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Grachan56 MMA MMAPLANET o 岡本純一朗

【Grachan56】無差別級T1回戦は怪獣キラー荒東が岡本の打撃に苦戦もグラウンドで仕留める

【写真】グラウンドで相手に何もさせなかった荒東が無差別級T準決勝へ進出(C)SHOJIRO KAMEIKE

<無差別級トーナメント1回戦/5分2R 延長1R>
荒東 怪獣キラー 英貴(日本)
Def.1R3分10秒 by TKO
岡本純一朗(日本)

岡本は2002年の着衣総合格闘技J-DO第1回に出場しているというキャリアの持ち主。もちろん柔道ベースだが、序盤から荒東を左右のロー、フックで攻め立てる。右クロスを決めた岡本はスイッチしながら相手を揺さぶっていく。

細かいローを打ちながら、ケージに詰められた荒東は組みついてテイクダウン。ハーフガードの岡本にパンチを落とし続けると、岡本の動きが止まりレフェリーストップとなった。

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Grachan56 MMA MMAPLANET o 大搗汰晟 鍵山雄介

【Grachan56】大搗が得意の袈裟固めから仕留められず、ベテラン鍵山雄介が逆転のパウンドアウト

【写真】ベテランが若手に逆転勝利、会場はおおいに沸いた(C)SHOJIRO KAMEIKE

<フェザー級トーナメント1回戦/5分2R 延長1R>
鍵山雄介(日本)
Def.3R1分25秒 by TKO
大搗汰晟(日本)

ともにサウスポー。鍵山の左フックに合わせて組みついた大搗が、相手の頭を叩きつける形でテイクダウンを奪う。そのまま得意の袈裟固めで抑え込む大搗。鍵山は左右にエビ、ブリッジを試みるが返すことができない。そのままラウンド終了まで大搗が袈裟固めからパンチを落とし続け、ゴング直前で相手の首にプレッシャーをかけていった。

2Rは鍵山が右フック、右ミドルハイ、左右のミドルと打撃で攻め立てる。相手の右ミドルをキャッチした大搗が、またも大外刈りから袈裟固めへ。しかし今度は鍵山がエビで体をスライドさせ続け、立ち上がる。大搗は組みついてきた鍵山を、再びグラウンドに引きづりこんだ。

鍵山はハーフガードから潜ってスクランブルへ。ここは大搗が制したが、鍵山が再びハーフからスイープを仕掛け、トップを奪った。ハーフガードを取る大搗にパンチを連打する鍵山。大搗は前に振り落とそうとするも、そのまま鍵山が殴り続けてラウンドを終えた。

判定はドローで延長戦へ。開始早々から、スタミナの切れた大搗を右ハイと右フックで攻め立てる鍵山。右、右と攻めた鍵山が、ケージ際で左ハイを繰り出すとクリーンヒット。ダウンした大搗を鍵山がパウンドアウトした。

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Grachan56 MMA MMAPLANET o 大宮優 林RICE陽太

【Grachan56】林RICEの長い手足に苦しみながら、大宮優がTD&グラウンドコントロールで判定勝ち

【写真】トップコントロールで優位に立った大宮。本人がインタビューで言うとおり、今後の課題は体格差の克服か(C)SHOJIRO KAMEIKE

<ライト級/5分2R>
大宮優(日本)
Def.3-0
林RICE陽太(日本)

サウスポーの林が繰り出した左ミドルに合わせて、ニータップで組みついた大宮がシングルレッグに切り替えてドライブ。林はハイクラッチを取られるも、右腕を差し上げ、さらに左腕も差し込んで立ち上がる。ケージレスリングから大宮が林の左足へシングルレッグを仕掛け、右足へのハイクラッチに切り替え、そのままリフトアップする。ここは右腕を巻き付けていた林が耐えるも、大宮はすかさずバックコントロールへ。正対した林をボディロックから足に組み替えて背中を着かせた。

しかし林は下から大宮の右腕に足を絡みつけてコントロール。反転しようとする大宮の顔面にパンチを浴びせながら、ハーフネルソンでポジションをキープする。ここで体をねじった大宮が脱出し、サイドからバックへ。両足を差し入れるが、完全にバックマウントを奪取することはできない。

相手が前へ振り落とそうとしたところで、大宮は林の右腕を取って腕十字を狙う。腕を抜いた林が立ち上がり、背中を着けた大宮の足に蹴りを浴びせようとしたところで、大宮がスクランブルに持ち込み、トップを奪った。林もすぐに立ち上がったところで初回が終了している。

最終回、左右のパンチを振りながら組みついた大宮が、ダブルレッグからすくい上げて林に尻もちを着かせた。そのまま相手の左足を抑え、ボディロックで押し込んでいく大宮。林も立ち上がったが、大宮がしつこくシングルレッグで組みつき、林に背中を着かせた。

林は1Rと同様、両足で大宮の右腕に絡みつこうとしたが、ここは大宮がすぐに体をねじってトップへ。さらにハーフガードを取る相手にワキ差しでプレッシャーをかけながらパスしてマウントを奪った。

スクランブルに持ち込まれるも、立ち上がった林を再びシングルレッグからグラウンドに持ち込む大宮。ここでも林は同じ体勢からバックを狙うも、大宮がトップからバックを狙う。立ち上がる林。最後は相手のパンチをもらいながら、大宮が前に出て林にケージを背負わせた。

判定はトップを奪い続けた大宮へ。勝者は雄たけびを挙げ、大会終了後にも単独でラウンドガールと写真を撮影してもらっていた。


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Grachan56 MMA MMAPLANET o UFC コナー・マクレガー ミランダ亜廉 中村倫也 大宮優 大搗汰晟 林RICE陽太 海外 鍵山雄介

【Grachan56】「100キロぐらいまでならバック投げも」。デビュー戦欠場、ミランダ亜廉が語っていたこと

【写真】非常に残念な欠場だが、このご時世では致し方ない。男前の仕切り直しの時を待ちたい(C)GRACHAN

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56の第1試合に出場予定であったミランダ亜廉は、コロナウイルス感染のため欠場が発表された。
Text by Shojiro Kameike

