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【ONE167】MMAデビュー戦前のケイド・ルオトロ「数年でトップファイターに。ADCCかCJIか……」

【写真】いよいよ。本当にインタビュー中の表情、声はリラックスしていたケイドだ (C)CHOI WOO SUK

8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167でケイド・ルオトロがブレイク・クーパーとMMAデビュー戦を戦う。
Interview by Choi Woo Suk

ADCC2022、77キロ級優勝。ONEではサブミッショングラップリングで世界ライト級王者に君臨しているケイドが、MMAに挑む。強い――だけでなく、フィニッシュ能力の高さ――だけでもない。正確無比ならが、無機質でなく華麗なグラップリングで組み技ワールドを変革した天才。もちろん、組んでしまえば圧倒的に強いだろう。ただし、グラップリングはない要素がMMAには存在する。

そんなMMAに対し、柔術家ではなくマーシャルアーチストとして全てに対応できる姿を見せたいというケイドにMMA、そしてADCCかCJIが揺れるグラップリング界について話を訊いた。


12歳の時からムエタイをやってきた

──MMAデビューを土曜日に控えているケイドです(※取材は5日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

「そうだね、今の気持ちの大部分はワクワクしている――ということかな。実は柔術の時と比較すると、もっとナーバスになると思っていたから自分でも驚いているんだ。正直なところ、柔術の試合の時よりも緊張していない。きっとキャンプでの仕上がりが最高で、ワールドベストのコーナーマンがいてくれるから、凄く自信があるんだと思う。試合が楽しみでしょうがないんだ」

――ところでMMAを真剣に戦おうと思ったのは、いつからだったのでしょうか。そして、このタイミングになったのは?

「子供の頃から、いつかMMAを戦いたいと思っていた。MMAの練習もしていたけど、定期的っていうことじゃなかったんだ。去年ぐらいからは週に1度、あるいは2度ほどトレーニングをするようになっていたけどね。よりシリアスにMMAの準備をするようになったのは3カ月前から。前戦のキャンプ後、MMAを戦う時が来たと思ったから、今回のタイミングになったんだ」

――やはり気になるのは、打撃です。どれだけ準備ができているのでしょうか。

「その質問に対して、求められている答えにならないかもしれないけど、12歳の時からムエタイをやってきた。柔術のジムでやってきたから、それほど高度ではない。それでもMMAっぽい動き、MMAを考えた練習をずっとタイとやっていたんだ。MMA的な動きに関しては、適応できていると思っている。もちろん、過去3カ月ほど集中してやってきたわけじゃないけど、MMAに関しては週に1度とか2度トレーニングをしてきたことも生きるんじゃないかと思っている」

――このファイトキャンプで、打撃は誰の指導を受けてきたのでしょうか。

「タイラー・ウォンブルス(へナート・ババルの黒帯ムエタイ選手。クラシック・ファイトチームのヘッドコーチでレイモンド・ダニエルズ、アンドレ・フィーリ、トニー・ファーガソン、アレックス・ペレスらを指導してきた)だよ。ハンディントンビーチはムエタイ、キックボクシングで優れたストライカー、そして指導者がいる。なかでもエリック・パーソンには打撃単体だけでなくて打撃と柔術、そしてレスリングをミックスした動きを教えてもらってきた」

――ウォンブルス・コーチやエリックの指導を受けたということですが、主な練習場所や練習パートナーは誰だったのですか。

「タイはいつも一緒に練習してきたけど、タイラーとエリックのジムで彼らの生徒とやってきたよ。2つのジムの皆が僕をサポートしてくれたから、凄く成長が早かった。本当に彼らには感謝している」

――柔術、レスリングと同様に打撃もMMAの一部です。どのようなMMAを戦いたいと思っていますか。

「全てだよ。本当のマーシャルアーチストは、何か一つのことが特別に秀でているのではなくて何でも対応できないと。もちろん柔術は僕にとって最高の武器だ。でも柔道の投げ、レスリングのテイクダウン、特にパンチ、打撃の能力を……キックも含めて皆に披露したい。全てを見せることなく、試合を終わらせることになるかもしれない。それでも全力で今持ちうる力を使いたい」

――打撃は主に押す力。グラップリングは引く力。そういう筋肉の使い方をすると言われています。

「その通りだ」

――両方を使う時、タイムラグが生じることがあるという指摘もありますが、そのように感じることはありますか。

「それはあくまでも普通の生活における筋肉の使い方、その範疇の話だよ。僕らの肉体や心肺機能は、決定的に普通の人たちとは違う。打撃を使って組みつく。グラウンドで攻めていて、スタンドに戻ってすぐに打撃を使う。全てのスポーツで肉体の使い方は違っているけど、MMAはあらゆるスポーツの体の使い方が一体化している。そういうラグをなくすためにドリル、スパーリングで時間を費やしているんだよ。いkなる動きをしていても、肺機能を活発しないといけない。パンチ一つをとっても、脹脛だって連動している。そういう普段の生活にはない動きが、徐々に見についてくる。それこそがマーシャルアーツの練習の素晴らしい点だよ」

――なるほど、です。ではブレイク・クーパーの印象を教えてください。

「クーパー一族の一人だよね。一族の全員が重いパンチ、ノックアウトパワーを持っている。ハワイらしくて、家族の絆が太い。人生の中心にレスリングがあって、凄く尊敬しているファミリーだよ」

――では現状、ケイドにとってMMAでの目標は?

