カテゴリー
45 Gladiator MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2024 Road to UFC2024Ep05 UFC イープークールー ソン・ヨンジェ パン・ジェヒョク ボクシング 平良達郎 朝倉海 河名マスト

【Road to UFC2024Ep05&Ep06】準決勝でシェ・ビンと対戦、河名マスト「これまでの29年間を出せるか」

【写真】タフな展開に競り勝つ。そんな強さを見せて勝ち星を重ねている河名だ(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(金・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでRoad to UFC2024 Ep05 & Ep06=Road to UFC Season03 Semi Finalsが開催され、フェザー級準決勝で河名マストがシェ・ビンと対戦する。
text by Takumi Nakamura

グラジエイターでの王座戴冠を経て、Road to UFC(RTU)出場のチャンスを得た河名。5月の一回戦=AFC王者ソン・ヨンジェとの対戦では、ヨンジェの打撃を浴びる場面があったものの、渾身のバックコントロールで判定勝利をもぎとった。準決勝ではイープークールーとの中国人対決を制したシェ・ビンとの対戦となり、「ケージの中でこれまで生きてきた29年間をどれだけ出せるか」と人生をかけた勝負になると語った。


──RTU準々決勝はソン・ヨンジェに判定勝利して初戦突破となりました。ヨンジェ戦を終えて、その後の練習や調整の状況はいかがでしたか。

「少しヨンジェ戦で怪我をしてしまったので1カ月半ほど休養して、そこからちょっとずつ上げてきた感じですね」

──RTUは短期間で試合が続く形ですが調整の難しさはないですか。

「そこは大丈夫ですね。デビュー1年目・2年目は一時期ほぼ毎月のように試合をしていた時期があったので、試合感覚が短くなって、練習できなくても焦りはなかったです」

──改めてヨンジェ戦を振り返っていただきたいのですが、ご自身で映像を見て、どんな感想を持ちましたか。

「自分自身、普段は1Rを濁して、2・3Rを確実に取って、判定で言うと29-28で、あわよくば30-27で決着つけられればいいかなという試合の進め方をするんですね。でも今回は1Rから飛ばしてみようという戦法だったので、そのせいかおかげか、1Rで見事にバテてました(苦笑)。それで2Rはどうしよう?となったところで、なかなかクリンチできずにボコボコ殴られる展開になって。

このパンチでKOされることはないとは思いつつ、こっちが攻撃をしているわけでもなかったので、暗いトンネルをずっと走っているような状況でした。ただ残り10秒の僕の縦ヒジがボコン!と入って、見るからにヨンジェがひよってくれたので、そこで視界が開けましたね。それもあって3Rは再び走り出すことができて、左のオーバーハンドがバチンと当たって、ここからはもう(勢いに)乗り続けるしかないと思いました」

──大事なトーナメントの1発目で、戦い方を変えるのは勇気も必要だと思ったのですが、なぜ戦い方を変えようと思ったのですか。

「僕が直近で負けた試合がGladiatorのパン・ジェヒョク戦で、あの試合は1Rで自分が行ききれなくて微妙で、その後の2~3Rを少し流しちゃったというか。お互いフワフワっとした試合展開になって、自分が判定負けしたんですよ。あの試合が自分のなかではものすごく悔いが残っていて、もう二度と後悔はしたくないっていうか。MMAは試合時間が15分と決められているわけじゃないですか。お前の人生は15分で決まるよって言われているのに、それで行かないのは……悔いが残りますよね」

──余力を残した自分が許せなかったですか。

「はい。そこでちゃんと出し切れる人間でありたいと思いました」

──そのなかでも一か八かのギャンブルではなくて、しっかり勝つ確率を上げたうえで1Rから飛ばしたわけですよね。

「過去のヨンジェの試合を見ていると、1Rで決着をつけていることが多くて、3Rまでいくとドロドロになって、ギリギリで勝っているんですよ。今までヨンジェがやってきたヤツらよりも僕の方がクリンチできる覚悟があると思ったので、自分を信じて1Rから飛ばしていこうと思いました」

──1Rはテイクダウン・バックコントロールで優勢に試合を進めてインターバルを迎えたわけですが、どういう状況でしたか。

「もう腕がパンパンで。本当にウェイトトレーニングだったら、その日のアームカールをオールアウトしましたぐらいの張り方でした(苦笑)。だからガードを上げる上げないとかそういう問題じゃなくて、それもあって2Rにケージ内をランニングしちょうような場面が来たんです」

──見ている側からすると、このままだ逆転されるんじゃないかという不安もありました。その展開を変えたのが縦ヒジですが、あれは練習している技だったのですか。

「絶対これで倒すっていうノリで鍛錬していた技じゃなくて、ちょっと遊びの動きの中でヒジを出したりしていたんですよ。そういう引き出しを一応用意しておきましたよみたいな感じで、それがギリギリのところで出てくれました」

──いい意味で遊びの技がピンチを救ってくれた、と。

「僕もMMAを初めて3年経ちましたけど、これまでずっと守破離で言うと、守るべき型をずっと作るという感じでやってきたんですね。その中で破=型を破ることも見つけながら試合ができているのかなって思います。それが今回で言えば左の縦ヒジですね」

――2R後のインターバルはかなり息を吹き返した状態ですか。

「はい。完全にヨンジェが萎えているのがわかったんで『よしよし!』と。もう一回捕まえれば『もうお前は終わりだろ?』ていう感じで捉えていましたね。セコンドの上久保(周哉)さんはからももう一回捕まえろみたいな指示が出ていて、あと5分だから頑張れ、と」

──河名選手の表現でいくと「暗いトンネルから光を見つけた」状態になると、体力的にも動けるものですか。

「そうですね。僕はレスリング時代から、3分2Rの中で自分の形でポイントを取れたら『この試合は勝てる!』というところまで、相手が諦めるまで頑張るスタイルだったんですね。それはMMAでもスタイル的には続けていて。そういう意味では本当は組み続けて、2Rまで相手にヒザをつかせて、立たせない状況にできれば一番良かったんですけど、それができないなかでヒジで明らかに相手を萎えさせる状態を作ることができたので、あとは頑張ろうと。MMAとレスリング、競技は違いますけど、そこはブレずにできているかなと思います」

──試合が終わった瞬間、1回戦を突破した時のお気持ちはいかがでしたか。

「もう本当に早く時間が過ぎ去ってくれみたいな感じの3Rだったので、やっと開放されたという感じでしたね」

──怪我の影響もあったかとの思いますが、準決勝のシェ・ビン戦に向けてはどんな準備を続けてきましたか。

「シェ・ビンは完全にジャブとワンツーでアウト(ボクシング)する、僕が一番嫌なタイプの選手です。なのでそこをどう捕まえるか。捕まえたあとにどうコントロールするかというところをやってきました」

──シェ・ビンのファイトスタイルが明確な分、自分がやるべきことも明確になっていますか。

「そうですね。自分の得意な形は一緒ですが、そこのバリエーションを相手に合わせて…というイメージですね」

──そこは順調に完成してきていますか。

「得意な形というか、とにかくマン振りする系の戦い方はできるようになってきたかなと思います。これに関しては試合でしか出せないし、練習で思いっきり人をぶん殴ることはできないからこそ、ケージに入った時の覚悟が試されるんじゃないかなと思います」

──今年の2試合は接戦を競り勝つという展開が続いていますが、そこで勝ち切れていることで自分の成長を感じることはありますか。

「15分みっちりじゃないですけど、人生にビバレッジをかけるべき時間は明確に定められていて、そのために練習したり、というのはあります。ケージの中でこれまで生きてきた29年間をどれだけ出せるかという部分は、ちょっとずつカッコつけず、後悔しないようにはやれてるかなと思います」

