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45 AB ABEMA ARAMI Interview J-CAGE Pacrase347 ソルト ブログ 藤野恵実

【Pancrase347】修斗王者=藤野の挑戦を受けるクイーン=ソルト「まぁ…何か嫌だな。防衛して次は修斗で」

【写真】この服は32歳の時に購入したそうだ…… (C)MMAPLANET

29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、ストロー級QOPのソルトが修斗世界女子ストロー級王者・藤野恵実の挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

2023年4月にKARENを下して獲得した、ストロー級QOPの初防衛戦を迎えるソルト。その後はRIZINと修斗で試合を行い、1年半振りにパンクラスのケージに入る。そんな初防衛戦の相手は、元パンクラス王者で昨年には修斗王者になった藤野だ。昨年から急展開を見せる国内女子MMAを象徴するような戦いに向け、ソルトが大きな変化について語る。


――パンクラスのベルトを巻いたあと、修斗で2試合を戦っています。まずは修斗で試合をした感想を教えてください。

「2022年に修斗でプロデビューして、戦績は1勝2敗でした。正直、良い戦績ではなかったです。でも『ベルトを巻いて修斗に帰ってきた』というふうにプロモーションしてもらえて。だから『ちゃんとした試合をしなきゃいけない』ってプレッシャーを感じながら、常に焦っている状態でした」

――おぉ、「だから嬉しかった」という話かと思えば、焦っていたのですね。

「その時だけじゃなく、今も常に焦って、常に追い込まれながら練習しています。自分では『こんなに弱いチャンピオンはいない』と思っていて。せっかく巻いたベルトを絶対に手放したくないです」

――とはいえ、KAREN選手との2連戦を通じて徐々に、自身の体格を生かしたMMAが確立されてきたように思います。

「そう言っていただけると嬉しいですけど、そのあとRIZINで大島沙緒里選手に、何もできずに負けたじゃないですか。『もう二度と何もできずに負けるような試合をしたくない』という気持ちが強くて、修斗の2試合はガンガン前に出てしまいました。

もっと自分の身長やリーチを生かして戦わないといけないことは分かっています。でもガンガン前に出て、気づいたら近い距離で戦っていました。でも次の防衛戦では、もっと自分を生かした試合ができると思っています」

――ソルト選手と対戦する場合、身長差やリーチ差を逆手に取って低い体勢から潜りこんでくる選手は多いでしょう。

「ボクシングよりはキックのほうが得意なので、蹴りで距離を取っていきたいとは常に思っています。でも周囲からも『これから先は打撃に付き合ってくれる相手はいないよ』と言われていて。だから壁際の練習を多めにやっています。今は飯田建夫(現たてお)さんが東京から北海道に戻ってきて、ずっと壁レスの練習をやってくれているんですよ」

――前蹴りで自分の距離をつくるというスタイルは、修斗のホ・ジュギョン戦で見せることができていたと思います。前蹴りがあるから、ストレートを効かせることができる。さらに至近距離でヒザを突き刺すことができる。しかし続くハイライ・ウーシャアモー戦は……。

「私自身は相手の分析とか全然できなくて、チームでハイライ選手の過去の試合映像をチェックしてくれた時に『結構強い相手を呼んできたな』と言われていました。

ハイライ選手は壁際よりもケージ中央でテイクダウンして、そのあとは漬けてくる。だから私としては倒されたあとの練習をしていました。あんなにずっとバックをキープされ続ける展開は想像できていなかったです。そこまで自分も相手のことをイメージできていなかったし、技術も足りていなくて。だから、あの試合以降は自分でもすごくMMAの映像を視るようになりました」

――なるほど。

「それまでも試合映像は視ていましたけど、どちらかというと技ばかりに注目していて。でもハイライ戦以降は一歩離れて――試合全体というか、流れや組み立て方を考えながら視るようになりました」

――その中で一番影響を受けたのは、どの試合ですか。

「ずっと好きなのはスタンプ・フェアテックス選手なんですよ。やっぱり立ち技をメインとしたMMAを考えると、スタンプ選手みたいな試合をしたくて。もう一つはハイライ戦の前日に、ABEMA TVの『格闘代理戦争』で中村京一郎選手の試合を視たんですよ。相手がブラジルの柔術家の方で……」

――ギレルメ・ナカガワ選手か、トミー矢野選手ですね。

「はい。あの時の中村選手は、ストライカーがグラップラーに勝つ試合として、ひとつの理想だと思いました。だから今までずっと何度も、あの試合を繰り返し視ています。ああいう試合をしたいんです! もちろん難しいんですけど(苦笑)」

――そのためには壁レスはもちろん、ケージ中央のレスリングとスクランブルは重要になってきますね。

「あと中村選手はグラウンドで柔術の動きもあって――確かYAWARAという柔術アカデミーで練習しているんですよね」

――中村選手について完璧にチェックしていますね(笑)。では次の試合、藤野選手の相撲MMAへの対応は、どのように考えていますか。

「ハイライ戦で反省したのは、まず壁際に持ち込ませないことですね。藤野選手がパンチをガンガン振りながら前に出て来たら、それをいなしたいです。ただ、あれだけ真っ直ぐ最短距離で詰めてくるような相手と対戦したことがないので、そこは試合になってみないと分からない部分です。前蹴りでいなすには、まずある程度の距離は必要になってくるので」

――結果、組みの攻防に持ち込まれてしまうことも考えられます。

「いなすのが難しかった場合は、壁際の攻防で自分が押し込んでいきたいです。それを出すことができたら、今までの試合とは違うものを見せられると思います。藤野選手って不器用だと言われるじゃないですか。でも試合を視れば視るほど、全然そんなことはなくて……」

――藤野選手の場合はキャラづけもあるとは思いますが、相手を追う足捌きはケージを器用に使う戦いですよね。

「そうなんです。だから今もずっと壁レスの練習は、しっかりやってきています」

――その藤野選手は修斗でベルトを巻き、パンクラスに戻ってきました。パンクラスのベルトを獲得して修斗で戦ったソルト選手とは、逆のパターンです。

「藤野選手が修斗で試合をすることが発表された時はビックリしました。『あぁ、藤野選手とは縁がないんだろうな。このまま試合をすることはないのかなぁ』と思って」

――しかし、まさか修斗のベルトを巻いて戻ってくるという。

「アハハハ。私は自分で追い込まれないと強くなれない人間なんですよ。パンクラスでベルトを獲得して、それがプレッシャーにもなりました。だけど周りが『こんなに弱いチャンピオンはいない』と追い込んでくれたからこそ、成長できていると思っていて。それで初防衛戦が修斗のチャンピオンというのは――今も気持ちが追い込まれ続けています(笑)」

――追い込まれた時のソルト選手に期待ですね。今回はダブルタイトルマッチではないので藤野選手が勝てば2冠王ですが、ソルト選手が勝っても防衛だけで。

「まぁ……何か嫌だな、とは思いますよ(笑)。自分の中でも今回は、パンクラス王者として修斗のチャンピオンと戦うという意識はあります。今回は私が防衛して、次は修斗で藤野選手と戦わせてほしいです」

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 対戦カード

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也(日本)
[挑戦者] 久米鷹介(日本)

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト(日本)
[挑戦者] 藤野恵実(日本)

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太(日本)
[挑戦者] 佐藤生虎(日本)

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希(日本)
天弥(日本)

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI(日本)
ホン・イェリン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
カリベク・アルジクル ウルル(キルギス)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ホン・ソンチャン(韓国)

<女子フライ級/5分3R>
端貴代(日本)
渡邉史佳(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
エジナ・トラキナス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
栁川唯人(日本)

<ストロー級/5分3R>
野田遼介(日本)
船田侃志(日本)

