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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE pancrase347 ホン・ソンチャン 粕谷優介

【Pancrase347】粕谷が左ハイからパンチでホン・ソンチャンを仕留め、涙声で「皆さん頑張りましょう」

【写真】鮮やかな左ハイ!(C)MMAPLANET

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
Def.1R1分36秒 by TKO
ホン・ソンチャン(韓国)

サウスポーの粕谷が左ロー、左ミドルを繰り出す。プレスをかけてくるホン・ソンチャンに対し、左ストレートを伸ばす粕谷。ホン・ソンチャンの右をかわし、右インローでバランスを崩していく。左ストレートから右の前蹴り、距離を取りながらテイクダウンのフェイントを見せる粕谷に、ホン・ソンチャンが右ストレートを当てる。ローを効かせた粕谷が左ハイでグラつかせると、左ボディで下がらせて左ストレート、右フックを返してダウンを奪う。倒れたホン・ソンチャンにパウンドを浴びせるとレフェリーが試合を止めた。

KO勝利を収めた粕谷は急に涙声になりながら「皆さん、いろいろあると思うんですけど頑張りましょう」と語った。


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45 ARAMI KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE pancrase347 SARAMI YouTube   エジナ・トラキナス カリベク・アルジクル・ウルル ギレルメ・ナカガワ ソルト パンクラス ホン・イェリン ホン・ソンチャン 万智 久米鷹介 井村塁 佐藤生虎 天弥 安藤武尊 押忍マン洸太 栁川唯人 武尊 沙弥子 泰斗 海外 渡邉史佳 端貴代 粕谷優介 糸川義人 葛西和希 藤野恵実 野田遼介 雑賀ヤン坊達也

【Pancrase347】ホン・イェリン戦前のアトム級QOP SARAMI「塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はない」

【写真】有終の美ではないかもしれないが、終わりを見て現役生活を全うしている (C)MMAPLANET

本日29日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase347で、アトム級QOPのSARAMIがホン・イェリンとノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike

3月に同王座決定トーナメント決勝で沙弥子を48秒で下したSARAMIにとって、あの右ストレートで一発の勝利は何を意味したのか。その後、パンクラスイズム横浜を離れ、毎日のように違う場所でトレーニングの日々を送る。

「この生活も長くは続けられない」というSARAMIに3月のKO劇と今、そして──これからについて尋ねた。


――もう次の日曜日にホン・イェリン戦を控えているSARAMI選手ですが、今一度3月のアトム級王座奪取について話をきかせてください。見事過ぎる右ストレート一発のKO劇。格闘技生活で、一番の喜びようだったのではないかと。

リモート取材を行った24日の時点では、藤野恵実につけられた傷が残っていた

「あの瞬間は『嘘でしょ!!』っていう感じでした」

──そこから笑顔の時間が、凄く長かったです。

「アハハハハハハ。北岡(悟)さんや、矢澤(諒)君は『パンチで倒す』と思っていたらしいです。いつか、パンチで倒すと。北岡さんにはずっと前から言われていました。でも、私はできないだろうって思っていたんです。女子で一発KOなんて、ないじゃないですか。まさか自分がするなんて思っていなくて(笑)。打撃に自信があるわけじゃないので」

──ただ、あのパンチです。練習をしてきて、成長しているという風に自分で感じることはなかったですか。

「自分の右のパンチが凄く強いという実感はありました。打ち方とかも、凄く考えてきたので。それは分かっていたけど、試合でソレを出せるとは思っていなかったです」

──あの勝ち方をこれからも続けたいという想いは?

「ないです」

──本当ですか。それを想って戦えないかもしれないですが、どこか少しでも残っていないですか。

「えぇぇ……。また、したい気持ちはありますけど。アレを狙うと、絶対にできないです。自分の攻めをしているなかで、ああいう偶然が起これば良いかなって。あのパンチを狙うと、自分のスタイルが崩れてしまいます。私の試合はドロドロで、勝つ時も負ける時も。殴り合いって誰でもできるので、それは余り格好良いとは思えないんです」

──練習仲間、女子選手たちの反応はどうでしたか。

「びっくりしていました。練習では私は打撃が上手くはないので。男子も女子も当てっこゲームが上手な人が、練習では打撃は上手です。思い切り打てないから、試合とは違うと思っています」

──ぶっちゃけてKO勝ちとタイトル奪取、どちらの方が嬉しかったですか。

「一発KOです」

──ずっと練習を続けてきて、あのKO劇があって良かったと本当に思います。

「私の人生にこんなことがあるんだって。本当に。私、格闘技の試合で勝って、お客さんが盛り上がる瞬間──あの気持ち良さって多分、結婚式をする時の気持ち良さよりも上だと思うんです。なのに、あんなKO勝ちしちゃうと、もう最高ですよ」

──そんなタイトル奪取後、所属先が整体北西に変わりました。

「もともとトーナメント中もパンクラスイズムで練習するのは1度か2度で。ジムの面子も変わっていく中で、私が格闘技をやる場所はイズムではなくなってきたように思えたんです」

──練習場所が所属名になったわけではないですよね。

「ハイ。私がずっと体を見てもらってきた整体です。北西(英司)さんはパンクラスができた頃から、選手の体を診ていて、格闘技の試合も物凄く見ている人で。フォースタンス理論に出会えたから、こっちに出てきて少し結果を残せたと思っています」

