カテゴリー
DEEP JEWELS30 Interview J-CAGE ブログ 前澤智 青野ひかる

【DEEP JEWELS30】青野ヒカルと現役最後の戦い、前澤智─02─「最後の試合で小娘に教えてやります」

【写真】毅然とした表情を見せるようになっていった前澤。MMAファイターとしての成長と自信がその背景にあったように思われる(C)MMAPLANET

31日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS30のメインとなるDEEP JEWELSアトム選手権試合で青野ひかるの挑戦を受ける前澤智インタビュー後編。

ネジが切れていないとMMAはできない──結婚を契機に人生観、そして格闘技観が変わった前澤が、最後の試合で戦う青野はキャリア6勝3敗、5歳年下のRIZIN女子世代のファイターだ。

藤井恵&辻結花世代後、女子MMAの谷間世代といえる前澤は、この新しい世代のチャレンジャーに対し、手厳しい意見を述べた。その言葉は青野の向けられるようでいて、自身のMMAを歩んできた歴史を肯定する言葉だった。

意地をもって、現役最後のケージに上がる前澤──MMAPLANETにおける現役最後のインタビューだ。

<前澤智インタビューPart.01はコチラから>


──挑戦者の青野選手。年齢的は5歳差ですが、前澤選手と纏っている空気が違うというか、今の女子MMAファイターという気がします。

「凄く楽しそうですよね。私は……なんていうんですかね、私が生きてきた格闘技界って黒部さん、SARAMIちゃんがいる世界だったんです。だから、なんか悔しいですよね。これぐらいのキャリアの選手に、負けて終わっちゃうと」

──アハハハハ。なんか、良いですね。そうやって食らいついてきたわけですしね。日陰者のプライドというか。その感性は大好きです。私がFight & Lifeで大島沙緒里選手のインタビューをしたら、パンクラスで会った黒部三奈&藤野恵実のBBAスタンバイ軍団、立ちんぼコンビから別々の場所で「大島さんのインタビューをしていましたよね。私がチャンピオンになった時、インタビュー無かったのに」って言われましたからね。

「良いですね(笑)。剥き出しですねぇ。本当に爽やかじゃないところが、本質というか。『この子、幸せなのか。不幸になっちまえ』っていうところがありますからね」

──アハハハハ。つまり、青野選手との戦いはそういうことなのですね。

「本当に何度も、何度も言われました。『女なのに格闘技?』、『何、目指しているの?』って。そんなこと、いちいち答えないといけないですか?  ベルトを獲って、皆を黙らせてやろうって想って青森から出てきたんです。

だから……最後の試合で、小娘にぶつけてやろうかなって思いますよ。格闘技は苦しさからスタートだぞって教えてやります」

──何をリア充やってんだと(笑)。

「そうそうそう。私は結婚して、格闘技とどっちも追いかけることができなかった。二兎追いかけて、どうにかなるほど格闘技は甘くない。2つとも獲れるかって。アハハハハ」

──凄く良いです。前澤選手、ドロドロしていて(笑)。

「これ、書いちゃいますか?」

──書かせていただきます。メチャクチャ良い言葉ですから。

「上手に当たり障りのないように書いてくださいね(笑)」

──よく言いますよ。これだけのことを言っておいて(笑)。

「ホントですよね。アハハハハ。やだやだ、また嫌われちゃいますね」

──20センチも背の高い、今やUFCファイターのコートニー・ケイシーとグアムで戦い、韓国ではイ・イェジの噛ませ犬として呼ばれて……。そんな環境で根を挙げず戦ってきた。その想いを全てぶつけてほしいです。

Road FCではイ・イェジにスプリット判定勝ちを収めた

「本当にそうですね。グアムも韓国もどっちも噛ませ犬で。アハハハ。でも私はRIZINでハム・ソヒ選手や浜崎選手と戦うことができました。ベルトまでの道のりはそれは厳しくて、辛かったです。

そのベルトを獲れたことで……ベルトを巻いていることが選手としての価値としてあって、RIZINで戦うことができました。世界で1番と2番の選手と戦えたことは、私の格闘家人生の宝物だと思っています」

──では最後の試合、何を見せたいですか。

「MMMAのAはArtのAです。何を見せるというのではなくて、自分の全て……自分を表現したいです」

──前澤さんが凄く強いとか、やはり記者として思うことは正直なかったです。でも、そこから立川で金原さんの指導を受けて、力をつけて結果を残すようになった。その金原さんの真骨頂は、何でもできる人ですがケージレスリングだと思ってきました。最後の試合がケージで、金原流MMAを勝手ながら見させていただければと思います。

「リングだと、そこは違ってくることもあるので、ケージで金原会長に仕込まれたモノを全部出したいと思います。青野選手はレスリングが強いのも知っています。でも、MMAって全部強くないとダメだし。弱い部分があっても、そこさえも咄嗟に使える判断力が必要です。

それこそが金原代表に教わった戦い方なので。そこは出したいと思っています!! 最後まで頑張ります」

■視聴方法(予定)
10月31日(土・日本時間)
午後5時45分~PPV SPWN

■DEEP JEWELS30対戦カード

<DEEP JEWELSアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 前澤智(日本)
[挑戦者] 青野ひかる(日本)

<フライ級/5分2R>
アミバ(日本)
栗山葵(日本)

<49キロ契約/5分2R>
KAI(日本)
さくら(日本)

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
國保小枝(日本)

<54.5キロ契約/5分2R>
ARAMI(日本)
伊澤星花(日本)

<49キロ契約/5分2R>
村上彩(米国)
須田萌里(日本)

<58キロ契約/5分2R>
ミッコ・ニルバーナ(米国)
ゆりな(日本)

The post 【DEEP JEWELS30】青野ヒカルと現役最後の戦い、前澤智─02─「最後の試合で小娘に教えてやります」 first appeared on MMAPLANET.

