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【Colors03】杉内由紀がガードからの腕十字で黒部三奈に一本勝ち「誕生日に腕十字を取れて最高!」

<グラップリング女子ストロー級/8分1R>
杉内由紀(日本)
Def.2分43秒 by 腕十字
黒部三奈(日本)

杉内が首相撲のように首を抱えて、グラウンドに引き込む。黒部が担ぎパスガードを狙うが、杉内が黒部をガードポジションに入れて、黒部の左腕を持って腕十字を仕掛ける。

黒部もベースを作って背筋を伸ばして腕を切ろうとするが、杉内が足のクラッチを高く上げて、黒部の左腕を取って腕十字へ。最後は裏十字の形で黒部からタップを奪った。試合後、杉内は「実は今日で44歳になりました。誕生日に腕十字を取れて最高です!」とマイクアピールした。


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【Colors03】パク・ボヒョン戦へ、失明覚悟のMMAファイター人生=渡辺彩華「なぜこの試合なんだろう?」

【写真】愛犬のエルモちゃんと。犬種は分からないのですが、マルチーズかマルプーからマルポメでしょうか(C)SHOJIRO KAMEIKE

8月3日(土)、東京都新宿区の新宿FACEで開催されるColors03で、修斗女子世界スーパーアトム級王者の渡辺彩華が、韓国のパク・ポヒョンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

渡辺にとっては昨年10月、RIZIN LANDMARKで万智に敗れて以来10カ月振りの復帰戦となる。万智戦で負った眼窩底骨折の治療のために戦線を離脱していた渡辺は、その間の国内女子MMAをどのように見ていたのか。その中で本野美樹に帯同し、現地で見たRoad to UFC——海外での戦いについても語った。


失明する可能性が高くなる。格闘技を続けるなら、そのリスクは分かっておいてほしいと

――万智戦後に眼窩底骨折で入院、手術したあと、いつ頃から練習を再開できたのですか。

「手術して1カ月後に有酸素運動はOKが出ました。格闘技の練習ができるようになったのは手術から3カ月後ぐらいで、スパーのOKが出たのは半年後でしたね」

――スパーを始める時、手術した箇所を打たれることに対し、恐怖はなかったでしょうか。

「怖さはなかったです。でも、まぁ失明寸前だったと言われましたからね。病院では『運が良かった。今後も格闘技を続けるかどうか、一度しっかり考えてほしい』と言われて」

――それは「格闘技を続けてはいけない」という意味ですよね。

「それもあるし、格闘技を続ける場合は術式も違うらしくて。いずれにしても自分の場合は、手術をしても普通の人より失明する可能性が高くなる。格闘技を続けるなら、そのリスクは分かっておいてほしいということでした。

このままMMAを続けていたら、別に強い相手じゃなく誰と対戦しても――それこそ練習しているだけでも失明のリスクがある。そのことは頭の片隅に置きながら練習しています。ただ、自分が失明することよりも、それで家族やチームの皆に迷惑をかけるほうが嫌だという気持ちはあって。だけど今のままじゃ終われない。ずっとその葛藤があります」

――『今のままじゃ終われない』というのは……。

「ファイターって皆、応援してくれる人がいるじゃないですか。その数が多い、少ないは関係なく。それだけ背負っているものがある。自分も愛知から東京に出てきた無名時代から支えてくれている人たちがいます。スポンサーさんや、AACCの人たちとか。そういう人たちに対して、ここで辞めるのは失礼だなと思ったんです」

――……以前と比べて話し方も考え方も大人になりましたね。

「アハハハ!!」

――以前、あれだけ暴言を吐いていたファイターとは思えません(笑)。

「落ち着いたかもしれないですね、アハハハ。この10カ月の間、ジムの先輩がいろんな試合に出ていて。それを自分がファイターとして見るのと、戦線離脱した状態で見るのとでは違うと思うんですよ。もちろん自分が戦線離脱していることに対して焦りはあります。だけど……、それこそ本野美樹さんは待って、待ち続けてRoad to UFCが決まったじゃないですか。そういうチームメイトを見ていると、自分も頑張らなきゃいけないって思うんです」

――チームメイトとしては本野選手のRTU、大島選手のInvicta FC、杉本選手の修斗世界タイトルマッチ、そしてRENA選手のRIZIN復帰などもありました。その中でご自身の意識、目標が変わって面はありますか。

(C)AYAKA WATANABE

「あぁ~。

タイに行って『世界はヤバいな』と思いました」

――7月にタイガームエタイへ行っていたそうですね。

「本野さんがRTU準決勝の前にまたタイへ行くということで、自分も気持ちを挙げるために付いていったんですよ。その時タイガームエタイにいたストロー級の女子選手が、その選手がヤバいぐらい打撃が凄くて。『日本にこれだけ打撃が凄い女子ファイターいる?』と思うぐらいでした。自分はMMAでもテイクダウンさせず、打撃で攻めるタイプじゃないですか。だけど、その選手と練習する時は私のほうがテイクダウンを狙ってばかりで」

――その選手の名前は?

(C)AYAKA WATANABE

「ファラ、ですね(※注)。

寝技できないけど、とにかく打撃が強い。同じ日にオクタゴンという大会で試合をするそうです」

※ファリダ・アブドゥエバ。ファラは愛称。キルギスのMMAファイターで、昨年11月のRIZINアゼルバイジャン大会ではアナスタシア・スヴェッキスカと対戦している(腕十字で一本負け)。現在MMA戦績4勝1敗。

「自分よりも打撃ができる選手と向かい合ったのが初めてで、衝撃を受けました。あとONEに出ているモン・ボー選手もいて、メチャクチャ打撃が強かったです。自分も『このままじゃ世界に出られない』と思いましたね」

――その経験を楽しそうに語れるのが、ファイターとしての本質なのだと思います。

「いやぁ、直後はナイーブになりましたよ。タイにいる間、本野さんに『大丈夫! 大丈夫だから』と慰めてもらっていました(苦笑)」

――アハハハ。

「もう毎週、ボディでKO寸前まで追い込まれて……。日本の女子MMAって、グラップラーが多いじゃないですか。その中で自分は打撃で勝っていた。でも本当に全部できないと世界じゃ勝てないんだなって痛感しましたね。7月上旬から3週間行っていて、先週日本に戻ってきたんですよ。そこから日本の選手と練習しても圧力は感じなくて。それを試合前に経験できたのは、本当に良かったです。なんだか安心しました(笑)」

アイツ、いつも良いところで負けていますよね

――一方、10カ月の間、日本の女子MMAは大きく動いていました。

「……万智、負けるなよ。アイツ、いつも良いところで負けていますよね。松田戦は万智が勝っていたとは思ったし、Xでもそう投稿しましたけど」

――万智選手に勝利した松田亜莉紗選手の印象はいかがですか。

「トータルバランスは良いけど、長けているものはないっていうイメージです。飛び抜けているものがない。悪くいえば、特徴がない」

――悪く言うのですね(笑)。

「アハハハ。パク・シウ選手だったら打撃、万智なら寝技っていうイメージじゃないですか。松田選手は怖さを感じないですね」

――ではパク・シウ×万智の試合については?

