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【UFC305】南太平洋最強決定戦=カイ・カラフランス戦へ、スティーブ・アーセグ「ヒジとヒザがある」

【写真】 (C)MMAPLANET

18日(日・現地時間)、豪州はパースのRACアリーナでUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」が開催され、コメインでスティーブ・アーセグがカイ・カラフランスと対戦する。
Text by Manabu Takashima

Beatdown Promotionで北野一声を破ったスチュアート・ニコルが、第1試合でヘスウ・アギラーと戦うフライ級も組まれている今大会。日本からの遠征も増え、日本人フライ級ファイターがその視界に豪州勢を入れないといけなくなっている現状で、オーストララシア最強のフライ級を決める一戦が組まれた。

ニュージーランド&豪州の軽量級をリードしてきたカラフランスの対戦を控えたアーセグをインタビュー。昨年6月のスクランブル発進オクタゴン初陣から1年未満で世界王座挑戦を実現させた──ある意味、シンデレラボーイは、オクタゴンの中と同じで、現状の把握と修正が人生でもできるスマートなファイターだ。


カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう

――カイ・カラフランスと地元パースのファンの前で戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は14日に行われた)。

「ホームタウンのファンの前で戦うことはワクワクすると同時に、少しプレッシャーも増えるかな。でも、自分がどれだけ成長できたかを皆に見てもらえる機会でもあるし、色々な気持ちが交錯しているよ」

──PPV大会のコメインでもあります。

「数多くのファイターがUFCとサインをしているけど、訪れる順番としては『試合に出る』、『PPVショーで戦う』、『PPVショーのコメインに出る』という風になるはずだ。地元でPPVがあってコメインで戦う機会が訪れる選手なんてほとんどいない。なにかの間違いないじゃないかという状況をUFCが与えてくれた。その期待に応えないといけない」

──とはいえスティーブは既にMSGで戦い、ブラジルというアウェイの地で世界王座に挑戦するなど僅か14カ月間で他のUFCファイターにはない経験をしているかと思います。特に敗れたとはいえ、オクタゴン4戦目でのタイトル挑戦は得難い経験だったのではないでしょうか。

「色々なことを学ぶことができた。そのなかでも一番良かったことは、自分に自信が持てたということかな。世界のベストとやり合う。ずっと夢見てきたことが、現実になった。初めての5Rの試合で、世界王者とやりあえたことは大きな自信になっている。特にラウンドが進むと、僕と同じようにパントージャにも疲れが見て取れるようになったしね。

序盤からハイペースで戦った。そうしたら世界チャンピオンも疲れ始めたんだ。3Rのファイトなら、そういうことは言うと簡単にトライできる。それを5回戦でやれたのは、大きいよ。次の機会には、フィニッシュを考えて戦うことができるはずだ」

──スティーブは素晴らしいキックボクシングをケージの中で披露しています。構えも蹴りとパンチを出しやすい姿勢で。それでいて相手のテイクダウンを返す力も持っています。しかし、パントージャにはラウンドに1度というぐらいの確立でテイクダウンを許しました。他の選手とパントージャの違いはどこにあったのでしょうか。

「まずパントージャ―にはダブルやシングルでなく、ボディロックでテイクダウンを奪われた。ここが違う。特に左フックに組まれて、ボディロックを許した。足への組みには自信を持って対処できたけど、上半身に組みつかれたことが大きな要因だ」

──ボディロックに入るための、スラッピーな打撃がパントージャにはありました。それを可能にしたのは、パントージャがスティーブの打撃を怖がらないで戦えたからかと。ビビッて下がるとボディロックを取ることはできなかったと思います。

「確かにパントージャの打撃は粗い。そして、それは組むための打撃だったのも絶対だ。あの試合以降、ボディロックテイクダウンの対処は徹底的にやってきた。カイが同じようにしようと思っても、もう違う。足だけでなく、どの箇所でもテイクダウン・ディフェンス力は上達している。

カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう。でも近距離になると、僕にはエルボーやヒザ蹴りもある。テイクダウンに関しても、倒されることもあるかもしれないけど、倒された後もカイとパントージャは違う。パントージャのトップキープ力、その体の重みはカイにはない。つまり、寝技の攻防は続かずにすぐに立ち上がることができる」

──当然、この試合に勝ってタイトル戦線に戻ることが目的だと思いますが、一度敗れているとすぐに機会は訪れないかもしれないです。そのためにインパクトのある勝ち方が必要になってきますが、日曜日の朝はどのような試合をしたいと考えていますか。

「まず、この試合で僕が勝ってもすぐにタイトル挑戦はできないと思っている。もちろん、そうなれば嬉しいけど──この試合でカイをフィニッシュしても、あと2試合は必要になってくるだろう。フライ級のトップ選手を2人倒すと、またタイトルショットの権利が得られるぐらいの気持ちでいる。

と同時にカイという豪州やニュージーランドの軽量級をリードし、僕らに世界で戦うドアを開いてくれたファイターのことを凄く尊敬している。もし、戦う必要がないのなら試合をしないでおきたい相手だった。でも、決められた試合にNoというつもりはない。

何よりもクラス最強のファイターと戦いたいし、僕の現状ではそれがカイ・カラフランスになる。彼ももう一度世界のベルトに挑戦したいはずだ。僕もそうだ。なら、戦うよ。彼へのリスペクトは一旦、置いてオクタゴンに上がって勝利を手にするだけだよ」

Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深い

──そんなカイ・カラフランスとの試合に集中しないといけないことは承知しているのですが、豪州MMA界について一つ質問させてもらっても構わないですか。

「もちろんだよ」

──今、豪州MMA界ではEternal MMAとHEX Fight Seriesが選手を引き抜いたり、ドメスティック・シーンがシビルウォーの様相を呈しています。この現状は豪州MMAにとって、どのような影響を及ぼすと考えていますか。

「なるほど(笑)。僕はEternal MMAの王者からUFCにステップアップしたけど、HEX FSでも戦った経験がある。単独のプロモーションが独走するよりも、複数のプロモーションが競合している状況の方がMMAが発展すると思う。団体運営も良くなっていくし、選手の環境も良くなるだろうからね。一方がベストで、もう一つが大きく水を空けられるという状況に陥らない程度なら、競争は良い効果があると思う」

──その余波がDWCSでも見られて、Eternal MMAフライ級王者だったアンソニー・ドリリッチとHEX FCフライ級王者ショーン・ガウシーの一戦が組まれました。

「Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深いよ。でもアンソニーとは一緒に練習をしているので、彼の勝利を願っている」

■視聴方法(予定)
8月13日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] ドリキュス・デュプレッシー(南アフリカ)
[挑戦者] イスラエス・アデサニャ(ニュージーランド)

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
スティーブ・アーセグ(豪州)

<ライト級/5分3R>
マテウス・ガムロ(ポーランド)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
カルロス・プラチス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R
ジュニオール・タファ(豪州)
ヴァルテル・ウォウケル(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジョシュ・クリバオ(豪州)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ケイシー・オニール(英国)
ルアナ・サントス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
エウベルチ・バーンズ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
アレックス・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
リッキー・グレン(米国)

<フライ級/5分3R>
スチュアート・ニコル(豪州)
ヘスウ・アギラー(メキシコ)

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Interview J-CAGE TTFC10 ブログ 狩野優 轟轟

【TTFC10】1年5カ月振りの実戦=轟轟戦前の狩野優「自分が取材される優先順位は低いはず」

【写真】慇懃無礼の真逆、そんな狩野優 (C)MMAPLANET

16日(金)に東京都練馬区のココネリ・ホールで開催されるTribe Tokyo Fight Challenge 10に狩野優が1年5カ月振りの再起戦で轟轟と戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年3月にONE FFでイヴァン・パルシコフと対戦し、ヒザ十字でまさかの50秒一本負けを喫した。その後、国内外で実戦の場から姿を消していた狩野は学業に専念し、大学院で修士課程を修了していたという。

MMAファイターを続けるうえでの休養期間を終え、狩野の想いを訊く中で彼の口からは「自分より、他の選手を取材してほしかった」という言葉が発せられた。

言葉は丁寧でも、無礼な人間はいくらでも存在する。対して決して饒舌ではなくても狩野優という漢が口にする言葉からは、無骨かつ誠実な彼の生き方が伝わってきた。


MMAは他に収入源がないと続けられない

――16日のTTFCで昨年3月以来、1年5カ月振りの試合となります。これだけ試合期間が空いた理由をまず教えていただけますか。

「大学院での学業に専念、論文を書いていました」

――それは就職をするためということで?

「ハイ。やっぱりMMA以外で収入がないと選手を続けることもできないので。修士課程を修了して、今は会計系の仕事に就いています。MMAを続けることは大前提として、仕事をしていても練習ができる環境を創れるようにしてきました」

――つまり今は以前のように練習ができていると。

「ハイ、昼にあるプロ練習にも出ています」

――安定した収入があると、安心して練習もできますか。

「安心というか、日本のMMAファイターはほとんどがそうやって生きているわけですし。強さだけでなく、知名度が必要で。強くても何か仕事をしている人がたくさんいて、自分もその1人になったという認識でいます。MMAは他に収入源がないと続けられないから、そうした――までです。

ただMMAをいつまでも続けられることでもないので、やはり社会経験はしておくべきだとも考えていました。MMAは突然、できなくなることもあるわけですし。そういうことを考えると、自分は仕事をしながらMMAを戦うことを選びました」

――1年間、実戦から離れることも込みで。

「ハイ。まぁ、去年、ONE FFで負けて……ヒザ十字でケガをしたこともあったので。あれがなければ、そこまで学問に集中していなかったもしれないです。ケガ云々だけでなく、あの負けで現実を知ったという部分も大きくて。

持っている選手っているじゃないですか? 自分は持っていないし、若い選手のなかでは終わったなという想いになっていました。だから、逆にアレがあったので学問に集中することができたと思います」

――試合を見据えた練習ができるようになったのは、いつ頃からでしょうか。

「論文に追われていた時期が終わると、すぐに試合モードの練習に戻りました」

――去年の11月に上久保選手の取材でTri.H Studioを訪れた時、狩野選手が監獄グルグルに参加されていました。あの時には、練習から離れているとは思えない動きでした。

「本当ですか。あの時は結構、論文に集中していた時期です。ただ、ついていくことで精いっぱいでしたけどTri.Hで練習をしていることは安心につながっていました。1日に1度ですが、毎日練習ができている時もあったのですが、年末になると全くできなくなっていたので」