「チャンピオンになること。サークルケージに足を踏み入れ始めたばかりの僕が、こんな風に言うのは無礼なことかもしれないけどね。でも、数年以内に自分の階級のトップファイターになる」

――では、これからもMMAを続けていくということですね。

「絶対的に続けるよ。今年中にもう1試合戦いたいと思っている。この試合のあと、タイがONEで柔術マッチが控えている(※ケイドはグラップリングの試合も柔術と呼ぶことがある)。そして、1度柔術トーナメントに出るだろう。9月にはコロラドでマイキー・ムスメシとグラップリングマッチも決まっているし、どんどん試合をしていきたいんだ。希望としてはONEが11月にアトランタで開くUS大会で、MMAの2戦目を戦いたい」

ADCCかCJI、今はまだ心が揺れている状態。来週には答を出す

――今週末にMMAを控えているケイドですが、今、グラップリング界が揺れています。クレイグ・ジョーンズがADCC世界大会に100万ドルの賞金が懸かったトーナメントをぶつけてきました。

「ADCCは五輪のように世界最大の柔術トーナメントだ。未来永劫に、ね。クレイグ・ジョーンズは2階級で優勝賞金100万ドルの16人制トーナメントを行う。賞金目的で多くの選手がADCCを離れるだろう。僕とタイはADCCで戦うのか、クレイグ・ジョーンズ・インビテーショナルで戦うのか。まだ決めていない。

ADCCがなければ、ここまで柔術が脚光を浴びることはなかった。同時に100万ドルは大きいよ」

――8月、ケイドとタイがTモバイル・アリーナ、あるいはトーマス&マック・センター――どちらに姿を現すのか。いずれにしても、楽しみでならないです。

「2年前、トーマス&マック・センターでADCC世界大会を戦った時、4試合で4つの一本勝ちを収め生涯最高のパフォーマンスを見せることができたと思っている。あの会場は本当に思い入れがある。クレイグ・ジョーンズが、あの会場を使用する。そして、より大きなTモバイル・アリーナで開かれるADCC世界大会はチケットもほとんどソールドアウトらしい。二つのショー、それぞれが最高になるだろう。

ほんと、難しいよ。タイとずっと話し合ってきた。来週には答えを出さないといけないけど、今はまだ心が揺れている状態だよ」

■放送予定
6月8日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE167 その他 アリス・アンダーソン ノエル・グホンジョン ハム・ソヒ ヴィクトリア・ソウザ ヴィクトリア・リー 三浦彩佳 山北渓人 平田樹

【ONE167】ヴィクトリア・ソウザとの再起戦へ、平田樹「自分1人で戦っているのでなくーー」

【写真】Are You Ready? ――と書かれているTシャツ。平田は仲間たちとともに準備してきた(C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167で平田樹が、1月日本大会=三浦彩佳戦の敗北から再起を期してヴィクトリア・ソウザと対戦する。
Text by Manabu Takashima

その他に例のないMMAデビューとステップアップ方法で、浸透度は抜群の平田だったが、MMAファイターとしてハッキリと壁に当たっている。そこを打開すべき、和術慧舟會HEARTSで練習をするようになった平田は、「今は目立ちたくない」と数字や知名度でなく純粋は結果を求めるようになった。自分を支えてくれる人達への想いを乗せて、サークルケージに戻る平田樹の想いとは。


──1月の三浦彩佳戦以来の試合が、約10日後に迫ってきました(※取材は5月28日に行われた)。この試合が決まったのは、いつ頃ですか。

「試合自体は日本大会の直後、次の日かに3月のカタール大会でオファーがあったんです」

――カタール大会は山北渓人選手も出場していましたが、敗戦直後にオファーがあったのですね。

「日本人選手が毎大会出場するという事情があるのかもしれないですけど、選手としてはありがたいです。自分としても試合をどんどんやっていきたいと思っていますし。ただ3月がまとまらず、4月に希望を出していたのですが、対戦相手のことなんかもあって、結果6月になった形です」

――ヴィクトリア・ソウザはONEで1勝2敗、故ヴィクトリア・リーとノエル・グホンジョンに負けている選手です。

「勝たないといけない相手ですよね。内容的にも強さを見せないといけない。自分にプレッシャーを掛ける意味でも、ここで負けているようじゃ『終わりじゃね』って思っています」

――逆をいえば知名度とプッシュされるという部分で、底上げされてきたキャリアが本来の位置に戻ったように感じます。

「そうですね、私は飛び級中の飛び級で。他にはないケースだったと思っています。ただ、だからといってこの相手のレベルで戦っていて良いという風には捉えていないです。

組みも打撃も気が強くて、振ってくる相手で。気持ちが切れれば、持っていかれる相手だとしても。自分の欲次第、勝ちたいという欲求がないと。なんとしてでも勝たないといけない。振り返ると……『どうやって勝とう』とか考えると、インターバル中でも気持ちが切れるようなところがあるので。

試合になると、そういう練習では出ない部分が出てくることがあって」

――相手があってのことで、思い通りにならない部分で競い合うのが格闘技ですし。

「そこは練習中にも考えるようになりました。疲れた時に、いく。大沢(ケンジ)さんからも『ここ、取られているぞ。行けッ!!』って言われています。絶対に取らないといけないラウンドだっていう気持ちのまま行け、って。それが出来たのって、ナイリン・クローリー戦かと思います」

――個人的に調子に乗りまくれたクローリー戦より、アリス・アンダーソン戦。ダウンを乗り越えた試合かと。

「あぁ、そっかぁ。でも、もう2年も前なんですよ。試合数も少ないけど、その後の試合ではスタートも遅いし、やり返す気持ちも出ていない。やってやれっていう……気持ちが入って戦えていないんですよ。負けを経験して……『このままだと負ける』って考えちゃうと、頭ばっかりで体が動かなくなっていました。