「凄い試合でしたね。MMAとして2人とも完成度が高いと思いました」

――ちなみに万智選手とは、直接対決の後も仲良くはなっていないのですか。

「全然! 今でも万智のことは嫌いですよ。仲良くなることはないし、一緒に練習することもないです。対戦直後にSNSで『IGLOOで待っています』とか投稿していたけど、行くわけないだろって(笑)。他のAACCの選手がよく一緒に練習しているみたいで、その選手のSNSを見て『あぁ生きているんだな』と知るぐらいです。アハハハ」

RIZIN、ROAD TO UFC、その前に万智はコテンパンにして泣かしますよ(笑)

――なるほど。修斗では藤野恵実選手がベルトを巻き、続いてパンクラス王座に挑みます。SARAMI選手もパンクラスのベルトを巻きました。

「自分もそこに絡んでいきたかったです。だから今回の対戦相手は、自分もあまり乗り気じゃなくて……」

――対戦するパク・ポヒョンも韓国Double-Gのベルトを獲得しているとはいえ、これまでのキャリアを考えれば、渡辺選手の有利は動きません。前戦では古賀愛蘭選手に敗れていますし。

「う~ん‥…、そういうことじゃないんですよ。『普通にやれば負けることはないでしょう』とか言われます。でも勝負事に絶対はない。まず自分自身がアップセットを起こし続けてベルトを獲りましたからね。ファイターって相性があるし、今回はケージではなくリングという違いもある。そんななかで次の試合は足元をすくわれず、フィニッシュします。

それとは別に、私は今までずっと強い相手と試合させてもらってきたじゃないですか。でもこの10カ月の間に、松田選手が万智に勝ってベルトを巻いた。万智とパク・シウ選手の試合も視ていて刺激になったし、藤野さんは修斗のチャンピオンになっていて。そこで『なぜ自分はこの試合なんだろう?』と思ってしまったんです。それだけ動きがあるなかで、自分だけ取り残されてしまっているというか」

――10カ月間、負傷で試合から離れていたことも大きいと思いますが……。

「それはそうなんですよ。でも今は、いつ失明するか分からないから後悔しないMMA人生を送りたい――もともと強い相手と試合がしたいとは思っていたけど、手術以降はよりその気持ちが強くなっていて。この人との試合、あるいはその試合のために練習しているなかで失明しても、納得できるような相手と試合をしたいんです。

よくレコードを綺麗にしたい選手がいるじゃないですか。私はそこに一切こだわりはなくて。『その相手、誰?』と思うような選手とばかり試合をして、レコードは綺麗だけどベルトは巻いていないとか。そんな選手にはなりたくない。限りある中で、どれだけ自分が満足するMMA人生を送ることができるか」

――……。

「まぁ綺麗なレコードを求めていたら、2戦目で藤野さんと試合していないですよ(笑)」

――確かに綺麗なレコードを求めるなら3戦目で黒部三奈選手、4戦目でSARAMI選手、そして5戦目で一階級上の万智選手とは対戦していないでしょう。

「そうそう(笑)。おかげさまで濃い、怒涛の日々を過ごさせてもらっています」

――今後はストロー級で戦っていくのでしょうか。

「そうですね。スーパーアトムは対戦相手がいないですし。今は通常体重を増やしています。万智の試合では、やっぱりストロー級との差は感じたので。修斗ならストロー級で、リベンジも賭けて藤野さんのベルトに挑みたいです。初戦の時より自信はあります」

――本野選手に帯同して、現地で目撃したRTUに挑みたいとは思いますか。

「周りから見て、『やってみたほうがいいんじゃない?』という声が挙がれば、挑戦してみたいです」

――というと?

「現時点で自分の体格や、タイで経験した打撃の圧力とかを考えたら、あの舞台で戦える自信はないです。でも、いつかはあの舞台で戦えるような――格闘技を見ている人たちに、それぐらい期待を持ってもらえる結果を残していきたいですね。

第三者から見て、期待できるかどうかがファイターとしての需要だと思っています。RIZINなら伊澤星花との対戦が期待されるかどうか。RTUは『渡辺なら優勝して、UFCでも勝てる』と期待してくれるかどうか。まぁ、その前に万智はコテンパンにして泣かしますよ(笑)」

■視聴方法(予定)
8月3日(土)
午後6時00分~ABEMA格闘チャンネル

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【RIZIN LANDMARK06】万智戦へ、渡辺彩華「踏み台。ゴキジェットでシューッとやっつけてやります」

【写真】万智の話題になると、吐き捨てるような口調に変わった渡辺(C)SHOJIRO KAMEIKE

10月1日(日)、愛知県のドルフィンズ・アリーナで開催されるRIZIN LANDMARK06で、修斗世界女子スーパーアトム級王者の渡辺彩華が万智と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

渡辺は今年5月にSARAMIをKOし、プロ4戦目で修斗のベルトを巻いた。柔道ベース+ストライカーとして成長してきた渡辺にインタビュー序盤はその打撃論を訊くと、衝撃的なKOの裏に隠された細かい戦術やRIZINのサッカーボールキック対策など技術的な話題は非常にクールに話していた。

そんな渡辺だが、次戦の相手=万智の話になると表情も口調も一転、決して試合を盛り上げるためのトラッシュトークでない本音の嫌悪感を一切隠そうとしなかった……。


――RIZIN初参戦を控える渡辺選手ですが、まずは今年5月に修斗王座の獲得おめでとうございます。

「ありがとうございます! 一度MMAから離れて、復帰してからの展開がスピーディすぎて……。ただ一戦一戦、一生懸命やってきました。ベルトどうこうよりも、目の前にいる対戦相手に勝つことに一生懸命だったんですよ。それでSARAMI選手を倒した時に『あ、ベルトだ!』と思ったぐらいで。試合当日にSARAMI選手の入場曲が流れるまでは、『本当にSARAMI選手と試合するのかな?』と思っていたんです。私のほうから対戦要求していたのに(笑)」

――アハハハ。自分から言っておいて実感がなかったと(笑)。

「それでSARAMI選手の入場曲を聴いて『あぁ、本当にSARAMI選手と対戦するんだ』と実感したんですよ。何て言うのか……試合をするのは間違いないし、すごく緊張していたわけでもなくて。自分としては冷静でした。でも私はSARAMI選手がRIZINで試合しているのをテレビで視ていたので、『おぉ本物のSARAMI選手が来た!』みたいな(笑)。黒部三奈さんや藤野恵実さんと対戦した時も、同じような感覚がありました。でも……黒部さんや藤野さんはベテランすぎて。SARAMI選手にはオーラがありました」

――黒部選手と藤野選手は、オーラもなかったと?

「そんなことは言っていません! SARAMI選手がベルトを巻いている姿にオーラがあったというか」

――やはりそのオーラが、タイトルマッチならではなのでしょうね。SARAMI戦では、左ハイで決着するとは予想していませんでした。

「そうですか? 今までも左ハイは出していましたよ。当たっていないだけで(笑)。確かに今まではハイキックの重要性を考えていなかったです。ただ蹴ることができるタイミングで蹴っていただけで。しかもガッツリと当てに行っているわけではなく、どちらからというと左ハイを見せて下がらせたりするほうが多かったかもしれないですね」

――SARAMI戦では最初の左ハイをかわされ、2発目がヒットしてダウンを奪いました。すぐに立ち上がったSARAMI選手を引きはがして3発目の左ハイでKOという流れです。あの展開では何としても左ハイで倒そうとしていたのですか。

「実は――ずっと左ハイでKOするのを狙っていたんですよ」

――……。

「本当ですよ! 試合当日の朝に、家族にも『今日は絶対に左ハイで倒す』と言っていましたから。試合では一発目がブロックされたじゃないですか。あれは単発の左ハイで、『やっぱりこのレベルの選手には単発じゃ当たらないんだ。散らさないといけない』と思って。そのあと逆にSARAMI選手が顔面蹴りを打ってきて、自分が距離を外しました。そこで――私の戦い方って『自分がやられて嫌なことを相手にやり返す』なんですよ」

――それは良い言葉です!

