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【Grachan71】足立晃基 with MIKE。MMA甲子園からプロへ「デビュー戦が決まって気持ちも変わりました」

【写真】首都圏、いや京阪神、名古屋、福岡とも違う奈良のMMA進化論(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区の有明TFTホール500で開催されるGrachan71で、第1回MMA甲子園フェザー級優勝者の足立晃基が、内山国光とのプロデビュー戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike

(C)MMA KOSHIEN

奈良県在住の足立は高校在学中、元グラジエイター王者のMIKEが主催するM3A FITでMMAを学び、今年2月のMMA甲子園第1回全国大会を制した。

その足立と、師であるMIKEに選手育成とMMA甲子園での経験について語ってもらった。


「格闘技ジムってプロ志望で入ってきた子のほうが早く辞めるのが定説」(MIKE)

——MMA甲子園優勝者としては、足立選手が初のプロデビューとなります。まず足立選手がMMAを始めたキッカケを教えてください。

足立 MMAを始めたのは16歳の時です。小学生の時に少しだけ空手を学んでいたことはありますが、それ以外はずっと体操をやっていました。

——なぜ体操からMMAに転向したのでしょうか。

足立 当時ずっと通っていた体操教室が、かなり厳しいところだったんです。精神的に疲れてしまって、体操を辞めてから1年ぐらい何もしていませんでした。でも体を動かすのは好きやったし、当時何となくUFCとかの動画を視始めて。『良いな、格闘技やりたいな』と思って、高校受験が終わって進学すると同時にジムに入りました。

——MIKEさん、体操経験者ということで他の一般会員さんとは体の動かし方も違いませんでしたか。

MIKE それが……入ってきた時は週1回、少し体を動かす程度だったんですよ。特に試合をしたいというわけでもなくて。それも毎週来る時もあれば、一時期来なかったり、また来始めたという状態が1年ぐらい続いていました。

足立 僕が入った高校は全員が絶対に部活に入らないといけない学校で、自分もハンドボール部に入っていて。部活が忙しくて――あと勉強も全然できないので、補修とかも受けていました(苦笑)。

MIKE 週1しかジムに来ていなかったけど、僕も打撃のトレーナーも「結構シャープな打撃をやるなぁ」と思っていたんですよ。それでウチのジム主催大会「M3 CUP」を始める時、足立君に「大会やるけど出る?」と聞いたら「あぁ、あぁ」みたいな感じで(笑)。

足立 もともとMMAをやりたかったんですけど、その頃は参加できるのが土曜日のキックボクシングクラスだけで。だから初めてのMMAの試合は、とりあえず組みは捨てていました。

MIKE 初めての試合ですし、組まれて負けても仕方ない。まずは経験してみることが大事だ——と思っていたら、まさかの反則負けで。

——えっ!? どういうことですか。

足立 M3AカップのMMAルールは、グラウンド状態の打撃が禁止なんです。なのにボディへのパウンドを打ってしまい、失格負けになってしまいました。分かっていたつもりだけど、体が勝手に動いてしまって……すみません。その試合から組みの練習をし始めて、今は組みが中心の選手になりました。

——なるほど。MIKEさんとしては足立選手に対して最初から、プロになってほしいと思っていたのでしょうか。

MIKE う~ん……、何て言うんでしょうね。格闘技ジムってプロ志望で入ってきた子のほうが早く辞めるのが定説に近いじゃないですか。僕も東京にいた頃、プロ練に行くと「おっ、新しい人がいる!」と思っても、1カ月後には来なくなったり。奈良で自分のジムを開いた今でも、自分より遥かにセンスが良い選手が入ってきても、いつの間にか来なくなる。20年間そういう状況を見てきました。

そんななかで足立君もMMAをやりたそう。でも「プロになることを勧めたらプレッシャーに感じてしまうかな……」と思って、最初は様子を見ていました。始めたばかりだし、楽しく参加してもらったほうが長く続けてくれるのかなと思って。

——そして入会から1年後、M3A CUPをキッカケにプロへの道を歩むことになる。まさにMIKEさんが考えた通りに進んでいったわけですね。

MIKE プロ志望で入ってくる子たちは、格闘技を楽しめていないことが多いと思うんですよ。「何がなんでもプロになるんじゃ!」みたいな。もちろんプロになるためには、それぐらいの覚悟は必要なんだけど――でも、いざプロ練に参加してみると、レベルの高さに圧倒されたり。特に東京はレベルが高いですしね。奈良という地方都市では、それは余計に難しいんじゃないかと考えました。

「ここで負けたら『MMA甲子園なんて所詮は高校生の大会だろ』と言われちゃうよ」(MIKE)

「それを言われるのは絶対に嫌です!」(足立)

——確かに、そうかもしれません。足立選手はMMA甲子園に出場する前、M3A CUP以外でアマチュアMMAの経験はあったのですか。

足立 アマチュアグラジエイターとアマチュア修斗に出ていました。一度だけ勝って、あとは全敗でした。

——1試合以外は全敗! その状態でMMA甲子園のトーナメントに参加することに不安はありませんでしたか。もう少し準備してから……とか。

足立 もともと3週間に一度ぐらい試合をしていて。とにかく試合で経験を積みたかったんです。だから「高校生だけの大会がある」と聞いて、すぐに出たいと思いました。

MIKE 僕の考えとしては、最初の1~2年はとにかく試合に出る。勝ち負けはどうでも良くて、とにかく試合に出るというスタンスのほうが良いのかと思っていました。そうしていると足立君が「MMA甲子園の初代王者になりたい」と言い始めたので、あの頃から意識も変わってきたかもしれないですね。今から考えると。

足立 やっぱり一つの目標があるのは大きかったです。特に「初代」という肩書は大きくて(笑)。あとは自分と同じ高校生と戦う、という点も大きかったですね。「同じ高校生だったら負けない」という気持ちはありました。

練習の強度もどんどん上げていったし、今まで負けていた分「勝ちたい」という気持ちも強くなって。あとは試合をするごとにスタイルも変わってきました。それまでは「組みたい」という気持ちが強すぎたんですけど、ちょっとずつ打撃も上達していって。

(C)MMA KOUSHIEN

実戦で試しながら、自分のスタイルが出来てきました。

MIKE ただ、僕としては今回のプロデビューに対して不安はあったんです。自分と同じ高校生に勝っているだけで、まだ大人との試合で勝ったことがない。その状態でプロデビューというのは――。

でもプロデビュー戦が決まったら、ますます練習に対する姿勢も変わってきて。MMA甲子園のあと今年7月、アマ修斗四国選手権に出て優勝したんですよ。2回戦以外は全て一本かKOで勝ったので、僕の中でもプロデビューに自信を持つことができました。

足立 MMA甲子園の前にアマチュアの試合に出ていた時は、試合前に体が硬くなっていました。結果が全ての世界やから、とにかく結果を出さないと――と自分を追い込みすぎたというか。でもMMA甲子園で優勝したあとアマチュア修斗に出る時は、気持ちは違いましたし、プロデビュー戦が決まって自分の気持ちも変わりました。

——そのMMA甲子園を経て、今回プロデビューに至りました。対戦相手の内山選手はGrachanチャレンジで経験を積み、足立選手と同じく今回がプロデビュー戦です。

MIKE ここで負けたら「MMA甲子園なんて所詮は高校生の大会だろ」と言われちゃうよ。

足立 それを言われるのは絶対に嫌です! 自分もプロデビュー戦は絶対に負けません。いつもどおりの試合をして、圧倒的に勝ちます。

■視聴方法(予定)
9月15日(日)
午後13時30分~ GRACHAN放送局

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【Eternal MMA & Grachan】豪州で王座奪取月、伊藤空也「どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて」