MMAPLANETDではコロナウイルス感染が分かる前のミランダにインタビューを行っていた。試合はなくなってしまったが、幼少期からレスリングを学び、アマチュア時代に相手を投げまくったことで注目を浴びるミランダの、MMA英才教育ぶりを知ってほしい。


――プロデビュー戦を目前に控えた現在の心境はいかがですか。

「いつもと変わらずリラックスできています」

――MMAの前はレスリングをやっていたそうですね。

「幼稚園の頃からやっていました。自分自身では始めたレスリングを始めた頃の記憶はないのですが、親が言うには、いろんな習い事をやってみたなかでレスリングが一番楽しそうにやっていたそうです。自分の記憶としては小学校1年生の時ですね。スパリング中にヒザの靭帯を痛めてしまって……」

――それが最初の記憶ですか! ヒザの靭帯とはハードですね。

「それが最初に強く印象に残っていることです。すごく痛かった記憶があります(苦笑)」

――小1でヒザの靭帯を痛めると、その時はレスリングを辞めたくなりませんでしたか。

「メチャクチャ辞めたかったですね(笑)。小学校の時は何百回も、レスリングを辞めたいと親に言っていました。毎日練習漬けで、友達と遊びに行く暇もなくて。そういう周りの友達を見ていると、うらやましかったです。自分も自由になりたいなぁと」

――他のスポーツには興味はなかったのでしょうか。

「バスケには興味があったのですが、チームプレイには向いていないことが自分でも分かっていまして。親からも、もうちょっと続けなさいと。父は、僕がレスリングを辞めないように大きな夢を創ったんですよ。オリンピックに行くという夢ですね。まずそこまで頑張ろうかということで、なかなかレスリングを辞めさせてくれませんでした(笑)」

――ミランダ選手は今年20歳ということで、目指していたのは東京オリンピックではなく、2024年のパリ五輪だったのですか。

「そうです。でも現実的に考えると、レスリングでは無理だなと諦めてしまいました。高3年の時に、リオ五輪で活躍した選手や東京オリンピックに出場する選手と試合をして、あっさり負けてしまうことがあったんです。ここから自分が五輪レベルの選手になるのは、相当時間かかりそうやなと、メンタルが折れてしまいましたね」

――なるほど……。ミランダ亜廉という名前は、お父さんかお母さんが海外の方なのですか。

「父が米国で、母が日本人です。生まれも育ちも大阪ですけども」

――ご両親のどちらかがレスリングをやっていたわけではないのですよね。

「はい。でも父が、もともとUFCが大好きで。ハワイの出身の父が、昔から警察や海兵隊にいたこともあって、格闘技がメチャクチャ好きだったそうなんですね。それでUFCを見ていて、レスリングの重要性が分かっていたと……」

――ミランダ選手をUFCファイターにすべく、お父さんがレスリングを習わせていたのですか!

「父の真意は分からないんですけど、僕も小学校の頃から一緒にUFCを見ていました。今となっては、レスリングをやらせてくれたことを父に感謝しています」

――最初にUFCを見た時の印象はいかがでしたか。

「どの試合、どの選手とかは覚えていなくて……ただ、見るのが嫌やった記憶があります。自分はレスリング一途やったし、ケージの中で殴り合っているのが怖くて。もちろん、あの時は自分が将来MMAをやるなんて、想像もしていなかったです」

――レスリング時代の実績を教えていただけますか。

「小中の時は全然勝てなくて、中3で初めて全国大会で4位になりました。高校時代は3年生の最後の大会で、全国大会8位になっています。大学までレスリングをやりたいという気持ちもあったんですが、行きたい大学から推薦がもらえなかったのと、高3の時にMMAをやりたいという気持ちが強くなりました」

――子供心に嫌だったMMAをやりたくなった理由は何だったのでしょうか。

「あまりよろしくない話なんですけど――高1の時に、隣の地区の子と喧嘩したことがあって。そこでド突き合いも面白いんじゃないかと思ってしまいました」

――ということは、その喧嘩で勝ったのですね(笑)。

「……はい(苦笑)」

――実は高校時代、ストリートファイターだったということですか。

「いえ、そういうわけでは……。真面目に過ごしていたつもりですし、自分から喧嘩を売ったことはなかったです。街を歩いていると因縁をつけられたりして。

その頃から自分でもよくUFCを見るようになっていました。そうしたらレスリングをやっている選手のほうが有利で。正直、レスリングをやっていても社会人になって稼ぐことはできないんですよ。それならMMAをやろうようかなと思いましたね」

――子供の頃に見た時と、レスリングを経験してから見るMMAでは印象も違ったのではないでしょうか。

「全然違いました。攻防が分かるし、あぁこういうことだったんだと気づくことも多かったです」

――特に印象に残っているのは、どの試合ですか。

「カビブ・ヌルマゴメドフとコナー・マクレガーの試合ですね。やっぱりレスリングと寝技って強いんだなぁと思いました」

――すると、好きなファイターはヌルマゴメドフなのですか。

「いえ、好きなのはマクレガーのほうです。ストライカーのほうが好きで(笑)」

――アハハハ、高校時代のド突き合いが影響していますね。そこから高校を卒業してパラエストラ大阪に入会したのですか。

「正確にはいつ入会したのか覚えていないんです。お母さんがパラエストラ大阪で柔術を習っていて、僕もよく一緒に練習させてもらっていました」

――そうだったのですか! 完全に英才教育ですね。UFCが好きだったお父さんは、ミランダ選手がMMAを始めたことに対して何と仰っていますか。

「僕が自分で決めたことなので、特に何も言ってはいないです。ただ、内心は喜んでいると思います」

――そうですよね(笑)。しかし格闘DREAMERSでは、アマチュアの試合で中村倫也選手と対戦し、敗れています。その時の心境は……。

「相手が中村倫也選手だと分かった瞬間、ビックリしました。負けたのはメチャクチャ悔しかったです。もちろん中村選手のことは尊敬しています。レスリングでもMMAでも結果を残しているので。いつか同じ舞台に立って、リベンジしたいと思っています」