「だから私が顔面前蹴りをやり返したら、相手の反応が鈍くて。そこで『左ハイが当たるかもしれない』と思って、まず右ボディストレートから左の三日月蹴り。次にボディストレートのフェイントから左ハイを打ちました」

――そして最初のダウンを奪ったわけですね。もう完全にストライカーへ……。

「黒部さんをKOした時に、自分はストライカーとして生きていこうと決めました! あくまで自称ストライカーですけど(笑)。でも日本の女子MMAではストライカーって少ないじゃないですか」

――それだけのKOを生み出す要因として、ステップワークとスイッチがあるかと思います。SARAMI戦もスイッチを繰り返していましたが、フィニッシュはオーソドックスからサウスポーにスイッチしたと同時に左ハイを打っていました。

「左ハイへ繋げる動き、コンビネーションは練習していました。スイッチからの左ハイだけじゃなく、もっといろんな左ハイの出し方を練習していて。あの形は練習していたものの一つです。オーソドックスのまま左ハイ右ハイも出せますし、サウスポーで右ハイも打てます。

もともと柔道は利き手が前のサウスポースタンスでした。MMAを始めてから、打撃が入るようになってオーソドックスで構えるようにしていました。そういうアベコベの状態からMMAを始めているので、どっちの手や足が前になろうと違和感がないですね」

――他の出身ファイターと同様にサウスポー、いわゆる右利きサウスポーとしてMMAを戦おうとは考えなかったのですか。

「それは考えなかったです。やっぱり左足を前に構えたほうが、前に出やすいですよね。私は徒競走も『位置について』で構える時に右足を下げていましたから」

――……はい。

「そのほうが本来はバランスが良くて。たぶん柔道時代はバランスが悪いほうで試合をしていたんだと思います(笑)」

――打撃でいうオーソドックスで構えていたほうが、もっと柔道でも強かったかもしれないと(笑)。

「柔道って、どんどんルールが難しくなっているじゃないですか。すぐ変更されるし、ルールが変わるたびに頭がパンクしていましたね。そういう競技は苦手です。だからMMAは楽しいですよ。ルールはあるけど分かりやすいから。特にRIZINルールは4点ヒザとサッカーボールキックがあるから、ここで蹴って良いかどうか迷う必要がないですもんね。黒部戦でもSARAMI戦でも、本当はダウンを奪った時にサッカーボールキックをやりたかったんですよ。相手は下を向いているからサッカーボールキックが入りやすくて、その気持ちを抑えるのに必死でした」

――現在サッカーボールキックは練習しているのですか。

「はい。さすがに思いっきり蹴ることはできないので、その状態になったらサッカーボールキックの形に入るだけですけど。4点ヒザの練習もやっています。それは練習相手もサッカーボールキックと4点ヒザありだから、自分も入れられるかもしれなくて緊張感ありますよ。でも、それだけフリーなルールのほうが向いていると思います」

――SARAMI戦で印象深かったのが、もう1点……あらゆる攻防の中で、必ず最後に右ジャブあるいは右フックをフォローで入れていました。

「あれを入れておくと必ず相手の動きが止まって、追って来られなくなりますね。ストライカーとしては『追ってくるなよ』という意味で右をフォローするようにしています。今はボクシングジムでも練習していますけど、やっぱりAACCで――MMAの練習の中でないと分からないものがあって。特にグラップラーが蹴りの打ち終わりにテイクダウンを狙うって攻防は、MMAだけのものじゃないですか。それはMMAの中で学ばないといけない。自分にとっては、あの右のフォローが流れの一つとして染みついているんです。ナチュラルな動きでモーションもなく出しているから、相手も気づいていないのかなとは思いますね」

――それほどナチュラルなストライカーぶりを発揮して修斗のベルトを獲得したあとは、どのような展開を考えていましたか。

「いきなりRIZINに出る、というのは考えていなかったです。まず修斗のベルトを獲ったあとは、防衛戦をやるのかなぁと考えていました。でも、そうなると対戦相手が――もともと黒部さんとSARAMI選手が2強で、いきなり再戦っていうのも変じゃないですか。誰か新しいチャレンジャーが登場するまで、どうなるのかなぁと考えていました」

――すると他団体として、DEEPジュエルスに出場している選手には興味がありましたか。

「DEEPジュエルスには49キロの選手が多いじゃないですか。自分の階級は見ていて『この選手と対戦したいなぁ』という気持ちはありました」

――同じ階級……となると、次に対戦する万智選手は「試合をしたい相手」の中に入っていなかったのですね。

「ストロー級の選手ですけど、自分が階級を上げれば対戦することはあると思っていました。ちょうど同じぐらいのキャリアなので。今回の52.5キロ契約というのも、仕方ないですね。それは万智選手と試合すると決めた限りは、契約体重はもう関係ないので。柔道時代は52キロ級で、その体重で動いたことがないわけでもないですし。あと正直、おいしい相手だと思っているのでオファーを受けました」

――柔道時代の52キロとMMAの49キロでは感覚も違いますか。

「今の自分にとっては修斗のスーパーアトム級(50キロ以下)が適正です。すごく動きやすし、自分の打撃も効きますからね。ただ、国内だけで試合をしていれば、いずれ対戦相手もいなくなってくると思います。世界で戦える選手になりたいっていう気持ちは大きくて、いずれ世界の階級――ストロー級でも強いと言われるようになりたいです。だからずっとストロー級で戦うことは見据えていました」

――……渡辺彩華選手にとってはAACCの先輩である浜崎朱加選手の前に立ちふさがったのが、アトム級とストロー級の間にある壁だったように思います。それはイコール、日本女子MMAにとっての壁でもありました。アトム級の選手が、いかにストロー級で戦うか。

「私は今でも、日本の女子MMAでは浜崎さんが一番強いと思っています。でも私と浜崎さんはファイトスタイルが違うし、違うからこそ壁をブチ破れるかもしれないです」

――それは期待したいところです。では対戦する万智選手の印象を教えてください。

「……ゴキブリですよ、ゴキブリ」

――いきなり語気が強くなったうえ、ゴキブリ呼ばわりするとは……。

「だって、いろんな練習場所に現れるじゃないですか。自分で自分の動きを『ゴキブリみたいな動き』と言っていますからね。だから彼女は自他ともに認めるゴキブリなんですよ」

――万智選手がAACCに来たことはないですよね。

「AACCに来たら、国内の女子選手全員と練習することになってしまいますよ(笑)。本人は、いずれAACCの選手と対戦することが多くなると思っていたかもしれないですけど」

――万智選手の練習環境の問題もあるので何とも言えませんが……。

「それと彼女に対してはイラッとすることがあって。以前MMAPLANETのインタビューで、私の名前を出さずに私のことを挑発していたじゃないですか。Colorsの選手との対戦について訊かれて、『自分がやってやりたい。でも団体も違うし、階級もちょっと違うので』とか何とか」

――「黒部さんとSARAMIさんに勝った人」とは、間違いなく渡辺選手のことですね。

「最初は階級が違うから、万智選手に対してそれほど興味があったわけではないです。でもAACCの人から『こういうことを言われているよ』って、MMAPLANETの記事が送られてきて。でも読んでみたら『階級が違うから悔しい』とか、何言っているんだろうって感じですよ。言い訳するんじゃないってイラつきました。

私だったら――『階級が違うから悔しい』と思うぐらいなら、体重を落としてでも試合します。それで私がツイッター(現X)で、MMAPLANETの記事を引用リツイートして『試合しましょう』と書いたら彼女は何も答えずに、いいねだけしていて……。自分から言っておいて何なんですか。だから私が体重を上げてあげましたよ。これで文句ないでしょう。相手の体重でタコ殴りにしてやります」

――トラッシュトークかと思ったら、本気で怒っているようですね。

「そうですよ。ホントにイラッとしましたから」

――では客観的に、ファイターとしての印象を教えてください。

「グラップラーじゃないですか。柔道出身のグラップラー。よくいるタイプですよ」

――同じ柔道出身であるにも関わらず、ハッキリとストライカーとグラップラーに分かれました。万智選手のようなグラップラーを相手に、渡辺選手の寝技も見てみたいところです。

「フフフ、今回そうなるかもしれませんね。寝技になっても自信はありますから」

――ちなみにRIZINでいえば伊澤星花選手のことは、どのように見ているのですか。

「伊澤さんに対しては何もないですよ。昔、同じアマチュア大会に出た時は『お互いに頑張ろうね』と言っていたぐらいで。RIZINに出場するかぎりは、やるなら伊澤さんだと思っています。ただ、AACCとして考えると伊澤さんのほうが邪魔ですよね。ウチのトップ(浜崎)を倒してベルトを奪っているわけですから。次の万智戦は、伊澤星花とのタイトルマッチへの踏み台ですよ。ゴキブリはゴキジェットでシューッとやっつけてやります」