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊(日本)
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大(日本)
山﨑蒼空(日本)

<フライ級/5分3R>
時田隆成(日本)
齋藤楼貴(日本)
 
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太(日本)
渡邉泰斗(日本)

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DEEP121 Interview J-CAGE ブログ 瀧澤謙太 福田龍彌

【DEEP121】二階級制覇。福田龍彌が初回KO勝ち=最上級のエールを平良達郎に「僕ら、強いし。日本人は」

【写真】プロとして、ファイターとして──福田龍彌を認めないのは、目が節穴と言わせてもらいます (C)MMAPLANET

16日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP121 Impactのメインで、DEEPフライ級チャンピオン福田龍彌が、瀧澤謙太とのバンタム級王座決定戦を戦い2RにKO勝ちを収め、二階級制覇を成し遂げた。野村駿太が江藤公洋を破りDEEPライト級チャンピオンの座についた。
Text by Manabu Takashima

5月に同王座決定戦で元谷友貴と対戦予定だった福田は、タイ修行中に肩を負傷し欠場を余儀なくされた。4カ月を経てケージに戻ってきた福田は、瀧澤とのセッションで宣言通りヒリヒリさをファンに提供し、最後はヒザ蹴りに右を合わせてKO勝ちし、ミッションコンプリートとした。

この戦いを遂行するために、日々を送る福田のイベント終了後の共同インタビューの場で、MMAPLANETの質問への返答を切り取ってお届けしたい。

人として、全体を俯瞰し抜いた──ある意味、達観したようなセイン信と熱い熱量を併せ持つ福田は、タイトル戦前に沖縄合宿で時間を供給をした平良達郎にエールを送った。


──二階級制覇、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──瀧澤選手の前進、詰め方。福田選手が望むヒリヒリ、お客さんに提供したいヒリヒリという部分に関して、応援してくれる人達がヒヤヒヤすることがヒリヒリに通じているのでしょうか。

「まぁ、そうですね。僕もミスったら貰わんと。そういう距離でやるもんやから。それを恐れたところで駆け引きをしたくないんですよ。『えぇ、お前。そこでブレーキを踏むんや』、『えぇぇぇぇ?』みたいなんが嫌いなんで。『常に行けよ』……お客さんに『行けよ』なんて思われたないじゃないですか。

気が付けば『もう1Rが終わったんや』って、見入ってもらえるモノを提供したいから」

──詰められても下がるのでなく、間合いを測っていた?

「そうそう、前に出させて観察するんですよ。向うがどういう動きをすんのかをね」

──ミドルを蹴ってきたり、初回にもヒザを蹴ろうという気配はありました。

「インプット、インプット。だから次に出して来たら、合わしてやろうって思いましたね。出してくれたらね。だから見切るまでがヒリヒリすんのかも。見切っちゃったら、俺のパンチが相手に当たっちゃうから。1R中盤に一発バンと当たって、多分効いていたと思います。

メッチャ楽しみにしていたんです、今日を。やっぱり、前の試合を飛ばしちゃったから。俺ももうヒリ禁が長くて(笑)。ポーンと効かせて『終わらせられる』って思ったんですけど、ブレーキをかけてしまいましたね。『もう終わるんは嫌や』って。それでチョット見ちゃいました。ハハハハハ」

──そうだったのですが。ところで、肩の腱板損傷で4月の試合を欠場しました。実は自分もやったことがあって、もの凄く痛くなかったですか。

「メッチャ痛かった。痛かったし、『これは元谷戦はヤバい』って思ったんですよ。いや、やりたいけど。でも痛いのを我慢して無様なモノを見せるために戦うわけではない。ケガをすることはもちろん悪いです。でも、提供したいのはアレなんで。今日見てもらった、アレ。だから万全でやらなアカンっていう……コンディションを踏まえてというか。

出てきた以上は、オモロイもんを見せたい。それができへんがために、前は辞退させてもらいました」

──負傷の後、自分の場合は肩の動きは明らかに変わりましたが、実際に戦って影響は残っていないですか。

「慣れたっス。やっぱり浮いていて、緩い感じはします。でも……なんか、これにはこれなりの殴り方があるって」

──あぁ、なるほどです。先ほどケージの中で『後楽園ホールで元谷選手と。そうでなければ他の場所でも』という趣旨のマイクがありました。勝手ながら、もっとお客さんの多い場所で中央アジア勢にリベンジなど期待してしまいます(笑)。

「アハハハハハ。それはねぇ、決めることができるのは、俺じゃないやないですか。僕がどこで戦いたいって言って戦えるなら良いですけど、戦われへんから。僕の意向だけでは……だから誰と戦いたいって言っても、願望だけになるので。まぁエェんですけどね、それも」

──29日のRIZIN48 、シェイドゥラエフの相手がフアン・アルチュレタで日本人ではないですよ。

「ねぇ。そういうところに俺? アハハハハハ。そういう枠?
 そういう枠かぁ……エェかもしれん。でも、そことのリベンジはホンマにしたいから。全然、お話を頂くことができれば。どういうお話かっていう、それだけですから。僕は面白いお話が来るのを待っていますし、基本オファーは断らへんので。マジで。色んなことが巡り巡って、こうなっているだけで。

ホンマ淡々と頂いたお話を処理して、遂行しようと。自分からいうもんじゃないです。ただ元谷選手との試合は、俺が飛ばしちゃったからで」

──押忍。では取ってつけたような形ですが(笑)、10月12日にブランドン・ロイヴァル戦を控える平良達郎選手に良い形でつなぐことができました。

「ホンマ、そこ。良いバトンを渡せたかなって。これで達郎も同じようなパンチで勝ってくれたら、嬉しいですよね。ホンマに僕なりにできるエールは、これが最上級なんですよ。それだけ僕にとっても達郎にとっても、沖縄でエェ期間を過ごせたから。これで良いバトンを繋ぐことができて、ホッとしているし……安心しています。

僕ら、強いし。日本人は」

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45 DEEP DEEP121 J-CAGE Report ブログ 瀧澤謙太 福田龍彌

【DEEP121】見事すぎる一撃! 福田が右フックで瀧澤を沈め、バンタム級王座を奪取&2階級制覇

【写真】親子そろって恒例のポーズーーまさに職人芸を見せた父親だ(C)MMAPLANET

<DEEPバンタム級王座決定戦/5分3R>
福田龍彌(日本)
Def.1R4分18秒 by KO
瀧澤謙太(日本)

瀧澤が距離を取ってサークリングする。ドッシリと構える福田に対し、瀧澤が一気に距離を詰めて右ボディストレートを伸ばした。福田も右ジャブをボディに伸ばす。サウスポーから左ローを当てた瀧澤だが、福田のプレスでケージを背負う。前に出て右を伸ばした瀧澤。福田の左ストレートが顔面をとらえると、瀧澤が一瞬フラつく。スイッチしながらサークリングする瀧澤に対し、福田が右ジャブを突く。

福田の左に瀧澤も右を合わせた。ワイドスタンスから右を突き刺す瀧澤は、福田が距離を詰めると右ミドルから右ストレートを突き刺す。さらに右で追い込んでいく瀧澤。福田が再びプレスをかけ、瀧澤が距離を詰めるとバックステップでかわしている。瀧澤は右ハイ、右ストレートを繰り出すが単発だ。

いつもどおり初回は相手の力量を測っているように見える福田のフェイントに対して瀧澤が右テンカオを繰り出す。ここで福田のカウンターの右フックが瀧澤のアゴを貫き、マットに沈めた。

見事としか言いようがないKO勝ちでフライ級に続き2階級制覇を果たした福田は、「面白いことは言えないけど、スキルじゃ負けないと思っています。防衛戦をするなら後楽園ホールで、元谷(友貴)さんと白黒つけましょう」と笑顔で語った。