――では中村戦以降、何か変わったところはありますか。

「あの時はまだMMAを始めて日が浅かったこともあって、まずちゃんとMMAをやろうと思いました。そのあとGRACHANのアマチュア大会でも、まだ投げるというかレスリングの動きしかできていなくて。ちゃんとMMAをやろうと考えていたのに、組んだら体が勝手に動いてしまいました」

――昨年8月の大阪大会で行われたAクラスマッチ、弘田颯志戦ですね。最後はマウントからパウンドアウトしましたが、その前に相手を投げまくっていました。特にバックを奪ってからの投げは、ブリッジが美しかったです。

「アハハハ、ありがとうございます。でも自然と反応してしまって、投げたあとにスラムで反則にならないか心配でした」

――それと相手をがぶりからリフトして投げたのは印象的でした。かつてのアレクサンダー・カレリンを思い出します。

「メチャクチャ古いですね(笑)。あれはレスリングの返し技で、ダメージを与えられるわけではないんですが、あの体勢になれば誰でも持ち上げられる自信があります。100キロぐらいまでなら、バック投げもいけると思います。高校からグレコの試合で使っていました」

――対して、以降のアマチュアマッチではテイクダウンからトップコントロールで勝利していましたね。自身の中で何か変化があったのでしょうか。

「その間に蹴りを出せるようになりました。打撃メインの練習が増えています。ただ、そのアマチュアの試合の時はコンディションが悪くて、スタミナを温存しながら試合をしていました。MMAを戦うために、あの経験も良かったと思っています」

――なるほど。では次の対戦相手、安倍路人選手の印象を教えてください。

「打撃の選手、という印象ですね。キャリアは長いですけど、途中にMMAはブランクがあるので、自分がしっかり勝たなければいけないと思っています。レスリング力でキープしながら勝ちたいです」

――まだプロデビュー戦を控えている状況ですが、目指すはUFCですか。

「はい。やるからには一番を目指したいし、MMAで世界一はUFCなので」

■視聴方法(予定)
8月7日(日)
午後12時30分~ GRACHAN放送局

■Grachan56計量結果

<Grachan無差別級T1回戦/5分2R>
荒東”怪獣キラー”英貴:―キロ
岡本純一朗:―キロ

<Grachan無差別級T1回戦/5分2R>
鍵山雄介:66.1キロ
大搗汰晟:65.85キロ

<ライト級/5分2R>
林RICE陽太:70.4キロ
大宮優:70.75キロ

<フライ級/5分2R>
永井美自戒:57.0キロ
小林大介:57.72キロ

<バンタム級/5分2R>
今村豊:61.5キロ
中嶋紳乃介:61.6キロ

<ウェルター級/5分2R>
青木忠秀:76.85キロ
遠塚浩希:77.5キロ

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DEEP Grachan56 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC キック セルゲイ・ハリトーノフ ダナ・ホワイト パンクラス 原口伸 大宮優 木下憂朔 松場貴志 林RICE陽太 海外

【Grachan56】林RICE陽太と対戦、大宮優―02―「格闘技の怖さと面白さを体現していきたい」

【写真】松葉同様、イラっとさせるモノは持っている?!(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56で、林RICE陽太と対戦する大宮優のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

なかなか濃いめのキャラクターを発揮する大宮だが、プロデビュー以降の話は意外と真面目に――かと思えば、結局はかなり濃いめのファイターだった。果たして、原口戦でKO負けを喫してからの再起戦で、真価あるいは進化を見せることができるか。

<大宮優インタビューPart.01はコチラから>


――今、柔術は何帯なのですか。

「柔術は茶帯で、もっと柔術も強くなりたいです。今はMMAをやっていますが、もちろん柔術が好きなので。

あ、全然関係ないんですけど、僕は那須川天心君と同い年なんですよ。僕が高校の時に柔道で勝てなくて悩んでいる時、RIZINで那須川天心君の試合を見て『同い年でこんなに凄い子がいるんだな』って、すごく刺激になりました。こんな凄い選手が同い年で、自分は学校でヘラヘラ話をしていていいのか、と勝手に焦ったりして。

それでALIVEに入会してからアマチュアの試合に誘われて、すぐに出場を決めました。100回練習するより1回したほうが、絶対に良い経験になると思ったので。それで出てみたら、ポンポンポンッと勝ってしまったので、これは来たって勘違いしちゃいましたね(笑)」

――そのアマチュア時代には、木下憂朔選手にキムラで一本勝ちを収めています。しかも木下選手の階級である、ウェルター級の試合でした。

「あれは……柔術しかできない頃で、とにかく殴られても殴られても前に出るしかない、という試合でした。あの時は何とか勝てましたけど、今ならボッコボコにされます(笑)」

――その後、木下選手はパンクラスでランキング1位となり、先日ダナ・ホワイト・コンテンダーズ・シリーズ(DWCS)出場が決まりました。

「単純に凄いな、って思います。木下君が先行しているから自分は……っていう焦りは一切ないですね。むしろモチベーションになっています。だからDWCSでガンガン活躍してもらって、ぜひUFCと契約してもらいたいです。僕も木下君に続いて、UFCのライト級とウェルター級で格闘技を盛り上げていきたいですよね」

――なるほど。大宮選手は昨年11月にDEEP大阪大会でプロデビューし、キムラで勝利しました。2戦目は今年3月のGRACHANで、原口伸選手にKO負けを喫しています。

「実は、試合直後は記憶が飛んでしまっていて、自分がどんな感じで試合をしたのか全く覚えていなかったんです(苦笑)。でも負けたことは分かっていて、試合の翌日には『あぁ自分はもう選手として価値がないのかな』って思いました」

――……。

「そう思っていると、SNSで僕の試合を評価してくださる方が多くて。GRACHANの岩﨑(ヒロユキ)代表もそうですし。試合で一生懸命やったら、勝ち負け以外のところで評価してくれる人がいるんだなって、すごく嬉しかったです。だから負けた自分に、今回のオファーをくれた岩﨑代表には、とても感謝しています。その評価に恥じないよう、次も面白い試合ができたらって思いますね」

