【写真】互いにノンストップの好勝負を船田が制した(C)MMAPLANET
<ストロー級/5分3R>
船田侃志(日本)
Def.3-0:30.27.29-28.29-28.
野田遼介(日本)
※詳細は後ほどアップします
【写真】互いにノンストップの好勝負を船田が制した(C)MMAPLANET
<ストロー級/5分3R>
船田侃志(日本)
Def.3-0:30.27.29-28.29-28.
野田遼介(日本)
※詳細は後ほどアップします
【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET
本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike
3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。
「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。
――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。
「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。
「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」
──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。
「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」
──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?
「ないです」
──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。
「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」
──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。
「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」
──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。
「一発KOです」
──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。
「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」
──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。
「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」
──練習場所が所属名になったわけではないですよね。
「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」
──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。
「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」
──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。
「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」
──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。
「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。
土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」
──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。
「やばいですよね(笑)」
──その原動力は何なのでしょうか。
「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」
──そうですよね。
「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」
──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。
「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」
──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。
「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」
──それは右ストレートですね(笑)。
「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」
──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。
「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」
──刹那的ですね。
「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」
──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。
「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」
■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT
■Pancrase347 計量結果
<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ
<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ
<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ
<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ
<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ
<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ
<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ
<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ
<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ
<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ
<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ
<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
本田良介(日本)
Def.3-0
野田遼介(日本)
サウスポーの本田に対し、野田が左ロー、関節蹴りを繰り出す。右前蹴りも見せた野田に、本田は左ミドルを入れる。互いにハイを見せると、野田は内回し蹴りからワンツー、そしてスリー&フォーとコンビを繰り出す。右ジャブ、左フックを返す本田は、左ストレートをヒットさせる。さらにワンツーで前に出てきた野田にカウンターのワンツーを決めダウンを奪うと、試合はグラウンドへ。フックガードの野田に対し、本田は腰を上げてパンチを落とす。野田はクローズドを取るが、本田は鉄槌を打って野田をロープ際に追い込むと力強いパンチを連打していく。
ブレイク&頭を中に向けて試合がリスタートすると、本田はハイガードに足を抜いてパスを仕掛ける。潜りからシングルの野田にエルボーを落とし、ギロチンに捕えた本田はマウントを奪取、そのまま背中を反り反転する。野田も足を抜いて回転してエスケープ──直後にラウンド終了となった。
2R、野田の蹴りに、ワンツーを放つ本田。野田も右を返すが、前蹴りに左を受ける。野田は左ハイをキャッチされると、引き込んで足関節。トップ狙いに切り替えつつ、本田をスクランブルに誘い込みギロチンへ。頭を抜いた本田が、トップを取る。ラバーガードからエルボーの野田は、四角狙いも本田は頭を抜いて足を一本超える。野田はクローズに戻すが、本田は枕から左足を抜く。ハーフで殴られる野田は、バタフライガードからクローズドを取り直す。手首を取れない野田は鉄槌を落とされ、腕十字も察知される。
しかし、本田が十字の対処で胸を張って顔面ががら空きになったところで野田はパンチを下から打っていく。さらに鉄槌を続ける野田だったが、ヒザを突き出され腕十字は不発に。残り30秒、レフェリーがブレイクを命じ試合がスタンドに戻る。ここでワンツーを放った野田は、本田のスピニングバックキックにも連打を狙って前に出た。
最終回、2R終盤にはやや疲れたみえた本田だが、敢えて息を整えていたのか。──序盤の動きが気になるところだ。と、劣勢でも動きが止めない野田はミドルからボディにコンビ、続いて顔面にもワンツーを入れる。手数と勢いで圧される本田だったが、野田の頭が口に当たり試合が中断。
再開後も勢いをつけて前に出る野田が左を当て、シングルへ。すぐに離れた野田は右ハイ、そしてボディから顔面にロングフックを伸ばす。野田は飛び込んで右を当てると、本田も右リードフックを返す。それでも前進を続ける野田が、頭から飛び込むように右オーバーハンドを繰り出す。かわした本田が左ミドルも、右から左を打たれる。ハイ、ワンツー、ボディ、さらにアッパーと手数が減らない野田が、左フックを被弾する。直後にテンカオを2度繰り出した野田は、パンチで本田を下がらせる。その本田は額をカットしており、またも野田の頭が当たる。
2度目ブレイクの間、コーナーで座る野田も疲れてきたか。それでも左、右を当てて前に出る野田がシングルレッグへ。本田のギロチンに背中をつけた野田は、ハーフで下になってしまう。本田はワキ差しパスからマウント奪取、パンチを連打する。背中を見せ、すぐに上を向いてエスケープを図る野田を殴り続けた本田が、最後の攻勢で勝利を決定的に──。ウィナーコールは、リョースケ・ホンダ。本田良介がONE FFの戦績を2勝1敗とし、野田は初陣を落とした──両者の熱戦だった。
【写真】7カ月の長女、波瑠花(はるか)ちゃんと (C)SHOJIRO KAMEIKE
30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights65に野田遼介が出場し、本田良介との日本人対決に臨む。
Text by Shojiro Kameike
野田といえば、そのアグレッシブなスタイルからは想像できない高音ボイスの持ち主だ。今回ONE初参戦ということでインタビューしたところ、その高音ボイスの話なんて簡単に吹っ飛んでしまう衝撃的なエピソードが次々と出て来る――生粋のファイターだった。
――現地到着直後にインタビューを受けていただき、ありがとうございます(※取材は28日、夜に行われた)。リモート画面が繋がった瞬間、お子さんが映って驚きました。ご家族と一緒にタイ入りしているのですか。
「はい。妻がセコンドに就くので、子供も連れてきました。妻は悠花というリングネームで、パンクラスで1試合やっているファイターなんです」
――そうだったのですね! 今回はONE初参戦で本田良介選手と対戦することとなりました。試合が決まったあとにSNSで、ご自身が現地でタイ人に間違われないか心配されていましたね。タイ人っぽいルックスということで……。
「先ほどタイの空港に着いて飛行機から降りる時に、ゲートが二つあったんです。一つは外国人用のゲートで、もう一つはタイ人用ゲートと、妊婦さんや小さな子供連れの家族優先のゲートが一緒になったものでした。すると僕たちは真っ先に後者のゲートへ案内されて……。その理由が、僕たちが小さい赤ちゃんを連れていたからなのか、タイ人と思われたのかが今も分かりません(笑)」
――アハハハ! 小さいお子さんを連れて帰国したと思われたのかもしれません。いずれにせよ、のっけから最高のエピソードです。ところで野田選手は三重県出身なのですよね。
「三重県尾鷲市という、どちらかといえば和歌山や奈良に近い場所です」
――地元の尾鷲市で格闘技を始めたのですか。
「初めて触れた格闘技は少林寺拳法と柔道で、それが高校に入ってからでした」
――なぜ高校に入ってから少林寺拳法と柔道を始めようと思ったのでしょうか。
「中学3年生の時に受験勉強をしていた当時、テレビ番組の『アメトーーク!』が好きだったんですよ。そのなかで『グラップラー刃牙芸人』の回がメチャクチャ面白くて。一緒に視ていた姉が翌日に『グラップラー刃牙』を全巻買ってきて。受験勉強しながらチラチラ読んでいたら、世界最強の男になりたいと思い始めました」
