【写真】ホゼ・トーレスの接近戦の秘訣は(C)BRAVE CF
25日(木・現地時間)にバーレーンはムハラクのアラード要塞特設会場で開催されるBRAVE CF49 「Super Fights」で、ブライン・オドリスコールとキャッチウェイト戦を戦うホゼ・トーレス・インタビュー後編。
UFCリリース後、なぜBRAVE CFと契約をしたのか。BRAVE CFの人材方法とは。そして、トーレス特有のブロッキングを駆使した接近戦のボックスが、なぜMMAで可能になったのかと考えた。
<ホゼ・トーレス・インタビューPart.01はコチラから>
──より親密な人間関係をBRAVEで築いていこうと思ったわけですね。
「僕はビジネスをするなら、相手の役に立ちたいと思っている。試合をして、ファイトマネーを手にして『バイバイ』ではなくてね。
アマ時代から含めて33連勝し、最初の敗北でカットされた。『おいおい、どういうことだよ。普通は2敗か、3敗してからだろう。もうチャンスももらえないのか』って。それは余りにも失礼だろう。あの半年間だけで、相当に参ってしまった。もう戦いたくないっていう風に思うようになっていたよ。
ジュニオール・ドスサントス、アリスター・オーフレイム、殿堂入りして然りのファイターが切られる。そういうファイターへのリスペクトが欠けるプロモーションに居たいとは思わない。ただ戦って、次も声が掛かるのを待つ──そんな風に生きたくない。
コメンテーターだって、何だってトライして自分の可能性を伸ばしたいんだ(※Titan FC時代にトーレスは解説者として中継に加わっていた)。
BRAVEはファイターの状況を改善しようとしている。MMAの大きな大会が行われていない国、街でMMAを普及させてきた。そして色々な国の選手たち……自分の国や街にビッグショーがない選手たちに試合の機会を与えている」
──BRAVE CFはグローバルな視点に立ってMMAの普及に役立っていると考えているわけですね。
「だってカザフスタン、ルーマニア、サウジアラビア、パキスタンなんていう国でイベントを開くイベントがこれまでにあったかい? サンパウロ、リオデジャネイロ、ロンドン、モスクワ──そういう場所ばかりだろう。
マニー・キャッパオがいなければ他のポテンシャルのあるフィリピンのボクサーも、今のようなチャンスを手にする機会はなかった。BRAVE CFはそうやって各国のMMA、MMAファイターを掘り起こしているんだ。第1試合だろうが、メインイベントだろうが関係ない。同じ世界観をシェアしているのは素晴らしいことだよ。成功へのチャンスが平等にあるんだから」
──ただし、どれだけBRAVE CFがMMAの普及に寄与しようが、ホゼ・トーレスは遣り甲斐のある相手がいないとやる気になれないのではないですか。
「その通りだイージーな相手だと、練習に身が入らない。フライ級のロースターを見てくれ、ちょっとナーバスになってしまうよ(笑)。
僕はこれからアリ・バガウティノフ、ダスティン・オーティズという経験値で上の相手と戦うことになる。だからこそ、最高のキャンプで準備したいと思うようになれる。そういう環境に身を置かないといけないのだから、そりゃナーバスになるよ。
勝って当たり前の相手じゃなくて、どうなるか分からないからこそ、懸命にこのスポーツに取り組むことができる。そして、自分が世界のベストの1人だと証明するんだ」
──BRAVE CFでは20歳前後の若いファイターの育成にも力を注いでいます。
「ムハマド・モカエフとは、今回の試合前に一緒に練習してきた。僕が20歳の時とは比較にならないほど、強い。ただ、僕も自分が20歳の時より強いし、まだ彼より強くいたい。それでもモカエフは、既に2年ぐらい前の僕ぐらいの実力がある。
彼が今の僕……28歳になった時は、全く比較ならないほど強い選手になっているはずだ。
BRAVEはそういう可能性のある選手が、フルタイムでトレーニングできる環境を与えた。BRAVEとKHK MMAは家族を養う心配を僕らから排除してくれた。トレーニングしていても、収入を得ることができる。
そのおかげで収入、支払いという問題から開放された。ファイターが100パーセント戦いに集中できると、どれだけのパフォーマンスを発揮できるか。それが大会を成功に導くんだ。
『今日は仕事が忙しいから、トレーニングはそれほどできない』、『仕事で疲れたから、練習は休もう』……そんなことがなく、若い選手たちがトレーニングに没頭している。
驚くほど若く、強いチャンピオンがBRAVEからは生まれるだろう。カムザット・チマエフを見てほしい。ただUFCで勝っているだけじゃない、ドミネイトしていた。
僕がBRAVEで勝ったアミール・アルバジは、UFCで2勝0敗だ。BRAVEは若い選手の育成をどこよりもスマートに行っている。そしてフェアでチャレンジングなマッチメイクは、見ている人が満足できるタフな試合を提供している。若い選手への待遇を見ても、BRAVEがいかに選手をリスペクトしているのか分かってもらえるはずだ」
