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【Pancrase326】シーソーゲームの激闘――猿飛流がバックテイクで最終回を抑えて小川徹からベルト奪取

<フライ級KOPC/5分5R>
猿飛流(日本)
Def.3-0:48-47.48-47.48-47.
小川徹(日本)

サウスポーの小川に対して半身で構える猿飛流。小川が距離を詰めると、猿飛流は右ミドルを放っていく。猿飛流はワンツー、小川は様子をうかがいながらローを放つ。猿飛流が前に出てきたところで左アッパーを合わせようとした小川。お互い距離を取り合いながら、猿飛流の右バックハウンドブローと小川の右フックが交錯した。小川が相手にケージを背負わせて、左ボディストレート。さらに左ボディを猿飛流のミゾオチに突き刺し、フォローの右フックでヒザを着かせた。猿飛流が距離を取ってサークリング、小川は左ストレートを相手の顔面に伸ばした。

猿飛流が左前蹴りを見せたところで、ここでも小川の左ボディが的確に猿飛流のミゾオチに当たる。右ロー、相手が出て来ると左で迎え撃つ小川。猿飛流の左サイドキックは届かない。残り10秒で小川がパンチから距離を詰め、足を滑らせながらダブルレッグで組みついた。初回はジャッジ3者とも10-9で小川のラウンドとした。

2R、猿飛流が蹴りの数を増やす。さらに猿飛流が前に出てきたところに、小川が右フックを合わせた。このパンチをもらいながらも組み付いた猿飛流が、そのまま小川をケージに押し込む。右腕を差し入れた猿飛流、小川も右腕を差し上げて体勢を入れ替える。猿飛流が離れて再びケージ中央へ。小川が飛び込みながら左ストレート、さらに左ハイから左ストレートにつなげていく。猿飛流は右ローから右ストレート、小川は距離を詰めて左ストレートを狙う。

距離が近くなったところで左ボディから右フックにつなげた小川。相手にパンチを合わせられた猿飛流がバランスを崩す。しかし猿飛流も伸びる右ストレートで応戦、さらに右バックスピンキックで小川を中に入れさせない。ここで小川は右フックから半身で飛び込み、組みついて相手をケージに押し込んだ。猿飛流が切り返し、ケージ際での差し合いに。残り20秒で小川が両腕を差し上げて押し込んでいったが、猿飛流が小川の首を左腕で抱える。最後は離れ際に右ヒジを当てた。ジャッジ2名が10-9で猿飛流、1名が小川と、このラウンドは割れている。

3R、小川がプレッシャーを強める。組んだところで引き離した小川。猿飛流は左の関節蹴りを当て、小川の左ミドルは捌く。猿飛流の蹴りに合わせて右フックを狙う小川、そのまま組み付くが猿飛流が有利な組み手になると離れる。猿飛流の右前蹴りに右フックを合わせた小川、しかし猿飛流はそのパンチに右フックを合わせた。左ジャブを突く猿飛流に対し、小川は左ミドルを見せるがブロックされる。距離が近くなると、小川の左ボディがヒット。小川が左ボディ、左ストレートへつなぐ。さらに左ボディを相手のミゾオチに突き刺した小川。猿飛流の左フックも小川の顔面を捉える。

このラウンドはジャッジ2名が小川、1名が猿飛流と割れている。

4R、猿飛流の右前蹴りをキャッチした小川だが、テイクダウンは狙わず、スタンドで左右のローを見せた。猿飛流が入ってくるところに右フックを合わせる小川、さらに左ボディから右フックにつなげる。猿飛流が遠い距離から飛び込むも、小川はバックステップでかわす。しかし猿飛流が追い込み、右を顔面に当てて小川に尻もちを着かせた。立ち上がり組みつこうとする小川、反対に猿飛流が離れてパンチで攻め立てる。そしてもみ合いから組んでテイクダウンを奪った猿飛流。ハーフガードの小川にパンチを落とすが、小川が立ち上がる。

立ち上がり、小川のバックに回った猿飛流。小川はスイッチから離れた。ケージ中央で探り合う両者、小川は左ボディを突き刺す。さらに猿飛流の左サイドキック左ストレートを合わせた小川、左を中心に攻め込みグラつかせた小川だが、猿飛流も打ち返して打撃戦に。最後は猿飛流の左ヒックがヒットした。