──イズムを離れる時、どこかジムの所属になろうと考えることはなかったですか。

「それは今も迷っています。決まった練習場所があることは大切だと思うので。ただ試合がもう決まっていたから、そこままという感じできました」

──今、練習場所はどういう風になっているのでしょうか。

「なかなか、色々なところに行っています。行動範囲は相当に広いですよ(笑)。女子選手がいるところに、練習に行かせてもらっていて」

──では万智選手ばりに1週間のルーティンをお願いします。

「月曜日は朝から仕事をして、夜は坂口道場に行きます。火曜日は昼ぐらいにKRAZY BEEに行き、夕方は元町にあるクロスフィットでパーソナルトレーニング。夜はカルペディウム三田のレスリングクラスに参加したり、しなかったり。水曜日は1日仕事をして、行けたらファイトベースに。木曜日も1日仕事して夜に東中野のトイカツ道場。金曜日は昼にマスタージャパンでグラップリング、夕方は国立に体の使い方のコンディショニング・トレーニングに行って、夜に整体をして帰って来ます。

土曜日は朝から仕事をして、夕方に千葉の市川市にあるトランセンド・ジムでロッキー川村さんにミットを持ってもらっています。で日曜日の朝にJTTに女子練習ですね(笑)」

──仕事をしながら……ですよね。1週間で7位置の練習を。

「やばいですよね(笑)」

──その原動力は何なのでしょうか。

「不安だから。やらないと不安なんです。もちろん毎週 、完璧にやっているわけじゃないですけど、この生活と練習を維持するには心もお金も、体力も大変です」

──そうですよね。

「だから、これをずっとやっていられないなって。引退も近いのかなって思っています」

──それでも結婚式よりも嬉しいモノがMMAでの勝利なわけですよね。

「結婚式をしたことないんですけどね(笑)。私は結婚して子供も欲しい。だからずっとできない」

──そうなると限られた試合のなかで、今回はタイトルマッチでないですが、その辺りはどのように思っているのですか。

「ホン・イェリン戦が用意されたことに、全く不満はないです。ちゃんと強い相手ですし、国際戦が戦いたかったので。用意してもらった相手に、今の全てをぶつけます。対戦相手の格とか関係なく、準備したことを全て出します」

──それは右ストレートですね(笑)。

「違います(笑)。塩漬けです。もう、ああいう勝ち方はないし、一度したから思い切り漬けにいけます(笑)」

──女子は比較的行き来ができていますが、これからのキャリアをどのように考えていますか。

「目標がなんなのかよくわからない状況ではあるんですけど、海外でやりたいです。もう日本人は皆やったし、今さら新しい子とやる必要はないかなって。めちゃくちゃ強い外国人にメチャクチャにやられたら、辞めることができるかなって」

──刹那的ですね。

「もう私、敵わないんだっていう経験をしたら辞められるかなって」

──その将来を望むとしても、メチャクチャ強い外国人を戦うためには次の試合でしっかりと勝つ必要があるかと思います。どのような試合にしたいですか。

「…………(じっくりと考えて)、攻め続ける。とにかく攻め続けます」

■視聴方法(予定)
9月29日(日)
午後12時40分~U-NEXT

■Pancrase347 計量結果

<ライト級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 雑賀ヤン坊達也:70.15キロ
[挑戦者] 久米鷹介:70.3キロ

<ストロー級QOP選手権試合/5分5R>
[王者] ソルト:51.95キロ
[挑戦者] 藤野恵実:52.1キロ

<ウェルター級KOP選手権試合/5分5R>
[王者] 押忍マン洸太:76.95キロ
[挑戦者] 佐藤生虎:77.1キロ

<ライト級次期挑戦者決定/5分3ラウンド
葛西和希:70.55キロ
天弥:70.65キロ

<女子アトム級/5分3R>
SARAMI:48.05キロ
ホン・イェリン:47.75キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.4キロ
カリベク・アルジクル・ウルル:61.65キロ

<ライト級/5分3R>
粕谷優介:70.7キロ
ホン・ソンチャン:70.5キロ

<女子フライ級/5分3R>
端貴代:56.65キロ
渡邉史佳:56.8キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:52.1キロ
エジナ・トラキナス:51.9キロ

<フェザー級/5分3R>
糸川義人:65.9キロ
栁川唯人:65.95キロ

<ストロー級/5分3R>
野田遼介:52.5キロ
船田侃志:52.55キロ

<バンタム級/5分3R>
安藤武尊:61.45キロ
ギレルメ・ナカガワ:61.55キロ

<2024年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
岸田宙大:56.7キロ
山﨑蒼空:57.1キロ

<フライ級/5分3R>
時田隆成:56.95キロ
齋藤楼貴:56.95キロ
 
<バンタム級/5分3R>
友寄龍太:61.1キロ
渡邉泰斗:61.5キロ

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o PANCRASE RIZIN Road to UFC UFC YouTube   キ・ウォンビン パンクラス ライカ 久米鷹介 粕谷優介

【パンクラス】雑賀“ヤン坊”達也 久米鷹介と再戦決定!

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 9月29日に立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 347。既に好カードが連発中ですが、その中でも極上なのは雑賀“ヤン坊”達也(DOBUITA)×久米鷹介(ALIVE)のライト級タイトルマッチでしょう。

両者は2021年12月の王座統一戦で対戦済み。1Rにパンチの交差から雑賀がフックでダウンを奪って久米をKO寸前に追い込んだシーンが秀逸。ばったりと倒れた久米の姿が今だに忘れられません。完全に雑賀が勝ったかと思いきや、久米が奇跡的に回復。2Rにテイクダウンを奪うとバックチョークから腕十字に切り替えて逆転の一本勝ちを飾っています。2021年パンクラスのベストバウトと言ってもいいでしょう。

そんな両者の再戦。雑賀はパンクラスで無双の強さを見せつけてライト級王座を戴冠。勢いに乗って参戦したRoad To UFCではキ・ウォンビンとの壮絶な打撃戦の末にTKO負けを喫しましたが、ライト級の日本人選手の中では群を抜いたストライカーなのは間違いなく、今なら逆転しても不思議ではないでしょう。