簡単じゃないことは分かっているんですけど、自分で思っている以上に動けない。立ち位置としても難しくなっていることは感じています。ここからやらないといけないという人もいれば、『平田樹の名前があって、この相手か』という人もいます」

――まぁMMAPLANETは一般の人向けのサイトというつもりは一切ないのですが、直樹選手のインタビューを樹選手が触れてくれるとXのリーチ数の桁が違ってくるんですよね。あれは今さらながら驚かされています。

「アハハハハ。直樹のためになるなら、いくらでも自分の名前は使います。でも、数字で評価されてもって……思うようになりました。私自身、勝っている間は数字とか知名度って考えていなかったです。でも勝っていないと、そこがあって良いのかって考えるようになってきて。それで良い人もいるんだろうけど、自分的はもう目立ちたくなくなってきました。

今は直樹の陰に隠れている感じで。何か発信していこうとも思えないですし。だから、試合に勝たないと。自信がないのに、そういうことはできないです。名前が売れているのに、結果がついていないのは格好悪い。試合内容も微妙だし、自信を持って自分が格闘家だと発信できない。そういう自信って、勝たないと補えないと思っています」

――そうなると結果もそうですが、試合で何ができるのかということも大切になりますね。ならば、それこそ今回の試合は現状に適した対戦相手かと。

「前回の試合が終わって、ONE FFでも良いから試合をたくさんしたいと伝えていて。ここで名前のある相手と戦いたいなんて思っていなかったですし。そういう状況で組まれた試合だし、とにかくこういう試合を積み重ねていきたいと思っています。直樹なんて。1年で4試合もしていて。アイツは連勝していて、ちょっと自分にもイラついています(笑)。

こういう試合で勝って行って、また名前のある選手、強い選手とやりたいと言えるようになりたいです。だからこそ今回の試合は、自分の精一杯をぶつけます」

――そもそも平田樹という選手は突然、スッとMMA界からいなくなるかもと思い続けてきました。でも、結局のところずっと残っている。

「辞めるのは簡単なことです。両親も『辞めたいなら、続けなくて良い』と言っていたので。だからハム・ソヒ戦のあとは、カフェをやりたいなとか思ったこともありました」

――まぁご両親としては、子供の意思を尊重する。見返りを求めないのが親なので、そう言いますよ。でも、本音は諦めるな。やり始めたことはとことんやれという想いもあったかと。それはなんのためでなく、平田樹という人間のために。

「柔道の時も、同じでした。で、自分はきっぱりと辞めて格闘技を始めた。あの時も『辞めるな』って言わないんだとは思いました。まぁ辞めるなといっても、辞めるんだし……。

でも、そうですね……『辞めて良い』って言っていても、絶対に辞めるなと思っていたんだろうなと……そういう気がします。特に母親の方は。私が負けて、一番悔しいのはママだと……。絶対、続けろとは言わないけど……。本当に親って、ありがたいなって……」

――頑張ってほしくても頑張れってあまり言わないのは、頑張らなくても付き合うのはご両親だけだからで。

母のことを話平田の目に涙がーー(C)MMAPLANET

「負けて、誰よりも悔しそうにしているのが両親で。勝った時に一番うれしそうなのが、やっぱり両親で……。絶対に次は喜んで欲しい。負けて支えてくれる人が、悔しそうにしていて……次の試合は絶対に勝って、皆の喜ぶ顔が見たいです」

――そのために次の試合で、出したい自分は?

「ここ(HEARTS)で練習してきたことを出したいです。さっきも言ったように思い通りになっていないときに、どう戦うか。大沢さんの声を信じて、戦います。1月の時と違って、大沢さんのアドバイスに反応できるようになっているはずです。ここでやっていると、自分1人で戦っているのでなく、頼ることができる人がいるって思えるんです。

皆を信じて練習して、大沢さんを信じて戦えます。勝ちたい欲と気持ち。泥臭くて、汚くても良いからとにかく勝ちたいです」

■放送予定
6月8日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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45 AB F1 K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE167 YouTube キック シッティチャイ・シッソンピーノン ボクシング 武尊 海人 海外 野杁正明

【ONE167】野杁正明、ONEへ―02―「ONEでチャンピオンになったら、初めて『ここがゴールだ』と思える」

【写真】5月18日、野杁は武尊が結成したteam VASILEUSに加入することを発表。武尊、そして渡辺雅和トレーナーらと共にONEの頂点を目指す(C)TAKUMI NAKAMURA

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、野杁正明がフェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールでシッティチャイ・シッソンピーノンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

注目のONE参戦、そしてシッティチャイとの対戦が決まった野杁。ONE参戦を決意した理由を語ってくれて前編に続き、インタビュー後編ではシッティチャイとの対戦やONEでの戦い、そして先にONEに戦いの場を移した武尊への想いを語った。

<野杁正明インタビューPart.1はコチラ
<シッティチャイ インタビューはコチラ


――さてONEデビュー戦では、いきなりトップ選手のシッティチャイと対戦することになりました。オファーを受けた時はどんな心境でしたか。

「驚きはなかったですね。素直に嬉しかったです。キャリア豊富なベテランですし、ランキングでも3位に入っていて、デビュー戦で当ててもらえてよかったです」

――試合をやるならランカーやトップ選手とやりたかったですか。

「やりたかったです。その方が手っ取り早いので。シッティチャイはONEでタワンチャイにも勝っていますし、ONE以外ではスーパーボンに勝って、グレゴリアンには通算戦績で勝ち越していて、そうそうたるメンバーに勝ってるじゃないですか。ここをクリアすれば次のステージが見えてくるので、ノーランカーの選手とやってチャンスが回ってくるのを待つよりは、シッティチャイのような選手とやれてよかったです」

