戦、原口央「これは凄い選手が出てきたなと」

【写真】MMAファイターとして、強さを追求するうえでの満足度は200パーセントの相手と韓国で戦う原口央(C)

26日(土・現地時間)、韓国はアニャンのアニャン体育館で開催されるRoad FC65で、原口央がラザバリ・シェイドゥラエフとグローバル63キロトーナメント準決勝で戦う。
Text by Takumi Nakamura

トーナメント準々決勝でムン・ジェフンと対戦し、テイクダウンからのトップ&バックコントロールのファイトスタイルを貫いて勝利した原口。準決勝では9戦9勝すべてフィニッシュして勝利しているキルギスのシェイドゥラエフと対戦する。典型的な未知の強豪との対戦を前に、原口は「知名度に関係なく本当に強い選手たちと戦って勝ちたい」と力強く語った。


――6月のトーナメント準々決勝ではムン・ジェフン選手をテイクダウンしてトップキープするという試合運びで下しました。まずジェフン戦を振り返っていただけますか。

「ジェフン選手はROAD FCのバンタム級チャンピオンで、自分が挑戦者のつもりで戦いました。なので気負うこともなく、5分3R=15分間、自分の試合がしっかりできたと思います」

――ジェフン選手は伸びのある打撃でアグレッシブに攻める韓国人選手らしいファイトスタイルの持ち主でした。どんな試合展開を考えていたのですか。

「爆発力があるのは分かっていたので、距離をとって、自分のスタイルでいけば大丈夫だと思っていました。ただジェフン選手は柔術も黒帯で寝技もできると聞いていて、寝技になっても自分が先に動いて、自分の試合運びをできればいいなと思っていました」

――1Rにテイクダウンを奪ってからは終始、央選手のペースだったと思います。あのテイクダウンで手応えを掴みましたか。

「あのテイクダウンも、相手のミドルキックをキャッチしてのもので、あれで相手との距離感が分かったんです。この距離なら打撃はもらわないと思ったし、油断をせずに1Rと同じ戦いをすればいけるだろうと思いました」

――おそらくあのミドルキックで央選手にダメージはなかったと思いますが、会場から大きな声援が起きていましたよね。アウェーならではのことだと思いますが、そこはどう感じましたか。

「ちょっと場の雰囲気に持っていかれそうだったんですけど、なんとか冷静を装って戦いました(笑)。会場そのものはすごく広かったし、RIZINに似たような雰囲気だったんです。韓国でのMMAの盛り上がりを感じましたね」

――試合の話に戻ると2Rにはテイクダウン・バックコントロールして、3Rを迎えました。3Rもテイクダウンに成功して、試合を優位に進めていましたが、早いタイミングでブレイクを命じられた場面がありましたよね。あのブレイクは想定していましたか。

「試合前にも言われていたんですよ。ROAD FCはバチバチの打ち合いが求められて、もしテイクダウンしてトップをとっていても、レフェリーがこれ以上動きがないと判断したら、早めにブレイクすると。だから僕もそこは意識してトップをとりながら、細かく足を動かしてアピールはしていた……つもりだったのですが、それでもブレイクになっちゃいましたね。

正直、あの時は『まじか!? ここでスタンドに戻ったらきついぞ』と思いました(苦笑)。相手としてもあそこでスタンドに戻って足を止めて打ち合って、自分の得意の展開にしたかったんでしょうけど…僕は空気を読まずに自分のスタイルをやりきりました」

――イベントのカラーとして打撃が重視されて、そうした展開を促すリクエストもあると、自分の考えがぶれる選手もいると思います。央選手はそういうものは気にならないタイプですか。

「僕は周りにああしてほしい、こうしてほしいと言われたからと言って、自分のスタイルを変えるつもりはないし自分のスタイルを貫こうと決めています」

――ジェフン戦以降はどこを意識して練習していますか。

「試合があるからということは意識せずに、普段通りにプロ練習に参加して、自分のレベルを上げています。試合後も試合前も変わらず、僕は試合が終わっても練習量を落とさない方なんで」

――では普段の練習で意識している部分はどこでしょうか。

「試合になると緊張やダメージもあって、練習よりもキツい状況で動かなければいけないと思うんですよ。だから普段の練習でもスパーリングの本数は減らさないで、なるべくインターバルはあけずにやっています。そのスパーリングでもわざと動き続けて、自分が体力的にしんどくなるような練習をしています」