対する久米は39歳。さすがにピークは過ぎた感はありますが、1年振りの復帰戦となった粕谷優介との試合ではグラウンドを制圧して判定勝ち。寝技に持ち込んだ時に安定感は相変わらずで、テイクダウンディフェンスに難のある雑賀にとっては天敵と言ってもいいでしょう。

久米はスタンドの打ち合いを避けてテイクダウンを狙うのは確実。雑賀は凌いで凌いでキレ味鋭い打撃を打ち込みたいところ。試合から2年半が経った事で両者のパワーバランスが変わっているのか、変わっていないのか。前戦ばりの激戦を期待します。
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45 MMA MMAPLANET MMAとフィジカル o Special YouTube   パンクラス ワタナベ関羽マサノリ 久米鷹介 栄養 竹本啓哉 粕谷優介 鈴木陽一 食事

【Special】『MMAで世界を目指す』第5回:鈴木陽一ALIVE代表「MMAファイターの食事と体づくり」─02─

【写真】4月29日にパンクラスで粕谷優介を下した久米鷹介。試合2カ月前で、このグッドシェイプを維持していた(C)SHOJIRO KAMEIKE

世界的なスポーツとなったMMAで勝つために、フィジカル強化は不可欠となった。MMAPLANETでは「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく連載企画をスタート。連載第5回目は、前回に続き公認スポーツ栄養士の牛島千春氏とMMAファイターの食事と体づくりについて考える。
Text by Shojiro Kameike

<連載第5回Part.01はコチラから>


鈴木 どの年代でも増量期はカロリーを増やして、減量期はカロリーを減らすという原則は変わらないわけですよね。

牛島 はい。たとえカーボを優先しても、少量のカーボだけでカロリー摂取量が低すぎると意味はないですから。特に成長期であれば、成長する分のカロリーも摂取しないといけないですし。一方でMMAの場合は、試合のない時期の食事の内容も考えておかないと、いざ試合前になると減量もしづらくなってしまいますよね。

鈴木 試合がない時期、つまり通常は糖質中心の食事のほうが良いですか。

牛島 糖質中心のほうが、減量期に入ると体重を落としやすくなると思います。脂質を上げすぎてしまうと、脂肪が増えてしまいますからね。そのケースでよく言われるのが「クリーンバルク」と「ダーティバルク」です。

牛島 たとえばジャンクフードばかりを食べて体を大きくのするのが「ダーティバルク」で、クリーンな食事で体を大きくすることを「クリーンバルク」と呼びます。ただ体を大きくするだけであれば、ダーティバルクでも良いのですが……。

鈴木 以前、何かの記事で見たことがあります。1日10本コーラを飲んで体を大きくしたけど、コーラを飲まないとイライラするような体質になってしまったと。コーラを飲むと血糖値が上がるじゃないですか。するとインスリンが分泌されて、血糖値が下がりすぎてイライラするようになってしまう。そうならないようにコーラを飲み続けるという……。

牛島 血液検査を実施している競技であれば、その状態では血糖値で引っかかってしまいますよね。

鈴木 やはり成長期の体づくりではカーボを先に摂ることも重要だけど、ちゃんとバランスを見ていかないといけないですね。練習中に、吸収の良い糖質が入ったドリンクを飲むのは良いですか。たとえばポカリスエットやアクエリアスとか。

前編にもあったとおり、ファイターにオフシーズンはない。竹本啓哉とワタナベ関羽マサノリのコンビは1週間のスパンで互いの試合を控えていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

牛島 良いと思います。あるいはBCAAが入ったサプリメントを摂るとか。アミノ酸が欠如すると筋分解が起きてしまいますから、筋肉のエネルギー源になるBCAAは摂ったほうが効果的ですね。特に強度が高いスポーツや、運動時間が長い場合はBCAAを摂らないと逆に筋肉も減っていく場合があります。

鈴木 「運動時間が長い」というのは、どれくらいの時間を指しますか。

牛島 2~3時間でも長いと思います。

鈴木 MMAって打撃と寝技、全てをやると2~3時間ぐらいは普通に掛かってしまいますよね。ウチの場合は、計4時間ぐらいになることもありますし。

牛島 それは凄いですね! 練習の間はドリンクだけで繋いでいるのですか。

鈴木 ドリンクぐらいです。そうなると筋肉が減ってしまいますか。

牛島 練習後のエネルギー補給は、どうしているのですか?

鈴木 選手によってバラバラですね。練習を終えて自宅に帰ってからガッツリと食べている選手もいると思います。

牛島 遅い時間にガッツリ食べてしまうと消化しきれずに、翌朝しっかりと食べられないケースも出てきますよね。

鈴木 練習を終えて夜11時に食事をするとしたら、やはり野菜とたんぱく質が中心の食事のほうが良いですか。

牛島 そのほうが消化に良いと思います。炭水化物も良いですが、糖質を摂りすぎると消化にエネルギーが使われすぎて、熟睡できなくなる可能性があります。睡眠の質が下がると翌日の動きにも響いてしまいますよね。やはりガッツリと食べるのは、寝る2~3時間ぐらいまででしょうか。

鈴木 それは難しい(苦笑)。

牛島 夜に練習する状況だと、帰宅してすぐに寝なければ翌日に響いてしまいますよね。そのためには朝と昼にちゃんと食べて、夜の練習前に栄養を摂取しておくことが大切になります。

鈴木 ジムの周囲に飲食店を探しておいたほうが良いね。

牛島 練習後はできるだけ早く栄養を摂ったほうが良いので、帰宅して食事するまで1時間も空くようでしたら、練習直後に補食でつないでほうが良いです。早ければ早いほど翌日に疲れも残らないので。理想は最初に糖質を摂ってからプロテインを飲んだほうが効率は良いですね。血糖値を上げてから、たんぱく質を摂るという。