――試合から離れることを伝えた時に、長南さんの反応はいかがでしたか。

「凄く分かってくれていました。あの時、長南さんに理解をしてもらえて、自分がやるべきことに集中できました」

――ONE FFで敗北。まさかのヒザ十字での負けからも、学べたことがあったのではないでしょうか。

「ONE FFの時は監獄グルグルでの練習を過信してしまっていて、思いもしない力でやられてしまいました。自分は攻防を見せたいと思っています。スパッと試合を決めることができたほうが、印象は良いかもしれないですが……POWND STORMの時もそうですけど、時間を掛けて倒したいというのがあるんです。

POWND STORMではデビュー戦の相手に煽られたから、苦しめて終わらせてやろうって。15分間使って残虐性を見せる。ボコボコにして、最終的に一本を取る。結果、対戦相手も自分の甘さに気づいただろうし、自分が屈服させたと勝負だと思っていたんです。でも『デビュー戦の相手に時間を掛けやがって』とか批判されて」

――すぐに敗北を取り返そうとせず、時間をおきました。そしてTTFCというホームで轟轟選手との試合に挑む。地に足をつけているという印象です。

「1年半空いているので、リセットという意味もあります。対戦相手の戦績とか、それほど気にしていないですけど、自分が戦っていない間も結果を残しています。パンクラス時代に戦って名田(英平)選手と同門で、しっかりとした選手だと思っています」

――この間、河名マスト選手や中村京一郎選手という拳を交えた選手たちの活躍を見て、焦ることはなかったですか。

河名との試合は、1Rにバッティングをされて記憶が飛んでいるんですよ。アレを捌けないレフェリーも問題ですけど、アレで勝って喜んでいるのもどうかなって。

あの戦い方でUFCに挑戦しちゃうんだなっていうのもあります。代理戦争で優勝したヤツも、2月ぐらいにファイトベースの月曜日のグラップリングの練習しているんですよ。グラップリングを学びたくて、コクエイ・マックスのやっているクラスに出ていて……岩﨑(大河)選手が誘ってくれて。

2年振りぐらいに組んで……、まぁ代理戦争のトーナメントって、デビューしたての選手がいっぱいいるなかで4、5戦をしているんだから、優勝して当然だと自分は思っています」

――「今に見ていろよ」という気持ちが伝わってくるような気がします。

「本当ですか?  自分は自分の道を……強いヤツに勝って上に行きたいですし。過去に戦った人のことはどうでも良い……というか、頑張ってねという感じです」

ただ、俺の試合を見て欲しい

――ではキャリアの仕切り直しを迎えて、今後はどのように上がって行きたいと考えていますか。

「今後のことを考えると、また間違いをおかしてしまうので。まずは今回の試合を勝つことです」

――そういうなかでTTFCではTRIBEの練習仲間が揃って出場します。ホームで負けられないという気持ちもありますか。

「負けられないのは、いつもです。TTFCも他からオファーがなくて、長南さんから『出るか』と言ってもらえたので、出ました」

――では特に想いがあるということでもない?
 
「それでも3大会連続で出ていますしね、う~ん……そこでいえば、こうやって自分がインタビューをしてもらっていますけど、柔術黒帯の後藤(亮)さん、デビューから負けなし(4勝1分)の永井(奏多)君、引退する大越(崇宏)さんのインタビューをしてほしかったです」

――……。

「自分は(エフェヴィガ)雄志君みたいにメインで戦うわけじゃないし、ただ久しぶりに試合に出るということだけなのに。勢いがあったり、引退する選手のストーリーと比べると、自分が取材される優先順位は低いはずです。スポットライトなら、そっちの人たちに当ててもらいたかったです」

――MMAPLANETの在り方は書き手の各人が、その人のことを知りたい、その選手のことを知って欲しいということで取材対象を決めていきます。個人の感性に寄ってくるのですが、自分は狩野選手が戻ってくる。その背景を読者の人に知って欲しいと考えています。

「……。俺、結果を残しているわけじゃないので。ただ、休んでいて試合をする。だったら未来のある子を取材をした方が良いんじゃいかと」

――この場でチームメイトのことを思い遣る言葉が聞かれて、狩野選手にインタビューをさせてもらって良かったと思っています。同時に、今の提言をしっかりと受け止めさせてもらいます。そして、MMAを戦い続けるための選択の結果がどのようなモノなのか。ケージの中を直視させていただきます。金曜日の夜、ファンに何を見せたいですか。

「何を……ただ、俺の試合を見て欲しいです。休んで、力が落ちているわけではないです。結果なんて分からないけど、この空いた期間に何をやってきたのかも結果に反映してくると思っています。なので、試合を見てほしい。それだけです」

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTFC10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+Ex>
大越崇宏(日本)
小森真誉(韓国)

<ライト級/5分2R+Ex>
岩倉優輝(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリング78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+Ex>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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Interview J-CAGE TTFC10 ブログ 長南亮

【TTFC10】長南代表に訊く、TTFC再開の意図「せっかくのチャンスが“出ました記念”にならないように」

16日(金)に東京都練馬区の練馬coconeriホールで開催されるTTF CHALLENGE10。TRIBE TOKYO MMAの長南亮代表がプロモーターを務めるTTF CHALLENGE(以下、TTFC)が約3年8カ月ぶりに活動を再開する。
Text by Takumi Nakamura

コロナ禍の2020年12月の大阪大会以来、大会開催から遠ざかっていたTTFC。久々の開催に向けて長南代表はプレスリリースにて「自主興行の必要性はなくなってきている昨今ではありますが、若手選手たちと共にホンモノの戦いを提供できればと、選手育成の視点から再び練馬の地で開催する運びとなりました」と説明している。

MMAPLANETでは改めて長南代表にインタビューし、TTFC再開の目的・意図を訊いた。


――TTF CHALLENGE(以下、TTFC)が約3年8カ月ぶりに開催されることとなりました。また大会を開催しようと思った理由は何だったのですか。

「(TRIBEがある)練馬界隈では指導後に食事をしていたりすると『もう大会はやらないんですか?』と聞かれることが多くて。ジムが忙しすぎて簡単にイベントをやるような状況ではないのですが、他所のイベントを見ていて興行のスキルが落ちているのを感じることもあって、何とかしたいなと。あとはTRIBEの所属プロ選手も10名以上いて、今回のTTFCを見てもらっても分かる通り、片側のコーナーはTRIBEの選手でも埋まっちゃうくらいなんですよ。色んな団体さんと交渉して試合を調整するぐらいなら、一度、うちで興行をやって試合を組もうと思ったのも理由の一つですね」

――TRIBE所属の選手でも試合待ちになっているような状況ですか。

「そうですね。毎月どこかで所属選手の試合がありますし、そのなかで試合が流れてしまう選手がいたり、デビュー間もない選手はこちらから売り込まないとなかなかチャンスが来なかったり。あとはうちの後藤亮なんかは知名度はないけどそこそこ強いから試合を断られちゃうたりもするんですよ(苦笑)。TRIBEとしては、そういう状況がありますね」

――地元・練馬のみなさんからもTTFCに対する反響はありますか。

「また大会をやってほしいという人もいれば、最近知り合ってうちが大会をやっていることも知らない人もいて、そういう人たちに大会を見せたいというのもありますよね。練馬coconeriホールの担当の人もTTFCをやることを歓迎してくれていて、担当者のなかには『練馬を格闘技の街にしましょう!』と言ってくれる方もいたんですよ。練馬にはパラエストラ東京もあるし、GRABAKAもあるんで。そういう部分でも練馬coconeriホールで大会をやることに意味を感じています」

――先ほど「他所のイベントを見ていて興行のスキルが落ちているのを感じることもある」という言葉もありました。プロモーター目線では、ずばり既存の団体に対して、こうした方がいいんじゃないかと思うところもありますか。

「今回はメインとセミを国際戦にしたんですけど、RIZIN以外の団体でもメイン級の選手には外国人選手を当てて欲しいですよね。どうしても日本人同士の試合になると、内々の戦いになってしまって、外(海外)との比較ができない状態だと思うんですよ。日本国内ではいいレコードを作ったとしても、海外に行くと全く通用しなかったり。それは単純に外国人選手とやる機会がないからだと思うんですよね。パンクラスさんは積極的に外国人選手を招聘していますけど。例えばうちの(エフェヴィガ)雄志もデビューしてから連勝しているので、そういう選手がステップアップできるようなカードとして外国人選手と試合を組みたいと思って、そこにトライしてみました」

――国際戦が減っている状況は業界としても変えていきたいですか。

「後楽園規模の大会を勝ち抜いて、RIZINに出て外国人選手と戦うという流れはあると思うんですけど、RIZINまでいかなくても後楽園規模の大会で、そういう試合を組んでいってもらいたいです。もちろん色々と面倒なことや調整しなければいけないことはたくさんあると思いますが、本業がイベント屋じゃない自分がチャレンジできていることなので、既存の団体にはそこを頑張ってほしいという想いはありますね」

――国際戦は費用や集客面で難しい部分もありますが、その機会が減っていることは選手にとってはマイナスですよね。

「選手の数は増えているけれど、それと同じように全体的なレベルが上がっているかと言われれば、そうじゃないと思います」

――日本人相手に連勝して、いざビッグイベントや海外団体で戦うチャンスを掴んでも、そこで慣れない外国人選手と戦って結果を出すことが出来ない。結果的にチャンスの芽を潰してしまうことにもなりかねないです。

「せっかく掴んだチャンスがぶっつけ本番になっちゃうんですよね。しかもそれが海外になるとなおさらですよね。初めて言葉も通じない環境に身を置いて、初めて外国人選手と戦うというシチュエーションもありえるし、対戦相手関係なく、その環境だけで力を発揮できないことも多々あるわけで。それでせっかく掴んだチャンスをすべて台無しにしてしまうのは……考えどころですよね。日本から世界へステップアップするための試合や舞台が必要だと思います。繰り返しになりますけど、日本でも外国人選手と戦える機会があったり、少し昔だったらPXCとか、すごくいいバランスの大会だったじゃないですか。ああいう大会で海外での試合、VS外国人を経験できたのは、すごく大きかったですよね。自分も年1回という頻度だったら、そういう試合やイベントを創ることができると思うので。今回の大会をちゃんと成功させて、次につなげたいですね」

――それこそエフェヴィガ選手は試合後のマイクでも日本人選手が試合を受けてくれないことを口にしていましたし、キャリア的には外国人選手と戦ってもいい時期だと思います。