――ファイトスタイルについてはどんな印象を持っていますか。

「一言で言うとテクニシャンですよね。サウスポーで上手く戦いながら、相手が入ってくるところにヒザを合わせる、みたいな。もろにムエタイスタイルではないですけど、ムエタイスタイルをこのルールに合わせて戦っている印象です」

――シッティチャイは野杁戦が決まって、野杁選手と対戦経験があるゲーオ・ウィラサクレックを臨時コーチとして招聘しているそうです。

「最初はそれを知らなかったのですが、ファンの方が『シッティチャイがゲーオと練習しているみたいです!』とDMで教えてくれて(笑)、それでゲーオのインスタを見に行ったら一緒に練習している動画がアップされていたので、驚きはしないですけど、そうなんだくらいの感じですね」

――僕はシッティチャイのこの試合に対する本気度が伝わってきたのですが、野杁選手はいかがでしょうか。

「嬉しい限りですね。弱いシッティチャイじゃなくて、過去最強のシッティチャイで来てもらいたいので、しっかり対策も練ってきてもらいたいです」

――意外にも野杁選手の過去の戦績を振り返るとタイ人との対戦はゲーオとプライチュンポンの2人だけで、タイ人と戦うことに警戒心はないですか。

「僕は全く気にならないですね。僕のファイトスタイル的に相手がオーソドックスでもサウスポーでも関係ないですし、タイ人に苦手意識はないです。ONEの日本大会でシッティチャイとグレゴリアンがやった試合も会場で見ていて、なんとなく戦うことはイメージしていたので、今回も(倒し方は)何パターンか用意しています。グレゴリアンが3Rで倒しているので、それより早いタイムで倒して上位ランカーたちにアピールしたいですね」

――またこの試合はケージ、そして海外遠征にもなります。そこについてはいかがでしょうか。

「ケージはあんまり気にしないですかね。リングの方が詰めやすいとは思いますけど。あと海外やアウェーで戦うのは好きなんですよ。過去にフランスで2試合やっているんですけど、最初のフランス遠征で戦った(エディ・ネイト・)スリマニが地元のヒーローみたいな選手で、会場の雰囲気が僕の攻撃が当たっても『シーン…』で、スリマニが攻撃を出すだけで『ウォー―!』みたいな反応だったんです。でも僕がKO勝ちしたら、フランスのお客さんも僕に声援を送ってくれるようになって、そうやって周りの見方をひっくり返すのは気持ちいいですね。ちなみにその大会で一緒だったのがアラゾフと(ローマン・)クリークリャだったんです」

――のちにONEでチャンピオンになる2人とそこで会っていたんですね。

「アラゾフにいたっては年齢も一緒だし、K-1のベルトを獲った日(2017年6月18日)も初防衛に成功した日(2018年3月21日)も同じなんですよ。だから色んな縁を感じますね」

――またONE参戦が決まった時にSNSで「武尊くんと2人でONEの世界チャンピオンになりたい」と発信していました。改めて野杁選手の武尊選手へのリスペクトを感じたのですが、野杁選手にとって武尊選手はどんな存在ですか。

「もともと武尊くんは敵チームだったんですよ。僕がK-1ジム恵比寿にいた頃は僕と小澤海斗が仲良くて、ちょうどその時期に武尊くんと海斗がバチバチだったんです。海斗が武尊くんと試合した時は、僕も武尊くんの試合を見まくって、海斗に対策をさずけて、試合当日はセコンドにもついたんです。その時に何に驚いたかというと、武尊くんは僕が考えた対策の一歩上を行くんですよ。それがすごく印象的で『どんな練習をやったらそんなことができるんだろう?』と。で、実際に武尊くんと一緒に練習するようになったら、とにかく練習量がすさまじい。サンドバックをやるにしても、周りが止めない限り、全力でやり続ける勢いなんです。あれだけのトップ選手が自分で自分をそこまで追い込んでいることにびっくりでした」

――色んな面で想像を超える選手だったわけですね。

「あと武尊くんはむちゃくちゃ頭が良いですね。試合だけを見ているとバチバチに打ち合うじゃないですか。だから打ち合うこと以外は考えていないように思われがちですけど、本当に色んなことを考えながら練習もスパーもやっているんですよ。一度、ボクシングのスパーをやらせてもらったんですけど、1Rのなかでもこっちの動きに対する対応を変えてきたり、対応力もすごいんです。練習量と頭の良さが両方あるからこそ、武尊くんはあれだけ勝ち続けられていると思うし、一格闘家として尊敬できる存在です。あとは『THE MATCH 2022』で僕が海人選手に負けてしまって、いい形で武尊くんにつなげられなかったことが悔しくて。そのリベンジではないですけど、同じ日に試合をして勝ちたいですし、2人でONEのベルトを巻いて世界一になりたいです」