鈴木 その場合、糖質が入ったプロテインでも良いですか。

牛島 はい、それでも大丈夫です。

鈴木 なるほど。あるいは練習後に、おにぎりを販売するか……。

牛島 そういうのはアリだと思いますよ。昔は部活で練習後にマネージャーさんが、おにぎりを用意していることもありましたし。

鈴木 そうだ! 僕も部活で練習後は走って寮に戻り、すぐに食事していました。当時は「なぜこんなに早く食事するのだろう?」と思っていたけど。

牛島 トレーニング後にすぐ糖質を摂ることができるよう、炊飯器を持って移動されているボディビルダーの方もいるぐらいですし。

鈴木 昔はごはんや鶏むね肉をタッパーに入れて持ち歩くことが多かったけど、最近はごはんを炊いて、そのまま炊飯器を持って移動する人がいますね。

牛島 もちろん極端な例ではありますが――1日3食だけでなく、トレーニング後にエネルギー源を補給する。筋肉を減らさないためには、それぐらいの意識が必要ということですね。

格闘技専業でもないかぎり、どうしても練習は仕事や学校が終わってからーー。1日の生活リズムを考えることは必須だ(C)ALIVE

鈴木 昼間に仕事や学業がある選手に必要なことは、まずは朝と昼にしっかり栄養を摂取すること。あとは練習前に補食でつなぎ、練習直後に糖質からたんぱく質を摂取して、あとは早く寝ろ――ということですね。

牛島 「朝ごはんを制する者が競技を制する!」ということですね。あと1日3食はもちろん、たんぱく質はコツコツと摂っておくほうが良い場合もあります。たんぱく質は一度に溜めておく量が限られているので。6時間経ったらグリコーゲンが枯渇してしまうので、炭水化物もコツコツと食べておいたほうが良いです。

鈴木 そう考えると、昼ごはんと晩ごはんの間に「3時のおやつ」を食べるという習慣も、本当によく出来ていますよね。

牛島 3時ごろは一番、脂肪になりにくい時間ですからね。夜になればなるほど脂肪を溜めこむ遺伝子が働くようになります。そういった生活習慣に変えることも簡単でないとは思いますけど……。

鈴木 でもプロのファイターにとっては、そういった調整も仕事のうちですから。

牛島 これだけは言えるのは――アスリートにとって、どうしても埋められない才能の差というのはあると思います。しかし食事も含めて体づくりは、自分の努力次第という面が大きいんです。それこそ1日3食と3時のおやつは、もともと皆さんが日常でやっていることで。その内容を変えてみるだけでも良いですから、ぜひ始めてみてください。

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AB o ONE PANCRASE RIZIN パンクラス リトル 久米鷹介 修斗 前田浩平 山北渓人 砂辺光久 粕谷優介 若林耕平 黒澤亮平

【パンクラス】PANCRASE 342試合結果

RIZIN.46の真裏で開催されたPANCRASE 342。有明アリーナと立川ステージガーデン。一大会でも多く見たいファンとしては、何んとか調整出来ないものか悔しい思いで一杯ですが、帰宅後にU-NEXTで見逃し再生で観戦しました。
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気になったのは3試合。まずは久しぶりのパンクラス復帰戦を迎えた砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)と前田浩平(GRABAKA)のフライ級ワンマッチ。砂辺はストロー級、フライ級、スーパーフライ級で王座になった実力者。実績だけなら群を抜いていますが、久しぶりの復帰戦でどこまで動けるか。

1Rは砂辺の蹴りをキャッチした前田がテイクダウン。2Rも逆にミドルをヒットさせた前田が組み付いてテイクダウンしてそれぞれグラウンドを制圧。万事休すかと思いきや、3Rに山口のタックルを切ってスタンドの攻防。パンチを的確に当てて、山口のタックルに合わせてアッパーをヒットさせるあたり、全盛期の砂辺を思い出させてくれました。しかし仕留めるまでには至らずタイムアップ。判定は3-0でヤバ口に軍配が上がりました。

44歳にして現役に復帰した砂辺。現実は厳しいものがありましたが、ある程度動けていたのもまた事実。これで終わるのか、継続参戦するのか。今後の動向が気になります。
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次に粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)×久米鷹介(ALIVE)のライト級ベテランランカー対決。当初の予想通り玄人好みの重厚なテクニック合戦が展開されましたが、徐々にペースを掴んだのは久米。39歳とは思えない軽快なステップでリズムを作ると2Rには豪快なタックルでテイクダウンに成功。素早くバックに周るとあわやパウンドアウトという見せ場を作ってくれました。

3Rにもタックルを一度切られるもドライブして再度テイクダウンしてバックに周る久米。さらにスタンドに戻るとパンチで粕谷をグラつかせる。最後はグラついた粕谷にタックルでテイクダウンを許すも判定で久米が勝利しました。

粕谷相手にこの勝ち方。パンクラスで再び王座に挑戦する姿は見たいですが、それ以上にまだRIZINでもやれるんじゃないかと。久米の試合にちょっと夢見る事が出来ました。
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最後は黒澤亮平(THE BLACKBELT JAPAN)×リトル(HIDE'S KICK!)のストロー級暫定王座決定戦。修斗からパンクラスに主戦場を移した黒澤は2連勝中。対するリトルはしぶとく勝ち残って暫定王座決定戦までたどり着きました。

試合が動いたのは2R。ジャブ、ボディなど多彩なパンチで手数を稼ぐ黒澤に対してリトルは被弾してものしのしとケンカの間合いで距離を詰める。時折大きなパンチを振り回すが黒澤は冷静に対処。最後はボディを効かせて後退したリトルに対して右フック一閃!リトルが失神して大の字になる衝撃的な結末で暫定王座戴冠となりました。

