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【PFC34】北の大地で新フェザー級王座決定戦&G-FIGHT=サブオンリーのワンデートーナメント開催

【写真】渡部、黒石、そして森。それぞれベルトを賭けた戦いへ(C)PFC

6日(日)、北海道札幌市のPODアリーナでPFC34が開催される。メインでは森崇純と村井和道が空位のPFCフェザー級王座を争うこととなった。
Text by Shojiro Kameike

また、グラップリングマッチ=G-FIGHTの初代バンタム級王座決定トーナメントが行われ、渡部修斗、黒石大資、DAIKI、庄山真司の4人がワンデートーナメントに挑む。


PFCフェザー級王者、林優作のベルト返上を受けて新王者決定戦が実施されることとなった今大会。7月に次期挑戦者決定戦でハント高島をパウンドアウトした森が、ONE出場経経験を持つ村井和道と空位のベルトを賭けて戦う。

森にとっては2023年3月、林に挑みギロチンで敗れて以来の王座挑戦に向けて「いろんな環境の変化で格闘技を続けられない方々もいるなかで、俺は運良く格闘技をやれていて、そんな方々の気持ちを勝手に背負って今回試合をして勝ちます。最後までやり切って、勝ってタイトルを獲ります」とコメントを出している。

対する和道からは「コンディションを調整して、冷静にいつもどおり動くことができれば、良いものを見せる自信はあるので、変に気を張らずに試合まで変わらずやっていきます」とのコメントがリリースに寄せている。

一方、PFCで開催されるサブオンリー・グラップリング=G-FIGHTでは、7月に伊藤光をRNCで下した渡部修斗の希望どおり王座決定トーナメントが開催されることに。渡部はリリースの中で「PFCは大好きな団体なので、しっかり自分がベルトを巻いて北海道の地でグラップリングを盛り上げ、活性化させられるように頑張りたいと思います!」と語る。

MMA引退宣言後、復帰して9月16日にDEEPでKENTAと対戦するも敗れた渡部。その後も毎週のようにグラップリング、柔術の試合に出場しており、さらに10月14日にはROMAN柔術ルールで橋本真吾との対戦も決定済。とにかく今は格闘技の試合を楽しむことができているような渡部の積極的な活動は続く。

トーナメント対抗馬はPFCフライ級王者の黒石か。黒石は7月大会で中西テツオを判定で下しベルトを防衛。しかし意外なことに「初めてのグラップリングの試合なので、ワクワクドキドキしています」(公式リリースより)とのこと。また、同トーナメントに出場するDAIKIは山本空良の実兄で、今回は5年ぶりの復帰戦だという。北の大地からグラップリングの風が吹き荒れるかどうか注目だ。

■PFC34 視聴方法(予定)
10月6日(日)
ROOKIES&STONES 午前11時~
PFC34 午後16時~
PFC公式YouTubeチャンネルにて ※メンバーシップ限定

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【PFC33】北の大地で黒石大資のベルトに挑戦、中西テツオ「自分の得意なものが明確になりました」

【写真】Tシャツの下には、以前よりも筋量が増えた肉体が……(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、北海道札幌市北区のPODアリーナで開催されるPFC33で、中西テツオが黒石大資の持つ同フライ級王座に挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

中西は昨年11月、PFCに初参戦して澤口悠之介を下した。続く2戦目でベルトに挑戦する中西に起きた昨年からの変化とは。


怪我もなく練習も試合もできるのは幸せなこと

――2021年からDEEP名古屋大会と大阪グラジエイターを主戦場としていた中西選手が、ここで北海道のPFCに参戦することになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。

「本当にタイミングですね。去年は3月と8月に試合をして、その後すぐにでもまた試合をしたかったんです。調子も良かったですし。でも他の団体ではなかなか試合が決まらない状態で。そんな時に、たまたま山本喧一代表が『PFCに出場する選手を募集しています』とXに投稿していて、僕から連絡しました」

――山本代表に直接連絡を! 「調子が良かった」というのは、何か湧き上がるものがあったのですね。

「何て言ったらいいのか……。周りには格闘技が好きなのに怪我で練習も試合もできない人がいるんで。そういう人たちを見ていると、自分は怪我もなく練習も試合もできていて――それって幸せなことだなって思うんです。だからDEEPが終わったあとに『試合したいな』って気持ちが沸き上がりました」

