【写真】勝手な憶測だが、プレフとその家族は日本で我々がもう失ってしまったモノを持っているような気がします(C)OTONGJARGAL PUREV
27日(金・現地時間)、ONE「Battle Ground02」が放送される。
7月30日にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで収録された同大会でベン・ロイルと対戦しているプレウ・オトゴンジャルガル・インタビュー後編。
ゲルと呼ばれるテントで寝起きし、温かい家族のサポートで夢を追い続ける彼が、その夢が潰えそうになる経験を試合直前にしていた。もう応援するしかなくなってしまうような──一途、健気なオトコゴンジャルガルは、ケージの中で最強騎馬民族の末裔であることを示すことができるか。
<プレウ・オトゴンジャルガル・インタビューPart.01はコチラから>
──日本では想像できない厳しい環境ですね。
「この境遇が厳しいとは考えていないです。このような環境にいる人はモンゴルにはたくさんいます。何より僕にはサポートしてくれる家族、コーチ、チームメイトが存在しています。MMAで成功することが自分の夢なので、これが普通だと思っています」
──力強い言葉です。そもそもプレフは、なぜMMAファイターを目指すようになったのですか。
「最初はボクシングやキックを習い始め、その時の先生がジャダンバ・ナラントンガラグ先生でした。トンガー先生が2009年からMMAに専念することにし、先生の姿を見てMMAをやってみたいと思ったんです。
2011年10月、エイドリアン・パンを破りジャダンバがLFCライト級王者に。このモンゴル国旗の後ろに、若き日のプレフがいたということか……(C)LEGEND FC
トンガー先生がLegend FCでエイドリアン・パン選手に勝ってチャンピオンになった時、セコンドでマカオを訪れていました。
あの試合を目の前で見て、絶対にMMAファイターになるんだと決心しました。
その1年後にバーサンクフー・ダムランプレウ(2017年まで現役で通算戦線は7勝1敗1分。唯一の敗北がソン・ヤードンに喫したもので、Road FCでは根津優太と引き分けている)という強豪選手とデビュー戦を戦い、負けました。でも、やっていけると自信を持つことができました。その日から、今日まで変わらず自信をもって夢を追い続けています」
──その夢の現実が近づいたONEとの契約でしたが、シンガポールに入国するのが遅れたそうですね。
「実はソウルのインチョン空港で2日間、足止めを食らう形になっていました。もともと23日にウランバートルを出て、同じ日にインチョンからシンガポール便に乗り換える予定でしたが、ソウル行きの便が遅れてしまって乗り継ぐことができませんでした。
ONEはすぐに24日のフライトを手配してくれたのですが、僕とコーチがウランバートルで行ったPCRの検査結果が有効期限を切れるということで、その便への搭乗が許されませんでした」
──えっ……。ではインチョンで新たにPCR検査を受けてもその結果を待つのにさらに日数を要したのではないですか。
「いえ、それがインチョン空港のレギュレーションの関係でPCR再検査を受けることが無理だと言われ、モンゴルに帰国するしかないという状況でした」
──それは……。
「モンゴルに帰国すると14日間の隔離措置があるので、もうシンガポールで試合をすることはできなくなります。土曜日ですし、役所は動かない。にもかかわらず、ONEはシンガポール政府と話をしてくれました。僕とコーチの特別入国許可をもらえ、再度ブックしなおしてくれた25日のフライトに乗ることが出来ました」
──いや、足止めを食らったというのは聞いていたのですが、そのような状況だったとは。それはもう精神的に疲弊してしまったのではないでしょうか。
「本当に精神的に厳しかったです。ほとんど試合に負けたような状態でした。ここでONEで試合ができなくなると、僕をサポートしてくれた人たちが離れてしまうのではないか……スポンサーも失うかもしれないとか色々と考えました。
当然、この2日間は練習もできなかったですし。ここで試合ができないと、次はいつ戦うことができるのか、全く見込みが立たないです。本当に精神的にはギリギリの状態だったと言えます。
ただ、もうシンガポールには行けない……試合もできないと諦めそうになった時でもONEの人達は『絶対にシンガポールに来てもらう。試合をしてもらうからね』と強い意志を持って状況を説明してくれました。
まず、そこで本当に心が救われました。日曜日の便でシンガポールに行けることが分かって、天にも昇る気持ちでした。ONEが今回、僕のために動いてくれたことは決して忘れません。ONEの皆の期待に応えるために、僕個人の試合でなくONEのために戦い、モンゴルという国を世界にアピールするのが僕の役割です。
ただでさえ、この厳しい状況でイベントを開いているONEが僕に試合の機会を与えてくれたことに感謝していますし、今回入国させてくれたことで、僕のONEへの想いは愛しているレベルにまで変わりました。僕の力でONEがより大きなイベントになることに役立てるよう全力で戦います」
──対戦相手のベン・ロイルのことは申し訳ないですが、自分は全く知りません。どのような試合を彼相手にしたいと思っていますか。
「とにかく勝つことが第一です。僕の持っているモノ、全てをぶつけて勝ちたいです。その勝利を得るための執念のようなモノを試合で見せることができればと思います。僕自身、モンゴルの史書を読むことが好きで、特にモンゴル帝国の英雄の話が大好きなんです。彼らは勝利を得るために、色々と戦略を練って戦っていました。
自分もモンゴル帝国──騎馬民族の末裔だということを示すことができる試合をしたいと思っています。応援してくれる人たちのためにも良い試合をして、すぐにONEから次の試合を組んでもらえるようにしたいです」
■視聴方法(予定)
8月27日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App
■ ONE Battle Ground03対戦カード
<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
<57.7キロ契約/5分3R>
デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)
バンマードォーチー(中国)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・デフォン(韓国)
シェ・ウェイ(中国)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ビー・ニューイェン(米国)
ジェネリン・オルシム(フィリピン)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ティオル・タン(米国)
ソン・ミンジョン(韓国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
プレウ・オトゴンジャルガル(モンゴル)
ベン・ロイル(英国)
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