得意の打撃をいかんなく発揮した黒澤。修斗に加えて暫定ながらもパンクラスの王座も奪取。地味だけど価値のある一勝。怪我で試合が流れた若林耕平との試合はもちろん見たいですが、無敗のままONEに参戦した山北渓人との試合とか見たいな。。。
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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 久米鷹介 粕谷優介

【Pancrase342】久米が右ストレート&アッパーとTDを織り交ぜるMMAで粕谷を封じ、涙の判定勝ち

【写真】(C)MMAPLANET

<ライト級/5分3R>
久米鷹介(日本)
Def.30-27.30-27.30-27
粕谷優介(日本)

サウスポーの粕谷に対し、久米が左カーフを当てた。左右、前後に動く久米に、粕谷の左ミドルが突き刺さる。久米がプレスをかけて左カーフを蹴る。粕谷は久米の右をスウェーでかわしたが、ケージに詰められて右アッパーを食らう。粕谷が右ローを見せると、久米も左カーフを当て、さらに右ストレートを突き刺す。粕谷は左ミドルを返した。しかし久米が粕谷の左ミドルを捌き始める。左アッパーから右三日月蹴りを突き刺した久米が粕谷をケージに押し込んだ。左腕を差し上げ、さらにボディロックの形を整えていく久米。粕谷や久米の右手首を抑える。久米は右ヒザを粕谷の足に打ち込み、久米は左ヒジを入れていく。久米が左足を外から差し入れ、久米の顔面に右アッパーを連打した。

初回はジャッジ3者が久米の10-9とつけている。

2R、距離を詰めた粕谷が左ミドルを打ち込む。ケージ中央で粕谷が右カーフを当てた。粕谷の左ミドルをブロックした久米が距離を詰める。しかし粕谷が久米をケージに押し込み、右腕を差し上げた。久米が差し返す。小外刈りで粕谷を揺さぶった久米は、左ヒザを顔面に突き上げる。差し合いが続き、レフェリーがブレイクをかけた。久米の右三日月蹴りが粕谷のボディに突き刺さり、すぐさまダブルレッグで飛び込んだ。グラウンドに持ち込んだ久米は、うつ伏せになった粕谷からバックマウントを奪い、パンチを連打する。粕谷は動きが止まるも、ラウンド終了まで耐えた。

2Rもジャッジ3者が久米の10-9に。

最終回、サークリングから左カーフを蹴る。粕谷の左前蹴りは届かず。粕谷が左ミドルを打ち込むと、久米もすぐに右ローを打ち返した。ダブルレッグをかわされた久米は左ロー、右ストレートから足をかけていく。これは耐えた粕谷だったが、続いて組みつかれ、尻もちを着かされた。起き上がる粕谷を潰した久米は、背中を着かせる。ボディロックからパス、さらにバックを狙う久米。左足を差し入れ、パンチで削りながら右腕で粕谷のアゴを上げる。ここで粕谷は反転して立ち上がるも、久米のバックコントロールは続く。ケージ際で正対した粕谷だったが、離れたところで久米の左フックを食らい、足がフラつく。すると粕谷はシングルレッグで飛び込み、久米に背中を着かせた。ハーフガードの久米をパウンドで削る粕谷が、残り10秒で鉄槌とパウンドを連打していった。

粕谷の逆襲はポイントを奪うまでには至らず。久米がフルマークの判定勝利を収めた。マイクを握った久米は「もう少し頑張っていきたいと思っています。僕のことを心配してくれる方も多いと思いますが……」と言葉を詰まらせ、「メインのタイトルマッチを楽しんでいってください」と語った。


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【Pancrase342】長岡弘樹戦へ。柔道出身の剛腕、佐藤生虎「……次の試合も殴ります」

【写真】生虎(しょうご)という名前の由来は、「正午に生まれたことから当て字で……という説があります」とのことでした(C)SHOJIRO KAMEIKE

28日(日)、翌29日に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase342の計量が行われ、出場選手全員がクリアした。明日の第10試合試合では佐藤生虎が長岡弘樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビュー以来3試合連続、1ラウンドKO勝ちをマークしている佐藤。しかも合計タイムは3分と、1ラウンド分にも至っていない。特に左ストレートを軸に戦っているが、もともとは柔道ベースだというから驚きだ。なぜ佐藤がこれまでに左ストレートで倒しまくるようになったのか。その秘密をひも解く。豪快なKOの裏には、試合スタイルからは想像できない佐藤の性格が関係していた(※取材は4月24日に行われた)。


――MMAPLANETでは初のインタビューとなりますが、宜しくお願いいたします。

「……、……」

――すみません、ちょっと音声が小さいようですね。

「(マイクを口に近づけて)聞こえますでしょうか?」

――ありがとうございます。聞こえました。もしかして今は職場ですか。

「はい、そうです」

――もしかして小さな声で喋らないとか……。

「そんなことはないのですが――ちょっと周りから見られています(笑)。でも大丈夫です。すみません」

――いえ、職場でインタビューを行わせていただき、ありがとうございます。会社の方にも宜しくお伝えください。

「アハハハ、分かりました(笑)」

――改めて、プロデビュー以来3試合で合計3分ほどしか戦っていない佐藤選手です。

「えっ、そんなに短いですか」

――これまでのKOタイムが1分1秒、35秒、1分22秒ですから、正確には2分58秒です。ご本人としては意識していないのですか。

「そうですね。まぁ、たまたまというか……」

――あれだけ左ストレートを軸に戦っていて、「たまたま」ではないでしょう(笑)。

「いや、もう必死に戦っているだけで(苦笑)。自分でもよく説明できなくて――喋るのも下手なので、すみません」

――いえいえ。あれだけの剛腕っぷりを見せていながら、ベースは柔道なのですよね。

「柔道は10歳から28歳までやっていました。もともと兄が柔道をやっていたので、僕も同じ町道場に入れられて。28歳の時に柔道を辞めて、MMAを始めました」

――28歳というと大学を卒業してから、どこか企業で柔道をやっていたのでしょうか。

「いえ、警察です」

――警察ですか! 大学までの優勝実績などは……。

「特に無かったです。高校の時に県大会で優勝したり、大学も全国大会に出たぐらいで。そこから警察の柔道部に入りました。ずっとMMAは好きで、大学を卒業した時点で柔道を続けるか、MMAを始めるかは一度考えました」