――その後、原口戦の映像はご覧になりましたか。

「試合映像は見ていなくて、でも内容は全部思い出しました。まず、あまり言葉はよろしくないでしょうけど――あの試合は、相手を撲殺してやろうと思っていました」

――それだけ気合いが入った状態で試合に挑んでいるのは、表情からも分かります。

「デビュー戦は打撃の展開が一切ないまま勝ってしまいました。そうしたら中学校の柔道の先生から『おめぇ、打撃ヘタだなぁ』と言われたんですよ。いやいや、自分がどんな気持ちでパンチやキックの練習をしているのか分かってんのか、と思いました(笑)。だから原口戦は、絶対にパンチでKOしてやろうと考えていて。負けましたけど、パンチで良いシーンもありましたよね」

――お互いのパンチが当たる、シーソーゲームの大激闘でした。

「今振り返ると、やっぱり自分のMMA人生には可能性しかないなと思っています。良い点もあるし、悪い点もあることは分かったので、今はそれを修正しています。だから前向きな気持ちしかないですよ」

――今回の試合に至るまでに、どのような点を修正してきたのでしょうか。

「前の試合の時点では、まだ打撃とテイクダウンが噛み合っていなかった、というのが一つです。自分が得意としているのはテイクダウンやグラウンドで、そこにつなげやすい打撃のコンビネーションは何だろうか、と考えるところから始めました。それで発さんや久米さん、いろんな方のアドバイスを聞きながら、それを修正して積み重ねているところですね。今ようやく、それが噛み合い始めたと思います。寝技については驕ることなく、ずっと技術を研ぎ続けています」

――体格としては日沖さんよりも久米選手のほうが近いですよね。

「そうです。久米さんのファイトスタイルは、とても参考になります。ただ、それを久米さんに言うと『オレとお前を一緒にするのか』って怒られそうですけど(笑)」

――キャラは松場貴志選手でファイトスタイルは久米選手に。では次の対戦相手、林RICE陽太選手の印象を教えてください。

「デカいし、核弾頭みたいなパンチを打ってきますよね。見た目もセルゲイ・ハリトーノフみたいで」

――……。体格面では林選手のほうが勝っています。しかし海外で戦うとなれば、それだけの体格差も当たり前になってくるでしょう。そこでライト級からフェザー級やバンタム級に落とす考えはないのでしょうか。

「今のところ落とす予定はないですね。もちろんライト級では、自分より体格が大きい選手ばかりです。でも、それが分かっていたらイメージしやすいですから」

――というと?

「前回の原口選手は僕と体格が近くて、それがイレギュラーだったと思うんですよね。でも、この階級で僕より身長が高い選手しかいなければ、その相手を倒す技を追求していけば可能性があると思っています。今回も自分より大きい選手を相手に、殴ったらKO。寝かせたら360度回転させるぐらいの勢いでやります!」

――えーっと、360度回転させるというのは……。

「相手の肩を360度回転させてキムラを極めます。グリン! って」

――人体の構造として……まぁ、いいです(笑)。

「アハハハ。でも僕は、勝つことに必死です。極めきれない、これ以上曲げたら危ないかなっていう優しさが命取りになることもある。それが格闘技だと思うんです」

――もちろん、そうですね。

「エンターテインメント色が濃いめかもしれないけど、そんな僕が格闘技の怖さと面白さを体現していきたいです。よろしくお願いします!」

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【Grachan56】林RICE陽太と対戦、ALIVEの少しヤバめ=大宮優「格闘技への入り口は、ほぼぼぼサブカル」

【写真】日沖発、久米鷹介、村元友太郎から竹本啓哉、松場貴志……どの先輩の跡を追うのか……、(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56で、名古屋ALIVEの大宮優がプロ3戦目を迎える。対戦相手は大阪のベテラン、林RICE陽太だ。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビューした大搗は初戦こそ勝利したものの、続く原口伸戦でKO負けを喫した。しかし以降は2連続KO勝利を収めている。あの敗戦から何を得たのか。GRACHANの新しいフェザー級王者を決めるトーナメントを前に、MMAファイターとしての成長を訊いた。

昨年11月にDEEP大阪大会でプロデビューし、1Rにキムラで一本勝ち。今年3月にはGRACHAN/BRAVE合同興行で原口伸と対戦した。注目の若手同士の激突としてプロモーターが太鼓判を押した一戦は、期待に違わぬ大激闘となるも、大宮が1RにTKOで敗れている。あの試合から4カ月――再びGRACHANのケージに立つ大宮に、これまでのキャリアなどを訊いたところ、何やら強烈なキャラクターが見えてきた。


――本題の前に……写真の表情なども含めて、最近のALIVEにはキャラクターの濃い選手がいますね。竹本啓哉選手もそうですし、元ALIVEの松場貴志選手にしても(笑)。

「淡い中間の色が存在しないですね(苦笑)。松場さんの記者会見とかで物怖じしないところは凄いと思いますし、僕の今後の格闘技人生でも必要なのかなと思っています」

――いえ、そこはあまり真似しないほうが良いかと思いますが……。

「たとえスベったとしても、どんな状況でも冷静に対応できるという意味で、格闘技に向いているんじゃないでしょうか(笑)」

――アハハハ、そうかもしれないですね。大宮選手は宮城出身とのことですが、なぜ名古屋のALIVEに入会することになったのでしょうか。

「もともと高校で柔道をやっていて、卒業して自衛隊に入ったんです。でも自衛隊を離れる時に相談した高校の柔道部の顧問から、『知り合いが愛知県で柔術道場を開くので弟子を募集している』と声をかけていただいて。ずっと柔道以外の格闘技もやりたいと思っていたので、これはチャンスだと考えて二つ返事でOKしました。

そこから最初はALIVEとは別の道場で柔術を習っていたのですが、MMAをやりたいと思って、ALIVEを紹介していただいたんです」

――柔道を始めたのは高校からですか。

「いえ、中学からです。もともとは野球をやっていたんですが、中学からは何か格闘技をやりたいと思っていて。近くの中学校に柔道部があったので入って、僕の格闘技人生が始まりました。

