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【Pancrase336】シンディ・マネンゲラ戦へ。田中路教「目標はお金を稼げるようになることじゃないので」

【写真】「Road to UFCは自分のような1度リリースされた30代の選手が戦う場所ではなくて。そこを意識することはないです。あそこは若い選手を発掘する場だと思っています」と田中は話していた (C)MMAPLANET

9日(土)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase336で田中路教が、シンディレ・マネンゲラと対戦する。

とにかくUFCと再契約すること。その一点に全てを捧げてきた田中も、現実を受け入れる時が来ようとしている。ビザ更新を待つ間、パンクラスで2度目の試合が決まり──古巣ではかつて袂を別った師が全面的に田中をサポートしている。

必要とされるところで、力を発揮したい。そんな風に想えるようになった田中だが、それでもUFCは諦めていない。目指すところは、ベストの自分になることだから。


――ビザの更新まで滞在、その間は日本で試合をするということでしたが、4月30日の笹晋久戦に続き、2カ月と10日というスパンで再びパンクラスで戦うことが決まりました。

「ビザの更新に関しては書類を3月に提出済みで、ここからはもう僕は何もしようがない。あとは移民局が、いつ更新してくれるのか。もう、それだけです。4月の試合後に坂本(靖)さんと話した時に、あと2カ月は掛ると思いますという話をした時に、『なら、もう1試合できるじゃないですか』と言ってくださって。そこでお願いした次第です。

繋ぎで試合をさせてもらっていたのですが、ここまでパンクラスに良くしてもらうと今後も出場し続けることも考えています。僕の立場を考慮してくれたような試合を組んでくれて、僕もパンクラスの役に立ちたいという気持ちになります。何よりも、それは次の試合で結果を残すことなんですが」

──ならば4月の試合、戦う前は昨年11月に長年の体の不調が治り、20代前半の頃のような動きができるようになったという話をしていましたが、試合後は一転「全然ダメだ」と。一体どういうことでしょうか。

「いやぁ全然ダメでした。試合への入りから集中できていなくて、動きも練習してきたモノが全くでなかった。練習してきたスタイルが試合に出なくて、自分にガッカリしました。構えから、違っていました。ただし、体は戻ったと思います。練習では凄く動けていたので。

でも、試合とは別モノでしたね。試合で使えるような感じではなかったかもしれないです。今の体とLFAで試合をした時の体は、本当に全然別で。それが試合中に迷いを生んで、考えながら戦っていた感じです。次のアクションが全く出てこなかった。沁みついている技術で、何とか戦うことができただけで。ただし、試合ができたことでその感覚と練習での動きを照らし合わせることができます。そこから、もう1度創っています」

──それでも結果としては、危なげのない勝利でした。ただし、これから上を目指すことを考えると、その動きというのは?

「通用しないですね。一番は今の技術をもって、昔の集中力、勝負勘がある動きと合致させることです。実は昔の方が、試合が怖かった。だけど4月の試合は一切怖くなくて、なんの緊張感もなかったです。逆に、あんな風で戦うのは良くない。リラックスし過ぎて、体もダラダラでした。言うと、今と同じようなテンションに金網の中に入っていた。それはヤバいですよ。どこかでスイッチが入ることがなくて。

集中力でいえば各々で捉え方も違うかもしれないですが、リラックスしているということは集中はできている。だから、体もリラックスしている。これが相手と戦う様な仕事をしていない人だと、凄く良い状態だったかもしれないです。気負いもなく、動くことができているのでストレスがなく、逆に溜まったストレスを爆発させることができなかった。

ちょっと思うのは……この何年間か、メンタルを鍛えることにフォーカスし過ぎてストレスに強くなり過ぎたような気がします。以前はもっと色々なことに敏感で、繊細でした。だから試合が怖いのは当然で、練習ですら怖かった。それを集中力に変換できていた。怖いからこそ、戦える気持ちになっていたというのが昔の感覚ですね。戦うための集中力は、怖いからこそ創ることができていた」

──アルファメールで練習することに拘り、そのためにビザが取れるようLFAとも契約をした。それが国内に留まることになって練習環境は満足できていますか。

「ハイ。グランドスラム横浜では、自分の好きなことをやらせてもらっていて。勝村(周一朗)さんには本当に感謝しています。僕の我儘をきいてくれて、サポート体制を創ってもらっています」

──となると、ビザが取れた後の練習場所というのは?