――そこで柔道を続けた理由は何だったのでしょうか。

「……母の反対ですね(苦笑)。今もMMAをやることは反対されています。でも警察の柔道部って定員があり、毎年誰かが引退して誰かが入るということが繰り返されるんです。柔道部の先生から『今年で引退してほしい』と告げられて。柔道部にいられないなら警察にいる理由もないので辞めました」

――柔道部を辞めたとしても、警察には残ることはできるわけですよね。

「はい。もともとMMAをやりたくて、ずっと柔道を続ける気持ちはなかったんです。だから先生から告げられた時に踏ん切りがついたといいますか。ちょうどコロナ禍で試合もできない時期でしたし」

――では警察を退職して、すぐにMMAを始めたのですか。

「MMAを始めようと思ってジムを探した時、自分が柔道出身なので組み技が強いパラエストラ松戸(現THE BLACKBELT JAPAN)に入りました。そのあと去年の3月に、講道館の柔道クラブ時代の先輩である中村K太郎さんと宮澤元樹さんがいる、ユナイテッドジムに移籍してプロデビューしました」

――なるほど。2022年にパンクラスのアマチュア全日本を制してプロデビューに至るわけですが、当時から今のように左をバシバシ当てていたのでしょうか。

「いえ、最初はとにかく組みついていました。それがアマチュア全日本の時に、減量で水抜きしすぎてヘロヘロになってしまい、試合では組めない――スタミナがもたないと思ったんです。それで殴りに行ったら『当たるなぁ』という感じで」

――減量ミスから生まれた左ストレート! 最初に仰った「たまたま」というのは、そういう意味だったのですね。

「アハハハ、そうなんです。自分自身でもグラップラーだと思っていましたけど」

――結果、プロデビュー以降はストライカーで行くと。プロの3試合はほぼ組みに行っていません。それはまだ組みの実力……つまり本当の力を隠しているということではないですか。

「いや、それはないです」

――ハッキリと否定しましたね(笑)。

「もう本当に、いつも限界で。毎試合ギリギリの状態でやっています」

――確かに1戦目と2戦目は、とにかく左を振り回している感もありました。しかし3戦目の川中戦は完全に左ストレートを軸に戦うように進化していたように思います。相手の頭の位置を見ながら、左ストレートを急所に叩きこんでいくという。

「ありがとうございます。でも、それも意識したことはなくて……。ただ、今はボクシングで日本と東洋太平洋のチャンピオンだった柴田明雄さんの指導を受けて、打ち方と位置取りは変わってきていると思います。前回の試合は、とにかく相手の左側に回ろうと柴田さんから言われていて――相手との距離、自分の位置については考えるようになりました」

――なるほど。川中選手をKOしてパンクラスのウェルター級5位にランクインしました。そして次は大ベテランの長岡戦で、この試合をクリアすればベルト挑戦も射程圏内に入っくると思います。

「ベルトは意識していますが……う~ん、自分が上がってきているという実感はないですね。次の試合も不安しかないですし(苦笑)」

――浮かれているよりは良いと思いますが、それにしても自信のあるコメントは出て来ないですね。

「長岡選手はキャリアも凄くて、削り合う試合になると思いますし――引き出しの要素も全て、僕が負けていますからね。試合になると、いつも不安しかないです」

――その不安は、どのように解消するのですか。

「ケージに入るまで不安ですし、ケージに入っても頭が真っ白になって。あとは『やるしかない』という気持ちになって試合をするだけです。自分がやらないと、やられてしまう。その気持ちが一番大きいですね。

――では次の長岡戦、どのような試合をしたいですか。

「……次の試合も殴ります。長岡選手って打たれ強いと思うんですけど、それでも殴ります」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

■Pancrase342 計量結果

<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)

<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)

<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)

<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)

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【Pancrase342】粕谷優介と対戦、J-MMA界の絶滅危惧種?!=久米鷹介の「人前で戦う資格」

【写真】本当に良いことをインタビューで語ってくれた久米だが、ヨレヨレのもっこりスウェットパンツで名古屋から新幹線に乗ってきていた(笑)(C)MMAPLANET

29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催されるPancrase342で粕谷優介と対戦する久米鷹介。昨年4月30日にアキラとのライト級KOP統一戦をスプリット判定で落として以来、1年振りの復帰戦となる。
Text by Manabu Takashima

試合の前日に39歳になる久米、前回の敗北で自身の進退を考えないわけがなかった。現役を続けることを決めた裏には、まだ戦い気持ち──その裏にある、ただ戦うだけでない格闘家の矜持といえる想いが存在しているからだった。(※取材は3月21日に行われた)。


──1年振りの試合が決まりました。激闘を繰り返しダメージが蓄積している。そのように感じられたアキラ戦でしたが、久米選手自身はあの敗北で自身の進退を考えることはなかったですか。

「引退……は考えました。試合の直後にも、親しい方とは話をさせてもらいましたし。自分ではまだやれるという気持ちがあっても、周囲の人のなかには『もう試合をするのは怖い』という風に言ってくれる人もいました。自分としては世界の強い人と戦いと思って続けてきて、もうそういう戦いをしたいという言える立場でもなくなりました。そうなった時に自分は戦っても良いのかという風にも考えました。