──RTUを勝ち上がることで、本戦契約まであと2勝です。今はUFCで戦うことも意識はしていますか。

「そうですね。目の前のことを1つずつやりながら、今回は(中村)倫也もセコンドに来てくれるので、UFCを経験している選手とイメージを共有しながら、UFCで戦うっていうこともイメージしてやろうと思います。今回は会場もUFC APEXなので、そういう意味でもいいイメージを作って臨めるかなと思います。

──APEXでの試合を経験している中村選手がセコンドについてくれるのは心強いですね。

「はい。前回はRTUを経験している上久保さんがついてくれて、今回は倫也がついてくれて。現地に入って試合までのスケジュールをある程度把握してくれているセコンドがいると、自分も動きやすいというのはありますね」

──RTUは河名選手の格闘技人生のターニングポイントになるものだと思いますが、そこにかける想いも強くなっていますか。

「結局、最後はケージに入ったら全部剥がされちゃうと思うので。そこまでに何をやってきたかはケージの中で全て明らかになるので、試合まで残り1週間ぐらいしかないですけど、やり残しがないようにやりたいですね。この1週間でまだまだ強くなれると思っているので」

──なるほど。もっと言うなら、試合直前まで勝つ確率を上げることはできますからね。

「そう思います。レスリング時代はある程度のところまで競技水準を持って行っていたので、試合までに強くなることはないから弱くならないように調整しようと思ってやっていたんです。でもMMAにおいては1週間あれば強くなれると思っているので、そこは信じてやっていきたいなと思います」

──今年UFCでは平良達郎選手がランキング入りして、朝倉海選手の参戦も発表されました。昨年と比べるとUFCそのものの注目度が上がっていると思いますが。そこをどう捉えていますか。

「特に朝倉選手がUFCに参戦して、日本人のファンをUFCに連れてくるということは、もの凄く価値のあることだと思っているんで、自分は乗れるものには乗っかります。そのためには勝たなきゃいけないんで、自分のやるべきことをやって、その流れに乗っていければなと思います」

──ちなみに河名選手はパリ五輪のレスリングは見ていましたか。

「見てました。女子に関しては全員金メダルを獲る可能性があるぐらい強いと言われて注目されていたのですが、そこで男子がめちゃくちゃ金メダルを獲って、金を獲れなかった選手も銀メダルを獲っていたじゃないですか。その姿を見ていて、僕はそれが羨ましいと嫉妬できるほどレスリングに取り組んでなかったなと思いました(苦笑)」

──レスリング時代の河名選手はそこまで競技に打ち込めていなかったのですか。

「どうしても同じ環境と同じメンバーで、同じ練習をずっとやっていると、自分ではそう思っていなくても、マンネリ化みたいになっちゃうんです。逆にMMAは本当にやることが多すぎて、毎日この日はこの練習をやってみようとか、練習終わってこれができなかったから明日はこれをやろうとか、自分の中で課題を持って練習のサイクルを回せるようにはなってきた感じはあります」

──レスリングは競技の形がある程度は決まっているので、その枠を超えることが難しいですか。

「それもありますし、特にグレコローマンはフリースタイルと違って、上半身しか攻めちゃダメなんで、本当に技術の幅が制限されるんですよ。制限されているからこそ、その中でどう工夫できるかというところがあって、今思うともっとそこで突き詰められる部分はあったんじゃないかなと思います。(レスリングから)離れて分かったことですけど。もちろんMMAは技術の終わりが見えないので、それはそれで大変ではあるんですけどね」。

──でもだからこそまた気持ちを新たにMMAに取り組めていますか。

「そうですね。技術も完璧に達しているものが1つもなくて、その意味ではずっと斜め上に右肩上がりに上がっていくわけじゃないですが、落ちたり上がったり、落ちたり上がったりという波を繰り返している中で、技術習得があるのかなと思います」。

──試合まで一週間、最後の最後まで強くなって、ケージの中で15分間自分をさらけ出して勝利を掴んできてください。

「それがダサくなるかカッコよくなるかはその時の自分次第だと思いますが、そこを信じて戦って勝ってきたいと思います」

The post 【Road to UFC2024Ep05&Ep06】準決勝でシェ・ビンと対戦、河名マスト「これまでの29年間を出せるか」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB Gladiator IMMAF MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN46 RIZIN47 ROAD FC Special TOP BRIGHTS UFC   イルホム・ノジモフ カルシャガ・ダウトベック ブログ ラジャブアリ・シェイドゥラエフ 柏木信吾

【Special】「あそこを目指して欲しい」。柏木信吾のこの一番から中央アジアの猛者たちへ、プロローグ

【写真】強さを目指すなら、中央アジア勢に目を瞑ることはできない (C)RIZIN FF

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。「柏木信吾が選んだ2024年6月の一番」からスピンオフ、そしてアジアの猛者特集に通じるインタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

6月9日に行われたRIZIN47で強いインパクトを残したラジャブアリ・シェイドラフとダウトベック、RIZIN46のイルホム・ノジモフら中央アジア勢の来日について、その背景を柏木氏に語ってもらった。

そこには円安を要因とする現状に合致した最善の強い海外勢の招聘の最善策ともいえるが、同時に中央アジアの猛者を躊躇なく招聘できるのは、RIZINの日本人選手の力があるからだ。実際パンクラスもタジキスタンの選手を招聘しているが、IMMAFからプロデビューという選手たちがランカーを撃破し、GLADIATORへ外国人選手をブックする長谷川賢は「カザフスタンの選手を呼ぶと、今のグラジに出ている選手で勝てない」と断言している。

ダウトベック、シェイドゥラエフの招聘経由、そしてこれからについての柏木氏の言葉が、個々のインタビューへのプロローグとなる

<柏木信吾が選んだ2024年6月の一番はコチラから>


クレベル×ダウトベックは代替カードとして

――そういうなかでRIZIN47にカルシャガ・ダウトベック、ラジャブアリ・シェイドゥラエフの両者を同時に招聘したのは、何か意図があったのでしょうか。

「ダウトベックはもともと良い選手でした。ただ朝倉未来選手に一度負けています。それもあって疎遠になっていたことがあります。そこでTOP BRIGHTSで松嶋こよみ選手に勝って『RIZINで見たい』という声が聞かれるようになりました。

ダウトベックは打撃の選手でフィニッシュできます。マッチアップ次第では皆に喜んでもらえる試合をする選手です。だから、タイミングが合えばと思ってきました。それでも負けている選手を呼び戻すのには、なかなか踏ん切りがつかない……なので、随分と放置してしまっていましたね。

それがRIZIN47では堀口恭司×セルジオ・ペティスとクレベル・コイケ×フアン・アルチュレタという2つのカードが確定しているなかで、誰かが欠けた時にそこに当てはまるピースを考えるとクレベル×ダウトベックは代替カードとして成立する。本来は補欠的ぐらいだったのですが、カードがどんどん決まるなかで、ダウトベックの試合を組もうということになって。すぐに関鉄矢選手に連絡をした感じです」

――力は最初から買っていたということですね。

「ハイ。でも能面なので、なかなかストーリーが創り辛い。キャラが創り辛いというのはあったのですが、あの試合を続けてくれれば――それがキャラになるとは思っていました(笑)。で、実際に試合を見るとやっぱり強い」

――プレッシャーの掛け方、そして踏み込み。関選手が日本人選手のアベレージ的にリトマス試験紙の役割を果たすとすると、悔しいですが違いは明白でした。

「序盤から右に回らされていました。最初はアレ、どういうことだろうと思ったんですけど、それはもうダウトベックにそういう風に動かされていた。左回りができなかった。だからダウトベックはリングの方が良いんじゃいかと思うぐらい、追い足が良かったです。関選手の苦しみが、伝わってくるような試合でした。

上下を散らして、ローからハイを狙っていたと思いますが、あのプレッシャーの強さは……」

――被弾したらしたで、過去に経験したことがない拳だったかと。

「岩みたいだったと言っていました」

――左フックでよく立ち上がったと思いました。しかしフィニッシュの左ボディフックが、また強烈で。

「もっと見たいと思えるファイトでしたよね。寝技がどうなのかというのもありますが」

太田忍選手が手が付けられなくなった時の相手として、シェイドゥラエフは呼びたかった

――ではシェイドゥラエフに関しては?