■視聴方法(予定)
10月1日(日)
午後12時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN LANDMAKR06対戦カード

<バンタム級/5分3R>
太田忍(日本)
佐藤将光(日本)

<キック61.5キロ契約/3分3R>
梅野源治(日本)
斎藤祐斗(日本)

<バンタム級/5分3R>
所英男(日本)
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)

<キック61.5キロ契約/3分3R>
梅野源治(日本)
斎藤祐斗(日本)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<ミドル級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
ANIMAL☆KOJI(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
渡辺彩華(日本)
万智(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
ホジェリオ・ボントリン(ブラジル)

<58キロ契約/5分3R>
中村優作(日本)
ヒロヤ(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
荒東“怪獣キラー”英貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
ビクター・コレスニック(ロシア)
高木凌(日本)

<ライト級/5分3R>
渡慶次幸平(日本)
井上雄策(日本)

<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<68キロ契約/5分3R>
銀・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)
太田将吾(日本)

<キック57キロ契約/3分3R>
竹野元稀(日本)
内藤凌太(日本)

<バンタム級/5分3R>
切嶋龍輝(日本)
MASANARI(日本)

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【Colors】修斗女子タイトルマッチSARAMI戦へ、渡辺彩華─02─「巧い選手は強い選手に勝てない」

【写真】黒部が頭を下げるところを狙っていたという前戦。強い打撃を生かすための冷静な判断力と当てきる技術がある(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催される女子修斗興行COLORSにて、修斗世界女子スーパーアトム級王者SARAMIに挑む渡辺彩華のインタビュー後編。

Text by Shojiro Kameike

プロ4戦目で修斗王座に挑むこととなった渡辺。対戦相手は過去2試合の相手、藤野恵実と黒部三奈の練習仲間でもあるSARAMIだ。日本女子トップファイターとの連戦で、自身でも成長を感じているという渡辺が語るSARAMI戦への自信と、その先に見据えているものとは――。

<渡辺彩華インタビューPart.01はコチラから>


――柔道出身の渡辺選手が打撃中心のファイトスタイルになったのは、いつ頃からなのでしょうか。

「なぜか最初からそうでしたね。柔道の投げを生かしたテイクダウンを練習していたのに、気づいたら打撃戦になっていて……」

――気づいたら(笑)。その理由は分からないのですか。

「分からないです……。打撃に触れたのはMMAを始めてからなのに、自分が一番驚いています(苦笑)」

――前回の黒部三奈戦を見て驚いたのは、渡辺選手の足さばきです。確かにリーチはあるし、パンチも伸びる。それ以上にプロデビュー3戦目にも関わらず、しっかりとパンチを効かせるための位置へ移動するための足さばきが目立ちました。

「そうなんですか! ありがとうございます。自分でも気づいていませんでした。ボクシングジムに通い始めたのも最近というか黒部戦のあとで。もともと打撃は我流でしたし、基本的にはAACCの打撃練習に参加していただけだったんです。

ただ、浜崎さんやRENAさんと練習しているのは大きいと思いますね。RENAさんの打撃は言うまでもなく、浜崎さんもパンチが当たるとメチャクチャ痛いんですよ。拳が固くて、石で殴られているような感じで。そう考えると、自分より強い人たちと練習することが重要なんだなって思いますね。今もAACCで、打撃もテイクダウンも寝技も自分より強い人しかいなくて(苦笑)。だから普段の練習はキツいです。でも藤野さんとの試合や黒部さんとの試合で――実際の試合で自分の成長を感じさせてもらっているというか。最近は自分より強い選手と対戦した時に、どこまでやれるのか楽しみで仕方ないです」

――戦うために生まれてきた、ナチュラルボーン・ファイターのようですね。敗れたとはいえ、プロデビュー2戦目でトップファイターである藤野選手と対戦できたことは大きかったですか。

「すごく嬉しかったです。私がMMAを始める前から、藤野選手も黒部選手も、そしてSARAMI選手のことも知っていたわけですよ。こんなにキャリアが浅い自分が、そういう選手と対戦できるのはラッキーだなって思います。やっぱり強い選手に勝つと、それだけパーンって上がっていくじゃないですか」

――黒部戦の内容と結果は、まさに選手が上がっていく様を体現したと思います。

「そうですよね。MMAを始める前から、とにかく強い相手と対戦したかったし、藤野戦のオファーが来た時も嬉しくて。強い選手と試合するのも恐怖はなくて、楽しみでしかないです。やっぱり格闘技って他のスポーツと比べて、選手寿命も短いじゃないですか。短い期間の中で、どれだけ濃い格闘技人生を送ることができるか。それは練習でも、試合でも。勝てる相手とだけ試合をして、戦績だけ良くする――私がやりたいのは、そういうことじゃないんですよ。強い相手に勝っていくのは格闘技だと思っているので」

――では敗れた藤野戦とKO勝ちした黒部戦の間に、何か成長したり身につけたものはありますか。

「藤野さんとの試合は52キロ契約で、やっぱり相手が大きかったです。パンチの威力も違うし、体づくりって大事だなって痛感しました。黒部さんの時は階級を下げたうえで、自分の通常体重を上げたんですよ。だから減量の幅も試合当日の体重も、藤野戦よりも黒部戦のほうが上で。おかげで私のパンチが効いているのは分かりました。藤野さん、黒部さんと対戦させてもらって一番良かったのは、そういう体づくりの重要性が分かったことですね」

――なるほど。その藤野戦、黒部戦を経て次はSARAMI戦を迎えます。
「皆さん、練習仲間なんですよね。もうその練習会が敵になっていますよ(苦笑)」

――アハハハ。

「私の中では、やっぱり藤野さんに負けたのが悔しくて仕方ないです。同じ体重で打ち負けて――もうボッコボコにされましたから。黒部さんとの試合でも、SARAMIさんと試合をすることになっても、どうしてもその先に藤野さんのことを考えてしまいます。いずれ藤野さんにリベンジしたいんですよ。絶対に、たとえ52キロ契約でも。藤野さんはパンクラスに出ていて、私は修斗に出ているからお互いの試合があるし、タイミングが合わないかもしれません。だから今は修斗で、私がチームメイトに勝つ姿を藤野さんに見せつけたい。間接的に藤野さんと戦っている、という気持ちで自分の気持ちを盛り上げています。私、ずっと根に持つタイプなので(笑)」

――根に持つというよりも、戦うということに対して正直なのではないでしょうか。渡辺選手のチームメイトでいえば、浜崎選手と初めて話した時と同じような感覚を持っています。

「そうなんですね。自分では『今、負けただけ。最後に私が勝てば良い』と思っています。MMAって考え方はシンプルじゃないですか。勝てば良い。勝つことで発言権が得られる。黒部さんにKO勝ちして、次はベルトを目指したいと発言したら、実際にSARAMIさんとの試合が実現しましたよね。だから今後も、勝ち続けて藤野さんを引きずりだしたいです」

――とはいえ、その先に藤野選手が見えるかどうか分からないほど、SARAMI選手の壁は高いと思います。

「もちろんです。本当に何でもできる選手ですよね。何かに偏っているわけではなく、巧くて引き出しが多いと思います。でも私が柔道時代に先生から言われたことがあって――『巧い選手は強い選手に勝てない』と。巧さよりも強さを身につけろ、と教わりました。SARAMI選手はすごく巧くて、私からすればもうキャリアの差は埋められないんですよ。でも、黒部さんの試合でもそうでしたけど、私は思い切りが良いと自分でも思っています。フルスイングしてSARAMIさんの意識を飛ばしてやります!」

■視聴方法(予定)
5月21日(日)
午後1時~ABEMA格闘チャンネル

■COLORS 対戦カード

<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
SARAMI(日本)
渡辺彩華(日本)

<女子アトム級/5分3R>
古賀愛蘭(日本)
ジェニー・ファン(台湾)

<女子アトム級/5分3R>
中村未来(日本)
川西茉夕(日本)