ただ練習をしていると、自己満足じゃないですけど『少しでも強い相手と戦いたい。トップ選手とすぐということではなくて、現時点でそこに挑むための戦いをしていきたい。そのなかで自分がどれだけ創り上げることができるのか』という想いはずっとありました。つまりは、続けたいという気持ちがあった。でも、迷っていました。そのなかでパンクラスとRIZINから声を掛けてもらったのですが、引退も頭にあるなかでしっかりと向き合える相手でないと無暗にケージに上がるべきではない……。それぞれの価値観があるなかで、舞台の大きさではなく、そういう相手と戦うために自分を創る時間があるなら、モチベーションとなる相手と戦っていけるのであれば戦いたい。そう自分が思っていることに気付きました」

──正直、アキラ戦の敗北から数カ月が過ぎると久米選手の動きが良い。練習でも問題ないという話は伝わって来ていました。ただ、練習相手は100パーセントの力で組んでも殴りはしないです。ダメージなんて傍から分からないですし、でも久米選手自身に不安はなかったのですね。

「その辺りは(日沖)発さんは、冷静に見てアドバイスをしてくれます。戦うにしても、戦い方を考えていかないといけないと試合直後の時点で言ってくれていましたし。試合が決まっていない期間は、余裕をもって体創り、MMAの練習に取り組むことができたので感覚や技術面などは以前より上げることができました。以前はガムシャラにやっていたので、そこから冷静に一歩引いて自分のことが見られる期間になったと思います」

──少しでも強い相手と。そのなかで今回は粕谷選手と戦うわけですが、それが20代前半やあるいは10代後半のバリバリの若い選手も構わないのでしょうか。

「年齢やキャリアは関係ないです。強い選手なら。パンクラスからオファーのある相手も、自分が強いと思える選手ばかりですし。と同時に、今も負けた相手にはやり返したいという想いはあります。でも今の自分はいきなり、そういう選手と試合ができる立場ではないので、勝てば近づく相手──今回の粕谷選手がそうですし、それが若くて下から勢いをもって上がってくる選手でも戦います。

そういう試合で自分を出すこと。今回の戦いもそこに集中していきたいです。やってきたモノ、技術的な部分で上がっているといっても若い頃のようにガッと強くなるようなことはない。現実に抗うことに意識をもっていっても、もう目に見えて強くなるなんてないので。そうなると自分の本来の動きに加えて、短期間で身につけたモノを出すことです」

──1年前のアキラ戦と比較して、今の久米選手が一番変わったところは?

「試合になってみないと分からないですが、自分の動きを調整できるように。そこは普段から意識しています。どうしても、熱くなる部分があるので」

──永遠の課題ですね。

「ハイ。本当にそうです。だからこそ、そこを意識しないと。ただ格闘技自体、本質は戦いです。冷静になっても、戦えないならしょうがないですし」

──ところで試合の時には39歳になっている久米選手ですが、最近、MMAファイターの意識が変わったと感じることはないでしょうか。

「どういうことですか?」

──若い選手の意見を耳にすると、強さよりも名前を上げる方に意識が向いている。世の中の変化に合わせて、MMA界の空気も変わったように感じます。

「まぁ、そういう子たちも少なからずはいると思います。価値観として、しょうがないと思う部分もあります。正直にいえば、こんな危ないことをやって強さを求めないのは意味が分からないです(苦笑)。39歳になっても、自分のなかで考えて努めて冷静になろうとしつつも、それでも自分が敵わないと思ってしまうような相手と向き合いたい。今は言えない立場ですが、その想いを持ち続けています。勝てる相手を選ぶ……そういう発想に落ちないのは、辿り着けなったUFCにはそういう相手がゴロゴロいて、心の中でそういう相手と戦いたいという気持ちが残っているからだと思います。

本当に強い人は、『敵わない相手』とか感じないで勝ち続けることができるのでしょうけど、そこに行けない状況のなかで『コイツ、ヤバい。もう戦いたくない』と思ってしまうような相手を求めることが、自分にとっての格闘技なので。でも僕の周囲で一緒に練習しているデビュー前の子や、10代の選手は純粋に強さを求めている子ばかりです。

内心、有名になりたいとかっていう想いがあっても、そこに強さが伴っていないといけないと思っているはずです。そういう子たちと練習をしている時は、その子たちの存在が僕のモチベーションになっています。頑張っている子たちが、何か自分の試合で気付いてくれることがあれば嬉しいです。あの子たちのために戦うなんて言えないですけど、あくまでも自分のために戦う試合で、彼らが何かを感じてくれると」

──非常に久米選手らしいです。

「UFCで戦う……そのために戦うというのは、もう現実的ではないです。でも、そのような想いを持ち続けていないと……それを持てないのであったら、戦う必要はないのではないかと思います。本当に格闘技が好きで、試合を見てくれる人達はそういう気持ちがある選手の試合が見たいと思ってくれているはずですし。自分としては、そういう想いを持たずに人前で戦うのは失礼で。口にはできないですが、心の奥にはそういう想いだけは持ち続けます。その想いがなくなったら、人前で戦うことはないです。

楽な相手と戦いたいとか、そういう風に想うようなことがあれば──もう戦うべきじゃない。格闘技のことが好きで、練習を続けても。だから粕谷選手との試合も、全力で勝ちに行きます。どれだけ良い試合をしたとか言われても……勝ち負け以上に良い試合をという発想になるのであれば、僕は人前で戦う資格はないと思っています」

──胸に響く言葉ですが、完全に絶滅危惧種ですね(笑)。

「ハハハハハ。絶滅しないよう頑張ります」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

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【Pancrase342】ストロー級暫定王座戦。リトル×黒澤亮平「勝ったら正規王者」&4年9カ月振りの砂辺光久