「そこは(試合を受けない選手に)正直いい加減にしろよって思いますけど(苦笑)、その気持ちは雄志の方が絶対に強いと思います。実は雄志にはDWCSからオファーが来ていたんですよ。ただその前にTTFCに出ることが決まっていたし、雄志自身もいきなり次戦がDWCSというのは、対戦選手のレベルが急に上がりすぎる、と。チャンスは限られているかもしれせんが、ただ飛びつくだけ飛びついて、そこで勝てなかったら何の意味もないですから。そこは雄志ともしっかり話して、TTFCでエマニエル・サンチェスに勝つことが出来たら、海外のローカル団体で実績とキャリアを積んでからUFCにチャレンジしたいという意向です」

――世界に挑むための準備が整わないと、ですよね。

「“出ました記念”にはしたくないですからね。準備が整わないままチャンスに飛びついて、そこで勝てなかったら、次いつチャンスが巡ってくるか分からないじゃないですか。だったら海外で勝てる実力と実績を作っておいて、そこから勝負できるようにしておいた方がいいと思っています」

――とは言え練馬coconeriホールの規模で海外から2選手招聘するのは大変ではなかったですか。

「でもアメリカはアメリカで選手が増えすぎちゃって、メジャーイベントをリリースされて試合の機会がない選手も多いそうなんですよ。あとはまだ日本で試合をしたいという憧れを持っている選手も多くて、ティル・サンは『チケットを100枚売るから使ってくれ!』と言ってきました、在日ミャンマー人のコミュニティがあるから強気なのか。絶対100枚は売れないだろ!と思いましたけどね(笑)。でもまだまだ日本で試合をしたがっている選手は多いです」

――海外にもそういった事情があるんですね。

「あとは日本人だったら勝てると思っている選手もいると思います。白星を重ねてキャリアを作り直して、メジャーイベントに再挑戦したい選手にとっては、そういう狙いもあるんだと思います」

――TTFCも10回大会となりましたが、その時々で日本のMMA業界が抱えている課題を解決するべく、テーマを持って大会を開催していますよね。

「コロナ禍の時は格闘技イベントそのものを目にする機会がなくなるんじゃないかと思い、当時はONEの仕事も手伝っていたんですけど、それで何も動かないのは嫌だったのでTTFCをやりました。同じ年に大阪でも大会をやったんですけど、それはBLOWZの中蔵隆志代表から『東京の選手と試合をする機会が欲しい』という話を聞いて、だったら東京から乗り込んでいったら面白いじゃんというところで開催に至りました。そうやって大会ごとに異なるテーマがあるなかで、今回に関していえばTRIBEの選手が増えている状況のなか、TRIBEの力を見せたいと思ったし、ジムを構える練馬に貢献したいという気持ちもあります。そのうえで上を目指す選手のために国際戦を組もうと。過去にTTFCはのちにUFCファイターになるジェシー・ジェスを招聘したこともありますからね」

――まさにTTFCはジムで選手を抱えてるからプロモーターだからこそのイベントですね。

「松根(良太)君なんかもそうですよね。地元の沖縄にジムを出して、沖縄に修斗を広げるために大会を開催して。あと主催者として選手に対してフェアにならないといけないから、自分はTTFCではセコンドはやらないようにしているんですよ。だからジムのヘッドコート目線で言えば『TRIBEのお前ら、絶対負けるなよ!』という気持ちはありますけど、プロモーター目線で言えば『TRIBEの選手たちを喰って上に行ってやる』という選手は大歓迎だし、出場選手たちには感謝しています」

――例えばTTFCと同じような取り組みをする大会が各地方にも増えて欲しいですか。

「GladiatorさんやHEATさんは各地域でそういう取り組みをしていると思いますし、ただ日本人が外国人に苦戦している現状もあるので、そこはまだ選手育成の部分が追いついてないところもあるのかなと。だから今回の大会では雄志の試合でそれが試されると思っています」

――今大会を機にTTFCは今後も定期開催を予定していますか。

「来年も練馬coconeriホールを抑えて、今後もTTFCを定期開催していくつもりです。そのためにもまずは目の前の大会を成功させることが一番です」

■視聴方法(予定)
8月16日(金)
午後6時25分~ツイキャスLIVE

■TTF CHALLENGE10対戦カード

<ライト級/5分3R>
エマニュエル・サンチェス(米国)
エフェヴィガ雄志(日本)

<64キロ契約/5分3R>
上田直毅(日本)
ティオール・タン(ミャンマー)

<フェザー級/5分2R+ExR>
大越崇宏(日本)
小森真誉(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岩倉優(日本)
チェ・ジョンミン(韓国)

<グラップリングマッチ 78キロ契約/10分1R>
伊集龍皇(日本)
室谷勇汰(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
狩野優(日本)
轟轟(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
永井奏多(日本)
唐沢タツヤ(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
後藤亮(日本)
グラップラー脇(日本)

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45 AB Interview ONE ONE FN24 ブログ 山北渓人 猿田洋祐

【ONE FN24】猿田洋祐と日本人対決、山北渓人「ストロー級日本最強を決める戦いだと思っています」

【写真】山北がブルドックチョークを極めた場合は「パグチョーク」表記でお願いします(C)NAKAMURA TAKUMI

3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night24「Brooks vs Balart」が開催され、山北渓人が猿田洋祐と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

1月のONE日本大会でボカン・マスンヤネにプロ初黒星を喫した山北だったが、3月のONEカタール大会ではジェレミー・ミアドに隠れた必殺技=山北式ブルドックチョーク=パグチョークで一本勝ち。今大会で早くも今年3戦目を迎え、猿田との日本人対決に臨む。

山北にとって猿田はMMAを始める前から見てきた選手で「猿田選手がストロー級の日本人で一番強いと思っている」という存在。「自分の中でタイトルマッチと同じぐらい意味のある試合だと思う」と位置づけている。


――計量を控えているなかでのインタビューありがとうございます。体調やコンディションはいかがですか。

「もともと減量は楽なんですけど、今回は体重が勝手に落ちていって、すごく楽ですね。特に食事を減らさなくても大丈夫くらいの感じだったんで」

――今年すでに3試合目ということで、グッドシェイプが続いているようですね。

「そうですね。試合が終わっても、すぐに練習を続けてやっていたので、あまり体重がガッと増えることはなかったです」

――2022年と2023年は年1試合ペースでしたが、今年は一気に試合数が増えてポジティブな変化があるようですね。

「僕の試合が続いてるのもあるし、同じチームの(藤田)大和さんや倉本(一真)さん…階級が近い選手たちの試合もどんどん決まっていて、先輩たちのスパーリング相手に使ってもらっていたので、それでずっと仕上がっていたというのもありますね」

――誰かしら試合前の追い込みの相手を常に務めている感じだったんですね。それプラス試合も続いているので、動きそのものもよくなっていますか。

「はい。自分でも動きがいいなと思いますし、山﨑(剛)さんからも『今回すごくいいね』と言ってもらえているので、コンディションは最高だと思います」

――前回の(ジェレミー・)ミアド戦ではブルドックチョークによる一本勝ちでしたが、あれは得意技だそうですね。

「はい。あれは僕の必殺技です。僕はバックを取ることが得意なんですけど、そこから色々と技を研究していくうちにブルドックチョークが極まるようになって、そこからパターンが増えた感じですね」

――ではミアド戦で極めた以外にも入り方・極め方はあるのですか。

「あれは一番シンプルな形ですね。あの時はケージを蹴って極めましたけど、ケージを蹴らなくても極められます」

――どうしてもブルドックチョークは飛び道具というイメージがありますが、山北選手の中ではちゃんと技術体系として入り方や極め方があるんですね。

「練習していくうちに、極めるシチュエーションもたくさん出てきたし、ジムのみんなも『あれで極めたんだね』という反応でした」

――まさに山北式ブルドックチョークですね。

「僕の中ではパグチョークという名前をつけているので、これからはパグチョークでお願いします(笑)」

――かしこまりました(笑)。先ほど練習仲間の話もありましたが(リバーサルジム新宿)Me,Weは軽量級の練習相手が豊富なので、スパーリングを重ねる中で技が磨かれて行きそうですね。

「はい。ブルドックチョークも練習仲間はどんどん対応してくるので、そこからバリエーションも増えるし、今回は新しい技も用意しています」

――さて今大会では猿田洋祐選手と日本人対決が決まりました。最初にオファーを聞いた時は驚いたのか、それともいよいよ来たかと思ったのか。どちらでしたか。

「どちらかというと、いつかやるかなと思っていました。ポジション的にも、猿田選手は連敗中で、僕は前々回負けて前回勝って、そろそろ当たるかもなと思っていました。ただそうは思っていながらも、オファーが来たら『ここできたか!』って感じですね」

――猿田選手のことはどのような目で見ていたのですか。

「僕が格闘技を始める前から見ていて、ずっと強い選手だなと思っていました。自分より上の階級の選手だったら憧れの目で見るんですけど、同じ階級だったのでライバル視というか。いつかやらなきゃいけないのかと思っていたし、僕は今でも猿田選手がストロー級の日本人では一番強いと思っています」

――山北選手の中ではストロー級日本最強決定戦という位置づけですか。

「自分の中でタイトルマッチと同じぐらい意味のある試合だと思っていて。何か一つの到達点というか、日本編のラストみたいな感じで位置づけています」

――タイトルやベルトに挑戦するために超えなければいけない相手ですか。

「そうですね。ここが壁というか。タイトルにいくには当然倒さなきゃいけない相手だし、格闘技を始める前から見てきた相手なので、そこは超えなきゃいけないなって思います」

――そういう思いもありつつ、今の自分だったらしっかり勝てるところまで来たという自信もありますか。

「ここまで来ることが出来てうれしいという気持ちもあるし、自信はもちろんあります」

――山北選手にとって特別な思いがある試合だと思いますが、どんな試合を見せたいですか。

「猿田選手も気持ちがこもった、動く試合をする選手で、僕も動き続けることが持ち味だと思っています。絶対に噛み合うと思うし、それと同時に我慢比べにもなるかなって思いますね。ストロー級らしい速い展開で。ストロー級にしかできない試合をしたいです」

――ONEのストロー級は日本人も多いですし、もっと注目される舞台にしていきたいですか。

「ストロー級は他の階級に比べて注目度が少ない階級ですが、僕も猿田選手もストロー級ならではの面白い試合をできる力を持っていると思うので、ストロー級をアピールするいいチャンスだと思っています」

――和田竜光選手も次戦からストロー級に落とすという話をしているので、日本人絡みでも興味深いカードが増えていきそうです。

「和田選手のことはすごいなという目で見ていたんですけど、ストロー級に落としてくるとなると、戦って勝たなきゃいけない相手になるんで。キャリア的にいったら、和田選手と試合できるとなったらすごくうれしいことだし、和田選手に勝ったら……と思うと、どんどん自分の地位を上げるチャンスだと思うのでワクワクしています」

