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【RIZIN LANDMARK10】約7年ぶりのMMAでスダリオと対戦。加藤久輝「ラストランを走り抜けたい」

【写真】加藤はMMA復帰に向けて週1日、日帰りで上京しGENスポーツパレスで練習を積んできた(C)TAKUMI NAKAMURA

17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10にて、加藤久輝がスダリオ剛と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

Bellatorでの戦いを経て、K-1のリングでも活躍した加藤。2022年12月のAKIRA Jr戦でK-1ファイターとしての活動にピリオドを打ち、MMAファイターとして帰ってきた。加藤がMMAルールの試合を戦うのは2017年12月のチディ・ンジョグアニ戦以来、7年ぶり。この試合のために加藤は週1回、日帰りで名古屋から上京し、岡見勇信が主宰するGENスポーツパレスでの練習に参加していた。42歳でのMMA復帰を決意した理由、そしてスダリオ戦の意気込みを訊いた。


――加藤選手、お久しぶりです。2022年12月、K-1でのAKIRA Jr戦を最後に引退を発表し、約2年ぶりに復帰する運びとなりました。復帰を決めた理由を聞かせていただけますか。

「自分の中ではK-1を引退することは前から考えていて、完全に現役を引退する時はMMAの試合をやってから引退しようと思っていたんです」

――あくまでK-1からの引退という考えだったんですね。MMAをやらずにプロとしてのキャリアを終わらせることは考えられなかったですか。

「僕は空道・大道塾から格闘技人生が始まって、何でもありの戦い、審判なしでも戦える、路上でも通用する技術を追求して、そういう武道家としてのスピリットを持っているので、そうなるとMMAにチャレンジするしかないですよね。競技が違うので、どちらが上というのことではなく、キックボクシングはコンプリートな格闘技ではないと思っているので、もう一度自由に自分を表現できるMMAをやりたいと思いました。やっぱり自分はMMAが好きなんですよ。MMAは三次元の戦いで、立ってよし、寝てよし、ジャンプしてもよし(笑)。その制限のなさが魅力だと思います」

――K-1での試合が終わったあとも、ずっとMMAの試合をやりたい気持ちがあったのですか。

「そうですね。もともとK-1・キックボクシングを長くやるつもりはなかったので、そこに区切りをつけたらMMAで最後の勝負をかけたいと思っていました」

――K-1引退後もトレーニングは続けていたのですか。

「はい。自分のジム(West A)を立ち上げて4年目で、K-1参戦中もMMAの練習を休んだことはないんです。普通に週3回はグラップリングやMMAの練習をやっていたので、その辺は今と変わらないですね」

――加藤選手としてはMMAと同じ練習を続けながら、K-1ルールの試合に出ているという感覚だったんですね。

「組み技の練習をやった方がフィジカルも強くなるし、K-1で試合をするにしても、MMAの練習をやる意味があると思ってやっていました」

――復帰の時期というのは具体的にイメージされていたのですか。

「ALIVEの鈴木社長とも相談しながら、できれば名古屋で試合をした方がジムの会員・生徒さんたちも喜ぶから、そういうタイミングあったらいいねという話はしてたんです。それで今年幾つかオファーをいただいたんですけど、RIZINが名古屋で大会をやるということで、RIZINに決めました」

――名古屋で試合ができるという部分が大きかったのですか。

「そうですね。昔は自分のため、家族のために試合をしていたんですけど、今はジムの会長という立場になって、会員さんから『会長の試合を見たい』と言われることが多かったんですよ。自分ももう年齢が年齢だから、やるなら早くやらないと無理だよなと思っていました」

――我々は加藤選手が大道塾出身でBellatorに参戦していたことも知っていますが、ジムの会員さんはその時代を知らないわけですよね。

「そうなんです。だから復帰戦が決まって『加藤先生のMMAの試合を初めて見るので嬉しいです』と言われることも結構ありますね」」

――MMAの試合そのものは約7年ぶりとなりますが、復帰を決断した時点での練習の状況やコンディションはどうだったのですか。

「普段から自分のジムでグラップリングやキックの練習は続けていて、今年に入って年末に復帰することを目標にして、夏くらいから本格的に動き始めました」

――久々に試合のための練習を再開して、どんな感触がありますか。

「やっぱりMMAの試合に出るのは大変ですよ。今回、本当は自分の適正体重でやりたかったですけど、7年ぶりの復帰戦だし、自分がベテランの立場というのも分かっているので、そんなわがままは言ってられないじゃないですか。逆に僕がゲートキーパー的な存在で、期待されている若手と対戦するというのも面白いかなと思って、今回の試合も引き受けてみようと思いました。相手は120kg級の選手なので久々の緊張感を感じつつ、真面目に練習を頑張っています」

