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【DEEP Tokyo & Osaka Impact2024#01】大阪インパクトと東京インパクトのカードが続々と決定

【写真】松田は西で。前薗は東で(C)MATSUNAO KOMATSU & SHOJIRO KAMEIKE

1月29日(月)、DEEPより3月17日(日)に大阪市住吉区の錦秀会住吉区民センター大ホールで開催されるDEEP OSAKA IMPACT2024#01の対戦カードが発表されている。
Text by Manabu Takashima

そしてDEEP JEWELSストロー級チャンピオン松田亜莉紗が、チャンピオンとして初めての試合をノンタイトルの3回戦&初の国際戦として臨むことが決まった。


対戦相手はマドンナ・ザ・ロケット。アムを筆頭にタイのザ・ロケット集団はゲオチャイ、アンドレ、ダイヤモンドローズ、ノーパン、プリンセスらがDEEPで戦っているが、そのアム以外は白星がない。前例からいえばマドンナも、苦戦は必至というところか。半面、チャンピオンとはいえキャリアは2年の松田は試合毎に穴が見つかる肯定にあるため、思わぬ落とし穴があるかもしれない。

とはいえ組んでからのパンチ=ダーティーボクシングとパウンドの強烈さは、松田がグラップリングの基礎をしっかりと叩きこまれているからこその強味だ。マドンナ・ザ・ロケット──佐伯繁代表によると「ロケット軍で一番の美女」──がそこに対応できるようだと、今後のDEEP JEWLESタイ勢の核となるルーキーが現れたことになる。

この他、女子では2回戦で栗山葵がMANAと対戦する59キロ契約マッチやアマを含め7試合が決まっている。一方、男子のカードは3回戦で三村亘✖劉獅のフェザー級、2回戦では鈴木琢仁✖角野晃平のウェルター級など11試合、計18試合のラインナップとなっている。

アマ時代に平本丈にKO勝ちを収めている飴山聖也が、井上暉也を相手に3度目の正直でプロ初勝利となるか。西の実力者=瀧口脩生が、ロケット軍団に負けじと増殖中のグラップリングシュートボクサーズジム軍団からRIZIN帰りの銀グラップリングシュートボクサーズジムを迎え撃つ一戦も注目だ。

また3月24日のDEEP TOKYO IMPANCT2024#01の対戦カードも──杉山廣平✖風我のトップ返り咲きを目指すフライ級永遠に続くサバイバル3回戦を筆頭に、10試合が1月27日(土)に明らかとなっている。

気になるのは元パンクラシストで、KROSS X OVERでMMAとキックの二冠王となったハルク大城の初出場だ。2018年3月に瀧澤謙太に敗れ、MMAから距離を置いていた大城はキック、ムエタイ、シュートボクシングと立ち技に専念していたが、昨年6月にMMAに戻ってくると11月にKROSS X OVERのバンタム級のベルトを巻いている。山本有人戦の勝敗もちろん、パフォーマンス次第でトップ戦線返り咲きが見えてくる──そんなハルクのDEEP初陣となる。

初参戦でいえばバンタム級で山口コウタと対戦する、漆間將生も気になる存在といえよう。格闘DREAMERS出演から、パンクラスでは3勝4敗と思うような結果を残すことができなかった漆間が、DEEPで同じような状況にある山口とのマッチアップ。戦場を変える、外敵を迎え撃つ──という状況は、キャリアのアクセントとなる戦いだけに、現状を打破するために両者とも落とせない一戦となろう。

また大阪大会で5連勝中の前薗渓が、待望の東京での初試合を迎える。柔道とグレコローマンレスリングで培った組みの強さが、関東初お目見えとなる。が、対戦相手のアシルベックは今話題の中央アジア=ウズベキスタン人ファイターだけに、前薗の最大の長所が潰される可能性もあるタフなマッチメイクといえるだろう。

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【Black Combat10】日本勢1勝4敗。しかめっ面の裏にある佐伯さんの本音「プロモーターとして僕の勝ち」

【写真】インタビュー開始直後の表情と、終了時の違い。これぞプロモーター!!(C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)に韓国はソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)でBlack Combat10「Night in Seoul」が開催された。
Text by Manabu Takashima

K-MMA界で日の出の勢いを見せるBlack Combatの2024年スタートの一戦は、会場を訪れたファンは20代と10代が占め、明らかに他のK-MMAイベントは違う空気のなかで実施された。日本人選手に対しても、ブラックダイヤモンド=須田萌里、アイアンスパイダー=大原樹理などBlack Combat特有のリングネームをファンは叫び、イベントを彩る一人のキャストとして完全に認識している。

1年間の交流で対抗戦を名乗る必要がないほど、協力体制が整ったDEEPとBlack Combatだが日韓対決になると、圧倒的に日本勢の分が悪い。今大会も5試合が組まれた日韓戦は1勝4敗という散々な結果に終わった。とはいえ、この数字には表れない課題がBlack Combatにも感じられるのも事実──。

ケージの中とケージの外。同大会の閉会式が行われている最中、視察に訪れていたDEEP佐伯繁代表に話を訊いた。

■Black Combat10における、日韓対決結果

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>キム・ソンウン(韓国)Def.1R1分31秒 by KO駒杵嵩大(日本)

<ライト級/5分3R>ファン・ドユン(韓国)Def.1R2分03秒 by KO大原樹理(日本)

<Black Combat女子級選手権試合/5分3R>パク・シユン(韓国)Def.3-0:30-26.30-27.29-28須田萌里(日本)

<フェザー級/5分3R>パク・チャンス(韓国)Def.3-0:29-27.29-28.29-28中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>山本聖悟(日本)Def.3-0:29-27.29-28.29-28.イ・ソンウォン(韓国)


──対抗戦ではないですけど、事実上DEEP勢の惨敗という形に終わってしまった感があるのですが……。

「頭が痛いねぇ(苦笑)。Xでも色々と書かれていますけど、言われたように今回は対抗戦ではないです。もうBlack Combatの興行の一部として、DEEPの選手が出場しています。だから自分の意識としては、DEEPの負けとかっていうことは余りないんです。でも、まぁそういう風に思われますよね」

──佐伯さん的には今回の日本勢の星取りはどのように予想していましたか。

「う~ん……駒杵(嵩大)選手はぶっちゃけて言うと、普通に勝つと思っていました。大原(樹理)選手もまぁ大丈夫。中村(大介)選手は厳しい。対して須田(萌里)選手は五分五分、山本(聖悟)は勝つと思っていたので、まぁ悪くても3勝2敗は行けるかと」