――結果、2023年は3連勝を収めました。2連敗のあとの3連勝というのは、何か変わったところなどはあるのですか。

「自分の中で特に『変わったなぁ』と思うところはないです。試合の中で『自分がやるべきことを決めた』という感じですね。特に去年は3試合とも、相手が若手だったんですよ。相手の対策などではなく、自分の得意なところを出せば勝てるという3試合でした」

――確かに最近の試合では、思い切りの良さは感じました。2022年は何か考えながら試合をしていたのに対し、2023年以降は自然と体が動いているというイメージです。

「そうですね。その点は凄く大きいです。相手云々ではなく自分次第、という3試合を経験しました。調子の良い時は必ず自分の得意なポジションを取ることができる。そういう自分の得意なものが明確になりました」

――自分の得意なポジションとは?

「バックポジションですね。バックを奪うことは、僕にとっては明確な一つの武器なので。同じバックでも細かい部分が違っていて。それが自然と、僕にとって良いポジションを取れるようになってきました。

自分の中では去年8月のDEEP名古屋の試合(カネタケマンに判定勝ち)が一番大きかったんですよ。練習感覚で試合ができたので。今までは切羽詰まった感じで試合をしていたというか。でも8月の試合は余裕を持って、練習の延長で試合できたことが大きかったです」

――一方、今年4月にはDEEP名古屋大会で松岡疾人選手に敗れています。中西選手がコントロールしていたようにも見えましたが……。

「僕としても『負けはないだろう』とは感じていました。何か相手の攻撃でダメージを与えられたとか、そういうのは感じなかったので。

判定となると難しいところですね。人が決めることですし。最近は判定基準も流れが変わってきて、まず明確な差を見せないといけない。僅差だと、どちらにポイントがつくか分からない状態だと思います」

――ちなみに、凄く体が大きくなっていませんか。

「あぁ、今回は凄く追い込んできたので(笑)」

――今だけでなく、最近の試合を視ていると以前よりも筋量が増えているように感じます。

「ありがとうございます。特別なトレーニングをやっているわけではなく、練習量が増えた結果だと思います。やっぱりジムを立ち上げた頃は、自分の中でも練習をセーブしていたところがあって。その状態で試合をするのは良くないですよね。ジムと選手の両立は簡単ではないけれど、現役のうちは選手として頑張っていきたいですからね」

――ジムと選手を両立できる方法が見つかったのですか。

「いえ。自分が何かしたというよりは、運が良かったんですよ」

――運が良かった?

「自分の試合がある時に、たまたまジムで指導を替わってくれる人がいたりとか。あとはNAGOYA TOP TEAMのように、みんなが集まって練習できる環境も増えて」

――そういえば中国でKO勝ちを収めた吉田開威選手は、NTTやガイオジムで一緒に練習しているそうですね。

「彼は本当に凄いですよ。一緒に練習しているので分かります。自分と一緒に練習している時も、優しくしてくれているなぁって(笑)。打撃に関しては太刀打ちできません。彼のような新しいファイターも出てきて、名古屋のMMAも盛り上がってきていると思います」

『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っています

――そんななか、中西選手は名古屋から札幌に行って試合をするわけですね。

「僕はどこでも戦います!」

――昨年の初参戦時はPODの選手でしたが、敵地ということも意識していなさそうです。

「アハハハ、全く気にしていません。前回試合した時、イベントとして凄い熱量を感じたんです。おもしろい団体だなって思いました。お客さんとの距離も近いですし」

――そしてPFCのベルトに挑戦することになり、相手が黒石選手というのも何か運命的なものを感じます。

2017年8月、中西と黒石は共に中国WLFで試合に臨む予定だったが、大地震の発生で大会が中止に(C)TETSUO NAKANISHI

「あぁ、2017年のWLFですね。去年11月に大会で『お久しぶりです!』と挨拶しました(笑)。でもお互いPFCの同じ階級で試合をしていて、いつか対戦するかもしれないなと思ったんですよ。だから、その時は挨拶程度で」

【参考】「2017年のWLF」について、詳しくはこちら
中西テツオ・インタビュー 
新井丈インタビュー
黒石大資インタビュー

――ファイターとしては黒石選手について、どのような印象を持っていますか。

「ベテランらしさがあって、自分のやることを決めているファイターですよね。お互いにやることが決まっている。黒石選手も僕がやることを分かっていて、しっかり対策はしていると思います。もちろんMMAだから、いつもとは違うこともやってくるでしょうし」