――例えば武尊選手と2人で色々と話すことはあるのですか。

「team VASILEUSに加入してから話すようになったんですけど、KREST時代は若干距離があったんですよ(笑)。僕がKRESTに入った当初、みんな僕のことを“野杁くん”と呼んでいて、そこにちょっと距離を感じていたので、しばらくしてトレーナー陣に『下の名前で呼んでもらっていいですか?』とお願いしたいんです。そしたらトレーナー陣から徐々にみんな“野杁くん”から“正明”に呼び方が変わっていったんですけど、唯一武尊くんだけ“野杁くん”呼びのままで。それで微妙な距離を感じていたら、K-1横浜アリーナ大会(2019年9月)の前のインタビューで武尊くんが『正明は~』と言っているのを見て『あっ!“正明”って呼んでる!』と思って、それで距離が縮まりました(笑)」

――キャラクターや性格は違う2人ですが、格闘技や練習に対する考え方は似ていると思いますか。

「なんて言ったらいいんだろう…僕も武尊くんも“格闘技バカ”なんでしょうね。いい意味でお互いネジがはずれてるんだと思います」

――野杁選手の年齢・キャリアを考えると、ONEが最後の挑戦になりそうですか。

「ONEが僕の最終章だと思っています。そのデビュー戦でランキング3位のシッティチャイと試合を組んでもらったので、このまま最短距離で一気にベルトまで駆け上がりたいと思います」

――今まで色んなベルトを巻いて、トーナメントでも優勝してきたと思いますが、ONEのベルトを巻いて「世界一になった」と思いたいですか。

「はい。今までトーナメントで優勝してうれしい・ベルトを巻いてうれしいと思ったことはあるのですが、これでゴールだと思ったことは一度もないんです。でもONEでチャンピオンになったら、初めて『ここがゴールだ』と思えると思うので、そこを目指して戦っていきたいです」

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE167 RIZIN   ジュリー・メザバルバ スタンプ・フェアテックス デニス・ザンボアンガ ノエル・グホンジョン ハム・ソヒ 澤田千優

【ONE167】ノエル・グホンジョン戦へ、デニス・ザンボアンガ「ここで勝って、次は暫定世界戦」

【写真】ザンボアンガにとっても昨年4月のジュリー・メザバルバ以来の試合となる (C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167でデニス・ザンボアンガがノエル・グホンジョンと戦う。
Text by Manabu Takashima

当初、同大会でサンボアンガはONE世界女子アトム級王者スタンプ・フェアテックスに挑戦予定だったが、スタンプのヒザの負傷で世界挑戦はお預けとなった。そもそも両者の世界戦は一度、3月のカタール大会で組まれていたが、リスケされていた。

延期と負傷、結果的に世界戦の機会を失したザンボアンガは、5月のFN大会で澤田千優に敗れたグホンジョンとサークルケージで相対することとなった。ザンボアンガはかつての練習仲間を決して軽視しないと言いつつも、20分弱のインタビューの間に「ここで勝って、次は暫定世界戦」という言葉を繰り返した。そして──その相手に澤田の名前を挙げていた。


──デニス、スタンプではなくノエルと2週間後に戦うことになりました。

「とにかくスタンプとの世界戦が流れたことは、悲しかったわ。でもONEチャンピオンシップが、代役の選手を探して試合機会を創ってくれたことには感謝している。ここまで試合に向けて積んできたトレーニングを無駄にしたくなかったから」

──スタンプとの世界戦は3月のカタール大会でも組まれていたものが今大会にスライドされていたので、2度に渡りキャンセルされたことになります。

「3月の試合が延期になった理由はハッキリと聞かされていなかったけど、とにかくバンコクで試合を組みたかったんだと思っていたの。そっちの方が盛り上がるのは間違いないので」

──そのスタンプとの試合が行われる前に、彼女が9月の米国大会でストロー級世界王座に挑戦することが発表されていました。あの発表には、気持ちがざらつくことはなかったですか。

「スタンプはスーパースターだから、そこは理解しているわ。まぁ、私の立ち位置はそういうことだから(笑)」

──理解しているではなく、理解しないといけないということでしょうか(笑)。

「まぁ、そういうことね(笑)。ただ、私の試合がなくなったわけでもなかったし、アトム級王座を狙う位置にいたことは変わりないから」

──結果、スタンプの負傷より、ノエル・グホンジョンと戦うことになりました。ただノエルは5月4日に澤田千優選手に負けたばかりです。

「他の相手……トップファイターは、ショートノーティスで試合を受けなかったはず。私もできれば暫定王座が掛った試合がしたかったけど、それは難しいとは分かっていたわ」

──この短期間だとタイ在住の選手に限られてきますしね。

「そう、本当にその通り(笑)。だから代役を見つけること自体が困難だったはず。そういうことだから、今回の試合に勝てば次は暫定王座決定戦を戦いたいわ」

──そのうえでノエルの印象を教えてください。

「彼女とは以前、フェアテックスで一緒に練習していたの。寝技がとても強くて、スタンドもできる選手よ。私はどの試合でも自分を信じて、自信を持って戦っているけど、自信過剰にならないようにしているの。

ファイトは何が起こるか分からないし、とにかく勝利を手にすることに集中しているわ。フィニッシュしたいけど、何よりも取りこぼしの無いように戦うことが大切で。そうすることで、次の試合で暫定王座を掛けて戦うことができるようになるはずだから」

──いずれにせよ、デニス自身も1年2カ月振りの試合になります。

「前回の試合後から、ノンストップで練習をしてきたから私のMMAは凄く成長しているわ。打撃もそうだし、柔術もそう。特に今年の1月から常に、スタンプ戦を想定して自分を追い込み、高めてきたから」

──今回の試合に向けての練習内容は?