「シェイドゥラエフはアゼルバイジャン大会をやった時に、中央アジアからアゼルバイジャンに選手を呼ぼうということで、現地のプロモーションやマネージャーと繋がりができました。そのなかの1人が、シェイドゥラフの名前を出してきたんです。僕もRoad FCでヤン・ジヨン戦を見ていたので、ぜひ欲しいと思いました。

ただ最初はバンタム級として考えていたんです。バンタム級は太田忍選手がそろそろ手がつけられなくなってくると思うので。あと3試合、4試合と経験を積むと無双状態になるのではないかと僕は思っていて。太田忍選手が手が付けられなくなった時の相手として、シェイドゥラエフは呼びたかったです」

――おお、そういうことだったのですね。これはもう、今後のバンタム級戦線を見るうえで貴重な意見だと思います。

「そういうことで契約をしたのですが、Road FCでは63キロでも計量を失敗しているので、『62キロで本当に戦える?  RIZINは体重オーバーをした選手には凄く厳しいよ』という話をしました。そうしたら66キロで戦うという返事で、フェザー級になってしまったんですよ(笑)」

――一気に2人も……。こんなに強いの同時に要らないだろうという声が出るのも頷けます(笑)。

「そうですね……僕の中で予定が崩れたというか、フェザー級にはもうダウトベックとイルホム・ノジモフという中央アジア勢とビクター・コレスニックというロシア人選手がいる。もうこれ以上、突っ込む必要がない強烈な駒がバンタム級でなくフェザー級を選んだということなんです(苦笑)。

こういうことになったのですが、バンタム級に強い外国人選手を1人、2人と入れたいと思います」

――う~ん。バンタム要員の予定だったシェイドゥラフが武田光司選手に完勝したという事実は重いです。

「武田選手だったらフィジカル負けはしないだろうと思っていました。同じ生態の選手を当てるというイメージでした。シェイドゥラエフは本当に本物なのか。そういう意味で武田選手と戦うことで分かる。戦績がキレーで、パーフェクトでも実は、それほど強くない選手もいるじゃないですか」

――ハイ。

「ヤン・ジヨンに勝っていると言っても、そこで株が大いに上がるというわけではない。だから武田選手と打撃、フィジカル、四つ組みになった時にどうなるのか。圧倒されるようなことがあれば招聘した側のミスになるなという不安も、本当はあったんです」

――それが……。

「逆の意味でヤバいなと」

――結果的にフェザー級転向の武田選手の価値を落としたマッチメイクとなってしまいました。

「本当にそうなんです……。武田選手の強いところで、完敗を喫してしまったので。正直、『やっちゃったなぁ』という想いになりました(苦笑)。試合後の武田選手からは悔しさよりも、虚無感が見られて。ホント、どうしましょう……。

と同時に、打撃が得意な選手からすると全然いけると思ったところはあるとは感じています」

――とはいえレスリングができたうえでの打撃でないといけないので、やはり武田選手にあの勝ち方は驚異でしかないかと。

「そこなんですよ。あの組みに対抗できて、打撃を入れることができるのか。触れる怖さがあると、打撃の威力は半減してしまうでしょうね」

――武田選手はいわば日本人のなかでは、ヌルマゴ・スタイルというか。組みが強力で打撃を苦にしない選手です。繰り返しますが、その武田選手にあの勝ち方をした……これは……。

「とんでもない選手を呼んでしまいましたね。まぁ、あとはスタミナがあるのか。武田選手がどこまで引き出すことができるのかという気持ちでもいました。だってあの動きを15分間続けるなんて、できないですよ。それができるなら、すぐに解約するのでUFCに行ってほしいです」

――バックを取るためのパスの圧力、フリップにつられなかった動きも秀逸でした。

「いや判断力も良いし、体幹も強いんでしょうね。際が強いというか、シェイドゥラエフは楽しいMMAを見せてくれました。MMA特有の際の攻防が凄く出来ていて。見ていて楽しいというか、心地よかったです。相手が武田選手だから、あの攻防が生まれた。MMAの魅力が全面に出た試合でしたね。僕はそう思います」

強い選手と戦うことはデメリットでなく、メリットになる

――外国人選手は勝てば、もうタイトル挑戦と一直線で来ます。ただし、RIZINフェザー級タイトル戦線を考えると、この2人があと1勝を挙げても挑戦はないと考えるのが普通で。同時にあの強さを見せつけられ、来日が途絶えるようなことがあれば「逃げた」と思います。柏木さん個人的としては、9月からノジモフも含めて中央アジア3人衆はどのようにマッチメイクしていこうと考えていますか。

「どこかで潰し合いをしてもらわないと、困ります。アハハハハ」

――アハハハハ。

「でも強者と強者が戦うというマッチアップでも、今のRIZINファンは乗れると思います。キム・ギョンピョとスパイク・カーライルの試合も、そこそこ盛り上がっていましたし。そろそろ、そういうのがあっても良いんじゃないかと」

――「中央アジア3人衆、誰でもやってやるよ」と声を挙げる選手に出てきてほしいです。

「そうですね。強い選手と戦うことはデメリットでなく、メリットになる。それが格闘家ですからね。強い選手同士をぶつけるだけでは、日本の現状としてビジネスは成立しない部分はあるかとは思います。だからこそ、彼らが生きるマッチメイクもRIZINには必要になってきます」

――9月にいきなり潰し合いが組まれたら、色々な意味で逃げたと言わせてもらいます(笑)。

「そこはまだないです。そこでは(笑)。日本人選手が困るから、潰し合わせるということはしないです(笑)。中央アジア勢に勝てば強さの証明になる。だからタイトル挑戦に近づく。そういう状況にしたいですね。ファンの期待値が上がれば、そこは逃げられなくなりますから」

――日本国内にいて直視しない傾向もみられる円安と向き合う柏木さん、僭越ながら中央アジア勢の投入はgood jobだと書かせてください。

「ありがとうございます。シェイドゥラエフを呼んで、褒められたのは初めてかもしれないです(笑)。でも、攻略はできます。ダウトベックもシェイドゥラエフも完璧ではないので。強いけど、日本人選手にはあそこを目指して欲しいです。

なぜ、ファイターをやっているのか。そこをもう一度、自分に問いかけて欲しいです。格闘技って強くなりたいからやっているんじゃないですか――と。その原点は大切だと僕は思っています。強いヤツはたくさんいるので、そいつらに勝つことを目標にしてほしいです」

――MMAPLANETみたいなことを言っているじゃないですか。

「ホント、会社で村八分ですよ(笑)。本当に社内で浮いていますからね、僕。ビックリするほど」

――アハハハハハハ。

The post 【Special】「あそこを目指して欲しい」。柏木信吾のこの一番から中央アジアの猛者たちへ、プロローグ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB DWCS Gladiator MMA MMAPLANET o ONE RIZIN Special ガントゥルム・バヤンドゥーレン チウ・ルェン ブログ マイキー・ムスメシ

【Special】アジアの猛者たち─01─ヒザ神バヤンドゥーレン「あの足関節ではタップはしません」

【写真】迫力がある面構えのバヤンドゥーレン(C)MMAPLANET

UFC、RIZIN、北米フィーダーショー、日本のプロモーションと世界中のMMAを見渡してアジア勢が台頭しつつある。もちろん、アジアといっても広い。その勢いの中心は東アジアではなく、中央アジアだということも百も承知だ。MMAPLANETでは6月から日本人ファイターと肌を合わせた経験がある──あるいは今後その可能性が高いアジアのファイター達にインタビューを続けてきた。