とにかく道着の格闘技をやりたくて、空手部があれば空手を、少林寺拳法部があれば少林寺拳法をやっていたと思います。ただ、僕の中学校に武道は柔道と剣道しかなかったので、柔道を選びました」

――なぜ格闘技をやりたいと思ったのでしょうか。

「小学校の時に身内から漫画の『ジョジョの奇妙な冒険』や『グラップラー刃牙』を薦められたことがキッカケですね。ずっとバトル漫画が好きだったんです。『地獄先生ぬ~べ~』や『バオー来訪者』とか。最初は『ドラゴンボール』で、そこから『北斗の拳』や『聖闘士星矢』を見て、ジョジョや刃牙、『飢狼伝説』を知ってトキメキました。もう格闘技をやるしかないと」

――懐かしい漫画の名前が並ぶので、それについて語り合いたいところですが、話を戻します(笑)。その時点ではプロのファイターになりたいという意識はあったのですか。

「僕の家系は球技が得意で、僕も最初は必然的に野球をやっていたんですよ。でも僕だけ、うだつが上がらない状態で。他の家族は10のことを教わったら20できるようになるのに、僕だけは10のうち5ぐらいしかできなかったんですよね。

なのに柔道を始めたら、いきなり郡大会で優勝して。球技じゃなくて格闘技だ、格闘技で有名になるしかないと思いました。

そこから格闘技について調べていくと、ブラジリアン柔術、空手、MMAといろんな競技があることを知って。そのなかで当時流行っていた、ストリートファイターⅡのリュウとケンが着けていたグローブと似たようなものを使う競技はあるかな、と探したらMMAにたどり着きました」

――ストリートファイターⅡ、漫画の次はゲームですか。

「そうなんです。格闘技への入り口は、ほぼぼぼサブカルでした」

――ただ、ストⅡのリュウとケンは打撃系ですよね。打撃系競技をやりたいとは思わなかったのでしょうか。

「ストⅡの場合は、遠距離攻撃ができるダルシムが好きだったんですが、いろいろやっていくうちにブランカが好きになって。あとはガイルの肩の筋肉はどうやって出来上がるんだろうと思って、ひたすら腕立て伏せや綱登りをやっていました」

――なるほど……ゲームの話が続きそうなので、また話を戻していいですか(苦笑)。

「はい……(苦笑)。柔道でそれなりに結果が出た時に、今後は格闘技で食っていきたいという未来が見えました。それまで何をやってもダメだった自分に、一筋の光が差し込んできて、ようやく人生の希望が見えたんです。

そのまま柔道については、日本一を目指して練習していました。でも、なかなか勝てなくて。周りは僕より才能がある選手ばかりで、でも自分がそう思っている選手が全国では勝てない。だから高校を卒業する時に、自分が柔道で食べていくのは無理だと思いました」

――……。

「ただ、せっかく続けてきた柔道を生かせる仕事をしたいと思って、周りの人のアドバイスもあって自衛隊に入りました。でも、将来的にはMMAをやるつもりでいたんです。
もちろん自衛隊にいたら、安定した生活を送ることはできていたと思います。でも、それで安定しちゃったら自分はダメになると思って、すぐに辞めてしまいました。それで先ほど言った流れから、今はALIVEでMMAをやっています。

今となっては、早くに自衛隊を辞めていて良かったと思います。早いうちからALIVEで日沖発さん、久米鷹介さん、加藤久輝さんといった強い方たちに鍛えていただいているので」

<この項、続く>

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【Grachan56】岩﨑ヒロユキ代表に訊く-02-「僕は今、自分が死んでも続くものを残したい」

【写真】後世にMMAを残す鍵が、アマチュアということなのだろうか(C)GRACHAN

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56では、プロ大会終了後にアマチュア戦=GRACHANチャレンジが開催される。
Text by Shojiro Kameike

プロ興行と同様に、GRACHANチャレンジも開催数が増えている。そこで岩﨑ヒロユキ代表が、アマチュア大会を拡大していく理由を語ってくれた。

<岩﨑ヒロユキ・インタビューPart.01はコチラから>


――現状のワンマッチとは別にトーナメントを開催したいとのことですが、トーナメント制でも全てパウンドとエルボーは有りですか。

「そうです。だって、MMAですから。世界を目指すなら、やっぱりパウンドとエルボーには慣れておかないと。最近マルスジムの平大門代表と、西川大和は小さいころから様々な経験をしていたから今があるっていう話をしていたんですよ。彼の存在によって、それに気づかされました。

世界で活躍する選手を輩出したい、皆そう思っているなかで我々はどうするべきなのか。考えているうちに、自然とこのルールに落ち着いてきましたよね」

――そのGRACHANチャレンジを広めていくための仕組みも、頭の中にあるのでしょうか。

「アマチュアを広めていくためには、もう回数を重ねていくしかないですよね。ただ、予想以上に開催回数も参加人数も増えてきています。ルールは違いますけど、いずれアマチュア修斗さんと対抗できる形になっていくと思っています。

なぜかといえば、各ジム代表が以前よりも柔軟だからです。昔は、このジムならこの大会へ――という型にハマっていたじゃないですか。今はそうではなくなっている。あとは僕たちが大会を運営している背中を見せて、各ジムの代表さんに信用してもらう。口じゃなくて行動で見てもらうのが一番だな、ということが15年やってきて分かりました。

何より一番強いのは、たとえば大阪だとGRACHANに出てくれている手塚基伸や獅庵たちが自分のジムを持つようになってきたことです。彼らから話を聞いて、もっとアマチュア大会を開催してほしい、年2回はやってほしいという声もあります。これからもっと時代は変わりますよ」

――では、今後GRACHANチャレンジの大会が増えていくなかで、それらを全てケージで開催するのですか。

「そう考えています。たとえケージが小さくても」

――そうなると会場選びやケージ運搬の問題も出て来るかと思います。

「それは今、九州でGRACHANチャレンジを開催したいと思っているのですが、地元でケージを設置しているジムさんと相談しています。そういった場所を借りてジムファイトからスタートしたいと思っています。それで選手が増えてきたら、いずれGRACHANチャレンジと一緒にプロ大会も開催したいと考えていますね。