「所属しているT-REXジムで、MMAは兄のドラックスと。打撃はフィアンセのフリッツ・ビアグタンと練習をしてきた。フリッツはWBCムエタイのフィリピン王者でONE FFで2勝1敗(2019年4月にRIZINで那須川天心に敗れている)、彼のおかげで打撃は本当に上達したわ。

柔術は出稽古をしていて……フィリピンも黒帯の柔術家が増えて国全体でグラップリングのレベルが上がっていると思う。グラップリング自体もそうだし、MMAファイターの組み技のスキルも随分と進歩しているわ。私も何人かの黒帯に協力してもらっているから、柔術も自信を持って成長したと断言できるわ。

今もチーム・ラカイやライオン・ネイションMMAというバギオのチームがフィリピンをリードしているけど、マニラの選手たちだって力をつけて、世界の舞台に出て行けるようになっている。そういうなかで、私は1日に2度の練習を続けてきたの。

練習をしないのは教会にお祈りにいく、日曜日だけね。日曜日は心身ともに休息日にしているわ」

──先ほどから次は暫定王座で戦いという発言が聞かれています。その相手は誰が相応しいと考えていますか。

「スタンプのリカバリーには時間が掛りそうだから、暫定タイトル戦を戦いたくて。相手はトップファイターなら、誰でも構わないわ。対戦相手は選ばない。ONEの選択に従うだけで。確かなことは、誰だろうがベルトを巻く準備はできているっていうことね(笑)」

──ハム・ソヒと3度目の対戦は希望しない?

「名前を挙げるのではなく、相応しい相手は1位の選手と3位の選手よ」

──つまりデニスは現在ランク2位で。1位はハム・ソヒ、3位は澤田千優選手ですね。もう澤田選手はタイトルが射程圏内に入っていることが裏付けられるデニスの意見です。

「彼女は十分にトップファイターでしょ。前回のノエルとの試合を見てもそう。さっきも言ったけど、私はノエルと一緒に練習していた時期があるから、その実力を理解している。ノエルは実力者よ。そのノエルにしっかりと勝っているサワダの力がどれほどなのか、私には分かるから。

しかもランキングも3位だし、暫定タイトル戦を戦う資格を十分に持っているわ」

──アトム級でも小さな澤田選手ですが、それだけデニスも認めているのですね。

「リング上の彼女を見ていると、小さいなんて全然思わないわ。本当に彼女は小さいの?」

──ONE女子アトム級に合わせて、体を創っているはずです。

「でも、凄く強いじゃない? 実際にテイクダウンからグラップリングでノエルを圧倒しているわけだし」

──では、なおさら今回の試合で澤田選手に負けないパフォーマンスが必要になってきますね。

「私はノエルのグラップリングの強さを認めているし、そのノエルをドミネイトしたサワダの強さも認めているわ。でも、私はチャンピオンになるために戦っていて。今回の試合でフィニッシュすれば、ベルトが懸かった試合がまた組まれるはず。だからこそノエルを殴って、組み伏せて、フィニッシュするわ」

──デニス、今日はありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「まず、最初にスポンサーの皆にお礼を言わせてもらっても良い? この試合の機会を得ることができたのも、彼らのサポートがあってのことだから。そして、もし日本に私のことを応援してくれる人がいるなら、ありがとうと伝えたいわ」

■放送予定
6月8日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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【ONE167】野杁正明、ONEへ―01―「誰もが認める世界最強になりたい。僕の中ではONE一択だった」

【写真】世界一になるために誰と戦えばいいのか。その答えが野杁にとってはONEへの参戦だった(C)TAKUMI NAKAMURA

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、野杁正明がフェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールでシッティチャイ・シッソンピーノンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年7月のK-1両国大会以来、沈黙を守ってきた野杁がK-1との契約解除、そしてONE参戦を発表した。しかも注目のONEデビュー戦の相手はGLORYで一時代を築き、フェザー級ランキングの3位に位置しているシッティチャイ。名実ともに世界のトップと戦いたいという想いを持っていた野杁にとっては、これ以上ない相手が用意されたと言っていいだろう。

ONE参戦を格闘技人生最後の挑戦と位置付ける野杁のインタビューを前後編で公開。前編ではONE参戦を決断した理由を語ってくれた。

<シッティチャイ インタビューはコチラ


――野杁選手のONE参戦が発表されて、SNSでも大きな話題となりました。野杁選手の周りでも反響が大きかったのではないですか。

「公式発表されて数日間は携帯が鳴り止まなかったですね。過去最高くらいの反響です。ファンの人たちも『待ってました』や楽しみにしています』という声が多くて、僕自身もびっくりしています。K-1時代から『ONEの選手とやってほしい』『ONEに挑戦しないんですか?』と言われることも多かったので、期待してもらえているんだなという感覚はありますね」

――具体的にいつからONEのことを意識するようになったのですか。

「(マラット・)グレゴリアンや(チンギス・)アラゾフが圧倒的な強さを見せてK-1チャンピオンになって、ONEに行ったじゃないですか。そのくらい(2020年~2021年)から意識するようになりましたね。ONEは世界中から強い選手が集まってくる舞台だったので、いつかは(ONEに)挑戦したいという気持ちは持っていました」

――野杁選手も2022年頃から本格的に70kg転向を視野に入れていて、そこでより具体的に考えるようになりましたか。

「僕が小学2年で格闘技を始めたとき、いつかK-1に出たいと思っていて、当時はヘビー級と70kgしかなかったので、もともと70kgでやりたいという気持ちはあったんです。あとは徐々に体重も増えてきて、2021年にK-1で67.5kgのベルトを獲ったんですけど、世界的に見て67.5kgは中途半端な階級じゃないですか。当時は67.5kgで世界トーナメントをやってほしいと思っていましたが、その階級で僕が燃えるような相手がいるかと言われたら思いつく選手がいなくて。それだったら世界的にも選手層が厚くて盛り上がっている70kgに挑戦した方がいいなと思っていました」