──結果的に駒杵選手は相手の体重オーバーがありましたが、変則タイトルマッチでありながら敗北した時にはノーコンテストとはならないというルールでTKO負け。日本人選手の勝利は山本選手だけでした。

「ただ須田選手と大原選手に関しては、現状は物言いがついている状況です。須田選手の試合はグローブ掴みの反則。大原選手の試合はストップが早いというところで。

大原選手は、そこまでは良い流れでしたし。ここで1勝4敗になるのか、Black Combatの主催者がどういう判断をするのか──ですね」

──K-MMA界で破竹の勢いがあると見られていたBlack Combatですが、競技運営面という部分で思わぬ落とし穴がありました。メインが3Rで決着がつかず、延長ラウンドに突入して急所蹴りでノーコンテスト。力技が裏目に出たような気もしました。

「まだ2年ですしね。ウチも活動開始当初は、ホントに色々とありましたから。今ではJ-MOCさんがいるけど、ここに来るまでルールを変えたりして。今日も僕だったら『こうするな』というのは持っていても、彼らもまだ経験がないから。

僕は選手を送り出している反面、自分が主催者でもあるから、その側面も見てしまうんですよ。抗議をしましたが、それは選手のためであって。同時に競技運営陣が残念だったという話になると、その残念な状況の団体に選手を出している自分の責任になります」

──そこまで、責任を感じますか。

「まぁ、実際はそうなっちゃう。経験が信用を生むのは絶対で。まだ2年のBlack Combatでこんなことが起こると、アウェイだからっていう話になってしまう。でも、僕らがやっていても外国人選手がアウェイ判定で負けたというけど、J-MOCさんとやっていて、そんなことは絶対にないですからね」

──MMAは判定が割れる競技ですが、近年の日本のMMA大会で力技のホーム判定など皆無です。

「アウェイ判定で負けたというのは、失礼な話ですよ。そういうことができない競技運営陣とやっていますからね。だから、彼らがそういうつもりがなくても経験不足で、このようなことが起こると、韓国ではホーム&アウェイがあって一本で勝たないとダメだとかっていう風になってしまうんですよ」

──そこは避けたいです。

「だからこそBlack Combatも今日のようなことを経験して、成長していってもらわないと。日本人選手の試合でこのようなことを起こった時、『分かっていて、出ているだろう』なんて言われてしまうじゃないですか」

──そうなってしまいますね。なら、出るなという空気ができると本当に台無しで、勿体ないですし。

「そういうことなんですよ」

──と同時に日本勢が挑戦する立場になる流れは止められないのかという気もしました。

「それはですね……僕らも今日、負けるつもりで選手は出していない。ただDEEPのトップはご存知のようにRIZINに行っているので。ファイトマネーに合わせて、選手を出している。それはDEEPもBlack Combatも同じで。団体のトップ全てが出ているわけじゃない。

牛久(絢太郎)選手、元谷(友貴)選手、武田(光司)選手にRIZIN級のファイトマネーを支払うことができれば、皆、出しますよ。でも、それはできない。RIZINとかメジャー団体とは予算が違うから。Black Combat側がどう思っているのかは知らないですけど、僕はやれる範囲でやっているという認識でいます」

──とはいえ、予算内の人選でも勝てるという認識でいたことはなかったですか。

「そういう部分でいえばBlack Combatの方がハングリーな選手が多いですね。それと対抗戦に向けて予選まで開いていて、そこから上がってきた選手は強いです。加えて、韓国の選手は自分の国で戦うとさらに強くなる。日本で戦う時とは違っていますね。

だから僕の意識は協力して、色々なモノが創れているのかなっていうことで。大体、Black CombatにDEEPのチャンピオンが3人いるわけで。今回の大会にもDEEPに出たことがある選手が何人もいて、どっちがどっちというのはなくなって来ていますよね、もう。

3月9日のDEEPでイ・ソンハに江藤(公洋)選手が挑戦して、24日のDEEP JEWELSではパク・シユンで伊澤(星花)選手が挑戦するじゃないですか」

──ハイ。

「今の伊澤選手に勝つようなことがあったら、パク・シユンが世界一ですよ。それは大変なことですよ。

Black Combatでなくても、シン・ユリがRIZINに出る。韓国の皆だって出たいと思っているし、その架け橋になれれば良いですね。韓国の良い選手をRIZINに繋げるというのも。とはいってもBlack Combatも独特な世界観を持っているので」

──それが価値観でもあって。

「そこです。僕らはRIZINがあって、自分らがいるって弁えているじゃないですか。それがRoad FCにしてもBlack Combatにしても自分達がナンバーワンというメンタルでいるから(笑)。そういう時には、彼らは僕らのようにできるのか。

例えば福田(龍彌)選手が3月大会に出場するけど、その次はRIZINかもしれない。色々なところから声が掛かるでしょうし、Road to UFCに出たい選手だっている。だから僕はRoad to UFCを目指す選手は、3月大会に出るのはやめた方が良いという言い方もしています。Road to UFCに出られないなら、5月大会でオファーを出すからと」

──その柔軟性がBlack Combatにあるのか、ということですね。と同時にBlack Combatと今の関係が続くと、日本では難しくてもここで輝く選手が生まれる可能性もあります。

「だからこそ、一緒にやっているわけです。ビジネス面だけでいえば、別に僕に儲けはない。選手として、海外で試合経験を積めるのは良い経験だし、ウチとしても選手を多く抱えているので、こっちでチャンスを得ることができる選手が生まれるのは良いことです。それが僕にとっての利点ですよね。

Black Combatも育成大会を増やしてくプランがあるようで、そこに日本から経験の少ない選手なんかを送り込むことができるよう話しています。ファイトマネーもBlack Combatの予算に合わせて。海外で経験を積みたい選手が、2時間や3時間で来ることができる韓国で試合をすることは凄く良いことだから。そこが僕にとってのメリットですね。だから自腹でここまでくるわけです(笑)。

ぶっちゃけて言うと、ここでまた『DEEPが負けたぁ』とファンが思ってくれるのは、プロモーターとして僕の勝ちなんです。そうやって一つのムーブメントを創っている。9月の対抗戦の負けも、僕からすると『しめしめ』でした(笑)」