――お姉さんも最高です! ただ、刃牙といえばシリーズ全体を考えても、当時かなりの巻数が出ていたと思いますが……。
「100巻ぐらいはあったと思います」
――凄い!!
「あと僕はもともとオタクというかアニメや漫画が好きで、長島☆自演乙☆雄一郎さんのことは知っていたんですね。ちょうど世界最強の男を目指し始めた年の大晦日に、自演乙さんと青木真也さんの試合があって。その試合から格闘技を見ていくうちに、青木さんの戦い方が好きになり、青木さんの影響で高校から柔道を始めました」
――もはや運命としか思えない展開です。MMAを始めたくても周囲にMMAをやる環境がなく、高校から少林寺拳法と柔道を始めたということなのでしょうか。
「正確に言うと、やっぱり刃牙の影響が強かったんです。まずは喧嘩に強くなりたくて……、結局は今まで一度も喧嘩をしたことがないんですけど」
――アハハハ、エピソード一つひとつが最高です。そもそも刃牙も喧嘩の話ではないですし。
「そうなんですよ。刃牙を読んでいると、目突きや金的がない戦いでは強さを証明することにはならないと感じました。そんな戦いに一番近いのは少林寺拳法だろうと」
――少林寺拳法には目突きと金的蹴りの攻防と練習がありますからね。
「たまたま町道場で少林寺拳法をやっている友人がいたんですよ。その友人と格闘技ごっこをしている時に、少林寺拳法の技で組み伏せられて。『これは強い!』と思って少林寺拳法を始めました。その少林寺拳法と並行して、高校は柔道部に入りました。
でも本当に格闘技が楽しすぎて、全然勉強しなくなってしまい――高校では赤点ばかりになりました(苦笑)。そこからいろんな格闘技を見ていくようになり、現代で一番強いのはMMAだと思って、MMAに移行していったんです」
――なるほど。ではMMAのために上京して、アライアンスに入門したのですか。
「はい。大学に入った年の夏休みに、プロ志望としてアライアンスに入門しました。表向きは大学進学のための上京ですが、実はMMAジムに通いやすい場所にある大学を探したんです。そんな不純な動機では、親に聞かれたら怒られるかもしれないですけど……。全ては『アメトーーク!』のせいです(笑)」
――野田選手の特徴といえば、綺麗な右ハイというか右の廻し蹴りと、現代グラップリングがマッチした試合ぶりです。あの右廻し蹴りは少林寺拳法で培ったものですか。
「特に少林寺拳法の蹴りというわけではないのですが、MMAを始める前に蹴りの基礎はあったとは思います」
――ではグラップリング技術はいかがですか。あまり柔道らしくない寝技といいますか。
「関係あるかどうかは分からないのですが、柔道時代は全く立ち技をやらない選手でした。柔道は小中高でルールが違います。小学校は絞技と関節技が反則で、中学校から絞技、高校から関節技が認められます。高校から始めた僕は、子供の頃から柔道をやっている選手に立ち技では勝てません。すると高校から認められる関節技で勝つしかない。だから高校で立ち関節とか狙っていました。体重を浴びせて極めなければ反則ではないので。
さらに抑え込みではなく関節技を極めるために寝技に引き込むスタイルを、柔道時代からつくり上げていたんです。柔道部では立ち技の練習がメインになっているなかで、僕はネットでエディ・ブラボーや柔術の動画を視てラバーガードやスパイラルガード、今でいうリバースデラヒーバを覚えていました」
――立ち技を重視しないスタイルでは、柔道部内で怒られませんか。
「怒られるというか、嫌われていました(苦笑)。合同合宿でも強豪校の選手に投げられまくるんですけど、寝技になると水を得た魚のように動きまくるので……。ただ、それはMMAのためだけではなくて。柔道をやるのは高校3年間だけだと決めていました。だからこそ、どうにか柔道で結果を残したい。柔道で勝つために自分のスタイルをつくっていました。
その面ではMMAをやるためにアライアンスに入ったことは良かったです。アライアンスって、選手によってスタイルが十人十色じゃないですか。ストライカーもいれば、藤井伸樹さんのようなグラップラーもいて。他のジムだと、それぞれジムのスタイルがありますよね。でもアライアンス代表の高阪剛さんは、選手の個性を尊重してくれるというイメージを持っていたので、アライアンスに入ろうと決めました。実際にジムでは高阪さんが個々のスタイルに合わせて戦術や戦略を考えてくださいます」
――他の選手とは違うスタイルを受け入れてくれるジムと出会うのもまた運命かもしれません。野田選手は2017年にパンクラスでプロデビューして4連勝後、ONEジャパンシリーズに出場しています(木内SKINNY ZOMBIE崇雅に1ラウンドKO負け)。当時からONE出場を目指していたのでしょうか。
「そうです。でもあの時に負けて、まずONE出場から後退してしまいました。さらにパンクラスでも山北渓人選手と八田亮選手に負けて——なのに今回ONEと契約することになるのは意外でした。ONEからオファーをもらえるとは思ってもみなかったです」
――そのONE初戦がまさか本田選手との日本人対決になるとは、こちらも想像もしなかったです。
「こういうことを試合前に言うと変かもしれませんが――本田選手のことがメチャクチャ好きなんです。相手に何もさせず制圧する。判定3-0で相手に1ポイントも与えない。そんな完全なドミネイトこそ一番強い勝ち方だと思っています。僕が目指すそんなMMAを完成させているのが本田選手ですよね。
昔、ジムの先輩から言われたことが今でも印象に残っているんですよ。『1ラウンドでKOされても、また次やってやろうと思う。でもフルラウンド塩漬けにされたら、もう一回戦いたいとは思わない』と。その言葉に影響を受けていて、完全に自分のほうが強いということを相手に見せつけたい。本田選手はそれができるファイターなんだろうと思います」
――確かにパンチを振り回す打ち合いの中でKO決着が生まれるよりも、15分もの間相手を抑え込み何もさせないほうが強さを感じる場合もあります。ただ、野田選手と本田選手では体型もファイトスタイルも異なりませんか。
「そこは僕なりのドミネイトというものがあります。ただ、理想のスタイルがあるわけじゃないんです。この○○の技、××の技というふうに技術で分かれていますね。……名前を出すと失礼かもしれないけど、あえて言えば佐藤将光さん。何でもできて、選手によってスタイルを変えることができるファイターが理想です。
たとえば山北選手と八田選手は、どちらも寝技が強いですよね。でもトップから強い山北選手に対してはボトムから勝負して、ボトムからが強い八田選手にはトップから勝負しました。どちらも結果は負けてしまいましたけど、それが僕の理想とするMMAなんですよ。自分の得意なものをぶつけるのではなく、相手の得意なものを潰すという考え方のほうが大きいですね」
――柔道時代と同じようにMMAでも対戦相手から一番嫌がられるタイプかもしれません。