<グラップリングルール53キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
杉内由紀(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
杉本恵(日本)
吉成はるか(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<女子アトム級/5分2R>
渡辺久遠(日本)
玉田育子(日本)

<グラップリングルール49キロ契約/5分1R>
井上愛羅(日本)
NOEL(日本)

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【Colors】プロ4戦目で修斗世界王者SARAMIに挑戦、渡辺彩華─01─「MMAをやっていくための覚悟」

【写真】AACC内では浜崎朱加選手は「あやか」、渡辺彩華選手は「なべあや」と呼び分けられているそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催される女子修斗興行COLORSにて、渡辺彩華がSARAMIの持つ修斗世界女子スーパーアトム級王座に挑む
Text by Shojiro Kameike

2020年12月にパラエストラ柏からDEEP JEWELSでプロデビューした渡辺は、ブランクを経てAACCに移籍。2戦目は藤野恵実に判定負けを喫したものの、続く3戦目で元修斗王者の黒部三奈をKOして今回のベルト挑戦のチャンスを掴んだ。女子修斗の中でも1、2を争う大波乱を巻き起こした渡辺のキャリアは、いかにして形成されてきたのかを訊くと、まさかのライバル関係についても自ら触れ始めた。


――渡辺選手はアマチュア時代からプロデビューして現在に至るまで、打撃中心で戦っていますが、もともとは柔道出身と聞いて驚きました。

「実はそうなんです(笑)。柔道は小学1年生から大学4年まで、15年間やっていました」

――15年間! 柔道での実績を教えてください。

「大学時代、インカレに出たぐらいですね。地元の愛知県には大成中学校・高校という、日本一を続々と輩出するような柔道の強豪校があるんですよ。私は大成の選手にずっと勝てませんでした」

――これまで柔道出身のMMAファイターにお話を聞くと、強豪校の壁に阻まれて柔道を引退するケースもありました。渡辺選手の場合は、大学まで柔道を続けたのですね。

「中高時代は練習で大変な思いをしても、なかなか勝てませんでした。すごく悔しかったです。でも自分の中で柔道に対して一区切りつけるためには、全国大会に出たい。そうでないと、大変な思いをしたことが報われないと思いました。

私は小さい頃、心も体も弱くて柔道を始めたんですよ。柔道のおかげで心も体も強くなることができました。中高時代は勝てなかったけど、それでも大学に進んで柔道を続けて、インカレに出た時に『これで柔道を辞めることができる。頑張って良かった!』と思いました」

――しっかりと一つ目標を達成することができたわけですね。大学卒業後にすぐMMAを始めたのでしょうか。

「いえ、大学時代から公務員になるための勉強をしていて、愛知県内で公務員として就職しました。3カ月ぐらいで辞めちゃったんですけど……」

――3カ月で退職というのは早いですね。

「柔道を辞めて公務員になったものの、刺激が足りなさすぎてMMAを始めようと思いました(笑)。ずっと柔道をやっていて、毎日練習していましたから、戦うことが日常化していたんですよね。それが戦わなくなると、一気に刺激がなくなって」

――刺激を求めて、いわゆる「遊び」に走る人もいます。渡辺選手はそうではなく、再び戦う日々を求めたということですか。

「遊びたい、っていう感覚はなかったですね。お酒も得意じゃないですし。ウチはお父さんが格闘技の大ファンで、リビングのテレビにMMAの試合が映っていることが普通でした。だから自分がMMAに進むことになっても、恐怖とか違和感というものはなかったです」

――1997年生まれの渡辺選手にとって、子供の頃は山本KID徳郁さんや五味隆典選手が活躍していた頃だったと思います。しかし以降は国内の興行規模も縮小していくなかで、MMAを始めることに不安はなかったのでしょうか。

「確かに子供の頃と比べると、男子の試合はそうだったかもしれないです。でも女子に関しては盛り上がってきていましたよね。RIZINが始まってから浜崎朱加さん、RENAさん、浅倉カンナ選手が活躍していて。私が初めてRIZINの会場にお客さんとして足を運んだのが、大学3年の時でした。ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で浜崎さんや浅倉選手の試合を見た時、『すごくキラキラしている』って感じたんですよ。その頃から、趣味として見るのではなく、競技としてMMAをやってみたいと意識し始めました」

――そして、最初は浜崎選手側ではなく浅倉選手側へ……。

「いやいや(苦笑)。最初はパラエストラ柏とAACCの両方を見学する予定だったんです。先にパラエストラ柏を見学した時に、初めてMMAに触れたら楽しすぎて。もうMMAをやりたい気持ちが強くなりすぎて、AACCを見学せずにパラエストラ柏への入会を即決してしまいました。今考えると、ヤバいことをしてしまいましたよね」

――ヤバい、というのは?

「だって……、やっぱりライバルじゃないですか」

――アハハハ。パラエストラ柏の鶴屋浩代表とAACCの阿部裕幸代表も、そこでトラブルに発展するような間柄ではないでしょう。

「パラエストラ柏時代、プロ2戦目の前に負傷して、一度地元に戻ったんです。実家から病院に通院することになって、パラエストラ柏からも離れてしまいました。『もうMMAは無理かな……』と思っている時に、ずっと知り合いで連絡を取っていた大島沙緒里さんが『もう少しMMAを続けてみたら?』と言ってくださったんです。それで通院が終わってからAACCへお邪魔させていただいた時に、体を動かしたら『やっぱりメチャクチャ楽しい!』と感じて。阿部さんにも相談し、AACCに移籍することになりました。……ウフッ、AACCとパラエストラ柏の複雑な関係もありましたけど(笑)」

――ネタにしようとして、もう先に自分で笑ってしまっているじゃないですか(笑)。ちなみに浜崎選手と浅倉選手が対戦した時は、どちら側だったのでしょうか。

「2度目の対戦(2021年3月)ですよね。その時は地元で通院しているので、どちら側でもなかった――と思います(笑)」

――一方、地元を離れてMMAを始めた娘さんが負傷して地元へ帰ってきた。でもMMAを再開するということで、親御さんは反対しませんでしたか。

「お母さんからは最初にMMAをやるという時に反対されていましたし、やっぱり再開する時も反対されました。一緒に病院へ行った時、先生に『同じようなことが続くと……』と説明を受けて、お母さんからは『これからの人生のほうが長いのだから、MMAは辞めたほうが良い』って。私も迷惑をかけ続けてしまいましたからね。メチャメチャ時間をかけて、お母さんを説得しました。親と一緒に病院の先生とも相談しながら、私からも『MMAは今しかできないから続けたい』と説明して。その時、私自身の中でもMMAをやっていくための覚悟ができた気がします。お母さんも納得して、今はすごく応援してくれています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月21日(日)
午後1時~ABEMA格闘チャンネル

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【RIZIN LANDMARK05】「長くは続けないことはハッキリしています」浅倉カンナ戦前のV.V Mei─02─

【写真】3月3日の会見で、顔を合わせている両者。3週間後にはケージで相対する(C)MMAPLANET

29日(土・祝)に代々木第一体育館で開催される『RIZIN LANDMARK05』で、浅倉カンナと対戦するV.V Meiのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

RIZIN参戦の理由を訊くと、V.V Meiは「キャリアの最後」という言葉を口にした。ONEでの3連敗から国内復帰だからといって、彼女の中に決してマイナスな感情はない。明るい未来のために――ハッキリとそう語るV.V Mei。そんな彼女は次の対戦相手である浅倉や、RIZIN王者の伊澤星花など新世代の女子ファイターを、どのように見ていたのか。そして、新世代ファイターと戦う先に見るものとは。ここからV.V Meiの最終章が始まる。

<V.V MeiインタビューPart.01はコチラから>


――ONEで戦っていた間、日本国内の女子MMAはどのように見ていましたか。

「RIZINで女子の試合が行われて、それを視て格闘技を始める女の子も増えたと思うんです。そうして競技人口が増え、RIZINを視て育った選手たちが芽を出し始めている。日本の女子MMAにも明るい未来がある、と思っていました」