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45 DEEP DEEP121 J-CAGE Report ブログ 大成 水野竜也

【DEEP121】大成がパウンド&サッカーボールキックで水野に圧勝「日本のヘビー級を自分の時代にする」

【写真】ROAD FCからDEEP復帰の大成が思いきりの良さを見せた(C)MMAPLANET

<メガトン級/5分3R>
大成(日本)
Def.1R3分12秒 by TKO
水野竜也(日本)

サウスポーの両者。大成が右の前蹴りと左ロー、水野も左ローを蹴り返す。水野がワンツーで入ると、大成も左を返して右フックにつなげる。水野が左ロー、大成は左ストレートを思い切り打ちこむ。さらに大成は単発左ストレート、右フックから左ストレート、左のボディストレート、ジャブをついて左ストレートにつなげる。

水野をダブルレッグに入るが、やや引き込み気味に下になる。水野はハーフガードから右腕で大成の足をすくおうとするが、大成がトップキープして鉄槌とヒジを連打。水野は亀になって立ち上がろうとするが、大成は後ろからパンチを入れ続ける。水野がガードポジションを取ると、大成はサッカーボールキックを連発し、レフェリーが試合を止めた。

試合後、大成は「DEEPで勝てなくて、佐伯さんがROAD FCのチャンスをくれたんですけど、タイトルマッチで負けてしまいました。今日みんなの前で勝ててうれしいです。日本のヘビー級が自分の時代になるように、DEEPとROAD FCのベルトを獲ってRIZINに行きます」と語った。


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45 AB DEEP DEEP JEWELS DEEP121 Interview J-CAGE KENTA ブログ 渡部修斗

【DEEP121】KENTAと対戦、引退撤回=渡部修斗の真実「より渡部修斗らしい、一転突破のファイトに」

【写真】型にはまった時の強さは絶対。その型に如何にハメるのかが、渡部修斗のMMA (C)MMAPLANET

本日16日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開かれるDEEP121 Impactで渡部修斗がKENTAと戦う。
Text by Manabu Takashima

作戦8月にNEXUSのケージでPFCバンタム級王座を引退試合で獲得──3月にその時の条件として防衛戦を行うことはあったが、きっぱりとMMAから足を洗うつもりだった。そんな渡部が引退試合から1年1カ月、そしてエキストラのファイトから半年で実戦復帰を果たす。

この早期引退撤回には色々な意見があるあろうが、渡部は自身の想いに素直に従った。フライ級で戦うMMAファイター人生第二幕の幕開けを前に、渡部修斗を~彼の城~FIGHT LYNXに尋ねた。


──昨年8月の引退試合から、3月のPFCでの王座防衛戦を経てDEEPで復帰。周囲の反応を考えると、勇気がいる決断ではなかったでしょうか。

「別に勇気はいらなかったです。まぁメチャクチャ言われるからとは思っていたんですけど、何を言われても関係ないといえば関係ないじゃないですか(笑)。別に後ろめたいことをしているわけじゃないですし」

──それなら、良かったです。そこを気にしてしまうと、生き辛いじゃないですか。お父さん、渡部優一さんもケージに上がっての大団円。とはいえグラップリングの試合は出続けていたし、いずれ復帰もあるという意識はどこかに持っていましたか。

「いや、MMAをやろうとは全く思っていなかったです。本当になくて。出し尽くしたので満足していました。実は引退試合の時は、プライベートでゴタゴタもあって突発性の難聴になってしまったり、試合の向けた練習としてはそれほど身が入っていなかったです。フワフワしてしまっていて。

それでも試合はギリギリでも勝てて、自分の大会にできました。なので本当に満足して引退できたんです」

──そもそも、ですが。なぜ、あの時期に引退を決めたのでしょうか。

「MMAを戦うことに、満足してモチベーションがなくなっていたからです」

──満足というのは? RIZINに出たことで満ち足りたということでしょうか。

「そうですね。田丸(匠)戦に勝った時に、一回終わった形でしたね」

──修斗で天才と呼ばれていた選手に、一本勝ちをした。そこで満足感が?

「やっと自分の実力を証明できたと思ったのですが……やっぱり雑魚扱いというか(笑)。次の朝倉海選手との試合に負けて、『こいつ、弱いのにRIZINに出てきやがって』とか言われたのは悲しかったです。

でも伊藤空也選手と戦うことが決まって、気持ちはあがりました。それが伊藤選手が欠場になり、代役の内藤頌貴選手に勝ったのですが評価されることもなかった。そこで気持ちが途切れたというのはありました」

──勝って評価されずに、負けたらボロクソに言われると。

「だからこそ、夢のある舞台なんだと思います。その分、苦しくて」

──田丸戦で満足し、内藤戦で気持ちが途切れた。RIZIN後はDEEP、そして引退試合からPFCの防衛戦と試合は続けました。

「RIZINからDEEPに出た時に、ここを墓場にしようと思っていました。DEEPで勝ってRIZINに戻るという頭ではなくて、DEEPで終わろうと……それでDEEPのチャンピオンを目指そうと戦っていました。でも2戦目の力也戦の時に、試合直前に足が震えてだして。入場前に足がガタガタ震えるなんて初めてのことだったので、自分でもわけが分からなくて。でも、その時に『もう辞めよう』と思いました。

ケージに上がっても全然集中していなくて。いつもならテイクダウンに行くのに組みにもいかない。セコンドからも『どうして、いつも行く距離で行かなかったの?』って言われるぐらいで。

何だろう……心が落ち着いているというよりも、静かだった。で、一発貰って。『あぁ、こんなんで終わったんだ』と何かが抜け落ちてしまっていましたね。じゃあ、最後はNEXUSでやってMMAを終えようと決めました。最後はNEXUSい恩返しをしたかったので」

──その引退試合でPFCバンタム級王座を奪取し、防衛戦を3月に戦いました。

「亀松(寛都)戦は引退試合でも、勝てばやることは決まったので。だから練習も続けていたのですが、NEXUSの運営に入って、試合を眺めていても復帰したいとは思わなかったです。それが元旦に1人で実家に戻っていて、今年の目標を決めようなんて思いながら電車から田んぼを眺めていたら、『フライ級でMMAに復帰』って降って来たんですよ(笑)。本当に復帰するつもりとか、全くなかったのに」

──亀松戦で勝ったあとに『復帰するならフライ級』というSNSでの発言がありましたが、そういう伏線があったのですね。

「ハイ、ただ、あの時は復帰戦の予定とか全く決まっていなかったです。それにあの試合で負けたら、復帰も何もないので。若い子が俺を越えて、北海道のPFCを盛り上げるってことで。だから何がなんでも勝とうという気持ちもなかった。

格闘技の神様がいて、復帰を求めているなら多分勝つだろうっていうぐらいで。同時に勝てば復帰しようとは決めていました」

──現役復帰、奥様の青野ひかる選手はどのようなリアクションでしたか。

「『やりなよ。逆になんで辞めたのは分からない。今でも戦えるのに』って言っていました(笑)。『じゃぁ、やるわ』みたな」

──アハハハ。復帰の場をDEEPにしようと思ったのは?