題して「アジアの猛者たち」──第1弾はモンゴルからガントゥルム・バヤンドゥーレンのインタビューをお届けしたい。
Dedicated to Mr.Junichi Aarai
Text by Manabu Takashima

2022年世界サンボ選手権コンバットサンボ58キロ級優勝のバヤンドゥーレンは、MMA戦績も3勝0敗ながらONEでMMAでなくグラップリング世界戦をマキシー・ムスメシと戦った。左ヒザが異様な方向に捩じれ、バキバキと音が鳴り続けてもタップをしない対戦相手に対し、マイキーが困惑して技を解く場面も見られた一戦でバヤンドゥーレンは判定負けに終わり、交通事故なみの負傷を追い長期欠場を強いられた。

その後の情報は日本に届かず、選手生命が断たれたという見方もされていたが、実際にはバヤンドゥーレンは昨年の夏からモンゴル国内のアマ大会で腕試しを行っていた。

コンバットサンボやガルダントラン(徒手格闘技)のトーナメントで打撃と組みの融合、MMA前哨戦も済ませた。そんな──ある意味、ヒザ神バヤンドゥーレンを所属するガルーダMMAではなく、ガルダントランの本拠地であるDeasand Bambar Clubに尋ねた。

あくまでもMMAに拘っていたバヤンドゥーレンは、インタビュー後に今週末10日(土・現地時間)に中国はシャンシー省ルーリャンで開催されるJCK FN90に出場し、メインのフライ級マッチでDWCS、Rod to UFC、そしてUAEWに出場経験のあるチウ・ルェンと戦うことが決まった。

再び世界に向けて歩み始めた──バヤンドゥーレンが語ったマイキー戦、そのヒザの真実とは。


──バヤンドゥーレン選手、今日は取材を受けていただきありがとうございます。

「こちらこそ、わざわざ練習場所まで来てトレーニングを見てもらう機会が得らえて嬉しいです。ありがとうございます」

──バヤンドゥーレン選手といえば、やはり気になるのはヒザの具合です。昨年1月にONEでマイキー・ムスメシの持つサブミッショングラップリング世界フライ級王座に挑戦し、左ヒザがえげつない方向に捩じれるほど足関節を仕掛けられましたが、タップをしませんでした。なぜ、あの状況でタップをせずに戦い続けることができたのでしょうか。

(C)ONE

「あの足関節は完璧には極まっていなかったです。

だからタップをする必要がなかった。それに試合の時は最後まで勝負を諦めないというのが、自分のポリシーなのでタップをすることは絶対にないです。

途中で戦い方を切り替えられて、RNCを仕掛けられて落ちることはあるかもしれない。でも、あの足関節ではタップはしません」

──あのう……極まっていないと言われましても、あれだけヒザが捩じれていましたしマイキーは「20回はポップしていた」と言っていました。結果、交通事故並みの負傷だという情報も入ってきました。実際にタップをするだけの痛みもなかったということでしょうか。

「完全に入ったという感覚はなかったです。確かに最初に仕掛けられた時は痛かったですが、途中から麻痺したように痛みも感じなくなったのでタップでなく、どうやってこの状況から脱しようかと考えていまし」

──それは……感覚が麻痺してしまっていたということですよね……。

「まぁ結果として、ケガをしてしまったのは確かです。でも、自分としてはマイキー・ムスメシのように世界的に知名度がある相手に対して、どれだけ戦えるのかを試したかった。試合前は簡単に極められてしまうかと不安に思うこともありましたが、予想に反してそれほどでもなかったので、できる限り戦いたいという気持ちになっていました」

──今日は打撃の練習をされていましたが、左ヒザの状態はいかがですか。

「ヒザの方はケガをする前の状態に戻っています。5カ月後には回復していたので、去年の夏にモンゴルで開催された柔術の国際大会に出場して回復具合を確かめました。結果、問題はなかったです。

今年に入ってから試合勘を取り戻すために、柔術、グラップリング、コンバットサンボ、ガルダントランなど色々な試合に出ています。そのうち3大会で優勝をしているので回復もして、試合勘も戻ってきました」

──ONEにおけるマイキーとのグラップリング戦前にMMAの試合をカリフォルニアで3度戦っています。ONEでの組み技戦後、コンバットサンボやガルダントランという道着有りで打撃、投げ、寝技がある試合に出て如何に役立ちましたか。

「MMAの試合は1日に1試合です。コンバットサンボやガルダントランは1日に4試合ほど戦うので、さっきも言ったように試合勘を養うことができます。そして、対戦相手のタイプも違うので経験値を高めることにも役立っています」

──現状ではMMAで戦うことを念頭に置いているということでしょうか。

「ハイ。MMAファイターですし、世界中の全てのMMAファイターと同じようにUFCで戦いたいと思っています。UFCのチャンピオンになることが夢です。国内で様々なルールの試合に出て、もう準備は整っているので次は海外のMMAプロモーションと契約をしてUFCを目指したいです」

──モンゴル人ではニャムジャルガル・トゥメンデムベレルがGLADIATORからRoad to UFCワンマッチ戦を経てUFCファイターになりました。そのグラジにはオトゴンバートル・ボルドバートルがタイトルマッチ出場を決めています。

「自分としては米国で戦いたいです。ただし日本でチャンスがあるなら当然、日本で戦うことになります」

──ONEではMMAを戦うということは考えていなかったのですか。

「実はグラップリングだけの契約だと思って、サインをしました。でも、ONEとの専属契約になっていたので、MMAもONEで戦わないといけない状況だったんです。なので復調してからMMAの試合を組んで欲しいと打診をしているのですが、芳しい返答はないままです。

ONEのジャッジにはモンゴル人も1人いるので、その人を通しても試合がしたいと尋ねました。それでも返事がなくて、相手にされていないようです。無視をされているように感じるので、正直なところ心穏やかではないです。

これからONEとの契約を見直して、どういう風にしていくのかを進めていくつもりです。モンゴルはMMA人気が高まっていて、良い指導者も増えています。モンゴル人はもともとファイターです。この強い気持ちがあって練習環境も整ってきているので、もっともっとモンゴル人ファイターは海外で活躍できると信じています。自分たちのファイター気質は、そういうプロモーターたちにも気に入ってもらえるはずです」

The post 【Special】アジアの猛者たち─01─ヒザ神バヤンドゥーレン「あの足関節ではタップはしません」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB Gladiator K-MMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FF74 イ・スンチョル ブログ モイセス・イロゴン

【ONE FF74】グラジを席巻したイ・スンチョルが、イロゴンと対戦。適正体重でONEに挑戦開始

【写真】ONEストロー級参戦で、いかにパフォーマンスが向上しているのか注目(C)MMAPLANET

9日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 74のオープニングマッチに韓国のイ・スンチュルが出場し、フィリピンのモイセス・イロゴンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

昨年12月にGladiatorに来日したイ・スンチュルは澤澤田政輝を初回でKOすると、Gladiatorフライ級王座決定トーナメントに抜擢され3月の準々決勝でツェルマー・オトゴンバヤルに2Rパウンドアウト勝利を収めていた。


実はこの試合前に肩を負傷していたイ・スンチョルは、オトゴンバヤルの右ストレートでダウンをし、この後の反則のヒザ蹴りで試合が中断していないとパウンドアウトされたかもしれないピンチに陥っている。2Rになっても打撃の劣勢は変わらず、テイクダウンも切られるという厳しい状況のなかで、打ち気に逸るオトゴンバヤルにダブルレッグからバックを取り、最後はマウントパンチで逆転勝ちを手にした。