――加藤選手のベストウエイトはミドル級=83.9キロですか。

「自分の骨格的には80キロくらいだと思います。自分はアメリカでも試合をやってきましたけど、向こうに行くとミドル級でも細い方なんですよ。身長だけじゃなくて拳の大きさ・手首の太さだったりを見ても、国際レベルだったら80キロ代じゃないと通用しないのは分かっています。ただ今回は国内の試合ですし、舐めているわけじゃないけど、半分お祭りみたいな試合なので、ヘビー級でもやります」

――試合が決まってから、週1回日帰りで上京してGENスポーツパレスで練習しているそうですね。かなりタイトなスケジュールですが、自分に出来る練習はすべてやりたいと思っていますか。

「そうですね。試合が決まった時点で年齢のハンデでもあるし、体重のハンデもある。せめて悔いを残さないためには、自分がやれることは全てやって、納得した状態で試合をしたいと思いました。GENにはBellatorに出ていた時も何度か練習に来ていて、MMAで重量級の選手が集まると言ったら、ここしかないなと思いました」

――GENでの練習ではどんな手応えがありますか。

「細かい部分は教えられないですが、ここからまだまだ動きを上げていきたいと思います。あとここはベテラン選手が多くて、他のジムに行くと『40歳でよく頑張っていますね』と言われるのですが、岡見(勇信)さん、水野(竜也)さん、ストラッサー(起一)さんがいて、平均年齢が40歳くらいなんです。しかもみんな元気でバリバリにやっているので、それで勇気をもらえますね。自分もまだまだ全然やれるんだなと思うし、しっかりラストランを走り抜けたいと思いますね」

――改めてK-1ルールに挑戦したことで、加藤選手にとってはどんなプラスがありましたか。

「色んなことが伸びたと思います。例えばK-1ルールは基本的に下がらないし、打撃のテンポが全然違うんですよね。試合時間が短い分、ペースが早い。どちかというと若い選手向けの競技だと思うんですけど、圧力負けをしないところとか、その辺りはだいぶ成長したと思います。今までやらなかった戦法も覚えたし、K-1ルールをやったことで色んな選択肢が増えたと思います」

――対戦相手のスダリオ選手にはどんな印象を持っていますか。

「僕の方がMMAのキャリアは長いので、MMAで使える技を全部使って、うまく戦いたいと思います」

――久しぶりに加藤選手のMMAを見る人、初めて加藤選手のMMAを見る人にどんなインパクトを残したいですか。

「僕の戦績を見てもらって分かる通り、ほとんどがKO決着なので判定まで持っていくつもりはないです。その気持ちはずっと変わらないので、MMAルールの中で激しい試合をして、ジャッジに勝敗を任せない試合をしたいと思います」

――今回は一度きりの復帰なのか、それとも継続して試合をしていくのか。現時点ではどう考えていますか。

「スダリオ戦の試合結果・内容によりますね。どうしても年齢を重ねると蓄積したダメージもあるので、スダリオ戦が終わってから自分の身体と相談してから考えたいです。ただ、練習ではちゃんと動けているので、ラストランは出来るなと思っています。せっかく今必死に練習してスタミナとパワーを戻して、これをもう一回やるというのはしんどいので、せっかくならあと数試合はやりたいです」

――今回はRIZINでの復帰となりますが、チャンスがあれば海外でも試合をしたいですか。

「そこも次の試合次第ですね。正直もう一度アメリカで頑張ろうという気持ちはあまりなくて、今でも国内のトップにはなれると思っているし、若手の刺激になれる選手にもなると思うので、そこに自分の役割があるのかなと思います」

――加藤選手は奥様がフィリピンの方で、以前はフィリピンで試合をしたいとおっしゃっていましたよね。

「その気持ちは今でもあります。最近はフィリピンの格闘技のレベルも上がっていますからね。ただフィリピンで大きなイベントをやっている団体が少なくて、例えばONE Championshipに出るとなると、契約の制限があるので難しいですよね。ちょうど今フィリピンの話が出たところで、スダリオ選手は日本とフィリピンのミックスで、そういう部分で試合したいと思ったところもあるんですよ。勝手にスダリオ選手には親近感を感じています」