「バンタム級で取り忘れたモノが残っているので、DEEPと決めていました。佐伯さんには凄くお世話になっていますし。佐伯さんはどう思っているか分からないですけど(笑)。

ただ僕はフライ級で何の実績もないので、発言権もありません。これはアピールでなく、聞かれたから答えるだけであって……。自分がやり残したことは、国内のメジャー団体でベルトを獲ることでした。

修斗、DEEP、パンクラスでチャンピオンになること。父は修斗のベルトを獲っているし、自分のなかでコンプレックスがずっとある。レスリングでもMMAでも、父を越えることができないままで。修斗かDEEPかパンクラスでチャンピオンになって、ようやく父と同等になれる」

──本来は試合に勝って発言しようと思っていたDEEPフライ級奪取宣言。ここで明かしてしまって良いのでしょうか。

「ハイ。取材をしてもらって、自分が何をしようと思って復帰をするのかを分かってもらえるので有難いです。またRIZINかって思われているかもしれないのですしね(苦笑)。DEEPで一番になることしか、目指していないです。それが成ったら、その先があるかもしれないけど……今はDEEPのベルトを目指すために戦います。たださっきも言いましたけど、実績がないので、これは目標を話していると思ってください」

──ハイ。承知しました。フライ級で実際に戦うことを決めて、バンタム級との違いは感じられますか。

「もともとバンタム級では水抜きもしていなかったです。食も細くて、無理矢理たくさん食べて大きくしようとしてしんどくて。ほぼ毎日のように液キャベを飲んでいました。それでも67キロぐらいまでにしかならない。そこから減量をして、リカバリーをしても64キロ程度。それで試合をすることは、正直しんどかったです」

──胃薬を飲んで、たくさん食べる。生きるという部分で、基本が違っていましたね。

「ハイ、全く不健康でした。今は炭水化物……糖質、脂質、たんぱく質はしっかりと摂って、スイーツは和菓子にした。菓子パンは食べない。そうやって、食事を普通にすると普段から61キロになりました。これならフライ級で十分にやれるかと」

──練習での動きの方は?

「軽くなりましたね。周囲の人は組み力は、変わっていないと言ってくれていますけど……。でも実際に戦ってみないと分からないと思います。ただ自分では弱くなったとは思っていないです。胃薬を飲みながら、食べるなんてことはせずに健康的になれたので。そのことは良かったと既に思っています」

──では、対戦相手のKENTA選手の印象を教えていただけますか。

「間違いなくDEEPフライ級のトップです。こないだ村元(友太郎)選手にスプリットで負けたけど、勝っていたらタイトル挑戦だったはずです。安谷屋(智弘)選手、杉山(廣平)選手にも勝っていますし。KENTA選手が自分と戦ってくれるとは思っていなかったです。僕に勝ってもタイトルとかってならない相手だし、自分からすると最初からトップ選手と戦わせてもらって凄くありがたいです。DEEPにもKENTA選手にも感謝しています」

──この間もグラップリングの試合に出続けていたので試合勘は鈍っていないかと思うのですが。その辺りは如何ですか。

「全く変わらないです。試合勘は全く途切れていないすし、以前のようにガツガツとスパーリングをするだけでなく、ここ(FIGHT LINXS)でドリルや技術練習が増えて。練習であまり制圧されることはないです。ただ、それは練習だからで。結局、試合が全てです」

──また試合前に足が震えるという恐れは?

「それはないと思います。今、負けることに不安がないので。やってみないと分からないですけどね。以前は負けることに恐れを感じていましたが、今はそこに恐れがないので。不安がないので、震えることはないと思います。

やっぱり1回終わって自由になったからかと。このMMA引退期間でポジションもより確立されたというか。何の縛りもなく、出たい舞台で戦ってきた。渡部修斗という存在を唯一無二にしたかったのですが、そういうポジションが確立できたと思います。もう負けたら終わりとか考えることもなくなったので、全く怖くないですし。自信が凄くあるわけじゃないけど、恐怖がない。自分のやるべきことを思い切りぶつけて、勝ちに行くだけです」

──このMMA引退期間が、良い方向に動いていそうですね。試合で何を魅せたいと考えていますか。

「技術的に何か変わったといえばないです。ただ気持ちの部分が凄く変わったので。新しい自分を見せたいとかでなくて、ただ試合をすることが楽しみです。グラップリングも含めて、人と試合をすることが楽しくて。なので、勝ちに拘るとかでないピュアな自分を見てもらえるかとは思います。

以前は勝利に拘って、ガチガチになっていました。もっと思うがまま、本能で動くような試合になると思います。試合映像はチェックしますが、対策練習よりも自分の動きを磨くことに重点を置いていますし。より渡部修斗らしい、一転突破のファイトになると思います。色々できるなんて、逆に自分らしくない(笑)。このスタイルで上って行くと姿を見て欲しいです」

■DEEP121 視聴方法(予定)
9月16日(月・祝)
午後5時35分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、サムライTV

■DEEP121 対戦カード

<DEEPバンタム級王座決定戦/5分3R>
福田龍彌(日本)
瀧澤謙太(日本)

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 江藤公洋(日本)
[挑戦者] 野村駿太(日本)

<メガトン級/5分3R>
水野竜也(日本)
大成(日本)

<フライ級/5分2R>
KENTA(日本)
渡部修斗(日本)

<フライ級/5分2R>
関原翔(日本)
杉山廣平(日本)

<フェザー級/5分2R>
五明宏人(日本)
相本宗輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
雅駿介(日本)
谷岡祐樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
鹿志村仁之介(日本)

<ストロー級/5分2R>
多湖力翔(日本)
中務修良(日本)

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45 DEEP Summer Festival2024 J-CAGE Report SAINT ブログ 長谷川賢

【DEEP SF2024】雨で滑りまくる5年5カ月ぶりの復帰戦は、長谷川がSAINTを押さえ込み続けて判定勝ち

<メガトン級/5分3R>
長谷川賢(日本)
Def.3-0:30-25.30-27.29-28.
SAINT(米国)

入場時に選手が階段で足を滑らせるほど雨に濡れているなか、試合はスタートする。サウスポースタンスでガードを固める長谷川がプレスをかけ、SAINTにケージを背負わせる。SAINTの右ローをキャッチし、リフトアップから背中を着かせた。SAINTのブリッジを潰し、ハーフガードの相手の顔面にパンチとヒジを落として削っていく。SAINTがガードに戻して足を上げた。肩固めを狙いながらパスした長谷川がサイドへ。

SAINTの右腕をキムラで抱える長谷川だが、クラッチを外そうとしたところでSAINTがマットの滑りを利用して回転する。再びサイドで抑え込んだ長谷川はキムラを狙う。反転して亀になったSAINTのバックを狙うも、トップに戻る。水が溜まっているマットでは押さえ込みもままならない。ハーフガードのSAINTに対し、長谷川は左腕を枕にして肩固めを仕掛けるが、これも滑って外れてしまう。SAINTが蹴り上げると長谷川は一度立ち上がり、再びグラウンドに戻って初回を終えた。

2R、ゆっくりとプレスをかけていく長谷川が、右フックからボディロックで組みついた。ケージを背にしたSAINTは、左オーバーフックからヒザを突き上げる。長谷川はボディロックからケージ中央に向けて倒した。ハーフガードのSAINTを押さえ込み、ここも左腕を枕にして肩固めを狙うが、やはり滑って極まりづらいか。

今度はしっかりを胸を合わせて押さえ込む長谷川。左腕を枕にしたまま右の拳で削ると、SAINTが嫌がる表情を見せる。SAINTが足を利かせると長谷川は逆側に動き、右腕を枕に抑え込む。ボトムで動くSAINTだがケージ際から動くことができない。長谷川はSAINTの左腕を取ってアメリカーナを狙うも極まらず。立ち上がった長谷川は一発サッカーボールキックを打ち込み、そのまま背中を見せてコーナーに戻った。

やはり水浸しのマットでは試合にならないか、長谷川は自コーナーで首を振る。最終回が始まると、SAINTが右ストレートを伸ばす。長谷川がワンツーを放つと、SAINTは右に回った。見合う両者。ここでSAINTが右ローから右手を前に出すと、これがアイポークとなり長谷川に休憩が与えられる。