――それは中西選手も同じですよね。

「もちろんです。僕としては、相手は自分の対策をしてきてくれたほうが戦いやすいですよね。僕のリズムに合わせてくれたほうが、逆にやりやすくなるので。結局、何があるか分からないっていうのがMMAの面白さだと思います。

今回はタイトルマッチなので、僕も気合いが入っています。この2カ月強、メチャクチャ追い込んできました。『これはベルトを獲るでしょ』と自分でも思っていますので、応援よろしくお願いします!」

■PFC33対戦カード

<バンタム級選手権試合/5分5R>
亀松寛都(日本)
森永ユキト(日本)

<フライ級選手権試合/5分5R>
黒石大資(日本)
中西テツオ(日本)

<ミドル級選手権試合/5分5R>
新名正啓(日本)
カタナマン(日本)

<ウェルター級/5分2R+Ex>
成田佑希(日本)
飛田拓人(日本)

<フェザー級次期挑戦者決定戦/5分2R+Ex>
森崇純(日本)
ハント高島(日本)

<グラップリング戦 フェザー級/5分2R>
渡部修斗(日本)
伊藤光(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex>
中場ガッツマン大地(日本)
綾哉(日本)

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【PFC31】平井総一朗とベルトを賭けたリマッチへ、黒石大資─02─「まずは自分が行きすぎないこと」

【写真】写真は2019年11月のNEXUSフライ級トーナメント準決勝。橋本薫汰に判定で敗れてベルトを逃した。黒石はネクサス再挑戦も視野に入れている(C)MMAPLANET

19日(日)、北海道は札幌市北区のPODアリーナで行われるPFC31で、平井総一朗とのPFCフライ級王座決定戦に臨む黒石大資のインタビュー後編。
text by Shojiro Kameike

PFCフライ級は、第3代王者の亀松寛都が王座を返上。空位となったベルトを同級1位の黒石と同級3位の平井が争うこととなった。両者は今年7月のPFC30で対戦し、黒石が3R判定勝ちを収めている。ベルトを賭けたリマッチを控える黒石に、スカーフィストのファイトスタイルと札幌での試合について訊いた。

<黒石大資インタビューPart.1はコチラ


――青森県といえば以前は常設ジムも少なく、地元で試合ができる機会も少なかったと思います。MMAをするために他の地域へ行くことは考えませんでしたか。

「それは考えなかったですね。青森で続けていきたいと思っていました」

――青森の良さって、どんなところでしょうか。

「何だろうなぁ……食べ物が美味しいところですかね(笑)」

――アハハハ、ありがとうございます。話を戻すと、黒石選手は2015年12月にパンクラス札幌大会でプロデビューし、その後は修斗の試合を経て中国WLFの試合を迎えます。プロ5試合目で中国遠征というのは、当時いかがでしたか。

「当時はいろんなことを経験したかったんです。だから『海外での試合って、どういうものなんだろう?』と興味が湧いて、オファーが来た時にすぐ『行きます!』って返答しました」

――なるほど。黒石選手の戦績は勝っても負けてもKOか一本決着で、もともとスカーフィストの選手にはレスリング+パンチ、そこにサブミッションが加わるという印象があります。それはスカーフィスト所属選手に共通することなのでしょうか。

「皆そういうタイプかもしれないですね。特にアマチュア修斗から出ていると、前に出て寝かせてナンボ――という雰囲気はありました。今はルールも変わってきていますけど、当時のアマ修斗はテイクダウンしてトップを取るとポイントが入っていて。そのルールであれば、みんなトップを取りに行きますよね」

――まだアマチュア修斗でグラウンドのポイント制が採用されていた頃ですね。確かに、当時のアマ修斗から育ったファイトスタイルかもしれません。

「前に出ること自体は、リスクもあります。でも自分はリスクを背負ってでも、前に出て倒しに行きたいです」

――そんななか現在は北海道のPFCが主戦場となっています。青森県から北海道で戦うのはアウェイ感が強いのでしょうか。それとも、もう地元のような意識になっていますか。