――現役復帰が決まって、一日一日が充実していますか。

「はい。小さいですけど自分の城(West A)が出来て、試合をしないと食っていけないとか、そういう変なプレッシャーを感じることがなく、練習して試合することが出来るんですよ。確かに練習量や時間は短くなりましたが、好きで格闘技をやっていて、試合に出たいから出る。そういう精神的な部分が今までと変わって、モチベーションが全然違います」

――加藤選手といえば豪快なKOシーンが代名詞ですが、自分の打撃だったらヘビー級の相手でも倒せるという自信は変わらないですか。

「今回の試合はスダリオ選手が期待されていて、僕は期待されていないと思うのですが、そういう立場の時の僕は危ない選手なんですよ。今回はまさにそういう状況なので、倒して勝ちたいと思いますし、その自信もあります」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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【RIZIN LANDMARK10】改めて前フェザー級王者ケラモフと対戦。摩嶋一整「真っ向から組みに行きますよ」

【写真】取材は10月24日、毛利昭彦選手インタビューの後に。毛利道場マネージャーさんが柱のポスターをちゃんと貼り替えてくれています(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10で、摩嶋一整がヴガール・ケラモフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

両者は当初、今年2月の佐賀大会で対戦予定であった。しかしケラモフがトラブルによりアゼルバイジャンから出国を認められず、試合は中止に。一方、摩嶋は代役の今成正和に敗れてしまう。そこから7月に新居すぐるを下して復活した摩嶋に、改めて今成戦、新居戦、そしてケラモフ戦に至るまでの成長について語ってもらった。


しっかりパスすることから順を追っていくほうが合っている

――ケラモフ戦を控えている摩嶋選手の人気が高まっているのは感じていますか。

「えっ、そうなんですか。いつも同じ人としか会わないので、よく分からないですけど……」

――RIZIN公式YouTubeチャンネルで自身の動画がアップされたり、Xで試合に関する投稿があると、応援コメントがすごく多いです。

「まずXをやっていないのと、動画も1~2回見て……あとは息子が出ているシーンだけ何回も見ているぐらいです」

――それは完全に父親の姿ですね。少しXのリプをお見せします。

「おっ、おぉ~。まぁ、少しは期待を感じていましたけどね(笑)」

――アハハハ。特にケラモフ戦への期待が高いのかと思います。当初は2月の佐賀大会に組まれていましたが、ケラモフ側の要因で中止となっていました。あの頃と今では、摩嶋選手の中で変化した部分はありますか。

「あの時から試合も2試合して、負けたり勝ったりして……得るものもあったし、新しい技術も身につけたりしていて。今のほうが戦いたい気持ちは強くなっていますね」

――2月の時点では、どのような気持ちだったのでしょうか。

「前チャンピオンと対戦できると聞いて、『俺で良いのか!?』という気持ちはありました。そんな選手と戦えるということで、気持ちは上がっていましたけど」

――2月はケラモフが出場できず、代わりに今成正和選手と対戦して敗れました。選手にとってタイトルマッチも近いポジションにいながら、代役に負けるというのは……。

「あぁ~、僕はそんなに自分の立ち位置を気にしていないというか。自分が格闘技で成長したいという気持ちだけで。あの試合で負けることで得たものもあるし――パスガードとかも新たに成長した部分があります。それはそれで良かったのかな、って思いますね」

――パスガードの成長とは? それまでもパスは狙っていましたよね。

「はい。でもあの頃は何というか、パウンドやヒジに凝っていて、そんなにパスガードを狙っていなかったんです。でも自分のスタイルとしては、しっかりパスすることから順を追っていくほうが合っていると思いました。それも色々と試してきた結果で、今も試している途中です。RIZINに出るレベルの選手とは、RIZINでしか肌を合わせることができないので」

――パウンドやヒジに凝っていたというのは、打撃を出したほうが有利になるという採点基準の変化は影響していますか。

「判定の基準については、そんなには考えていないです。やっぱり一本で勝ちたいので。そのためにも――やっぱりパウンドやヒジを出すと、ポジションが疎かになりますからね。完全に打っても大丈夫な時は打つ。まだ相手に力が残っている時は、そこまで狙わない。ダメージとか見た目の部分にはこだわらず、自分の戦い方にこだわっていきたいです」

――あの頃、パウンドやヒジに凝っていた理由は何だったのでしょうか。

「……ちょっとカッコいいから(笑)」

――えぇっ!?