「アハハハ! でも一番嫌がられるということは、一番強いということですよね。ONEでも、そんな強さを求めていきたいです」
■放送予定
5月31日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT
【写真】実績では本田が上。野田が挑むという形の試合だ。その野田、勝利者インタビューでの声、話し方、マイクの持ち方が印象深い(C)MMAPLANET
30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 65で本田良介×野田遼介という日本人ストロー級対戦が組まれている。
Text by Manabu Takashima
ムエタイ、MMA、そしてグラップリングと毎週のように日本人選手の試合が組まれているONE FFのMMAで、ついに同朋対決が組まれることとなった。
タイガームエタイ所属の本田は昨年12月にONE FFデビューを果たしデヴィッド・バンギギに判定勝ちも、3月に本戦級の力を十分持つサンザール・ザキロフにTKO負け。以来の再起戦となる。
パンクラス一筋、パンクラス代表としてONE Japan Seriesで修斗との対抗戦に出場経験のある野田は山北渓人、八田亮に敗れたのち昨年7月に植松洋貴を初回パウンドアウトして以降、初の実戦となる。
当初、野田は昨年12月と今年の3月にGladiatorに参戦したイ・スンチョルと対戦という話も伝わってきていた。イ・スンチョルはGladiatorフライ級トーナメント1回戦でツェルマー・オトゴンバヤルにマウントパンチでTKO勝ちも肩を負傷し、トーナメントから離脱していた。
聞くところによると、この試合でフライ級とのフィジカル差を痛感し、当初の予定通りONEストロー級を目指すことをイ・スンチョル陣営は決めたという。それでも負傷の回復待ちで、野田との試合は流れた。その結果、本田×野田のリョースケ対決in ルンピニーが組まれることに。
修斗ストロー級からDEEPフライ級でキャリアを積んできた本田と、パンクラス・ストロー級戦線を粘りの極め系ファイトでわかしてきた野田の顔合わせ。心情的にバンコクでの人材発掘&育成大会で日本人対決の必要性はあるのかと考えてしまうが、戦う当人とっては場所や国籍など関係ない。本戦契約に突き進むために、ただ星を落とすことができない従来通りの試合となる。
【写真】相変わらず、ド天然な元気っぷりを見せていた万智。悪霊に憑りつかれると思うほど、前回の敗戦は精神的にダメージがあったという(C)MMAPLANET
26日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS45でDEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦=パク・シウ万智が行われる。
Text by Manabu Takashima
コロナ期より日本をターゲットにトップファイターを目指してきたパク・シウに対し、昨年11月にキャリア1年で同王座決定戦に出場し松田亜莉紗に敗れた万智。
あれから半年を経て万智はさらに天然振りを発揮し、天賦の才を磨いてきたのか。その言葉では、想像もつかない今の万智──だが、とにかくインタビューでは絶好調さとハードな練習振りが伝わってきた。
――日曜日にパク・シウ選手と暫定ストロー王座決定戦です。その前に昨年11月の松田亜莉紗選手とのタイトル戦、スプリット負けという結果に関してですが……コールを受けた時、どのように思いましたか。
「勝ったと思いましけど……もう、ねぇ……」
──口が曲がっていますよ。
「アレは勝っていました、万智が。だから、ポカーンと夢みたいですよね。ドミさん(弥益ドミネーター聡志)も試合後、コーナーで凄く喜んでくれていて。梅田(恒介)さんは微妙な顔をしていました。でも、試合後に映像をチェックして『勝っていた』と……。『角度の問題だ』って。万智のヒジが当たったのと、相手のストレートが当たったのと。相手のセコンドも万智が勝ったと思っていたように見えました」
──万智選手が勝っていたという意見は少なくないですが、勝った松田選手には何も非はなく。松田選手陣営は、勝ったことを否定する必要はないですし。
「そうですね。まぁ向うはラッキーで、こっちはラッキーじゃなかったということですよね(笑)」
──その敗北をすぐに消化できたのでしょうか。
「あのう……皆には『落ち込んでいない』って言っていましたけど、結構引きずっていました……。練習にいっても、やる気を失って続けていた感じで。あの試合に集中して、その後のことも何も考えないぐらいだったので。でも、皆だって万智が勝ったと言っていましたよ……」
──勝ったと思った試合を落としたことで、何か学んだことはありましたか。
「もっと攻めないといけないな、と。あれだけコントロールしていたけど、判定負けするってことは。フィニッシュを目指さないといけないと思うようになりました」
──まだ不満そうですね(苦笑)。
「でも、今回タイトルを掛けてまた戦うことができるので」
──この試合が決まったのはいつぐらいだったのでしょうか。
「実は3月大会にもオファーがあったんです。あの時は古傷の具合が良くなくて、パクちゃんと戦うには……。なので5月にしてもらったんです。ただ3月の時は、タイトルは掛かっていなくて日韓戦のような感じで組まれていたんだと思います。結果、ラッキーだなって(笑)」
──その辺りで吹っ切れたようですね。
「もう、やる気満々になりました。タイトル戦の前から、次にやるのはパクちゃんだっていう空気だったので。でも、試合が正式に決まった時から、気持ちが入りました。なんか、呪われているなって思っていたんです。練習は好きだから続けていても、やる気がでない。身が入らないから、悪霊に憑かれている。絶対に何かがいるって」
──そろそろホラー系になってきましたね(笑)。
「真剣にそう思って、お祓いにも行きました!!」
──えっ……。絶句です。
「でも、何も変わらないから(笑)。呪いじゃなかったです。アハハハハ、試合が決まったらめっちゃやる気が出て」
──いや……。
「そうなんです。試合がないから、目標を見つけることができなくてやる気が起こらなかっただけで(笑)。もう、決まってからはやる気満々です」
──パク・シウ選手とは練習仲間でもあったので、練習環境を変えないといけなかったのではないですか。
「そこはパクちゃんが、52キロ級に上げたことで練習をしなくなっていました。マスタージャパンの金曜日の練習に行くのも止めて。JTTに行くようにしたのですが、(伊澤)星花ちゃんが所属になったので、JTTにも気まずくて行けなくなって。金曜日の朝は急いで宇都宮に帰って、正午からZEROでムエタイの練習をするようになりました」
──急いで、というのは?