カテゴリー
DEEP JEWELS30 Interview J-CAGE ブログ 前澤智 青野ひかる

【DEEP JEWELS30】青野ヒカルとの防衛戦で現役引退、前澤智─01─「ネジがぶっ飛んでいないと……」

【写真】つまりは全てを投げうって、MMAに賭けていた前澤の8年間だった(C)MMAPLANET

31日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS30のメインで、DEEP JEWELSアトム級王者前澤智が引退試合で青野ひかるの挑戦を受ける。

TKO負けを宣せられ、前澤は無意識にケイシーに組みついていった

2012年9月のプロデビューから3連敗、星をイーブンに戻すとPXCで現UFCファイターのコートニー・ケイシーに惨敗、女子MMA谷間世代の常、SARAMI、黒部三奈と繰り返し対戦が続いた。

2018年12月にその黒部に3度目の対戦で初勝利し、ベルトを巻いた。その後はRIZINで世界の頂点とも対戦した前澤は、今年の元旦に入籍して新しい生活を始めた時、格闘技一色でない人生に巡り合った。

最後の試合を前に、引退に至った境地と最後の試合への想いを前澤に訊いた。


──MMAPLANETでは2014年のPXCや2017年のROAD FCなどで前澤選手の取材をさせていただいていて……あの頃にグアムで戦っていた選手が、次の試合で最後だということで、お話を聞かせてもらえないかと思いまして。

「ありがとうございます」

──そもそも引退というのは、いつ頃から考えていたのですか。

「引退は結構、前から……去年の10月に富松(恵美)さんと試合をする前後ぐらいに意識し始めました。ベルトを獲って(浅倉)カンナちゃんとJEWELSで、RIZINでハム・ソヒ選手と試合をさせてもらい──ベルトを獲った時は、防衛をしていこうと思っていたのですが、その直後に強豪選手と試合をさせてもらって……差を感じていたのも事実です。

それでも練習して挽回していけば良いという想いもあったのですが、そうこうしているうちに新型コロナウィルスの感染問題が世界で起こり……そこも含めてなのですが、その少し前に結婚をして……」

──おお、そうだったのですか。おめでとうございます。

「と、とんでもないです。ありがとうございます(笑)。今年の1月1日に入籍をして、コロナが起こり……色々と考える時間ができてしまったんですよね。今までは考えようと思っても練習の日々でしたし、ケガをしてもとにかく練習が第一でした。

それがコロナの期間に時間ができると、練習よりも大切にしないといけないモノや、怖いモノがあることが分かってしまって……その時に、普通の人間になってしまったんです」

──……。普通ではMMAなんて、できなかった? 

「ネジがぶっ飛んでいないと、私は自分の信じた道を征けなかったです。それが落ち着いてしまったことで、ネジがハマってしまって……正常な思考を持つようになって……」

──前澤選手は思い切り入り込まないと、できない感じの人のように感じていました。車の運転に例えるなら、バックミラーとか見ずに突き進まないと。

「アハハハ、本当にそうですね。フロントガラスしか見ていなかったのに、バック・モニターをつけちゃいました(苦笑)」

──結婚を機に、女の幸せも追求したくなりましたか。

「う~ん、女というよりも人間として──ですね。格闘技で勝つ以外に、楽しいことがあるんだなって。もう、そんな風に思った時点で私は戦うべきじゃない……あそこには上がるべきじゃないと思います」

──その気持ちは分かると言えば失礼なのですが、理解できるような気がします。実家の親御さんに引退することを伝えると、どのような言葉がありましたか。

「深く飲み込むように『そうか』って言ってくれました。うん、うん、うんって頷いて。私はもっと喜ぶのかと思っていたのですが、深く理由を聞くこともなく。そういう感じでしたね」

──あぁ親御さんの想いは、自分も3人娘の父親として選手の気持ちより分かります。前澤さんが一生懸命やってきたことですから、反対・賛成ということがあっても、懸命にやってきたことから離れるのはもう尊重して頷くしかない。そこに意見することなんて、なかったんだと思います。

「あぁ、そういうモノなのですか……親は。でも、そうですね、回りが何を言ってもやってきたことなので……」

──だからこそ引退を決めてから、戦う気持ちを創ることは難しくなかったですか。

「そこは金原代表も言ってくれているのですが、私はヨーイドンで喧嘩ができる人間なんです。なので、最後のタイトル戦──魅せてやりたいって思っています。

最後だから、これまで以上に練習をしてきた部分もあります。後悔はしたくないので、センチメンタルにはならないでやってこられています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
10月31日(土・日本時間)
午後5時45分~PPV SPWN

■DEEP JEWELS30対戦カード

<DEEP JEWELSアトム級選手権試合/5分3R>
[王者] 前澤智(日本)
[挑戦者] 青野ひかる(日本)

<フライ級/5分2R>
アミバ(日本)
栗山葵(日本)

<49キロ契約/5分2R>
KAI(日本)
さくら(日本)

<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
國保小枝(日本)

<54.5キロ契約/5分2R>
ARAMI(日本)
伊澤星花(日本)

<49キロ契約/5分2R>
村上彩(米国)
須田萌里(日本)

<58キロ契約/5分2R>
ミッコ・ニルバーナ(米国)
ゆりな(日本)

The post 【DEEP JEWELS30】青野ヒカルとの防衛戦で現役引退、前澤智─01─「ネジがぶっ飛んでいないと……」 first appeared on MMAPLANET.