しかし、この勝利の代償は大きく2カ月後の準決勝は出場を辞退、加えてRoad to UFCからのオファーも固辞していた(結果、同トーナメントに出ていたチェ・ドンフンに出場権が回る)。Road to UFC出場を断るという判断の裏にはもともとフライ級としては体が小さく、減量もあまりない状態で戦っていたイ・スンチョルは、北米ユニファイドと同じ体重リミットでも、原則として水抜きが禁止でリカバリーの幅が少ないONEストロー級で世界進出を目指していたということがある。

フライ級では難しい──オトゴンバヤル戦で勝利してなお、この現実に向き合うこととなったイ・スンチョルはONE FFから本戦ステップアップを目指すことを決めた。当初5月30日のONE FF 65で野田遼介とルンピニー・デビュー戦を戦うことになっていたが、肩の負傷の完治に時間がかかりキャンセル、1カ月半を経て待望の舞台に立つこととなった。

対するモイセス・イロゴンはキャリア3勝0敗のフィリピン人ファイターで、昨年11月にイ・スンチョルの同朋でスーパー高校生の異名を持つチョ・ジュンゴンを下して以来のFF出場。連続してK-MMAファイターと相対することに。チョ・ジョンゴンも将来性のある選手だが、組みの完成度の高さと打撃との融合という部分でイ・スンチョルとは明確な違いはある。

オトゴンバヤル戦では被弾してピンチを迎えたイ・スンチョルだが、ONE判定で有利なダメージを与えるカウンターを持ち主で、既にONE世界ストロー級タイトルチャレンジャーだったルネ・カタランから71秒KO勝ちという実績も残している。流れるような動きのなかで、フィッシュ能力があるイ・スンチョルが適正階級でどのようなパフォーマンスを魅せるのか。ONEストロー級で戦う日本人ファイターも注目すべき一戦となる。

■視聴方法(予定)
8 月9日(金)
午後9時15分~ U-NEXT

The post 【ONE FF74】グラジを席巻したイ・スンチョルが、イロゴンと対戦。適正体重でONEに挑戦開始 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
AB Gladiator Gladiator Challenger Series02 Gladiator027 MMA MMAPLANET o ONE ROAD FC UFC UFC ABC07   アドニス・セビジェーノ オトゴンバートル・ボルドバートル ガントゥルム・バヤンドォーレン ジャダンバ・ナラントンガラグ ダギースレン・チャグナードルジ パク・ヒョンソン ボクシング 中村倫也 海外 荒井順一 長谷川賢 食事

【A Memorial Writing】追悼文、モンゴルと日本MMA界の架け橋。荒井順一さんを偲んで

【写真】7月7日GLADIATORの打ち上げの席。左からマーク・サンジャオ、筆者、荒井さん、アドニス・セビジェーノ。右列は前から2人目がオトゴンバートル、ダギースレン、トンガー、そしてUFCフライ級ファイターのパク・ヒョンソン。写真を撮ってくれたのはマーク・サンジャオ夫人 (C)MARK SANGIAO

「些細なことで恐縮ですが、『シャンダス×ラカイ対決は、エンフオルギルがブーミナアンを下し通算対戦成績を6勝0敗に』と書かれていますが、正確には7勝0敗です。(記事を修正して欲しいということではありません)

シャンダスの選手で初めてチーム・ラカイの選手と戦ったのはバットゲレルで、2012年3月30日のLegend FC 8でJasor Ablasiという選手と試合をしました。本当に些細なことで申し訳ありません」

日曜日の朝8時前、LINEにモンゴルの荒井さんからメッセージが入った。「いえ。ありがとうございます。記事も修正させて頂きます」と返信をしたのだが、実際に書き直し終わったのは午前10時11分だった。

言い訳がましいが、この日は午前1時からUFC ABC07の速報があり、メインの記事をアップし終わったのが午前7時22分。直ぐにベッドに潜りこみ、約30分後に荒井さんからのメッセージの着信音で一瞬目が覚め、返信こそしたが──そのまま眠りに落ちた。

3時間後に起きて、記事を訂正したとき「ああ、あの香港の大会で荒井さんに会っていたな」と思い出した。

自分が初めて荒井さんにお会いしたのは、その1年4カ月ほど前の2010年の12月30日だった。

戦極のリングで横田一則を破ったジャダンバ・ナラントンガラグを見て、インタビューを申し込むことを決めた。しかも、大会終了後からホテルに戻るまでの時間に。加えてやけにナラントンガラグがオーバーフックを使うことに興味を持ち、『モンゴル相撲流MMAで使えるテイクダウン』という技術モノまでリクエストをすると、試合後にも関わらず控室で
実践してくれたナラントンガラグは「これから、自分のことはトンガーと呼んでください」と笑顔を見せていた。

この時、通訳をしてくれたのが荒井順一さんだった。主催者が雇った通訳の方ばかりだと思っていたのだが、モンゴル在住でトンガーの格闘技の先生だという。荒井さんが昭和の日本人気質の持ち主であることは、訳をして下った時の単語の選択や言い回し、なにより取材以外での佇まいからすぐに分かった。

その後、上に記したLegend FCの香港大会、2013年4月に同じくLegend FCのマレーシア大会。2014年8月のドバイでの再開以降はトンガーがONEで戦うのに伴って、2015年11月のシンガポール、2018年7月のクアラルンプール、2019年4月のマニラとほぼ年に1度の割合で荒井さんとは顔を合わせていた。

また日本に来日したモンゴル人選手のインタビューのために、メッセンジャーで通訳をしたくれたこともある。

より荒井さんと言葉を交わすようになったのは、意外にもコロナ禍になってからだ。現地取材ができない期間に、MMA界にリモート取材という新たな慣例が設けられるようになった。

この頃になるとトンガーはトンガーで自分の道場を持ち、荒井さんもイレードゥイMMAクラブという自らの城を構えるようになっていた。イレードゥイで育ちONE Warrior SeriesからONE本戦出場を決めたプレウ・オトゴンジャガルのリモート取材も当然のように荒井さんがサポートをしてくれた。

さらに2022年の秋に長谷川賢から「日本人を強くしたい。その一環としてGLADIATORに日本人選手と切磋琢磨できる外国勢を招聘したい」と相談され、荒井さんを紹介した。2023年1月、ウランバートルの各ジムを回りトライアウト的に練習を視察する長谷川を同行取材した。この時、初めて荒井さんと、彼が生活拠点を置く国で会う機会が訪れた。

以降、GLADIATORにはモンゴル人ファイターは継続参戦し、プレビューインタビューの際には通訳ばかりか、現地で携帯を使って煽り映像の撮影まで荒井さんは助けてくれた。

去年の5月には中村倫也とモンゴルを訪れ、MMAジムだけでなくモンゴル相撲の技術交流などの動画も制作できた。1日に3カ所も回り、それぞれのジムで所属トップ選手が集まり、学校施設に行ってモンゴル相撲の練習に参加できたのも、昭和の男・荒井さんがいてくれたからだ。

いつ何時、どこであろうが下ネタ三昧の自分も、荒井さんの前だけはそ禁句だった。話題はMMA。強くなることもそうだが、人間として正しく導く。それが荒井さんのファイターとの付き合い方だった。冬は氷点下30度になるウランバートルで生きる荒井さんは、自分のようなおちゃらけた雰囲気は一切なく、必要なこと以外は口にしない人だった。

先月の7日、GLADIATOR027にシャンダスMMAからダギースレン・チャグナードルジとオトゴンバートル・ボルドバートルが来日した際、トンガーが「先生、セコンドは2名です。久しぶりに先生と日本に行きたい」と声掛けし、荒井さんが大阪にやってきた。日本で荒井さんに会うのは、トンガーの初インタビュー以来、13年と7カ月振りだった。