「木曜日は東中野のトイカツ道場で練習をしてから、中野の友達の所に泊まっていたんです。次の日はマスタージャパンの練習があったので。でも、パクちゃんが韓国に戻ったので、またマスタージャパンでの練習を再開しました」
──とはいえ、マスタージャパンの女子練習で一緒の藤野恵実選手も同じストロー級ですよね。
「ハイ。試合をするとなったら……。藤野さんが修斗のチャンピオンになったことはめっちゃ嬉しいです。ヤバいぐらい嬉しかったです。でも、戦うとなったら調整が必要になるかと思います」
──現状の練習のルーチンは、どのようになっているのですか。
「月曜日は佐野のグロリアMMAでグラップリングとムエタイ。火曜日はここ(アライアンス)。水曜日が手塚(裕之)さんのところと、那須のクロウフォレスト。もうクロウフォレストの練習大っ嫌いです。みなにボコボコにされて……」
──そこも、つまりは……。
「ハイッ!! それだけ良い練習をさせてもらっていることなんですけどね(笑)」
──押忍。そして木曜日は?
「八丁堀で津田(勝憲)さんのパーソナルでミットを持ってもらっています。それから東中野ですね。金曜日が今はマスタージャパンと、土曜日がパラエストラ松戸、IGLOOからゼロです。そして日曜日がマスタージャパンの女子練習です」
──休息日は無しですか!!
「若いんで(笑)。ヤングですから」
──ヤング……。
「アハハハハ。でも一部練習の日もあるので、休めてはいます」
──なるほど……なのか……。これだけ色々なところで練習をしていて、対策などを立ててくれるのは梅田さんなのですか。
「ハイ、そうです。あとドミさんもセコンドに就いてくれるので。手塚さんも……手塚さんは声出し係ですけど(笑)」
──アハハハハ。ともあれパク・シウ選手は大変な相手です。
「私も大変だと思っています」
──?
「私もパクちゃんからすれば、大変だと思います。差はないです。過去一番強いです。でも、皆が『パクちゃんは大変な相手』と思っていることは分かります。昔、練習でボコボコにされていたし。
でも、パクちゃんも警戒していると思います。女だから、差はそんなにない。同じ性別だし、男の人と試合をするわけじゃないので」
──女子練習以外は男の選手との練習が、今も主なのですね。
「ハイ。多いです。あとはマスタージャパンでチィちゃん(澤田千優)と。チィちゃんがジヒン・ラズワンとやるまでは水曜日はパンクラスイズムで一緒にやっていて。移籍したので、マスタージャパンでやるようになって……今、一番の練習パートナーです。チィちゃんとは打撃有りで、マ~ジでガチスパーをやっていて。マジでヤバいです。力は凄くあるし、凄く良い練習になっています」
──とはいえパク・シウ対策という面では、ストライカーとの練習も大切になってくるかと思うのですが……。
「対策練習はやっていないです。自分のやることをやっているので。それをいくつかのパターン持っていて、得意なことを伸ばしているのですが、打撃の練習も頑張っているので。コンビネーションも皆に褒めてもらっています。
MMAの打撃が上手くなっているっていわれます。ゼロでムエタイをしたこともいきて、津田さんのミットでMMAの打撃が伸びている。だから組みばっかりパクちゃんが警戒してきたら、打撃だけで戦っちゃうかもしれないですよ(笑)。テイクダウン前もテイクダウン後も、めっちゃくちゃ考えるようになっているので。組みのパターンも増えて、際を頑張れるように。
その部分ではIGLOOでの練習も凄くタメになっています。(山田)海南江さんには、メチャクチャにやられて。自分が何も考えられないぐらい、やられているんですけどね(笑)。クルクル回されて──その技を、教えてくれるんです。寝技では一番の練習をしてくれています」
「足関節は得意です。MMAでは使ってこなかっただけで(笑)。足関はメッチャ得意ですっ!!」
──すごいドヤ顔ですね。過去最強バージョン、期待が高まってきます。
「そうなると思います。練習でやっていることを、試合で出すことができれば」
──そのために必要なことは何になると思っていますか。
「気合い」
──体言止めですか(笑)。
「気合いです。根性、気持ちです。そこがあればデキる。パクちゃんは10年振りのタイトルマッチらしくて……あんなに強いのにチャンスがなかったから、ここに掛けてくる想いが強いと思います。
でも私はタイトルマッチを前の試合で経験して、しかも負けているから失うモノがないチャレンジャーの気持ちで戦えます。思い切りいくだけ。だから気合いと気持ちで頑張ります」
──勢いがそのまま言葉になっているように感じます。
「実は『稲妻メンタル』を読んで、メンタルを鍛えてきました!!」
──鈴木千裕選手の?