「ガードの中に入れられるのは分かっていたので、パウンドやヒジでKOしたいと思ったんですよ。そうしたら腕を取られてしまったんですけど。やっぱり負けたのは悔しかったです。佐賀県の大会で山口県からも近いから、応援に来てくれている人も多かったので」

――続く7月の新居すぐる戦は、とても丁寧に戦っている印象はありました。

「それが本当の自分だと思うんですよ。一つひとつ丁寧に――テイクダウンして、パスして、マウントを取っていく。そうやって順を追っていくのが自分は好きです。パッと極めたり、一撃のパンチで倒すよりは、自分の中でも『勝った』という気持ちが強くなりますね」

――以前のインタビューで「新しいファイトスタイルをつくり上げる」、特に最後まで攻められる自分をつくりたいと言っていました。その自分は出来上がっていますか。

「そうですね。今のところ試合中に疲れることはないです。技術面とかペース配分、コントロール、あとは場慣れもありますよ。金原戦の時はバチバチに緊張していたので、最後のほうはバテてしまいました」

――それが今や、超RIZINの第1試合でも緊張せず。

「もう開き直りですよ。アハハハ」

僕は自分のスタイルで、しっかりと必ず一本勝ちします

――新居戦後のインタビューでは、記者から名前の挙がった中央アジア勢について「名前と顔が一致しない」とのことでした。ただ、その中央アジア勢の参戦でRIZINフェザー級も大きく様変わりしています。

「海外勢が強いですよね。RIZINにランキングがあれば、フェザー級は上位を海外勢が占めているような感じで。今だとケラモフを倒しても、まだまだ上がいるなって思います」

――そんななか、超RIZINで斎藤裕選手が久保優太選手に負けたことは驚きではなかったですか。

「驚きはありました。(斎藤が)ああいう負け方をするとは想像していなかったです」

――フェザー級では久保選手の成長が著しいです。その久保選手の存在を意識することはないでしょうか。

「……あんまり意識したことはないですね」

――では今、ケラモフ以外に何かを意識していますか。

「今年は3試合したので、少し休みたいです(苦笑)」

――ここでケラモフを下せば、中央アジア勢との連戦になるかもしれません。「摩嶋なら勝てる!」と期待が高まって。

「アハハハ。そういう選手については『どれだけ強いんだろう?』とは気になっていますよ。だから試合はしてみたいです」

――今答える時の表情を視ると、とても楽しみにしているように感じられます。対戦したい気持ちの強さが伝わってくるといいますか。

「趣味だから――なんて言ったら怒られるかもしれないけど、自分はMMAを楽しんでやっているので。RIZINに強い選手が集まっていて、そういう相手と対戦できるのは、ありがたいです。強い相手と対戦してこそ、自分の通じているところと通じていないところが分かりますからね。成長するためには欠かせないことです」

――なるほど。摩嶋選手自身は成長を感じている一方で、ケラモフは1年振りの試合となります。このブランクの間に、ケラモフは……。

「上がっているのか、落ちているのかでいえば、自分が勝てると思っているから試合を受けたんじゃないですかね。向こうは練習環境も凄そうですし、相手もプロだから整えてくるとは思いますよ」

――そのケラモフに対して、どのような印象を抱いていますか。

「一番はフィジカルですよね。そこからテイクダウンしてパウンド、という部分が一番強いのかなって思います」

――フィニッシュの形は違えど、組んでから試合を展開させる部分では、摩嶋選手と強みが同じです。

「そうですね。ケラモフも組んでくると思います。だからって自分が違うことをやるわけじゃなく、真っ向から組みに行きますよ」

――今回の試合がケージで行われることは、試合展開に影響すると思いますか。

「壁があったほうがやりやすいのは、お互い同じでしょうね。自分も普段から壁で練習していますし。自分が有利になるかどうかは分からないけど、僕はケージで戦うほうが良いです」

――ケラモフの打撃については?

「一発一発、振り回してくるので危ないとは思います。でも最終的には組んでくるでしょうからね。僕は自分のスタイルで、しっかりと必ず一本勝ちします!」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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【RIZIN LANDMARK10】16カ月振りに来日。ヴガール・ケラモフに訊く、鈴木千裕戦の敗北と摩嶋一整戦

【写真】再来日の喜び──以上に、自信が伝わってきた (C)MMAPLANET

17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10にヴガール・ケラモフが出場し、摩嶋一整とメインで対戦する。
Text by Manabu Takashima

昨年7月に圧倒的な力を見せて朝倉未来をRNCで破りRIZINフェザー級王座を獲得も、11月に母国での初防衛戦で鈴木千裕にボトムからの打撃で敗れたケラモフ。同大会でチームメイトらと暴行行為があったと調査が入り、国外に出ることがならなかった。その疑念も晴れ無罪放免──1年4カ月ぶりの来日が実現するケラモフに、改めて鈴木戦の敗北、そして摩嶋戦への意気込みを尋ねた。