「アルファメールでの練習は続けます。特にファイトキャンプは向うでやることになるかと。それ以外の時期は、僕も子供ができて奥さんがこっちで育てているので、ずっと向うにいることはできない。子育てには僕も必要ですし。

あと日本の方が僕を必要としてくれている。役に立てる部分があって、そこが僕のなかで大きくなってきました。後輩たちをもっと強くしたいという想いも含めて。だから普段は日本にいて、ファイトキャンプは向うでやるのがベストかと考えています。ただし、そうじゃないかもしれないので。そこはやってみて、決めていこうと思います」

──そのなかで次の対戦相手は南アフリカのシンディレ・マネンゲラに決まりました。田中選手との試合を日本人選手が受けなかった。その結果のアフリカンの投入だと聞きました。試合を受けなかった選手に対して、どのように思っていますか。

「そこは彼らの人生なので、好きにやってください(笑)。僕も好きにやってきました。彼らの人生なので、自分の想うように僕と戦いたくなければ戦わなければ良い。ホント、特に何も思わないです。以前の僕ならムカついていたかもしれないけど。だから、どこを目指して何をしようとしているのかですよね」

──ちなみにその選手がUFCを目指しているのであれば?

「それなら、戦えよとは思います(笑)」

──押忍。そういうなかで戦うことが決まったマネンゲラの印象を教えてください。

「とりあえずデカい。普通に嫌な相手です。デカくて反応も良い。世界中にMMAが広まった今、南アフリカのEFC Worldでチャンピオンになる選手なのだから、例え戦績が7勝7敗でも弱いわけがない。絶対的に体は強いでしょうし。

パワーがあって雑という見方をされる選手はいますけど、雑さはバカにできないですよ。フランシス・ガヌーは雑ですから。荒い方が綺麗に戦う相手より、戦い辛いこともあります。ただ、いうても負けていられないです」

──それなのに戦い方がとか、リラックスし過ぎているとか聞くと不安が大きくなってしまいます。

「そうッスね」

──そうっすね……ですか(苦笑)。

「とにかくガムシャラにやっています。一度、落ちたモノ……抜けたモノを取り戻すために。本来、脱力することは柔軟になって良い面もあります。でも、自分のファイトスタイルを考えると、それではダメで。4月の動きでは、次の試合は危ない。しっかりと取り戻さないと、マネンゲラに負ける可能性はいくらでもある。

身体能力で来る相手なので──4月のようにふにゃふにゃでは、テイクダウンも取れない。細長いかと思っていたら、普通に上半身がデカいし。でも手応えは感じています。そう感じる自分を信じています」

──厳しい勝負になることが予想されるマネンゲラ戦ですが、ここを乗り越えてから目指す舞台はやはりUFCとなるのでしょうか。

「う~ん、UFCのことを考えると、米国で試合をする方が良いに決まっています。でも、現実的なことを考えると可能性はかなり低い。そうですね、本当にここからUFCに行くことは難しい。いずれにせよ、海外のメジャーと契約をしたいのでやることは変わらない。それは米国の試合で連勝をすることです」

──海外のメジャーとなるとUFC、Bellator、PFLになります。そこでUFCが難しいとなると狙いは?

「今、興味があるのはバンタム級ができるといわれているPFLですね。一番惹かれます。他の階級に出ているメンバーを見ても、ガチですし。バンタム級ができるなら、楽しそうだなって思います」

──単刀直入に、UFCはほぼほぼ諦めたということでしょうか。

「いや諦めているというわけじゃないです。ただし全力でやってダメならしょうがない。そういう風に思えるので、以前のような執着心はないかもしれないですね。前は弾かれても、弾かれてもUFCしかなかったので」

──ならば条件面でいえば、国内メジャーのRIZINの方が田中選手を好待遇で迎え入れてくれるかもしれないです。

「目標はお金を稼げるようになることじゃないので。MMAを続けていて……UFCに行けなくても、どこまで強くなれるのか。ベストの自分になりたい。日々、自分を向上させたい。自分がどこまでやれるのか、やり切りたいんです。

そのなかで戦えるところで戦っていく。それがPFLでも他の大会でも、一番になればUFCに通じている。年齢的に厳しいといわれても、PFLを取れば引っ掛かる可能性はゼロじゃない。だから、自分が行けるところまで行きたいだけですね」