「ハイ。書いていることは当然のように参考になります。同時に元気過ぎて、一気に読めない(笑)。元気過ぎて、こっちがやられてくるので、精神面のスタミナ強化になっています(笑)。でも、練習で疲れて元気がない時に読むと鈴木選手の『気合いッス』っていう言葉で元気になれるんです。で、気合いが入って来る。鈴木選手はもうこれだけ実績を残した。私は何もない。こんなままじゃヤバい。だから気合いッス!!」
──浜口京子さんに見えてきました。
「似ているって言われています(笑)」
──元気な万智選手であることは間違いないようです。では、最後に改めてパク・シウ戦について意気込みの方をお願いします。
「色々な場所で、色々な人達にサポートをしてもらっているので、皆に感謝している気持ちを持ってパクちゃんと戦います!!
SARAMIさんがパンクラスを獲った。藤野さんが修斗を獲った。次は万智がDEEPを獲ります。パクちゃんが勝っても、もう星花ちゃんが戦いたいってならないから、タイトルを返上しちゃうと思うんです。だから万智が暫定チャンピオンになって、星花ちゃんと統一戦をします」
■DEEP Tokyo Impact2024#03視聴方法(予定)
5月26日(日)
午後5時20分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、サムライTV
【写真】この気迫から試合後のギャップよ……(C)MMAPLANET
<ウェルター級/5分3R>
野田遼介(日本)
Def.1R3分18秒 by TKO
植松洋貴(日本)
【写真】名田が計量を無事パスした時には、約開始から2時間──午後1時58分になっていた (C)MMAPLANET
明日9日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase335&336の計量が8日(土)、新宿区の新宿サンエービル会議室で行われた。
昼夜2本立ての明日のイベントの計量は335大会が正午から、336大会は12時50分から始まったが、共に1度目の計量で体重をオーバーする選手が現れた。
それでも336大会で川北晏生と対戦する高城光弘と、335 大会でRyoと戦う名田英平は時間内の再計量でパス。しかし、前田浩平の相手ジョセフ・カマチョは「僕もグアムに行った時は減量が大変でした。落とせること信じています」という前田のエールも届かず、時間内にパスできずに契約体重マッチとなった。
■計量パス後、それぞれマイクで意気込みを語るというなかで段取りとして「直接、対戦相手にマイクを渡すのが嫌な場合は、こちらに変えてしてもらってそれを渡します」という説明がなされていたが、336大会のメインの田中路教がシンディレ・マネンゲラにしたように、殆どの選手が直接マイクを対戦相手に手渡していた。
■その田中のセコンドとして、計量会場を訪れた盟友・中村優作は「やっぱり南アフリカの人は蛍光灯に弱くて、部屋の中ではサングラスをしてるんですかね」とボケなのか、本気なのか分からない一言を吐く。
さらに「選手はマイクを自分から要求することはできません」という審判団の説明を受けて、計量終了後に「セコンドはマイクを要求して良いんですか」と質問し、またもスベる。それでも慈悲深い梅木良則氏より「退場してもらいます」と返答を貰っていた。
そんな男どアホウ中村は大阪市阿倍野区にある洪游會本部道場で、日本拳法家をMMAファイターに育てるべくチーム・ファウストを結成し、7月30日のDEEP大阪大会に角野晃平がプロ2戦目に挑むなど、団体の枠を超えた若い選手の育成に乗り出している。
■今やメディアの前にすっかりと姿を見せなくなった平田樹も、立川大会の計量と同様に兄・直樹の共に計量会場に。再び海外での練習が予定されているなか、現状はトライフォースでトレーニングをしているという。
■ライカと戦うプロレスラーのNAGIは、計量をマスク着用で無事終えた。
明日の試合では当然のように素顔で戦うことが、審判団より確認されている。
■パンクラス2戦目=大塚智貴戦を控えた松井斗輝は「この試合で勝って、次、タイトルに」と宣言。その松井は明らかに体が大きくなり、より組み技有りのMMAファイター・ボディとなっていた。「サポートを受けフィジカル・トレーニングを取り入れた効果」と鶴屋浩パラエストラ千葉ネット代表の弁。松井が狙うタイトルは鶴屋怜が保持しているが、パラ千葉ネットのベストストーリーは鶴屋がRoad to UFCで優勝してベルトを返上、そのベルトを松井が取る獲るというものだ。
■Pancrase335視聴方法(予定)
2023年7月9日(日)
午後12時30分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、TIGET, ABEMA プレミアム、U-NEXT
■Pancrase336視聴方法(予定)
2023年7月9日(日)
午後5時15分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、TIGET, ABEMA プレミアム、U-NEXT
■Pancrase336計量結果
■Pancrase335計量結果
The post 【Pancrase335&336】計量終了 中村優作滑りまくり──パンクラス計量会場で見聞きした、よもやま話 first appeared on MMAPLANET.【写真】互角の展開が続いたが、この三角絞めからの攻防が勝負を分けた(C)MMAPLANET
<ストロー級/5分3R>
八田亮(日本)
Def2-1:29-28.29-28.28-29.
