【写真】15日の公開練習後に行われたリモートインタビュー時の太田。しっかりと自身の考えを言葉にしてくれた (C)MMAPLANET
29日(月・祝)、東京都江東区の有明アリーナで開催されるRIZIN46で太田忍が、元RIZINフェザー級王者でバンタム級転向を果たした牛久絢太郎と対戦する。
Text by Manabu Takashima
リオ五輪グレコローマンレスリング59キロ級シルバーメダリスト、2019年には世界sン主権で金メダルを獲得しているスーパーアスリートから、MMAに転向。2021年の大晦日にRIZINでデビューを果たした太田は以来、RIZINという場らしく──ステップ・バイ・ステップというキャリアアップとは違うバラエティに富み、話題になるマッチアップで経験を積んできた。
そして9戦目で元は1階級上のチャンピンと対戦することになった。元谷友貴、佐藤将光との戦いを経て、牛久戦を手繰り寄せた太田にデビューからの3年を振り返ってもらった。
――公開練習という大会に向けてのイベントが行われましたが、試合が近づいてきたという風な気持ちになるのでしょうか。
「う~ん、変わらずに試合に向けて準備をするという感じです。それよりも自分の体の状態だとか──体重が絞れてきたり、寝起きの疲れ具合……『うわぁ、きついなぁ』とか。もう少し頑張り時だなとか感じる方が、試合が近づいてきたという気持ちになりますね。まぁメディア対応とかも、そういうことかと」
──残り2週間、もう一追い込みという状況ですか。
「そうですね。もう1週間頑張って、来週は体重調整ですね」
──牛久選手との試合に向けて、何か特別な練習を取り入れるということはありましたか。
「まぁ強化ですね。何かを変えるというよりも、足りない分を補う。長所を伸ばすという感じですかね。僕はまだ全然MMAファイターとして完成していない。まだ3年目なので、やっとMMAがちょっとデキてきたかっていうところなので、何を変えるよりも強くなるための練習をしています」
──まだ3年という言葉が聞かれましたが、この間に8試合を戦ってきて9戦目にして1階級上のチャンピオン経験者と対戦することに関しては、どのように思われていますか。
「言っても去年の10月、2年半で佐藤将光選手ですからね。グフフフフフ。RIZINのチャンピオンを目指す上で、レコード的には全然綺麗でなく3敗もしちゃっている。でもRIZINの評価的にも、1階級上のチャンピオンと試合をやらせてもらえる位置には来たのかという想いはあります」
──太田選手はデビュー戦が所英男選手、次戦が逆にデビュー戦の久保優太選手が相手でした。祖根寿麻戦を挟んで、4戦目で元谷選手。去年は実績が上の選手と戦い、MMA力が高まってきたところで大晦日は芦澤竜誠戦でした。
「まぁ、アレはお年玉のような試合でしたね」
──能力的に大きく上下するバラエティに富んだ相手と戦っていると、MMAファイターとして総合力がついた実感はどの試合だと感じることができたのでしょうか。
「戦っている舞台がRIZINなので。そういった意味で2023年は倉本(一真)先輩に始まり、瀧澤(謙太)選手、井上直樹選手が佐藤選手にスライドした。4試合、RIZINで戦ってMMAの試合は3戦かなという感じです(笑)。その3試合は自分のなかで段階を踏めたかな、ある程度は。倉本先輩と瀧澤選手は順番が逆だったかもしれないけど、MMAキャリアを積みかさねるなかでは良かったんじゃないと。まぁデビュー戦で所さん、4戦目で元谷さんはチョットめちゃくちゃやな、と。グフフフフ」
──ハハハ。それこそがRIZINです。比べることはないかと思いますが、太田選手は中村倫也選手や河名マスト選手という学年で少し下のレスラーとキャリアの積み方は違います。彼らは強くなるために段階を踏むよう試合を重ねてきました。
「UFCという場を目指すなら、レコードも綺麗な方が良い。オーソドックスなMMAの始め方をして、オーソドックスなステップアップの仕方を彼らはしている。その方がUFCを目指すうえでは、MMAのキャリアの積み方として正しいと思います。僕は榊原社長にスカウトしてもらってRIZINという場を選び、デビュー戦から2万人を超えるお客さんの前で試合をさせてもらっている──以上は、こういうキャリアの積み方になるのも受け入れています。
彼ら……倫也もさいたまスーパーアリーナで戦う、RIZINでやることはMMAを始めるなかで大きな目標のはずだから、僕はそこでデキていることを誇りに思っているし、良くも悪くも毎回注目されている試合を戦うことは、レスリング出身のファイターのなかでも僕にしかできないと思っています。
郷にいては郷に従え、今の日本の流れでは派手な試合や数字が求められている。そのなかで太田忍として輝くためにやることは何かと考えると、RIZIN特有の試合のオファーを受けることは当然だと思います。そのうえで、今回のようなレベルアップできる試合もある。色々な意見があるだろうけど、そこに順応してやっていくのが大切だと思います。最後に勝った者が、勝ちなんで」
──段階を踏める試合だけを戦っていきたいという気持ちは?
「来たオファーは受けます。それがファイターだと思っています。そのなかで……言い方は悪いけど色物とのオファーがあった時は、僕もそういう立場だと思っていたし、今後もそういう試合が組まれるなら、RIZINが考えて求めてくるのであれば、僕は求められたところで求められたパフォーマンスを出せれば良いので」
──オリンピアン、しかもメダリスト。4年に1度をモノにするのは、普通の強さではないと思うのですが、太田選手は求められる試合を戦うということですね。
「オリンピックとか過去のことです。僕はアスリートじゃない、ファイターなんで。RIZINファイターなんで今は。お客さんが喜ぶ、榊原社長から『試合に出したい。大勢の観客の前で太田忍の試合を見せたい』と思ってもらうのが一番良いこと。ファンから『太田忍を出してくれ』、『太田忍の試合を見たい』と思われるのが、今の僕の仕事です。そのなかで僕はRIZINバンタム級を目指していることに変わりはないですし、今も目指している過程です」
──その道が、目標としているUFCに通じると?
「ぶっちゃけて言うと、UFC首脳……ダナ・ホワイトが求めているニーズに合わないといけない。そういうこともあるからRIZINでチャンピオンになることが、UFCへの近道になるとかと考えるのではなくて、今やるべきことをやらなければならない。そこを信じてやるしかないっていうのが、今の状況です」
──押忍。ではTHE BLACKBELT JAPANで練習をしてきて、力がついていると実感することはありますか。
「これが本当に皆、強くて。それほど名前が浸透していない選手も、本当に強い。絶対に強くなってはいるんだろうけど、普段の練習相手が強いので、試合とか出稽古の時に実感する事の方が多いです」
──普段から強い選手とばかり練習をしているという太田選手ですが、牛久戦で我々は何を期待して見れば良いでしょうか。
「フィニッシュを狙う中で相手に何もさせない、というところですね。『何もない』と言われようが、相手に何もさせないことがMMAの基本だと思うので」
■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後4時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
The post
【RIZIN46】牛久絢太郎戦を控えた太田忍「僕はアスリートじゃない。ファイター、RIZINファイターなんで」 first appeared on
MMAPLANET.