──では改めてマネンゲラ戦への意気込みをお願いします。

「自分の強かった部分をしっかりと取り戻して、そこを見せたい。それだけです。感覚は自分にしか分からないですが、違うという感覚があるので。そこは取り戻さないといけないです」

■視聴方法(予定)
2023年7月9日(日)
午後12時15分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、U-NEXT
午後5時15分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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【Pancrase336】「塩漬けにどうこう言うなら、まず下から動いてほしい」草MAX戦へ、住村竜市朗─02─

【写真】こうやって必至に倒すわけで。この直向きさは心打たれるかと(C)MMAPLANET

9日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase336で、草MAXと対戦する住村竜市朗のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

元DEEP王者の住村にとって、パンクラスのナンバーシリーズ出場は今回が初となる。現在の住村のファイトスタイルについて訊くと、熱いMMAと組み技論を展開してくれた。組むからアグレッシブでない、というわけではない。そんなMMAの魅力を伝えられるような試合を、新天地で見せることができるか。

<住村竜市朗インタビューPart.01はコチラから>


――草MAX選手とは2015年7月のパンクラス大阪大会で対戦し、住村選手がRNCで勝利しています。今回が8年ぶりの再戦となります。

「パンクラスのナンバーシリーズは今回が初めてですけど、過去に大阪大会は出ているんですよね。大阪ではパンクラスとDEEPの合同興行にも出ていますし。あれからお互いに団体のチャンピオンになっていて、今回は良いものをお見せできると思いますよ」

――前回の対戦から、草MAX選手の印象で変わっている部分はありますか。

「どうなんですかね……8年ぶりですからね。テイクダウンディフェンスとか組みの部分は、実際に触ってみないと何とも言えないです。打撃については一発がありますし、蹴りは上手なイメージがありますね」

――草MAX選手については、以前よりも組みの展開が増えている印象があります。

「疲れないように打撃よりも組みの展開を増やしているかもしれないです。これはベテランあるあるで(笑)。だから省エネをしている部分もあるんじゃないかと」

――住村選手ご自身がベテランあるあるで、省エネのために組み中心へと移行しているのですか。

「そうです(笑)。というか、省エネだったんですよね。それこそ塩試合ばっかりで。でも最近は吹っ切れて、試合でもっとシンドイことをしようと思いました。どんなに厳しい練習をしていても、試合では絶対にバテる。それならもっと疲れることをしようと思って」

――それだけ組みでアグレッシブに展開するということですね。

「はい。すると相手も疲れてきます。そこから息が上がった者同士、どっちの心臓が先に止まるか――っていうぐらいの展開にしたいです。8年前と比較するとレスリングができるようになりました。レスリングと寝技は繋がっているので、しっかりレスリングで勝って――言い方は悪いですが、塩漬けにしたりとか」

――塩漬け……。住村選手にとって、いわゆる塩漬けは是なのか。それとも可能なら塩漬けにならないほうが良いですか。

「何て言ったらいいのか――試合って2人の作品じゃないですか」

――対戦する選手2人が生み出す作品という意味ですか。

「要は、自分だけがやっているものじゃないということですね。僕がいて、対戦相手がいるから試合になる。塩漬けについては『今はオレが上に乗ってんねんから、オマエが動けよ』としか思わないんです。塩漬けにされたくなければ、下になっているほうが動けばいい。その技術がないから動けない。だから漬けられているんだよってことじゃないですか。それを選手だけじゃなく、観ている皆さんにも分かってほしいんですよ」

――これはもう何十年も議論されていることですよね。抑え込まれたくなければボトムからエスケープする技術を磨かないといけないし、その前にテイクダウンディフェンスの技術を向上させないといけないわけで。

「そういうことですよね。まず倒されなければ、塩漬けにされることもない。下になっているほうが動けば、上になっている選手に隙ができてスクランブルに持ち込むことができます。すると上の選手にも極めるチャンスが生まれたりとか、試合も動くわけですよね。自分がテイクダウンのために動いたのだから、次は下になったほうが動く番っていうだけで。だから僕は、塩漬けに対しては何も思わないです。それは本当に」