――体重も自然に増えていたのですか。

「そうですね。K-1では最初65kgでやっていて、だんだんと減量がきつくなって階級を上げることにしました。特にフィジカルトレーニングをやって体重を増やしていたわけではないので、自然にそうなった感じですね」

――ちょうど野杁選手がK-1ウェルター級(67.5kg)王者になった時期は新型コロナウイルスの問題で外国人を招聘できませんでした。チャンピオンになって外国人選手と戦いたいという想いは強かったですか。

「はい。僕はずっと外国人選手とやりたかったんで。日本一になっても誰も満足しないだろうし、僕も納得できない。格闘技をやっている以上、世界一を目指して最強を証明したいので、日本人選手と戦って満足することはないです」

――これは元K-1プロデューサーとしての話にもなるのですが、70kgのトップ選手の多くがONEと契約していて、ONEから選手を招聘することが契的に難しい。そうなると必然的にONEと契約が終わってフリーになった選手、もしくはONEと契約していない戦績がいい選手を呼ぶしかないという状況で、そういった選手の情報は常にチェックしていたんです。そのなかで招聘できた選手がジャバル・アスケロフやアマンシオ・パラスキフだったのですが、野杁選手としてはもっと強い選手と戦いたかったですか。

「正直、物足りなさはありましたね。対戦相手が決まって、100%満足できる相手かと言われたらそうではなかったですし、僕は試合が発表されたときに、ファンの人たちに『野杁、負けるんじゃないの?』と思われるような相手とやりたいので。そう思われる相手に勝てば、自分の実力も認められるじゃないですか。そういう意味ではK-1の最後の2試合は『今回も野杁が勝つだろう』や『また無名の選手のやるのか』という声の方が多かった。もちろん名前が知られてなくても強い選手はいますが、アラゾフやグレゴリアンは格闘技ファンだったら誰もが知っている選手ですし、そういう相手と戦って勝ちたいと思っていました」

――昨年7月のパラスキフ戦後のマイクでは「これからは世界のトップとしか試合をしていかないんで」という言葉もありました。おそらく野杁選手も先ほど僕が話した状況は理解していたと思うのですが、その一方で一選手としてはやりたい相手と戦いたいという気持ちが勝っていたのですか。

「僕はオファーを断ったことがないですし、ずっと決められた相手とやってきたんで、それをやるのはパラスキフ戦が最後だと思っていました。アスケロフもパラスキフも強い選手ですが、世界のトップにいく選手じゃない。そのランクの相手と試合を続けて現役生活を終えて納得できるかと言われたら、僕は納得できなかったし、僕自身もキャリアが終盤に差し掛かってきて、今が一番強い野杁正明だと思っているので、だからこそ挑戦したいと思ってマイクしました」

――K-1では今年からK-1WORLD MAXが復活&トーナメントも開催されていて、野杁選手にもオファーがあったと思います。それでも野杁選手はONEで戦いたいという気持ちは変わらなかったですか。

「はい。僕の中ではONE一択でした。K-1からトーナメントのオファーがあった時、まだONEと契約できるかどうか分からなかったのですが、もしあのトーナメントに出ると言ったらONEに出るチャンスもなかったと思いますし、僕自身トーナメントの選手たちがそそられるメンバーではなかったです」

――野杁選手は強い選手と戦うことはもちろん、自分の実力を証明できる相手と戦うことも重要な要素ですか。

「僕は誰もが認める世界最強になりたくて、もし今年のK-1MAXに出て圧倒的な強さで優勝したとしても、満場一致で野杁正明が世界最強だという評価にはならないと思うんですね。もし優勝しても必ず『アラゾフとやったらどうなの?』や『グレゴリアンとやったらどうなの?』という意見が出てくる。だったらそういう選手たちがいる場所で戦って、一人ずつ倒していって、最終的に世界一と言われる相手に勝てば、誰からも認められる世界最強になれるので」

――野杁選手自身「あの選手とやってないじゃないか?」と言われるのは嫌ですか。

「色んな契約とか交渉事があるから、簡単に戦いたい相手と試合が組まれないのは分かっていますけど、強いと認められている選手を一人ずつ倒していけば誰にも文句を言われないじゃないですか。それが出来たら周りもそうだし、何より僕自身が納得して格闘家としてのキャリアを終えられるのかなと思います」

――野杁選手のキャリアを振り返ると、強いと言われる選手と戦って勝つことを繰り返してきたと思うので、ONEで戦うことも自然な流れだと思いました。

「弱い選手とばっかりやって、それなりに戦績を積んで稼いだとしても、それはその選手の身内が喜ぶだけじゃないですか。僕はお金を払って試合を見てくれるファンやお客さんを喜ばせたいし、それがプロの格闘家だと思っています」

<この項、続く>

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【ONE167】野杁正明と対戦、シッティチャイ「ゲーオから野杁に勝つために必要なことを教わっている」

【写真】ONEでは連敗中だが、過去にONEでタワンチャイ、Kunlunでスーパーボン、GLORYでグレゴリアンに勝っているシッティチャイ。復活のために新たな取り組みに着手している(C)MMAPLANET

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、シッティチャイ・シッソンピーノンがフェザー級(70.3キロ)キックボクシングルールで野杁正明と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