【写真】元修斗世界王者で2位の黒澤と、4位のリトルでは暫定王座という現実に抱く想いは違ってくるか(C)MMAPLANET

21日(木)、東京都新宿区の新宿サンエービルでPancrase342の記者会見と調印式が行われた。
Text by Manabu Takashima

粕谷優介、久米鷹介、KARENの会見での模様に続き、4月29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催される同大会で暫定ストロー級王座決定戦を戦う黒澤亮平×リトルの会見冒頭での挨拶と、MMAPLANETの質問への返答をお伝えしたい。

山北渓人が返上して王者不在のストロー級で組まれた暫定タイトルマッチ。この暫定という部分でリトルと黒澤の間では捉え方がしっかりと違っていた。


リトル
「もともと自分も修斗に出ていて、兄弟子の石渡伸太郎選手を追いかけてパンクラスに出始めて。ついにここまで来たなっていうのもあるのですが、やっぱり僕は見ている人を常に楽しませたい。喜ばせたいというのがあるので、暫定タイトルマッチになるとより多くの人が見てくださると思います。1人でも多くの人を全力で楽しませることができればな、と思います」

黒澤亮平
「ベルトを獲りにパンクラスに来たので。この暫定タイトルマッチが決まるまで色々とありましたけど、純粋にタイトルマッチが決まって嬉しいなと思っています」

──現在空位のタイトルが正規王座決定戦でなく、暫定で争われることをどのように捉えていますか。

リトル 正直、そこに関しては不満とかは全くなくて。本当にこの試合を用意してくれたことを有難いと思って、全力でやるだけです。

黒澤 僕は不満があります。それは……1位が腑抜けなんで仕方ないんですけど、だからこそリトル選手と暫定タイトルマッチが決まったことは嬉しいと思っています。僕のなかで、この試合に勝った方が正規王者で次に防衛するなら、防衛戦という勝手な気持ちではあります。

なお記者会見で列席はなかったが、他に7試合の本戦が明らかとなっており、ライト級でKTT所属のホン・ソンチャン×松岡嵩志と対戦も決まった。昨年のRoad to UFC出場も準決勝で敗れたホン・ソンチャンは、2月にEternal MMAで計量失敗のウェズ・ギャッパーに敗れ3月のGLADIATOR025での暫定王座決定戦出場の機会を逸していた。捲土重来、3連敗は許されない状況でのパンクラス初陣となる。

さらに元ストロー級KOP砂辺光久が、2019年7月以来のパンクラス参戦となる。2022年7月のRIZIN36での敗北から1年9カ月振りの実戦復帰となる砂辺は前田浩平と対戦する。この間にパンクラス王は44歳になっており、滑り込みのパンクラス30周年記念大会シリーズ出場に対し、どのような気持ちで臨むのか──気になるところだ。

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【Pancrase342】4・29 KAREN×ホン・イェリン&粕谷優介✖久米鷹介。「僕の方が人間に近い」(久米)

【写真】ゴリラ顔でも競い合ってくれた粕谷と久米 (C)MMAPLANET

21日(木)、東京都新宿区の新宿サンエービルで4月29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催される PANCRASE342の記者会見及び、タイトル戦の調印式が行われた。
Text by Manabu Takashima

今月31日(日)にも同所で30週周年記念大会第3弾を開くパンクラス。今回の会見で本戦10試合の発表がされたなかでライト級=粕谷優介✖久米鷹介、女子ストロー級=KAREN×ホン・イェリン、そして暫定ストロー級王座決定戦=黒澤亮平×リトル戦から、ホン・イェリンを除く5選手が会見に臨み、タイトル戦で戦う両者は調印式も行われた。

ここではライト級と女子ストロー級マッチに出場する3選手の会見での挨拶とMMAPLANETの質問への返答をお届けしたい(要約)。


流れでゴリラ顔をお願いすると、アゴをひいたアントニオ猪木のような顔をしてくれたKAREN(笑)

KAREN
「今回半年ぶりぐらいにパンクラスに参戦させていただきます。国際戦を組んでくれたので、このチャンスをしっかりと生かして一本・KO勝ちします」

粕谷優介
「長年頂点にいた久米さんと戦えるということで、凄く楽しみにしています。このカードが決まって、凄く気合いが入っています」

久米鷹介
「負けて以来、丁度1年振りの復帰戦になるんですけど、粕谷選手という素晴らしい相手に本当に全力で挑むつもりで戦いたいと思っています。

──KAREN選手、このタイミングでパンクラスに戻り、大島佐緒里選手に敗れて引退を決意したこともあるホン・イェリン選手と戦うこと、どのように思っていますか。

KAREN 一回引退を考えて、そこから上がってくる選手なので意気込みも強いと思うんですけど、まぁそこをねじ伏せて──また、アレですけど……引退じゃないですけど、上には上がらせてないような試合をしたいと思います」

──去年のベルトを失って厳しい1年になったかと思いますが、THE BLACKBELT JAPAN所属となり1年以上が過ぎ、昨年の自分と比較して今どれぐらい力をつけたと思えますか。

KAREN 移籍してから1年ほど経つんですけど、去年の今頃と比べると絶対に一回りも二回りも強くなっているので、そこをしっかりと試合で見せたいと思います」

──粕谷選手と久米選手。アキラ選手も含め自ら、または自他ともにゴリラ・キャラで通っていますが、対戦相手と比較して自分の方がゴリラなんだというアピールがあればお願いします。

粕谷 ……。ちょっと予想もしていなかった質問なので……。二人よりゴリラに近い……キッズの子供達がゴリラのガチャガチャを見つけると『先生がいたよ』って買ってきてくれます(笑)。

久米 ガチャガチャでいうと同じやつを3つ、別人から貰ったことがあります(笑)。実際に受け取っているので……。ただ3人のなかで自分が一番人間に近いと思っています(笑)。

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