――それはメディアも含めて、もっとテイクダウンディフェンスやスクランブルなどの展開や技術の理解を深めていかないといけない問題ですね。

「それが分かると、なぜUFCは打撃の展開が多いのかも理解できるじゃないですか。UFCファイターは皆、しっかりとレスリングができる。テイクダウンディフェンスの技術があるから、グラウンドにならず打撃の展開が増える。よくUFCを視ている人が『もっとテイクダウンに行けよ!』、『もっと抑え込めよ!』と言っていますよね。『いやいや、それができないからスタンドの展開になっているんじゃないか』と。

僕もトップを取ってから、極められるものなら極めたいです。でも下が動かないから隙が生まれず、サブミッションに持ち込みづらくなる。結果、動いているのは相手に隙を作らせようとする自分ばかりで。もし塩漬けされることに対して、どうこう言うならまず下から動いてほしいと思います」

――打撃戦を好む傾向にあるとは思いますが、だから打撃戦ばかりになっているわけではないと。なるほどです!! 一方で、グラウンドになると対処法がサブミッションばかりではなく、スイープやスクランブルもある。

「まず下になった時の組み手を知らないのかなと思うことはありますね。どう組んで、どう立つのかっていう技術を磨かないといけなくて。僕もロータスやイグルーで、それこそイゴール・タナベ選手や岩本建汰選手のようなトップグラップラーの練習を見ています。トップ同士の試合や練習になればなるほど、一本を奪うことは難しいじゃないですか。お互いにポジションを取られたり、サブミッションを狙われた時の対処法が本当に巧いので」

――住村選手としては、ロータスやイグルーでの練習を通じて、そうしたグラップリングの展開も向上しているのですね。

「まだまだ日本のトップグラップラーと比べたら――という感じではありますけど、おかげさまでレスリングとグラップリングには自信があります」

――そのテイクダウンとグラップリング力を、次の草MAX戦で見せられるかどうか。最後に次の試合への意気込みをお願いします。

「次の試合がちょうどプロ30戦目になります。この年齢になっても新しいことにチャレンジできるのは、すごく嬉しくて。それは支えていただいている方々のおかげです。DEEPのベルトを獲った時のように次の目標ができました。目標ができた時の自分は強いですから。僕のMMA第二章を見てください!」

■視聴方法(予定)
2023年7月9日(日)
午後12時15分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、U-NEXT
午後5時15分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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【Pancrase336】パンクラス東京大会初出場。住村竜市朗─01─「王座を狙って目の前の試合を勝っていく」

【写真】渋さが相当に増してきた住村。円熟味のあるMMAと思いきや、組み技根性ファイト上等となっている(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(日)、東京都港区のニューピアホールでパンクラスが昼夜興行を開催する。夜の部Pancrase336では、元DEEPウェルター級王者の住村竜市朗が元HEAT王者の草MAXと対戦することとなった。
Text by Shojiro Kameike

これまで住村はパンクラス大阪大会に出場したことはあったものの、東京大会は今回が初参戦となる。その対戦相手は2015年のパンクラス大阪大会で対戦し、RNCで下している草MAXだ。ここでパンクラス参戦の経緯と改めて訊いた。


――今回は引っ越し作業の合間を縫って、取材時間を設けていただき、ありがとうございます。試合直前に引っ越しをされるというのは、どのような理由だったのでしょうか。

「それほど遠い場所ではないのですが、試合に集中したくて静かな場所に引っ越しました。都内に拠点を移してから4年ぐらい住んでいた部屋で、いろいろ変えたくなったんです」

――なるほど。今回は部屋が新しくなっただけでなく、戦う場所もDEEPからパンクラスに移りました。まずはパンクラスで戦うことになった経緯を教えてください。

「DEEPさんには、すごくお世話になりました。ベルトも巻くことができましたし。でも僕、年齢も年齢じゃないですか(現在37歳)。それとDEEPでは対戦相手も1周して、2周して3周目に掛かろうかというところやったので、キャリアの最後は別のところで――パンクラスさんでベルトを獲りに行こうかと思いました」

――住村選手は2017年5月にDEEPウェルター級王座を獲得し、2022年5月にベルトを返上しました。その時点で、別の舞台で戦うことを考えていたのですか。

「はい。一番大きいのは、RIZINで木下憂朔選手に負けたことですね。他の団体のチャンピオンに負けた僕がベルトを持っているのはおかしいと思ったんです。その試合後からDEEPさんと王座返上の話はしていました」

