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【UFN248】Road to UFCフライ級決勝へ、チェ・ドンフン「鶴屋怜選手や平良達郎選手と練習をしたい」

【写真】インタビューのたびに鶴屋怜の名前を出す印象があるチェ・ドンフンです(C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)、マカオはコタイにあるギャラクシー・アリーナで開催されるUFN248:UFN on ESPN+106「Yan vs Figueiredo」。2024年のUFC唯一のアジアでイベントには中国勢がズラリと並んでおり、日本人選手の出場もない。
Text by Takumi Nakamura

お隣韓国からはUFC本戦ではなくRoad to UFC決勝を2選手が戦う。そのうちの1人がフライ級決勝でキル・シン・サホタと対戦するチェ・ドンフンだ。昨年12月と今年の2月にGladiatorで印象に残るファイトをしたチェ・ドンフンは、5月の1回戦で前回準優勝者との対戦=チーニョーシーユエ戦、準決勝のアンガト・ビシュト戦を共にスプリットで乗り切った。

手堅く接戦を落とさない勝負強さを見せたチェ・ドンフンだが、その手堅い戦いには若干納得できていないようで大切なファイナルでは倒す戦いをしたいと断言した。


――UFCとの契約まであと一歩。Road to UFCフライ級決勝が控えているチェ・ドンフン選手です。今の気持ちを教えてください。

「初戦、準決勝に勝利して決勝を控えていることは、まず嬉しいです。とはいえ、その2試合はトーナメント戦ということもあり格好良く勝つよりも手堅い試合運びをしてしまいました。負けない試合をやってきたので、そこはちょっと不満を感じているところです。ファイターとしてフィニッシュをしたいという気持ちと、UFCと契約するためにとにかく勝てば良いと相反する気持ちが自分のなかにあります」

──いや、勝てば官軍のトーナメント戦です。格好良い勝ち方はUFCと契約してからで良いではないですか。

「そうですよね(笑)。これがコンテンダーシリーズだと、もっと派手な試合をして目立つ必要があるので戦い方自体が変わって来ると思います」

──その決勝に向けて、キル・シン・サホタという長身でリーチの長い相手と戦うために何か対策練習のようなモノはしてきたのでしょうか。

「今回はチームMADポハンにBlack CombatのランカーやAngel’s FCで試合する他のジムに所属しているフライ級の選手たちという出稽古に来ていた選手たちと多く練習をしてきました。ただ、彼ら自身も試合があるということで自分のために対策練習の相手をしてくれたということではなくて、試合を控えた者が集まって強度の高いスパーリングをして、技術交流をしてきたという感じです。

対戦相手はRoad to UFCの2試合しか見ていないのですが、特別に良い選手というイメージはないです。ただ言われたように長身でリーチであることは確かなので、どう切り崩すか。自分として、そういう相手と戦ううえでイリャ・トプリアをイメージしています」

──UFCフェザー級王者を参考に?

「コーチとも、そういう話をしてきました。圧を掛けて戦うのと同時に、相手のステップインに合わせてカウンターを狙う。その両方を駆使して戦おうと思います。相手の出方次第ですが、ここまで手堅い試合をしてきた分、皆が楽しめる試合をして最後は倒したいという気持ちが大きいです」

──Road to UFC決勝。残念ながら日本人選手は残ることができなかったですが、来日経験のあるチェ・ドンフン選手とユ・スヨン選手を応援する日本のファンも多いかと思います。

「GLADIATORの2試合だけで、自分のことを応援してくれる日本の人がいてくれて本当に感謝しています。自分は鶴屋怜選手の試合を見て、彼のようなUFCでしっかりと戦える選手になりたいと思っています。

自分がUFCと契約した暁には、日本に行って鶴屋怜選手や平良達郎選手と一緒に練習をしたいと考えています。日本の皆さん、Road to UFC決勝も自分のことを応援してくれると嬉しいです。とにかくケガをしようが、この試合は絶対に勝ってUFCと契約します」

■視聴方法(予定)
11月23日(土・日本時間)
午後5 時00分~UFC FIGHT PASS
午後4時45分~U-NEXT

■UFN248対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン(ロシア)
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
イェン・シャオナン(中国)
タバタ・ヒッチ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
ムスリム・サリコフ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン(中国)
ガブリエラ・フェルナンジス(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア(スイス)
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)

<ライトヘビー級/5分3R>
オジー・ディアス(米国)
チャン・ミンヤン(中国)

<Road to UFCバンタム級決勝/5分3R>
ユ・スヨン(韓国))
チィルイイースー・バールガン(中国)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
チェ・ドンフン(韓国)
キル・シン・サホタ(英国)

<Road to UFC女子ストロー級準決勝/5分3R>
シー・ミン(中国)
フン・シャオカン(中国)

<フライ級/5分3R>
カーロス・ヘルナンデス(米国)
ニャムジャルガル・トゥメンデムベレエル(モンゴル)

<フライ級/5分3R>
ロナー・カヴァナ(英国)
ホセ・オチョア(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
シャオ・ロン(米国)
クァン・リー(ベトナム)

<ライト級/5分3R>
マァフゥシャトゥ(中国)
ニコラス・モッタ(ブラジル)

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45 AB DEEP GFC GFG GFG04 Gladiator Grachan MMA MMAPLANET NEXUS o YouTube   エスカル御殿 パンクラス 中川涼 中村友哉 佐々木郁矢 修斗 大石真丈 峰田悠生 平野唯翔 新岡理貴 村田在音 松藤冬馬 櫻庭泰裕 海外 石塚一 石塚将也 細川勇哉 萩原和飛 藤田成保 長谷川暢哉

【GFG04】青森から、全国へ。本州最北のMMA大会から、再確認──J-MMA界における地方独立大会の重要性

【写真】第3試合の勝者・中村友哉とGFGを主催する藤田氏(C)MMAPLANET

3日(日)、青森県五所川原市のプラザマリュウ五所川原でGlobal Fightingsports Gameの第4回大会が開催された。
Text by Manabu Takashima

年に一度の津軽、いや東北MMAの祭典は立ち見客が出るほどの盛況な会場内で、友人たちを応援する声が絶えず響き渡るアットホームなイベントだった。

同市の市議である藤田成保氏の尽力もあり、協賛企業数はパンフに掲載されているだけでも61社!! これぞ町興しMMAといえる協力者と集客といえる。

それでもMMAはMMA、メインで地元の佐々木郁矢が石塚将也に判定負けを喫したようにシビアな現実がある。

特に東北のMMAを支えてきた世代、左東伸哉、石塚丈人の完敗劇は考えさせられるモノがあった。GFGが持つ東北にMMAを根付かせ、盛り上げる基盤を築くというミッションを持つ限り、格闘技にとって第一に守るべき安全面も浸透させる必要がある。


ご当地ファイターとして欠かせないベテラン選手達が、体力のピークやピークに向かうファイターの相手を務めるマッチアップも、昨日の大会を見る限り考える時を迎えようとしていることは間違いない。若い選手も、ベテランも時が過ぎるのは平等だ。と同時に、このGFGならではという部分でベテラン、東北レジェンドや各地域の大ベテラン選手とのマッチアップはMMAでも、グラップリングでも特色となる可能性は十分にある。

そんななか1993年11月に修斗で初マットを踏んだ大石真丈が、平野唯翔を三角絞めで下した直後に、引退を明らかとした。パウンド解禁前、修斗がシューティングと呼ばれた時代を知る最後の1人が現役生活に別れを告げた。

修斗フェザー級(現バンタム級)のベルトを巻いた時点で、33歳。既にいぶし銀の異名を取っていた大石は、それから22年の間に国内ではZST、パンクラス、Cage Force、Grachan、HEAT、Grandslam、DEEP、GLADIATOR、NEXUSで戦い続け、海外もキャリアを通してハワイ、ブラジル、豪州、ロシア、韓国、リトアニアで足跡を残してきた。

そして、2024年11月3日に──K’z Factory時代のジム仲間も駆けつけるなか、3年半振りの勝利=31勝目を手に(※26敗9分)、GFGで現役生活に区切りをつけることとなった。