ジャッジは3者とも10-9で猿飛流につけた。これでポイントはイーブンに。

最終回、小川のボディブローを嫌がるそぶりを見せた猿飛流。しかし猿飛流の右前蹴りも小川の顔面を捉える。猿飛流の口から大量の出血が見られるも、猿飛流はダブルレッグで小川に尻もちを着かせた。立ち上が小川のバックに回った猿飛流、小川の太ももにヒザを突き刺して削っていく。さらに猿飛流の右ヒザが小川の顔面に届く。ここで小川は猿飛流のクラッチを切り、スイッチして猿飛流に尻もちを着かせるも、猿飛流も切り返して相手をケージに押し込んだ。さらに小川も切り返すなど、ケージ際でスクランブルの展開が繰り広げられる。

残り1分30秒で相手をケージに押し込んでいるのは猿飛流だ。スイッチを狙う小川は、猿飛流の顔面に左ヒジを叩きつけるも、猿飛流はボディロックのまま押し込み続ける。そしてグラウンドに持ち込んだ猿飛流がバックマウントへ。完全にバックマウントを奪った猿飛流が小川の顔面にパンチを打ち込み、試合終了のホーンを聞いた。

シーソーゲームの末、最終ラウンドを抑えた猿飛流が判定勝ち。猿飛流がフライ級KOPに輝いた。
激闘を終えて疲労困憊の猿飛流は「まだ夢の中にいるみたいで信じられない。小川さんが強すぎて、1Rで心が折れてしまいました(苦笑)。途中で何十回も心が折れた。でも他の何を捨てても仙三さんが巻いていたベルトが欲しかった」と喜びを語った。


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ABEMA KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase326 RYO   シュウ・ヒラタ ハンセン玲雄 ロッキー川村2 中村倫也 中田大貴 亀井晨佑 内村洋次郎 内藤由良 名田英平 小川徹 尾崎龍紀 岩本達彦 松本光史 猿飛流 葛西和希 藤野恵実 透暉鷹 遠藤来生 高島俊哉 鹿志村仁之介

【Pancrase326】既に米国行きも視野に。本気になった鹿志村仁之介─02─「タップは早めにお願いします」

【写真】 (C)PANCRASE

本日21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326の第1部でハンセン玲雄と対戦鹿志村仁之介インタビュー後編。

柔道&柔術、そしてグラップリングからMMAへ。生きていくためにMMAに賭ける選択をした鹿志村──注目すべきは極め力だ。

<鹿志村仁之介インタビューPart.01はコチラから>


──食う手段がない……IGLOOの斉藤オーナーは逸鉄という東京スカイツリーや私鉄の駅などに関する工事、金属加工を請け負う企業のオーナーでもあり随時、社員を募集しているではないですか。採用条件が柔術家か格闘家、「経験よりも柔術家か格闘家であること」と明言し。

「あぁ、あれ良いですよね(笑)。いつも募集していますよね……でも、僕は格闘技に賭けてみようか思って」

──とはいえMMAを戦うのであれば、柔術アカデミーでなくMMAジムが存在しています。MMAの練習はどのような環境でやっているのですか。

「僕、水戸に自分のジムスペースを持っていて地元の知り合いで打撃の強い選手がいるので、その人と打撃の練習をし、1週間に3日ほど都内で練習しています。グラント・ボグダノフ選手のALMA FIGHT GYM LIFE、IGLOOでイゴール(タナベ)と住村(竜市朗)さんのMMA練習、それと横山武司さんとS/wells柔術ジムでやっています。横山さんもNEXUSでMMAデビューしたばかりで、意見を出し合って練習しています。ただ変わった練習といえば変わって練習ですね」

──聞く限り、都内の練習仲間で打撃を修得しているのは住村選手だけのように感じます。組み主体の練習なのでしょうか。

「そうなんです(笑)。住村さん、イゴール、グラントは体が僕より大きいですけど、体の動かし方とか凄く学ぶモノがあります。あとグラントのところでは吉野(光)君とも練習しています」

──吉野選手は大内刈りの強さが際立っている印象があります。

「あぁ、大内刈り……上手いッス」

──倒されることもありますか。

「テイクダウンは負けないッスよ(微笑)。テイクダウンは絶対に負けないです。でも吉野君とは激しくやっています」

──IGLOO所属でも青木選手や岩本選手たちの水曜昼のMMAグラップリングの練習への参加は?

「出たいんですけどね……。実は僕、中学2年生から3年生の時まで土曜日の朝のTRIBEの柔術クラスで青木さんに教わっていたんです。高校に入ってから部活が忙しくて通えなくなっていたのですが、IGLOOに入った理由の一つに青木さんが練習と指導をしているということもありました」

──おおっ!!

「今は水曜日の練習は参加していないのですが、青木さんの一般クラス……グラップリングクラスには出させてもらうようになっています。凄く丁寧で、普通の人たちが青木さんの技術を学ぶ、凄いクラスです」

──青木選手からプロ練習に誘われることは?