──押忍(笑)。大会視察終了直後にありがとうございました。

「これから須田選手と大原選手の件で、色々と話し合わないといけないので。ここからも本番です」

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45 Black Combat Black Combat10 KOMA MMA MMAPLANET o キック キム・ソンウン 駒杵嵩大

【Black Combat10】駒杵がTD奪うもキム・ソンウンのペダラーダで沈み、フライ級王座は空位に

【写真】(C)MMAPLANET

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>
キム・ソンウン(韓国)
Def.1R1分31秒 by KO
駒杵嵩大(日本)

計量オーバーのキム・ソンウンに対し、会場から一斉にブーイングが浴びせられる。駒杵には日本語で「がんばれ!」という声援が送られた。試合が始まると、キム・ソンウンが右サイトキックを繰り出す。一度距離を取った駒杵は、ジリジリと距離を詰め、ダブルレッグからボディロックに切り替えてキム・ソンウンをケージに押し込む。そしてボディロックでテイクダウンした駒杵は、右足を絡めるキム・ソンウンを鉄槌で削る。キム・ソンウンは下から腕十字を仕掛けるも、駒杵は上体を起こして潰しにかかる――その時、キム・ソンウンの右足が駒杵のアゴを捉えた。この一撃で駒杵はダウンし、レフェリーが試合をストップした。

悔しい表情を浮かべる駒杵の横で、キム・ソンウンが笑顔でインタビューに答える。試合結果はキム・ソンウンのKO勝ち。Black Combatフライ級は空位となっている――。


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【Black Combat10】王者の計量オーバーも――駒杵嵩大「僕は何も気にせず、いつもどおり戦う」

【写真】王者キム・ソンウンがまさかの計量オーバー。しかし駒杵は油断など一切なく、佐藤将光とともに細かく判定基準を確認していた(C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)に韓国はソウルのソンブク区にある高麗大学校ファジョン体育館で開催される Black Combat10「Night in Seol」にて、駒杵嵩大がキム・ソンウンの持つ同フライ級王座に挑む――はずだった。
Text by Shojiro Kameike

キム・ソンウンが計量オーバーにより王座剥奪、駒杵が勝った時のみ新王者誕生という変則タイトルマッチとなった。駒杵にしてみれば昨年9月に腕十字で仕留めている相手——だが、今回の試合に油断は一切ない。計量直後の駒杵の意気込みをお伝えしたい。


――計量では駒杵選手が56.6キロで一発クリアしたものの、対戦相手のキム・ソンウォンが計量オーバーとなりました。

「相手は計量会場に入ってきた時から、雰囲気が暗くて(苦笑)。仮計量で体重計に乗って、セコンドの人といろいろ話をしていたんですよ。だから『体重を落とすことができていないんだろうな』と思いました。ただ、そこで椅子に座って動かなかったんです。普通、体重を落とせていなかったら体を動かしますよね?」

――確かに……。ただ、本計量から再計量まで時間が30分しかないことも影響しているかもしれません。800グラムオーバーで、30分で落とすことは難しいでしょう。

「どう考えても無理ですよね。自分としては『どうなるのかな……』と心配ではありましたけど、僕はそれぐらいのオーバーであれば試合すると考えていました。一度試合していますし、前回の感触だと『体重オーバーしても、力はあまり変わらないかな』と思って」

――昨年9月、DEEP×Black Combatの対抗戦で行われた初戦では、駒杵選手がテイクダウンを奪ったあと、リバーサルを許しました。あの時に相手のパワーは感じましたか。

「いえ、あれはパワーではなく――まず相手の手足が長かったんですよ。あの時は長い足を巧く引っかけられて、コロンと返されてしまいました。相手が足を入れてきているのは自分も気づかなくて。相手もまだまだ手足の長さを生かした寝技の強さを持っているかもしれないです」

――駒杵選手返されてすぐキム・ソンウォンの腕を狙い、腕十字を極めました。

「返された時に腕十字か三角を狙うことは想定していたので、そこはスムーズに動いて極めることができました」

――結果、キム・ソンウォンの実力はどのように感じましたか。

「前回はすぐに極めてしまったので、対峙した時間が短かったじゃないですか。それでもレベルの差はあるのかな、って思いました」

――それだけレベルの差があったことは予想外でしたか。

「試合に向けて佐藤将光さんと映像をチェックして、それほどレベルが高い選手ではないと思っていました。ただ、実際に試合をしてみると――とにかくフライ級にしては体格が大きいんです。だから、やりにくさはありますし、過去の試合では逆転勝ちも多いですよね。昨日も将光さんと『ストロングポイントはないけど、逆転勝ちできる何か強さはあるよね』という話をしていました」

――それはよく言われる、韓国人選手の気持ちの強さも関係しているでしょう。そして今回はキム・ソンウォンの地元、韓国で行われる試合です。

「柔道時代から韓国人選手は気持ちが強いと思っていましたし、今回も敵地だから――と考えていましたが、計量の様子を見ると気持ちの強さも感じられなくなっていますね……」

――計量オーバーの結果、キム・ソンウォンはベルトが剥奪され、相手のファイトマネー30パーセントが駒杵選手に入ることになりました。

「そうですね。あとで幾ら入るのか知らされるようですけど……。いやぁ、それはもう大きいですし、嬉しいですね。ハイ(笑)。試合もラウンドごとに、相手がマイナス1ポイントとなりますしね」

――そうなると試合前から勝敗が決していることになりませんか。駒杵選手にとって、試合に対するモチベーションは……。

「それが以前、同じケースで計量失敗した選手が勝ったこともあるらしいんですよ」

――ユ・スヨンがキムイ・ドンギュとバンタム級王座を争った時ですね。

「そうです。毎ラウンドがマイナス1ポイントでスタートしても、圧倒され続けたらラウンドを失ってしまいますから」

――キム・ソンウォンも必死に計量オーバーを挽回しようとするでしょう。

駒杵自身は仕上がりの良さがうかがえる(C)SHOJIRO KAMEIKE

「はい。だから僕は何も気にせず、いつもどおり戦えば良いと思っています。ここ最近は『いかに相手の打撃をかわしながら組むか』ということを課題にしてきました。あとは倒してからパウンドやヒジで攻めていけるよう練習しているので、そういったところも見せたいです」