鉄人・大石が最後の戦いに挑んだGFG04では、多くのデビュー戦も組まれていた。安全面に話を戻すと、技量とそこは表裏一体だ。17歳でデビューを迎えた新岡理貴をはじめ、何人かの出場選手は明らかに寝技という面で技術力不足も見られた。同時に東北のMMAの普及に、若い力の台頭は欠かせない。そんな若い選手たちに試合機会を与えるために、ハードルを下げて試合を組むことは絶対的に否定しない。ばかりか、多いに賛同できる。

そのためにもGFGから他のイベントにステップアップを図る際に、この青森の地での戦績を首都圏や他の地域での戦績と同等としない交渉術も必要だ。事実、他の大会でなかなか勝ち星に恵まれていないファイターも、ここでは勝利を挙げることができている。日本という括りで考えると、彼らを起用する首都圏のプロモーターの理解も欠かせないだろう。

第2試合でデビュー戦の激闘で判定勝ちをした塩屋亮平、兄の優斗はPFCからNEXUSで既にキャリアを踏み始めている。「青森のMMAといえば塩屋兄弟」というメイクには、この日一番の歓声が挙がっていた。

オープニングファイト2試合目で勝利した村田在音、新岡に勝利した中村友哉第6試合で勝利した峰田悠生、メインで勝利した石塚将也という岩手や山形の近隣県の選手は、青森で戦うだけでも東京~名古屋間、それ以上の移動が必要となる。

地方在住の若い選手がキャリアを踏み始める。そして、若い選手以上に首都圏での試合のハードルが厳しくなるベテラン選手がキャリアを全うするためにGFGのような地域大会は欠かせない。

加えて石塚のようにNEXUSやパンクラスでキャリアを積む選手にとって、首都圏以外の試合機会は絶対的にポジティブな要素だ。

年に一度だからこその協賛金、集客という側面はあるだろうが、現地でGFGの盛り上がりを見て、このような地方の草の根大会の継続こそが、J-MMAの底上げに欠かせないと改めて感じられた。それゆえに「青森から、世界へ」ではなく「青森から、全国へ」というGFGが、予定する本州で二番目に北の街で開催が予定されている──八戸大会が実現と定期化を期待してやまない。

■GFG04試合結果

<フェザー級/5分2R>
石塚将也(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18
佐々木郁矢(日本)

<フェザー級/5分2R>
櫻庭泰裕(日本)
Def.3-0:20-18.19-18.19-19(must)
松藤冬馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
大石真丈(日本)
Def.1R1分14秒by 三角絞め
平野唯翔(日本)

<バンタム級/5分2R>
吹田琢(日本)
Def.1R4分23秒by TKO
加藤慎一(日本)

<ウェルター級/5分2R>
石塚一(日本)
Def.1R2分19秒by TKO
佐東伸哉(日本)

<フライ級/5分2R>
萩原和飛(日本)
Def.1R0分39秒by TKO
西塚丈人(日本)

<フライ級/5分2R>
細川勇哉(日本)
Def.1R4分13秒by TKO
澤田良(日本)

<バンタム級/5分2R>
峰田悠生(日本)
Def.2R1分11秒by 腕十字
寺田隆(日本)

<フライ級/5分2R>
苫侑我(日本)
Def.
名久井悠成(日本)

<フェザー級/5分2R>
エスカル御殿(日本)
Def.2R2分22秒by TKO
武田光信(日本)

<ライト級/5分2R>
中村友哉(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18.20-18
新岡理貴(日本)

<フェザー級/5分2R>
塩谷亮(日本)
Def.2-1:20-18.20-18.19-19(must中川)
中川涼(日本)

<フライ級/5分2R>
吉田龍馬(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-18
ベアー誠(日本)

<OPライト級/5分3R>
村田在音(日本)
Def.1R0分58秒by TKO
三浦康平(日本)

<OPフライ級/5分2R>
長谷川暢哉(日本)
Def.1R3分42秒by TKO
上井友斗(日本)

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【Breakthrough Combat01】キャリア3戦目、吉野光戦へ。シンバートル「繊細さで上回っていれば勝てる」

【写真】目指す舞台は、UFCというシンバートル。今回がキャリア3戦目となる (C) MMAPLANET

本日30日(水)、会場非公開で開催される配信イベント=Breakthrough Combat01のメインで吉野光と戦うシンバートル・バットエルデネは、これがキャリア3戦目というファイターだ。
Text by Manabu Takashima

2戦目で元Gladiatorバンタム級王者テムーレン・アルギルマーを下し、シャンダスMMAの新兵器と呼ばれるようになった。4日前に22歳になったばかりのモンゴリアンMMAニュープロダクトに話を訊いた。


──日本で戦うことが決まりました。

「話が来た時は、本当に嬉しかったです。練習仲間のオトゴンバートルやダギースレンが日本で試合をしてきたので、自分も本当に日本で試合がしたいと思っていました。その想いが叶うので、メチャクチャ練習をしています」

──5月にテムーレン・アルギルマー選手に勝利し、シャンダスMMAの新兵器という風に呼ばれています。

「凄く嬉しいです。テムーレン選手に勝って、日本の人々が自分に興味を持ってくれて嬉しい限りです」

──ところで対戦相手の吉野選手は日本で名の通った吉野光選手です。キャリアも15戦以上あります。対して、シンバートルはキャリア2戦。試合を受けることに躊躇することはなかったですか。

「確かに経験豊かで、強い相手です。ただし自分も、このシャンダス・ジムで強くて経験のある選手たちと練習をしています。その練習の成果を見せたいです。シャンダスMMAでは今年の1月からトレーニングをしています。

ナラントンガラグ先生が指導し、活躍している選手が多いのでシャンダスに入門したんです。それまでの1年はマザーライMMAで練習をしていました」

──つまりテムーレンとは元チームメイト対決だったのですね。

「そうですね。まぁ、試合ですから。試合となれば、以前の同門とかという気持ちはなくなります。目の前にいる相手なので、殴るだけです」

──その練習仲間から日本で戦うことに関して、アドバイスはありますか。

「皆から貰っています。皆が教えてくれますが、敢えて言うとエンフオルギル・バートルフー選手から『自分がやれることをやれ』と言われたことが一番残っています。なのでレスリングで勝負します。自分が一番できるもので、戦います」

──フオルギルは日本で戦ったことはないかと思うのですが……。レスリングで勝負、コンバットサンボやシュートボクシングの国内大会で結果を残しているシンバートルですが、もともとバッググラウンドはレスリングだったのですか。

「自分はホブスゴル県で生まれ育ったのですが、子供の頃からモンゴル相撲と柔道をやってきました。県の大会レベルで優勝したぐらいで、大きな大会で結果を残すということはなかったです。ただ、試合にはよく出ていました。なので自分のベースはモンゴル相撲と柔道です」

──それでいてコンバットサンボやシュートボクシングのように打撃のある競技でも結果を残しているのですね。

「実はまだ打撃の練習はしていなかったのですが、なぜか打撃のあるルールの方が戦いやすと感じていました」

──吉野選手は柔道出身、組み技の強さが売りの選手ですが、レスリング勝負ということは組みでやり合える自信があるということですね。

「ヨシノは色々な技を持っていますね。柔道がベースなのは明白です。私はレスリングで対抗します。自分のレスリングの技術は、ヨシノの柔道よりも繊細です。その繊細さがあれば、彼を上回ることができます。

何よりも、ファンの人達につまらない試合は見せたくないです。スキルのある、技術的に高い試合を見せたいと思うので自分は準備万端で日本へ行きます。ヨシノもそのつもりで、調整をしてほしいです」

■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat01計量結果

<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量

<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ

<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ

<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ

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45 AB Breakthrough Combat01 DEEP DEEPフライ級GP Gladiator KENTA MMA オトゴンバートル・ボルドバートル ブログ 風我

【Braektrough Combat01】オトゴンバートル戦へ─風我「グルグルの展開を創ってあげようかと思います」

【写真】追い込み終了翌日の会見時よりも、計量の時の方がずっと良い調子に見えました(C) MMAPLANET

本日30日(水)、会場非公開で開催されるBreakthrough Combat01に風我が出場しオトゴンバートル・ボルドバートルと戦う。
Text by Manabu Takashima

DEEPフライ級戦線で揉まれ、戦績は決して綺麗ではないが、インパクトを残す激闘もしてきた。その一方で、その良さが出ない試合もある。そんな不安定さを見直してきたという風我は、GLADIATORで強烈なインパクトを残してきた──モンゴルMMA界の未来に対し、どのような気持ちで挑むのかを訊いた。


――Breakthrough Combatの旗揚げ戦、配信大会でチケットを売ることがないことが関係しているのか、正式発表が本日。試合の1週間前でした(※取材は23日に行われた)。

「いつもの試合と違って新鮮な感じです(笑)」

──スポンサー集めなどに影響はなかったですか。

「でも、そこは決まりそうですということで話はさせてもらっていました。試合のオファー自体が1カ月を切って、今から3週間ほど前だったので。

国際戦は初めてで、しかも無敗で強い選手だったので『戦いたい』と即答しました。やはり強い相手に勝つことでステップアップができるので」

──躊躇することはなかったですか。

「なかったです。オファーを貰って、二つ返事で戦いました」

──DEEPは怒涛の連戦から、11月と12月も大会が控えています。このタイミングで新プロモーションへ出場をするというのは?