GLORY時代はライト級(70キロ)王者として、6度の王座防衛に成功し、一時代を築いたシッティチャイ。ONE参戦後はタワンチャイ・PK・センチャイに勝利するもの、スーパーボン・シンハ・マウィン、チンギス・アラゾフ、マラット・グレゴリアンには敗れており、現在は2連敗と苦しい戦いが続いている。

そのなかで決まった野杁との対戦に向けて、シッティチャイは過去に野杁とも対戦経験があるゲーオ・ウィラサクレックを臨時コーチとして招聘して野杁戦に備えていた。


――ONE167で野杁選手と対戦が決まったシッティチャイ選手です。野杁選手と試合が決まった時はどんな心境でしたか。

「彼がトップレベルのファイターの1人だということを以前から知っているから、とても気持ちがたかぶったよ」

――野杁選手の存在はいつから知っていたのですか。

「K-1でゲーオ(・ウィラサクレック)と戦った頃だね。試合が決まって改めて試合映像も見直したけど、彼はパンチ中心のスタイルで、技がパワフルかつ精度が高い選手だと思う」

――野杁選手は日本の中量級のトップ選手です。彼はスキルは世界レベルだと思いますか。

「その通り、彼は日本のトップ選手だし、そのスキル・能力は確かなものだ。ただし“世界”という基準で言うと、それが分かる相手とは戦っていないと思う。これから彼が世界のトップと戦っていくうえで、自分のどこを成長させる必要があるかを感じていくだろうね」

――野杁選手は負けそのものも少ない選手ですが、彼に勝つイメージは出来上がっていますか。

「彼が負けの少ない選手だということも知っている。でもこうして彼と試合をすることが決まって、僕が彼に勝つファイターになると思っているよ。もちろんKOするチャンスとタイミングが来れば、KOを狙っていきたい」

――SNSでシッティチャイ選手が先ほど名前も出たゲーオ選手と一緒に練習している映像を拝見しました。

「実は野杁戦のためにゲーオにトレーナーを依頼したんだ。彼は野杁と2度戦っているし、野杁に対してどういう攻撃をすればいいかをアドバイスしてもらっている。野杁に勝つために必要なことを教えてもらっているよ」

――それはすごく興味深いです。すでに日本のファンはシッティチャイ×野杁に期待・注目していますが、より楽しみになりました。

「自分自身、ONEで2連敗して良い結果を残していないから、日本のファンにも期待してもらっているとは思っていなかったよ。とにかく野杁戦は自分が持っているものをすべて出して、周りの期待に応えたいし、がっかりさせたくない。今回はそういう気持ちもあるから、余計にエキサイトしているよ」

――連敗しているという部分で、何か練習面で変えたことはありますか。

「自分も年齢を重ねて、若いころと同じ肉体ではない。特に格闘技という体を痛めつける競技をやってきたからなおさらだ。これからも試合を続けて、勝っていくためにはフィジカルやストレングス面が重要になってくる。だから今は科学的なトレーニングも取り入れて、自分の肉体を鍛える・進歩させようと思っている」

――シッティチャイ選手はGLORY時代に王者となり、6度の防衛にも成功した70キロ最強を証明したと思います。そのうえで今はONEでチャンピオンになって自分の強さを証明したいという想いがあるのですか。

「ONEは今現在も成長しているプロモーションで、ONEでチャンピオンになれば世界中のファンに自分の存在を知ってもらうことができる。今の自分の目標の最高到達点はONEでチャンピオンになることだ」

――それでは最後に日本にいるシッティチャイ選手のファンにメッセージをいただけますか。

「まず日本からも自分のことを応援してくれてありがとう。若い頃はずっとK-1に出て日本で戦いたいと思っていたから、日本のファンに応援してもらえることは本当にうれしい。今回は日本のファンにも喜んでもらえる、いい試合を見せたいと思う」

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【ONE167】野杁正明がシッティチャイと激突!6・8インパクト・アリーナ大会でONEデビュー

【写真】野杁がムエタイのトップ選手と戦うという意味でも非常に興味深いマッチアップだ(C)MMAPLANET/TAKUMI NAKAMURA

6月8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167にて、野杁正明のONEデビュー戦が決定。シッティチャイ・シッソンピーノンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

4月23日にONEと契約したことが発表された野杁。待望のONEデビュー戦は6月のONE167、ONEフェザー級 ムエタイ世界タイトルマッチ=王者タワンチャイ・PK・センチャイ×挑戦者ジョー・ナタウット、ロッタン・ジットムアンノンの約9カ月ぶりの再起戦が組まれた大会で行われる。


対戦相手は元GLORYライト級王者のシッティチャイ。GLORY時代にはロビン・ファン・ロスマーレンから王座を奪取し、マラット・グレゴリアン、ディラン・サルバドール、テイジャニ・ベスタティらを下して6度の防衛に成功し、一時代を築いた。

2020年からONEに戦いの場を移し、スーパーボン・シンハ・マウィン、タワンチャイ、チンギス・アラゾフ、グレゴリアンと対戦。この4人との対戦ではタワンチャイに勝利するもの、スーパーボン、アラゾフ、グレゴリアンには敗れており、タイトル戦線から一歩引いた位置にいる状況だ。

野杁がタイ人と対戦するのはプライチュンポン・ソー.シーソムポン戦以来、約3年ぶり。これまで世界の強豪と戦ってきた野杁だが、意外にもタイ人の対戦はプライチュンポンとゲーオ・ウィラサクレックの試合しかない。欧米人との対戦ももちろんだが、野杁の卓越した技術がムエタイのトップ選手に通用するかどうかという面でも興味深いマッチアップとなった。

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