ここで止んでいた雨が再び降り始める。再開直後、長谷川のグローブが外れていたようで中断された。再開されると長谷川がプレスをかけてSAINTにケージを背負わせた。右ジャブから左ストレートをダブルで放った長谷川が、苦笑いを浮かべて下がる。それほど濡れたマットでは試合にならない。SAINTがローラースケートを履いているように足を滑らせて前に出るほどだ。ボディロックからグラウンドに持ち込んだ長谷川に対し、SAINTはケージキックから長谷川の上半身を足で挟んでいく。すぐに頭を抜いた長谷川は、ケージ際から離れて押さえ込み、バックを奪って試合を終えた。

裁定は1人のジャッジは2つのビッグラウンドと採点した一方で、SAINTに1つラウンドを与えているのは疑問だ。いずれにせよ、試合ができるような状態ではないケージで、長谷川が5年5カ月ぶりの試合でユナニマス判定勝ちを収めた。試合後「打撃で行こうと思いましたが、足が滑りました。純粋な気持ちで格闘技を応援したい。これからまた試合をしようと思います」と語った。


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45 DEEP Interview J-CAGE でDEEP Nagoya Impact2024#03 でDEEP Nagoya Impact2024#04 ブログ マユミ・グラップリングシュートボクサージム 神田麻梨乃

【DEEP Nagoya Impact2024#04】MMAから組み技に変更、マユミGSB「アルドのローのイメージが……」

【写真】表情の堅さも魅力的(?)なマユミGSBさんです (C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、愛知県刈谷市の産業振興センターあいおいホールでDEEP Nagoya Impact2024#03ならびに#04が昼夜に分けて開催される。夜の部となる#04では、マユミ・グラップリングシュートボクサーズジムがグラップリングマッチで、神田麻梨乃と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年4月、初のMMAで富松恵美に判定負けを喫したマユミGSBは当初、今大会でアレッサンドラ・イナシオを相手に2度目のMMAに挑む予定であった。しかしイナシオが急きょ欠場となり、グラップリングルールで神田と対戦することに。そんなマユミGSBにMMA初戦の感想と次の試合について訊くと、意外な「フィジカルの強さ」が浮かび上がってきた。しかも以前はなかなか口が重たくネガティブな発言が多かった彼女から、具体的で力強い言葉も聞かれるように――格闘技を通じた物語が、ここにある。


――今年4月、富松恵美選手を相手に初のMMAを戦った感想から教えてください。まず前回のインタビューから試合当日までに、不安は拭えていたのでしょうか。

「追い詰められて、不安で仕方なかったです(苦笑)。もう試合直前で、やるしかなくなって……。逃げられるものなら逃げたかったですし、怯えたまま試合をしました。試合も最初からワケが分からなくなってしまい、予定にない動きばかりしていました」

――予定にない動きというと?

「富松選手のほうが打撃は巧いので、私は打ち合わずにテイクダウンしたいと思っていました。でも試合前に気分を上げるために格闘技の動画を視た時、偶然ジョゼ・アルドの名場面集動画が上がってきたんです。そこで視たアルドのローのイメージが残っていて、試合ではローを蹴っていました」

――えぇっ!? あのローの連打はジョゼ・アルドの影響だったのですか。しかも試合直前に視た映像の……。富松戦はまず、マユミ選手の右ローが一番印象に残りました。あの右ローは普段から練習していたものではないのですか。

「ミットではローの練習はしていました。でもスパーリングでは、あまり使わなくて。ミットの動きが試合で出た……のでしょうか。私は試合中もパニックで何も分からなかったです(苦笑)。ただ歓声が聞こえたので、『このまま蹴って良いんだ』と蹴り続けました」

――歓声に乗せられるとは、もうプロファイターじゃないですか。

「いえ、そんな(苦笑)。主体性がないので、歓声とかはありがたかったです」

――練習時にローのミットを受けていたのは誰でしょうか。

「ユニオン朱里選手です。ジムで打撃のインストラクターをやっていただいていて。ユニオン選手のミットの持ち方がすごく巧いと思います」

坪井淳浩GSB代表 ユニオン朱里のミットもそうですし、大野さん(マユミGSB)もローは巧いですよ。要は今まで試合で一度も使ったことがないから、自分のローがどんなものか分からなかっただけで。打撃のセンスはあると思います。

――なるほど。あの右ローのおかげで、まず組手はマユミ選手が制したように思いました。

「お互いにパンチを打ってから偶然、四つになったような感じでした。私のほうがフィジカルは強かったので、コーナーに押し込めたんだと思います。自分は打撃に自信がなかったので、テイクダウンできるならしてパウンドを落としたい。でも実際にテイクダウンできた瞬間はビックリしてしまいました。『プロ選手を相手にテイクダウンできた』って(笑)」

――右ローのイメージはジョゼ・アルドで、テイクダウンでイメージした選手は?

「やっぱり好きなヌルマゴ(カビブ・ヌルマゴメドフ)です。打撃だけでなくテイクダウンも自信はなかったけど、ヌルマゴのようにテイクダウンして潰していきたいと思いました」

――グラウンドに持ち込んだ瞬間、気持ちは落ち着かなかったのですか。

「いえ、ずっと『早く試合が終わってほしい』と思っていました。早く5分2Rが終わって、リングから逃げ出したかったです」

――う~ん、それにしてはポスチャーもしっかり出来上がっていました。先ほど仰ったフィジカルの強さも表れていたように思います。

「あれもイメージでやっていただけで……。でも坪井代表にずっとパウンドミットを持っていただいていたので、その成果が出たかもしれないです。あと普段からUFCとかを視ていて、イメージしながらパウンドを打っていました」

――パウンドも映像からイメージを! 普段からフィジカルトレーニングに取り組んでいるのでしょうか。

「何年か前まではそこそこ筋トレもやっていたのですが、最近は面倒くさくなってしまって……」

坪井 面倒くさいって(笑)。彼女のトレーニングを見ていると、フィジカルが強いことは分かります。ウェイトでは何キロを上げているんでしたっけ?

「デッドリフトはMAXで107.5キロです。プロ選手であれば、女子でもそれぐらい上げると思います。自分も普通の練習をしているだけで……。マッチョにはなりたいですけど」

坪井 まぁ、普通の練習をしている女性がそれぐらい上げているのを見ているわけですから。彼女のフィジカルがプロのリングで通用することは分かりますよね。

――今回、もともとMMAの試合が決まっていました。4カ月というインターバルで次もまたMMAを戦おうと決めたのは、何か気持ちの変化があったのでしょうか。

「坪井代表からMMAの試合の話をされて、断れなかっただけです(笑)。打撃があるのは怖いので、グラップリングマッチに変更されて安心しました」

――アハハハ。では対戦する神田麻梨乃選手の印象を教えてください。

「過去の試合映像は、柔術の試合しか見当たらなくて……。レスリングをやっているんですよね」

――レスリングの全日本大会経験者です、TORAOでサブオンリーの試合に出場した時は、開始早々テイクダウンを奪っていました。

坪井 ここは僕から言わせていただきたいのですが、今回の試合については大野さんが練習ではやっていて、試合でまだ出したことのないものを見たいと思ったんです。というのも、彼女はいつもウチで70キロ以上の男子選手と練習していて。その男子選手を相手にやっていることが、試合でも出せるのかどうか。

男子との練習を通して、大野さんが「まだ何もできない」と言うのは分かります。だけど普段、同じくらいの体重の女子選手と練習する機会は少ない。であれば実際の試合になれば、どれだけ動けるのかが見たいんですよ。大野さんならやれると思っていますし。