「ないですね。ただ青木さんは中学の時に習っていたことも覚えていてくれたし、きっと僕から言えば参加させてもらえるとは思います。この試合が終わったら、ガツガツ話させてもらおうと思っています。また東京に出て来たいですし、あとシュウ・ヒラタさんと契約したので夏頃には米国で練習しようと思っています」

──おおっ、展開が早いです。

「ハイッ!! もうNYに行くことしか頭にないです(笑)。やっぱりMMAを本気でやりたいので」

──今や格闘DEREMERSの熱さに負けない気持ちだと?

「絶対に負けないです。そこは大丈夫です。それだけ気持ちが入っています。強さでも負けないつもりです。それに番組には参加しなかったですけど、俺、髙谷さんが好きなんです。凄く熱くて、一本気で」

──ならEXFIGHTで変則的な凱旋試合もあり得ますか。

「戦う場所に関しては、全く拘りはありません。どこででも戦っていきたいと思っています。米国でも試合に出たいと思っていますし。向うには3カ月は行くことになりますし、最後の1カ月で向うでも戦いたい。あと、次の試合が終わっても米国に行くまでに日本で試合をしたいです」

──そんななかグラップリングとはいえ、2月16日にFINISHで上久保選手に横三角で一本勝ちしたのは大きな自信になっていないですか。

「大きかったです。ケージですし。ケージのなかで上久保さんに勝ったという結果が、大切です。ルールは何でも構わないので。壁に押し込まれてから、左足を抜いて横三角を取ろうと。あれだけを狙っていたので、狙い通りです。アレも柔道の寝技ですね」

──それだけの想いを持つようになったMMA、ハンセン玲雄戦では何を見せたいですか。

「MMAは総合的な選手じゃないと勝てないですよね。寝技に特化して強いのも勿論なんですけど、ちゃんと総合格闘技に取り組んでいる自分を見てほしいです」

──では米国行きを見据えて、今後戦っていきたい選手などいますか。

「ぶっちゃけの話、中村倫也選手ですかね……僕、けっこう体がしょぼいのでバンタム級に落とそうと思っているんです。でも中村選手は次も決まっているし、現実味がある試合としては、狩野君に借りを返したいです。フェザー級でやったら、どうなんだって。経験も知識もない中で彼に負けた。キャリアの序盤に黒星が付いているのは、自分としても取り戻したいです」

──了解しました。必ず書かせていただきます。では最後にMMAPLANETの読者の皆さんに対して、ハンセン戦に向けてアピールお願いします。

「かなり見てほしいところはあります。なかでもテイクダウンをしてからの極めに行くまでの速さと極め力に注目してほしいです。キープするより極め力、そこですね。ハンセン選手、僕は段階を踏んで極めるようにしていますがタップは早めにお願いします」

■視聴方法(予定)
3月21日
午後2時30分~ TIGET LIVE
午後4時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ Pancrase326計量結果

<フライ級KOPC/5分5R>
[王者] 小川徹:56.7キロ
[挑戦者] 猿飛流:56.5キロ

<ストロー級QOPC/5分5R>
[王者] 藤野恵実:52.15キロ
[挑戦者] KAREN:51.9キロ

<ミドル級王座決定戦/5分5R>
内藤由良:83.55キロ
ロッキー川村2:83.65キロ

<フェザー級挑戦者決定T/5分3R>
中田大貴:65.85キロ
亀井晨佑:65.85キロ

<フェザー級挑戦者決定T/5分3R>
岩本達彦:66.0キロ
Ryo:66.2キロ

<ライト級/5分3R>
葛西和希:70.55キロ
松本光史:70.3キロ

<フライ級/5分3R>
田代悠生:56.9キロ
前田浩平:56.85キロ

<フェザー級挑戦者決定T補欠戦/5分3R>
透暉鷹:66.2キロ
名田英平:66.2キロ

<フェザー級/5分3R>
遠藤来生:65.7キロ
内村洋次郎:65.75キロ

<ストロー級/5分3R>
高島俊哉:52.5キロ
尾崎龍紀:52.55キロ

<ライト級/5分3R>
渡部拓馬:70.4キロ
DARANI:70.05キロ

<ウェルター級/5分3R>
中村勇太:76.75キロ
髙橋攻誠:76.0キロ

<フェザー級/5分3R>
ハンセン玲雄:65.75キロ
鹿志村仁之介:65.35キロ

<ストロー級/5分3R>
大城正也:52.15キロ
植松洋貴:51.75キロ

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【Pancrase326】計量終了 第2部はタイトル直結ファイト。第1部は序列の再編成の兆候が……