■鈴木千裕戦の敗北「過去に一度も経験したことがない一瞬の出来事で、全てが台無しになった」

──約3週間後、ようやく再び日本の土を踏むことができますね(※取材は10月25日に行われた)。来日を控え、今の調子はいかがですか。

「アゼルバイジャン国内で試合をしている選手たちとの練習だけでなく、ダゲスタンでもトレーニングをしてきた。これから体重を落としに掛かるけど、良い試合をするために万全を期している」

──鈴木千裕選手との試合前後にあった問題で国外に出ることが不可能となり、あの敗北について話を伺う機会がありませんでした。もしよければ、あの敗戦について話を聞かせてもらえないでしょうか。

「あの試合は……本当に体の仕上がりも最高で、これ以上ないほどの状態で戦うことができていた。それが……過去に一度も経験したことがない一瞬の出来事で、全てが台無しになった。あれは自分のミスだ。人為的ミスってやつだよ」

──ミスといえばミスですが、下からのパンチを効かされるとは誰も予想できなかったと思います。

「下からのパンチなんて、子供が殴ってくるようなものだよ。何も効果はない。パンチでKOされたわけじゃない。その前のカカトが見えていなかったからだ。瞬きをして、カカトが見えていなかった。そして勝負は終わった。

母国のファンの前で、敗北を喫したことはこれ以上ないぐらい残念でならなかった。絶対にベルトを守るつもりで戦っていたから。ただし、それも神が自分に与えた試練だろう。タイトルを取った時に戦ったミクル・アサクラは、チヒロ・スズキの2倍は強いファイターだった。それなのにミスをしてチヒロ・スズキに負けた。あのミスから多くのことを学んだ」

──トップを取った時に勝利を確信し、鈴木選手のグラウンドワークを過小評価した部分はありましたか。

「自信過剰だったと言いたいのかい? 正しい指摘だ。スズキの寝技は全く気にしていなかった。あのまま、深く考えなくてもフィニッシュできると思っていた。スズキは下にいたくなくて、そこから逃れるためにあの蹴りを出したに過ぎないのに……そこが一番、勉強になった。油断をしないこと。

しっかりとフィニッシュするために段取りを守って、アドバンテージを失うことなく戦術的に戦う。そう学ぶことができた。だから、あんなミスは2度としない。もう、起こりえない。ああいうことがないように、集中して戦う。より戦術的に戦えるようにトレーニングを積んできた。

リベンジの機会を得ることができれば、勝つのは自分だ。実際、あの試合の時でさえ自分の方が強かった。でも、ミスをしたことでスズキの日になってしまったんだ」

■摩嶋一整戦「ケージは自分にアドバンテージをもたらす」

──再戦の機会を得るためにも、次の摩嶋選手との試合は非常に重要になってきます。そして摩嶋選手は組みが強いファイターです。

「彼の過去の試合はチェックしている。レスリングが好きな選手だ。でも、レスリングなら自分もできる。レスリングもそうだし、打撃も寝技もほとんどの局面で、彼の技量を上回っている」

──アゼルバイジャン大会もケージが使用されていましが、ヴガールが右を当てて、そのままシングルレッグでテイクダウンを奪ったので金網を使った攻防はなかったです。摩嶋選手は壁レス、ケージレスリングが強い選手ですが、その辺りはどのように考えていますか。

「それこそ、ダゲスタンでの練習ではケージでの戦いを想定してきた。ケージで戦うことは、全く問題じゃない。逆にリングよりも、戦いやすい。ケージ使用はマジマでなく、自分にアドバンテージをもたらすに違いない」

──本邦初公開となるヴガールのケージレスリングを楽しみにしています。

「ケージレスリングだけでなく、全てを楽しみにしてほしい。最高に仕上げて、ベストバージョンのヴガール・ケラモフの姿を日本のファンには見て欲しい」

──押忍。承知しました(笑)。では最後にヴガールの再来日を待ち焦がれていた日本のファンの一言お願いします。

「日本のファン、文化、国自体を愛している。日本に戻れることが嬉しくてしょうがない。絶対に良い試合をすることを約束するよ」

■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK10対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)

<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)

<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)

<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)

<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)

<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)

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MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship RIZIN RIZIN LANDMARK10 RIZIN48 YA-MAN ボクシング 秋元強真 金太郎 鈴木博昭