「他の選手は分からないけど、自分にとっては地元感が大きいです。アマチュア修斗の頃から札幌で試合をしているんですよね。アマ修斗の北海道予選とか。もうPFCでも4試合やらせてもらっていますし、いつも試合が終わったあと『また札幌に帰ってくるね!』と地元のお客さんに挨拶してきますから(笑)。その札幌でタイトルマッチができるというのは嬉しいですね」

――では次のタイトルマッチについてお聞きします。空位のPFCフライ級王座を賭けて戦う平井選手とは、4カ月前に対戦して判定勝ちを収めています。ダイレクトリマッチとなるわけですが、前戦の印象を教えてください。

「平井選手はとにかくフィジカルが強かったです。もともと柔道がベースだと思いますが、スコーンと投げられてしまう感じで」

――前回の試合は5分2R+Ex 1Rで、1Rは平井選手、2Rには黒石選手がテイクダウンを奪ってドローとなりEXラウンドに突入しました。

「2Rが終わって、自分が勝っているのかなっていう思いは少しありました。テイクダウンを奪われたあと、前に出ていたのは自分だったので。ただ、それだけに削られていた部分はあって――延長戦に入ることになって、疲れはありましたが『もおうやるしかないな』と気持ちを固めましたね。延長戦は気合いで戦いました。そこだけは絶対に負けないと思って」

――気持ちで負けていると代表の小倉卓也選手が……。

「いつもセコンドについている代表から怒られています。『行け! サボるんじゃねぇ!!』とか(笑)。でも自分にとっては、それぐらい言われるほうが良いんですよ」

――なるほど。ただ、次のタイトルマッチは5分5Rです。

「しかも5Rを戦いきる試合が多いですよね(苦笑)。ちゃんとフルラウンド戦うことも想定して、まずは自分が行きすぎないことを意識しています。いつものように前に出すぎると、前半戦で消耗してしまうでしょうから。最初はしっかりと圧力をかけながら、自分のペースで進めていきたいです」

――対する平井選手も前回の試合内容を踏まえて、序盤はペースを抑えてくるかもしれません。そうなると黒石選手自身も抑えて進めていくのか、あるいは前に出るのか。

「その場合は、自分がもっと圧力を強めていくかもしれません。できることなら――やっぱりフルラウンド戦うことなく、序盤に仕留めたいですね。アハハハ」

――今回のタイトルマッチも含めて、MMAにおける黒石選手の目標を教えてください。

「今回PFCのベルトを獲ることができたら、その次はネクサスのベルトも視野に入れていきたいですね。自分は一度ネクサスのフライ級王者決定トーナメントに出て、準決勝で負けています(2019年11月、橋本薫汰に一本負け)。あの時は悔しい想いをしたので、もう一度ネクサスのベルトに挑むことができたら――と思っています。

その前に、まずは今回勝つこと。ベルトが懸かった試合なので、ここは死ぬ気で獲りにいきます。今後も期待してください」

■PFC31対戦カード

<PFCフライ級王座決定戦/5分5R>
黑石大資(日本)
平井総一朗(日本)

<PFCストロー級王座決定戦/5分5R>
早坂優瑠(日本)
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
亀松寛都(日本)
ジミー西将希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
渡辺トシキ(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
中島光陽(日本)
河永重春(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
澤口悠之介(日本)
中西テツオ(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
ハント高島(日本)

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【PFC31】平井総一朗とフライ級王座決定戦、黒石大資─01─「組み技は相当頑張りました」

【写真】平井は首都圏から。黒石は青森から札幌へ(C)MMAPLANET

19日(日)、北海道は札幌市北区のPODアリーナで行われるPFC31のメイン=PFCフライ級王座決定戦で、黒石大資が平井総一朗と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

青森県のスカーフィストでMMAを始めた黒石は2015年12月にパンクラス札幌大会でプロデビュー。その後は修斗から地元の青森県で開催されるGFC、ネクサスでも戦い、そして現在はPFCが主戦場となっている。そのPFCのベルトに挑戦する黒石に、ここまでの歩みを訊いた。


――本日はよろしくお願いします。次の試合に関するお話の前にお聞きしたいことが一つあります。黒石選手は2017年10月、WLF(武林風)に出場されていますよね。

「はい。あの時は8月に試合をする予定だったんですけど、大地震(シルツァデグ地震)で大会自体がなくなって……。本来は8月にやるはずだった試合が10月にスライドされるはずだったのですが、仕方ないですけど『8月なら出られるけど10月は出られない』という選手もいました。ウチの小倉卓也代表もそのパターンでしたね」