「3月の杉山(廣平)選手との試合の後で、家庭の方でも子供が生まれたりして練習できる回数も減っていました。それでDEEPには『しばらく試合はできないです』という風に伝えていたんです。僕のなかでは落ち着いてきたので11月か12月にDEEPで試合をしたいと思っていた時、このオファーがありました」

──DEEPのフライ級は、そのGP以降も終わりの見えないトーナメント枠のない生き残り合戦が続くタフな階級です。そのなかで目先の違った戦いになるような気持ちでしょうか。

「新しいチャレンジをしているという気持ちにはなれます。同時に今回の試合もDEEP関係者に背中を押してもらって実現しているので、その期待に添いたいと思っています。オトゴンバートルはGladiatorで戦ってきたので、別の団体の選手とDEEPの看板を背負って試合に挑もうと思っています」

──風我選手は2年前のDEEPフライ級GPの村元友太郎選手との激闘で敗れはしたものの、その前の原虎徹戦の流れから一気に浮上するかという空気がありました。ただ、あれから2勝2敗。調子に乗り切れていない状況です。

「波に乗れなかったというか、試合内容が安定しないのは以前からありました。良い時は凄く良いけど、悪い時はダメ。悪い癖が出ると……結果も悪くなる。3月の杉山選手に負けた試合から時間もあったので、そこは冷静に見直してきました」

──悪い癖というのは、前に出られない時ということでしょうか。

「そうですね。動きが良くない時は、待っている時です」

──先に挙げた原戦、村元戦と比較して杉山戦はそこが顕著だったようにも感じます。

「ハイ。自分でもそう思っていますし、皆にも言われました」

──とはいえ、この間にバンタム級で白星を挙げています。

「それはK-Clannの選手が出場予定だったのが、ケガで1週間前に出られなくなって、急遽出た試合でした。ただバンタム級では体に重さを感じました。フライ級の方が良いと、やはり思いました。まだ戦っていない選手も多いですし。GP以降に強くなった選手もいます。そういう選手とも戦っていきたいです」

──DEEPフライ級戦線で上がっているといえば、同門のKENTA選手はGP出場選手を撃破し、先日の渡部修斗戦の勝利から11月4日は神龍誠選手と戦います。

「KENAT選手とは一緒に練習していて、良い刺激を貰っています。K-Clannは軽い選手が多いので充実した練習ができています」

──この間に見直せたということでしたが、自分も良さも再確認できたのかと。

「ハイ、練習でも試合でも頑張れる時は良い動きができます。頑張るという気持ちになった時は、良い動きをしていて、頑張らないといけない時に削られていると動けない。スタートダッシュを決めないと、ズルズルと相手のペースにハマってしまいます。

ダメな時って、スタミナのことを最初に考えていました。3R全体を考えて、動きを抑えるようなイメージでいると上手くいかないです。気持ちにブレーキがかかってしまって。結果的に削られてしまって、そのまま試合が終わってしまうような感じで。だからこそ、今回の試合では1Rからグチャグチャにするつもりで戦います」

──それは一方的ではなくて、風我選手も疲れることを覚悟の試合展開に持ち込むということでしょうか。

「ハイ。ただオトゴンバートルの試合をチェックすると、受けも相当に強いので一筋縄ではいかない。その覚悟も決めています」

──では改めてオトゴンバートルの印象を教えてもらえますか。

「レスラーと聞いていたのですが、動画を視たら『アレッ。ちょっと違うな』と。勢いのある選手なので、あの勢いに呑み込まれないようにしないといけない。そういう戦いをする選手なので、グッと出てくるところをいかにこっちのペースに持って来るのか。そこが勝負の鍵なのかというところですね。

力は相当に強いと思います。そこで戦わずに、自分のフィールドで戦います。力をいれてしまうと、疲れてしまうので。そこも過去の試合で学んできたことなので。とにかく動き回って展開を創っていこうと思います」

──だからこそ、風我選手のDEEPフライ級という厳しい階級で戦ってきた経験が生きるのではないかと。

「そうですね……僕はこれまで全部、判定決着です。辛い試合は山ほどしてきています。そういうところは経験していないでしょうし、凄いスクランブル。グルグルの展開を創ってあげようかなと思っています」

──試合数も6試合とコンパクトなイベントなので、1試合で残せるインパクトも大きいかと思います。改めて、今回の試合に向けて意気込みをお願いします。

「3月の敗戦からの復帰戦になります。良い勝ち方ができるかは分からないですが、面白い試合を皆に届けたいので頑張ります。応援宜しくお願いします、という感じです」

■視聴方法(予定)
10月30日(水)午後6時30分~
ザ・ワンTV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat01計量結果

<バンタム級/5分3R>
吉野光:61.5キロ
シンバートル・バットエルデネ:61.5キロ

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士:76.45キロ
[挑戦者]泉武志:──キロ※当日計量

<58キロ契約/5分3R>
風我:57.85キロ
オトゴンバートル・ボルドバートル:57.9キロ

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴:71.85キロ
中川晧貴:71.85キロ

<フライ級/5分3R>
久保健太:56.85キロ
チョ・ジュンゴン:56.4キロ

<Progressミドル級/5分2R>
有松息吹:82.4キロ
林源平:84.1キロ

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45 Breakthrough Combat01 Gladiator MMA MMAPLANET o ONE Progress RIZIN ブログ 中原由貴 中川晧貴

【Breakthrough Combat01】Progressでグラップリング初挑戦、中川晧貴「諦めんかったら強くなれる」

【写真】チハヤフル戦を経て、中川は何かスッキリした表情を浮かべた(C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(水)会場非公開で開催される配信イベントBreakthrough Combat01にて、中川晧貴が中原由貴とProgressルールで対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年7月のGladiatorフェザー級挑戦者決定トーナメントの初戦で、チハヤフル・ズッキーニョスに判定負けを喫した中川。試合後、バックステージでの落ち込み様を見た関係者からは「このまま中川はMMAを辞めしまうのでは……」という声も聞かれた。そんな中川がプログレスのケージグラップリングから復活するまでの道のりには、所属する道場リライアブルならではの雰囲気があった。


――今回プログレス初挑戦が決まりました。中川選手としてはMMAで敗れたあとの復帰戦だけに、MMAを戦いたいという気持ちはなかったですか。

「いや、それはなかったです。『おぉグラップリングなんや』と思って。今までグラップリングの試合に出たことがなかったんですよ」

――えぇっ!? それは意外です。柔道ベースでMMAのファイトスタイルを考えても、グラップリングマッチの経験があると思っていました。

「実は初めてなんですよ(笑)。自分としては新鮮な感じです。グラップリングでどこまでやれるかな、というワクワク感があります」

――これまでグラップリングマッチに出場する機会はなかったのですか。

「柔術はやりたいとは思っていたんです。最近は同じジムの石田拓穂とかが柔術の試合に出ていて。考えていたのは、それぐらいですね」

――しかし、柔術の試合に出たことはない?