――より試合を想定したスクランブルを意識して練習しているようですね。

「僕は打撃が強いわけでもないし、フィニッシュできるわけでもない。一番の武器はスタミナとねちっこさなので、そこを試合で出すためにどうしたらいいのかを考えて練習しています。疲れた時、しんどい時にどこまで動けるのか。そこは常に意識している部分ですね」

――レスリング・スクランブルの攻防で動き続けるスタイルは精神的・体力的にも一番ハードな戦い方です。×対戦相手だけでなく、妥協しないという面では自分自身との戦いもあると思うのですが、そこをやりきる自信はありますか。

「そこが自分の強いところだし、強い選手は仮に泥仕合になっても最後まで攻めきることができる。正直、僕もあれをしよう、これをしようと迷っていた時期がありました。ちょうどその頃にRIZINのバンタム級GPが行われて、扇久保博正選手が自分のスタイルを一切曲げることなく戦いきって優勝したんですよね。

僕はスタイル的に扇久保選手に似ているし、扇久保選手のように自分のスタイルを貫く選手が最後は勝ち切ることができるんだと思いました。打撃に特化した選手、寝技に特化した選手はいるし、どこか特化した部分があったとしても平均的にトータル強くて、そのスタイルを貫ける選手はすごい。最後まで自分をやりきる貫く選手が、最後は勝てると思っています」

(C)ROAD FC

――では準決勝で対戦するラザバリ・シェイドゥラエフにどのような印象を持っていますか。

「一言で言うと、強い、ですね。周りからもあの選手は強いぞと言われます」

――まさに央選手が前回のインタビューで話していた「知られていなくても、強いヤツ」の典型的なタイプです。

(C)ROAD FC

「今回のトーナメントが行われるまで、シェイドゥラエフ選手のことを知らない人の方が多かったと思うんですよ。

でもいざ蓋を開けるとあれだけ強いという。トーナメントの準々決勝を終えた時点で9戦9勝、4勝が打撃かパウンドによるKOで、5勝がサブミッションによる一本勝ち、これは凄い選手が出てきたなと思います。しかもシェイドゥラエフ選手はまだ22歳なんで、まだまだ強くなっていくでしょうね」

――基本的にシェイドゥラエフ選手は組み技の強みを生かして、打撃はフルスイングする。トップキープしながら絞め系のサブミッションが強いというタイプです。組み技の強さを軸に試合を組み立てるという部分では央選手と共通していますよね。

「組みに自信があるのは僕もシェイドゥラエフ選手も同じだと思います。ただ組みの種類が少し違うと思っていて、僕はピュアレスリング主体で、シェイドゥラエフ選手はどちらかというとグレコ寄り。上半身をしっかり固めてテイクダウンするタイプですよね」

――ではその組みのスタイルの違い、そこでのテイクダウンの攻防が勝敗の一つのポイントになりそうですね。

(C)ROAD FC

「う~ん……もし純粋な組みの勝負になっても間違いなく強いし。

スタンドの打撃も思い切り振ってきて、シェイドゥラエフ選手は穴がないんですよね(苦笑)。だからそこをどう崩すかを練習で積めていこうと思います」

――過去最強の相手という認識ですか。

「はい。今までやってきたなかでトップの選手だと思います。だから自分がどのくらい出来るのか楽しみにもしています」

――今回のグローバルトーナメントに出ると決めた以上、こういった強豪と戦うことは望んでいたことですか。

「そうですね。僕自身、バンタム級に階級を落とした理由が世界と戦いたかったからで。こうして海外の強い選手と試合を組んでもらって、しっかり勝ちにいきたいです」

――今、MMAで上を目指すなかで色んな選択肢があると思います。央選手はファイトスタイル同様、海外の強い選手に勝つという自分の考えを貫いているのですね。

「はい。やるからには強い選手とやりたいし、前回も言ったけど、シェイドゥラエフ選手みたいに名前は知られてなくても強い選手はめちゃくちゃいると思うので、そういう知名度に関係なく本当に強い選手たちと戦って勝ちたいです」

――では最後の質問です。グローバルT準決勝戦、どのような試合を見せたいですか。

「僕は朝倉海選手や井上直樹選手みたいに華のある試合は出来ないですが、こういう選手が海外でも頑張っているんだよという姿を見せたいです」

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【Road FC65】8月のvs世界!! Raod FCで原口央、キャプテン☆アフリカがキルギス&在韓モンゴリアンと!!