――そこに自分自身が絡むことになるとは想定していましたか。

「その意識は、なくはなかったです。ただ、それよりも『強い選手がたくさん出てきて、面白くなってきた』と思っていましたね」

――RIZINが誕生したのは2016年の大晦日で、ヴィー選手がONEで戦い始めた後でした。そのRIZINで注目を浴びた浅倉カンナ選手は、ヴィー選手も交わったことのない新しい世代の選手です。

「あぁ、そうですね。実は2年前ぐらいに、カンナちゃんとは一度練習したことがあって。まだまだ日本では女子選手も少ないし、お互いに知っている選手もいて、水道橋のマスタージャパンでやっている女子練習会にカンナちゃんが来たんですよ」

――マスタージャパンの女子練習会ですか。今月はヴィーさんをはじめ、藤野恵実選手や端貴代選手も試合を控えています。まだまだベテラン勢が戦い続けていますね。

「凄いですよね。私は引退する時期を見据えていて、そんなに長くは続けないことはハッキリしています。でも藤野さんは60歳ぐらいまで試合に出ているんじゃないかと思います。もう日課のような感じで練習に来ていて。

黒部三奈さんも藤野さんも『暇だから』みたいな感じで、日曜日の朝から殴り合っています。私は『引退したら日曜の朝から殴り合うことなく、ゆっくりと過ごすことができるんだな』とか考えるわけですよ。あの人たちには、そういう考えは一切ないですよね(笑)」

――アハハハ。そのような方々と一緒に練習しているなかで、ヴィー選手が引退を考えた理由とは何なのでしょうか。

「体力は落ちていないし、技術的にも向上していると思います。でも2年後に同じ状態をキープできるかどうか……。今は関節が痛いです(苦笑)。大きな怪我ではないですけど、やっぱり肉体は消耗されていきますからね。それに私は趣味が多いこともあるし、アスリートとして経験してきたことを生かして、いろんなことに貢献していきたいと考えました」

――その一つが、リングアナウンサーのD.J Meiなのですか。

「D.J Meiをやるのが結構楽しいんですよ(笑)。今はキックボクシングのRISEでやらせていただいていて、今年からグラジエーターでも――他からも声をかけていただいていて、D.J Meiも売れっ子で困っています。アハハハ」

――引退後はRIZINから、選手ではなくリングアナウンサーとしてのオファーが来るのではないですか。

「いやいや、レニー・ハートさんがいますから(笑)」

――まずは選手として、ですね。試合の話に戻りますが、浅倉選手の印象を教えてください。

「打撃も寝技も淡々とやってくるし、殴られても、ひるむような姿は見せずに前に出て来る――しぶとさのある選手だと思います」

――先ほどお話のあったとおり、世代が異なる選手です。これまでのキャリアを考えると、ヴィー選手のほうが格上となります。

「いやぁ、どうなんですかね……。戦ってきた舞台も違いますし、簡単に比較することはできないと思います。私自身がいろんな団体で戦ってきて、それを乗り越えてきた力を生かして泥臭く戦ったとしても、それをパッとテクニックで切り返されたら終わりですし(苦笑)。

自分の経験が若手の勢いを潰せるとは考えていないです。でも私は私で、RIZINで一発良いものを見せたいし、カンナちゃんももう一度勝ちたい気持ちが強いと思います。そういう意味では、良いマッチメイクじゃないですかね。どちらも勝ちたい気持ちを見せなきゃいけない状況で、それがお互いに良い刺激になりますから」

――良いマッチメイク……何より、この試合がケージで行われることが最も注目したいです。ヴィー選手はこれまでONEだけでなくヴァルキリー、パンクラス、VTJ、DEEPからPXCまで含めて、日本人女子選手としては誰よりもケージで戦ってきました。対して浅倉選手のスタイルも、ケージでこそ生かされる部分もあるかと思います。

「そうですね。私自身はレスリングが強い選手が相手なら、ケージのほうが立ちやすいです。万が一テイクダウンを取られても、ケージを使って立ち上がることができますし。リングではロープが滑るし、動きづらいところもあるので。私としては、ケージで行われることになって良かったです。カンナちゃんもケージを使えるところが多いでしょうし」

――今回の浅倉戦から始まる最終章で、ヴィー選手が見据えているものとは何でしょうか。

「RIZINのタイトルに絡むことができたら面白いし、周りの人たちも喜んでくれると思います。チャンピオンの伊澤星花さんは浜崎朱加さんとパク(・シウ)ちゃんにも勝っていて、どれだけ強いのか――手を合わせてみたいです。そのRIZINに参戦ということで、久々に日本のファンの皆さんの前で試合をします。思っていた以上に反響も大きくて、それに応えられるような試合をしたいと思います」

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【Shooto2023#01】新年早々から大番狂わせ。MMA1勝1敗の渡辺が元王者の黒部を右アッパーで沈める

<女子スーパーアトム級/5分3R>
渡辺彩華(日本)
Def.2R1分29秒 by KO
黒部三奈(日本)

腰を落として構える黒部に、渡辺が左ジャブを突く。黒部はサークリングしながら左右のパンチを伸ばすが、その黒部にケージを背負わせた渡辺が右を突き刺していく。距離が詰まると黒部が右ローから左右フックを当てた。渡辺は右ローをヒットさせ、黒部の動きに左ジャブを合わせる。黒部は相手のパンチをもらいながら前に出て、右クロスを当てた。ケージを背負った渡辺は右に回って脱出する。

反対に黒部にケージを背負わせた渡辺に対し、黒部は右ローと左ジャブでけん制する。右ローを連打する黒部、頭を動かしながら距離を詰めて左右フックで押し込んでいく。しかし渡辺のパンチも、幾度となく黒部の顔面を捉える。黒部は渡辺の左ミドルをキャッチするも、すぐに足を抜替えてしまう。サウスポーにスイッチして左ミドルを見せる渡辺は、足を使って右ストレートをクリーンヒットさせた。さらに距離を取って右ロー、インから右ストレートを入れていく。黒部は捕まえきれない。

2R、渡辺が左ジャブを当てる。前に出て来る黒部に右ロー、さらに左右フックをヒットさせる。その渡辺を追い立てる黒部、渡辺はケージ中央で右ローを当てるも、黒部の右ストレートでアゴが上がった。渡辺の左ジャブを受けて、顔面が赤くなった黒部だが前進は止まらず。渡辺の右ローの打ち終わりに組みつくも、渡辺が離れた。渡辺は右スピニングバックフィスト、さらにケージにつめてパンチと左ミドルを打ち込む。

しかし離れると黒部が前に出て来る。その黒部の両足が揃ったところに、カウンターで右アッパーを突き上げると、一瞬置いて黒部は前のめりにダウンし、すぐにレフェリーが試合をストップした。

番狂わせを起こした勝者の渡辺は「スーパーアトム級のベルトを目指して頑張りたいので、よろしくお願いします」とアピール。笑顔でケージを降り、涙を流しながら会場をあとにした。


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【修斗】速報中!PROFESSIONAL SHOOTO 2023 開幕戦

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大晦日のRIZIN.40が遠い昔の話のような今日この頃。早くも?やっと?2023年日本のMMA戦線が動き始めました。後楽園ホールではPROFESSIONAL SHOOTO 2023 開幕戦が開催されます。メインはGRACHANから修斗に乗り込んできた山本琢也を番人・山本健斗デリカットが迎え撃つ一戦。フェザー級の勢力図が移り変わるか。今宵はABEMAで観戦しつつ電波と充電の続く限り速報します。


【オープニングファイト 68kg契約】
×ヨシ イノウエ(パラエストラTB)
(2R 横三角絞め)
◯磯部鉄心(パラエストラ松戸)
1R、割と近い距離でのスタンドの立ち上がり。お互いに打撃を出して様子を窺う。徐々にイノウエのパンチが単発ながらヒットすると、磯部は一気に組み付いてケージに押し込む。時間を掛けて倒すが、イノウエはすぐに立ち上がる。それでも磯部は組み付いて動きを封じる。イノウエもタックルを切ってバックを狙う。さらに自ら下になって下から肘とパウンドで削ってラウンドを終えた。
2R、磯部の蹴りを掴んだイノウエ。ケージに押し込んでバックに回る。そのままグラウンドに引きずり込む。イノウエは下になって三角絞めに捕らえる。さらに腕十字、横三角に移行するがやや浅いか。磯部は最後まで耐え抜いて脱出すると逆に磯部が下から横三角絞め!ギリギリでイノウエは失神!磯部が大逆転勝ち!