【写真】GrachanでのストーリーとEternalのストーリーを描いている点も、好感が持てる (C)TAKUMI NAKAMURA

Road to UFC準決勝で日本人4選手が全滅という結果に終わるなか、さかのぼること約2カ月半前、6月8日に豪州はパースで開催されたETERNAL MMA85で伊藤空也がロッド・コスタをスプリット判定で下して、同団体の豪州バンタム級王座のベルトを巻いた。
text by Takumi Nakamura

テイクダウンやコントロールよりも打撃・ダメージが明らかに評価されるようになった最近のMMA。伊藤はコスタにテイクダウンを許しながらも確実にジャブとカーフキックでダメージを与え続け、要所要所のビッグヒットやラッシュで攻勢を印象づけ、ジャッジの傾向を味方につけて勝利を引き寄せた。

改めて伊藤にコスタ戦を振り返ってもらいつつ、今後の展望、そして海外でのタイトルマッチで感じたことを訊いた。


――試合からしばらく経ってしまいましたが、改めてEternal MMAでの王座戴冠劇を振り返っていただきたいと思います。この試合は黒帯柔術家のロッド・コスタと対戦して、スプリット判定で勝利しました。ご自身で試合映像を見返して、どんな試合だったと感じましたか。

「世界的にもユニファイドルールの判定基準が変わってきて、今は打撃寄り・ストライカー有利じゃないですか。そのなかで対戦相手のコスタが、黒帯柔術家で1本勝ちが多い選手で、僕とは真逆のファイトスタイルだったと思うんですね。

正直1Rは取ったと思ったのですが、2R~5Rは相手がテイクダウン&トップキープしてきた試合だったと思います。そのなかで僕は相手のグラウンドを凌ぎながらパンチを当てていて、自分の方がダメージを与えていたなと思います。それが判定にも反映されたと思うのですが、『スプリットディシジョン…』とコールされた時は正直負けたと思いました。

でも結果的には僕の方にポイントが入っていて、打撃寄りの判定基準だったらそうなるかなとは思いましたね」

――今回の取材前に試合映像を見直したのですが、僕もコスタの組み技よりも伊藤選手の打撃が評価されるなら伊藤選手の勝ちだなと思いました。ただし試合が行われた時点では、今ほど打撃の方が評価されるという傾向はなかったので、伊藤選手自身が負けたと感じたのも納得できます。

「Grachanの岩﨑(ヒロユキ)代表も現地入りしていて、日本人数名で試合を見ていたそうなんですけど、判定になった時は僕が負けたと思ったそうです。だからもしかしたらあの試合で僕が負けると思うのが日本人の感覚なのかもしれないですし、選手はもちろんセコンドも今までの考え方を変えなければいけないと思いました。 

僕もあとで試合映像を見直したら、僕が与えたダメージを(ポイントとして)取ったんだったら、そういう判定になるのかなと思うし、テイクダウン・コントロールするだけでは評価されない時代なんだと思います」

――実際にコスタ戦では相手の相性もあったの思うのですが、打撃で削って見せ場を作ることを想定していたのですか。

「5Rあったので、打撃で削る作戦でした。コスタは本当にしつこかったし、ケージ際での細かい技術は上手かったんですけど、僕もそこはひたすら練習していたところだったので、何とか対応できたかなと思います。コスタは常にバックを狙っていて、少しでも僕が気を抜いていたらバックを取られていたでしょうね」

――コスタが狙っていたのはバックコントロールですか。

「そう思います。僕はバックを取られたら致命的だと思ったので、もしそうなったらそのラウンドは捨てようと思っていたんです。でもそこでバックを許さずに凌ぎ切れたので、ちょっとそこは自分で自分を褒めてあげたいです」

――背中を見せて立ち上がるよりも、バックを取らせないことを一番意識していたのですか。

「はい。あと試合をやっていてコスタがすごく力を使っているのが分かったんです。だからグラウンドを凌いで、スタンドになったら細かいパンチを当てる。そこを考えて戦っていました」

――打撃の手応えはいかがでしたか。

「4Rに僕のパンチ、おそらくジャブか右のクロスだと思うんですけど、それでコスタの鼻が折れちゃったんですよね。インターバル中に必死に止血していたし、おそらくあれ以降は血で鼻呼吸もできていなかったと思います。そのくらい組んだ時にコスタの息が荒くなっているのを感じました。ただ僕も5Rは未知数だったのでかなりしんどくて。3Rを過ぎてからはラウンド数がどうでもよくなるというか、ゴールのない水泳をやっているような感覚なんですよ」

――3Rに慣れていると、4R以降をどういう感覚で戦えばいいのかが分からないんですね。終わりをイメージできないというか。

「そうですね。自分としては5R用の練習をしてきたんですけど、試合での5Rの戦い方や時間の使い方があるんだなと思いました」

――ただ伊藤選手も大きなピンチにハマることなく5R戦い抜きましたよね。

「3Rにマウントを取られたんですけど、あれもマウントを取られただけと言えば取られただけで。特にダメージを受けていないので、そこまで評価されてなかったんだと思います。マウントとかいいポジションを取っても確実にダメージを与えるか、サブミッションでキャッチが入るくらいじゃないと厳しい時代ですよね」

――テイクダウンや寝技の対応など、この試合に向けて取り組んできたことは出せましたか。

「かなり出ましたね。この試合に向けて、とにかくグラップリングを強化しようと思って、トライフォースさんにお世話になって、そこで組み技の選手とたくさん練習してきたんです。それが活きたと思います。打撃に関しては1Rで感覚が掴めたので、そこは問題ないだろうと思いました」

――しっかり打撃で距離を取ることも意識していましたか。

「はい。具体的にはジャブとカーフキックですね。それで近い位置にはいないように遠い間合いで戦って、そこで削りながら右の強打やハイキックを当てる作戦でした。お互い体力的にきつくなって、後半は四つで組む場面もありましたが、そこで細かいヒジも当てられて、あれも良かったです」

――ポイント的にはスプリットでしたが、自分がやるべきことはできた試合だったようですね。

(C)ETERNAL MMA

「でも5Rにラッシュを仕掛けなかったら負けていたと思います。

あのまま展開が変わらずに判定になっていたら負けると思っていたので、あれはもうとにかく攻撃しようと思って必死に手を出しました」

――試合後に現地のプロモーターとは話はできたのですか。

「はい。相手のコスタが豪州在住なので、地元のお客さん的には僕が勝って微妙な雰囲気でしたけど、プロモーターからはすごく評価してもらいました」

――海外の団体でベルトを巻いたことは伊藤選手にとって大きなターニングポイントになったと思います。

「ひとまず僕の格闘技キャリアの中では大きな集大成を1つ作ることができたと思います。ただこれで終わりじゃないし、次は防衛戦になるので、そこでしっかり勝って、さらに次ですよね」

――今回の王座奪取で今後の可能性も大きく広がったと思うのですが、今はどんなことを考えていますか。

「おそらく12月にGrachanでタイトルマッチがあるので、TSUNE選手に勝ってベルトを奪還すること。そのあとはGrachanのストーリー的には手塚基伸選手にリベンジしたいと思います。そこも視野に入れつつ、Eternal MMAでベルトを防衛していきたいです。試合後にプロモーターと防衛戦の話をしましたし、次はストライカーがいいんじゃないかということで何人か候補も出てきているんですよ。僕も是非次はストライカーとやってみたいです」