【写真】キャリア最強の相手と戦ういっても過言でない原口。翌日にRoad to UFCを戦う実弟・伸に良い形でバトンをつなげることができるか(C)MMAPLANET

8月最終週末、25日(金・現地時間)から26日(土・同)、27日(日・同)にかけてアブダビ、シンガポール、そして韓国で日本勢が世界と戦う。

アブダビ=UAEWには藤田大和、シンガポール=UFC ESPN52には木下憂朔、中村倫也、風間敏臣。Road to UFCには鶴屋怜、上久保周哉、神田コウヤ、原口伸が出場する。

そして26日(土・同)の韓国=Road FCでは6月にスタートを切ったグローバル・トーナメント63キロ級準決勝に原口央、70キロT準決にはキャプテン☆アフリカ、マックス・ザ・ボディと3選手が挑む。


ソウル近郊のアニャンはアニャン室内体育館で開催されるRoad FC65。6月23日にウォンジュで実施された同トーナメント準々決勝を勝ち残った面々が、5カ月間で3試合――10万ドル獲得を目指した短期決戦の折り返しを迎える。

初戦でムン・ジェフンを破った原口は、韓国を襲った中央アジアの猛威=キルギスのラザバリ・シェイドゥラエフとの対戦が決まっている。

RIZINでも連勝中だったヤン・ジヨンをボディロックテイクダウンからRNCで仕留めたシェイドゥラエフは、テイクダウン前の打撃が蹴りも含めて、正確かつ威力がある。組みとの緩急という面も含めて、相当な力を持ち主といえよう。ここを切り抜けるには、やはり思い切りの良さ。スクランブルの先にあるフィニッシュ力が、いよいよ求められる原口央だ。

Road FCフェザー級王者パク・ヘジンとのスイープ合戦を制し、力強いコントロールでセミファイナルに進出を果たしたアフリカは韓国在住のモンゴリアン=ムングントズ・ナンディンエルデンと相対する。いうとテイクダウンを切ってパンチ勝負のナンディンエルデンと、テイクダウンからが命綱のアフリカ。

ナンディンエルデンが徹底して組みを避けるのに対し、アフリカは打撃戦に応じる傾向にある。ここはなりたい自分、K-MMA独特の会場に雰囲気、レフェリーの打撃示唆に影響されることなく、この試合で勝つためのアフリカのベストを見せてほしい。

初戦を反則のグラウンド・ヒザで勝ち上がったマックス・ザ・ボディは、右のカウンター一発でユン・テユンをKOしたロシアのアルトゥル・ソロヴィエフと戦う。

まだソロヴィエフが組みという部分を見せていないが、中間距離よりも近い位置で、倒す右を持っており。如何にソロヴィエフの右ショート、クロスを貰わないで戦うか。まずはそこが、第一関門となろう。

そして2階級揃って韓国勢が総崩れとなったなか、最後の砦となった63キロ級T出場のキム・スーチョルは、パク・ヘギュンを初戦で下したブルーノ・アゼベドを迎撃する。

生まれ故郷で、韓国勢全滅かというプレッシャーをはねのけたスーチョルは、その精神面の成長もあり今がキャリアハイ、ピークといえる状況――ここで、躓くことはあまり考えられない。

■Road FC65対戦カード

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
ブルーノ・アゼベド(ブラジル)

<Road FC グローバル70キロT準々決勝/5分3R>
ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)
キャプテン☆アフリカ(日本)

<Road FC グローバル63キロT準決勝/5分3R>
ラザバリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
原口央(日本)

<Road FC グローバル70キロT準決勝/5分3R>
アルトゥル・ソロヴィエフ(ロシア)
マックス・ザ・ボディ(カメルーン)

<Road FC グローバル70キロT補欠戦/5分3R>
シン・ドングク(韓国)
ハン・サングォン(韓国)

<63キロ/5分3R>
ムン・ジェフン(韓国)
ヤン・ジヨン(韓国)

<無差別級/5分3R>
関野大成(日本)
オ・イルハク(韓国)

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