野田遼介(日本)
サウスポーの八田が距離を取る。フェイントから距離を詰める野田。下がりながら左ミドルを繰り出した八田に対し、野田はブロックして左ジャブを突く。八田はロー、さらに左ストレートを当てた。左の蹴りを散らす八田はサークリングを続ける。オーソドックスにスイッチしつつ右ストレートを狙った八田、野田もパンチを打ち返す。八田の左ローをキャッチした野田、八田はすぐに離れた。
遠い距離から飛び込んだ八田のシングルレッグをスプロールした野田だが、八田が飛びつき右腕を回してギロチンへ。ケージ際で背中を着けて絞り上げる八田。野田はボディにパンチを打ち込みながら、八田の右腕をはがした。残り1分で八田が足を上げてくる。野田はトップをキープ、パンチを上下に散らし、八田の足を振りほどいてパウンドを連打した。ジャッジは2名が10-9で八田、1名が10-9で野田につけている。
2R、初回と同様に八田が距離を取る、八田の左ローに右ストレートを合わせた野田。八田も下がりながら左ストレートを当てる。野田は八田にケージを背負わせてパンチで攻め立てる。八田は右ジャブ、そこに野田が右ハイを繰り出した。八田は左右の蹴りを散らして、けん制する。
ケージ中央で、野田の二段蹴り気味の右ハイが当たる。八田は蹴りでけん制するも、クリーンヒットはローのみ。野田が八田の左ストレートをブロックする。互いのパンチが交錯し、組んだ野田が八田をケージに押し込むも、八田が離れた。追う野田はパンチを効かせる。八田は右テンカオから左スイングフックに繋げるも、クリーンヒットせず。野田は八田の右ジャブに右ハイを合わせ、右ストレートと右ハイで相手を追い立てて2Rを終えた。ジャッジは3者とも野田に10-9をつけた。
最終回、展開は変わらず野田が距離を詰め、八田が距離を取る。野田が右ストレートを伸ばした。ここで八田がダブルレッグへ。これをスプロールした野田に対し、八田はハーフガードの体勢に。もぐりたい八田、野田は右腕を差し上げながら、左足のニースライスでパスを狙う。ここで八田が野田の足を取ってスイープし、さらに右腕を抑えながら野田を三角絞めで捉えた。八田は固めたまま相手の側頭部に右ヒジを突き刺す。
この三角絞めを凌いだのだがトップをキープ。潜ってきた八田の頭を抱えるも、八田がスイープに成功する野田はオモプラッタへ。相手の右腕を取ってパンチを上下に散らす。野田はオモプラッタを解いて八田の左足にアンクルロックを仕掛けるも、これを外した八田がトップをキープ。ハーフガードの野田に鉄槌とパウンドを落とし、立ち上がる野田のバックに回る。しかし振り落とした野田がグラウンドでパウンドを連打して試合を終えた。
ジャッジ3者とも最終回は八田に10-9をつける採点結果で、八田がスプリットで判定をものにした。勝利した八田は「ストロー級でイキの良いゴリラと戦いたい」と、これは国際戦のアピールなのか。第1部メインのストロー級KOPCには言及せず、笑顔でケージを降りた。
【写真】Road to ONEで見せたように四点ヒザがあるONEルールは山北に合っているが……もちろん今日の試合には関係ない(C)MMAPLANET
本日18日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE328で、北方大地の持つストロー級KOPのベルトに挑戦する山北渓人インタビュー後編。
チャンピオンとのキャリアの差は絶対だ。しかし専修大学レスリング部出身の山北は、MMAでは後輩の中村倫也&河名マストという両先輩が、既に海外で戦う状況にある状況を指を咥えて見ているわけにはいかない。強すぎる先輩にMMAでは負けない。追いつきたい山北のこれから、そして今回にタイトル戦へ想いを引き続き尋ねた。
<山北渓人インタビューPart.01はコチラから>
──昨年、2020年ネオブラ優勝の井村塁選手が、中島太一選手とのタイトルマッチに挑み完敗を喫しました。いわばネオブラ同期がキャリアの差を見せつけられたことに関して、どのように考えていますか。
「自分は違うと思っています。井村君はデビュー時期も同じで、一足先にタイトルに挑戦しましたが、彼云々ではなくて……自分は12年間、レスリングをやってきました。しんどいことも結構ありました。MMAを合わせると、16年とか毎日キツイことをやっていたら、ちょっとしたことでへこたれないと思っています。
自分はそうならないだけ練習をしているという気でいます。厳しい、辛い場面で戦える力が自分にはあります。特に試合になると、そういう部分が出てくるはずです」
──ではチャンピオン、北方選手の強さとは?