――ということは、70キロ台の男子選手も軽々と持ち上げたりするのでしょうか。

「そうですね。男性と練習していて、パワーで挑んでも勝てないので『相手を持ち上げるコツ』みたいなものは身についていると思います。坪井代表から、そういうふうに期待していただいて嬉しいです。次は試合の内容と結果で恩返ししたいです」

――おぉっ! 初めて力強い言葉が出ました。

「最初の頃は緊張して喋れずにスミマセン(苦笑)。MMA興行でグラップリングマッチの5分2Rは、『つまらない』という印象を持っている方もいると思います。そんななかでも私は、なるべく良い試合、面白い試合をしたいです。よろしくお願いします」

■DEEP Nagoya Impact2024#04視聴方法(予定)
8月25日(日)
午後16時30分~NAGOYA FIGHT FES YouTube Channel

■ DEEP Nagoya Impact2024#04対戦カード

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
ヴィニシウス(ブラジル)

<ライト級/5分2R>
今村滉(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)

<グラップリング56キロ契約/5分1R>
マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)
神田麻梨乃(日本)

<フェザー級/5分2R>
石田ガリット勝也(日本)
平澤克明(日本)

<バンタム級/5分2R>
大岩翔哉(日本)
Akiyoshi(日本)

■DEEP Nagoya Impact2024#03視聴方法(予定)
8月25日(日)
午後12時30分~NAGOYA FIGHT FES YouTube Channel

■ DEEP Nagoya Impact2024#03対戦カード

<フェザー級/5分3R>
GINJI(日本)
畠山祐輔(日本)

<フライ級/5分2R>
今村滉(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)

<バンタム級/5分2R>
脇田仁(日本)
寺崎昇龍(日本)

<54キロ契約/5分2R>
鶴斗(日本)
太一(日本)

<バンタム級/5分2R>
太田翔一郎(日本)
時任流架(日本)

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Interview J-CAGE TTFC10 ブログ 狩野優 轟轟

【TTFC10】1年5カ月振りの実戦=轟轟戦前の狩野優「自分が取材される優先順位は低いはず」

【写真】慇懃無礼の真逆、そんな狩野優 (C)MMAPLANET

16日(金)に東京都練馬区のココネリ・ホールで開催されるTribe Tokyo Fight Challenge 10に狩野優が1年5カ月振りの再起戦で轟轟と戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年3月にONE FFでイヴァン・パルシコフと対戦し、ヒザ十字でまさかの50秒一本負けを喫した。その後、国内外で実戦の場から姿を消していた狩野は学業に専念し、大学院で修士課程を修了していたという。

MMAファイターを続けるうえでの休養期間を終え、狩野の想いを訊く中で彼の口からは「自分より、他の選手を取材してほしかった」という言葉が発せられた。

言葉は丁寧でも、無礼な人間はいくらでも存在する。対して決して饒舌ではなくても狩野優という漢が口にする言葉からは、無骨かつ誠実な彼の生き方が伝わってきた。


MMAは他に収入源がないと続けられない

――16日のTTFCで昨年3月以来、1年5カ月振りの試合となります。これだけ試合期間が空いた理由をまず教えていただけますか。

「大学院での学業に専念、論文を書いていました」

――それは就職をするためということで?

「ハイ。やっぱりMMA以外で収入がないと選手を続けることもできないので。修士課程を修了して、今は会計系の仕事に就いています。MMAを続けることは大前提として、仕事をしていても練習ができる環境を創れるようにしてきました」

――つまり今は以前のように練習ができていると。

「ハイ、昼にあるプロ練習にも出ています」

――安定した収入があると、安心して練習もできますか。

「安心というか、日本のMMAファイターはほとんどがそうやって生きているわけですし。強さだけでなく、知名度が必要で。強くても何か仕事をしている人がたくさんいて、自分もその1人になったという認識でいます。MMAは他に収入源がないと続けられないから、そうした――までです。

ただMMAをいつまでも続けられることでもないので、やはり社会経験はしておくべきだとも考えていました。MMAは突然、できなくなることもあるわけですし。そういうことを考えると、自分は仕事をしながらMMAを戦うことを選びました」

――1年間、実戦から離れることも込みで。

「ハイ。まぁ、去年、ONE FFで負けて……ヒザ十字でケガをしたこともあったので。あれがなければ、そこまで学問に集中していなかったもしれないです。ケガ云々だけでなく、あの負けで現実を知ったという部分も大きくて。

持っている選手っているじゃないですか? 自分は持っていないし、若い選手のなかでは終わったなという想いになっていました。だから、逆にアレがあったので学問に集中することができたと思います」

――試合を見据えた練習ができるようになったのは、いつ頃からでしょうか。

「論文に追われていた時期が終わると、すぐに試合モードの練習に戻りました」

――去年の11月に上久保選手の取材でTri.H Studioを訪れた時、狩野選手が監獄グルグルに参加されていました。あの時には、練習から離れているとは思えない動きでした。

「本当ですか。あの時は結構、論文に集中していた時期です。ただ、ついていくことで精いっぱいでしたけどTri.Hで練習をしていることは安心につながっていました。1日に1度ですが、毎日練習ができている時もあったのですが、年末になると全くできなくなっていたので」

――試合から離れることを伝えた時に、長南さんの反応はいかがでしたか。

「凄く分かってくれていました。あの時、長南さんに理解をしてもらえて、自分がやるべきことに集中できました」

――ONE FFで敗北。まさかのヒザ十字での負けからも、学べたことがあったのではないでしょうか。

「ONE FFの時は監獄グルグルでの練習を過信してしまっていて、思いもしない力でやられてしまいました。自分は攻防を見せたいと思っています。スパッと試合を決めることができたほうが、印象は良いかもしれないですが……POWND STORMの時もそうですけど、時間を掛けて倒したいというのがあるんです。

POWND STORMではデビュー戦の相手に煽られたから、苦しめて終わらせてやろうって。15分間使って残虐性を見せる。ボコボコにして、最終的に一本を取る。結果、対戦相手も自分の甘さに気づいただろうし、自分が屈服させたと勝負だと思っていたんです。でも『デビュー戦の相手に時間を掛けやがって』とか批判されて」

――すぐに敗北を取り返そうとせず、時間をおきました。そしてTTFCというホームで轟轟選手との試合に挑む。地に足をつけているという印象です。

「1年半空いているので、リセットという意味もあります。対戦相手の戦績とか、それほど気にしていないですけど、自分が戦っていない間も結果を残しています。パンクラス時代に戦って名田(英平)選手と同門で、しっかりとした選手だと思っています」

――この間、河名マスト選手や中村京一郎選手という拳を交えた選手たちの活躍を見て、焦ることはなかったですか。

河名との試合は、1Rにバッティングをされて記憶が飛んでいるんですよ。アレを捌けないレフェリーも問題ですけど、アレで勝って喜んでいるのもどうかなって。

あの戦い方でUFCに挑戦しちゃうんだなっていうのもあります。代理戦争で優勝したヤツも、2月ぐらいにファイトベースの月曜日のグラップリングの練習しているんですよ。グラップリングを学びたくて、コクエイ・マックスのやっているクラスに出ていて……岩﨑(大河)選手が誘ってくれて。

2年振りぐらいに組んで……、まぁ代理戦争のトーナメントって、デビューしたての選手がいっぱいいるなかで4、5戦をしているんだから、優勝して当然だと自分は思っています」

――「今に見ていろよ」という気持ちが伝わってくるような気がします。

「本当ですか?  自分は自分の道を……強いヤツに勝って上に行きたいですし。過去に戦った人のことはどうでも良い……というか、頑張ってねという感じです」

ただ、俺の試合を見て欲しい

――ではキャリアの仕切り直しを迎えて、今後はどのように上がって行きたいと考えていますか。

「今後のことを考えると、また間違いをおかしてしまうので。まずは今回の試合を勝つことです」

――そういうなかでTTFCではTRIBEの練習仲間が揃って出場します。ホームで負けられないという気持ちもありますか。

「負けられないのは、いつもです。TTFCも他からオファーがなくて、長南さんから『出るか』と言ってもらえたので、出ました」

――では特に想いがあるということでもない?
 