そこは段階的にやっていきます。アマチュア大会が認知されていくと、その場所で選手もお客さんも生まれてきますから。将来的にプロ大会の開催も夢ではないです。だから今後数年はアマチュア大会が重要になってくると思います」

――なるほど。プロ、アマに限らず大会数が増えていくと、必ずマンパワーの問題に陥ります。現在GRACHANチャレンジのほうは、どなたが管轄しているのでしょうか。

「アマチュアのマッチメイクも全部、僕ですよ。もうちょっと先が見えてきたら、人を雇うかもしれません(苦笑)。ただ、誰もやりたがらないんですよね。選手を集めるのは、宮田和幸君も手伝ってくれているから、楽になってきたんですけど……。北海道はマルスジムが新たにケージを設置する予定で、宮田君とは『仙台大会もやりたいね』と話をしています」

――そこまでアマチュア大会の全国展開を考えるキッカケは何だったのでしょうか。

「前に宮田君と一緒にインタビューしていただいた時にも言いましたけど、たとえ少しでも僕が関わっているところからUFC王者が出てほしい。それだけなんです。日本人選手がUFCのベルトを巻いている姿を見ながら、昔この選手はGRACHANチャレンジに出てくれていたんだよなぁ、とか」

――お酒を飲みながら、しみじみと。

「アハハハ。そうです、そうです。たとえば先日パンクラスのベルトを巻いた山北渓人選手って、昔GRACHANチャレンジのBクラスに出てくれたことがあるんです。もちろん彼は他のアマチュア大会も経験していますけど、ちょっとは自分も貢献できたのかなぁ、なんて自己満足ですよ(笑)。

今大会ではないですが、フェザー級トーナメントにエントリーしている和田健太郎は、純粋なGRACHANチャレンジ出身選手です。彼がトーナメントで優勝したら、それこそ初のGRACHANチャレンジ出身のGRACHAN王者が誕生します。

やっぱり強い選手を出すためには、とにかく経験が必要ですよね。GRACHANも昔はセミプロの選手もプロ扱いでバンバン出していましたが、GRACHANを広げていくための手段でした。それは間違いだったと、今は分かっています」

――それは平大門マルスジム代表もインタビューで仰っていましたね。最初は認知度を上げるために地下格闘技を謳っていましたが、大会を続けていくうちに選手のレベル差が大きくなって、仕組みを考えていくようになったと。

「やっていくうちに、気づいたということですよね。GRACHANも叩かれながら上がってきましたから。でも、だから今があるわけで。……僕は今、自分が死んでも続くものを残したいんですよ」

――……えっ!?

「GRACHANのプロ大会は、僕が死んだら無くなるかもしれません。でもアマチュアはそうならないように。僕がいなくても形として残る。出ていた選手がプロで勝ち上がることで、しっかり続いていく――そういうアマチュア大会をやっていきたいです」

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【Grachan56】フェザー級王座決定T=鍵山雄介戦、大搗汰晟-02-「憧れの朝倉未来さんと戦いたい」

【写真】フェザー級T初戦、ベルト奪取、RIZIN出場、憧れの朝倉未来戦という風に歩むことができるか(C)GRACHAN

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56で、鍵山雄介と対戦する大搗汰晟のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビューした大搗は初戦こそ勝利したものの、続く原口伸戦でKO負けを喫した。しかし以降は2連続KO勝利を収めている。あの敗戦から何を得たのか。GRACHANの新しいフェザー級王者を決めるトーナメントを前に、MMAファイターとしての成長を訊いた。

<大搗汰晟インタビューPart.01はコチラから>


――「大学の時に自分の中の最低目標をクリアできなければ柔道を辞める」と決めたとのことですが、その最低目標とは何だったのでしょうか。

「大学4年生の最後の大会で、関西で優勝することでした。先輩たちからも『関西は優勝して、全日本学生でベスト4位に入るんちゃう?』と言われているなか、関西のベスト16で負けたんですよ。それで柔道に対する気持ちが、ガラスのように割れてしまいましたね」

――その気持ちがMMAへと移っていったのは、いつ頃のことですか。

「関西のベスト16で負けて、気持ちの整理がつかない日々が続いていて、何も手につかない。人生そのものが面白くないなぁと思っていた時期に、RIZINで朝倉未来選手の映像を見たんです。

朝倉選手は、もともと不良だったじゃないですか。僕とは真反対の道を歩んできた人が、格闘技で成り上がってトップ選手になる。そういう道がカッコいいなと思ったんですよ。もともとKIDさんが好きで、MMAもよく見ていたので。そういうことが重なって、自分もMMAをやってみたいと心が動きました。今から3年前の話ですね」

――大搗選手が2020年『朝倉未来チャレンジ』に参加したのは、そういった経緯があったのですね。朝倉未来チャレンジ参加と自衛隊への入隊は、どちらが先だったのでしょうか。

「朝倉未来チャレンジのほうが先です。そこで落ちちゃったので……」

――柔道で納得のいく結果を残せず、朝倉未来チャレンジで落ちながら、自衛隊ではエリート部隊である第一空挺団に入ることができたわけですよね。そうなると、認められた世界で生きていこうと考える人も多いと思います。

「そうですよね。でも僕は、どうしてもMMAをやりたいっていう気持ちを捨てきれなかったんです。YouTubeで朝倉未来チャレンジで受かった人たちの動画がアップされるじゃないですか。おすすめに挙がってくると、どうしても目に入ってしまいます。見ていると、やっぱり悔しくて。

自分もMMAを始めて、朝倉未来チャレンジで受かった人よりも上に行きたい、っていう闘争心に変わりました」

――結果、2021年4月からMMAを始めて同年7月にはWardogでプロデビューし勝利しています。その2カ月後には原口伸選手と対戦して、KO負けを喫しました。

「あの試合は、やらかしたなぁ……と思いました。Wardogの試合で負傷していて、原口戦までの間にそこまで練習できていなかったんです。相手は凄い練習していると聞いていたのに、それでもイケるやろうと考えてしまったんですよね。いざ対戦してみたら、原口選手はメチャクチャ強かったです。