【第1試合 女子49kg契約】
◯渡邊富紀恵(修斗GYM神戸/大道塾)
(1R TKO)
×天天さくら(BATTLE)
1R、開始直後から至近距離での打ち合い。互いに交戦的。アグレッシブに打撃を打ち合う。すると渡邊のフックでバランスを崩した天天。すぐに立ち上がるが口から大量に出血。しかし組み付いて何とか凌ぐ。しかし少し時間が経過したところでドクターチェック。試合続行不能と判断され渡邊の勝利です。


【第2試合 2022年度新人王決定トーナメント ライト級 決勝戦】
◯安海健人(ALMA FIGHT GYM BASE)
(判定3-0)
×深見弦汰(赤崎道場A-SPIRIT)
1R、開始直後から前に出る安海と後退する深見という展開。安海は右フックを中心にバックハンドブローをヒットさせて攻勢。終了間際には組み付いた安海が首投げでテイクダウンしてパウンドを落としてラウンドを終えた。
2R、やはり積極的に圧力を掛けるのは安海。細かいローキックを多用。内外を打ち分けて手数を稼ぐ。勝利を確信したのか大振りはしない。なかなか手数が出なかった深見だが、ラスト1分でやっとパンチを振り回して前に出るが時既に遅し。判定は安海に軍配。


【第3試合 2022年度新人王決定トーナメント フェザー級 決勝戦】
×椿飛鳥(トライデントジム)
(1R TKO)
◯CHAN-龍(MMA Zジム)
1R、序盤から間合いを詰めて組み付くCHAN-龍。ケージに押し込むと何度も足を掛けて倒しにかかる。しかし椿の腰は重い。何度も凌ぐがCHAN-龍はそれ以上にしつこい。タックルからリフトしてテイクダウンすると腕をついてディフェンスする椿。しかし肘があらぬ方向に曲がり、レフェリーが試合を止めた!衝撃的なフィニッシュシーン。


【第4試合 2022年度新人王決定トーナメント ウェルター級 決勝戦】
×クアト驎(パラエストラ小岩)
(1R TKO)
◯エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA)
1R、開始直後から前に出てローを多用するエフェヴィガ。クアトの身体が流れる。エフェヴィガはさらに間合いを詰めると至近距離でのフックがヒット。ダウンしたクアトに対して怒涛のパウンド。肘も織り交ぜるとレフェリーが試合を止めた!エフェヴィガが圧勝です。


【第5試合 2022年度新人王決定トーナメント フライ級 決勝戦】
×須藤晃大(EXFIFHT)
(判定0-3)
◯片山将宏(TRIBE TOKYO MMA)
1R、打撃でプレッシャーを掛ける須藤。嫌がった片山が低空タックル。これを素早い反応で切った須藤がバックに回る。マウントも奪取したが片山はスイープ。上を取り返す。須藤は激しく動くが片山の押さえ込みが強い。終了間際に片山はバックに周るとチョークで絞めあげるがタイムアップ。須藤が逃げ切った。
2R、開始と同時に片山が低空タックル。しかし須藤は簡単に切ってバックに周る。だが片山はすぐにスイープして上をキープ。絶妙のボディバランスを見せる。しかし終盤になって須藤は脱出。バックに周ったが片山は正対して上を取り返して試合終了。判定は片山に軍配!非常にハイレベルな決勝だった。


次回大会で新井丈×関口祐冬が正式決定!さらに澤田龍人が久しぶりの修斗参戦。安芸柊斗と激突!めちゃくちゃ楽しみ!


【第6試合 女子スーパーアトム級】
×黒部三奈(マスタージャパン東京)
(2R TKO)
◯渡辺彩華(AACC)
1R、開始直後からプレッシャーを掛ける渡辺。至近距離でパンチを振り回す。黒部もこれに応戦して一触即発の展開。渡辺はバックハンドブローからフックを畳み掛けて黒部がグラつく場面も。しかし打たれ強い黒部は最後で打ち合いに応じてラウンドを終えた。
2R、逆に前に出てきた黒部。ケージまで追い詰めるが渡辺は素早いサークリングで間合いを外す。すると精度では渡辺が上手。パンチを蓄積させると、黒部が前に出てきたところにカウンターのアッパーがクリーンヒット!前のめりにダウンした黒部を見てレフェリーが試合を止めた!渡辺がアップセットをやってのけた!


【第7試合 バンタム級】
×野尻定由(赤崎道場A-SPIRIT)
(1R TKO)
◯齋藤奨司(FIGHT FARM)
1R、打ち合う素振りを見せた野尻だが流れの中からタックルで組み付く。しかし齋藤の腰は重い。身体が離れるとパンチの交差から齋藤のアッパーがヒット。野尻はダウン。立ち上がるが色濃くダメージが残る。野尻はごまかすように左右のフックを振り回すが不発。逆に齋藤は打撃で追い込むと前に出てきた野尻に対して右のアッパーがクリーンヒット!前のめりに倒れた野尻を見てレフェリーが試合を止めた!
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【Shooto2023#01】「パンクラス、DEEPに続いて修斗でも」山本健斗デリカット戦へ、山本琢也─02─

【写真】熱くなることを抑えることができるか── (C)MMAPLANET

15日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#01で、山本健斗デリカットと対戦する山本琢也のインタビュー後編。

グラチャンで2階級制覇を果たしたあと、RIZINで敗れながら、家族のために復帰を果たす山本。その舞台に修斗を選んだ理由と現在の目標とは。それは鶴屋怜のパンクラス王座奪取から始まる、パラエストラ千葉ネットワークの野望だった。

<山本琢也インタビューPart.01はコチラから>


――山本選手がMMAを続けるモチベーションは、やはりご家族なのですね。

「自分の場合は、そうですね。子供が自慢できるようなものを見せてあげたい。僕は勉強の成績が良いわけでもなくて。そんな僕が子供に見せられるものは何かなって考えた時に、このMMAしかないのかなって思います。格闘技をやっていると、いつ最後が来るか分からないじゃないですか。

だから今は毎試合、良いところを見せられるように頑張りたい。そう思っています。あと、自分自身、RIZINで負けた時は恥ずかしくて、1カ月ぐらい外に出られなかったんですよ。誰かから連絡をもらっても、返事もせずに」

――……。

「すると、ネバークイットで一緒に練習しているISAOさんから『また練習においでよ』と誘っていただいたんです。そこからまた少しずつ練習に参加するようになりました。ISAOさんに声をかけていただく前は練習していなかったから、また体重が戻ってしまって」

――そこで体重の話に戻るのですね(笑)。

「さすがに100キロまではいかなかったですが、太りやすい体質なんでしょうね……たぶん」

――果たして体質なのか何なのか、ご自身で調べたことはないのですか。

「僕と一緒に生活していたら、太る理由は分かると思います(苦笑)。1日中食べ続けていたり――特にご飯が大好きだし、ジュースもメチャクチャ飲むので、やりたい放題ですよ」

――それを自分で言ってはいけないかと……(苦笑)。試合の話に戻すと、前回の試合から1年空いた理由は何だったのでしょうか。

「去年もRIZINからオファーは頂いていました。でも僕が体重を落とせそうになかったり、大会自体が無くなったりで。ただ、1年も試合をしないのはマズイなと思って、鶴屋さんに相談したんです。そこで修斗の試合が決まりそうだったのに、今度は僕が怪我をしてしまいました」