――今年は試合数も増えていますし、猿田選手との試合も決まって、山北選手のキャリアの中でもターニングポイントになる1年ですね。

「はい。1月のボカン・マスンヤネ戦で初めて負けたことも大きくて、あの負けでもう一段階、もう一皮むけたというのが絶対にあったと思います。日本大会でいい経験をできたと思うし、今は本当に大事な時期で、次の試合も大事な戦いだと思います」

――それでは最後に日本のファンに向けてメッセージをいただけますか。

「この試合は僕のキャリアの中ですごく大事な試合ですし、日本人最強を決める戦いだと思っています。またストロー級キングオブパンクラシストの第2代(北方大地)が猿田選手に負けているので、第3代の僕がやらないといけないという気持ちもあります。パンクラスを代表して猿田選手と戦いたいと思うので、そこも注目してもらいたいです」

■放送予定
8月3日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■ ONE FN24対戦カード

<ONE暫定世界ストロー級(※56.7キロ)王座決定戦/5分5R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/10分1R>
[王者]ダニエル・ケリー(米国)
[挑戦者]マイッサ・バストス(ブラジル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
フィリッピ・ロボ(ブラジル)
ナビル・アナン(アルジェリア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
アーロン・カナルテ(エクアドル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)

<キック・フライ級/3分3R>
内藤大樹(日本)
エリアス・マムーディ(アルジェリア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
猿田洋祐(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)

<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(ロシア)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ユー・ヨーペイ(香港)
エイミー・ピルニー(英国)

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45 AB Interview ONE ONE FN24 グスタボ・バラルト ジャレッド・ブルックス ブログ

【ONE FN24】ストロー級暫定王座決定戦、ジャレッド・ブルックス「僕はいくらでもバッドガイになる」

【写真】スクショを撮るとなると、ご覧の表情に。もうこれは条件反射か(笑)(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night24「Brooks vs Balart」が開催され、イベントタイトルにあるようにジャレッド・ブルックスが世界暫定ストロー級王座を賭けてグスタボ・バラルトと対戦する。
Text by Manabu Takashima

3月にジョシュア・パシオを頭から落とす反則負けで、ONE世界ストロー級のベルトを失ったブルックスだが、王者の負傷で暫定タイトル戦を戦う権利を得た。

今や日本のMMA界でも見慣れたトラッシュトークを、2016年のパンクラスの来日時の時点で強烈に繰り広げ、乱闘騒ぎを起こしていたブルックスは、今もその口撃を続けている。しかし、当時のように浅薄な意識で対戦相手を罵るのではなく、ストロー級ファイターの現状を鑑みて──彼は暴言を発信するようになっていた。


感覚として自分の方がパシオより優れたファイターだという手応えは感じられた

――ストロー級暫定王座決定戦で、グスタボ・バラルトと対戦します。今の調子はいかがですか。

「凄く良いよ。そして、もの凄く落ち着いている。前回の試合後、ONEがこんなに早くチャンスを与えてくれるとは期待もしていなかったから、凄くハッピーだ。幸運にもまたタイトル奪取への道が切り開かれたわけだからね。神は僕の味方をしてくれているよ」

──3月のタイトル防衛戦では、ジョシュア・パシオを頭部から落としてしまって反則負け。本能的に動いてしまったのでしょうか。

「いや、そんなことはないよ。

僕はルールを熟知している。決してルールを犯そうとしたわけじゃないし、我を忘れたり、本能の想うがままにスラムしたわけじゃない。いつも通りのクラッチで、頭から落ちることなんてないように技を仕掛けた。あのまま落として、バックを取って殴るつもりだった。

ただパシオがキムラを狙っていて、そこに力点があったから普通の角度でなく、錐もみ状態……回転が掛かってスピンするような形でキャンバスに落ちてしまった。

結果としてタイトルを失い、ベルトを家に持ち帰ることができなかった。気持ち的にも浮き沈みがあったよ。でも、これも神が与えた試練で、しっかりとこの事実に向き合い、謙虚に過ごしていかなければならない。人生は一度切りだ。こういう経験を活かして前に進むしかない。それこそが神が僕に与えてくれた──これからの僕が成すべきことなんだよ」

──勝利目前の猛攻のなかでの出来事、最初はジャレッドが秒殺。「凄い」と思って眺めていました。

「戦いは56秒しか行われなかったし、ジョシュアが何をしようとしていたのかも分からない。同時にジョシュアが自分の距離で戦えていなかったのも事実だし、ファイトはファイト。いつだって何が起こるか分からないけど、感覚として自分の方がパシオより優れたファイターだという手応えは感じられたよ。

今はジョシュアがヒザの負傷から回復し、また戦える日がくるのを待ちたい。とにかく彼が順調にケガから回復してほしいと願っている。100パーセントの状態になってから、また戦ってぶちのめすよう……お互いに全力で戦いたい」

試合中に頭突きがあったら、レフェリーに続けろと指示を出されても従わない

──その前にバラルトとの暫定王座決定戦での勝利が必要になってきますね。

「バラルトと戦うために、しっかりと準備をしてきた。僕が本当のチャンピオンであること、ONEのストロー級の頂点に立っているのはジャレッド・ブルックスだと証明したい」

──ではバラルトの印象を教えてもらえますか。

「他に例を見ない異質なファイターだよ。ボカン・マスンヤネのように背の低い相手と戦ってきたけど、グスタボはその比ではない。異次元レベルの背の低さだよ。それでいて倒されないレスリング技術を持っていて、ボクシングにも優れている。爆発力もあるよね。

如何に触るか。距離とタイミングがとても重要になるだろう。ただ、僕のグラップリングは彼が過去に戦ってきた相手とはレベルが違う。グラウンドの展開になると、彼はどう動いて良いのか分からなくなるだろう。グスタボを立たせないで、背中をつけて戦わせることができるか。僕にとっても、テストになるね。

まぁ、テイクダウンを奪っても立ち上がられるだろう──1Rや2Rは。でもこの試合は5Rある。3R以降、彼は自分がいつものように動けないことに気づくに違いない。向うも初回、そして最後の力を振り絞る5Rには僕をテイクダウンできるかもしれない。でも、5Rにテイクダウンを許してもなんのダメージにもならないよ。

スタンドでもKOパワーがあるわけじゃないし。仮に彼のパンチが効くようなら、僕は驚くことになるだろう。アレックス・シウバ、ヨースケ・サルタと元世界チャンピオンに勝っているし、油断をすることはないよ。でも、彼のMMAは僕のレベルに達していない」

──そのようななかで、バラルトの攻撃では何を警戒していますか。

「スーパーマンパンチ、あとはバイスクルキック……一気に飛び込んでくる技かな。でも彼より遠い距離で戦うことがでるし、レンジのコントロールに関してはパシオ戦を見てもらうと分かるように、相手の攻撃を受けないで自分の攻撃を仕掛けることができる。

グスタボは最初の3分間は打撃、そこからレスリングを使おうと距離を少し詰めてくる。まぁ、彼の動きは見えるだろうから、隙を見せれば一気に攻めていくつもりだ」

──バラルトの試合で忘れることができないファクターは、頭突きだと思います。

「あぁ、それを言いたかったのか(笑)。分かったよ、ハハハハ」

──狙っているとまでは言わないですが、当たっても構わない感じで突っ込んでいます。

そしてレフェリーも2度目ぐらいまでは注意をしますが、あまりにも頻繁にあるので試合の流れを止めたくないのか、スルーし始めるということが過去に見られました。大体、反則を考慮して戦わないといけないとなると、凄くアンフェアですよね。

(C)ONE

「100パーセント、合意するよ。

だからこそ、凄く注意している。サルタからダウンを奪う前に、明らかに頭突きでダメージを与えていた。タツミツ・ワダ、ヒロバ・ミノワと戦った時も酷いヘッドバットが見られた。それにミノワは何度、急所を蹴られた? それだけじゃない、ショーツだって掴んでいる。

まぁ、チョットずる賢いヤツだよ。僕としては試合前に、しっかりとレフェリーには釘をさしておくつもりだ。頭突き、ショーツ掴みをちゃんと見てくれよって。『俺が安全に戦えるよう、試合を裁いてくれ』と。

2016年にパンクラスで戦っている時から、僕を知ってくれている日本の人達は分かっているはずだ。試合で頭が当たったのは2019年12月のハルオ・オチ戦だけだよ。あの時は、二人とも踏み込んでクラッシュした。でもグスタボは頭を振って入って来るから。あれは分かってやっているよ(笑)」

──笑いごとではないかと(苦笑)。

「ハハハハ。確かに。まぁ、頭が当たる恐れがあるのも1Rと2Rだけだ。3Rになると、もうグスタボは疲れて、頭が当たるような距離まで詰めることはできなくなる。パンチも頭も、空を切るだけさ。しっかりと僕のボクシング、キックボクシング、ムエタイを見せる。打撃も成長しているし、レスリングも成長している。何よりグラウンドの攻撃力はもう以前とは比較にならない。

そういう意味ではマイキー(ムスメシ)には負けてしまったけど、彼とグラップリングと戦うことで僕の柔術は進歩できた。いやマイキー戦の敗北で、もっと柔術を見なおすようになった。負けて、そのままではいられないからね」

──穴はないと。

「MMAの試合で何が一番大切かといえば、相手にアダプトすること。グスタボはアニマルで、ビーストだ。そんな彼に対し、彼にはない劇薬を注入してやるよ(笑)。

そうそう、ヘッドバッドの話だったね……。試合中に頭突きがあったら、僕はレフェリーに試合を続けろと指示を出されても従わない。レフェリーには『ビデオをチェックしてくれ』と伝えるよ。ヤツが何をやっているか、簡単に分かる。それを見て注意、そして減点を与えるべきだったね」

──いわゆるリクエスト、そしてVARですね。

「その通りだ。本当にワダとの試合なんて、酷かったからね」

──ハイ。ところで3月の時点ではパシオを破って、米国大会でDJと戦うという青写真を描いていました。今はどのように考えていますか。

「まぁ、その機会は逸してしまった。それも神の匙加減だ。ジョシュアの傷が早く癒えて、タイトル戦線が再び動くのか。そうなればDJとの試合も、また考えることができるようになる。そうでないなら、僕個人としてはまだ戦っていない選手が、ストロー級で台頭してくるのを楽しみにしているよ」

ストロー級組み続けることで、ONEがどれだけ金銭的に損をしているのかをファイターは知るべきだ

──ジャレッド、凄く落ち着いていますね。それとも減量等で、疲れているということはありますか。

「オォ……ブラザー、そんな風に心配させて申し訳ない。今の僕は、それだけ心が穏やかなんだ」

──本当に一つ一つの言葉に重みがあります。日本のファンは、それがジャレッドの本当の姿だとは理解していますが、あのメチャクチャなトラッシュトークが懐かしいです。

「アハハハ。今でも──やっているよ。でも、あの頃と今の僕は違う。今でも、試合前に下らないことを話しているけど、凄く冷静なんだ。自分の言葉で磁場が狂うことがないように心掛けてきた。あの頃はトラッシュトークをすることで、内側に影響を与えてしまっていたからね。今は違う。ただし、今も昔も僕が試合前に下らないことを発信するのは、僕らの試合のことをより知ってもらうためだよ。

『一生懸命に練習してきた。対戦相手もそうだろう。ベストを尽くすよ』といっても、人々は関心を持たない。試合後なら、ちゃんとリスペクトした姿勢を持つ。でも、僕らのやることをもっと色々な人に知ってもらうには、そういうことが必要になるんだ。

それにダンスをするにはパートナーが必要んだけど、今のところ僕と踊ってくれるパートナーはいない。それこそ『ベストを尽くす』って言うぐらいで(苦笑)。でも、ストロー級のファイターが考えないといけないのは、ONEにあってもストロー級の注目度は低いということんだよ」

──!!