(C)ETERNAL MMA

――今年のRoad to UFCはベスト4で日本人が全滅し、厳しい結果が出ました。伊藤選手は海外で戦うことをどうとらえていますか。

「僕もこの間のRTUは見ていて歯がゆかったですし、選手たちはもっと歯がゆかったと思います。実際に原口伸も帰国した次の日から練習しましたからね。僕自身、伸は負けてないと思いますけど、日本人がああいう結果になったということは海外とは差があると感じますし、そこで圧倒的に力の差を見せつけられる何かを身につけなければいけないと思いました。僕も前回は勝つことが出来ましたけどギリギリだったし、どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて、これから練習を続けていきたいと思います」

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【Road to UFC2024 Ep06】準決敗退、原口伸の胸中は。「色んなことが吹っ切れました」&「RIZINで」

【写真】次の舞台はRIZINかEternal MMAか……それとも (C)TAKUMI NAKAMURA

8月23日(金・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたRoad to UFC2024 Ep06 & Ep06=Road to UFC Season03 Semi Finalsにて、フェザー級準決勝で原口伸がチュウ・カンチエにスプリット判定で敗れた。
text by Takumi Nakamura

試合の大半でテイクダウンを仕掛け、グラウンドでコントロールしていた原口だったが、ジャッジが評価したのは細かい打撃を当てたカンチエの方だった。最近のMMAは打撃偏重と言われ、原口自身もそれを頭に入れて準備をしてきたうえでの敗戦。

納得いく判定ではなく、Road to UFC(以下、RTU)敗退という結果を受け入れるまでに時間がかかる試合だった。あの敗戦から約5日後、米国から帰国した当日から練習を再開していたという原口に話を訊いた。


――RTU準決勝のチュウ・カンチエ戦がスプリット判定負けという結果に終わりました。原口選手がテイクダウンを仕掛けてコントロールしている時間も長い試合展開でしたが、それがジャッジには評価されなかったという形です。率直に今はどんな心境ですか。

「やっぱり『納得いかねえな』という本音はあります………あるんですけど、自分のファイトスタイルなど色々と見直すきっかけにはなったかなと思います」

――試合中はどんなことを考えながら試合をしていたのですか。

「1Rは思ったようにテイクダウンできなくて、上からヒジをコツコツ当てられてしまって。目立った攻撃をされてはいないけど、自分もいい見せ場は作れていなかったので、相手にポイントがついたと思いました。それで2Rは半分以上は自分のターンだったし、相手も打撃を繰り出してきたんですけど、ほとんどブロックしていたんですよ。

1発だけストレート?を軽く当てられたんですけど、それは全く効いていなくて。客観的に見て自分の方が印象がいいラウンドだったと思いました。で、3Rは完全に自分が取ったと思います。セコンドとも2Rが終わったあとのインターバルで話を聞いて、セコンドからも『2Rは取っている』と言われて、自分と同じ認識だったと思います」

――では原口選手としては2・3Rを確実に取ったという判断だったんですね。

「そうですね。3Rも10-8でもおかしくないような展開だと思うんで……はい(苦笑)」

――ただし結果はスプリット判定となり、カンチエに軍配が上がりました。

「スプリット・ディシジョンと聞いた瞬間、めっちゃ嫌な予感がしたんですよ。そうしたら案の定、相手の手が上がっていて……。ただ相手陣営は相手陣営で判定を待っているときはみんなお通夜みたいな顔してたんです。それを見て僕は勝ったと思ったし、選手と陣営はお互いそういう予想をしていたのかなと思います」

――この結果をどう受け止めていますか。

「自分の中では2つの感覚があって、1つは今回の試合に関しては勝負に勝って、試合に負けたんだなと。でも負けは負けなんで、自分が決着をつけられなかったという反省点もありますし、1本取るかパウンドアウトしていればよかっただけの話です。だから仕方ないなという部分もあります。

もう1つはシンプルに、あの試合内容で勝ちにならないんだったら色んなことが吹っ切れました。今回もそうなんですけどRTUに2年連続で出場して、どうしても戦い方が勝ちにこだわるスタイルになっていたんです。そこを追及して、ああいう判定になるんだったら、もうレスリングやコントロールに固執する必要はないなと。自分がやりたいようにやって、打撃でもガンガン行くし、失敗してもいいから寝技でもガンガン極めに行こうと思いました」

――戦い方を微調整するのではなく、考え方そのものを変える必要があると。

「今回の試合前に分かっていたことではあるんですけど、 実際に自分がこういう事態に直面して。今は心のそこから自分のやりたい格闘技をやればいいんだと思えていて、今が一番人生で格闘技を楽しめているかもしれません」

――勝つための格闘技じゃなくて好きな格闘技をやるということですか。

「そうですね。良くも悪くも考えがアスリート的になっていたというか、勝つために手堅く行きすぎたという部分は確実にあって、勝たなきゃ意味がない・結果を出さないといけないという考えに縛られすぎていたと思うんです。でもあの負けを経験してその呪縛から解放されて、なんかこう…次はバチバチに行ったろうかな!という気分になれています」

――フィニッシュすれば試合は終わるし、そこまで行きつかなくても、そのための動きが評価されるのであれば、その通りに戦いますよということですね。

「はい。今回の試合でも、いくら僕と周りの人たちが『伸が勝っていたよ』と言ってくれても、負けは負けじゃないですか。だったら今の判定基準に合わせるしかないし、そういう時代(判定では打撃やダメージが評価されやすい)になったんだと思います」

――そこも踏まえてどんなことを意識して練習していこうと思っていますか。

「僕の場合はとりあえずレスリングは一旦置いておいて、打撃とグラップリングだけに重点を置いてもいいのかなと思います。僕の強みはレスリング・コントロール力だと思うのですが、そこに頼らない、そこに逃げない練習をしたいです」

――ある意味、練習でやるべきことが明確になりましたか。

「すごく今は清々しいんですよね。本当に判定には納得していないし、あの結果を落とし込むのにも時間はかかりました。でもそれを一旦置いておいて、もっとシンプルに格闘技の技術という面においては『俺、めちゃくちゃ伸びしろあるやん!』という風に捉えています。だから今は自分で自分が楽しみです」

――すぐ試合が終わってすぐ練習も再開したのですか。

「練習しないと居ても立っても居られないというのではなくて、自分自身に伸びしろをすごく感じたので、どこかに遊びにいくような感覚で練習をしたいと思って。帰国したその日にボクシングトレーナーに連絡して、ジムでミット打ちをやっていました(笑)」

――帰国したその日ですか。

「はい。試合の次の日の朝6時半くらいには日本に到着したんですけど、昼にはトレーナーさんに連絡していましたね。『今日って練習できますか?』って。そのくらい練習したくてしょうがなかったです」

――さてRTUでの戦いが一段落して、これからはどこを目標にして試合をしていこうと考えていますか。

「よく勘違いされがちなんですけど、僕は海外で試合することにこだわりがあるわけではないです。UFCを目指すという目標は変わらないですし、そこにたどり着くまでの過程として試合をしていきたい。もしRIZINでチャンスが来るんだったらやってみたいし、引き続き海外でもチャンスがあるならやってみたい。
そこは割と柔軟に考えていて、舞台問わず、強い選手と戦って成長できればという感覚でいます。海外志向になりすぎると考えの幅を狭めることになると思うので、チャンスを与えられたところで結果を出す。どの団体で試合をやるにせよ、勝ち続ければ上に行けるわけですし、道は切り開けると信じています」

――実は原口選手は日本国内ではGrachanとVTJにしか出ていないんですよね。

「そうなんですよ。出ていない大会の方が多いので、色んなチャンスがあるのかなと思います」

――では試合のチャンスを待って、次の試合に向けて準備していくという形になりそうですね。

「はい。本当にまだ先のことは何も分からないので、さっき言った通り、強ければ道は開けると思っています」

――国内の団体ではRIZINがビッグプロモーションとして存在していますが、RIZINのことは意識していますか。

「試合が終わった後にX(Twitter)でもRIZINで見たいですというリプやメッセージをたくさんいただいて、もしオファーをいただけるなら全然出たいと思います。海外で言ったら、同門の伊藤空也選手が豪州のEternalMMAでベルトを獲ったんですけど、EternalMMAからUFCに行った選手もたくさんいるので、そういう大会に向けても準備していきたいです」