「はい、出たことはないです(苦笑)。ウチのジムでも以前、上田祐起がグラジでプログレスに出たことがあるぐらいじゃないですか」

――これまで中川選手が出場している大会でも、プログレスの試合は行われていました。中川選手としては、どのように見ていましたか。

「もちろん会場でも観てはいました。でも自分がやるとは思っていなかったので――メチャクチャ気を抜いていましたね」

――アハハハ。単に一人の観客として観ていた、と。

「はい(笑)。自分は寝技が得意というか、MMAの中でも寝技をやる選手なので、観ていて展開がある試合は面白かったです。ただ、今もまだルールがピンと来ていなくて。要はMMAとして有利なポジションを取ると、ポイントが入るということですよね」

――それが一番分かりやすい言葉です。ポイントが入るのはテイクダウン、リバーサル、バックグラブ、そしてスクランブルで立ち上がる……全てMMAのためのグラップリング、というルールになっています。対して、引き込んだら相手にポイントが与えられます。

「それでも極める自信がある選手は、引き込んで極めたりしていますよね。森戸選手とか」

――森戸選手は先にポイントでリードし、引き込んでも逆転されないほど引き離してから極めに行くパターンがありますね。

「あぁ、なるほど。そう聞いて安心しました。自分は引き込むのが好きじゃないし、テイクダウンしてバックに回るのが得意なので。そこでポイントを取っていれば――」

――個人的には中川選手の試合スタイルを考えると、得意なルールではないかと思っています。その前に前回のチハヤフル戦について、お聞きします。本人としては判定で勝っていると思っていましたか。

「……そうですね。ギリギリで勝っているとは思いました」

――実際、中川選手が勝っていたという声も聞かれます。とはいえ負けは負け。その事実をどう受け止めていたのか。

「……」

――試合後、関係者から「心配になるほど中川選手が落ち込んでいた」と聞きました。

「……、……そうですね。まずは代表(田中淳リライアブル代表)に対して、メチャクチャ申し訳ないと思って。ジムとしてチハヤフル選手に連敗中だったし、そこで自分も負けてジムの看板に泥を塗ってしまった。あとは試合でチャンスもあったのに、極めきれなかった悔しさもありました」

――「あの落ち込み具合から立ち直ることができるのか」という心配の声もありました。

「だいぶ悩みました。『ここで負けていて、俺は今後どうするんやろう?』って。やけど自分の中では負けたと思えない、というか。判定は負けやったけど、自分の中では負けていない。すごく中途半端な気持ちやったんですよ」

――試合で完膚なきまでに叩きのめされた末の判定負けであれば、その時点で諦めていたかもしれないですね。

「確かに、そんな負け方やったら自分も納得できると思うんです。でも納得できんかった。そんな頃に代表が『そろそろジムに来いよ』と連絡をくれて――代表からの連絡が嬉しかったです。やっぱり負けは負けで、みんなに顔も合わせにくかったし。代表から言われんかったら、そのままジムに戻っていなかったかもしれないです」

――田中代表も、そんな中川選手の気持ちに気づいて連絡したのでしょう。

「代表も気さくな感じで連絡をくれて、ジムに行ったら言われたんです。『お前が諦めんかったら俺たちもサポートするし、まだまだ強くなれる』って。その言葉を聞いて自分も悔し涙が出ました。すると、さらに代表が『涙が出るぐらいやから、まだまだ頑張れるぞ』と――そう聞いて、自分も諦めずに頑張ろうと思いました」

――素晴らしいですね。MMAを続けると決めて次の目標などは考えましたか。

「今の段階では、何も言えないですよね。トーナメントも初戦敗退で、そんな自分に何ができるのか。だから、組まれた試合をやっていく。何でもやってみる。そう考えました。

もうひとつ――自分のキャリアについて考えないといけない、と思うようにはなりました。今までも行き当たりばったりなことは多かったんです。試合のオファーが来たら受けて、試合をする。でもこれからは、ちゃんと先を見据えて戦っていかないといけない。どんどん自分からもチャンスを掴むようにしないとダメやな、って」

――その一環として、今回のプログレス挑戦があると。

「対戦相手は二転三転しましたけど、どれも名前のある相手でした。自分からオイシイ話です。最終的に決まったのが中原選手って――まさかのONEやRIZINで試合をしているビッグネームで。自分からすれば雲の上の選手じゃないですか。中原選手もMMAの試合しか視ていないですけど、柔道ベースでグラップリングも強いと思います」

――MMAでの組み方は、似ていますよね。スタンドの組みはボディロックで始まり……。

「はい。そこは自分の強みでもあるので、負けないです。試合は最初に相手のグラップリングを確かめたいけど、5分2Rやからそんな時間もない。早めに仕掛けていかないといけないなら、最初から自分が攻めていきますよ。初のグラップリングで、中原選手というビッグネームを乗り越える新たな中川晧貴を視てください!」

■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat01対戦カード

<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)

<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)

<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)

<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)

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カテゴリー
45 AB DEEP Gladiator Gladiator028 HEAT53 HEAT55 K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN   ふくやーまん アントニー・マルコニ キック チュ・ドンジョ パンクラス フェルナンド フェルナンド・マツキ ペットサムイ・シムラ マシン 今井健斗 倉本拓也 宮川日向 山上幹臣 岩倉優輝 廣瀬裕斗 松原聖也 海外 熊崎夏暉 阿部光太

【Gladiator028 / HEAT55 X AFC34】今井健斗×廣瀬裕斗、ニューエイジのターニングポイント in 中津川

【写真】今井と廣瀬——名古屋~中津川間は興味深いジムが並んでいる(C)SHOJIRO KAMEIKE

6日(水)、大阪府豊中市の176boxで行われたGladiator028で、今井健斗が宮川日向を判定で下した。そして26日(土)、名古屋市の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT55×AFC34で、今井と同門の廣瀬裕斗が韓国のチュ・ドンジョと空位のAFCフライ級王座を賭けて戦うこととなった。
Text by Shojiro Kameike

今井と廣瀬が所属する「マーシャルアーツクラブ中津川」は、名古屋市からJR特急「しなの」で48分——岐阜県中津川市のJR中津川駅から徒歩10分という立地にある。長野県飯田市に隣接し、多くの山々に囲まれた中津川市に、新世代ファイターの2人を訪ねた。


――お二人とも中津川市出身とのことですが、中津川とはどのような場所なのでしょうか。

今井 どちらかというと観光地ですね。古い町並みがあって。そこに海外からも観光客が来ています。僕としては、観光地という自覚もないですけど(笑)。

廣瀬 この間も飲みに行ったら、隣のおじさんが奢ってくれたり(笑)。

今井 よく居酒屋で知らない人が奢ってくれるんですよ。フレンドリーな町です。

廣瀬 僕は出身が中津川で、今は下呂市に住んでいます。

今井 下呂って中津川の隣にある市ですけど、ココから車で1時間は掛かります。

――先に格闘技を始めたのは今井選手なのですか。

今井 このジムに入ったのは僕が先ですね。僕が格闘技を始めたのも、もともと裕斗が地下格闘技に出とったんですよ。悠斗は高校が同じで、バイトも一緒で仲が良かったんです。それで裕斗の試合を観に行ったら『おもしろそうやなぁ』と思って。僕が先にジムに入ったあと、別のジムで練習していた裕斗がココにも練習に来るようになりました。

廣瀬 最初は選手として試合に出るというよりは、とにかく格闘技をやってみたかったんです。まずはキックの試合とか、名古屋のストチャレ(ストライキングチャレンジ)にも出させてもらって。試合があれば出させてもらうという感じで、地下格闘技とか何かはこだわっていなかったですね。試合があれば、どんどん出ていきたい。そう思っていました。

今井 僕は格闘技を始める前、RIZINとK-1ぐらいしか見たことがなくて。最初に地下格闘技を見に行った時は、アマチュアだけど華やかな大会でした。だから最初は僕も地下格闘技に出るつもりだったんです。でも一度も地下格に出ることはなく、アマチュアパンクラスやアマチュアDEEPに出て――地下格には一度も出ていないですね。

――それも時代、あるいは地域性ですよね。格闘技をやるには地下格闘技しかなかった地域もある。同時に名古屋まで行けば、パンクラスやDEEPのアマチュア大会が行われているという。

今井 そうですね。僕の場合は、このジムに入る前から代表の一平(高瀬一平マーシャルアーツクラブ中津川代表)さんが、実家の近くで格闘技を教えていたんです。そこに体験に行ったのが始まりですね。僕が入って1カ月後ぐらいには、このジムに移転しましたけど。家から近いから入ったのに、1カ月後には遠い場所に……。といっても車で15分くらいしか違わないですけど(笑)。

もともとは家具屋だった建物を改装したというマーシャツアーツクラブ中津川。2階は広いマットスペース、1階はトレーニングマシンのフロアとなっている(C)SHOJIRO KAMEIKE