【写真】 タイトル戦が軸、そんなパンクラスの2022年となるのか(C)PANCRASE

明日21日(月・祝)に東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPancrase326の計量が20日(日)、新宿サンエービル地下1階会議室で行われた。

1部と2部、2部構成になっている山の手のパンクラスは2部に王座決定戦を含めタイトル戦が3試合、さらにフェザー級挑戦者決定トーナメントが2試合(※第1部で補欠戦)と、タイトル直結のカードが組まれている。


冠はついていないが葛西と松本の勝者が、久米鷹介の持つライト級王座に近づくことも間違いない。

また1部でも前述のようにフェザー級挑戦者決定T補欠戦=透暉鷹×名田英平の中京×関西対決をはじめ、北海道から遠藤来生、九州からは中村勇太が参戦し、それぞれベテラン=内村洋次郎&デビュー戦=髙橋攻誠と戦う試合、さらに渡辺拓馬と尾崎龍紀と地方在住ファイターの試合も目立つ。

さらにはMMAに本気になった大器?!=鹿志村仁之介と戦うハンセンレオも神戸のreliable所属だ。TRIGGERの出現により、にわかに地盤の変化が全国的にみられるJ-MMA界──ちょっとした再編成が感じられる──ポスト・ディファ時代のパンクラス初イベント、その第1部だ。

■視聴方法(予定)
3月21日
午後2時30分~ TIGET LIVE
午後4時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ Pancrase326計量結果

<フライ級KOPC/5分5R>
[王者] 小川徹:56.7キロ
[挑戦者] 猿飛流:56.5キロ

<ストロー級QOPC/5分5R>
[王者] 藤野恵実:52.15キロ
[挑戦者] KAREN:51.9キロ

<ミドル級王座決定戦/5分5R>
内藤由良:83.55キロ
ロッキー川村2:83.65キロ

<フェザー級挑戦者決定T/5分3R>
中田大貴:65.85キロ
亀井晨佑:65.85キロ

<フェザー級挑戦者決定T/5分3R>
岩本達彦:66.0キロ
Ryo:66.2キロ

<ライト級/5分3R>
葛西和希:70.55キロ
松本光史:70.3キロ

<フライ級/5分3R>
田代悠生:56.9キロ
前田浩平:56.85キロ

<フェザー級挑戦者決定T補欠戦/5分3R>
透暉鷹:66.2キロ
名田英平:66.2キロ

<フェザー級/5分3R>
遠藤来生:65.7キロ
内村洋次郎:65.75キロ

<ストロー級/5分3R>
高島俊哉:52.5キロ
尾崎龍紀:52.55キロ

<ライト級/5分3R>
渡部拓馬:70.4キロ
DARANI:70.05キロ

<ウェルター級/5分3R>
中村勇太:76.75キロ
髙橋攻誠:76.0キロ

<フェザー級/5分3R>
ハンセン玲雄:65.75キロ
鹿志村仁之介:65.35キロ

<ストロー級/5分3R>
大城正也:52.15キロ
植松洋貴:51.75キロ

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【Pancrase326】猿飛流を相手に2度目の防衛戦、小川徹―02―「しぶとい相手を降参させたい」

【写真】笑顔あふれるトークとは一転、ベルトを持ってスイッチが入るとこの表情……これぞベルトを獲った者の顔だ (C)MMAPLANET

21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326で、猿飛流を相手にベルトの防衛戦を行う、フライ級キング・オブ・パンクラシストの小川徹インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

空手→自衛隊→デザイン会社経営というキャリアを経ながら、たどり着いたMMAの世界。しかし、MMAファイターとしてのキャリアは、決して順風満帆なものではなかった。上田将竜に喫した2敗、ライリー・ドュトロ戦のKO負け――敗戦を経験し、いかにして小川はパンクラスのベルトを巻いたのか。そして次の猿飛流では、どんな小川徹を見せてくれるのか?

<小川徹インタビューPart.01はコチラから>


――自衛隊を離れたあと、すぐにTRIBEへ入ったのですか。

「RJWの高田浩也さんの紹介で別のジムに入ったんですけど、そのジムも活動休止になってTRIBEに入りました。それが8年前ですね」

――なぜTRIBEに?