――なるほど。では明日の試合への意気込みをお願いします。

「ここでBlack Combatのベルトを獲得して、また日本のケージで活躍できるキッカケにしたいです。明日は応援よろしくお願いします!」


■Black Combat10計量結果

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ:65.9キロ
ユ・スヨン:66.2キロ

<Black Combatフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]シン・スンミン:65.5キロ
[挑戦者] ソン・ユチャン:65.6キロ

<Black Combatフライ級選手権試合/5分3R>
キム・ソンウン:57.5キロ→57.3キロ
駒杵嵩大:56.6キロ

<ライト級/5分3R>
大原樹理:70.8キロ
ファン・ドユン:70.8キロ

<バンタム級/5分3R>
キム・ソンジェ:61.4キロ
パク・ソンジュン:61.8キロ

<Black Combat女子級選手権試合/5分3R>
[王者]パク・シユン:48.2キロ
[挑戦者] 須田萌里:47.74キロ

<フェザー級/5分3R>
パク・チャンス:65.8キロ
中村大介:65.8キロ

<フライ級/5分3R>
ジョン・ウォンヒ:57.0キロ
キム・ウジェ:57.1キロ

<バンタム級/5分3R>
山本聖悟:61.5キロ
イ・ソンウォン:61.5キロ

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【Black Combat10】パク・シユン×須田萌里& 駒杵もフライ級王座挑戦。キム・ミンウ×ユ・スヨン決行!!

【写真】パク・シユンの二冠が続くのか、DEEP×Black Combatがさらなる混迷に向かうのか――要注目だ(C)MMAPLANET & DEEP

1日(月・現地時間)、Black CombatがオフィシャルYouTubeチャンネルで20日(土・同)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat10の対戦カードを発表した。
Text by Manabu Takashima

昨年2月の韓国における対抗戦、9月の東京での対抗戦を経て通常興行でもDEEPとの交流が続くBlack Combatだが、今大会では日本から山本聖悟、中村大介、大原樹理、そして須田萌里と駒杵嵩大が出場し、須田と駒杵はタイトル挑戦となる。


(C)DEEP

駒杵は9月の対抗戦で対戦したキム・ソンウンに挑戦することとなった。

キム・ソンウンは11月大会でイ・カンナムとの王座決定戦で勝利しベルトを巻いたが、9月の一戦を見る限り両者の間には力の差が感じられた。とはいえ母国で8000人の観客が入る舞台での初防衛戦だ。キム・ソンウンがあの時と同じファイターとは捉えない方が良いかもしれない。

一方、須田は対抗戦で大島沙緒理を破りBlack CombatとDEEPの二冠王となったパク・シユンの持つBlack Combat女子アトム級王座にチャレンジする。MMAPLANETのインタビューでパク・シユン……というよりも指導者のパク・テヒョク氏が伊澤星花に対して絶対の自信を持っていたが、今回はホームで須田の挑戦を受けることに。

関節技にずば抜けた強さを見せる大島に対し、直接対決という部分でなく――×パク・シユン戦を念頭に比較すると、須田は打撃の成長が顕著で、よりウェルラウンダーとして戦える。寝技にしても思考、動きともにフレキシブルな須田だけに、パク・テヒョク氏が言うところの戦略に振り幅が持てる。

日本人選手がBlack Combatのベルトを手にし、韓国人選手がDEEPのベルトを腰に巻くという逆転現象も起こるかもしれないBlack Combat女子アトム級選手権試合だ。

今やDEEPよりもBlack Combatを主戦場にしようかという熱の大原は公言通り11月に続き、連続出場を果たす。対戦相手もイ・ファンスン戦での勝利後、ケージの中で挑発してきたキム・ジュンギュンでなく希望通りパク・ジョンホンと相対する――予定だったが、ヒザの負傷で欠場しファン・ドユンと戦うことが決まった。。

本来ランキング1位の大原と2位のパク・ジョンホンのマッチアップは事実上の次期挑戦者決定戦と思われたが、リアリティ番組で注目されているとはいえファン・ドユンは格下の相手だ。今回の試合結果いかんで大原は、対抗戦で完敗を喫したイ・ソンハの持つBlack Combatライト級王座に大きく近づくことができるのか――。

山本はバンタム級でイ・ソンウォンと、中村はフェザー級でパク・チャンスとの対戦も決まった。この2カード、注目は中村の相手パク・チャンスだ。4月のフェザー級王座決定戦で、パク・チャンスは姿勢を乱して倒れたところにシン・スンミンのサッカーボールキックからパウンドアウトで敗れた。

しかしDouble GFC暫定フェザー級王座決定戦で現Gladiatorフェザー級王者パン・ジェヒョクに勝っているパク・チャンスは、MMAの王道的なスタイルを貫けばシン・スンミンを上回る実力者とも考えられる。

中村×パク・チャンスなど、タイトル戦線で鍵を握る選手が日本勢の相手を務める、完全ガチのマッチメイクはBlack CombatではDEEP勢はワンオフでなく、レギュラーという認識があるようだ。そのフェザー級戦線、同大会ではたシン・スンミンはソン・ユチャンとの初防衛戦が控えている。キム・ソンウンと同様に対抗戦で青井人に遅れを取り、DEEP勢に2つ目の白星を献上しているだけに再起戦でチャンピオンの意地を見せたいところだろう。

そんなフェザー級選手権試合を第7試合に追いやり、キム・ミンウ×ユ・スヨンのフェザー級戦がメインで組まれている。元Road FCバンタム級王者で韓国一の猛者と目されながらRoad to UFCでは計量失敗で敗退。階級を上げてBlack Combatで戦うキム・ミンウと、Black Combatでライト級&フェザー級、さらにバンタム級と3階級を制したユ・スヨンの一戦は、PPV級のスーパーファイトといえる。

(C)DEEP

気になるのはユ・スヨンのコンディションだ。

ユ・スヨンは昨年12月21日のNAIZA FC56でダスタン・アマンゲルジにTKO負けを喫してから、インターバルは僅か1カ月でキム・ミンウという実力差と対峙することになる。ボディを効かされての負けではあったが、メンタル面と肉体の消耗度を考えるとキム・ミンウ有利と見るのが妥当か。

いずれにせよ、アジアを代表するファイター同士の対戦はDEEP勢が絡まなくても日本のMMAファンにとっても必見といえる。

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【DEEP115】あの惨敗を忘れてはならない。北岡悟がDEEP X BC対抗戦を振り返る─01─「大島だけは……」