それで自分のほうから裕斗を誘ったのかなぁ。僕がもうプロの試合に出始めた頃、裕斗もココに練習に来るようになって。当時のことを覚えていないんですけど。

悠斗 「来いよ」って言われましたから。

今井 あぁ、それは自分が誘っているわ(笑)。

廣瀬 もともと下呂のジム(Hida Traiing Lab)に毎日通っていて、さらに新しい技術を知りたいと思ってコッチにも来るようになりました。そうして練習しとるうちに、高瀬さんから「試合の話が来たぞ」と言われたんですよ。それがプロデビュー戦(2022年3月、DEEP Nagoyaでオサモ・リチャードソンに判定勝ち)でした。

――なるほど。お二人とも白星~黒星というキャリアを経て、今は連勝中です。何か大きく変化するキッカケがあったのでしょうか。

廣瀬 僕の場合は岡本秀義戦(2022年7月、1RにハイキックでTKO負け)ですね。それまで練習でパンチを受けても、バコーンと効いたことはなかったんですよ。試合前にも「打撃は効かないですよ。KOされることは絶対にないです」とか言っとったら、思いっきりKOされて……。そこでディフェンスの重要性を理解しました。僕、寝技が全然できないんです。

今井 アハハハ!

廣瀬 本当に今でも全然できないんです(苦笑)。だから打撃の練習を……。

――「やらない」のと「できない」のは、また違う話かと思います。廣瀬選手はどちらなのでしょうか。

廣瀬 やらないわけじゃないし、寝技が好きじゃないわけでもないんです。でも、なかなか練習でもテイクダウンできなかったり……。そういう苦手意識はありますね。

今井 このジムには柔道やレスリング経験者が多いんですよ。裕斗は自分で思っているほど組技ができないわけじゃないんです。ただ、僕たちは子供の頃から組技をやっていますからね。まぁ数年やったぐらいでテイクダウンは取られません(笑)。

廣瀬 僕も「絶対にテイクダウンしてやろう」と思って行くけど、なかなか……。

――それだけ組技が強い練習相手ばかりであれば、廣瀬選手にとってはテイクダウンディフェンスやエスケープして立ち上がるのは上達するでしょう。

廣瀬 あぁ、そうですね。

今井 それは抜群に上手いです。メチャクチャ極めづらいんですよ。

廣瀬 周りは組技が強い人ばかりだったから、毎日毎日「どうやったらテイクダウンされないか。どうやったら極められないか」と考え続けてきて。

今井 裕斗は一緒に練習し始めた頃、本当に組技に関しては素人みたいな感じでした。「何だ、コイツ」と思うぐらいの弱さだったんですよ。でも今は体も強くなってきているし、技術も上がって、どんどん極めづらくなっています。成長しているとは思いますね。だけど成長するのは、みんな一緒なので。

廣瀬 だから今でも皆に追いつけないんですけど(苦笑)。でも昔はできなかったけど、今はできるようになったというものは増えています。

――今井選手にとっては、山上幹臣戦が大きなターニングポイントになったのではないでしょうか。

廣瀬 あの試合は凄かったですね。

今井 周囲からは「勝てるでしょ」と言われていたんですよ。さすがに山上選手も10年振りの復帰戦では無理でしょ――と。僕自身は最初に山上選手の経歴を見た時、「自分がこんな選手と対戦して良いのか」とは思いました。でも練習していくなかで「これは勝てる」という雰囲気になってきて。

――それ以降、「山上幹臣に勝った男」としてプレッシャーを感じるようにはならなかったですか。

今井 それが――プレッシャーがメチャクチャ強くて。

廣瀬 アハハハ!

今井 それまでは「ブッ倒してやる!」「絶対にフィニッシュする」という気持ちで戦っていました。だけど、ここ2戦は僕が勝つと予想されるようなマッチメイクだったと思うんですよ。自分の中で「ここは絶対に落とせない」という気持ちが強くなり、アグレッシブに行けずに判定が続いてしまいました(苦笑)。

――確かに松原聖也戦宮川日向戦は、山上戦よりも手堅い攻めではありました。それが決して悪いことだとは思いませんが……。

今井 特に宮川戦は、思っていたより相手は体が強かったことも大きいです。試合前は――相手の打撃が強いことは分かっている。だから絶対に打撃では勝負しない。組めば絶対に極められると思っていました。でも実際に対戦してみると、手足が長いし体も強いので、やりづらかったです。テイクダウンしても、すぐにガードに入れられてしまいますし。自分も動きが堅くなってしまいましたね。

――試合後、SNSでは11月のパンクラス出場を希望していました。

今井 グラジは次の大会が年明けの1月12日じゃないですか。ちょっと年末年始はゆっくりしたくて……。それなら年内にもう1試合、頑張って出たいなと思ったんです。もちろんオファーを頂けるのは嬉しいし、言われたら出るとは思いますけど。

パンクラスの本戦でランカーと試合したい気持ちもあるし、グラジであれば僕がベルトを目指してもおかしくない位置にいると思っています。最後は実力なので、とにかく強いヤツに勝って行けば、もっと大きな舞台に出ていけると考えています。

――一方、廣瀬選手はHEATとAngel’s Fcの対抗戦で、AFCフライ級王座を賭けて戦います。

廣瀬 タイトルマッチの話を頂いた時はビックリしました。

今井 羨ましいです。僕にはそういうタイトルマッチの話が来たことがないので。なんか――持っていますよね(笑)。

廣瀬 相手は結構、打撃を振ってくる選手です。それを食らわないようにテイクダウンも混ぜて、MMAでしっかり勝つ。寝技もあまり好きではないですけど、健斗先輩とか強い人たちと練習しているので、それを自信にしてベルトを獲りに行きたいです。

■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE

■HEAT55 x AFC34 対戦カード

<ISKAインターコンチネンタル・スーパーウェルター級王座決定戦/3分3R+ExR>
アブラル・ヒマラヤンチーター(ネパール)
アントニー・マルコニ(フランス)

<キック・ライト級/3分3R>
安川侑己(日本)
チュ・ギフン(韓国)

<キック63キロ契約/3分3R>
ペットサムイ・シムラ(タイ)
パク·ジョンジュン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
熊崎夏暉(日本)
ふくやーまん(日本)

<Angel’s FCフライ級王座決定戦/5分3R+ExR>
廣瀬裕斗(日本)
チュ·ドンジョ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
倉本拓也(日本)
キム·パンス(韓国)

<ライト級/5分3R>
岩倉優輝(日本)
シン·ジェヨン(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
阿部光太(日本)
マ·チャンウ(韓国)

<ミドル級/5分3R>
堀越拓実(日本)
ヨ·ドンジュ(韓国)

<バンタム級/5分3R>
福井達郎(日本)
パク・チウ(韓国)

<ミドル級/5分3R>
フェルナンド・マツキ(日本)
チャン·ドンミン(韓国)

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【HEAT55 X AFC34】日韓対抗戦で約1年ぶりの試合。阿部光太「自分の好きなことをやって勝ちたい」

【写真】ウェルター級ということもあり、試合のチャンスがなかなか巡ってこなかった阿部。だからこそ、この1年間で何をやってきたかが試される試合だ (C)TAKUMI NAKAMURA

明日26日(土)、名古屋市の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT55×AFC34にて、阿部光太がマ·チャンウと対戦する。
text by Takumi Nakamura

昨年9月のGladiatorで森井翼にRNCで勝利し、プロ戦績を3戦3勝とした阿部。森井戦以降は対戦相手探しが難航、そして怪我の影響もあり、試合から遠ざかる形となった。結果的に約1年のブランクを作ることとなったが、この期間に自分のファイトスタイルを見直し、試合のチャンスを待っていた。

今回の再起戦を機に「多くは望まず、試合のチャンスを待っています!」と語る阿部。そのチャンスをより大きなものにするためにも、今回の一戦は結果と内容が求められる。


――計量後のインタビューありがとうございます。計量を終えてリカバリーも一段落して。、今回の仕上がりやコンディションはいかがですか。

「今は少し食べすぎて苦しいぐらいですが(笑)、仕上がりはバッチリです」

――試合そのものが約1年ぶりですが、減量は厳しくなかったですか。

「そうですね。もともと10月上旬に試合が決まっていて、そこに向けて準備していたのですが対戦相手の怪我で流れてしまって。そのタイミングでHEATで試合が決まったので、その流れで減量は続けていたんです。だから厳しい減量ではなかったですね」