「打撃を決めようとする力、そこと体が強いです。組みはテクニックというよりは、体が強い。そういうイメージです」
──北方選手は個々の対戦相手にフォーカスした動きをやり込んでいるという印象があります。砂辺選手と戦う時には、砂辺選手と戦う北方選手がいて。村元選手と戦う時は村元選手と戦う北方選手がいるような。
「あぁ、確かに前の防衛戦と村元選手との試合も戦い方は全然違っていました。作戦を遂行する能力が高いと思います。僕が優っているのは距離感なので、どう組みの展開まで持っていくか。ただ単にテイクダウンを狙うのが、レスラーにとって一番良くない戦い方なので。レスリングと柔術というよりも、しっかりとMMAを戦うという意識で戦いたいです」
──山北選手の組みは流れるような動きです。あれは閃きなのでしょうか。ラグの無さは、考えて動いているという風には見えません。
「アレは体にしみ込んでいているので、勝手に動きます。それが練習量と関係していると思います。打ち込みを繰り返して、打ち込み通りの動きをしているので試合中に考えているとかではないです。打ち込み通りですね。そこに今回は相手が強いので、気持ち的な部分、持っているフィジカルもしっかりと出し切りたいです」
──このところMe,Weの男子選手は藤田大和選手、植田豊選手とDEEPとGrachanでタイトルマッチを落としています。Me,Weの一員として今回のタイトル戦にどのように挑みたいですか。
「大和さんは同じぐらい練習しています。その選手が負けてしまうと、自分のことのように悔しかったです。ジムにベルトを持ち返りたいという想いは、強いです。ここで僕が獲って、ジムとして勢いをつけたいです」
──現状の日本のベルトは、ステップアップのチケットです。今後、どのように考えていますか。
「やっぱり海外で試合がしたくて、ストロー級だとONEチャンピオンシップですね。猿田選手が日本人でも勝てるということを証明してくれていますし、自分にとって道標になってくれています。ここで勝って、その道標に従ってONEのベルトを巻きたいです。
それ以上にジャレッド・ブルックスとか……自分の階級の最高峰という選手と試合をして、自分がどれだけやれるのかを試したくて。ジョシュア・パシオ、ボカン・マスンヤネ、ダニエル・ウィリアムスとか、レスリングの時からずっと外国人選手と試合がしたかったです。レスリング時代は国際戦を戦うことができなかったので、MMAでは日本人選手以外と戦ってみたいです」
──UFCはストロー級王座を認定していませんが、Road to UFCを開催して中村倫也選手が挑戦中です。またLFAには河名マスト選手が挑みます。専修大レスリング部の先輩から刺激を受けていますか。
「倫也先輩には、直ぐに追い越されちゃいました(笑)。レスリングではもうメチャクチャ強かったですけど、倫也先輩がMMAに転向して。僕はプロで4勝とかの状態で格闘DREAMERSを視ていたのですが……僕がやりたくてしょうがない国際戦で勝って、今度は海外で戦って先を行かれてしまいました。だからベルトを獲って、倫也先輩に追いつきたいです。
マスト先輩は……全然MMAを戦うと思っていなかったので、先輩ですけどジェラシーを感じています。でも、その想いが自分もやらないといけないというモチベーションになっているので、両先輩に追いつきたいです」
──そのためには、落とせないタイトル戦ですね。
「今回、練習のテーマが5分5Rを戦い切れるスタミナをつけるということでした。それだけ体力を強化してきましたが、そこでつけた力を使って全力でフィニッシュしたいです」
■視聴方法(予定)
7月18日(月・祝)
午後2時30分~ TIGET LIVE
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE(※第1部)
午後4時30分~ U-NEXT(※第2部)
■ Pancrase328対戦カード
<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
望月貴史(日本)
<フライ級/5分3R>
水戸邉壮大(日本)
山﨑聖哉(日本)
<2022年ネオブラッドTバンタム級準決勝/5分3R>
田嶋椋(日本)
鬼神光司(日本)
<2022年ネオブラッドTバンタム級準決勝/5分3R>
持田哲兵(日本)
上田祐起(日本)
<2022年ネオブラッドTフライ級準決勝/5分3R>
大野友哉(日本)
伊藤まこと(日本)
<フェザー級暫定王座決定戦/5分5R>
透暉鷹(日本)
亀井晨佑(日本)
<フライ級/5分3R>
清水清隆(日本)
佐々木亮太(日本)
<フェザー級/5分3R>
Ryo(日本)
遠藤来生(日本)
<フェザー級/5分3R>
新居すぐる(日本)
ハンセン玲雄(日本)
<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
林優作(日本)
<女子フライ級/5分3R>
NØRI(日本)
栗山葵(日本)
<ストロー級KOPC/5分5R>
[王者] 北方大地(日本)
[挑戦者] 山北 渓人(日本)
<ストロー級/5分3R>
八田亮(日本)
野田遼介(日本)
<フェザー級/5分3R>
中田大貴(日本)
内村洋次郎(日本)
<ライト級/5分3R>
葛西和希(日本)
DARANI(日本)
<フライ級/5分3R>
大塚智貴(日本)
前田浩平(日本)