――それでは最後に次戦に向けての意気込みをいただけますか。

「出来れば年内もう1試合やりたいと思っていますが、いい意味でこだわりを持ちすぎず、自分が強くなることを考えて試合のチャンスを待ちたいと思います」

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45 AB DREAM Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 RIZIN YouTube 中村京一郎 修斗 児山佳宏 山内渉 山本琢也 岡田達磨 岡野結城 手塚基伸 松場貴志 海外 笹晋久 鍵山雄介 髙谷裕之 齋藤翼

【POUNDOUT01】髙谷裕之が新イベント開催!! 山内渉&中村京一郎揃い踏み。山本琢也もライト級で再起戦

【写真】格闘DREAMERSの1期生と2期生。髙谷チルドレンが集結する(C)MMAPLANET

27日(火)、Gグローバルより10月5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUT旗揚げ戦の開催と対戦カードが発表された。
Text by Manabu Takashima

同大会を主宰するのは「格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています」という髙谷裕之だ。髙谷といえば2022年4月にLDHマーシャルアーツの格闘技プロジェクトの一環として、対世界を目指す若い選手を世に送り出す──格闘DREAMERSと連携したPOUNDSTORMを開催したが、その後は人材育成大会として開いていたEX FIGHTと共に活動は停止していた。

今回のPOUNDOUTは企画としては上記の試みとは一線を画しているのは明らかだが、髙谷の格闘技に対する軸にはブレはない。リリースで9試合と1名の出場選手の名前が記されており、ずばり髙谷人脈にGRACHANが協力という形でイベントが実施されるような形だ。


(C)SATOSHI NARITA

髙谷の城というべきFIGHTFARMからは昨年11月の修斗フライ級王座決定戦以来の実戦復帰となる山内渉、齋藤翼、そして樋口幹太が出場。

EXFIGHTから中村京一郎、SAI-GYMから岡田達磨とDRAMERS系ファイターの名前が見られ髙谷チルドレンが集まる。そこに上記にあるようにGRACHAN畑のファイター、THE BLACKBELT JAPAN、マッハ道場、津田沼道場など千葉系列が揃う。

山内は元GRACHN & GRANDフライ級王者の松場貴志、中村京一郎は鍵山雄介という一筋縄にはいかないファイターとの対戦が決まっている。山内としては松場がかつてのような徹底して組んでコントロールというファイトを仕掛けてくると、これまでに経験がしたことがない試合展開になるやもしれない。

格闘代理戦争で強さを見せた中村は超RIZINでも、海外でもなく鍵山戦を迎えることになる。MMA打撃能力の高さは周知のところといって良い中村は、柔術家の組みへの対処も3分3Rという戦いのなかで見せている。では1R5分の時間軸のなかで、しつこさに定評のあるベテランとの戦いはどうなるのか。その辺りが焦点となる鍵山戦だ。

さらにはバンタム級で手塚基伸×笹晋久という渋すぎる実力者対決。さらにさらに齋藤✖児山佳宏、ここで復活か──という山本琢也×岡野結城の千葉✖茨城ライト級対決も見ものだ。

「名前を上げたいなら、力で掴み取れ」、「ジムを創るならクラファンに頼るな」という髙谷節が聞こえてきそうなカードが揃ったPOUNDOUT。その旗揚げ戦に向けての髙谷のコメントは以下の通りだ。

髙谷裕之
「僕自身、格闘技との出会いが人生を大きく変えてくれました。それは、ただのスポーツではなく、僕の人生に新たな道を切り開いてくれたものです。格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています。この力を皆様にも感じていただきたく、今回のPOUNDOUTを開催することを決意しました。

POUNDOUTでは、本当の強さを求め、自分の限界に挑む選手たち、そして世界に挑戦する勇気を持つ選手たちを応援しています。彼らの熱い戦いを通して、格闘技が持つ無限の可能性と感動を感じていただければ幸いです。

地元千葉から世界へ。新たな挑戦の瞬間を、皆様と共に作り上げていきたいと心から願っています。どうぞ、僕たちと一緒に格闘技の力を感じ、選手たちに熱い応援をお願いします。皆様のご声援が、彼らの力になります。よろしくお願いいたします」

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45 Grachan Grachan70 MMA MMAPLANET o Wardog YouTube   ライカ 今村豊 土屋諒太

【Grachan70】Wadrog新代表・今村豊が語る自身の活動と土屋諒太「陸自で徒手格闘をやっています」

【写真】今村と奥様の美紀さん。「ジムは嫁さんがつくった」という言葉の意味は――衝撃の事実も発覚する(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan70で、今村豊が有田一貴と対戦予定だったが今村が負傷欠場に。代役として土屋諒太が有田と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今村は現役のMMAファイターであると同時に、7月からMMA大会Wardogの代表に就任した。建築業を営みながら現役ファイター、プロモーター、そしてジム(ポーラージム大阪)運営と、それぞれ活動していくことに。代表就任後、第一弾大会となった7月28日のWardog48とWardog49(昼夜興行)を終えた今村に、今後の活動と土屋諒太について訊いた。


選手、プロモーター、ジム、建築業を全部やる――そう思いました

――ワードッグ新代表に就任し、今村体制の第1回大会が終わったことを受けてのインタビューとなります。

「ありがとうございます。ただ実質的には次回の第50回大会(10月27日、大阪世界館)が、僕がやる最初のワードッグになります。Wardog48とWardog49は、もともと柿原勇気会長が段取りを進めていたんですよ。マッチメイクも5割ぐらい進めていて。それが急きょ、僕に連絡が来て……」

――6月30日、柿原さんがSNSで「一身上の都合により格闘技界より身を引く」と発表しました(その後、7月30日にワードッグの海外渉外として復帰)。本当に「急きょ」でしたね。

「そうなんですよ。僕は日中、建築の仕事をしていて。現場にいる時に柿原会長から電話があって『ワードッグの代表を引き継いでほしい』と。『細かいことは後々説明するから』ということで、ひとまず引き受けました。それが大会(7月28日)の1カ月前ぐらいですね。

代表として初めて携わった7月28日のWardog。今村本人はかなり緊張した表情だ(C)WARDOG

そのあと柿原会長と話をしながら、まずマッチメイクは5割ぐらい進んでいるから、残り5割を僕がやっていく。あとは事務所に通い、話を詰めていきました。あとは大会当日、役割分担と会場の動きを確認しながら、ずっとやってきているスタッフの方に分からないことを聞いていきました」

――柿原さんから電話があった時点で、今村選手は8月18日のGrachan出場が決まっていました。選手として試合を向けて練習しながら、大会の準備を進めなければいけない状況に……。

「周りからも『無理や』と言われました。でもグラチャンの試合は、ワードッグの代表になる前から決まっていたことですからね。ワードッグ代表就任が発表されたあと、グラチャン代表の岩﨑ヒロユキさんから連絡をいただいたんですよ。『ワードッグの代表になったら、選手としてはどうするの?』と。僕は選手を続けたいし、ジムの代表としてグラチャンにも選手を出させてほしいと伝えたら『あぁ良かった』と言ってもらえました。

ただ、葛藤はありました。僕は戦い続けたい。でも選手とワードッグ代表、どちらも中途半端になるんじゃないか。そう考えていたら、今回グラチャンは欠場になってしまって……」