――試合間隔が空いたのは何か理由があったのですか。

「あの試合以降、長南(亮)さんに試合を探していただいていたんですけど、自分は変に3戦3勝全部フィニッシュして勝っているので、なかなか相手が見つからないみたいで……。あとは少し怪我もあって、結果的に1年近く試合が空いてしまいました」

――阿部選手の階級=ウェルター級は軽量級と比べると試合そのものの機会が少ないですよね。

「そうなんです。なので、団体問わず試合のチャンスをもらえることがありがたいです。しかも今回は一度試合が流れて、また試合間隔が空くかもしれないと思っていたところで、すぐにHEATから声をかけてもらってモチベーションが上がりました」

――この1年間はどういったところに力を入れてトレーニングしてきたのですか。

「怪我で練習が出来ない時期もあって、自分の動きそのものを見直しました。今まで自分は強引にパワーと勢いでいっちゃうところがあったんですけど、もっと細かい技術、技の入り方、体の位置・使い方…そういう部分を練習してきました。まだまだ全部はできないですし、身体がついていかないんですけど、頭の中ではちょっとずつ理解できていると思います」

――もしあのまま継続して試合を続けていたら、どこかで壁にぶつかっていたかもしれないですね。

「そう思いますね。だから試合間隔が空いたことは、いい機会だったと思っています。今回の試合では今までになかった自分のスタイルを見せたいです」

――阿部選手はもともとどういったきっかけで格闘技を始めたのですか。

「自分は愛媛出身で中学時代に柔道を始めて、パラエストラ愛媛で少し柔術もやっていたんですね。最初はプロになるつもりはなかったんですけど、次第にもっと強くなってプロになりたいと思うようになって、当時やっていた仕事をやめて上京しました。その時に働いていた職場が現場仕事をやるところで、格闘技をやりたい人を採用する会社だったんですね。その時に北田(俊亮)さんと知り合って、パンクラスイズム横浜を紹介してもらいました。パンクラスイズムで練習しているなかで北岡(悟)さんの紹介でTRIBEに出稽古させてもらうようになり、パンクラスイズムからTRIBEに移籍させてもらうことになって、現在に至ります」

――ここまでプロ戦績は3戦3勝、ご自身ではこのキャリアをどう感じていますか。

「戦績的には3戦3勝ですけど、自分では大して強くないと思っていますし、名前や実績がある選手に勝ってるわけじゃないので、 そこまで自信があるわけじゃないです。もちろん勝てたことはうれしいですが、もっと強くならないとダメだというのが常に頭の片隅にあるので、今の段階では手放しでは喜べないですね」

――対戦相手のマ·チャンウにはどんな印象を持っていますか。

「試合映像を見た時は結構デカいなと思ったんですけど、計量で実際に見たときはデカさを感じなかったし、オーラみたいなものは感じなかったです」

――相手を大きく見て準備していたことは、逆にプラスになっているかもしれないですね。

「はい。ただ試合になるとパンチで来るガツガツな選手だったので、そこは注意しています。相手のやりたいことをやらせずに自分の好きなことをやって勝ちたいです」

――結果的にこれが1年ぶりの試合となりましたが、ここからどんなキャリアを積んでいきたいですか。

「僕はデビュー戦がFighting NEXUS、2戦目・3戦目がGladiator、今回がHEATで大会を転々としているんですけど、どこかでベルトを狙えるチャンスがあればいいなと。先ほども話したようにウェルター級は試合のチャンスが少ないので、基本的に団体は問わず、チャンスをくださるところであれば、僕はそこで戦いたいと思っています。多くは望まず、試合のチャンスを待っています!って感じです」

――阿部選手にはウェルター級の新鋭として期待されていると思います。これから自分のどんなところをアピールしていきたいですか。

「当たったら倒れるみたいな重い階級ならではの激しさも見せたいですし、逆に重量級なのにテクニカルという意外なところも見せていきたいと思います」

――それでは最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「限りなく少ないファンの方たちには、僕の試合を楽しんでもらいたいです(笑)。みなさんを満足させる試合をします。またTRIBEの選手の試合がこれから続くので、その足を引っ張らないように勢いづける試合をして、みんなにつなげたいと思います」

■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE

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【Breakthrough Combat01】5日間でイベント&ファイト。長谷川賢「強くなりたい選手が活躍できる場を」

【写真】会見後に練習に向かった長谷川──少し、顔のラインがスッキリしてきたか (C)MMAPLANET

昨日23日(水)に東京都港区のBarbizon10で30日(水)に会場非公開の配信大会として開催されるBreakthrough Combat 01の会見が行われた。同大会はProgress実行委員会が主催する形となり、その中心にいるのが長谷川賢だ。
text by Manabu Takashima

会見は二部形式で実施され、一部はその長谷川がイベント開催に踏み切った理由等を話し、二部では同大会に出場する吉野光、泉武志、風我が登壇し今大会出場への意気込みを語った。

ここでは長谷川の挨拶、質疑応答の中から気になった点を列記してみたい。Breakthrough Combat──現状突破という意味が込められたイベント名がつけられた真意とは。


「世界との差が埋まらないぐらいついてしまった。その現状を打破するために韓国、モンゴル、フィリピン、タイとアジアで一丸となって北米と戦っていける、倒せるというところまで向かっていけるように大会を開く」

「Progressというグラップリング・ルールを採用しているのはMMAファイターがグラップラーの交流をはかり、海外勢のような組み力をつけていってほしいから。柔術家、グラップラーの選手たちもMMAファイターと絡むことを新しい挑戦の場にしてほしい」

「DEEPの佐伯代表、修斗の坂本代表、Gladiatorの櫻井代表の協力があって、この大会を開くことができた」

「LFAからUFCに進めるルートを確立させる。それ以外にモンゴルのMGL-1FC、韓国の大会に選手を派遣する。そういう意味での交流を深めていきたい」

「現状、プロモーターとファイターの兼務になっていて本当に大変。自分の大会があって、その後に自分の戦いがある。かなり厳しいけど、やりきります。選手の気持ちが理解できるので、変なところは見せられない。

今は仮の体制でProgress実行委員会が主催し、僕が仮の代表としてBreakthrough Combatをやっているけど、米国ではモハメド・アリ法というものがあってプロモーターがマネージメントをしてはいけない。選手を縛ることになるのでやってはいけない。UFCを目指すということで、そのルールに則らないのはおかしい。選手を支配するようなことはやりたくないので、そこは区別してやっていこうと思います」

「年に4大会を目指してやっていく」

「強さが一番大切。ストーリーラインも大切ですが、強くなって上を目指すのが一番。そこ以外はない。強くなって上を目指す選手の道が開けるようにサポートしていきたい。有名になりたいとか二の次。強さを求める選手を助けて、活躍できる場にしていきたいです」

なお同会見終了後、長谷川よりMMAPLANETに仮の体制という部分で言葉が足らなかったので、記事に以下の言葉を加えて欲しいという連絡があった。

「まず会見でしっかりと話さなかったのですが、昨年からProgress実行委員会で主催をしてきたGladiator Challenger Seriesも今年と同じように来年2大会を開こうと思っています。

またBreakthrough CombatをProgress実行委員会が主催というのはあくまで仮の体制で。会見で話したように、僕は強さを追求して海外を目指す選手達……UFCでなくても、海外での試合を経験したいという選手たちをサポートすることを一番の仕事にしたいので、モハメド・アリ法を考えるとプロモーションのトップにいることは話が違ってきます。

近い将来Breakthrough Combatを独立した組織として、自分でない方に引っ張って行っていってもらいたいと考えています。

また会見で韓国との交流先について団体名を話していませんでしたが、先日視察を行いミーティングも持ったRING Championshipや過去2年の付き合いがあるKTTがTOP FCのようにイベントを再開させるなら彼らと交流していきたいと考えています。そして内定している第2回大会にはマレーシアからも選手が来日する予定ですので、ダイヤの原石がいるのではないかと期待しています。

またDEEPさん、修斗さん、GLADIATORさんの協力があってBreakthrough Combatは実現したと話しましたが、今後はDEEP、修斗、GLADIATORに続き、BLOOM FCの屋宮ハントさんやHEATの志村民雄さんという地方都市で大会を継続している方たちとも、互いに手を取り合って──強くなりたい選手が活躍できる場を創っていきたいです」