「ストロー級の試合はそれほど視聴者がいるわけでもない。放っておいて、ファンがストロー級の試合に注目してくれるなんてことはないんだよ。同時にストロー級とフライ級の試合を組み続けることで、ONEという組織がどれだけ金銭的に損をしているのかをファイターは知るべきだ。どれだけビジネスにできる機会を失っているのか。それはこの階級の選手達が、エンターテイメントという要素を考えていないからだ。

オリンピックのようにクールに競技を見せているだけじゃ、興味を持ってもらえない。オリンピックは4年に1度だから、あのやり方が通用するわけで。

僕らは継続的にファイトを皆に視てもらう必要がある。例えば僕のことを知っていても、対戦相手のことは知らない。それじゃあ、興味は半減してしまう。僕のバカな一言で、ファンは対戦相手のことを知ることになる。それこそが対戦相手がどれだけ優れたアスリートなのかを知ってもらえる第一歩だ。

ファンにチケットを買ってもらって、あるいは試合の中継を視てもらって……楽しんでもらうには、戦っている人間のストーリーを理解してもらわなければならない。そういう意味で、話題になることは必要で。

僕の仕事は試合に出て、勝つことだ。それはもう当たり前のことだよ。同時にストロー級への関心が高まることをやっていくのも、僕の役目だと思っている。2016年にパンクラスで、ケント・カンベを挑発しまくった時から、そうやってきた。日本でもやってきたんだ。

誰もが僕のようなバカな話、トラッシュトークをする必要はない。重要なことは、もう少し自分たちのやっていることを理解してもらうために動くということ。何も僕のやり方を真似しろってわけじゃなくて、僕が何をしようとしているのを理解してもらえると嬉しい。リスクを回避していては、何も起きない。何か事態に変化を起こそうと動くと、良いことだけでなく悪い事態に陥ることだってある。だからって、何もしなくても良いのかい?

指をくわえて人任せてしていると失敗はないかもしれない。でも、チャンスだって失っているんだ。世界チャンピオンだと胸を張っても、5000人のフォロワーしかいなくてどうする? それでどうやって、試合に関心を持ってもらえるっていうんだい。米国の人々が、SNSを通して試合やONEを知ってくれるというのなら、僕はいくらでもバッドガイになるよ」

■放送予定
8月3日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■ ONE FN24対戦カード

<ONE暫定世界ストロー級(※56.7キロ)王座決定戦/5分5R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/10分1R>
[王者]ダニエル・ケリー(米国)
[挑戦者]マイッサ・バストス(ブラジル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
フィリッピ・ロボ(ブラジル)
ナビル・アナン(アルジェリア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
アーロン・カナルテ(エクアドル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)

<キック・フライ級/3分3R>
内藤大樹(日本)
エリアス・マムーディ(アルジェリア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
猿田洋祐(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)

<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(ロシア)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ユー・ヨーペイ(香港)
エイミー・ピルニー(英国)

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45 AB CJI Interview UFC UFC ABC07 ブログ マッケンジー・ダーン ルピタ・ゴディネス

【UFC ABC07】ゴディネス戦へ、マッケンジー・ダーン「自分と戦っていると1✖2になって勝てなくなる」

【写真】相変わらずフレンドリー、そして早口だったマッケンジー(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC ABC07「Sandhagen vs Nurmagomedov」が開催され、マッケンジー・ダーンがルピタ・ゴディネスと対戦する。
Text by Manabu Takashima

マッケンジーはジェシカ・アンドラーデ、アマンダ・レモスに連敗中だ。ムンジアルを2度、ADCCも制しているマッケンジーは、世界最高峰のUFCにあっても寝技の強さは絶対なばかりか、アグレッシブかつ荒い打撃で激闘を繰り返している。

ゴディネスという強い打撃の圧を持つゴディネス戦、その2週間後のCraig Jones Invitationalで女子グラップリング界のP4Pといっても過言でないフィオン・デイヴィスとのスーパーファントも決まっているマッケンジーをインタビュー。脱・激闘マザー宣言、そしてCJIによって組み技界の変化について彼女の話を訊いた。


負けても良いから、エキサイティングな試合を見せようと思って戦ったことはない

――ルピタ・ゴディネス戦が週末に控えています。今の心境を教えていただけますか。

「今、連敗中だけど相手は元世界チャンピオンとタイトルチャレンジャーで、本当に強かった。今回の相手のルピータはアマンダ・レモスと同じように危険な打撃の持ちで、テイクダウンディフェンスにも長けているわ。でもアマンダほどのパワーはないし、私自身レスリングを徹底的にトレーニングしてきたの。ルピタ戦の2週間後に、柔術の試合に出ることも決まっていて。そのためのレスリングでもあるんだけど、MMAにも凄く役立っているわ」

──2週間後の柔術とは、Craig Jones Invitationalにおけるフィオン・デイヴィス戦のことですね。

「そう、レスリングに力を入れてきたから寝技での攻めも変わるはず。アマンダとの試合ではグラウンドに持ち込むことはできたけど、それほどダメージを与えることができなかった。それほどサブミッションを仕掛けることがなかったから。でも、今は寝技でも拳を使ってダメージを与え、サブミッションも仕掛けることができるわ。

それにルピタは前の試合でヴィルナ・ジャンジローバに負けているけど、グラウンドゲームでいくつかのミスを犯している。私もヴィルナとの試合では、ミスをしたんだけどね……。とにかくルピタは運動能力も高いし、エキサイティングに戦いになることは間違いないわ。前に出て戦うから、私のようなグラップラーとは相性は良いファイターね。

実はルピタとは何度か同じ大会に出たことがあって、控室が同じで凄く良い感じだし、親近感すら持っている。試合に関しては同じ大会だからライブでチェックする機会はなかったけど、彼女はしっかりとステップアップをしてきた。だから、ここで戦うことになったと理解しているわ」

──マッケンジーはムンジアルとADCCを制した最高の柔術家ですが、MMAでは思い切り打撃戦を繰り広げています。正直、「やり過ぎだよ」と思うこともあるほど。だからファンの支持を集めることができるのですが、やはりダメージが蓄積していないかが心配です。

「やり過ぎ……まさに、その通りで(笑)。2つの黒星もそこが関係していることは自覚しているわ。殴られると、もっと殴り返さないといけないってエキサイトしてしまって。結果的に連敗はトゥーマッチから卒業するきっかけになったの。視野を広く持てば、私はテイクダウンでも柔術でも勝負ができるわけだから。その方が対戦相手も苦しい試合展開になることは間違いないし。

柔術やグラップリングでも、常にアグレッシブに攻撃的な試合をしてきてきたわ。ただ、やっぱりMMAでやり過ぎるとダメージを受ける。でも、もう大丈夫。ダメージを避け、どう戦うのかがクリアになったから。正しいタイミングでテイクダウンを奪い、正しいタイミングでパンチが打てる。一歩下がって、自分の試合を俯瞰して見えるようになったわ。

リラックスし、フェイクも織り交ぜて戦うわ。殴られる覚悟はできている。でも、もうエキサイトし過ぎずに落ち着いて戦う。感情をコントロールできるようになって、『前に出ないといけない』なんてプレッシャーを感じずに戦えるよう準備はできているわ」

──ルピタの過去2試合の相手も強豪グラップラーでした。タバタ・ヒッチは打撃戦に付き合い、寝技に持ち込めず判定負けに。さきほど名前が出たジャンジローバはシングルレッグからケージレスリング、テイクダウンを狙い、時には引き込んでディープハーフガードからスイープを仕掛けるほど徹底して組んでいきました。結果、ポジションを取って判定勝ちを収めています。マッケンジーとしては、タバタかジャンジローバがどちらの攻めを選択しますか。

「自分から下になるとかではなくて、柔術を駆使して一本勝ちするのがこの試合のゴールね。ルピタは過去に一本負けがなないけど、私は彼女をサブミットできる。その前に寝技に持ち込むためのテイクダウンがしやすくなるように、打撃も使って戦おうと思っているわ。

さっきも言ったけど、ルピタはテイクダウンディフェンスが上手くて、良い形で組まれないように常に前に出てプレッシャーをかけてくるファイターで。でも、彼女を驚かせるつもりよ。今回の試合のためにフィジカル・ストレングスも徹底してトレーニングしてきた。打撃、ケージ、寝技を融合させて戦うけど、最後に一本勝ちするためよ。

そうね、カビブのようにパンチを見せながら、いつでもテイクダウンを仕掛けるよう戦う。テイクダウン防御に専念されると、なかなかテイクダウンは奪えないから。打撃に反応させて、テイクダウンを決めやすくなる。スパーリングを繰り返し、そのタイミングは掴めるようになった。もちろんコーナーの指示に従うし、私はレスリングだけでなく柔道のテイクダウンもあるから」

──ところで、これだけエキサイティングな試合を続けているマッケンジーですが、勝ち負けではなく良い試合をするという思考も持っているのでしょうか。

「ノー。絶対にない。勝負は勝たないと。負けたいなんて思って戦うファイターはいないはず。それに私の試合は自然とアグレッシブでエキサイティングになる。そういう意識がなくても、なっている。それもあってファンのために良い試合を見せようというプレッシャーを感じることはなくて。

