【写真】警戒心の強い笹、かといって下がるわけでもなく組み力の強い相手にどのような打撃戦を仕掛ける(C)MMAPLANET
24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、笹晋久と対戦する矢澤諒のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
矢澤といえば右ストレート。右を得意としているファイターが多い現在のパンクラスで、その威力はトップレベルを誇る。さらに組みや右以外のパンチを鍛えることで、より右ストレートも輝くようになってきた。そんな矢澤の右ストレートの秘密に迫る!
<矢澤諒インタビューPart.01はコチラから>
――ご自身のフィニッシュブローを右ストレートと定めたのは、いつ頃ですか。
「プロデビュー戦ですね。北岡さんの興行(2020年7月、iSMOS)でデビュー戦を組んでもらった時、大井洋一選手を右で倒してから『右で倒せるんじゃないか』という意識が生まれました。そのあと2連敗したことで、自分の中に迷いも出ていたんです。でも『どれだけ自分の打撃が通用するのか』という気持ちで相手に向かうようになってからは、右で倒せるようになっています。負けたことで逆に、しっかり打撃をやるようになりました」
――現在は3連続KO勝ちです。これだけ右が当たる秘訣はあるのでしょうか。
「自分の中では、右が当たるイメージづくりが一番大切だと思っています。試合に向けて、自分の右が対戦相手にどう当たるかをイメージしながらスパーリングしたり、サンドバッグを打つようにしています」
――2022年5月の上田祐起戦までは、頻繁にスイッチしていましたよね。
「僕は身長が低いので、どうすれば相手の懐に入れるかって考えていました。もともとはオーソドックスですけど、サウスポーも出来たのでスイッチしながら懐に入ろうと。でも技術的にも中途半端だったために、あの結果に終わったのかと思います」
――次の漆間戦からはスイッチすることなく、オーソドックスで戦っています。上田戦の結果を受けて、何か気持ちの変化があったのですか。
「はい。『もう細かいことは考えずに殴り合っちゃおう』と。それがうまくハマッたのかなと思っています。たまたま、かもしれないですけど(笑)」
――ここまで右ストレートでKOしていたら偶然ではないでしょう(笑)。これは結果論ですが、スイッチしている頃の試合ぶりと現在を比べたら、今は迷いがないように感じます。
「そうなんです。スイッチしている頃は、試合中も全体的にフワフワしていました。すると相手にとっては怖さもなかったんじゃないですか。今は右ストレートを軸に圧をかけていますから、相手も下がってくれるんだと思います」
――もう一つ。右ストレートが当たるということは、右以外の要素も増えてきたということですよね。
「どんどん対戦相手のレベルが上がって、自分の右は絶対に警戒されます。でもそれが僕にアドバンテージになっていて。相手が右を意識してくれるおかげで、他のパンチが当たるようになってきていると思います」
――右だけでなく左のパンチも当たるようになってきています。ジャブなのか、フックなのか、あるいはその中間というべきか……相手にとっては見えにくいパンチだと思います。
「左はスマッシュ気味に打っています。そうやって常に、右だけに頼らないように取り組んでいます」
――さらに現在は、大道塾吉祥寺支部の飯村健一さんにも打撃を教わっているのですか。
「去年10月の漆間戦が終わってから、飯村さんのところに行かせてもらっています。純粋なミットの打ち込みをやりたいと思って飯村さんにお願いしました。マンツーマンで丁寧に教えてくださるので、メチャクチャ勉強になっています」
――ここ数試合を視ると、打撃を出す際の重心が変化していませんか。それは飯村さんの指導や、タケ大宮司さんのトレーニングの影響なのでしょうか。
「打撃を出した時に止まれるようになりました。以前はパンチを打つ時にどうしても、つんのめっていたんですよね。つんのめるなら、そのままスイッチしようと考えて」
――それがスイッチ時代に繋がるのですね。
「つんのめらずに止まれるようになったのは、タケさんに股関節の使い方を教わった効果もありますね。あとは自分のパンチの力が、どれだけ相手に伝わるかをイメージしならがサンドバッグを打つ。それで右のインパクトが強くなったんだと思います。今は誰が相手でもパンチで倒せる自信があります」
――では次の対戦相手、笹選手の印象を教えてください。
「フィジカルが強いという印象があります。でも僕は相手がどうだからこう……ということは、あまり考えていなくて。自分が強いところをぶつけることができれば勝てる。ぶつけられなければ負ける。自分はまだそのレベルだと思っています。もっと上に行かないと、相手どうこうは言えないかなって。今は自分のやるべきことをどれだけ形にできるか、ですね」
――打撃だけでなく組みのレベルについては、どのように考えていますか。前回のジェイク・ムラタ戦は組んでくる相手を切り続けて、パンチで倒しました。
「ジェイク選手と試合をするにあたって、まず自分のパンチが当たれば絶対に倒れるから、組みの練習を増やしました。それで試合で組まれた時に『大丈夫だ』と思って、安心することができました」
――なるほど。矢澤選手は現在パンクラスのバンタム級4位で、この試合で勝てばベルトを狙える位置につけています。最後に次の試合への意気込みをお願いします。
「次の笹選手はパンクラスのランキングには入っていないけど、実力を考えると上のほうにいる選手です。ここで勝てるか勝てないかで、今後の自分の進む道が決まっちゃうのかと思います。まずはファーストコンタクトでどれだけ出せるか。しっかりと勝って、皆さんに矢澤諒を見せたいです。ぜひ注目してください!」
■Pancrase337計量結果
<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑:65.75キロ
新居すぐる:65.65キロ
<ウェルター級/5分3R>
藤田大:75.5キロ
住村竜市朗:77.55キロ
<ストロー級/5分3R>
八田亮:52.75キロ→52.6キロ
黒澤亮平:52.55キロ
<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:76.65キロ→77.55キロ
川中孝浩:76.95キロ
<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.35キロ
河村泰博:61.65キロ
<フェザー級/5分3R>
平田直樹:66.25キロ
遠藤来生:66.0キロ
<フライ級/5分3R>
秋葉太樹:57.05キロ
ムハンマド・サロハイディノフ:57.05キロ
<ライト級/5分3R>
余勇利:70.55キロ
神谷大智:70.55キロ
<バンタム級/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
安藤武尊:61.0キロ
<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.15キロ
葛西和希:70.6キロ
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
高本千代:52.0キロ
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.8キロ→61.65キロ
笹晋久:61.4キロ
<フライ級/5分3R>
梅原規祥:57.05キロ
饒平名知靖:56.1キロ
<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎:77.5キロ
渡邉ショーン:77.0キロ