■視聴方法(予定)
10月30日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat01対戦カード

<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)

<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)

<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)

<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)

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【Breakthrough Combat01】現状突破へ。新イベント発進。メインに吉野光。DEEPやGladiator勢も

【写真】吉野の日本での試合は2022年2月以来、2年8カ月ぶりとなる (C)MMAPLANET

23(水)、来週30日(水)にProgress実行委員会が主催する新しい格闘技イベント=Breakthrough Combatの第1回大会が会場非公開の配信型イベントとして開かれることが明らかとなり、東京都港区のBarbizon10で設立会見が開かれた。
text by Manabu Takashima

これに先立ってメディアには同大会に関するプレスリリースが配信され、同大会の旗揚げ目的が同委員会の長谷川賢の名前で以下の様に寄せられている。

長谷川賢
「UFCを頂点としたMMAワールドで、最強を目指す選手。国内ビッグショー出場を願う選手、老舗団体プロモーションでタイトルを狙う選手。新興プロモーションで練習の成果を見せて、成長を感じ取りたい選手。組み技世界一を争う異様に進歩したグラップリング最前線に挑む選手たちが、日本の格闘技界には存在しています。

同時にそんな目標はあっても、どのようにステップアップを果たすのかが分からない。行き着くまでの筋道が見えない。目の前を断崖絶壁に阻まれ、その先に進むことができない選手たちがいます。

彼らが現状を突き抜け、閉塞感を打ち破るための戦いの機会を提供したい。最強を目指すためのルートを進むのに欠かせないビーコンサインの役割を果たしたい。北米、アジアの舞台に進むために国内で下準備となる相手と戦い、強さを追求するためのステージに立つサポートをする格闘技イベントBreakthrough Combat(ブレイクスルー・コンバットは、10月30日に活動を開始します。

<中略>

Breakthrough Combat旗揚げに則しましてDEEP佐伯繁代表、Sustain坂本一弘代表、Gladiator櫻井雄一郎代表を始めてとする方々から多大なご協力がありましたこと、深謝の意を表します」


Progress実行委員会は2年前にProgressルールというポイント制及びスクランブルを評価した──まるで打撃のないMMAルールセットを用いて、MMAファイターの技術力強化とグラップリング界との交流を目的に設立された。そして2022年よりGladiatorやHEAT、NEXUSで試合が実施されてきた(現在はGladiatorのみ)。

その後、長谷川はGladiatorのタレントリレーションの職に就き、アジアのフィーダーショーを目指す同大会にフィリピン、モンゴル、韓国勢らを招聘。さらにBloom FCにもそれらの国の選手達の来日を実現させてきた。

また自主興行としては今年の2月と8月にGladiator Challenger Seriesを開き、海外ではLFAと協力関係を築き上久保周哉&松嶋こよみの契約が実現。Breakthrough CombatはGCSと違い、Gladiatorを筆頭にDEEPや修斗(Sustain)からの協力を得ている点が特徴だ。

下記の対戦カードにあるようにDEEPを主戦場とする風我、泉武志が出場。前者はモンゴルMMA界の未来=オトゴンバートル・ボルドバートルと相対し、後者は森戸新士の持つProgress暫定ウェルター級王座に挑戦する。

同様にGladiatorから久保健太、中川晧貴の両選手がラインナップに名を連ねている。久保はK-MMA界ティーンファイターでONE FF出場経験のあるチョ・ジュンゴンとのマッチアップ
決まっている。

中川とProgressルールで戦う相手は当初、椿飛鳥が予定されていた。しかし、修斗11月大会でSASUKEの持つ修斗世界フェザー級王座挑戦することが決まり、椿はケガのリスクを避けるという当然の選択をし、彼の代役として試合勘を失いたくないとPROGRESSルール出場の意向を以前から伝えていた──格上いっても過言ない──中原由貴の参戦が実現した。

また世界を目指す道筋を創るという大会開催主旨に則して、メインイベントは日本での試合から遠ざかりUAEWで戦ってきた吉野光が抜擢された。

モンゴルのシンバートル・バットエルデネとの対戦が決まった吉野のBreakthrough Combat出場に関しては河名マスト、上久保、松嶋がグラジに参戦してきた経緯と共にゴールを持つということが非常に似通っていると捉えて何ら問題ないだろう。

なおBreakthrough Combat設立記者会見の詳細は後ほど──お伝えします。

■Breakthrough Combat01対戦カード

<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)

<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]泉武志(日本)

<58キロ契約/5分3R>
風我(日本)
オトゴンバートル・ボルドバートル(モンゴル)

<Progress72キロ契約/5分2R>
中原由貴(日本)
中川晧貴(日本)

<フライ級/5分3R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
久保健太(日本)

<Progressミドル級/5分2R>
林源平(日本)
有松息吹(日本)

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【Gladiator028】蹴り、突き、寝技——吉田開威が語る右回転ヒジKOへの道「技は打ち込みと度胸」

6日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されたGladiator028で、吉田開威が上田祐起を右スピニングバックエルボーでKOした。
Text by Shojiro Kameike

1Rから組みの展開で押されながらも、凌ぎ続けた吉田が2R残り6秒で逆転勝利。6月の中国WKG&M-1、ウー・シャオロン戦に続くKO勝ちの裏にあった自身の成長と課題とは――。試合翌日、吉田が道場主を務める空手道剛柔流朋武館高岳支部を訪ねた。


MMAでも思いっきり軸足を廻すことができるようになっています

――昨日は見事なKO勝ち、おめでとうございます。全試合終了後、上田選手のために救急車が呼ばれていました。試合終了後からしばらく経ってからダメージが表面化したようですが……。

「はい、それは聞きました。でもフィニッシュのスピニングバックエルボーではなく、足先蹴り(そくせんげり)がボディに入った時のダメージだったようですね。自分でも『温かい生肉を神経の通っているナイフで貫き通した』というような感触がありました」

――凄い表現ですが、感触のイメージは伝わってきます。ボディ、内臓のダメージであれば、時間が経って表れてくるのも理解できますね。

足先蹴りは1Rと2Rに一度ずつ確認できる。2Rの蹴りで感触があったという(C)SHOJIRO KAMEIKE

「ズボッと刺さってはいなかったけど、『これは効いたな』という感覚はありましたね。あれがズボッと刺さっていたら、その場で倒れていたと思います。外れていても、それだけ威力があることは分かったので、この蹴りを完成させていきたいです」

――6月は中国で一撃KO勝ちを収めています。あの時も左ハイをブロックされたものの、そのまま相手が倒れました。

「僕もあの左ハイで倒れるとは思っていませんでした。まず作戦として、距離を測るために出した左ハイだったんです。前日の公開計量で、相手がメチャクチャ度の強い眼鏡をかけているのを父が見て『これは遠いところは見えていない』と思ったそうなんです。

それを聞いて――試合前日から、ひたすら遠い間合いからの蹴りの打ち込みをやっていました。ただ、さっきも言ったとおり最初の左ハイで倒れるとは思っていなかったです。相手はブロックしていたし『蹴りを受けられてしまった』という感触で。と思っていたら、そのまま後ろに倒れていったので、『えっ!?』と思いました。

今まで空手で、面を付けている相手をKOする感覚は持っていたんです。面があるからメチャクチャ深く、ガッツリ当てて、ようやく倒れるという感覚で。でも面を付けていない相手を倒すことができた――自分の蹴りが思ったよりも威力があるんだな、って初めて知りました」

――シャオロン戦前のインタビューでは、「空手ではKOできているけど、MMAでは判定続きだから倒したい」と言っていました。これまでMMAの試合で出していた蹴りと、シャオロン戦の左ハイでは何か違いがあったのでしょうか。

「あの左ハイは、軸足を廻す空手の蹴りなんですよ。遠い間合いから軸足を180度廻して、ヒザをグイッと前に出して、真正面に蹴っていくいような感じです。

上田戦では左ミドル、右ハイと軸足を廻して打ち込んだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

以前はMMAで蹴りを出すと掴まれそうだと思って、アマチュアの頃から全く蹴りを出せませんでした。寝技を全くやっていなかったので『蹴りを掴まれて倒されたら終わりだ』と。寝技の練習をすることで、その気持ちはどんどん減ってきて、MMAでも思いっきり軸足を廻すことができるようになっています。腰を入れて軸足を廻すことによって軸が残っているから、すぐ体勢を戻すことができて組みにも対応できるように練習しています。そこは進化した部分ですね」

――ということは昨日の試合でも、組まれた時に凌げる自信はあったのですね。

まだまだグラウンドに課題は残るが、徐々に成長は見せている(C)SHOJIRO KAMEIKE

「自信はありました。たとえば1Rにバックを奪われた時も、まずは落ち着いてワンハンドを外すことができました。練習では元谷(友貴)さんのワンハンドを受けているんですよ」

――元谷選手が太田忍戦で極めたようなワンハンドのRNCを……。

「そうです。元谷さんや寒天(たけし)さんのワンハンドは本当に強くて。それを受けていたおかげで、バックを奪われて四の字フックの体勢は辛いけど『両手で取られなければ耐えられる』と思いました。だから落ち着いて片手を外していったんです」

――上田選手の四の字フックに対しては?