【RIZIN LANDMARK10】秋元強真が連続参戦!鈴木博昭とフェザー級で対戦

11月17日(日)愛知県は名古屋市港区のポートメッセ名古屋 第1展示館で開催されるRIZIN LANDMARK 10 in NAGOYAの追加対戦カードとして、鈴木博昭×秋元強真のフェザー級戦が発表された。
Text by Takumi Nakamura

RIZIN48で金太郎にTKO勝利し、RIZINデビュー戦を勝利で飾った秋元のRIZIN2戦目が早くも決まった。鈴木は元シュートボクシング世界スーパーライト級王者で、ONE Championshipを経てRIZINでMMAに転向。ここまで4勝4敗の成績を残し、直近7月の超RIZIN3ではYA-MANにKO負けを喫している。

鋭い左ストレートを得意とし、金太郎戦でも左ストレートでダウンを奪ってグラウンドでのヒザ蹴りで勝利している秋元だが、スタンドの打撃スキルで言えば鈴木はこれまで戦ってきた相手とはレベルが違う。

その鈴木に対して秋元の非凡な打撃センスが通用するのか、それとも今まであまり見せることがなかったテイクダウンや組み技のスキルを披露するのか。金太郎戦とは違う、秋元のMMAファイターとしてのスキルが見られる試合になるだろう。

一方で今回の試合はフェザー級で行われ、本来バンタム級の秋元にとっては一階級上にチャレンジする形になる。フィジカル的な部分では鈴木有利になるが、それが試合展開にどんな影響を及ぼすかも注意して見たい一戦だ。

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45 Gladiator Gladiator028 MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN LANDMARK10 Road to UFC UFC YouTube ウー・シャオロン キック チャンネル 上田祐起 南友之輔 吉田開威 和田教良 太田忍 平良達郎 木村柊也 海外 竹中大地

【Gladiator028】蹴り、突き、寝技——吉田開威が語る右回転ヒジKOへの道「技は打ち込みと度胸」

6日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されたGladiator028で、吉田開威が上田祐起を右スピニングバックエルボーでKOした。
Text by Shojiro Kameike

1Rから組みの展開で押されながらも、凌ぎ続けた吉田が2R残り6秒で逆転勝利。6月の中国WKG&M-1、ウー・シャオロン戦に続くKO勝ちの裏にあった自身の成長と課題とは――。試合翌日、吉田が道場主を務める空手道剛柔流朋武館高岳支部を訪ねた。


MMAでも思いっきり軸足を廻すことができるようになっています

――昨日は見事なKO勝ち、おめでとうございます。全試合終了後、上田選手のために救急車が呼ばれていました。試合終了後からしばらく経ってからダメージが表面化したようですが……。

「はい、それは聞きました。でもフィニッシュのスピニングバックエルボーではなく、足先蹴り(そくせんげり)がボディに入った時のダメージだったようですね。自分でも『温かい生肉を神経の通っているナイフで貫き通した』というような感触がありました」

――凄い表現ですが、感触のイメージは伝わってきます。ボディ、内臓のダメージであれば、時間が経って表れてくるのも理解できますね。

足先蹴りは1Rと2Rに一度ずつ確認できる。2Rの蹴りで感触があったという(C)SHOJIRO KAMEIKE

「ズボッと刺さってはいなかったけど、『これは効いたな』という感覚はありましたね。あれがズボッと刺さっていたら、その場で倒れていたと思います。外れていても、それだけ威力があることは分かったので、この蹴りを完成させていきたいです」

――6月は中国で一撃KO勝ちを収めています。あの時も左ハイをブロックされたものの、そのまま相手が倒れました。

「僕もあの左ハイで倒れるとは思っていませんでした。まず作戦として、距離を測るために出した左ハイだったんです。前日の公開計量で、相手がメチャクチャ度の強い眼鏡をかけているのを父が見て『これは遠いところは見えていない』と思ったそうなんです。

それを聞いて――試合前日から、ひたすら遠い間合いからの蹴りの打ち込みをやっていました。ただ、さっきも言ったとおり最初の左ハイで倒れるとは思っていなかったです。相手はブロックしていたし『蹴りを受けられてしまった』という感触で。と思っていたら、そのまま後ろに倒れていったので、『えっ!?』と思いました。

今まで空手で、面を付けている相手をKOする感覚は持っていたんです。面があるからメチャクチャ深く、ガッツリ当てて、ようやく倒れるという感覚で。でも面を付けていない相手を倒すことができた――自分の蹴りが思ったよりも威力があるんだな、って初めて知りました」