私のキャリアのなかで過去に2度あったけど、退屈な試合も存在するのがMMAで。でも私は負けても良いから、エキサイティングな試合を見せようと思って戦ったことはないわ。勝つことに集中している。今回の試合は娘もアブダビまで来ているし、あの子の期待に応えるためにも絶対に勝利は譲らないつもりよ。

これまで試合中も自分と戦ってきた感じが強くて。でも、気付いたの。相手がいるんだから、自分と戦う必要はない。自分と戦っていると1✖2になって勝てなくなる。だから、対戦相手に集中するわ。『もっと上手く攻めないといけない』、『もっと強くならないといけない』なんて考えることは止めて。昨日の自分より強くなれなくても、今日の相手より強ければ構わない。だって私はルピタに勝つことが大切だから。15分間、ルピタを上回ることに集中するわ。アブダビのオクタゴンは私の場所。ルピタの場所には決してさせない」

私の柔術は今でもフィオンに通じると思っている

──そのルピタとの一戦も本当に楽しみですが、さきほど触れられたCJIのデイヴィス戦はもう鳥肌ものです(笑)。デイヴィスは女子グラップリング界のP4Pだと思います。もともとADCC世界大会に出場が決まっていたマッケンジーですが、なぜこのタイミングでグラップリングだったのでしょうか。

「正直、ADCCから離れたことは心が痛くて。2年に1度の世界タイトルが掛ったトーナメントに元世界王者として出場することがとても楽しみだった。でも、クレイグ・ジョーンズのオファーはより魅力的で。フィオンがADCCに出て、私もADCCで戦っていたら、戦う可能性は十分にあった。でも絶対じゃないでしょ?」

──ハイ。トーナメント戦ですし。

「CJIだと凄く良いファイトマネーを手にして、絶対にナンバーワン・グラップラーと戦えるわけで。私とフィオンが抜けると、ADCC世界大会に出場できる選手が2人増える。それも悪くないって、思えて。

CJIは5分3Rで、ポイント制でなくて10Pのラウンドマスント・システムで争われる。このフォーマットだと7年間、ポイント制の柔術を戦っていない私がフィオンに勝つ可能性はグンと上がるはず。

私は柔術家として、もうベストの時を過ごしてしまった。対して、フィオンは今の柔術界のトップ。過去のナンバーワンが今のナンバーワンに挑めることって、最高の機会だと思っているわ。

それに私はUFCのMMAファイターで、もう柔術のトップ10でもない。プレッシャーを感じることなく、世界一に挑むことができる。逆にフィオンの方がプレッシャーを感じているでしょうね。私は、もう攻めるだけ。何よりグラウンドになれば、私の柔術は今でもフィオンに通じると思っている。

パンチ、エルボー、ニーに注意を払わないといけない戦いからチョーク、アームバー、レッグロックに気をつけないといけないフィールドに戻る。それは凄く楽しみだし、エキサイティングだわ」

──CJIという高額の賞金が掛ったトーナメントがグラップリング界に出現したことを柔術家として、どのように思っていますか。

「とにかく1度だけで終わらず、継続してほしいと思っている。ADCCは私にとって、特別だった。6歳の時に初めてADCCワールドを見て、『絶対にここで戦いたい』という気持ちが芽生えた。それ以来、より練習に励むようになったわ。私のようなキッズ柔術家は他にもいたはず。

でも、30年も活動していて優勝賞金が増えないのは問題で。大きな会場に人がたくさん集まったのだから、優勝賞金が増えて然り。そうなるとグラップラーたちのモチベーションも上がるだろうし、熱い試合も増えるはずだから」

──マッケンジー、試合に負けない激熱トークもありがとうございました。では日本のファンに一言メッセージをお願いします。

「アリガト!! 日本のMMA、そして柔術のサポーターに感謝している。また、すぐにでも日本に行きたい。8月は私にとって大切な1カ月になるけど、UFCアブダビもCJIも皆が見てくれると信じているから。本当にいつも応援ありがとう」

■視聴方法(予定)
8月4日(日・日本時間)
午前1時00分~UFC FIGHT PASS
午前0時45分~U-NEXT

■UFC ABC07対戦カード

<バンタム級/5分5R>
コリー・サンドハーゲン(米国)
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
マイケル・キエーザ(米国)

<女子ストロー級/5分3R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ヨエル・アルバレス(スペイン)
エルビス・ブレネウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
カウエ・フェルナンジス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
シャミル・ガジエフ(バーレーン)
ドンテイル・メイス(米国)

<ライト級/5分3R>
グラム・クタテラデス(ジョージア)
ジョーダン・ブシニック(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)
サム・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイ・ハーバート(英国)
ロランド・ベドヤ(ペルー)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
デニス・チュルリン(ロシア)

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45 AB ABEMA Combate Global DEEP Interview ブログ ロベルト・ロメロ 芦田崇宏

【Combate Global】「痕跡を残し、名を刻む」。芦田崇宏がメキシコのバチバチファイター=ロメロと対戦

【写真】この状況が芦田の真価を発揮させる状況を創り出しているのであれば、嬉しい限りだ (C)MMAPLANET

27日(土・現地時間)、フロリダ州マイアミのユニヴィジョン・スタジオで開催されるCombate Global「Mexico vs Japan 2」に芦田崇宏が出場し、ロベルト・ロメロと対戦する。
Text by Manabu Takashima

RIZINで摩嶋一整、鈴木博昭に敗れ、この間のDEEPでの戦いが流れるなど厳しい時間を過ごす芦田に、世界で最も殴り合うMMA大会=Combateからオファーがあった。当初の相手はキャリア10勝0敗のラミロ・ヒメネスだったが、渡米前日に対戦相手が変更され、コーナーマンとして帯同した武田光司はニューアーク空港で足止めを食い──芦田は1人でマイアミに降り立った。

それでも「笑って過ごした」という芦田は、まさに猛牛というべきバチバチの殴り合い上等のメキシカンを相手に完全に腹が決まっていた。


──今回、Combateで試合をすることになった芦田選手ですが、実は対戦相手のラミロ・ヒメネスのインタビューを申し込んでいたら、「ロベルト・ロメロに代わったから1日待ってくれ」という連絡が今週の火曜日にありました(※取材に24日に行われた)。

「僕も聞いたのは、日本を出る直前でした(苦笑)。正直をいえば、前の相手の方が高いモチベーションを持てていたというのはあります。でも色々と準備をしてきたし、相手のスタイルとか変わってしまうとは思いますけど、そこはこれまでの経験を活かしてしっかりと戦いたいです」

──ヒメネス戦のオファー自体は、いつ頃にあったのでしょか。

「ちょうど1カ月ほど前ですね。他にも候補がいたようですが、話が来た時点で減量も始めました」

──6月の終わりの時点でオファーを受けたということは7月、8月と試合の予定がなかったということですか。

「ハイ、僕のなかで勝手にですけど8月31日のDEEPお台場の大会に出たいという気持ちではいました。ちょうど誕生日の次の日で、屋外でやるって珍しいじゃないですか(笑)。ただ、自分の知り合いも外でやるなら、応援に行けるかどうか分からないって言っていましたね(笑)」

──ハハハハハ。真面目な話、あの大会に出ることを考えていたということは、このところの試合結果を踏まえて──ということでしょうか。

「勿論、そうです。弁えて試合をやっていきたいので。今、RIZINということは口にしたくないので。ちゃんと這い上がってからでないと」

──去年の春にFight & Life誌でフェザー級特集をして、インタビューはおろか名前と写真の紹介ぐらいのページでも芦田選手に触れなかった。あの時、SNSで本人から怒りの反応がありました。

「あっ、あの時ですね(笑)。発奮材料になりました。もう1回、取材をしてもらえるようにならないといけないって。そうじゃないとやっていけねぇぞって思うぐらい『何クソ』ってなりました」

──逆にそう思ってもらえるのは有難いことです。そうですね……今回はただの海外での試合ではない。Combateで10勝0敗の選手と戦うということで芦田選手に取材をさせてもらおうと思った次第で。当時は、勝ってからでないと取材はできないという気持ちでした。ただし、2月に鈴木博昭選手に敗れた。あの試合は芦田選手のキャリアを考えるうえでも、非常に痛い敗北だったかと。

「本当にその通りです。あの試合は勝つべくして勝たないといけない試合でした。それは師匠の宮田(和幸)先生とも話をしました。これまでの負け以上に、重く受け止めた敗北でしたね。

完全に評価が落ちる負けですし、年齢もそう。ちゃんと順番を踏まえて上の舞台で戦いたい人間なので、DEEPのベルトを獲る前は基本的にRIZINに出たいということは口にせずに戦っていました。目標はそこであっても。

なので鈴木戦の負け、試合内容を考えると34歳になってもう一度這い上がることができるのか、と。その部分に関して、自分と向き合ってきました。ただ所(英男)さんとか金原(正徳)さんが戦い続けていて、僕の年齢で引退を考えること自体が甘いんじゃないか、とか。それでもファイターとしての限界なのかとか、凄く考えちゃいましたね」

──BRAVEは若くてピチピチの選手が台頭しているので、余計に年齢を考えるということはなかったですか。

「本当に勢いがあります。ただスケジュール上、三郷のプロ練習は参加できていなくて、今の若い子たちとは年に数回胸を合わせるぐらいんです」

──奇しくも、今の若い子という発言がありました。

「そうですね(苦笑)。たまにしか会わないので、その成長の度合いももの凄く感じられます。野村(駿太)もそうだし、木村(柊也)も南(友之輔)もそう。(黒井)海成も勢いよく来ています。アイツらに負けたくないという気持ちも、当然ありました。今でもそうですけど」

──そういうなかでCombateで戦わないかいという話があったと。

「僕のキャリアで今後、こういうチャンスが巡って来るとは限らないです。ハッキリ言って、現役生活は終盤に入っていると思うので。だから、この機会は絶対に逃したくなかったです。グアム、シンガポール、ブラジル、中国で試合をしたことはあるのですが、北米で試合をしことがなかったので。

しかもCombateはUFCに選手を送り出している大会ですし。僕はいわゆる格闘氷河期と呼ばれるRIZINがなかった時代に、皆がUFCを目指す中で戦ってきました。だから北米で試合をするということには特別な思い入れがあります。そういう意味でも、この試合はチャンスです。

海外にも国内にも強い選手がたくさんいるなかで、このチャンスが来た。ラストチャンスだというぐらいの気持ちでオファーを受けました」

──そんなマイアミへの遠征ですが、飛行機の旅でトラブルがあったそうですね。

「そうなんですよ、セコンドで武田(光司)と来きていたのですが、まずニューアーク空港からマイアミ行きの飛行機の手配ができていなかったんです」

──……えっ!!