――はい。今回はグラチャン出場選手としてインタビューをお願いしていたのですが、日時は決まったあとにグラチャンサイドから今村選手の負傷欠場が発表されました。

「いろいろと、すみません……。もともとヒザを怪我していて、『これは――』と思って病院に行ったタイミングで岩﨑さんに連絡しました。診断としてはヒザの内側靭帯が損傷していて、申し訳ないですが今回は出場を見送ることにしました」

――やはり選手兼プロモーターは難しい面があります。柿原さんから電話があった時、どちらを選ぶかという考えはなかったですか。

「全部やる――そう思いました。選手、ワードッグ代表、あとはジムもそうですし、建築業の会社もやっていて。どれも中途半端な形ではなく、全て自分が先頭に立ってやっていくとしか考えていませんでした。

でも正直、ワードッグ代表を引き受けたあとに『これ全部できるんかな?』とは思いました(苦笑)。おかげさまで建築業のほうも忙しくさせてもらっていますし、ジムも会員さんが増えて自分の練習時間を確保するのも難しい。そんななかでワードッグのマッチメイクに関して電話が鳴り止まない。『これはどうするかな……』と、いろいろ考えました。

Wardog代表の仕事としては、まず次の第50回大会をイチから進めることで、何をやれば良いのかノウハウは分かる。そうすれば少しずつ状況は改善されるでしょうし、そのうえで今までどおり試合には出続けたいです。そして選手としても結果を残したいですね」

――試合に出るだけなら、出られる。しかし試合に出て勝つことができるか、勝つための練習を続けられるかどうか。

「そうなんですよ。ただ出るだけやったら、誰も自分の試合なんか見てくれないし、見てくれる人の心にも響かないと思います。やっぱり選手として結果を残すために、練習して自分を上げていかないといけないですからね。

だから選手としても毎回、前の試合を超えていかないといけないです。『これだけやっていても、これだけのクオリティを出してきたぞ』みたいな。選手としての活動は、Wardog代表という立場は関係なく、やり続けたいです」

次のワードッグでは僕の色もハッキリ出さないといけない

――実際のところ選手、プロモーター、ジム、そして建築業をどのように回していくのでしょうか。

「建築業もジムも一人でやっているように見えて、実は嫁さんが7割ぐらいやってくれています。大会も嫁さんのサポートあってこそ、なんですよ。このジムをつくったのも嫁さんなんですよ」

――……というと?

「実はこのジム、もともとスケルトンやったんです。それを嫁さんがイチから――」

――えっ!? 一人でこのジムを組み立てたということですか。

「はい(笑)。もうプラモデルみたいに組み立てていました。僕は何もやっていません」

美紀 YouTubeを見ながら、入口や壁など全部つくっていきました。マット貼りも。

――信じられないです! もともと建築業も手伝っていたのでしょうか。

ジムのビフォー・アフター。驚きしかない……

「いえ。本当にイチから、というよりゼロからジムを組み立ててくれて。今では嫁さんにジム制作の依頼があるぐらいです(笑)」

――もう内助の功というレベルではないですね。

「嫁さんが後ろにいてくれるおかげで、自分も4つの仕事を回していける自信があります」

――そして7月7日にはグラジエイターのケージで、ワードッグ代表の就任挨拶をしました。

「あれは緊張しましたね……。最初に櫻井会長(櫻井雄一郎グラジエイター代表)から『挨拶してください』と言われた時は、『挨拶はワードッグでやります』と断ったんです。でも結局、挨拶することになって――嫁さんに原稿をつくってもらっても、もう緊張で全然覚えることができなくて(苦笑)」

――初めての就任挨拶をグラジでしてしまうと、どうしてもワードッグがグラジのフィーダーショーか、あるいは下部組織のような印象も与えかねません。

「……仰っていることは分かります。実際に周りからも、その意味合いのような連絡が来ました。僕というかワードッグは独立した大会であり、ウチで育った選手はグラジエイターさんも含めて、いろんな大会に出ていきます。どことはお付き合いして、どことはお付き合いしないということはありません。次のワードッグでは僕の色もハッキリ出さないといけないと思っています」

――さらに言えば今村豊というファイターとワードッグ代表という立場、さらにポーラージム大阪、建築業のほうは各々独立したものでしょう。それでも、どうしても同じものだと思われてしまいます。

「ワードッグ代表が他のケージで戦って、負けたら――ということですよね。それも分かります。選手としては今までと違う捉えられ方をされるのも仕方ないです。ひとつ言えるのは、僕は自分のファイトショーツにジムや会社の名前を入れていません。もちろんワードッグの名前も入れない。ファイトショーツに入れているのは、もともとの所属である宇留野道場の名前だけで。戦う時は今村豊という一人の選手やということです」

――なるほど。ワードッグ代表としては、今後は大会をどのようなものにしていきたいですか。ワードッグの王者クラスは、他プロモーションに出撃していくとの話も聞いてきます。

「王者クラスは、ほぼほぼ次の試合が決まっていますね。自分もファイターやから分かるんですよ。ワードッグで勝った選手は、どんどん上の大会に出ていきたい。その気持ちを止めることはできません。でもそのぶん、新しい選手も出てきます。ワードッグで勝った選手が他の大会で戦っていることもバンバンSNSで宣伝していく。そうすることで、『勝ったら行けるんや』と思った若い子たちが、もっとワードッグに出てくれる。そういう若い子が戦う機会も増やしていきたい、というのが自分の考えです」

自衛隊出身のエグいポテンシャルを持つ選手が……

――8月18日のグラチャンは欠場となりましたが、代役としてポーラージム大阪の土屋諒太選手が有田一貴選手と対戦します。土屋選手がどんなファイターなのか紹介をお願いします。

「ワードッグで2戦2勝のストライカーです。ウチに来る前は東京でプロボクサーをやっていました。あと陸上自衛隊で徒手格闘もやっています」

――徒手格闘ですか! 格闘代理戦争で優勝した中村京一郎選手が、海上自衛隊時代に徒手格闘を学んでいたそうですね。

4月のWardogデビュー戦では、エグい右アッパーを連発していた土屋。徒手格闘を学んでいるのは興味深い

「そう言われたら、中村選手の構えと似ているかもしれません。雰囲気も他の選手とは違いますし。今は昼に徒手格闘の練習をやって、夜はウチのジムに来ています。まだ入会から間もないですけど、めちゃくちゃセンスがある子なんですよ。パンチのセンスは凄いです。ウチには面白い選手がいっぱいいますよ」

――大搗汰晟選手は第1空挺団の出身ですよね。

「そうです、そうです。汰晟の他にも自衛隊出身の選手がいます。周りに駐屯地があるわけじゃないんですけど、なぜか自衛隊出身のエグいポテンシャルを持っている選手が来ていますね(笑)。このジムはまだ立ち上げて1年ですけど、これからどんどん伸びてくると思うので、よろしくお願いします!」

■視聴方法(予定)
8月18日(日)
午後12時30分~GRACHAN放送局

■GRACHAN70 対戦カード

<ウェルター級/5分2R+ExR>
青木忠秀(日本)
能登崇(日本)

<ウェルター級/5分2R+ExR>
大道翔貴(日本)
上田拳翔(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
八木匠(日本)
藤田大地(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
徳弘拓馬(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
有田一貴(日本)
土屋諒太(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
富田善樹(日本)
加々田優人(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
村松竜眞(日本)
粂大樹(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
中嶋紳乃介(日本)
野村伶生(日本)

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45 DWCS Grachan Hexagon MMA19 MMA MMAPLANET o ONE PRIDE RIZIN UFC UFN YouTube エルネスタ・カレクカイト キック シリル・ガンヌ フランシス・ガヌー プリンス・アウナラ ボクシング 海外