――シャオロン戦前のインタビューでは、「空手ではKOできているけど、MMAでは判定続きだから倒したい」と言っていました。これまでMMAの試合で出していた蹴りと、シャオロン戦の左ハイでは何か違いがあったのでしょうか。

「あの左ハイは、軸足を廻す空手の蹴りなんですよ。遠い間合いから軸足を180度廻して、ヒザをグイッと前に出して、真正面に蹴っていくいような感じです。

上田戦では左ミドル、右ハイと軸足を廻して打ち込んだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

以前はMMAで蹴りを出すと掴まれそうだと思って、アマチュアの頃から全く蹴りを出せませんでした。寝技を全くやっていなかったので『蹴りを掴まれて倒されたら終わりだ』と。寝技の練習をすることで、その気持ちはどんどん減ってきて、MMAでも思いっきり軸足を廻すことができるようになっています。腰を入れて軸足を廻すことによって軸が残っているから、すぐ体勢を戻すことができて組みにも対応できるように練習しています。そこは進化した部分ですね」

――ということは昨日の試合でも、組まれた時に凌げる自信はあったのですね。

まだまだグラウンドに課題は残るが、徐々に成長は見せている(C)SHOJIRO KAMEIKE

「自信はありました。たとえば1Rにバックを奪われた時も、まずは落ち着いてワンハンドを外すことができました。練習では元谷(友貴)さんのワンハンドを受けているんですよ」

――元谷選手が太田忍戦で極めたようなワンハンドのRNCを……。

「そうです。元谷さんや寒天(たけし)さんのワンハンドは本当に強くて。それを受けていたおかげで、バックを奪われて四の字フックの体勢は辛いけど『両手で取られなければ耐えられる』と思いました。だから落ち着いて片手を外していったんです」

――上田選手の四の字フックに対しては?

「1Rは割とフックが硬かったです。でもカーフが効いて、2Rは動きが落ちていましたよね。試合中はずっと我慢していたのかもしれないけど、試合後に話をしたら『カーフがメチャクチャ痛かった』と言っていました。自分も2Rにトップを取り返した時は結構、無理やりな形ではあって。だけど『カーフが効いているから四の字フックはズレる。これは無理やりでも脱出できる』と感じていたんですよ」

――1Rにスタンドでオタツロックを組まれた時も、吉田選手は落ち着いているように見えました。

この形に入る練習ではなく、逃れる方法を練習していたのか(C)SHOJIRO KAMEIKE

「実は寒天さんをはじめ巧い人に、練習であの形をやってもらったことがあるんです。平良達郎選手のようにガッチリと形に入れば、完全にヒザが壊れてしまうことは分かりました。本来、スタンドの状態でガッチリと入ってしまったら、座って解除しないといけないんですよね。でも完全な形にはなっていなかったので、スタンドで正対しました。NTT(Nagoya Top Team=寒天練習)で受けていたおかげです」

――練習でやられて分かることは多いと思います。吉田選手の場合、NTT後のSNSは「またやられた」「まだまだ弱すぎる」という内容しか投稿していません。

「もう本当にやられまくっていますよ。寝技の練習では、ひたすら技を掛けられ続けて、ひたすら負けています」

――しかし凌ぐ自信はついてきたことで、寝技で勝負しようとは思いませんか。

「それは考えていないですね。僕のゴールはスタンドだと決まっています。そのために寝技も凌げるようになってきました。グラップラーを相手に寝技で勝負しても意味がないですからね。相手が打撃主体の選手であれば、そこは考えますけど。

というのも、MMAにおいて寝技で実績を出している選手のレベルに僕が追いつくことはあっても、そのレベルを超えることはないんですよ。でも超えないと極めるまでにはいかない。組みでグチャグチャになった状態では、今は採点に影響を及ぼさないですし。だから最後も、回ってトップを取った時は絶対に立とうと思いました」

Ares王者ユヌソフの試合からインスピレーションを受けました

――なるほど。スタンドの打撃でいえば、今回はいつもよりストレート系のパンチを、踏み込んで打っていました。

「今回は前に出て、パンチを当てに行こうとしました。同じ大会に出ていた木村柊也選手とか、南友之輔選手もそうですけど……ああいう一撃KOをやってみたいんですよね」

――おぉっ、その2選手を意識しますか。

パンチも間合いも課題のひとつ(C)SHOJIRO KAMEIKE

「僕自身、今までは下がりながらパンチを合わせることが多かったんです。そのほうが得意なので。だけど、今までパンチでは倒し切れていない。自分のパンチに威力があったとしても、それを当てることができていない。だから今回は当てに行く、倒しに行くことをイメージして打ち込みをやっていました」

