【写真】加藤はMMA復帰に向けて週1日、日帰りで上京しGENスポーツパレスで練習を積んできた(C)TAKUMI NAKAMURA
17日(日)、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催されるRIZIN LANDMARK10にて、加藤久輝がスダリオ剛と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
Bellatorでの戦いを経て、K-1のリングでも活躍した加藤。2022年12月のAKIRA Jr戦でK-1ファイターとしての活動にピリオドを打ち、MMAファイターとして帰ってきた。加藤がMMAルールの試合を戦うのは2017年12月のチディ・ンジョグアニ戦以来、7年ぶり。この試合のために加藤は週1回、日帰りで名古屋から上京し、岡見勇信が主宰するGENスポーツパレスでの練習に参加していた。42歳でのMMA復帰を決意した理由、そしてスダリオ戦の意気込みを訊いた。
――加藤選手、お久しぶりです。2022年12月、K-1でのAKIRA Jr戦を最後に引退を発表し、約2年ぶりに復帰する運びとなりました。復帰を決めた理由を聞かせていただけますか。
「自分の中ではK-1を引退することは前から考えていて、完全に現役を引退する時はMMAの試合をやってから引退しようと思っていたんです」
――あくまでK-1からの引退という考えだったんですね。MMAをやらずにプロとしてのキャリアを終わらせることは考えられなかったですか。
「僕は空道・大道塾から格闘技人生が始まって、何でもありの戦い、審判なしでも戦える、路上でも通用する技術を追求して、そういう武道家としてのスピリットを持っているので、そうなるとMMAにチャレンジするしかないですよね。競技が違うので、どちらが上というのことではなく、キックボクシングはコンプリートな格闘技ではないと思っているので、もう一度自由に自分を表現できるMMAをやりたいと思いました。やっぱり自分はMMAが好きなんですよ。MMAは三次元の戦いで、立ってよし、寝てよし、ジャンプしてもよし(笑)。その制限のなさが魅力だと思います」
――K-1での試合が終わったあとも、ずっとMMAの試合をやりたい気持ちがあったのですか。
「そうですね。もともとK-1・キックボクシングを長くやるつもりはなかったので、そこに区切りをつけたらMMAで最後の勝負をかけたいと思っていました」
――K-1引退後もトレーニングは続けていたのですか。
「はい。自分のジム(West A)を立ち上げて4年目で、K-1参戦中もMMAの練習を休んだことはないんです。普通に週3回はグラップリングやMMAの練習をやっていたので、その辺は今と変わらないですね」
――加藤選手としてはMMAと同じ練習を続けながら、K-1ルールの試合に出ているという感覚だったんですね。
「組み技の練習をやった方がフィジカルも強くなるし、K-1で試合をするにしても、MMAの練習をやる意味があると思ってやっていました」
――復帰の時期というのは具体的にイメージされていたのですか。
「ALIVEの鈴木社長とも相談しながら、できれば名古屋で試合をした方がジムの会員・生徒さんたちも喜ぶから、そういうタイミングあったらいいねという話はしてたんです。それで今年幾つかオファーをいただいたんですけど、RIZINが名古屋で大会をやるということで、RIZINに決めました」
――名古屋で試合ができるという部分が大きかったのですか。
「そうですね。昔は自分のため、家族のために試合をしていたんですけど、今はジムの会長という立場になって、会員さんから『会長の試合を見たい』と言われることが多かったんですよ。自分ももう年齢が年齢だから、やるなら早くやらないと無理だよなと思っていました」
――我々は加藤選手が大道塾出身でBellatorに参戦していたことも知っていますが、ジムの会員さんはその時代を知らないわけですよね。
「そうなんです。だから復帰戦が決まって『加藤先生のMMAの試合を初めて見るので嬉しいです』と言われることも結構ありますね」」
――MMAの試合そのものは約7年ぶりとなりますが、復帰を決断した時点での練習の状況やコンディションはどうだったのですか。
「普段から自分のジムでグラップリングやキックの練習は続けていて、今年に入って年末に復帰することを目標にして、夏くらいから本格的に動き始めました」
――久々に試合のための練習を再開して、どんな感触がありますか。
「やっぱりMMAの試合に出るのは大変ですよ。今回、本当は自分の適正体重でやりたかったですけど、7年ぶりの復帰戦だし、自分がベテランの立場というのも分かっているので、そんなわがままは言ってられないじゃないですか。逆に僕がゲートキーパー的な存在で、期待されている若手と対戦するというのも面白いかなと思って、今回の試合も引き受けてみようと思いました。相手は120kg級の選手なので久々の緊張感を感じつつ、真面目に練習を頑張っています」
――加藤選手のベストウエイトはミドル級=83.9キロですか。
「自分の骨格的には80キロくらいだと思います。自分はアメリカでも試合をやってきましたけど、向こうに行くとミドル級でも細い方なんですよ。身長だけじゃなくて拳の大きさ・手首の太さだったりを見ても、国際レベルだったら80キロ代じゃないと通用しないのは分かっています。ただ今回は国内の試合ですし、舐めているわけじゃないけど、半分お祭りみたいな試合なので、ヘビー級でもやります」
――試合が決まってから、週1回日帰りで上京してGENスポーツパレスで練習しているそうですね。かなりタイトなスケジュールですが、自分に出来る練習はすべてやりたいと思っていますか。
「そうですね。試合が決まった時点で年齢のハンデでもあるし、体重のハンデもある。せめて悔いを残さないためには、自分がやれることは全てやって、納得した状態で試合をしたいと思いました。GENにはBellatorに出ていた時も何度か練習に来ていて、MMAで重量級の選手が集まると言ったら、ここしかないなと思いました」
――GENでの練習ではどんな手応えがありますか。
「細かい部分は教えられないですが、ここからまだまだ動きを上げていきたいと思います。あとここはベテラン選手が多くて、他のジムに行くと『40歳でよく頑張っていますね』と言われるのですが、岡見(勇信)さん、水野(竜也)さん、ストラッサー(起一)さんがいて、平均年齢が40歳くらいなんです。しかもみんな元気でバリバリにやっているので、それで勇気をもらえますね。自分もまだまだ全然やれるんだなと思うし、しっかりラストランを走り抜けたいと思いますね」