【Hexagon MMA19】7月25日。荒東”怪獣キラー”英貴が、フランスの古代ローマ劇場でヘビー級王座に挑む

【写真】海外進出を模索していた荒東だが、意外にもフランスでの試合に挑むこととなった(C)MMAPLANET

18日(木)、Grachan実行委員会より同ヘビー級王者の荒東”怪獣キラー”英貴が、25日(木・現地時間)にフランスのテアトル・アンティック・ドゥ・オランジュ(オランジュ古代ローマ劇場)で開催されるHexagone MMA19に出場することが発表された。荒東はプリンス・アウナラの持つ同ヘビー級王座に挑む。
Text by Shojiro Kameike

昨年2月にGrachanヘビー級王者決定トーナメントを制し、ベルトを獲得を獲得した荒東はRIZIN、シュートボクシングを経て、今回のアウナラ戦に臨むこととなった。タイのMMA大会でプロデビューしている荒東にとっては、日本に拠点を移した2021年以降では初の海外試合となる。


フランスでMMAが合法化されたのは2020年1月、わずか4年前のことだ。それまでも国内でMMAイベントが開催されていたものの、パウンドが禁止されたルールが採用されたり、スポーツ省としては非公式という形になっていた。やがて2019年になるとスポーツ担当大臣が、MMA情報サイトの取材に対し合法化を進める認めた。結果、2020年になって正式に認可されたという経緯がある。

MMAの認可後、UFCは2022年9月と翌2023年9月に、いずれもフランス最大の屋内競技場アコー・アレナ──かつて桜井マッハ速人、須田匡昇、小川秀樹らが出場したゴールデン・トロフィーもベルシーと呼ばれた時代だが、同会場が使用されている──でUFNシリーズを開催している(※2024年も9月28日に同じ会場で3年連続となる興行を予定している)。両大会ともメインにはフランス人ファイターの元世界ヘビー級王者シリル・ガンヌが出場していた。

そのガンヌもUFCフランス大会まで国内で戦った経験はムエタイの試合のみ。MMAデビューはカナダのTKOであり、他のフランス在住ファイターの多くも国外のイベントを経てUFCとの契約に至っている。また、同じく元世界ヘビー級王者のフランシス・ガヌーの場合は国内のパウンド禁止=100% Fightでキャリアを積んでおり、同国のMMAの複雑な歴史が分かるだろう。

そんなフランスのMMA界にあって、ドメスティックイベントとして最大規模なのは間違いなくARES FCだ。コロナ&フランスでMMAが合法化される以前に欧州とフランス、アフリカ、ブラジル、米国らのファイターを集め、セネガルで旗揚げされたARES FCはコロナ禍の2020年にベルギーでイベント開催も画策しキャンセルとなり、欧州進出を一旦は断念している。その後2021年12月にフランスに進出すると、この2年間半で22度のイベントを開き、UFC Fight Passでも視聴でき世界に浸透している。

対してヘキサゴンMMAはARES FCの同国進出を5カ月遡る7月にパリで第1回大会を開催。フランス勢はもちろんのこと欧州、中東、中央アジア、南米からの参戦も見られる。フランス国内選手でいえば、なんと2006年6月にPRIDE武士道でパウロ・フィリオと対戦したグレゴリー・ブーシェラゲムが、46歳になった今、主戦場としているのがこのヘキサゴンMMAだ。このヘキサゴンMMAからは、女子フライ級王者エルネスタ・カレクカイト(リトアニア)がDWCSを経てUFCと契約している。

今大会で荒東と対戦するプリンス・アウナラは2012年にフランス国内でプロデビュー。その後は海外に戦いの場を移しながら、2023年からヘキサゴンMMAに出場し、7月には同ヘビー級王座に就いている。キックボクシングをベースに、長距離のストレート系パンチが武器で、特に右ボディストレートを織り交ぜてくるパンチには注意すべきだろう。一方、アウナラは直近の試合=今年4月にKSWパリ大会で、DWCSに出場経験のあるミハウ・マルチネクにKO負けを喫している。テイクダウンや削り合いの勝負では下がる場面もあり、荒東にとっては突いていきたいポイントだ。

同大会には荒東のチームメイトでもある日本在住のフランス人ファイター、ステファン・スマッシュも出場し、ミキャエル・グログエと戦う。また、コメインに出場するミドル級のイリアン・ボアフィアには注目だ。シリル・ガンヌと同じMMAファクトリー所属で、戦績は4戦全KO勝ち。まだ粗い部分も見えるものの、サウスポースタンスから伸びる左ストレートを持つ。ヘキサゴンMMA初参戦となる今回は、剛腕タイプのフレデリコ・コムエニャと激突する。

■視聴方法(予定)
7月26日(金・日本時間)
午前3時00分~FIGHT NATION TV

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45 AB C-MMA DEEP Gladiator Grachan News ONE ONE FF68 Preview サンランフーシー ブログ 若林耕平

【ONE FF68】パンクラス・ストロー級1位の若林耕平が、中国の14勝2敗=サンランフーシーと対戦!!

【写真】もう4時間弱で大会が始まる(C)ONE

28日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 68で唯一組まれたMMAマッチに日本から若林耕平が出場し、中国のサンランフーシーと対戦する。
Text by Manabu Takashima

若林はキャリア7勝1敗1分、2018年1月にGladiatorでデビューし、関西系の修斗~Grachan(×Gladiator)、DEEP大阪大会からパンクラスに転じて3連勝、今もストロー級1位にランクされている。


パンクラスのストロー級は4月に黒澤亮平が暫定王座に就いているが、その黒澤自身はリトルと暫定王座決定戦が決まった際に「1位が腑抜けなんで仕方ないんですけど(中略)、この試合で勝った方が正規王者」という発言をしている。

その1位こそ若林だったわけだが、若林自身は2月の大阪大会で高島俊哉に判定勝ちを収めており、その試合に前には「正直、このマッチメイクはメッチャ悔しいです。僕はパンクラスでトップランカー2人に勝っています。しかも宮澤雄大選手はパンクラスで王座挑戦経験があり、去年はネクサスのチャンピオンになりました。八田選手は元ZST王者ですよね。それとパンクラスに出る前にDEEP大阪大会で勝った吉村友菊選手も元グラジ王者です。そういった選手たちに勝っていることを、もっと評価してほしいなっていう気持ちはあります。でも、その評価も含めて自分の実力やから。次の試合で評価を変えたいです」とMMAPLANETのインタビューで話していた。

選手にはそれぞれ自負、そして思惑や将来への展望がある。またプロモーションにも、それぞれの事情が存在している。そしてファンは一切、そのような事情に関係なく考えられるなかで最上のカードを望む。

パンクラスを見続けているMMAファンにとっては、この流れで黒澤×若林の正規王座戦が見たかったというのは絶対だろう。実際、7月大会で両者の対戦の方向でプロモーションサイドも動いていたという話も入って来ていた。

その結果ということではないが、パンクラスとの話し合いを経て──若林はONE FFを選択した。29歳、ストロー級世界最高峰=ONE本戦に通じる道が開けるのであればそのチャンスをモノにしたいと思うのは当然のことだろう。今夜、若林が対戦するサンランフーシーはキャリア14勝2敗、今や右肩上りの勢いを持つC-MMAの国内メジャー=WLFの暫定ストロー級王者だったファイターだ。

若林とONE FFの契約内容がどうなっているのか不明だが、基本はマッチング期間付きのワンマッチ契約だ。ONE FFで勝利してから他のプロモーションで戦うファイターも存在しているし、本戦とマルチイヤー契約を結ぶ選手もいる。