――ただ、そのパンチにカウンターを合わされる場面も多かったです。

「効いてはいなくても印象が悪いですよね。今までは完全に間合いを取り切ってかた動いていたのが、今回はだいぶ距離を近くしました。特に1Rは積極的にKOを狙いましたけど、ラウンドを取られてしまって。これは無理だと思い、2Rは間合いを取り切ってからスタートしたんです。1Rめは大きく振りすぎてしまったことが反省点でした。でも試してみたかったので。

たとえば相手がチャンピオンや海外の強豪だと、その試合で試しはできないじゃないですか。今回は試す場であり、今は積み上げる時期だと思っていました。とにかく今回は、フィニッシュに繋がる手の技を試したいと思っていて。最後のスピニングバックエルボーも練習していたんですよ」

――1Rと2Rは組みで取られた。これは「たられば」ですが、もしそのスピニングバックエルボーが当たらず最終ラウンドに持ち込まれた場合は、どのような展開になっていたでしょうか。

「その場合、最終ラウンドは完全に空手をやるつもりでした。用意してきた技は、たくさんあったんです。寝技にならないことを前提に、用意してきた技の中からどれを使うか。そのまま行っても負けるので、一撃で倒すことを考えていたと思います。

そこで変にワーッと前に出ていくと、また組まれるリスクがありますよね。とにかく間合い感覚だけでいえば負けることはない。倒しに行かず、ポイントゲームに徹すれば負けることはない。そこに徹しながらKOできる筋を探そうという感じでした」

――それは組みの展開で凌ぐことができる手応えを得たと同時に、中国で倒す感触を得たからこそできる戦いですよね。では、いくつも技を用意してきたなかで、最後にバックエルボーを選択した理由は?

「あれは選択したのではなく、自然に出ました。上田選手の左は、序盤はジャブを突いてくるけど、疲れて来るとフックが多くなるんです。今回はそのフックを振ってくるところに合わせる練習をしていました。

フランス支部を持つ朋武館。今年8月、現地修行の際にソラヌフとMMAの練習も行っていた(C)GOJUーRYU HO-BUKAN

今回の試合の前にフランスへ練習に行ったんですよ。そこでAresバンタム級王者のアブバカル・ユヌソフと練習して。彼がベルトを獲得した時の試合映像を視たら、フィニッシュが右スピニングバックエルボーだったんです。『これをやりたい!』とインスピレーションを受け、自分の形に落とし込んで、ひたすら打ち込みをしました。

練習では和田教良さんや寒天さんに、大きく振ってもらって、その中に入ってバックエルボーかバックスピンキックを打つ。いろんな相手、いろんなシチュエーションでやってもらっていて、自宅でもミットで打ち込みをやりました。僕の中で技というのは、どれだけ打ち込むか――それと、度胸なんですよ」

――打ち込みと度胸!

「まず技は無意識で出るまで打ち込みをやります。あとはそれを出す度胸ですね」

――そこまでプランが固まっていたのであれば、上田選手にバックを取られた時も「とにかく疲れてくれ」と……。

「アハハハ。それはないけど――スタンドバックを取られたのは、半分わざとです。あまり良くないけど、『立った状態であれば負けない』とは思っています。でも考えていたより上田選手のテイクダウン能力が高くて、倒されてしまいました。『まだまだ全然ダメだ』と思って、今日は朝から柔術の練習に行ってきたんですよ」

――えっ、試合の翌日に!?

試合翌日から練習~空手の指導。昇段審査が近いため指導にも熱が入る(C)SHOJIRO KAMEIKE

「はい。朝は柔術、昼はMMAの練習をして、夜の指導に来ました(笑)」

――もう次に向けて進んでいるわけですね。上田戦後にはマイクを渡され、タイトルマッチについて発言しました。

「どうなんでしょうね? チャンピオンの竹中大地選手はRIZIN出場を希望していて、すぐグラジの防衛戦をやろうという雰囲気ではないですよね」

――順番でいえば7月にテムーレンをKOした南選手のベルト挑戦もありますし。11月にはRIZIN名古屋大会が行われますが、たとえばRIZINに興味はないのですか。

「そういえば今日、カードが発表されていましたよね(※取材開始直前、RIZIN公式YouTubeチャンネルでRIZIN LANDMARK10の対戦カードが発表されていた)」

――はい。

「一緒に練習している人の試合は聞いていましたけど……自分はRIZINより、開催されるならRoad to UFCを目指したいですね。海外で戦うならフライ級まで体重を落とせるかどうかもテストしています」

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