「最終的には今回の試合の世話をしてくれたシュウ・ヒラタさんがチケットを抑えてくれたのですが、パスポート・コントロールが凄い人で混雑していて。僕は乗り継ぎ便に乗れたけど、武田は間に合わなかった」

──それはパスポートの写真と違うからじゃないですか(笑)。

「アハハハ。顔が違いますからね。前もそれで止められたそうですよ(笑)。結果マイアミに来て、まだ僕は1人です。昨日の夜も、武田と動いて体重の調整をする予定だったのですが、それでもできず1人でロードワークをしていました」

──なんとも。

「でも、それが海外ですよね。笑って過ごしていました」

(C)COMBATE GLOBAL

──それぐらいでないと、海外では戦えないです。

ところで新しい相手のロベルト・ロメロも7勝3敗1分というレコードの持ち主で、試合を見る限り相当なブルファイターです。

「メキシコ人だからなのか、心が強くてタフな戦い方をしますね。ガードを上げて『はじめの一歩』みたいにゴリゴリ打ち合うなかで、組んでもくる。凄くしんどそうな戦い方をするなって思います。暴れ狂ったような戦い方をしてくるので、日本人選手と戦い方とは違いますね」

──とはいえ、芦田選手としては得意な部分で戦える相手ではないかと。

「その通りです。これまで相手の弱点をつくMMAの競技特性を意識し過ぎていたようで、僕の一番の持ち味であるボクシングをほとんど出さなくなっていました。今回のテーマは真っ向勝負、相手は代わってもそこは噛み合うと思います。気持ちの入った試合を見てもらって、感じ取って欲しいです」

──日本人だけでなく韓国人選手もそうですが、手応えのあるパンチを入れても、逆に勢いをつけて反撃してくる選手に打ち負けることがままあります。

「そこはボクシングの経験があるので。ボクサーって、そんなヤツばかりなんですよ(笑)。いくら殴っても倒れない相手は過去にもいましたし、その経験を生かして戦います。何より、日本人ボクサーは技術力が高いですからね。

技術力といえば、先輩の井岡(一翔)さんと普段から接させてもらっていて、日本人の強さはそこだと凄く感じています。今回の試合に向けて、そういうところで準備をしてきたので、それを見せたいです。荒々しいメキシコのファイターに吞まれないで、技術力で勝つ。魅せる試合をしたいです」

──三郷でのプロ練習は出らないと言われていましたが、Combate出場に向けてはどのような準備を?

「BRAVE世田谷で海成と練習をして、それと久保(優太)さんが良く来てくれていました。試合前の久保さんに本当に申し訳なかったのですが、バンバン質問をさせてもらって。久保さんに僕の長所と短所を洗い出してもらい、あとは武田と調整をしてきました。

それと昔のようにHELAO TOP TEAMでKrushで戦っている川島康佑と週に2回、互いに倒すつもりで本当のガチンコ練習をやってきました。川島との練習で緊張感を創って、考えながら1日、1日と練習をしてきました」

──では最後にこの試合に向けての想いをお願いします。

「この試合に賭けています。勝ち負けは大事なのですが、選手としての存在意義を見せることができるようCombateに痕跡を残し、なおかつ北米MMAに名を刻みたいです。僕の覚悟を皆に見て欲しいと思っています」

■視聴方法(予定)
7月28日(日・日本時間)、
午前9時30分~ABEMA格闘チャンネル

■Combate Global 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
芦田崇宏(日本)

<ウェルター級/5分3R>
マルコス・ヨレーダ(メキシコ)
山田聖真(日本)

<女子フライ級/5分3R>
レヒーナ・タリン(メキシコ)
ギセラ・ルナ(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
イズマエル・サモラ(メキシコ)
フアン・プエルタ(米国)

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Interview MMA o ONE UFC YouTube

UFC 304 Leon Edwards Fight Disciples Interview

#UFC304 #MMA #LeonEdwards #RDXSports #LEONxRDX

UFC 304 rocks up in Manchester and the Fight Disciples are all over it. We start with a trip to Leon Edwards fight week home to interview the UFC welterweight champion.

In this episode you will see the Leon Edwards UFC 304 limited edition RDX T-shirt. If you’re attending the event at the weekend and would like one of those then follow this link: https://2ly.link/1yng0

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45 AB Interview UFC UFC ESPN60 イ・ジョンヨン ハイダー・アミル ブログ

【UFC ESPN60】Road FCフェザー級王者~RTU~UFC、イ・ジョンヨン「自分で言うのもなんですが……」

【写真】この拳が、強くて硬い。キム・スーチョルと1勝1敗のパク・ヘジンを僅か10秒でKOしているイ・ジョンヨンだ(C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC on ESPN60「Lemos vs Jandiroba」が開催され、イ・ジョンヨンがハイダー・アミルとUFC2戦目を戦う。
Text by Manabu Takashima

右肩上がり時代のRoad FCでデビュー。キャリア7戦目で、当時のK-MMA界で最も完成度が高かったとされるチェ・ムギョムを下しフェザー級王者に。アンチUFCの急先鋒と目されていたジョン・ムンホン代表率いるRoad FCで成功を収めながら、イ・ジョンヨンは常にUFCファイターになることを夢見ていたという。

そんなイ・ジョンヨンに初インタビューすると、自信に満ち溢れた言葉が続いた。


Road FCのチャンピオンになれたことは、今も自分の誇りです

──オクタゴン2戦目が今週末に迫ってきました。今の調子はいかがですか。

「過去最高のコンディションで、今回の試合でも自分がUFCでしっかりと戦っていけることを証明したいと思います」

──イ・ジョンヨン選手の試合は、実はRoad FCのYoung Guns出場時からフォローさせてもらっていたのですが、初めてインタビューする機会を得ることができました。2014年にRoad FCでプロMMAデビューをしましたが、MMAを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「8年間、テコンドーの練習をしてから柔術を始めました。MMAを戦うようになったのは、世界最強の人間になりたかったからです。それが自分の夢であり、浪漫でした。誰かの影響を受けてそういう人間になったのではなく、もともとそういう想いを持っていました。

そしてUFCファイターになること、それが最強の人間になる道だと思いました。一歩一歩キャリアを進むことができて、UFCファイターになれました。Road FCで戦っていた時から、凄く恵まれたキャリアを送ってきたと思っています」

──Road FCは韓国の巨大独立王国のようなプロモーションです。対して、UFCを目指すのであればTOP FCという選択もあったかと思うのですが、なぜRoad FCだったのでしょうか。

「Road FCしか選択肢がなかったのが、正直なところです。自分はRoad FCのアマ大会でキャリアをスタートさせたので、そのままRoad FCでデビューをしました。当時、TOP FCはアマチュアの大会を開催していなかったので。そしてRoad FCからRoad to UFCを戦い、UFCと契約ができました。Road FCのチャンピオンになれたことは、今も自分の誇りです」

──とはいえ、UFCファイターになることが夢というのは、Road FC時代は口にできなかったのではないですか。ジョン・ムンホン代表はアンチUFC的な発言が多かったですし。

「正直にいえば、本音を隠さないといけなかったです(笑)。指摘されたようにジョン・ムンホン代表は、そのような言動を好んでいなかったので。

と同時にRoad FCは最高のホテルをファイターに用意し、イベントの規模も大きかったです。記者会見やビデオ撮影、公開計量というファイトウィークもあります。UFCで戦う準備となる経験をさせてもらったと思っています。プロファイターの基盤をRoad FCで創ることができました」

──キャリア7戦目で、チェ・ムギョムを破りフェザー級王者になりました。個人的にチェ・ムギョムはイ・ユンジュンと並び韓国でも最もファイトIQが高いファイターだと思っていたので、あの勝利は正直驚かされました。

(C)ROAD FC

「あの試合までの自分は、虎は虎でも子供の虎のようなモノでした。

本当の自信を持ち合わせていなかったです。あの試合の時は、ただRoad FCのチャンピオンになりたくて戦っていました。結果的にあの試合がRoad FCで一番思い出に残るファイトになりましたし、本物の自信を手にすることができたと思います。自分のキャリアのなかで、本当に大きな意味を持つ勝利です」

──そのようにキャリアを振り返ることができることも、素晴らしいですね。

「先ほども言いましたが、Road FCフェザー級王者になったことは自分の誇りです。ただコロナ禍になり、Road FCが活動を休止し2年ほど戦う機会がなかったです。あの時、契約も切れるタイミングだったのでUFCで戦いたいという気持ちに従うことにしました」

──そして土曜日に、ハイダー・アミルとUFC2戦目を戦います。

「どの局面でも、彼が自分を倒すような力はないです。100パーセント、フィニッシュします」

──イ・ジョンヨン選手は真っ向勝負の打ち合いができるなかで、カウンターショットのタイミングが素晴らしいです。それも踏込みに合わせて打つだけでなく、バックステップで呼び込んでカウンターを打ち込むことができます。

「自分で言うのもなんですが、距離をコントロールする能力とタイミングを合わせる素質があるのだと思います。踏み込んでカウンターを合わせるのも、下がって打つのもどちらを好むということはないのですが、まずはプレッシャーをかけて相手が出てくるなら、ステップイン。相手が距離を取るようなら、誘い込むように動いてカウンターを入れます」

──今大会は3人の韓国人先輩UFCファイターが出場しており、母国での注目度も一際高いと思われます。そのなかで、ファンを驚かせる自信はどれだけありますか。

「自分は韓国のライジングスターです。ファンの期待に応える試合をします。皆がエキサイトする戦いを見せる自信は十分にあります。

今、日本のUFCファイターも凄く良い試合をしています。彼の活躍は自分にモチベーションを与えてくれています。いつか日本で練習をしたいですし、もちろん日本で戦いたいです。その時は日本のファンにアジアのファイタ―の強さを示したいと思っています」

■視聴方法(予定)
7月21日(日)
午前6時00分~UFC Fight Pass
午後5時45分~U-

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45 AB Interview other MMA SUPER RIZIN03 ブログ 摩嶋一整 新居すぐる

【SUPER RIZIN03】摩嶋一整戦へ、大晦日以来の新居すぐる「強くて有名になる。それが出来る舞台と相手」

【写真】ヴィジョンを持ち、目標を達成するための手段をしっかりと選ぶことができているイメージだ(C)TAKUMI NAKAMURA

28日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで行われる超RIZIN03で、新居すぐるが摩嶋一整と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年は3戦3勝、パンクラスでの王座獲得や大晦日RIZINでの勝利など、大活躍の1年となった新居。怪我の影響で試合から遠ざかることになったが、超RIZINでは摩嶋とのフェザー級屈指の──タイプが違う──グラップラー対決が決まった。