昨年8月に荒井さんは一番弟子のプレウを亡くし、ひどく意気消沈していた。今年の6月にウランバートルを訪れた時も「今でもプレウの試合を見ることができないんです。彼のことを思い出すと……」と涙ぐむこともあった。

「だからトンガーが太り過ぎていて、心配で。モンゴルの食事は塩分が多く、動物性たんぱく質と糖質ばかりなので。ヒザが悪くて運動ができないから、酒を控えさせないといけないです」と話していた荒井さんだが、GLADIATOR終了後の打ち上げの席で珍しく砕けた表情を見せ、雄弁に色々と話しをしていた。

とはいっても戦い終わってノーサイド的なシャンダムMMA勢とチーム・ラカイ然の間を取り持ち、モンゴル語と英語のやり取りをずっと続けていたようなものだが、その表情は心の底から嬉しそうだった。

もうそろそろお開きだという頃になってトンガー、荒井さん、自分、そしてマーク・サンジャオが4人で何度もジョッキにビールを注ぎ、一気飲みをした。そう、これぞ昭和の男の酒の飲み方だ。

翌朝、朝の8時前に新幹線に乗り帰京中に「今、我々は関空で飛行機を待っているところです。試合前は関係者、特に相手陣営と話すことは余りありませんので、昨日のような打ち上げは関係者や相手陣営と話せる良い機会でした。また、高島さんとも再会でき、今回の日本滞在は有意義なものでした」という連絡が入った。

その4日後にはGLADIATOR Challenger Series02に来日したモンゴル勢の奮闘ぶりで連絡を取り合った。それからも韓国籍を取ったナンディンエルデンがボクシングの試合に出てKO負けをしたことで「彼が8月31日にRoad FCの試合に出るのは危ないです」と格闘技の安全面に対する意識の低さを指摘する──らしいメッセージが届き、意見交換をさせてもらった。

7月28日には去年の1月にONEのグラップリングでマキシー・ムスメシと対戦し、ヒールにタップをせず、大けがを負ったガントゥルム・バヤンドォーレンが8月10日に中国で試合をすることを教えてくれた。その際の連絡では「ONEとの契約は大丈夫ですかね。何もなければ良いのですが。試合を組めないのであれば団体はリリースすべきだし、選手も契約書にしっかりと目を通さないといけないです」とファイターを心配しつつ、自覚することを促す学校の先生のような言葉で締めくくられていた。

冒頭にあった日曜日のLINEでのやりとり──自分の最後のメッセージが既読になったのは、まさに記事をアップした午前10時11分、モンゴルでは朝の9時11分のことだ。

その3時間後に、荒井さんは亡くなった……。FBに荒井さんの死を投稿したトンガーから、わざわざ日本語でその詳細を教えてくれる連絡が入った。

「高島さん……高島さんに、こんなに悲しいお知らせをする自分を許してください」という言葉と共に。

なんでなん? なんで? こないだ──一緒に酒を飲んで、笑って──初めて、俺の下ネタも聞いてくれたやん!

荒井さん!! おかしいって。そんなにプレウとミット打ちがしたかったんか?  もう50代も半ばの同い年のオッサンを、ここまで泣かせてどういうつもりやねん。

でも、何も嬉しくはないが最後の連絡がシャンダスとラカイの通算成績の訂正だったのは、いかにも荒井さんらしい。

日本語表記が難しいモンゴル人ファイター達、MMAPLANETは荒井さんがいてくれたから、どこよりも正確なカタナカ表記に出来ているはず。でも、これからはどうすんねん……なんて言わないようにする。トンガーが「先生のためにも、モンゴルの選手が強くなれるよう尽くします」と言ってくれたように、悲しむだけ悲しんで前を向くから。

今、自分の手元には今月からMMAPLANETで書いていこうと思っていた「アジアの猛者」達のインタビュー素材が10人分ほどある。モンゴル人選手の通訳をしてくれたのは、荒井さんだ。これが荒井さんとの最後の共同作業──渾身の力で書く。

教師のような荒井さんと、任侠の親分のようなトンガー。2人との出会い、この縁を忘れずに──チンギス・ハンの末裔が世界に出ていく姿を、自分は追いたいと思う。

荒井さん、あなたの思い描いたモンゴルのMMA界の成長、モンゴル人ファイターの海外進出が少しでも現実に近づくように、自分も協力させてもらいます。これまで、本当にありがとうございました。
Text by Manabu Takashima

追伸
荒井さん、訂正した記事──読んでくれていたかな。

The post 【A Memorial Writing】追悼文、モンゴルと日本MMA界の架け橋。荒井順一さんを偲んで first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator027 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN24 エンフオルギル・バートルフー カルロ・ブーミナアン ブログ

【ONE FN24】シャンダス×ラカイ対決は、エンフオルギルがブーミナアンを下し通算対戦成績を6勝0敗に

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
Def.3R4分59秒by RNC
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)

ジャダンバ・ナラントンガラグ率いるシャンダスMMA所属のバートルフーと、チームラカイのブーミナアンの対戦。過去、ナラントンガラグ本人も含め先日のGladiator027で実施されたダギースレン・チャグナードルジ×アドニス・セベジェーノ戦まで、シャンダス系モンゴル勢はフィリピンのトップチームのファイターに5勝0敗と負け知らずだ。

試合はまうサウスポーのブーミナアンが左ミドルを蹴る。距離を詰めていくバートルフーだが、左右のフックを受けて組みつかれる。ヒザをボディに突き上げるブーミナアンは、クリンチから小手投げのバートルフーを潰しサイドバックへ。キムラから腕十字に移行したバートルフーだが、ブーミナアンは腕を抜く。ならばとトップを狙うも、試合はスクランブルからスタンドに戻った。

ブーミナアンは左フックをヒットさせ、バートルフーがスイッチを織り交ぜ左フックを返し、右ミドルを蹴る。打撃ではブーミナアンがリードするなか、組んだバートルフーはコーナーに押し込みヒザ蹴りからダブルレッグへ、シングルに移行してテイクダウンを奪うとブーミナアンがエプロンに出る。コーナーに詰めたスタンドの状態で試合は再開され、バートルフーがバックに回り、後方からヒザを狙う。頭をロープの外に出すブーミナアンを、引き戻したバートルフーがヒザを太腿に入れ──正対されたところで初回が終わった。

2R、ワンツーのブーミナアン。左カーフを蹴るバートルフーが右ハイも姿勢を乱して尻もちをつく。直後にクリンチからバックに回ったバートルフーだが、ブーミナアンは前転からスクランブルに。と、バートルフーは右フックに左のカウンターを合わされ一瞬動きが止まる。直後にクリンチからバックに回ったバートルフーだが、ブーミナアンは前転からスクランブル。ブーミナアンの組みをがぶられ、ヒザを受けるが間合いを取り直す。

しかし、左ローに右フックを被弾してダウン。直ちに立ち上がったブーミナアンだが、明らかに動きは落ちておりバートルフーの手数が増える。ショートのフックからダブルレッグを決めたバートルフーがサイドバックへ。パンチを受けたブーミナアンは、襷掛けからバックを許すと、バートルフーがRNCを仕掛ける。残り1分、半身で耐えるブーミナアンは立ち上がろうとしたが潰され、RNCをセットされるも時間に救われた。

最終回、バートルフーの左ローに右フックを合わせようとしたブーミナアンだが、シングルレッグでテイクダウンを奪われる。疲れが目立つブーミナアンは、バックに回らないよう自ら背中をマットにつける。バートルフーはハーフからマウントを奪って殴ると、背中を向けたブーミナアンはRNCを防ぎ、ハーフガードに戻す。バートルフーは右ヒジを連打し、潜ってきたブーミナアンの頭をステップオーバーして、腕十字を狙う。

