【写真】Tシャツの下には、以前よりも筋量が増えた肉体が……(C)SHOJIRO KAMEIKE
7日(日)、北海道札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC33で、中西テツオが黒石大資の持つ同フライ級王座に挑戦する。
Text by Shojiro Kameike
中西は昨年11月、PFCに初参戦して澤口悠之介を下した。続く2戦目でベルトに挑戦する中西に起きた昨年からの変化とは。
怪我もなく練習も試合もできるのは幸せなこと
――2021年からDEEP名古屋大会と大阪グラジエイターを主戦場としていた中西選手が、ここで北海道のPFCに参戦することになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。
「本当にタイミングですね。去年は3月と8月に試合をして、その後すぐにでもまた試合をしたかったんです。調子も良かったですし。でも他の団体ではなかなか試合が決まらない状態で。そんな時に、たまたま山本喧一代表が『PFCに出場する選手を募集しています』とXに投稿していて、僕から連絡しました」
――山本代表に直接連絡を! 「調子が良かった」というのは、何か湧き上がるものがあったのですね。
「何て言ったらいいのか……。周りには格闘技が好きなのに怪我で練習も試合もできない人がいるんで。そういう人たちを見ていると、自分は怪我もなく練習も試合もできていて――それって幸せなことだなって思うんです。だからDEEPが終わったあとに『試合したいな』って気持ちが沸き上がりました」
――結果、2023年は3連勝を収めました。2連敗のあとの3連勝というのは、何か変わったところなどはあるのですか。
「自分の中で特に『変わったなぁ』と思うところはないです。試合の中で『自分がやるべきことを決めた』という感じですね。特に去年は3試合とも、相手が若手だったんですよ。相手の対策などではなく、自分の得意なところを出せば勝てるという3試合でした」
――確かに最近の試合では、思い切りの良さは感じました。2022年は何か考えながら試合をしていたのに対し、2023年以降は自然と体が動いているというイメージです。
「そうですね。その点は凄く大きいです。相手云々ではなく自分次第、という3試合を経験しました。調子の良い時は必ず自分の得意なポジションを取ることができる。そういう自分の得意なものが明確になりました」
――自分の得意なポジションとは?
「バックポジションですね。バックを奪うことは、僕にとっては明確な一つの武器なので。同じバックでも細かい部分が違っていて。それが自然と、僕にとって良いポジションを取れるようになってきました。
自分の中では去年8月のDEEP名古屋の試合(カネタケマンに判定勝ち)が一番大きかったんですよ。練習感覚で試合ができたので。今までは切羽詰まった感じで試合をしていたというか。でも8月の試合は余裕を持って、練習の延長で試合できたことが大きかったです」
――一方、今年4月にはDEEP名古屋大会で松岡疾人選手に敗れています。中西選手がコントロールしていたようにも見えましたが……。
「僕としても『負けはないだろう』とは感じていました。何か相手の攻撃でダメージを与えられたとか、そういうのは感じなかったので。
判定となると難しいところですね。人が決めることですし。最近は判定基準も流れが変わってきて、まず明確な差を見せないといけない。僅差だと、どちらにポイントがつくか分からない状態だと思います」
――ちなみに、凄く体が大きくなっていませんか。
「あぁ、今回は凄く追い込んできたので(笑)」
――今だけでなく、最近の試合を視ていると以前よりも筋量が増えているように感じます。
「ありがとうございます。特別なトレーニングをやっているわけではなく、練習量が増えた結果だと思います。やっぱりジムを立ち上げた頃は、自分の中でも練習をセーブしていたところがあって。その状態で試合をするのは良くないですよね。ジムと選手の両立は簡単ではないけれど、現役のうちは選手として頑張っていきたいですからね」
――ジムと選手を両立できる方法が見つかったのですか。
「いえ。自分が何かしたというよりは、運が良かったんですよ」
――運が良かった?
「自分の試合がある時に、たまたまジムで指導を替わってくれる人がいたりとか。あとはNAGOYA TOP TEAMのように、みんなが集まって練習できる環境も増えて」
――そういえば中国でKO勝ちを収めた吉田開威選手は、NTTやガイオジムで一緒に練習しているそうですね。
「彼は本当に凄いですよ。一緒に練習しているので分かります。自分と一緒に練習している時も、優しくしてくれているなぁって(笑)。打撃に関しては太刀打ちできません。彼のような新しいファイターも出てきて、名古屋のMMAも盛り上がってきていると思います」
『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っています
――そんななか、中西選手は名古屋から札幌に行って試合をするわけですね。
「僕はどこでも戦います!」
――昨年の初参戦時はPODの選手でしたが、敵地ということも意識していなさそうです。
「アハハハ、全く気にしていません。前回試合した時、イベントとして凄い熱量を感じたんです。おもしろい団体だなって思いました。お客さんとの距離も近いですし」
――そしてPFCのベルトに挑戦することになり、相手が黒石選手というのも何か運命的なものを感じます。
「あぁ、2017年のWLFですね。去年11月に大会で『お久しぶりです!』と挨拶しました(笑)。でもお互いPFCの同じ階級で試合をしていて、いつか対戦するかもしれないなと思ったんですよ。だから、その時は挨拶程度で」
【参考】「2017年のWLF」について、詳しくはこちら
中西テツオ・インタビュー
新井丈インタビュー
黒石大資インタビュー
――ファイターとしては黒石選手について、どのような印象を持っていますか。
「ベテランらしさがあって、自分のやることを決めているファイターですよね。お互いにやることが決まっている。黒石選手も僕がやることを分かっていて、しっかり対策はしていると思います。もちろんMMAだから、いつもとは違うこともやってくるでしょうし」
――それは中西選手も同じですよね。
「もちろんです。僕としては、相手は自分の対策をしてきてくれたほうが戦いやすいですよね。僕のリズムに合わせてくれたほうが、逆にやりやすくなるので。結局、何があるか分からないっていうのがMMAの面白さだと思います。
今回はタイトルマッチなので、僕も気合いが入っています。この2カ月強、メチャクチャ追い込んできました。『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っていますので、応援よろしくお願いします!」
■PFC33対戦カード
<バンタム級選手権試合/5分5R>
亀松寛都(日本)
森永ユキト(日本)
<フライ級選手権試合/5分5R>
黒石大資(日本)
中西テツオ(日本)
<ミドル級選手権試合/5分5R>
新名正啓(日本)
カタナマン(日本)
<ウェルター級/5分2R+Ex>
成田佑希(日本)
飛田拓人(日本)
<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分2R+Ex>
森崇純(日本)
ハント高島(日本)
<グラップリング戦 フェザー級/5分2R>
渡部修斗(日本)
伊藤光(日本)
<フェザー級/5分2R+Ex>
中場ガッツマン大地(日本)
綾哉(日本)