――そうだったのですね! これまで当時のことについては中西テツオ選手、新井丈選手から当時の話を聞いていました。その大会の話こそしていないものの木内SKINNY ZOMBIE崇雅選手にもインタビューしており、ここで黒石選手の取材になるとは何か不思議な縁だと思いました。

【参考】シルツァデグ地震とWLFについて
中西テツオ・インタビュー 
新井丈インタビュー 

「あぁ、なるほど! しかも中西選手と木内選手も今回、同じ大会で試合をするんですよね(※木内は早坂優留とストロー級王座戦、中西は澤口悠之介と対戦する)。すごく懐かしいいです。いろいろありすぎて、今となっては『楽しかったなぁ』と思います。

他の選手とは住んでいる場所も違うし、あの大会以降は会っていないのですが、今回の大会で懐かしい話になるかもしれません(笑)。久しぶりにお会いするので、自分も楽しみにしています」

――黒石選手にとっては、あの中国遠征がプロ4試合目になります。まずはMMAを始めた経緯から教えていただけますか。

「もともと僕はボクシングが好きで。ボクシングの経験がある友人がサークルのような形でボクシングを教えていて、僕もその練習に参加していたんです」

――最初はプロボクサーを目指していたのですか。

「いえ、プロになろうという意識はなかったです。ただ体を動かしたいっていう気持ちのほうが強かったです」

――そこからスカーフィストに入ったのも、運動目的だったのでしょうか。

「そうですね。ボクシングサークルの友人がスカーフィストの先輩たちと知り合いだったんですよ。僕も『総合格闘技をやってみないか?』と誘われて、行ってみてハマッたのがMMAを始めたキッカケです。あれは22歳ぐらいの頃で」

――それはまだスカーフィストが常設道場になる前ですか。

「今の常設道場に移る前――青森市スポーツ会館のレスリング場で練習していた頃ですね。スカーフィストの常設道場が出来たのが6年ぐらい前だったと思います」

――スカーフィストに入る以前は、MMAは観ていなかったのでしょうか。

「ほとんど観たことはなかったです。ボクシングやK-1のほうが好きでした。MMAが好きになったのは、小倉代表と会ってからですね」

――22歳の時ということは2015年ごろかと思いますが、2015年12月にはパンクラス札幌大会でプロデビューし、翌年7月には修斗でも戦っています。プロで試合をするまでのスピードは速かったのですね。

「先ほども言ったとおり、もともとプロを目指していたわけではないんですよ。でも練習しているうちに、アマチュア修斗の試合に出たくなって。出ていたら全日本アマ修斗で優勝したくなり――でも、その時もまだプロで試合をすることは視野に入っていなかったです。

段階を踏んでいった結果、2度目の全日本アマ修斗に出た時(2015年9月、バンタム級3位)、『やっぱりプロでやりたい』と思うようになりました(笑)。プロのライセンスも貰えたし、年齢も年齢だったので『ここはプロで試合をしてみよう』と」

――ボクシングから始めたということは、組みの練習を始めたのはスカーフィストに入ってからですか。

「はい。スカーフィストに入った頃は全く組み技の経験がなくて、アマ修斗に出始めた当初も打撃主体で戦っていました」

――当時のスカーフィストの選手といえば、「組み技を前提とした打撃」でガンガン行くというイメージが強かったです。しかも当時は組み技といえば柔術をベースにする選手が多いなか、スカーフィストの選手はレスリングベースだったと思います。ただ、黒石選手の場合は組み技の前提がなく……。

「そうなんですよ。すごく難しかったです。だから組み技は相当頑張りました。ジムでも『とにかくやれ!』という感じで(笑)。仰るとおり、僕が入った頃は組み技の練習といえばレスリングが中心でした。でも常設道場が出来てからは柔術クラスも始まって、今は柔術もしっかり練習できています」

■PFC31対戦カード

<PFCフライ級王座決定戦/5分5R>
黑石大資(日本)
平井総一朗(日本)