ここで若林のキャリアアップに必要なのは勝利であるのは当然として、日本のファンに「黒澤とやっても勝てる」という印象を残すこと。ファイターは強さが売りの商売だ。事実はどうであれ、逃げたという印象は若林のキャリアに不必要。今夜、サンランフーシーを相手に結果と内容で──強さを見せつけることができるか。もう4時間後には、若林の将来を左右する試合が始まる。

■視聴方法(予定)
6 月28日(金)
午後9時15分~ U-NEXT

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45 Grachan Grachan70 MMA MMAPLANET o YouTube ライカ ロクク・ダリ 桜井隆多 能登崇 青木忠秀

【Grachan70】大阪大会のメインで青木忠秀が再起戦。能登崇を迎え撃つウェルター級サバイバルマッチ

【写真】地元・大阪でメイン出場の青木(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(火)、GRACHAN実行委員会より8月18日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGRACHAN70の対戦カードが発表された。今大会のでは青木忠秀が地元・大阪で、北海道の能登崇を迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike

青木は現在Grachanウェルター級1位で、今年3月に同級王座決定トーナメント決勝で桜井隆多に敗れて以来の再起戦となる。ここで能登を下し、再び桜井と相まみえることはできるか。あるいはランキング4位の能登が、1位の青木に勝利して王座挑戦となるか。


青木といえば2022年のプロデビューから4戦目まで、1つの引き分けを挟み3つの勝利は全てKO勝ちというストライカーだ。小学校の時に野球を始めたという青木は、大学生の時に野球から格闘技に転向した。野球のポジションはピッチャーで、桜井戦前のインタビューではピッチャーが球を投げる動作と、格闘技でストレートを打つ際の動作の類似性を説明してくれた。

その言葉どおりのKO勝利を見せていた青木だったが、桜井戦で無敗街道はストップする。試合では右ストレートを上下に散らして攻め込むも、徐々に桜井ペースとなり、接戦から組み伏せられて敗れた。かといって青木が寝技を苦手としているわけではない。桜井を相手にテイクダウンを奪う場面もあったが、削り合いから相手のペースに持ち込まれたのは、やはりキャリアの差というべきか。

(C)GRACHAN

青木と対戦する能登は現在3連敗中も、今年5月のロクク・ダリ戦ではスタンドでダリにペースを許さず、延長戦に持ち込んでいる。青木にとってスタンドの打撃戦は望むところだと思われるが、能登がダリ戦で見せたパンチから組みつく展開は、長い青木のリーチを潰す可能性もありうる。

能登は延長戦で、ダリのテイクダウン&トップキープに敗れた。つまり青木にとっては、自身が桜井戦で受けた削り合いで活路を見出すことになるか。あるいは能登がスタンドで青木を削ることになるのか。共に前戦の経験をどう生かすかが問われるサバイバルマッチだ。


■視聴方法(予定)
8月18日(日)GRACHAN放送局

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45 AB DEEP Grachan Grachan67 IMMAF MMA MMAPLANET MMAとフィジカル o Special UFC YouTube   パンクラス ベラトール 松場貴志 脱水 鈴木陽一

【Special】『MMAで世界を目指す』第6回:鈴木陽一ALIVE代表「MMAファイターの脱水と脳震盪」─01─

【写真】パンクラス、DEEP、グラジエイターなどでお馴染みの鶴和レフェリー(C)SHOJIRO KAMEIKE

世界的なスポーツとなったMMAで勝つために、フィジカル強化は不可欠となった。この連載では「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく。
Text by Shojiro Kameike

連載第6回目は、救急科のドクターでありMMAのレフェリーも務めている鶴和幹浩氏にご登場いただく。鶴和氏に「MMAファイターの脱水と脳震盪」について訊く――はずが、本題の前にレフェリーとドクターの業務について興味深い話が出てきた。MMAファイターの体を守るのもレフェリーとドクターの役目。基礎知識としてMMAにおけるレフェリーとドクターの業務についてご紹介し、前編の内容も踏まえて後編をお読みください。


ルールを理解していないと、ドクターとしても変な判断をしてしまうかも

鈴木 今回は脱水と脳震盪をテーマにお話を聞きたいと思い、現在ドクターであると同時にMMAのレフェリーもされている鶴和幹浩さんにお越しいただきました。鶴和さん、よろしくお願いします。

鶴和 よろしくお願いします。私は救急科専門医です。救急科というのは、救急車で病院に運ばれてくる患者さんを病気や怪我にかかわらず診療する科です。

鈴木 ひとくちにお医者さんといっても、それぞれ専門分野があるじゃないですか。そのなかでも救急処置ができる方がケージサイドにいてくれると、我々の立場としてもすごく安心するんですよ。だからウチが開催しているアマチュアパンクラスでも鶴和さんに来ていただいています。

鶴和 そう言っていただけると本当に嬉しいです。確かに格闘技の現場で起こりうる問題は、ほぼ救急医がカバーできる分野だろうと思います。

鈴木 今年2月のGRACHAN大阪大会で松場貴志が左腕を脱臼した時、応急処置として腕をはめてくれたのが鶴和さんでしたよね。

今年2月のGrachan67にて。(C)SHOJIRO KAMEIKE

鶴和 松場さん、その後は大丈夫ですか?

鈴木 大丈夫です。応急処置していただいたあと、救急車で病院に行って検査もして――その節はありがとうございました。まずは鶴和さんが医師、そしてレフェリーになった時期と経緯を教えてください。

鶴和 医師になったのは1998年で、ずっと救急の現場にいます。格闘技大会への関わりは2012年か2013年だったと思いますが、ZSTやジ・アウトサイダーに大会ドクターとして参加させてもらったのが最初でした。当時はZST代表であった上原譲さんには大変お世話になりました。

鈴木 最初はリングドクターだったのですか。

鶴和 はい。大会中に『これは競技のルールを理解していないと、ドクターとしても変な判断をしてしまうかも……』と思うことがあって。
鈴木 ドクターストップの判断とか。

鶴和 そうです。私は学生時代に日本拳法をやっていたのですが、MMAとは異なります。ルールなど競技のことを知らないのに、メディカルストップのような責任のある権限は負えません。だからルールを勉強したいと思っていた時に、ちょうどパンクラスで審判候補生を募集していまして。医師として参加した大会で梅木さん(JUDGE SQUAD代表 梅木良則氏)を紹介していただき、審判団で勉強させていただくようになって現在まで師事しております。

鈴木 ドクターからレフェリーへ! 本題の前に、すごく興味深くなってきました。

鶴和 審判の仕事は、選手の命や勝敗を預かる立場として不謹慎な言い方に聞こえるかもしれませんが、もの凄く面白くてやりがいのある役割なんです。自分にとっては、医師として大会に関わるよりも、はるかに興味深いことばかりで、格闘技の審判員という仕事にのめり込んでいきました。

鈴木 今、一つのプロ興行で両方やってほしいと言われませんか。アマチュア大会だと、ウチのアマチュアパンクラスでは鶴和さんに両方お願いすることもあるけど……。

鶴和 それは、あります。でも梅木さんから「兼任だと、大会そのもののクオリティが保てないから」と方針についてお話があり、プロの興行では兼任せず、アマチュア大会では臨機応変に……ということになっています。

鈴木 プロの興行で、白衣姿でケージサイドに座っている人が白衣を脱いだらレフェリーのコスチュームになったりすると……(苦笑)。

鶴和 アハハハ、それは変ですね(笑)。あとはもう一つ、そもそもレフェリーとドクターは異なるものです。レフェリーストップとメディカルストップも異なります。そのため、レフェリーをやっている時に医師としての判断はできません。レフェリーがメディカルストップを判断してしまうと、それぞれの立場がおかしくなってしまう。責任の所在がハッキリしなくなります。