――木下選手に負けた……。2021年11月のRIZIN Triggerで木下選手と対戦し、公式結果は住村選手の反則勝ちです。しかし住村選手にとっては「負け」なのですね。

「あれは、どう見ても僕の負けじゃないですか(苦笑)。最後は反則決着になりましたけど、木下選手がケージを掴んで踏みつけてくる前に、僕は完全に効いて倒れていたわけなので。今は木下選手もUFCと契約して、世界で戦ってくれています。だから僕も、木下選手と戦えたことは良かったと思っています」

――……もしかしてパンクラスを新たな主戦場に選んでいたのは、木下選手との再戦をにらんでの判断だったのでしょうか。

「あぁ、その気持ちもありましたね。パンクラスで戦おうと考えたのは、まだ木下選手がUFCと契約する前で。でも木下選手は若いし、世界を目指して当然の選手ですからね。UFCで頑張ってほしいです。応援していますよ」

――では今年2月にDEEPで嶋田伊吹選手と対戦した際は、「これが最後のDEEPだ」という気持ちで試合に臨んでいたのですか。

「そうです。その前に、鈴木慎吾選手に負けましたよね(※昨年8月にTKO負け)。本当は、あの試合で勝ってDEEPは最後にしようと思ったんです。でも負けてしまって――負けたままDEEPを去るのはカッコ悪いなと思ったので、今年2月に嶋田選手と試合させていただきました。何とか勝てて、もうDEEPでやり残したことはないという気持ちです」

――嶋田戦はタフファイトになり、住村選手は試合後に「しょうもない試合」と仰っていました。ただ周囲の評価は上々でした。

「自分の中で、出し切れたという気持ちはありました。メンタル的にも吹っ切れていましたし。木下戦と鈴木戦——人生で初めて連敗したような状況だったので、逆に吹っ切れて試合することができましたね。嶋田選手は若くて勢いのある選手で、そこで競り勝てたことも大きいです。まだまだやれる、というところを見せられたんじゃないかと思います」

――繰り返しますが、決して「しょうもない試合」ではなく両者の気持ちが見える好ファイトでした。

「ありがとうございます。シーソーゲームになりましたよね」

――組みによるシーソーゲームが評価されづらいのが国内MMAの現状です。判定でもテイクダウン&コントロールより、ダメージを与えていなくても細かい打撃がより評価される傾向にあって。

「今、そっちのほうが評価されちゃいますよね。でも、僕が打撃主体の試合をすることはないです。今は自分のことを組みの選手だと思っているので。試合で打ち合いになったとしても、組めるタイミングがあれば組みに行きますよ。どんな判定基準であろうと」

――グラウンドでコントロールする場合は、相手の打撃をもらわず完全に制圧しないと判定で優位に立てないかもしれません。住村選手にとっては、今後も若手選手とのタフファイトが連続することになります。

「そういう試合が続きますよねぇ。若い選手は元気やから。もう海から上がったばかりの魚みたいにピョンピョンと撥ねて(笑)」

――アハハハ。それは元気すぎますね。

「自分も若い頃は、そうでした。元気で、『誰にも負けない。上の選手を食ってやろう』という気持ちでした。それも立場が変わって、これから若くて勢いのある選手が僕のことを食ってやろうという試合が続くと思います。前回の嶋田戦もそうでしたし。そんな若い選手を制圧できるぐらいのテイクダウンと、コントロール力を身につけないと勝てないですよね」

――パンクラスに参戦するうえで、ベルトを目指していくということでした。どれくらいの期間と試合を経て、ベルトに挑みたいと考えていますか。

「次の試合に勝って、すぐタイトルマッチをやらせてくれるなら嬉しいです。もちろん、そんな美味い話はないと思うので、もう1試合やれと言われたらやります。そこはパンクラスさんに任せますね。先日、新しいチャンピオンも決まって、そのベルトを狙って目の前の試合を勝っていくしかないです」

――草MAX選手は現在パンクラスのランカーではないので、この試合結果がランキングに影響を及ぼすかどうかは分かりません。住村選手としては初戦でランカーと対戦したかったのではないですか。

「いえ、まずは試合を組んでくれたことに感謝しています。それと草MAX選手はHEATの元チャンピオンで、キャリアもある。パンクラス初戦として良いカードだと思っています」

<この項、続く>

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【Pancrase336】「嫌な相手です」田中路教の相手は南アフリカEFC Worldwide前王者マネンゲラに!!