<PFCストロー級王座決定戦/5分5R>
早坂優瑠(日本)
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
亀松寛都(日本)
ジミー西将希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
渡辺トシキ(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
中島光陽(日本)
河永重春(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
澤口悠之介(日本)
中西テツオ(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
ハント高島(日本)

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【PFC31】19日は地方の日!! PFC31でフライ級王座決定戦、平井総一朗「何かピークを創っている選手に」

【写真】豪州のフィーダーショーも、北のJ-MMAも今の自分を出すことには変わりはない(C)MMAPLANET

19日(日)は地方の日!! 札幌でPFC31、青森県五所川原でGFCが4年振りに開催され、福岡ではBLOOM FC旗揚げ戦が開かれる。ここでは札幌市北区のPOD アリーナで行われるPFC31のメイン=PFCフライ級王座決定戦で黒石大資と対戦する平井聡一朗のインタビューをお届けしたい。
text by Takumi Nakamura。

今年2月に豪州#01フィーダーショー=ETERNAL MMAに参戦し、現UFCフライ級の注目株スティーブ・アーセグと対戦するという貴重な経験を積んだ平井。7月のPFC30では黒石に判定負けを喫したものの、当初予定されていた黒石×ザ・タイガー石井の王座決定戦がタイガーの怪我の回復が遅れてキャンセルとなり、ダイレクトリマッチという形で王座決定戦のチャンスが巡ってきた。

「これでいいのかなという葛藤もありました。ただその葛藤よりも前戦の自分へのリベンジもしたい」とオファーを受けた平井。アーセグ戦の経験、そして前回の黒石戦での悔しさをどう形にしてきたのか。王座戦を控える平井に話を訊いた。


――今回は黒石大資選手とダイレクトリマッチという形での王座決定戦が決まりました。平井選手にとってはリベンジもかかった一戦ですが、オファーを受けた時はどのような心境でしたか。

「負けたあとのオファーで、これでいいのかなという葛藤もありました。ただその葛藤よりも前戦の自分へのリベンジもしたいと思って試合を受けました」

──7月の黒石戦は振り返ってみて平井選手にとって、どのような試合だったと思いますか。

「黒石戦の前に豪州で試合をやって(※2月のETERNAL MMA73でスティーブ・アーセグに一本負け)、そこで感じた壁や差を少しでもなくすための準備をやってきて、それを出すんだという気持ちで乗り込んだ試合だったんです。でも思った通り自分の体が動いてくれない、イメージしていた試合ができなかったですね」

──その思うようにできなかったのは、自分の中では何が原因だったって感じていますか。

「ただ単に気負いがひどかったですし、勝って当たり前、当然のように勝つ、自分が何かしらでフィニッシュするというイメージでやりすぎてしまって、相手が自分に対してどう戦ってくるかのイメージが不足していたからだと思います」

──対戦相手よりも自分自身に対して課題があったということですね。

「もちろん相手の黒石選手が徹底して組み技の場面を作らせない作戦遂行力があったし、全体的にある程度レベルが高い選手というのも要因だと思います。ただ自分としては準備段階を含め、相手のことを想定した準備ができていなかったことが反省点ですね」

──今回はそこを踏まえて、何を意識して練習されてきましたか。

「その反省ももちろん活かしつつ、5分5Rやる可能性がある試合なので、いつも所英男会長が言っている『やりきる』をイメージして練習をしています。今まで5分2Rで決着をつけていたところが5分5Rで伸びることを考えると、陸上競技で言えば短距離。中距離種目から一気にフルマラソンになるぐらいの違いがあると思いますし、そのなかで『やりきる』ことを意識しながら取り組むことが出来たと思います。底上げを含めた総合力、打・倒・極全て繋がるような動き、そこを徹底的にやってきました」

──やはりラウンド数は試合展開に影響するでしょうね。

「5分2Rであれば、僕の場合は組めればなんとかなってきたところがあるんですけど、5分5Rになるということはスタンドや立った姿勢でどの程度イニシアチブを取れるか、前に出られるか、プレッシャーをかけられるかというのがポイントになると思います」

──しかも5分5R&ダイレクトリマッチというシチュエーションもなかなか経験できるものではないと思います。

「相手選手に対して一度対戦しているから『ここは大丈夫だ』、『ここはダメだ』というのはなく、僕の中では一度まっさらな状態にしました。ざっくりとしたイメージは持ちつつ、最終的には自分自身だと思っているので、今自分が持っているものを5分5Rの中でどれだけ出せるか。相手選手に対してというよりは、自分自身という感じですね」