そこから自分も練習について考え直すキッカケになりました。あの時に負けておいて良かった、今はそう思います。

あの段階では、レスリングをベースとした選手との練習も少なかったです。自分はオールラウンダータイプか柔術ベース、あるいは打撃が強い選手ばかりでした。だから試合でも、原口選手がテイクダウンのために足を触りに来た時、自分の反応は遅かったと思います。レスリング出身者の中でも原口選手は実績が凄いし、実際スピードもメチャクチャ速かったですね」

―原口戦以降は2連続KO勝利を収めています。ご自身の中で、何か変化や新しく取り入れたものはあったのでしょうか。

「試合後にパラエストラ大阪へ入会しました。それとキャプテン☆アフリカさんやコブラ会の方とも練習させてもらうようになって、強い方たちと練習することで反応も速くなったし、戦い方も変わってきたなと思います。

あとは打撃の練習も足りなかったんですよね。もともと右利きで、柔道は利き手利き足が前になるから、MMAでもサウスポーに構えました。でもサウスポーで打撃を出すことに慣れていないところもあって。オーソドックスなら蹴りも出しやすかったんですけど……今もその部分は修正してきています」

――加えて、原口戦以降はケージレスリングの質も変わってきていますね。

「はい。先ほども言ったとおり、僕は柔道時代から、道着を掴むよりも体の力で投げるタイプでした。だから今はMMAでも相手のほうから組んできたら、逆にケージ際で自分が組みやすい体勢にもっていったり、テイクダウンを奪うこともできるようになっています。柔道でやってきたことをMMAに生かして、そのおかげで対戦相手も反応しづらいというのは感じますね」

――結果、投げてから袈裟固めで抑え込み、パンチで削るという勝利パターンが出来てきたわけですか。

「はい。もちろん勝ちパターンは、一つだけじゃないです。それは今後の試合で見せていきたいですね」

――なるほど。そういえばコブラ会の選手と練習しているとのことですが、鍵山選手は……。

「コブラ会所属ですよね(苦笑)。ただ、鍵山選手とは一度も練習したことがないんです。この試合のこともあって、最近はコブラ会の方とも練習していません。

試合を見るかぎり、鍵山選手はベテランで粘り強い選手だと思います。僕とは経験値の差があるので、そこは勢いと自分の形にもっていくことでカバーします。相手が驚くような、アッということをやりたいですね。そこで焦りが出てきたほうがミスしやすいし、ミスしてくれたほうが自分の形にもっていきやすいので」

――この試合はフェザー級王者決定トーナメント1回戦として開催されます。

「時代を変えたいですね。僕がGRACHANのチャンピオンになって、RIZINとかに出て活躍していきたい。だから、ここで負けるわけにはいかないと思っています」

――RIZINのフェザー級には、朝倉未来選手がいます。やはり憧れた選手と同じ舞台に立ちたいですか。

「正直言うと、朝倉未来さんと戦いたいです。自分が憧れた人と戦って、勝つことで僕たちの時代にしたい。そのためにも今は一戦一戦、大事に勝っていきます」

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【Grachan56】2度目の大阪単独開催、岩﨑ヒロユキ代表に訊く-01-「アマチュア大会が求められている」

【写真】GRACHANを継続するうえで様々な仕掛けを行っている岩﨑ヒロユキ代表。今回のテーマはアマチュアだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

8月7日(日)、大阪府豊中市の176BOXでGrachan56が開催される。GRACHANにとっては、これが昨年に続き2度目の大阪での単独イベントとなる。
Text by Shojiro Kameike

GRACHANの興行では毎回、プロの試合の前にアマチュアマッチ=GRACHANチャレンジが実施されている。昨年の大阪大会では25試合が組まれていたのに対し、今年は36試合が発表された。昨年の大阪大会開催に関するインタビューでアマチュアの開催について発言していた岩﨑ヒロユキ代表に、GRACHANにとってのアマチュアとは何かを訊いた。


――2度目の大阪単独イベントの開催が近づいています(取材は7月27日に行われた)。

「今回はプロの試合だけでなく、アマチュアの試合についても考えていきたいんですよね。今、GRACHANでもアマチュアの試合が多くなっています。アマチュア大会がどれだけ大事かということを理解していただいたほうが、今後の日本MMAの明るい未来につながっていくと思っていて」

――GRACHANでアマチュアの試合を行っていくという考えは、GRACHAN創設当初からお持ちだったのですか。

「いえ、当初はなかったです。僕も格闘技の大会についてはド素人だったので……。でもプロ興行を続けていくうちに、今後どうあるべきかというものが見えてきますよね。目先のことではなく、数年後のことを見て動いていると。そこで、おそらく日本のアマチュアMMAでエルボーを解禁したのは、GRACHANが初めてだったと思います。
日本のアマチュアMMAは、まずパウンドが認められていなかったじゃないですか。それだと採点も含めてMMAの基準から遠くなってしまう。そこでパウンド有りのアマチュアMMAを始めて、さらにエルボーも認めるようになりました」

――MMA、つまり北米のユニファイドルールですよね。アマチュアMMAでパウンドはもちろん、エルボーを解禁した時の周囲の反応はいかがでしたか。

「GRACHANも最初は地下格闘技系の選手が多くて。どんなルールでもバンバン試合したい選手が多かったので、パウンドもエルボーも抵抗はなかったです。ただ、当時は『GRACHANのアマチュア大会って大丈夫なのかな?』と言われていましたよ(苦笑)。

そのアマチュア大会に、いろんなプロファイターを輩出しているジムさんが選手を出してくれるようになったのは、時代の変化なのかなと思います。やはり北米のユニファイドルールを目指すならパウンドもエルボーも経験が必要だよね、ということで」

――アマチュア競技は、プロの試合以上に安全性が問われるものです。エルボーパット有りとはいえ、まだディフェンス技術の経験が足りないアマチュアでグラウンドのエルボーが有ると、選手が怪我を負うことなどは多くなかったのでしょうか。

GRACHANチャレンジは全てケージで行われている (C)GRACHAN

「GRACHANチャレンジにはA、B、Cと3つのクラスがあります。まずCクラスは、スタンドもグラウンドも顔面への打撃攻撃は無し。Bクラスは顔面への打撃攻撃は認められていますが、エルボーは無しです。