ここは察知したブーミナアンだが、背中を見せる展開が続きスクランブルに何とか持ち込む。バートルフーはがぶって、バックに回ると前転を潰してサイドからマウントへ。強烈な勢いでパンチを打ち込むバートルフーは、背中を見せるしかないブーミナアンにRNCから肩固めに移行する。試合終了直前にブーミナアンが落ちて、バートルフーはセベジェーノ、ジャンロ・サンジャオに続き、ブーミナアンと✖ラカイで3連勝を決め──チームとしては対戦戦績を6勝0敗とした。


The post 【ONE FN24】シャンダス×ラカイ対決は、エンフオルギルがブーミナアンを下し通算対戦成績を6勝0敗に first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB CORO DEEP DEEP120 DEEP121 Gladiator MMA MMAPLANET o RIZIN Wardog YouTube イ・ソンハ キック 中務修良 五明宏人 修斗 元谷友貴 力也 南友之輔 多湖力翔 大成 杉山廣平 水野竜也 江藤公洋 泉武志 海外 渡部修斗 瀧澤謙太 相本宗輝 福田龍彌 谷岡祐樹 野村駿太 関原翔 雅駿介 鹿志村仁之介

【DEEP121】福田龍彌✖瀧澤謙太、江藤公洋✖野村駿太。2階級のタイトル戦と、粒ぞろいすぎる2回戦!!

【写真】RIZIN枠を考慮し、旬を逃さないカードが組まれているDEEPだ(C)MMAPLANET

23日(火)、DEEPより9月16日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP121 Impactの対戦カードが、タイトルマッチ2試合を含み、11試合が発表されている。
Text by Manabu Takashima

ベルトが懸かった試合は、バンタム級王座決定戦=福田龍彌×瀧澤謙太、そしてライト級チャンピオン江藤公洋に野村駿太が挑戦する2試合だ。


フライ級王者でもある福田は、5月に元谷友貴とバンタム王座決定戦に出場予定だったが、タイでの練習中に肩鎖関節脱臼で欠場となっていた。

対する瀧澤は14日の後楽園ホール大会でDEEP初出場を果たし、COROに判定勝ちを収めている。試合後のマイクでは「DEEPのベルトを獲ってRIZINにリベンジしにいく」と宣言していた。超RIZIN後、9月以降のRIZIN参戦を目指し、ベルトを切符代わりとしたい瀧澤だが、CORO戦はテイクダウンを警戒して慎重なファイトに終始していた。

福田はいわば、命のやり取りをする覚悟で日々の練習をし、ケージに上がっている。そんな福田を凌駕するには、同じ戦意を持ち福田のフィールドに足を踏み入れる必要がある。それができれば、瀧澤の天賦の才といえる当て勘が活きてくるはずだ。

対して、福田としてはやはり負傷の復調具合が気になるところ。筋や腱に傷が及んでいれば、完治までそれ相応の期間は必要となる。それでも福田の性分からして、五体満足になることを欲して、試合機会を減らす選択はしないはず。つまりは完治しなくとも、瀧澤と斬り合い──セッションを求めるのであれば、このタイトル戦は福田にとってリスクが高いファイトとなる。

ライト級戦タイトル挑戦者の野村はDEEP120で泉武志から逆転TKO勝ちを収め、江藤へのリベンジと挑戦をアピールしていた。昨年7月に江藤のテイクダウン&コントロールに屈した野村は、泉のテイクダウン&コントロールを跳ね返したことで、自信を確信に変えてベルト獲りに挑む。

チャンピオン江藤は3月にイ・ソンハをRNCで下して以来、半年ぶりの実戦となる。RIZIN、海外再進出を模索する江藤はとにかく強さを見せての防衛が必要となってくる。

そんな江藤への挑戦に向け、泉を下した直後の取材で野村は以下のように話していた。

「来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」(野村駿太)

──2日前のGladiator Challenger Seriesに出場したジムの後輩、南友之輔選手が右ストレートから左フックで強烈なKO勝ちを収めました。あのKOを見て、先輩としてやらないといけないという気持ちになったのでは?

「バリバリなっていました。『コイツ、やってくれるなぁ』みたいな(笑)。『野村さん、繋ぎました』とか言ってくれて。試合の流れも逆転勝ちで、変なところまで同じでしたね。友之輔がBRAVEに加わってくれたところで、自分がやって行くべきことのなかで、空手の良さも再発見することができました。

友之輔がやろうとしていることも、僕のなかで刺激になっています。木村(柊也)や南を見て、自分も『コイツらに負けていらない』という風になりますし。あの2人が、自分を手本にしたくなるような選手に、自分はなっていかないといけないです」

──泉選手を返り討ちしたことで、江藤選手への挑戦権を手にしたかと思います。同じテイクダウン&コントロールにしても、江藤選手のソレはより柔軟に包み込んでくるようなイメージがあります。

「そこは1度、触れているので。自分のなかで江藤選手と戦うなら、どうすべきが分かっている部分はあります。今日みたいにやられないように戦ってしまうと、また去年と同じになってしまうので、自分から仕掛けていっても良いと思っています。そこをタイトル戦で見て欲しいです」

──一発、右アッパーを被弾して下がらされました。

「攻め気でいた時に、自分の流れに持ちこみ過ぎようとして……余りない形のアッパーを貰いました。打撃が上手な人と練習をしていると、あのパンチはなくて。でも、喧嘩のような動きのパンチを貰ったのは反省材料です。変に自分のなかで貰わないという自信があって、それが慢心になってしまっていたかと思います」

──以前よりも、そして泉選手と比較しても、江藤選手は貰っても怯まないようになってきたようにも感じます。

「そっちの方が戦いやすいです。気持ちを強く持ってくれているほうが、向かい合ってくれるでしょうし。ビビッて距離を取られる方が面倒くさくなるので。変に自信を持ってくれている方が、術中にハメやすいです。来てくれる方が、ぶっ飛ばせます」

──打撃でなく、テイクダウンでも出てくる方が戦いやすいですか。

「逆にソレしかしてこないと思っています。泉選手には失礼な言い方になってしまいますが、あのスタイルでさらに強化されているのが江藤選手です。なので、今日は攻め込まれる場面があって良かったです。今日の経験を生かして、煮詰めていけばさらに成長できると思っています」

なお今回の発表ではメガトン級の水野竜也×大成が3回戦で組まれることが明らかとなっている。また関原翔×杉山廣平のフライ級戦、涙の引退から約1年で復帰の渡部修斗もフライ級でKENATと知りなおしの一戦。五明宏人✖相本宗輝のフェザー級戦。バンタム級ではルーツは立ち技同士、ムエタイ=雅駿介×キック=谷岡祐樹、同じくバンタム級で力也×禊の鹿志村仁之介。WardogからRIZIN、GRALDIATOR、HEX FSを経てDEEPストロー級戦線に辿り着いた中務修良✖Blackcombatでの勝利で6連勝中の多湖力翔のマッチアップ──と、粒が揃い過ぎている2回戦6試合も決定している。

The post 【DEEP121】福田龍彌✖瀧澤謙太、江藤公洋✖野村駿太。2階級のタイトル戦と、粒ぞろいすぎる2回戦!! first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator CS02 MMA MMAPLANET o キック ソドノムドルジ・プレブドルジ パン・ジェヒョク 松嶋こよみ

【Gladiator CS02】ソドノムドルジに左三日月を効かせた松嶋、左ヒザでKOしてトーナメント準決勝へ

【写真】ソドノムドルジのパンチに対して危ない場面もあったように見えたが、最後は松嶋が安定感を見せてKO勝ち(C)MMAPLANET

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
2R2分47秒 by TKO
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

松嶋が右カーフキックで先制する。ソドノムドルジのパンチをバックステップでかわした松嶋は、サウスポーにスイッチして左ハイを見せた。オーソドックスに戻した松嶋のローに、ソドノムドルジが右ストレートを合わせる。ソドノムドルジのパンチをかいくぐり、組みつく松嶋だがテイクダウンは奪えず。