──先ほど話にも出ましたが、2月のETERNAL MMA73では、のちにUFCに参戦するスティーブ・アーセグとの対戦でした。結果は一本負けでしたが、UFCレベルの選手と海外で戦うことは貴重な経験です。あの試合は平井選手に何をもたらしましたか。

「本当に自分にとってターニングポイントになったと思います。やはり海外遠征だけあって、スケジューリングもアバウトだったんですけど、そのなかでも割と平常心でいられたというか、そこまで動揺することなく、試合には臨めました。相手選手に対しても試合前にフェイスオフで向かい合った瞬間は『こいつなら勝てるぞ』と思って当日を迎えて、いざケージの中に入って相手と向かい合っている瞬間も、気持ち的にビビることがなかったんです。そのぐらい精神的・肉体的にいい状態でできた試合だったのですが、その上で何もさせてもらえないまま終わってしまったことが凄く悔しい部分で……。今はそこ(海外)を自分の目標、モチベーションとして、もう一回、ここからやり直すんだというきっかけになりましたね」

──あの試合をきっかけに格闘技に対する考え方や取り組み方は変わりましたか。

「変わりましたね。世界と視野が広がった感じです。それまでは国内での自分の立ち位置しか見えてなくて。大した立ち位置ではないんですけど、世界にはこういう戦いの場があるということを体感しただけでも、格闘技家としても人としても成長させてもらえました」

──それも踏まえて、平井選手は今どんな目標を持っていますか。

「先日もPFCのYouTubeライブでもお話させてもらったのですが、目の前の試合を一つ一つ勝つことですね。ただ、昨年末から一貫していることがあって、それは所会長を選手としてではなくて、コーチ・セコンドとしてRIZINに連れて行くこと。所プラスも選手が増えてきたのですが、自分の中では自分が最初に(所をRIZINに)連れて行くんだという想いがあります」

──先日所選手を取材した際、プロ選手&プロ志望の選手が増えてきてプロ練の時間を設けるようになったと話していました。

「僕がジム入った当初はプロの先輩が一人、プロ志望の選手が一人いただけで、基本的にプロ志向のジムではなかったんです。僕ももともと柔道をやっていたんですけど、プロを目指すというよりも、格闘技を楽しみたいと思って入会しましたし」

──そこからなぜプロを目指すようになったのですか。

「さっき話したプロ志望の選手=長野将大選手がデビューするかしないかのタイミングでジムに入って、僕が階級も近い&柔道経験者ということで一緒に練習させてもらう機会が多かったんです。それから練習だけじゃなく、セコンドにも入るようになって……そういうことの積み重ねと周りの期待もあって、自分も試合に出ようと思いました」

──そういったジムの歴史を知っているからこそ、所選手を“会長”としてRIZINのリングに立たせることには特別な想いがありそうですね。

「今までジムを引っ張り、担っていくのは僕じゃなくて、自分より先にジムに入っていた2人だったり、僕より下の世代の選手だと思っていたんです。もともと僕はプロ志望じゃなかったですし、僕より若い選手たちがドンドン上のステージに上っていってくれた方が、ジムが盛り上がるだろうなと考えていた時期もあります。でも自分の役割や役目を改めて考えた時に、今は自分がやらなきゃいけないなって発想が変わってきて。それであえて『所会長をRIZINに連れていきたい』と口に出して言うようにしました」

──その目標を達成するためにも、ベルトを巻くことが大きな前進になると思います。そのタイトルマッチに向けた意気込みを最後にいただけますか。

「まだまだ僕は目立つ選手でもないですし、特別何かを残した選手でもないんですけど、本当にこれから先、何かピークを創っていける選手になっていくので、是非注目していただけたらなと思います」

■PFC31対戦カード

<PFCフライ級王座決定戦/5分5R>
黑石大資(日本)
平井総一朗(日本)

<PFCストロー級王座決定戦/5分5R>
早坂優瑠(日本)
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
亀松寛都(日本)
ジミー西将希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
渡辺トシキ(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
中島光陽(日本)
河永重春(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
澤口悠之介(日本)
中西テツオ(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
ハント高島(日本)

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