【写真】終わってみればアウェイで圧勝。そして会場の雰囲気は決してアウェイでなかったBlack Combat勢(C)DEEP

9月18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP vs BLACK COMBATの対抗戦で、ホームのDEEPは2勝5敗と惨敗を喫した。
Text by Manabu Takashima

ヘビー級、ウェルター級、ライト級、バンタム級、JEWELSも含め2階級制覇、5人のチャンピオンが全て敗れるという想いもしない結末に終わった。今、国内で圧倒的に勢いがあるDEEPのトップが、韓国MMA界に伸し上がってきたBlack Combat勢に完敗。この情景を同大会のTV中継ブースから眺めていた北岡悟に、どう対抗戦を振り返ってもらった。

時間の流れが早く、一つの勝ち、一つの敗北が消化され忘れ去れる現代社会において、この敗北は胸にとどめておかなければならない。そのためにも北岡の感想をぜひとも聞きたかった。そして対抗戦には興味がないと企画そのものを根底から覆す発言が早々に聞かれたなかで一つ一つの勝負として、振り返ってくれた北岡の言葉から改めてMMAとは何かを考えさせられた。


――DEEP ✖ Black Combatの解説をされていましたが、DEEP勢が2勝5敗という予想外の惨敗に終わりました。今回はライト級ファイターとしてではなく、日本のMMA界関係者としてこの対抗戦について振り返っていただいたいと思っています。

「ハイ。解説もするのでBlack Combatの選手の試合を動画でチェックしようと思っていたのですが、ハングルで書いてあるからどこに何があるのか分からなくて(苦笑)。結果、MMAPLANETの中村拓己さんのプレビュー記事を読んで勉強したぐらいで。あとは大島沙緒里選手の相手のパク・シユンが、赤林檎選手と戦った試合だけYouTubeで視ることができました(笑)」

──そうなると我々もそうですが、勝敗予想をする時に過去の実績を重視する傾向になりがちです。

「そうですね。誰に勝っているのか、とか。そんなもんですよね」

──その線で行くとDEEPの4勝3敗、もしくは5勝2敗もあると思っていました。この辺り、北岡選手はどのように考えていましたか。

「結局、映像を視ることができなかったので──僕としては、大島選手だけは固い。大島選手はどう転んでも極めて勝つと思っていました。ただ、この取材を根底から覆してしまうのですが、当日もアナウンサーの方が対抗戦ムードを凄く大切にしていたけど、僕はもうそんな気持ちでは見たくなかったんです」

──本当に根底から覆してしまう一言です(笑)。

「フラットに見たいって、冷や水をぶっかけてしまって(笑)。高島さんも日本を強くしたいって、そういうナショナリズムを持っているじゃないですか」

──ナショナリズムというのか、やはり日本人選手がUFCで勝って欲しい。そこがこの仕事を続ける起因となり、帰結しています。

「僕、日本としてっていう気持ちが余りないんですよ。もちろん、近しい選手には強くなってほしいし勝って欲しい。でも日本でもそれほど関係ないジムと、海外のジムは変わりないというか……。いたずらなグローバルな気持ちがあるというか(笑)。協力し合える関係、リンクしている選手、練習を一緒にしていたり、それこそ過去に戦ったことがある選手が気になるし、勝って欲しいというような姿勢ですね。だからDEEPとBlack Combatの対抗戦でも韓国人選手の中で、仮に個人的に近い選手がいれば、その選手を応援しますし。

ぶっちゃけて僕にとっては平良達郎選手が、UFCで勝っていても外国人選手が勝っているのと変わりないんです。正直なことをいえば。まぁ、そういうところがあってDEEPという場所で、コレが行われているから、という想いはあるけど──別にそこまでではなくて」

──とはいえ今、国内でRIZINを除けば圧倒的に勢いのあるDEEPです。

「ハイ、まさに圧倒的に。その通りだと思います」

──対して、韓国MMA界を席巻しているのがBlack Combatです。両プロモーションの王者、あるいはトップ対決は日韓の力を見比べる良い機会であるとは思っていました。そういうなかで日本人選手と韓国人選手の対戦として──の第1試合、駒杵嵩大選手がキム・ソンウンに勝った時はどのような印象を韓国勢に持っていましたか。

「こんな感じかと、1試合目は思いました。キャリアも浅い選手ですし、謎のブリッジを決めるとか身体能力は高かったですが、こんな感じかっていう風でした。

駒杵選手は攻撃力があって良い選手だと分かっているので、こんな感じで始まるのかと。そんな風に見ていましたね」

──続いて解説で絶賛されていた青井人選手が、シン・スンミンにTKO勝ちして2連勝になりました。

「青井人選手は最初に出てきた時、児山(佳宏)君やタクミさんをぶっ飛ばしていたけど、その後はちょっと沈滞気味で、RIZINでもパッとしなかったので良い使われ方をしなかった。DEEPでも神田コウヤ選手にはヒジでやられていましたよね。だから、これだけ良いんだと……。

シン・スンミンも圧力がある選手で、結果的に相性が悪かった。今の青井選手とは。シン・スンミンは最後まで圧があったけど、それを青井選手が捌き切っていました。

ビビっていないし、バランスがずっと良いままでした。位置取りが良くて、打撃は細かいのも、強いのも変化を加えたのも出す。対角線の攻撃も良かったです。

加えてアプローチ・アタックも入れる。松嶋(こよみ)君とも『青井人が良かった』という話をしましたからね。それは青井人選手が、ここまで良すぎると神田選手とのタイトル戦の可能性があるから松嶋君の今後にも関わってくるからですけどね」

──それだけ良かったということですね。

「あれだけ良いと、否定できないです。相手もBlack Combatのチャンピオンだし、パン・ジェヒョクに勝っている。つまり、そういうことです。パン・ジェヒョクと戦っている日本人は(河名)マスト、亀井(晨佑)選手、そして透暉鷹選手ですよね……。うん、乱暴な三段論法でいえば青井人の方が強いだろって。レベルは、そりゃそうだろって」