2025年のRIZIN王座奪取というゴールへ向けて、新居は「7月に摩嶋選手に勝って、大晦日に外国人選手に勝って、自分の強さを認めてもらう」という青写真を描いている。


――昨年大晦日の弥益ドミネーター聡志戦以来の試合が決まりました。右拳の怪我もあって試合間隔が空く形になりましたが、年明け以降はどう過ごしていたのですか(※取材は5日に行われた)。

「最後に殴った右拳とカーフを蹴られた左ヒザを怪我してしまって、医者からは全治2~3カ月と言われていたんです。ただ再発するのが嫌だったので5カ月ほど空けて、本格的な練習を再開したのは比較的最近ですね」

――改めて弥益戦を振り返っていただけますか。

「僕は前足重心でカットしないスタイルなので、飯田健夫戦もそうなんですけど、ローとかカーフを蹴られやすいんですね。だから絶対にドミネーター選手もカーフは蹴ってくるだろうなと思っていました。ただ僕がカーフを蹴られて何発かパンチを返した時に、いつものドミネーター選手だったらカウンターでパンチを打ち返してくるんですけど、それがなかったんですね。だから相当僕のパンチを警戒しているんだなと思ったし、それで最後は一発合わせることができました。だから展開的に想定外だったことはないです」

――カーフを蹴られる前提でパンチを合わせる練習をしていたんですね。

「唯一びっくりしたのはカーフが痛すぎたことですね(苦笑)。飯田戦はローキック気味だったんで、そこまで効かなかったんですけど、カーフは2~3発で効きました」
――前足を効かされたことで、パンチの踏み込みに不安はなかったですか。

「自分もそういうイメージだったんですけど、遠心力を使ってパンチをぶん回せば倒せるんだなと。あとはMMAグローブの形状的に、例えばパンクラスのMMAグローブはかなり薄いので高木(凌)選手みたいにキレがあるパンチをピンポイントで当てないと倒すのが難しいのですが、RIZINグローブは拳のところが少し厚い作りなので僕みたいなぶん回し系でも効かせられるんですよね。そこがあの試合では出たかなと思います」

――打撃のパーソナルトレーニングの成果が出ましたか。

「僕、去年は一回も打撃のガチスパーはやってないんですよ。ダメージが残るのが嫌だから、打撃はマススパーしかやらないようにしていて。で、打撃をコツコツ当てて削るタイプじゃないから、一発を当てるための練習だけをやっていたんです。それが試合で出たと思うし、どれだけ劣勢になっても一発で倒す練習をしているからビビることはないです」

――新居選手の良い部分を伸ばすような指導なのですね。

「打撃を教わるときに、他の選手も参加するクラスに出ると『基本はこうだから、こういうことをやってください』という指導だと思うんですけど、今のトレーナーは僕が弱点だと思っていたところ・ここを直さなきゃいけないと思っていたところを良さに変えてくれるような教え方をしてくれるんです。僕を否定することがなくて、僕のこうしたいですというリクエストも受けて、そのための指導をやってくれるのでやりやすいですね」

――MMAPLANETでは昨年9月にパンクラスでベルトを獲ったあとにインタビューさせてもらい、その時に新居選手は年末のRIZIN出ることが目標だと話していました。その目標も実現して、練習の成果を出して勝つことができた。まさにこの1年間でやってきたことが形になった大晦日でしたよね。

「そうですね。僕は一昨年に練習環境をがらりと変えて、ちょうど1年くらい経ったタイミングで、去年は試合を続けていたんですね。それで去年は3戦3勝という結果を残せて、これから改良することもあると思いますが、今自分がやっている練習方法が間違っていないなと思えることが出来ました」

――前回のインタビューでも話されていましたが、新居選手は各ジャンルでパーソナルトレーナーをつけて練習するという形を取っていますよね。

「しかもそれぞれのトレーナーさんたちの連携が取れているというか、みんなでコミュニケーションが取れる関係なので、それぞれの練習状況が共有できているんですね。だからトレーナーは個別にいるけど、一つのチームとして取り組んでいることが出来ると思います」

――勝つために必要な環境を自分で整えている、と。

「前回のインタビューでも話した通り、本当に僕は毎日遊んでいるから(笑)、他の選手に迷惑をかけられないじゃないですか。それで各分野の専門家からパーソナルトレーニングを受けているんですけど、みなさん僕がどういうスタイルなのかを理解してくれているんですよね。

普段の生活も含めて。それは応援してくれる方たちも同じで、僕ってSNSでも遊んでいるところをバンバン公開するじゃないですか。普通は『もっと真面目に練習しろ!』と思われるかもしれませんが、これが僕のスタイルだし、それをみんな分かってくれているんですよね。実際に結果を残すことが出来ているし、今は自由に自分がやりたいことをやらせてもらっています」

――ただそういう状況で、怪我で試合ができなかったことはストレスにはならなかったですか。

「でも怪我でもしないと休めないので。僕、去年は3試合やったんですけど、6月から12月までで3試合やっているんですね。だからドミネーター戦が終わったらゆっくりしようと思っていたので、ちょうどよかったですね。この5カ月間は遊びまくって、また格闘技をやりたいという気持ちになってきたので、いい時間でした」

――5月にカンボジアで行われたチャリティ関連のイベントでグラップリングの試合に出場されましたが、あれはどういった経緯で決まったのですか。

「もともと僕は毎年茨城のTEAM STが主催しているイベントに参加していて、それはイベント収益の全額を茨城の児童施設に寄付するという趣旨のものなんですね。そのスタッフとカンボジアの方がつながっていて、カンボジアで開催するイベントに参加しませんか?という話をいただきました。だからあのイベントもカンボジアの児童施設の子供たちを招待して試合を見せて、試合で使ったリングを寄付するというイベントだったんです。

カンボジアは格闘技イコール打撃・立ち技らしく、グラップリングの試合は珍しかったらしく、控室で他の選手たちに『なんでお前はグローブもバンテージも巻かないんだ?』と驚かれました(笑)。見に来てくれた子供たちはすごく喜んでくれて。色んな刺激を受けました」

――そして超RIZIN3での摩嶋一整戦が決定しました。超RIZINには出場したいと思っていましたか。

「はい。ずっと今年の超RIZINには出たいと思っていて(朝倉)未来君と平本(蓮)選手の試合はタイトルマッチよりも注目されて、本当にたくさんの人が見る大会だと思うんですよ。しかも会場もさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンで、日本でMMAをやっている選手だったら誰もが出たい舞台だと思うので、試合が決まった時はうれしかったです」

――対戦相手が摩嶋選手に決まったことはどう捉えていますか。

「僕の希望としては外国人選手と戦いたかったんですよ。今RIZINで日本人選手が外国人選手になかなか勝てない状況があって、そこで日本人同士で潰し合うよりも、日本人みんなで外国人選手に立ち向かっていきたくて、それこそ僕と摩嶋選手で外国人選手と戦うのもいいかなと思っていました。

ただマッチメイクは主催者が決めるものだし、僕と摩嶋選手の試合を見たいという声も多かったので、望まれる試合であればそれをやってから、VS外国人をアピールしたいと思います」

――摩嶋選手のファイトスタイルはどう見ていますか。

「めっちゃ苦手なタイプです(苦笑)。RIZINの戦績は負け越していますけど、対戦相手はほとんどチャンピオンクラスだし、試合に負けても評価が落ちていない選手だと思うので、大晦日と同じようにフィニッシュして勝って、自分の強さをアピールしたいです。僕は来年RIZINのベルトを巻きたいと思っているので、絶対にここは落とせないですね」

――ただ勝つだけじゃなくてフィニッシュしたいですか。

「自然にそうなると思います。僕も摩嶋選手もスタミナがないから、3Rまでいったらグダグダの試合になる気がします(笑)。だから2Rまでには終わらせたいです。というか僕は2Rすら延長戦みたいなものだと思っているんですよ」

――発想が5分1本勝負なのですね。1R=本戦、2R=延長戦、3R=再延長のような感覚で。

「そうです。だから再延長なんて絶対に嫌です(笑)」

――昨年はパンクラスのベルトを獲って、大晦日RIZINに出るという目標があり、それを達成しました。今の新居選手の目標を教えてください。

「僕としては7月に摩嶋選手に勝って、大晦日に外国人選手に勝って、自分の強さを認めてもらって、来年RIZINのベルトを巻きたいです。あとはベルトとは別の部分でクレベル・コイケ選手とは戦いたいと思っています」

――クレベル戦と戦い理由とは?

「純粋にどれだけ寝技が強いのかを体感したいし、クレベル選手って絶対にタップしなさそうじゃないですか。そういう相手を絞め落とすか関節を壊すかすれば、会場がめちゃくちゃ盛り上がると思うんですよね。そういう意味でやってみたいです。ちなみに僕がもしクレベル選手にがっちり三角を極められたら必ずタップします(笑)」

――その目標のために新しく取り入れたい練習はありますか。

「去年のパンクラスのタイトルマッチ前からなんですけど、安楽(龍馬)にレスリングを教わっているので、そこを継続して強化していきたいですし、外国人選手とやるにはパワーをつける必要があるのでフィジカルトレーニングも再開しました。ここ2年くらいは(日本人相手に)パワー負けすることがなかったのでフィジカルはやらなくてもいいと思ったんですけど、外国人選手に勝つためには絶対に(フィジカル強化は)必要ですね。筋力をつけるトレーニング、格闘技的なトレーニング、それぞれパーソナルトレーナーに見てもらっています」

――前回インタビューしたときにも思ったのですが、新居選手は明確にゴールや目標を決めて、そこから逆算して自分が何をすべきかを考える。そのためには投資を惜しまない。そんなタイプですよね。

「ああ…確かにそうかもしれないです。例えば僕は一週間練習したら日曜日にそれをおさらい・復習して、月曜日からの練習内容を考えるんですね。それでそれぞれのトレーナーさんに連絡を取るので、ただ目的なく練習するということがないかもしれないです。どの練習も一つ一つ全部に目的がある感じです」

――超RIZINという大舞台でどのような自分を見せたいですか。

「今回はチケットも売れ方も半端なかったし、新居すぐるの強さを認めてもらって有名になりたいです。ただ強いだけでもダメだし、知名度だけ選考していてもダメだし、強くて有名になる。それが出来る舞台が超RIZINであり、摩嶋選手という相手だと思うので、ここから人生を変えたいです」

■視聴方法(予定)
7月28日(日)
午後2時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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