「それでも3大会連続で出ていますしね、う~ん……そこでいえば、こうやって自分がインタビューをしてもらっていますけど、柔術黒帯の後藤(亮)さん、デビューから負けなし(4勝1分)の永井(奏多)君、引退する大越(崇宏)さんのインタビューをしてほしかったです」

――……。

「自分は(エフェヴィガ)雄志君みたいにメインで戦うわけじゃないし、ただ久しぶりに試合に出るということだけなのに。勢いがあったり、引退する選手のストーリーと比べると、自分が取材される優先順位は低いはずです。スポットライトなら、そっちの人たちに当ててもらいたかったです」

――MMAPLANETの在り方は書き手の各人が、その人のことを知りたい、その選手のことを知って欲しいということで取材対象を決めていきます。個人の感性に寄ってくるのですが、自分は狩野選手が戻ってくる。その背景を読者の人に知って欲しいと考えています。

「……。俺、結果を残しているわけじゃないので。ただ、休んでいて試合をする。だったら未来のある子を取材をした方が良いんじゃいかと」

――この場でチームメイトのことを思い遣る言葉が聞かれて、狩野選手にインタビューをさせてもらって良かったと思っています。同時に、今の提言をしっかりと受け止めさせてもらいます。そして、MMAを戦い続けるための選択の結果がどのようなモノなのか。ケージの中を直視させていただきます。金曜日の夜、ファンに何を見せたいですか。

「何を……ただ、俺の試合を見て欲しいです。休んで、力が落ちているわけではないです。結果なんて分からないけど、この空いた期間に何をやってきたのかも結果に反映してくると思っています。なので、試合を見てほしい。それだけです」

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTFC10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+Ex>
大越崇宏(日本)
小森真誉(韓国)

<ライト級/5分2R+Ex>
岩倉優輝(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリング78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+Ex>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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Interview J-CAGE TTFC10 ブログ 長南亮

【TTFC10】長南代表に訊く、TTFC再開の意図「せっかくのチャンスが“出ました記念”にならないように」

16日(金)に東京都練馬区の練馬coconeriホールで開催されるTTF CHALLENGE10。TRIBE TOKYO MMAの長南亮代表がプロモーターを務めるTTF CHALLENGE(以下、TTFC)が約3年8カ月ぶりに活動を再開する。
Text by Takumi Nakamura

コロナ禍の2020年12月の大阪大会以来、大会開催から遠ざかっていたTTFC。久々の開催に向けて長南代表はプレスリリースにて「自主興行の必要性はなくなってきている昨今ではありますが、若手選手たちと共にホンモノの戦いを提供できればと、選手育成の視点から再び練馬の地で開催する運びとなりました」と説明している。

MMAPLANETでは改めて長南代表にインタビューし、TTFC再開の目的・意図を訊いた。


――TTF CHALLENGE(以下、TTFC)が約3年8カ月ぶりに開催されることとなりました。また大会を開催しようと思った理由は何だったのですか。

「(TRIBEがある)練馬界隈では指導後に食事をしていたりすると『もう大会はやらないんですか?』と聞かれることが多くて。ジムが忙しすぎて簡単にイベントをやるような状況ではないのですが、他所のイベントを見ていて興行のスキルが落ちているのを感じることもあって、何とかしたいなと。あとはTRIBEの所属プロ選手も10名以上いて、今回のTTFCを見てもらっても分かる通り、片側のコーナーはTRIBEの選手でも埋まっちゃうくらいなんですよ。色んな団体さんと交渉して試合を調整するぐらいなら、一度、うちで興行をやって試合を組もうと思ったのも理由の一つですね」

――TRIBE所属の選手でも試合待ちになっているような状況ですか。

「そうですね。毎月どこかで所属選手の試合がありますし、そのなかで試合が流れてしまう選手がいたり、デビュー間もない選手はこちらから売り込まないとなかなかチャンスが来なかったり。あとはうちの後藤亮なんかは知名度はないけどそこそこ強いから試合を断られちゃうたりもするんですよ(苦笑)。TRIBEとしては、そういう状況がありますね」

――地元・練馬のみなさんからもTTFCに対する反響はありますか。

「また大会をやってほしいという人もいれば、最近知り合ってうちが大会をやっていることも知らない人もいて、そういう人たちに大会を見せたいというのもありますよね。練馬coconeriホールの担当の人もTTFCをやることを歓迎してくれていて、担当者のなかには『練馬を格闘技の街にしましょう!』と言ってくれる方もいたんですよ。練馬にはパラエストラ東京もあるし、GRABAKAもあるんで。そういう部分でも練馬coconeriホールで大会をやることに意味を感じています」

――先ほど「他所のイベントを見ていて興行のスキルが落ちているのを感じることもある」という言葉もありました。プロモーター目線では、ずばり既存の団体に対して、こうした方がいいんじゃないかと思うところもありますか。

「今回はメインとセミを国際戦にしたんですけど、RIZIN以外の団体でもメイン級の選手には外国人選手を当てて欲しいですよね。どうしても日本人同士の試合になると、内々の戦いになってしまって、外(海外)との比較ができない状態だと思うんですよ。日本国内ではいいレコードを作ったとしても、海外に行くと全く通用しなかったり。それは単純に外国人選手とやる機会がないからだと思うんですよね。パンクラスさんは積極的に外国人選手を招聘していますけど。例えばうちの(エフェヴィガ)雄志もデビューしてから連勝しているので、そういう選手がステップアップできるようなカードとして外国人選手と試合を組みたいと思って、そこにトライしてみました」

――国際戦が減っている状況は業界としても変えていきたいですか。

「後楽園規模の大会を勝ち抜いて、RIZINに出て外国人選手と戦うという流れはあると思うんですけど、RIZINまでいかなくても後楽園規模の大会で、そういう試合を組んでいってもらいたいです。もちろん色々と面倒なことや調整しなければいけないことはたくさんあると思いますが、本業がイベント屋じゃない自分がチャレンジできていることなので、既存の団体にはそこを頑張ってほしいという想いはありますね」

――国際戦は費用や集客面で難しい部分もありますが、その機会が減っていることは選手にとってはマイナスですよね。

「選手の数は増えているけれど、それと同じように全体的なレベルが上がっているかと言われれば、そうじゃないと思います」

――日本人相手に連勝して、いざビッグイベントや海外団体で戦うチャンスを掴んでも、そこで慣れない外国人選手と戦って結果を出すことが出来ない。結果的にチャンスの芽を潰してしまうことにもなりかねないです。

「せっかく掴んだチャンスがぶっつけ本番になっちゃうんですよね。しかもそれが海外になるとなおさらですよね。初めて言葉も通じない環境に身を置いて、初めて外国人選手と戦うというシチュエーションもありえるし、対戦相手関係なく、その環境だけで力を発揮できないことも多々あるわけで。それでせっかく掴んだチャンスをすべて台無しにしてしまうのは……考えどころですよね。日本から世界へステップアップするための試合や舞台が必要だと思います。繰り返しになりますけど、日本でも外国人選手と戦える機会があったり、少し昔だったらPXCとか、すごくいいバランスの大会だったじゃないですか。ああいう大会で海外での試合、VS外国人を経験できたのは、すごく大きかったですよね。自分も年1回という頻度だったら、そういう試合やイベントを創ることができると思うので。今回の大会をちゃんと成功させて、次につなげたいですね」