――改めてK-1ルールに挑戦したことで、加藤選手にとってはどんなプラスがありましたか。
「色んなことが伸びたと思います。例えばK-1ルールは基本的に下がらないし、打撃のテンポが全然違うんですよね。試合時間が短い分、ペースが早い。どちかというと若い選手向けの競技だと思うんですけど、圧力負けをしないところとか、その辺りはだいぶ成長したと思います。今までやらなかった戦法も覚えたし、K-1ルールをやったことで色んな選択肢が増えたと思います」
――対戦相手のスダリオ選手にはどんな印象を持っていますか。
「僕の方がMMAのキャリアは長いので、MMAで使える技を全部使って、うまく戦いたいと思います」
――久しぶりに加藤選手のMMAを見る人、初めて加藤選手のMMAを見る人にどんなインパクトを残したいですか。
「僕の戦績を見てもらって分かる通り、ほとんどがKO決着なので判定まで持っていくつもりはないです。その気持ちはずっと変わらないので、MMAルールの中で激しい試合をして、ジャッジに勝敗を任せない試合をしたいと思います」
――今回は一度きりの復帰なのか、それとも継続して試合をしていくのか。現時点ではどう考えていますか。
「スダリオ戦の試合結果・内容によりますね。どうしても年齢を重ねると蓄積したダメージもあるので、スダリオ戦が終わってから自分の身体と相談してから考えたいです。ただ、練習ではちゃんと動けているので、ラストランは出来るなと思っています。せっかく今必死に練習してスタミナとパワーを戻して、これをもう一回やるというのはしんどいので、せっかくならあと数試合はやりたいです」
――今回はRIZINでの復帰となりますが、チャンスがあれば海外でも試合をしたいですか。
「そこも次の試合次第ですね。正直もう一度アメリカで頑張ろうという気持ちはあまりなくて、今でも国内のトップにはなれると思っているし、若手の刺激になれる選手にもなると思うので、そこに自分の役割があるのかなと思います」
――加藤選手は奥様がフィリピンの方で、以前はフィリピンで試合をしたいとおっしゃっていましたよね。
「その気持ちは今でもあります。最近はフィリピンの格闘技のレベルも上がっていますからね。ただフィリピンで大きなイベントをやっている団体が少なくて、例えばONE Championshipに出るとなると、契約の制限があるので難しいですよね。ちょうど今フィリピンの話が出たところで、スダリオ選手は日本とフィリピンのミックスで、そういう部分で試合したいと思ったところもあるんですよ。勝手にスダリオ選手には親近感を感じています」
――現役復帰が決まって、一日一日が充実していますか。
「はい。小さいですけど自分の城(West A)が出来て、試合をしないと食っていけないとか、そういう変なプレッシャーを感じることがなく、練習して試合することが出来るんですよ。確かに練習量や時間は短くなりましたが、好きで格闘技をやっていて、試合に出たいから出る。そういう精神的な部分が今までと変わって、モチベーションが全然違います」
――加藤選手といえば豪快なKOシーンが代名詞ですが、自分の打撃だったらヘビー級の相手でも倒せるという自信は変わらないですか。
「今回の試合はスダリオ選手が期待されていて、僕は期待されていないと思うのですが、そういう立場の時の僕は危ない選手なんですよ。今回はまさにそういう状況なので、倒して勝ちたいと思いますし、その自信もあります」
■視聴方法(予定)
11月17日(日)
午後1時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■ RIZIN LANDMARK10対戦カード
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
摩嶋一整(日本)
<バンタム級/5分3R>
昇侍(日本)
芦澤竜誠(日本)
<女子スーパーアトム級/5分3R>
浜崎朱加(日本)
シン・ユリ(韓国)
<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
マルコス・ヨシオ・ソウザ(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
イ・ジョンヒョン(韓国)
<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
ヒロヤ(日本)
<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
トニー・ララミー(カナダ)
<フライ級/5分3R>
北方大地(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<バンタム/5分3R>
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)
山本聖悟(日本)
<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
加藤久輝(日本)
<バンタム級/5分3R>
白川ダーク陸斗(日本)
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)
<ライト級/3分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
倉本大悟(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
秋元強真(日本)
<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)
<ヘビー級/5分2R>
稲田将(日本)
佐々木克義(日本)
<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
平松翔(日本)
<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
JIN(日本)
The post
【RIZIN LANDMARK10】約7年ぶりのMMAでスダリオと対戦。加藤久輝「ラストランを走り抜けたい」 first appeared on
MMAPLANET.