審判団の中で必要な救急医療や応急処置の知識と技術をセミナー形式で

鈴木 ちなみに、たとえばパウンドアウトでストップする時はレフェリーの視点だけですか。それともドクターとしての視点も入りますか。

レフェリーストップのタイミングは難しい。格闘技と医学の見識から考える必要は出て来る(C)SHOJIRO KAMEIKE

鶴和 難しい質問ですね(苦笑)。でも、パウンドの時はレフェリーの視点です。ケージの中に入っている時は100パーセント、レフェリーですから。でもインターバルでは、チラッとドクター目線で選手の状態を見たりすることはあるかもしれません。『ダメージや負傷は大丈夫かな?』とか。

鈴木 これは本題と異なるように見えるかもしれないけど、重要な問題だと思います。世界を目指す選手だけでなく、まず人がMMAを続けていくためには健康面や安全面は欠かせません。我々も職業として常設道場を持ち、医療的な観点も持たないといけない。人の体に関わる仕事ですから。それは大会を運営する場合も同じで。

たとえば加藤久輝がベラトールに出場した時は、ドクターによる運動機能のチェックがありました。内容は四肢の機能障害、手足の機能障害、脳のダメージ、あとは視力検査などです。このメディカルチェックにクリアしないと、試合に出場できない。これは米国だとABC(Association of Boxing Commissions)の管轄で、UFCやベラトール、IMMAFも含めて統一の基準があるんですね。しかもメディカルチェックの時に、レフェリーも一緒にいました。

鶴和 なるほど。米国とは少し違うかもしれませんが、私が所属しているパンクラスでも、試合前日の計量には必ず医師が立ち会うことになっています。また、審判団の中で必要な救急医療や応急処置の知識と技術をセミナー形式で情報共有しようと準備中です。

鈴木 それは良いですね! 私はもともと厚生労働省の健康運動指導士という資格を持っていて、厚労省管轄の運動施設に勤務していました。それと企業の健康経営として産業医さんと一緒に仕事をしていたこともあって、格闘技に関わることでも医療面の話が後になってしまうのが不思議だったんです。

鶴和 まだ計画段階ではありますが「Cage Side Emergency」と題しまして、打撃による裂創や失神、絞め技による失神―さらに心停止というケースまで対応できるような内容を考えています。

鈴木 鶴和さんがいるからこそ可能なレフェリー講座ですね。講座の実現と、その効果を楽しみにしています。では、ようやく本題の「脱水と脳震盪」に移りましょう。

<この項、続く>

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【Gladiator027】竹竹決戦of MMA。竹本啓哉に竹中大地が挑戦。漢気=和田教良は、オトゴンバートルと

【写真】これは──燃えているのは、竹本だろう(C)MMAPLANET

11日(火)、GLADIATORより7月7日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator027で、竹中大地が竹本啓哉の持つGladiatorバンタム級王座に挑戦する選手権試合とオトゴンバートル・ボルドバートル×和田教良のフライ級戦が組まれることを発表した。

竹中大地は2018年に修斗からONEに戦いの舞台を移し、アジアを舞台に戦ってきたが、昨年よりRIZINを目指し日本で戦うようになっていた。7月に修斗で藤井伸樹に勝利し、12月にグラジに初参戦し前バンタム級王者テムーレン・アルギルマーと対戦すると、左ミドルを効かせてから組みついて──1R4分27秒にRNCで一本勝ちしている。


試合後にケージのなかで宣言していたようにRIZINとの交渉を続けていたが、3月のLandmark=神戸大会で正式発表こそなかったが、ジャパン・メジャーでの試合が決まっていたものの対戦相手の負傷で幻のRIZIN参戦となっていた。その後、RIZINが東京でビッグショーが続き、試合機会は巡ってこないという判断をした竹中陣営はグラジ再出場を決め、バンタム級王座に挑むこととなった。

チャンピオン竹本は昨年9月にテムーレンとの接戦を制し、自らの減量失敗で手放したベルトを2年振りに奪回。今年の2月にはGladiator Challenger Series01で竹内稔との竹竹対決でProgressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦を戦うもアナコンダチョークで一本負けを喫していた。

前回の5月大会でタイのデッチプールを横三角絞めで仕留めた竹本は、「RIZINや海外大会へのステップアップ」を宣言していた。この言葉こそ、竹本が強い選手との対戦を求めている表れとリリースに記されていたが、関係者に確認を取るとまさに二つ返事で、MMAのベルトを賭けた竹竹決戦を了承したという。

10年以上前のデビューから間もないころにパンクラス出場があったが、その後はGrandslam~HEAT~TTF Challenge~GLADIATOR~NEXUS~GRACHANで戦ってきた竹本にとって、修斗・パンクラス・DEEPでベルトを巻いた選手との対戦こそ、自らの存在を証明するために求めてきた一戦に違いない。また竹中としても、ポスト超RIZINというべき秋からのRIZIN参戦に向け、ベルトを巻く以上に勝ち方でインパクトを残す必要性がある──勝負論と強者論が掛ったタイトル戦となる。

また5月大会から今大会に延期されていたGLADIATORフライ級王座決定トーナメント決勝=フライ級王座決定戦はNavEのヒザの負傷の経過が予定通りでなく、さらに延期されることが決まった。

グラジではオトコンバートルが2大会連続で試合機会を失うことを阻止すべき、ノンタイル戦での対戦相手を探し各方面に打診をしていたところ、和田が参戦を決めたという。和田はオトコンバートルやNavEと共に同トーナメントにエントリーしていたが、2月にチェ・ドンフンに三日月蹴りからパウンドアウトされ初戦敗退していた。その後チェ・ドンフンはRoad to UFCと契約し、1回戦で前回大会の準優勝であるチーニョーシーユエに勝利。オトゴンバートルは3月の準々決勝で久保健太を破った一戦で、そのチェ・ドンフンと共に同トーナメントで本命視されるようになっていた。

和田はチェ・ドンフンに続き、アジアを代表する若き実力者との対戦に向け、一度は「気持ちを創れない」と対戦を断ったという話も実は伝わっている。しかし、翌日には「断ったことを後悔しています。オトコンバートル選手の相手が確定していないようでしたら、対戦させて頂きたいです」と申し入れしたという。

和田の気持ちが揺らぐのは十分に理解できる。そんな自分を恥じるかのような決意こそ、下馬評を覆す要因になるだけでなく、その結果に如何なく彼の人生を構築していく決断となるだろう。そんな「負ける覚悟を持って勝ちに行く」和田の覚悟の言葉を含め、上記2試合に出場する選手がプレスリリースの寄せた言葉は、以下の通りだ。

竹本啓哉
「いつも応援・協力してくださる皆様、試合を組んでくださるGLADIATOR関係者の皆様、そして、竹中選手ありがとうございます。誇張抜きで今までで最高の対戦相手です。自分史上最高の状態で臨めるよう備えていきます」

竹中大地
「今凄く格闘技が楽しくてしょうがないです。心も体も調子が良いので、試合当日は最高のパフォーマンスができると思います。7月7日楽しみにしていてください」

オトゴンバートル・ボルドバートル
「3月大会が終わった直後から次の試合に向けて練習を重ねてきていますが、決勝戦が10月大会まで延期されたことは残念に思っています。しかし、GLADIATORが7月大会でワンマッチを組んでくれたのでとても感謝しています。また和田選手も試合を受けてくれてありがとうございます。7月7日は良い試合になるよう頑張ります」

和田教良
「かなり強い相手。下馬評を覆せるよう負ける覚悟を持って勝ちに行きます!! 応援よろしくお願いします!」

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