サウスポースタンスでプレスをかけた松嶋がソドノムドルジにケージを背負わせた。回ったソドノムドルジが連打を浴びせ、松嶋の顔面を捉える場面も。頭を下げて回った松嶋は左三日月蹴り、左ヒザをボディに突き刺す。ソドノムドルジがシングルレッグで組み、松嶋に尻もちを着かせる。松嶋はボディロックから返すと、ソドノムドルジが立ち上がる。

スタンドに戻ると、ソドノムドルジが右ストレートを伸ばす。松嶋が右ストレートからオーソドックスにスイッチして、ボディロックで組んだ。ソドノムドルジが右オーバーフックから離れる。ソドノムドルジのパンチの勢いで、松嶋がバランスを崩した。互いに右カーフを出し合う。松嶋が左ミドルハイからプレスをかけ、ケージを背負わせて初回を終えた。

2R、松嶋はサウスポーで向かい合う。前手のフェイントから左の三日月蹴りを伸ばす松嶋。右カーフキックを当てて離れると、二段蹴りで左ミドルをボディに打ち込む。ソドノムドルジが前に出て来ると、左テンカオを突き刺した松嶋。しかしソドノムドルジも打ち終わりにパンチを振るう。スイッチしながらプレスをかける松嶋が左ミドルを放つと、ソドノムドルジが右を狙う。

ソドノムドルジの右ローがヒット。松嶋は左ハイを効かせ、さらに左ストレートからボディに左ヒザを突き刺してKOした。

「相手は強いパンチをブンブン振ってきましたけど、勝てて良かったです。頑丈な選手だろうとは思っていましたが、時間をかけていけば勝てるだろうと考えていました。(パン・ジェヒョクについて)試合を観ていなかったので、また試合を見直します(笑)。また強い部分をつくり直して頑張りますので、よろしくお願いします」と語った。


The post 【Gladiator CS02】ソドノムドルジに左三日月を効かせた松嶋、左ヒザでKOしてトーナメント準決勝へ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB F1 Gladiator Gladiator CS02 MMA MMAPLANET o パン・ジェヒョク 松嶋こよみ 石田拓穂

【Gladiator CS02】ジェヒョク、1Rに右フック→鉄槌で石田にTKO勝利「重さを意識して練習してきた」

【写真】前に出てくる石田にジェヒョクが右フックを合わせ、そこからパウンドアウトした(C)MMAPLANET

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定決定T準々決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
Def.1R3分47秒 by TKO
石田拓穂(日本)

ジェヒョクがジャブと右カーフ、石田も右ローを蹴り返す。ジェヒョクはプレッシャーをかけながらジャブを突いて右カーフを蹴り、ジャブを顔とボディに打ち分けて、右ストレートで飛び込む。さらにジェヒョクは左フックを当て、石田の右ローに右ストレートを合わせて、石田に尻餅をつかせる。

すぐに立った石田も組みついてテイクダウン、バックを狙うが、ジェヒョクもそれを許さない。試合がスタンドに戻るとジェヒョクは石田の右に左フックを狙い、右カーフをタイミングよく当てる。石田が右→左フックを振って飛び込むが、そこにジェヒョクが右フックを合わせると石田がダウン。ここからジェヒョクが鉄槌を連打してレフェリーストップを呼び込んだ。

試合後、ジェヒョクは「勝ったのはとてもうれしいけど、石田選手の涙を見ていたら。負けた選手の気持ちも分かるので複雑な気持ちになりました。河名戦の時は怪我でスタミナがなかったけど、今回は疲れないスタミナを作る練習をしてきました。また今回は練習方法を変えて、今まではスピードだけでしたが、今回はスピードと重さを意識する練習をしてきました。次もフィニッシュして勝ちたいです。(決勝では)松嶋こよみ選手と戦えたらうれしいです」とコメントした。


The post 【Gladiator CS02】ジェヒョク、1Rに右フック→鉄槌で石田にTKO勝利「重さを意識して練習してきた」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 Gladiator Gladiator CS02 MMA MMAPLANET o Progress UFC 上久保周哉 竹内稔

【Gladiator CS02】「UFCがあるから」上久保が竹内のアナコンダを凌ぎ、テイクダウンでポイント勝利

【写真】テイクダウンからバックグラブには至らずも、上久保がコントロールし続けた(C)MMAPLANET

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
上久保周哉(日本)
Def.6-1
竹内稔(日本)

上久保から手を伸ばすと、手四つから竹内をケージに押し込もうとする。竹内は首相撲から切り返して上久保にケージを背負わせる。すぐに切り返した上久保と触り合いが展開されるなか、上久保が竹内をケージに押し込んだ。左腕を差し入れ、頭を押っ付けた上久保に対し、竹内は右腕を抑えにかかる。しかし上久保がボディロックで組むと、竹内が右足を差し入れた。ここで上久保はシングルレッグで入る。上久保の首を抱えて引き込んだ竹内はアナコンダへ。

上久保の左腕に右足をかけて動きを制した竹内。上久保は左腕にかけられた右足を押し上げ、切り返そうとするも竹内がアナコンダで絞り上げる。残り1分30秒で上久保が頭を抜き、スタンドに戻った。竹内も立ち上がると、上久保がシングルレッグで尻もちを着かせ、テイクダウンの2pが入る。上久保はバックを奪い、両足を差し入れに行くもバックグラブのポイントを奪うまでには至らなかった。

2R、上久保が竹内にケージを背負わせた。竹内は右オーバーフックでディフェンスする。上久保もその右腕をたぐった。竹内が差し入れた右足に対し、上久保がハイクロッチで組むと竹内は離れる。なおも押し込んでいく上久保を竹内ががぶろうとしたところで、右足をすくわれてグラウンドへ。上久保にテイクダウンの2pが加算された。

立ち上がり、足を裁きながらパスを狙う上久保。パスしづらいとみるや、竹内のハーフガードの中に入る。竹内はボトムからアームドラッグを仕掛けながらバックを狙う。上久保が立ち上がると、竹内もスタンドに戻ってスクランブルの1pをゲットした。差し合いから竹内が首投げを狙う。すかさずバックに回った上久保だったが、ここもグラウンドでバックグラブの状態になることはできなかった。

最終回、疲労が見える竹内がプレスをかける。上久保がアームボドラッグから竹内をケージに押し込んだ。上久保がシングルレッグで入ると、やはり竹内はガブりながら首を固め、さらにバックに回る。竹内のバックコントロールに対し、上久保はケージに頭を着け、クラッチを切って正対した。再び竹内をケージに押し込む上久保。竹内が右に回ってケージ際から脱出する。

なおもケージに押し込んでいく上久保はハイクロッチから背中を着かせたが、すぐに竹内が立ち上がりテイクダウンのポイントまでには至らず。ケージに押し込む上久保、右足を差し入れる竹内。ボディロックから足を払う上久保の右腕を取り、突き放した竹内がテイクダウンを狙った。これを切った上久保がケージに押し込むと、竹内が上久保の右腕をキムラで抱えて引き込む。しかしキムラは極まらず、上久保に2pが追加された。最後は上久保がトップで試合を終える。

6-1で勝利し、Progressフェザー級のベルトを巻いた上久保は「キツいところで我慢する。100パーセント安心できるところで、急がない。それが試合のテーマでした。僕の本業はMMAで、UFCに勝てる選手になりたくてトレーニングし続けています。体は健康じゃないけど、UFCがあるから生活を格闘技に傾けることができます。これからもグラップリングだけではないMMAの形を追求していくので、見てください」と挨拶した。


The post 【Gladiator CS02】「UFCがあるから」上久保が竹内のアナコンダを凌ぎ、テイクダウンでポイント勝利 first appeared on MMAPLANET.