――ということは、今回の試合は負傷明けということになるのですね。

「はい。1月の大会までには治すので――と伝えて、今回試合を組んでいただきました」

――復帰戦の舞台が修斗になったのは理由も教えていただけますか。

「まずパンクラスのフェザー級には、練習仲間のISAOさんがいます。DEEPでも、神田コウヤ君が活躍していて、今度はタイトルマッチですよね(2月11日、五明宏人と暫定王座を争う)。簡単に言うと、フェザー級のランカーに練習仲間がいない修斗を選びました。やっぱりベルトが欲しいので」

――いわゆるスポットではなく、修斗のベルトを巻くために参戦するということですね。

「もともとアマ修斗全日本で優勝して、プロでも新人王トーナメントにエントリーしていて、諸事情で出場を辞退しました。そのあとはグラチャンに出ていて、修斗の会場に行くことも少なかったんです。でも修斗については、パラ千葉ネットワークからは扇久保(博正)さんや岡田(遼)さんが出ていて、その誇りを胸に戦っているという印象があります。……すみません、ただ個人的にはそのあたりのことは何も考えていなくて(苦笑)」

――対戦相手である山本健斗デリカット選手についても、あまりご存じないですか。

「いえっ、試合が決まってから映像は見ました。どちらかというと打撃が強いファイターで、僕との試合でも前に出て来るのかな、という感じです」

――その試合映像を見て研究するタイプでは……なさそうですね。

「アハハハ。試合でどう体が動くか。試合してみないと分からないタイプです。でもRIZINで負けて、そういった対策も大事だなと思いました。今回は相手をイメージしながら、対策もやってきています。

鶴屋さんから『また熱くなったら打ち合いに行くだろ?』と聞かれて、僕も冗談で『そうだと思います』と答えたんですよ。『それで良いわけないだろう!』と怒られました(笑)。どうしても打撃をもらったら熱くなってしまうところがあるので、同じ失敗は繰り返したくないです」

――では、この2年で練習環境が変わったなかで、最も成長していると実感する部分は何でしょうか。

「それが、実感できているものがないんです(苦笑)」

――えっ……。

「一緒に練習している選手について、『この人は強くなったなぁ』と思うことはあります。でも自分の試合スタイルは変わらないし、他の部分がどう変わったかは分からないんですよね。それは次の試合で、僕がどう変わったかを皆さんに見てほしいです」

――なるほどっ! 対戦するデリカット選手は現在、修斗世界フェザー級2位です。王者のSASUKE選手がRTUのワンマッチに出場しているなかで、山本選手に勝てば暫定王座決定戦――あるいは正規王座挑戦に近づくことができるマッチメイクではないでしょうか。

「そこは意識しています。修斗に出るからには、やっぱりベルトを目指さないといけないと思っています。もちろんベルトを獲る自信もあります。

パラ千葉ネットワークの中でも鶴屋怜君がパンクラスのベルトを獲って、次はコウヤ君がDEEPのベルトに挑みます。さらに僕が修斗のベルトを巻けるように、とチームメイトからも応援してもらっています。だから、ここが僕の頑張りどころですよね。格闘技人生ってチャンスが多いわけではないので、ここで頑張って修斗のベルトを獲りたいです」

■視聴方法(予定)
1月15日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#01対戦カード

<フェザー級/5分3R>
山本健斗デリカット(日本)
山本琢也(日本)

<63キロ契約/5分3R>
加藤ケンジ(日本)
ロイベ・デ・オリベイラ・ネイト(ブラジル)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
黒部三奈(日本)
渡辺彩華(日本)

<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
齋藤奨司(日本)

<2022年度新人王決定Tフライ級決勝戦/5分2R>
須藤晃大(日本)
片山将宏(日本)

<2022年度新人王決定Tフェザー級決勝戦/5分2R>
椿飛鳥(日本)
CHAN-龍(日本)

<2022年度新人王決定Tライト級決勝戦/5分2R>
安海健人(日本)
深見弦汰(日本)

<2022年度新人王決定Tウェルター級決勝戦/5分2R>
クアト驎(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<68キロ契約/5分2R>
ヨシ・イノウエ(日本)
磯部鉄心(日本)

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【The Shooto OKINAWA07】計量終了。沖縄大会で連続メイン、当真佳直「5R戦えるスタミナがある」

【写真】2大会連続メインの当真は計量を一発でクリア。マッチョ・ザ・バタフライの再計量結果については、追ってお伝えします(C)SHOJIRO KAMEIKE

6日(日)、沖縄市のミュージックタウン音市場で開催される『SHOOTO OKINAWA07』の計量が行われた。メインに出場するマッチョ・ザ・バタフライは600グラムオーバーで再計量へ。その他の選手は全員一発クリアとなっている。

Text by Shojiro Kameike


今大会では当真佳直が、4月に続きメインを務める。前回は田上こゆるの打撃を、徹底したテイクダウンとグラウンドコントロールで封じ込め、判定勝ちし世界ランキング入りを果たした。地元・沖縄で大金星を得た当真は田上戦について、こう振り返る。

「最初にメインを任された時(2020年11月、木内SKINNY ZOMBIE崇雅戦)は負けてしまったのに、またチャンスをもらえて絶対に勝たないといけない。それでメチャクチャ練習して、結果にもつながったので嬉しかったです。正直、5R戦えるぐらいのスタミナがついた自信があります。前回の試合も、あと2Rやれと言われれば、やれていました。前回の試合が自分の殻を破ってくれたと思います。自分は3Rの経験は浅いですが、今回も3Rでいいのかな? 5R決着がつくまでやってやる、という気持ちになっています」

対するマッチョ・ザ・バタフライも昨年12月に田上を判定で下しており、同じ相手との対戦経験があることで比較もしやすいだろう。「相手はベテランで、強い相手です。自分が負けた木内選手と同じベテランで、寝技が強い相手なので油断はできません。でも、ここで勝って次の試合は東京でやりたいです」と意気込みを語った。

一方のマッチョ・ザ・バタフライは、計量1回目で600グラムオーバー。このレポートを執筆している時点では、17時に予定されている再計量に向けて体重を落としているところだ。当真がTD&コントロールを狙っても、自分の距離を保ちながら不規則なパンチを当て、自身の得意な形でグラウンドに持ち込める能力を持つマッチョだ。まずは再計量クリアと、コンディションの回復を待ちたい。

セミは宮城友一と鎌田悠介のフライ級戦だ。沖縄のベテランファイター、宮城は現在、修斗とRIZINで2連敗を喫している。「やっぱり沖縄での試合は気合いが入ります」という宮城は、「相手は打撃が強いし、もちろん寝技もできると思います。しかし自分もしっかり準備をしてきたので大丈夫です。ここで勝ってさらに上へ行きたいです」と意気込みを語った。

■視聴方法
11月6日(日)
午後2時30分~ ツイキャス

■SHOOTO OKINAWA07計量結果

<ストロー級/5分3R>
マッチョ・ザ・バタフライ(600グラムオーバー → 再計量)
当真佳直(52.10キロ)

<フライ級/5分3R>
宮城友一(56.50キロ)
鎌田悠介(56.36キロ)

<フェザー級/5分3R>
結城大樹(65.76キロ)
工藤圭一郎(65.68キロ)

<スペシャルエキシビジョンマッチ/3分1R>
黒部三奈(日本)
小生由紀(日本)

<2022年度新人王決定T準決勝 バンタム級/5分2R>
南風原吉良斗(61.18キロ)
藤谷敦史(60.86キロ)

<ストロー級/5分2R>
畠山隆称(51.96キロ)
大城正也(52.14キロ)

<バンタム級/5分2R>
波平コング(60.70キロ)
テンガイ(61.08キロ)

<ストロー級/5分2R>
わっしょい内田(52.08キロ)
梅木勇徳(52.16キロ)

<ストロー級/5分2R>
Pinky(51.70キロ)
大田ノヒロ(52.08キロ)

<トライアウトマッチ公式戦フェザー級/3分2R>
松浦真実也(65.72キロ)
山本敦章(65.72キロ)

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