――それこそエフェヴィガ選手は試合後のマイクでも日本人選手が試合を受けてくれないことを口にしていましたし、キャリア的には外国人選手と戦ってもいい時期だと思います。

「そこは(試合を受けない選手に)正直いい加減にしろよって思いますけど(苦笑)、その気持ちは雄志の方が絶対に強いと思います。実は雄志にはDWCSからオファーが来ていたんですよ。ただその前にTTFCに出ることが決まっていたし、雄志自身もいきなり次戦がDWCSというのは、対戦選手のレベルが急に上がりすぎる、と。チャンスは限られているかもしれせんが、ただ飛びつくだけ飛びついて、そこで勝てなかったら何の意味もないですから。そこは雄志ともしっかり話して、TTFCでエマニエル・サンチェスに勝つことが出来たら、海外のローカル団体で実績とキャリアを積んでからUFCにチャレンジしたいという意向です」

――世界に挑むための準備が整わないと、ですよね。

「“出ました記念”にはしたくないですからね。準備が整わないままチャンスに飛びついて、そこで勝てなかったら、次いつチャンスが巡ってくるか分からないじゃないですか。だったら海外で勝てる実力と実績を作っておいて、そこから勝負できるようにしておいた方がいいと思っています」

――とは言え練馬coconeriホールの規模で海外から2選手招聘するのは大変ではなかったですか。

「でもアメリカはアメリカで選手が増えすぎちゃって、メジャーイベントをリリースされて試合の機会がない選手も多いそうなんですよ。あとはまだ日本で試合をしたいという憧れを持っている選手も多くて、ティル・サンは『チケットを100枚売るから使ってくれ!』と言ってきました、在日ミャンマー人のコミュニティがあるから強気なのか。絶対100枚は売れないだろ!と思いましたけどね(笑)。でもまだまだ日本で試合をしたがっている選手は多いです」

――海外にもそういった事情があるんですね。

「あとは日本人だったら勝てると思っている選手もいると思います。白星を重ねてキャリアを作り直して、メジャーイベントに再挑戦したい選手にとっては、そういう狙いもあるんだと思います」

――TTFCも10回大会となりましたが、その時々で日本のMMA業界が抱えている課題を解決するべく、テーマを持って大会を開催していますよね。

「コロナ禍の時は格闘技イベントそのものを目にする機会がなくなるんじゃないかと思い、当時はONEの仕事も手伝っていたんですけど、それで何も動かないのは嫌だったのでTTFCをやりました。同じ年に大阪でも大会をやったんですけど、それはBLOWZの中蔵隆志代表から『東京の選手と試合をする機会が欲しい』という話を聞いて、だったら東京から乗り込んでいったら面白いじゃんというところで開催に至りました。そうやって大会ごとに異なるテーマがあるなかで、今回に関していえばTRIBEの選手が増えている状況のなか、TRIBEの力を見せたいと思ったし、ジムを構える練馬に貢献したいという気持ちもあります。そのうえで上を目指す選手のために国際戦を組もうと。過去にTTFCはのちにUFCファイターになるジェシー・ジェスを招聘したこともありますからね」

――まさにTTFCはジムで選手を抱えてるからプロモーターだからこそのイベントですね。

「松根(良太)君なんかもそうですよね。地元の沖縄にジムを出して、沖縄に修斗を広げるために大会を開催して。あと主催者として選手に対してフェアにならないといけないから、自分はTTFCではセコンドはやらないようにしているんですよ。だからジムのヘッドコート目線で言えば『TRIBEのお前ら、絶対負けるなよ!』という気持ちはありますけど、プロモーター目線で言えば『TRIBEの選手たちを喰って上に行ってやる』という選手は大歓迎だし、出場選手たちには感謝しています」

――例えばTTFCと同じような取り組みをする大会が各地方にも増えて欲しいですか。

「GladiatorさんやHEATさんは各地域でそういう取り組みをしていると思いますし、ただ日本人が外国人に苦戦している現状もあるので、そこはまだ選手育成の部分が追いついてないところもあるのかなと。だから今回の大会では雄志の試合でそれが試されると思っています」

――今大会を機にTTFCは今後も定期開催を予定していますか。

「来年も練馬coconeriホールを抑えて、今後もTTFCを定期開催していくつもりです。そのためにもまずは目の前の大会を成功させることが一番です」

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTF CHALLENGE10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+ExR>
大越崇宏(日本)
小森真誉(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岩倉優(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリングマッチ 78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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45 Grachan71 J-CAGE News ブログ 内山国光 芳賀ピラル海 草訳駿介 足立晃基

【Grachan71】ビラル×草訳、どちらがライト級王座に近づくか。MMA甲子園王者もプロデビュー

【写真】勝者はベルト挑戦となるか。果たして――(C)GRACHAN

4日(日)、GRACHAN実行委員会より9月15日(日)東京都大田区の産業プラザPIOで開催されるGtachan71の対戦カードが発表された。同大会では、ライト級で芳賀ビラル海と草訳駿介が対戦する。
Text by Shojiro Kameike


現在、Grachanライト級王者の原口伸はRoad to UFCに出場中だ。昨年ライト級でエントリーした原口だが、今年はフェザー級で参戦している。正規王者がRTU参戦中ということもあり暫定王座が設置され、昨年12月には林RICE陽太がベルトを獲得した。

原口と林RICEによる王座統一戦の実施は、原口のRTUの結果次第&フェザー級に転向するかどうかに関わってくる。そんななか、ライト級でランキングを挙げてきたのがビラルだ。ビラルはMMA戦績こそ4勝4敗とイーブンだが、プロデビュー以降は4連敗からの4連勝と、Grachanライト級の中で最も勢いに乗るファイターであることは間違いない。特に今年3月(Grachan68)の岸本戦、続く5月の藤村健悟戦(Grachan79)では安定したゲームメイクを見せている。藤村戦は藤村に背中を着かされながらもハーフネルソンで相手の体力を削り、残り10秒でアメリカーナを極めた姿からは、以前よりも試合で勝つ術が明確になっている印象を受けた。

長身&これだけのリーチ差から繰り出す右は脅威だ(C)GRACHAN

対する草訳は、ビラル×藤村と同じ大会で大道翔貴をわずか38秒でKOし、ランキング入りしている(現在7位)。MMA戦績は3勝1敗で、3勝は全てKOによるものだ。昨年8月のプロデビュー戦は、相手がマットに手を着いている状態でヒザ蹴りを顔面に突き刺し、反則負けを喫した。以降は3連続KO勝ちを収めており、190センチの長身から繰り出されるパンチは、ライト級ファイターにとっては脅威だろう。そんな草訳にとっては、ライト級ランク上位入りとベルト挑戦に向けた重要な一戦となる。それはビラルにとっても同じ。今後のライト級のベルトを巡る戦いの一つとして見逃せない対決だ。

第1回MMA甲子園全国大会フェザー級優勝の足立(C)MMA KOUSHIEN

また、今大会では今年2月に「第1回MMA甲子園全国大会」でフェザー級を制した、奈良のM3FIT所属の足立晃昭がプロデビュー戦を行う。相手は同じくプロデビュー戦の内山国光だ。足立はMMA甲子園の地区予選から無敗で全国を制している。一方、茨城WIZARD MMA所属の内山はGrachanのアマチュア部門「Grachanチャレンジ」にも出場経験のあるファイターだ。アマチュアで異なる道を通ってきた両者のデビュー戦にも注目したい。

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