──この試合で覚醒したという感覚ですか。

「いや、状態が整ったということじゃないでしょうか。元々良いモノがあり、ここまで仕上った。選手として整った状態じゃないかと思います」

──続いてウェルター級王者の鈴木槙吾選手が、ミドル級で戦ってチェ・ジュンソにKO負けを喫しました。

「ちょっと体格差のある相手が、リーチ差を生かしたジャブを突いてきた。相手としては当たり前のことをやったに過ぎない試合です」

──チェ・ジュンソは均整が取れていました。

「鈴木選手も打撃に良いモノがあって、復帰後は住村(竜市朗)さんと阿部(大治)をKOしている。その割に、厳しかったですね」

──そして絶対だと思っていた大島選手の敗北です。

「大島選手の試合だけは、対戦相手の勉強を事前にできていたので。パク・シユンは赤林檎選手を相手にテイクダウンも取れなかったし、打撃でボコボコにはされていないけどまぁ勝ち目はなかった。対して大島選手は浅倉カンナ選手、山本美憂選手に勝っていて。パク・シウと1勝1敗の選手で、日本ではミクロ級は当然としてアトム級でもトップの選手です。

ただパンチを練習していて、それを出して組んでとパク・シユン戦ではなくて、この先のことを見越した戦いをしていたように感じました。まぁ、それも選手としてやって然りなんですけどね。ただし、試合をリードされていたのに戦い方を変えなかったのは、どうなのかと。

スパーリングや、グラップリングの試合だったら、大島選手が極めてしまうと思います。だから、これはMMAの試合ならでは。そう思います。

大島選手の気強さ、良さは出ていたと思いますが、MMAとしては良くなかったです。ダブルレッグとかもともとある選手ではない印象ですけど、そこで引き込んでからのアテンプトはあった。この試合に勝つなら、あの仕掛けは悪くないし、賢い選択だったと思います」

<この項、続く>

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Gladiator Gladiator023 KOMA MMA MMAPLANET o 南友之輔 小松祐貴

【Gladiator023】伝統派空手出身の大型ルーキー・南が右一撃で豪快KO。プロデビュー戦を飾る

【写真】(C)MMAPLANET

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
Def.1R3分19秒 by KO
小松祐貴(日本)

南がプレッシャーをかけてジャブとワンツー。小松はローを蹴るが、そこに南が左から右ストレートで飛び込む。一旦距離が離れると南はやはり左を見せてからの右ストレート。小松は距離を取りながら左フック。南も左フックから右ストレート、小松が下がるところに左フックを打ち込む。

小松も組み付こうとするが距離が遠い。小松が自らガードポジションを取ると、南は小松を立たせた。試合がスタンドに戻ると小松がダブルレッグでテイクダウンを狙い、尻餅をついた南は小手を巻いて立ち上がる。そして南が左を見せてからの右フックを強振。これが小松の側頭部を打ち抜き、南が豪快なKO勝利。伝統派空手からMMAに転向した大型ルーキー・南、インパクト大のプロデビュー戦となった。


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【DEEP115】対抗戦、先鋒戦出場の駒杵嵩大─02─「技術どうこうでなく、韓国は見ている先が違う」

【写真】フッと詰めて寄る。打撃の交換なくして、上手くハマった時は達人級(C)MMAPLANET

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。DEEPとBLACK COMBATの対抗戦では、駒杵嵩大がフライ級代表としてキム・ソンウンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

インタビュー前編では、自身の課題と理想について語ってくれた駒杵。打撃主体のキム・ソンウンとの対戦は、その課題を克服した姿を見せられるマッチアップかもしれない。対抗戦の第1試合に出場することとなった駒杵が、DEEP軍に1勝ち目をもたらすことができるか。

<駒杵嵩大インタビューPart.01はコチラから>


――理想はDJですか!

「DJのように、打撃も組みも全部混ぜることができるようになりたいですよね。殴りながら入ったり、入りながら殴ったりとか――相手からすれば、僕が何をやってくるか分からなくなるぐらいまで(笑)。そういうDJのスタイルが理想です」

――現状、その理想まで何パーセントまで辿り着いていますか。

「まだまだです。自分の理想まで、半分も辿り着いていないと思います。でもそれって、まだまだ自分には伸びしろがあるっていうことなんですよ」

――そんななかでBLACK COMBATとの対抗戦を迎えます。まず今年2月に対抗戦第一弾が行われた時、ご自身がその輪に加わるとは思っていましたか。

「試合映像は見ましたが、『自分には関係ないのかなぁ』と思っていました。第一弾の時はフライ級がなかったので。ただ、いつか海外勢と対戦したいという気持ちはありましたね」

――駒杵選手はMMAでは国際戦の経験がありません。柔道時代を含めると、最後の国際戦はいつまで遡りますか。

「大学2年生の時なので、ちょうど10年ぐらい前です。ずっと海外勢との練習はやっていたんですよ。いろんな国のナショナルチームが大学(駒杵は東海大学出身)に来ますから」

――どういった国々が出稽古に来ていたのでしょうか。

「カザフスタン、フランス、韓国のチームとも練習していました。東海大学の柔道部には強いヤツが集まっているので、それだけ海外からも出稽古に来るんですよ」

――最初にMMAにおける相性の話がありました。駒杵選手は柔道時代、海外勢との相性は良かったのですか。

「国際大会でも優勝していますし、相性は良かったと思います。柔道の場合は、日本人と比べたら海外勢のほうが雑なので、やりやすいんですよ。時間が経つにつれて、試合が雑になってくるんです。昔は『海外の選手は体力がない』と言われることもありました。後半になってくるとスタミナが切れてくるから、こちらも後半に勝負できるわけですね。今はそんなこともないと思いますけど」

――MMAでいえば逆に、韓国勢と中央アジア勢の体力と削り合いのタフさは強みの一つですよね。

「あと韓国人選手は気持ちが強いです。柔道でも『絶対に勝つ!』という気持ちで向かってくるし、気持ちの面では日本人よりも上だと思いますよ」

――韓国人選手の気持ちの強さに対し、駒杵選手はどのように対抗していたのですか。

「僕の場合は、技術で対抗していました。それは韓国人選手だけでなく、特に中央アジア勢は体の強さもレベルが違っていて。密着してしまうと勝てない、すぐに投げられてしまう。旧ソ連圏の選手は特に、レスリングのように抱き着いて倒しに来ることが多いんです。だから腕でうまく距離をつくりながら、道着を使っていなしながら技に入ることが必要になります。そういう作戦は必須でした」

――柔道時代に培ったその技術は、MMAでも韓国人選手との試合で生きてきますか。

「いえ、もう全然別モノですからね。韓国からUFCに出ている選手って多いじゃないですか。歌手とかエンターテインメントの世界でも、米国に進出している人が多いですよね。日本よりも韓国のほうが技術的に上かどうかではなく、まず見ている先が違うと思います。だから韓国ではUFCをはじめ、MMAが人気になっているのかもしれないです」