そのBクラスで経験を積んだ選手が、Aクラスに出るというシステムになっています。そうやって段階を踏むことができるシステムのおかげで、Aクラスはほとんどセミプロの選手が多くて。レベルも高くなっているし、選手のレベルという部分では問題がないと思っています。

あとは競技運営側として、危険な状態になれば早くストップするということしかないですよね。レフェリーは梅木良則さんのチームにお任せしていて、そこは徹底されています」

――その点が重要ですよね。競技の安全性は競技運営側が司るものであり、ルールやシステム、さらにレフェリーの動きが大切になってきます。

「もともと格闘技の安全性というものに、矛盾した部分があるじゃないですか」

――はい。MMAでいえば殴る、蹴る、投げる、極めるといった行為が入る競技です。

「するとレフェリングも重要ですし、選手のレベルによってクラスを分けることも大切なんですよ」

――システム上は、Cクラスを経験しないとBクラスには出られないのでしょうか。あるいはBクラスやAクラスから出場可能なのですか。

「そこは選手を出すジム代表の基準にお任せしています。アマチュア修斗とか他のアマチュア大会で経験を積んでいる選手が、結構いますからね。すでにアマチュアで強い選手がCクラスやBクラスに出ると、レベルが合わない場合もありますし」

――キックボクシングではRISEをはじめ、しっかりとクラス分けを行っているアマチュア大会が多いです。しかしMMAではクラス分けに着手するも、出場者が集まりづらいという問題も含めて、なかなか浸透してこなかったという歴史があります。岩﨑代表がアマチュアMMAのクラス分けを考えたのは、いつ頃のことですか。

「2、3年前ですね。Cクラスは、高齢の方でも試合ができるルールになっています。フルコン空手+グラップリングのようなルールで。それだけMMAの試合をやりたい方がいたので、そういった方向けのルールも必要なのかなと思ったことがスタートですね。あと、ルールでいえば全クラスで判定なしにしています」

――判定なし、時間切れドローという決着ですよね。判定決着なしにした理由は何だったのでしょうか。

「アマチュアの試合でもスプリットの判定になることがありますよね。でも、その試合で何が良かったのか、何が悪かったのかは自分で気づかないといけないものであって、第三者が決めるものではないと思うんです。スプリットでも勝ったから良かった--必ずしも、そうとは限らないわけで。

一本やKO決着はあります。決着をつけたかったら自分で行きなさい、そういうルールにしています。これはGRACHANチャレンジがトーナメントではなく、ワンマッチをベースにしているからです。あくまでGRACHANチャレンジは経験の場なので。

ただ、これはワンマッチの考え方です。いずれAクラスで戦績上位の選手を集めてトーナメントを開催することも考えています。トーナメントの場合は、判定決着ありになりますね。ワンマッチとトーナメントは分けて考えていきます」

――なるほど。

「そうやってきたなかで、今回の大阪大会ではアマチュアの試合に85名の応募がありました。近い日程で西日本でも他のアマチュア大会が行われていていますし、今はアマチュア大会が求められているんだなって感じています。もっと多く……日本各地で開催できるようになればいいですよね」

<この項、続く>

■GRACHAN56視聴方法(予定)
8月7日(日)GRACHAN放送局

■ GRACHAN56対戦カード

<無差別級T1回戦/5分2R延長1R>
荒東 怪獣キラー 英貴(日本)
岡本純一朗(日本)

<フェザー級T1回戦/5分2R延長1R>
鍵山雄介(日本)
大搗汰晟(日本)

<ライト級/5分2R>
林 RICE 陽太(日本)
大宮優(日本)

<フライ級/5分2R>
永井美自戒(日本)
小林大介(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
中嶋紳乃介(日本)

<ウェルター級/5分2R>
青木忠秀(日本)
遠塚浩希(日本)

<バンタム/5分2R>
ミランダ亜廉(日本)
安部路人(日本)

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Grachan56 HEAT50 MMA MMAPLANET o アンディコング イゴール・タナベ ラデック 佐々木克義 大搗汰晟 小島勝志 崎山勲 村田俊 鍵山雄介

【Grachan56】大阪~札幌~千葉。フェザー級&無差別級T初戦決定。50歳=櫻井隆多がラデックと対戦!!

【写真】正直、無謀だ。でも、自分で決めたことを全うしてほしい (C)MMAPLANET

8月7日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56及び、8月28日(日)=札幌市のグローヴビスアクアスタイル」大会、9月4日(日)=千葉市CG幕張ベイパークアリーナで開催される無差別級とフェザー級の王座決定トーナメント1回戦の全容が明らかとなっている。

昨年8月に続き、大阪単独興行となるGrahan56では無差別級Tは荒東”怪獣キラー”英貴✖岡本純一郎、フェザー級Tは鍵山雄介✖大搗汰晟という2試合──そして優勝候補の大阪在住ファイターの登場となった。


3週間後の北海道大会は会場の都合もあり、ケージではなくリング使用イベントとなり、無差別級Tでズール✖ハシモト・ブランドン戦が組まれている。

さらに1週間後の千葉大会は無差別級Tが2試合とフェザー級Tでは3試合がマッチアップされた。

フェザー級の3試合は小島勝志✖和田健太郎、高橋隆徳✖村田俊、崎山勲✖萩原一貴、無差別級は瓜田幸造✖佐々木克義、そして櫻井隆多✖ラデックが決まった。

HEAT50でイゴール・タナベと対戦予定だったが、負傷欠場→代役出場のアンディコングが体重オーバーで結果として試合が中止となってから4カ月、驚きの無差別級トーナメント出場だ。50歳を迎えてなお、イゴールと戦うつもりだった櫻井は「何歳になっても落ち着くことはない」と戦闘意欲を示していたが、繰り返し無差別級T出場は驚きだ。

櫻井の正確な通常体重は分からないが、ラデックは完全なヘビー級で、体格差は絶対だ。ラデックのその場で打つの左の威力と、前蹴りを切り崩す術を櫻井は持っているのか。五十路のチャレンジに要注目だ。

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