【写真】4月の笹戦の動きには全く納得いっていないという田中。どのようにアジャストしてくるのか──その点は不安が付きまとう (C)MMAPLANET

9日(金)、7月9日(土)に東京都港区のニューピアホール大会夜の部= Pancrase336に出場する田中路教が、シンディレ・マネンゲラと対戦することが発表された。

4月30日の立川大会後、米国のビザの更新を待つ間もオファーを受けたパンクラスで戦うことを決めた田中──だが、7月2日にDEEPで戦う松嶋こよみと同様にパンクラス陣営が対戦を打診した日本人ファイターは首を縦に振らなかった。

結果、パンクラスが田中に用意したのは前EFC Worldwideバンタム級王者のマネンゲラだ。


キャリアは8勝8敗と決して綺麗でないマネンゲラだが、直近の負けは昨年6月に現在UFCで2連勝中のキャメロン・サイマンを相手に、ベルトの防衛に失敗したモノ。加えて、キャリア序盤に3連敗を喫しており、試合映像を見る限り、パンクラスの日本人上位ランカーより厄介な相手といっても過言でない。

とにかくデカい。

公称173センチが逆にサバを読んでいるのではないかという体躯を誇る。特に四肢が長く、さらにいえば組み技系のファイターで、スタイルマッチアップ的にも田中にとっては難敵といえる。

自身の得意な場所が相手も得意。そこで攻めに来ず防御に徹してくるようだと、粗いがパワフルな打撃で田中が削られる可能性は十分にある。

今やUFCで再び戦う可能性が限りなく低くなっていることを自覚し、それでも可能性を捨てず現実的に最強の相手と戦える場所を目指す田中──その一縷の望みでさえ、この南アフリカの元チャンピオンによって断ち切られるかもしれない。

そんな一戦に挑む、田中のコメントは以下の通りだ。

田中路教
「嫌な相手です。普通に。反応とかも良いですし、EFCでチャンピオンになるということは体は強い。それで、あのデカさ。雑ですが、その雑な部分を軽視することはもう一切できないです。普通に綺麗に戦う人よりも、粗い方が戦い辛いということはあります。でもガムシャラにやっています。言うても、負けるわけにいかないですから」

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【Pancrase335】元修斗世界ストロー級チャンプ黒澤亮平が初参戦。同じく初出場の小林了平と対戦

【写真】そのポテンシャルを発揮するのは、これからだ (C)SHOJIRO KAMEIKE

2日(金)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase335で黒澤亮平が初参戦を果たし、小林了平と対戦することが発表された。

元修斗世界ストロー級チャンピオン飛鳥拳こと黒澤がプチサブライズ=パンクラス初参戦が決った。


2016年7月に澤田龍人を破り、修斗ストロー級の頂点に立つも翌2017年10月に負傷が完治するまでに防衛期限を守れないという理由で王座返上、2019年1月の再起戦まで2年半のブランクがあった。

再び修斗最軽量の王座を狙うのを機に、リングネームを本名に変えるも戦績的には5勝3敗。大切な局面で星を落としてしまったが、4月の沖縄大会での一本勝ちから心機一転、パンクラスに戦場を移すこととなった。

現状、パンクラス・ストロー級王座は山北渓人がステップアップしたONEでの戦いに専念するために返上し、空位となっている。当然、黒澤のターゲットはそのベルトなるだろう。

対する小林了平はNEXUSを主戦場に5勝2敗のキャリアを残す19歳の若手で奇しくもRYOHEI対決となる。生真面目、真摯さがMMAの幅を狭めるようなきらいが見られた黒澤だが、パンクラス参戦という状況の変化で、よりMMAを楽しみ、ポテンシャルをフルに発揮できるよう心持ち変えられるか。

三十路となった黒澤のMMAファイター人生第3章──今回の試合のように挑戦が下の世代の突き上げを食らうことも増えるであろう、これからが楽しみだ。

なおPancrase336と昼夜興行となる同日の大会、335大会では中田大貴✖高木凌、近藤有己✖佐藤豪則、名田英平✖Ryo、前田浩平✖ジョセフ・カマチョ、余勇✖貞永大輔、沙弥子✖MIYUが振り分けられている。

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