「1Rは割とフックが硬かったです。でもカーフが効いて、2Rは動きが落ちていましたよね。試合中はずっと我慢していたのかもしれないけど、試合後に話をしたら『カーフがメチャクチャ痛かった』と言っていました。自分も2Rにトップを取り返した時は結構、無理やりな形ではあって。だけど『カーフが効いているから四の字フックはズレる。これは無理やりでも脱出できる』と感じていたんですよ」

――1Rにスタンドでオタツロックを組まれた時も、吉田選手は落ち着いているように見えました。

この形に入る練習ではなく、逃れる方法を練習していたのか(C)SHOJIRO KAMEIKE

「実は寒天さんをはじめ巧い人に、練習であの形をやってもらったことがあるんです。平良達郎選手のようにガッチリと形に入れば、完全にヒザが壊れてしまうことは分かりました。本来、スタンドの状態でガッチリと入ってしまったら、座って解除しないといけないんですよね。でも完全な形にはなっていなかったので、スタンドで正対しました。NTT(Nagoya Top Team=寒天練習)で受けていたおかげです」

――練習でやられて分かることは多いと思います。吉田選手の場合、NTT後のSNSは「またやられた」「まだまだ弱すぎる」という内容しか投稿していません。

「もう本当にやられまくっていますよ。寝技の練習では、ひたすら技を掛けられ続けて、ひたすら負けています」

――しかし凌ぐ自信はついてきたことで、寝技で勝負しようとは思いませんか。

「それは考えていないですね。僕のゴールはスタンドだと決まっています。そのために寝技も凌げるようになってきました。グラップラーを相手に寝技で勝負しても意味がないですからね。相手が打撃主体の選手であれば、そこは考えますけど。

というのも、MMAにおいて寝技で実績を出している選手のレベルに僕が追いつくことはあっても、そのレベルを超えることはないんですよ。でも超えないと極めるまでにはいかない。組みでグチャグチャになった状態では、今は採点に影響を及ぼさないですし。だから最後も、回ってトップを取った時は絶対に立とうと思いました」

Ares王者ユヌソフの試合からインスピレーションを受けました

――なるほど。スタンドの打撃でいえば、今回はいつもよりストレート系のパンチを、踏み込んで打っていました。

「今回は前に出て、パンチを当てに行こうとしました。同じ大会に出ていた木村柊也選手とか、南友之輔選手もそうですけど……ああいう一撃KOをやってみたいんですよね」

――おぉっ、その2選手を意識しますか。

パンチも間合いも課題のひとつ(C)SHOJIRO KAMEIKE

「僕自身、今までは下がりながらパンチを合わせることが多かったんです。そのほうが得意なので。だけど、今までパンチでは倒し切れていない。自分のパンチに威力があったとしても、それを当てることができていない。だから今回は当てに行く、倒しに行くことをイメージして打ち込みをやっていました」

――ただ、そのパンチにカウンターを合わされる場面も多かったです。

「効いてはいなくても印象が悪いですよね。今までは完全に間合いを取り切ってかた動いていたのが、今回はだいぶ距離を近くしました。特に1Rは積極的にKOを狙いましたけど、ラウンドを取られてしまって。これは無理だと思い、2Rは間合いを取り切ってからスタートしたんです。1Rめは大きく振りすぎてしまったことが反省点でした。でも試してみたかったので。

たとえば相手がチャンピオンや海外の強豪だと、その試合で試しはできないじゃないですか。今回は試す場であり、今は積み上げる時期だと思っていました。とにかく今回は、フィニッシュに繋がる手の技を試したいと思っていて。最後のスピニングバックエルボーも練習していたんですよ」

――1Rと2Rは組みで取られた。これは「たられば」ですが、もしそのスピニングバックエルボーが当たらず最終ラウンドに持ち込まれた場合は、どのような展開になっていたでしょうか。

「その場合、最終ラウンドは完全に空手をやるつもりでした。用意してきた技は、たくさんあったんです。寝技にならないことを前提に、用意してきた技の中からどれを使うか。そのまま行っても負けるので、一撃で倒すことを考えていたと思います。

そこで変にワーッと前に出ていくと、また組まれるリスクがありますよね。とにかく間合い感覚だけでいえば負けることはない。倒しに行かず、ポイントゲームに徹すれば負けることはない。そこに徹しながらKOできる筋を探そうという感じでした」

――それは組みの展開で凌ぐことができる手応えを得たと同時に、中国で倒す感触を得たからこそできる戦いですよね。では、いくつも技を用意してきたなかで、最後にバックエルボーを選択した理由は?

「あれは選択したのではなく、自然に出ました。上田選手の左は、序盤はジャブを突いてくるけど、疲れて来るとフックが多くなるんです。今回はそのフックを振ってくるところに合わせる練習をしていました。

フランス支部を持つ朋武館。今年8月、現地修行の際にソラヌフとMMAの練習も行っていた(C)GOJUーRYU HO-BUKAN

今回の試合の前にフランスへ練習に行ったんですよ。そこでAresバンタム級王者のアブバカル・ユヌソフと練習して。彼がベルトを獲得した時の試合映像を視たら、フィニッシュが右スピニングバックエルボーだったんです。『これをやりたい!』とインスピレーションを受け、自分の形に落とし込んで、ひたすら打ち込みをしました。

練習では和田教良さんや寒天さんに、大きく振ってもらって、その中に入ってバックエルボーかバックスピンキックを打つ。いろんな相手、いろんなシチュエーションでやってもらっていて、自宅でもミットで打ち込みをやりました。僕の中で技というのは、どれだけ打ち込むか――それと、度胸なんですよ」

――打ち込みと度胸!

「まず技は無意識で出るまで打ち込みをやります。あとはそれを出す度胸ですね」

――そこまでプランが固まっていたのであれば、上田選手にバックを取られた時も「とにかく疲れてくれ」と……。

「アハハハ。それはないけど――スタンドバックを取られたのは、半分わざとです。あまり良くないけど、『立った状態であれば負けない』とは思っています。でも考えていたより上田選手のテイクダウン能力が高くて、倒されてしまいました。『まだまだ全然ダメだ』と思って、今日は朝から柔術の練習に行ってきたんですよ」

――えっ、試合の翌日に!?

試合翌日から練習~空手の指導。昇段審査が近いため指導にも熱が入る(C)SHOJIRO KAMEIKE

「はい。朝は柔術、昼はMMAの練習をして、夜の指導に来ました(笑)」

――もう次に向けて進んでいるわけですね。上田戦後にはマイクを渡され、タイトルマッチについて発言しました。

「どうなんでしょうね? チャンピオンの竹中大地選手はRIZIN出場を希望していて、すぐグラジの防衛戦をやろうという雰囲気ではないですよね」

――順番でいえば7月にテムーレンをKOした南選手のベルト挑戦もありますし。11月にはRIZIN名古屋大会が行われますが、たとえばRIZINに興味はないのですか。

「そういえば今日、カードが発表されていましたよね(※取材開始直前、RIZIN公式YouTubeチャンネルでRIZIN LANDMARK10の対戦カードが発表されていた)」

――はい。

「一緒に練習している人の試合は聞いていましたけど……自分はRIZINより、開催されるならRoad to UFCを目指したいですね。海外で戦うならフライ級まで体重を落とせるかどうかもテストしています」

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