――なるほど。柔道という国際舞台で戦ってきた駒杵選手の意見だけに、納得できます。では試合の話に戻りますが、次の対戦相手であるキム・ソンウンの印象を教えてください。

「試合映像を視ましたが、逆転勝ちをする選手ですよね。でもテイクダウンディフェンスは、まだまだなのかな……。対抗戦の中で、まずフライ級の僕がしっかり勝ちたいですね(※取材後、駒杵×キム・ソンウンのフライ級戦が、対抗戦の第1試合になることが発表された)。相手の打撃をもらわずに倒していけば、問題ない相手だと思っています」

――危険視するとすれば、あの打撃ですよね。とにかくガンガン前に出て、打撃を繰り出してくる選手です。

「僕としてガンガン前に出てきてくれたほうが、やりやすいです。パンチを出してくれたほうが、空いているところに組みやすくもなるので。そこは今練習していることが出せるし、練習の成果を見せるという部分でも、良い相手だと思います」

――今回はDEEPフライ級代表として対抗戦に出場します。ここで勝てば、その後にタイトルマッチなどのチャンスも得られるかもしれません。

「そこは分からないですよね。タイミング次第じゃないですか。今フライ級は神龍誠選手が正規王者で、福田龍彌選手が暫定王者ですから。まずは統一戦があるのかどうか――でも僕としてはオファーがあれば、いつでもやります。もちろんベルトを獲る自信もあります」

――それは楽しみです。では最後に、次の試合に向けて意気込みをお願いします。

「まずはテイクダウンして、サブミッションを極めたりパウンドでKOする姿をお見せしたいです。勝ち負けがハッキリ分かる試合をします。僕自身まだまだ伸びしろを感じているので、この試合だけでなく今後も応援よろしくお願いします」

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】Black Combatとの対抗戦、フライ級DEEP代表=駒杵嵩大─01─「まず自分から組んでいく」

【写真】柔道だけで勝てなくなった時、柔道が生きる(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP115 Impact 「DEEP vs BLACK COMBAT」。DEEPとBLACK COMBATの対抗戦で、駒杵嵩大がフライ級代表としてキム・ソンウンと対戦することとなった。
Text by Shojiro Kameike

2019年にNEXUSフライ級王座を獲得した駒杵は、ZSTで1試合行ったあと2021年よりDEEPに参戦する。新天地で2連敗を喫してから、3連勝と盛り返し今回の対抗戦を迎えた。ただ、その間に開催されたDEEPフライ級GPにエントリーしたものの、減量失敗で1回戦は欠場となってしまう。厳しい体験の中で駒杵が見つけ、さらに克服してきた課題とは。


――現在DEEPで3連勝を収めて、今回の対抗戦にフライ級代表として臨みます。ただ、次の試合に関する話の前に訊いておきたいのが……DEEPフライ級トーナメントに関して。トーナメント1回戦は松場貴志選手との対戦が予定されていましたが、駒杵選手は減量失敗で病院に搬送され、欠場となりました。それ以降、盛り上がるトーナメント戦をどのように見ていましたか。

「あのトーナメントで優勝できれば、MMAファイターとして何かしら形にできたと思います。だからこそ欠場になってしまったのは悔しくて。何より、いろんな方にご迷惑をおかけしてしまいました」

――1回戦から決勝までトーナメントの勝敗は予想していたものでしたか。

「正直、本田良介選手が伊藤裕樹選手に勝って、決勝に進んだのは意外でした。本田選手とは僕も一度対戦していて、負けましたけど――跳びヒザ蹴りで逆転KO負けという内容でした。僕は伊藤裕樹選手に注目してGPを視ていたんですよ。伊藤選手と本田選手の試合は『伊藤選手が捌いて勝つのかな』と予想していて。伊藤選手はグラップリングも強いじゃないですか。その伊藤選手に本田選手がグラップリングで勝ちましたよね。

とにかくMMAは柔道と違って、相手との相性という部分も大きいんだなと感じています。分かりやすく言えば、パンチを食らったら負ける。食らわなければ勝てる――という想いが強くなりました」

――本田選手のファイトスタイルは、相手が打撃を出してくる前に潰していくというものでした。柔道ベースの駒杵選手にとっても参考になったわけですね。

「そうなんです。相手のパンチを食らわないように、食らわないようにしながら組むよりも、まず自分から組んで行ったほうが良い。自分の中でもそういう意識が高まっていたなかで、本田選手の試合を視て改めて意識するようになっています」

――DEEPフライ級GP欠場からの復帰戦であった、昨年5月のRYOGA戦は速攻で腕十字を極めました。あの試合は『相手が何かしてくる前に自分から潰していこう』という気持ちが強かったのでしょうか。

「あの試合は少し違いますね。もともと風我選手と対戦する予定で、いろいろ対策を立てていたんです。でも風我選手が怪我で欠場になり、急きょRYOGA選手と試合することが決まったので対策は関係なくなりました。試合ではRYOGA選手から距離を詰めてきて。僕としては組んだら倒せる自信はありましたし、結果的にすぐ極めることができました」

――対して今年3月に風我選手とフルラウンド戦った試合内容はいかがでしたか。

「フィニッシュしたかったけど、まず完封することができました。GPの時から風我選手の評価も上がってきていて、その相手に何もさせずに勝てたので良かったと思います」

――その風我戦から6カ月、試合間隔が空いたのは何か理由があったのでしょうか。

「特に何もないです。体で不調なところもありましたし、技術的にも伸ばしたいところがあって、試合間隔が空いたのも調整期間になって良かったですね。僕は特に打撃に関して課題がありました。距離感や、しっかりと相手の動きを見ることとか――もっともっと丁寧に戦わないといけない。以前からずっと、そう思っていました。でも試合が続くと対策練習をすることが多くなるし、かといって新しいことをいきなり試合で試すことも難しいじゃないですか。

僕としても試合では勝つことを重視しているので、どうしてもグラップリングに重点を置きがちになります。そこで今回は試合間隔を空けさせてもらって、打撃面も含めて伸ばしてきました。そんな時に今回のBLACK COMBATとの対抗戦が、タイミング良く入ってきたような感じですね。僕としては、いつもと同じように日本人選手との試合でも良かったですが、対抗戦という良い話を頂けたなぁと思います」