──そんなBRAVEの初代フライ級王者になるために、今回のキャッチウェイト戦でどのような試合をしないといけないと思っていますか。
「僕がBRAVE CFのフライ級チャンピオンになれる力があると、皆に思ってもらえる試合をする。5日前に対戦相手が代わろうが、この4カ月間十分に準備してきた。しっかりとケージの中で見せるべきものを見せるよ」
──今日はインタビューを受けていただき、ありがとうございました。最後に技術面のことなのですが、ホゼは小さなMMAグローブでブロッキングを駆使して、近距離でコンビネーションを使います。あの距離で拳を交換するのはリスキーだし、MMAグローブでブロッキングは可能なのでしょうか。
「MMAではスパーリングになると大きなボクシンググローブをつけているところが、まだ多いよね。でもフロリダはベアナックル・ボクシングが盛んだった影響か、4オンスまで小さくないけど7オンスのMMAグローブで練習することが多いんだ。
僕もシカゴのバックヤードファイトで育った(笑)。でも、殴られることが怖いと思ったことはない。ただし、MMAだけでなく、フットボール、空手、どんなスポーツをするときで用心はしてきたよ。たったの一発で、のされるかもしれない。もっと痛めつけられるかもしれない。そこを考えないで、戦うことはない」
──でも怖がらない?
「最終的には自分が受けたダメージよりも、相手にダメージを与えれば良い。だからMMAを戦ううえで、殴られないで試合が終わるなんて思っていない。僕はスマートなファイターよりも、殴られても下がらない男でいたいんだ。
オフェンスとディフェンスを同時に行うほど、難しいことはないしね。そしてディフェンスだけじゃ勝てない。なら、僕は攻めることを選ぶ。
4オンスのグローブには、4オンスのグローブの殴り方、ブロックの仕方がある。そして、1発も被弾しない試合なんてない。でも、その1発の前に1発を入れる。1発もらえば、もっと多くのパンチを打ちこむんだ。
殴られるって、楽しくないことだよ。それでも4オンスのグローブはブロッキングのためにあると思っちゃダメだ。MMAグローブはディフェンスの為にあるんじゃない。拳を守るために存在するんだ。だからね、MMAのブロッキングはグローブだけでなく前腕、そして額や頭でしないといけない」
──なるほどぉ。
「と同時にMMAはボクシングじゃない。ムエタイだって、柔道だって、レスリングだって使って構わない。対戦相手にもよるけど、コイツのパンチは受けたくないなって時は、僕だってテイクダウンを狙うよ。
パンチを怖がっていると、そんな自分の攻撃にブレーキがかかってしまう。だから殴られないよう用心はしても、殴られるものだと覚悟をしないと。で、もっと殴るんだ」
──ホゼ、素晴らしく明快なMMAの接近戦論の説明、ありがとうございました。
「こちらこそ、ありがとう。僕はキョージさんのパワー、あの革命的なファイトを尊敬している。いつの日か、ディン・トーマスとMMAが生まれた日本に行って試合をして、スシを食べたいよ(笑)」
■視聴方法(予定)
3月25日(木・日本時間)、
午前11時30分~ FITE
午前11時30分~ BRAVE TV
■BRAVE CF49対戦カード
<スーパーライト級/5分3R>
ルアン・サンチアゴ:74.8キロ
ブノワ・サンドニ:75.2キロ
<61キロ契約/5分3R>
ホゼ・トーレス:60.3キロ
ブライン・オドリスコール:60.6キロ
<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・フライ・ミランダ:65.7キロ
ドゥマル・ロア:72.2キロ
<フライ級/5分3R>
ムハマド・モカエフ:57.1キロ
アブドゥル・フセイン:57.1キロ
<バンタム級/5分3R>
ガムザット・カゴメドフ:61.1キロ
マティス・ザハロフ:61.7キロ
<バンタム級/5分3R>
ベルナルド・ソパイ:61.5キロ
フランチェスコ・ヌッツィ:61.1キロ
<ミドル級/5分3R>
チェド・ハネコム:83.9キロ
ドミニク・ショーバー:83.7キロ
<77キロ契約/5分3R>
ジェラウド・コエーリョ:76.6キロ
ガジムサ・ガジエフ:77.0キロ
<フェザー級/5分3R>
アブドゥルマナップ・マゴメドフ:65.9キロ
マクジム・トロクヒムチュク:65.6キロ
<スーパーウェルター級/5分3R>
ソラ・アクセル:79.4キロ
クイッティ・ベガイ:78.9キロ
<バンタム級/5分3R>
グレン・マクベイ:61.7キロ
フリエイ・ハーラシェ:61.4キロ
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