――打撃面も含めた課題に取り組み始めたのは最近のことですか。

「ずっと課題ではありました。一番やらないといけないと思ったのは、DEEPに参戦して2連敗した時ですね。それまでは柔道時代の貯金で勝っていたような気がします。連敗してから課題に取り組みつつ、試合の準備もしながら――という状態でした。今回は試合間隔を空けて、しっかりと課題に取り組むことができて良かったです」

――駒杵選手は柔道の国際大会で優勝し、全日本強化指定選手になっています。それだけのベースがあれば、MMAという他競技でも柔道時代の貯金で、ある一定のレベルまでは勝ち進むことができますよね。しかし、必ずどこかで壁がやってくる。そういう柔道やレスリング出身のMMA選手が多いのも事実です。

「はい、勝てちゃうんです(苦笑)。MMAを始めた頃にアマチュアの試合を見ていても、レスリングや柔道出身の選手が勝つことのほうが多かったんですよ。打撃の経験が少なくても、ヘッドギアをしているのでパンチを食らっても耐えることができる。プロでも序盤は、相手の打撃がそれほど強くないから勝てる。

そこからワンランク上がると、打撃の壁に阻まれてしまいます。それに気づかせてもらったのは、佐藤将光さんと練習し始めてからです。将光さんと練習していたら、自分のボロしか出てこなくて(笑)。もちろん打撃以外も……全部できないといけない。今の僕の理想は、デメトリウス・ジョンソンです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月18日(日)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP115対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
ヤン・へジュン(韓国)

<DEEP & Black Combatライト級選手権試合/5分3R>
大原樹理(日本)
イ・ソンハ(韓国)

<DEEP & Black Combatバンタム級選手権試合/5分3R>
石司晃一(日本)
ユ・スヨン(韓国)

<DEEP JEWELS & Black Combat女子級アトム級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
パク・シユン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
鈴木槙吾(日本)
チェ・ジュンソ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
青井人(日本)
シン・スンミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
キム・ソンウン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
木下尚祐(日本)

<フライ級/5分2R>
杉山廣平(日本)
KENTA(日本)

<ライト級/5分2R>
涌井忍(日本)
倉本大悟(日本)

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
亀田一鶴(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
安井飛馬(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP115】DEEP vs Black Combat対抗戦。ここは負けられない大原、大島、駒杵、鈴木、酒井の対戦相手達

【写真】ここでフィニッシュして、大晦日というのが大原の想いだろう(C)MMAPLANET

9月18日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP 115 IMPACTで行われるDEEP vs Black Combat 7×7全面対抗戦の対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

前回はMMAPLANETの注目カードとして、石司晃一×ユ・スヨンと青井人×シン・スンミンの2カードを紹介したが、今回はその他の5カードをブラックコンバット勢=韓国人選手を中心に紹介していきたい。

<DEEP115見どころPart.01はコチラから>


今年2月に韓国・スウォン・コンベンションセンターで行われたBlack Combat05での対抗戦第一弾で勝利した現DEEPライト級王者の大原樹理と対戦するのは現ブラックコンバット・ライト級王者のイ・ソンハだ。ソンハは2021年5月にプロデビューし、昨年12月のブラックコンバット初参戦でキム・ジョンギュンを破って、同団体の第2代ライト級王座を獲得。今年4月のパク・ジョンセン戦でも一本勝ちし、現在2連勝と勢いに乗っている。

ジョンホン戦では、左フックでダウンを奪われたあとに三角絞めからアームバーを極めて一本勝ちして極めの強さを見せたソンハだが、ジュンギュンとの王座戦では互いにテイクダウンを奪い合う接戦を演じている。大原はソンハの勢いに飲まれずに冷静に戦いたいところだ。

大原と共に対抗戦第一弾で勝利したDEEP女子ミクロ級及びDEEP JEWELSアトム級チャンピオンの大島沙緒里と対戦するパク・シユンは現ブラックコンバット女子アトム級王者。

2019年12月のDEEP JEWELSで赤林檎に敗れてから2連勝を収めているが、大島としては実績・経験の差をしっかりと見せつけたい試合だ。

初代Fighting Nexusフライ級王者の駒杵嵩大と対戦するキム・ソンウンはフライ級では長身の175センチから繰り出すヒザ蹴りとグラップリング技術が持ち味。

今年4月のブラックコンバット初代フライ級王座決定戦ではイ・ジュンヨに敗れているが、7月にはフライ級トップファイターの“闘犬”チョン・ウォンヒに一本勝ちしている。ソンウン最大の武器はウォンヒからタップを奪ったギロチンチョークで、テイクダウン能力は決して高くないが、この一発には駒杵も警戒が必要だろう。

激しい打ち合いが予想されるのは現DEEPウェルター級王者の鈴木槙吾とチェ・ジュンソの一戦だ。ジュンソはここまで勝った試合のほとんどが2RまででのKO勝ちで、今年1月のブラックコンバットでは赤沢幸典をKOしたチェ・ウォンジュンから左フックでダウンを奪っているハードパンチャー。そのパンチ力を活かすあまり、大振りで簡単にボディロックやテイクダウンを許す面もあるが、ミドル級の一戦ということもあり――激闘派の鈴木が足を止めて打ち合うとリスキーな相手だ。

現DEEPメガトン級暫定王者の酒井リョウと対戦するのはブラックコンバット・ヘビー級王者のヤン・へジュン。レスリングのバックボーンを持ち、2018年7月のROAD FCでは現在UFCに参戦中のミシェウ・ペレイラとも拳を交えた。翌2019年6月にラ・インジェに勝利して第7代ROAD FCミドル級王者となるも、その後に約3年間のブランクがあり、復帰戦となった昨年10月のブラックコンバットでチェ・ウォンジュンに一本勝ちして同団体のベルトを巻いた。

へジュンのファイトスタイルはペレイラ戦でも見せたダーティボクシング&テイクダウンが軸となりつつ、インジェやウォンジンに極めた首投げ&Vクロスという必勝パターンがある。ただしミドル級から階級を上げてきただけに、同じヘビー級でも酒井と比較すると身体のサイズでは劣る。酒井としてはそのアドバンテージも含めて勝利に近づきたい。

DEEP公式YouTubeチャンネルにて公開された対抗戦の告知動画では、DEEP佐伯繁代表が(リアルに)鼻息荒く「潰してやるかな!」と宣言していた対抗戦・日本ROUND。その結果は果たして――。

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