「当時はパンクラスのアマチュアに出ていて、僕はスーパーフライ級だったんですよ。プロではその階級のチャンピオンが清水(清隆)さんで、漆谷(康宏)さんも練習していたりと、本当に日本の軽量級のトップ選手がいたので。トップの人と練習すれば、一番早くトップへ行けるのかなと思いました。ただ、皆さん強すぎて何をどうしていいのか分からなかったです。どうすれば、ここまで強くなれるんだろう? でも、やるしかない。そう思って、ひたすら練習についていく毎日でした」

――その中で、MMAファイターとしての手応えを感じ始めたのは、いつ頃なのでしょうか。

「手応え……2015年にネオブラッド・トーナメントのスーパーフライ級で優勝した時ですかね。その頃に自分のスタイルとか、やりたいことが見えてきたんです。もともと空手がベースなんですけど、それまでは打撃もちゃんと使えていなくて。空手とMMAでは距離も違うじゃないですか。自分の中で、そこまで落としきれていませんでした。ずっと『ハマらない、ハマらない』と思いながら、かといって寝技も全然できずに」

――ベルトを獲得する前の試合では、2019年5月のマモル戦が印象に残っています。相手が仕掛けてくる前に小川選手がローで先手を取り、自分のペースに持ち込んでいました。

「マモルさんに勝てたのは自分にとって大きかったです。それまでは勢いで試合している感じだったんですよ。何だかんだで自分が競り勝つことができる、っていう気持ちで試合をしていました(苦笑)。でもマモルさんとの試合では、そういう勝負をしても勝てないですし、とにかく自分がやるべきことを徹底して。自分で試合をつくることができたというのが大きかったですね」

――なるほど。

「あの試合では、自分のマインド、感情を制御できるようになったかなと思います。2回目の上田戦は、自分の中で『行かないと、行かないと』と思って行ったら、ハイキックで負けてしまったんです。マモル戦の次――ライリー・ドゥトロ戦も、自分が行こうと思った時にパンチをもらってしまって。
行こうと思った時に行ける、それがトップファイターだとは思っています。でも一方で、試合の中でしっかり正しい判断ができることも必要なんですよね。行ける時には行ける、行かないほうが良い時には行かない、という」

――その判断は、上田選手との3度目の試合で実践できたのではないですか。フルラウンドに渡って、小川選手がコントロールしていました。

「この間の試合は僕がコントロールしたというか、セコンドの青木(真也)さんにコントロールしてもらっていたんですよね……」

――青木選手にコントロールしてもらった……というのは、どういうことでしょうか。

「青木さんから試合中はずっと、『行くな! 行かなくていい!!』と言われていました。僕が1、2Rを取ったあと、青木さんからは『相手は3R目から絶対に出て来るから、絶対に出て行かずに待て』と言われていて。それで僕は3、4R目も行かなかったんです。でも5R目も相手が来なかった時に、僕が少しイラッとしてしまったんですよ。こんな試合は面白くないと思って。そうしたら青木さんから『行くな!』と……。あぁ、ここで行ったらダメなんだと思いました(苦笑)」

――小川選手陣営では、そのようなやり取りがあったのですね。昨年秋は修斗で平良達郎選手がVTJに出場し、DEEPでも藤田大和×伊藤裕樹、神龍誠×福田龍彌といったフライ級の注目カードが続いていました。現在の国内フライ級の状況について、どのように思っていますか。

「神龍君は一緒に練習させてもらっているんですけど、やっぱり強いですよね。その中で自分は、まだ国内でトップ選手だとは言えないかなと思っています。でもパンクラスのベルトを獲ってから、トップに行ける自信はついてきています。そこで胸を張って、パンクラスのフライ級が一番強い、と言えるようになりたいですね」

――そんななか、2度目の防衛戦を迎えます。

「猿飛流選手は本当なら、トーナメントの決勝で対戦するはずでした。でも決勝が中止になって、僕がベルトを巻いて……もう心の中で引っかかるものしかなかったです。やっぱり試合で勝ってベルトを巻きたかったですよね。だから長南(亮TRIBE代表)にも、上田選手との防衛戦で勝って、みんなの前でベルトを巻かせてくださいと言っていました」

――猿飛流選手の印象を教えてください。

「寝技もスクランブルも強くて、根性もあるし、しぶといなっていう印象があります。仮に僕が上田戦のように、何もやらせないように封じ込んでいたとしても、絶対に突破口を開いてスクランブルに持ち込んでくると思うんです。そこでもう降参させる試合をしたいですね。組んでも打撃でもお手上げ、みたいな」

――最後に、小川選手にとって今後の目標を教えていただけますか。

「正直、どこに出たいというのはないです。まず目の前の強い選手に勝ちたい、それが一番ですね。今回のオファーを受けたのも、試合で自分のMMAをやりたいと思ったからなので」

――自分のMMAとは、どんなものなのでしょうか。

「……自分の中ではまだ、その答えは出ていないです。だから今回は、その答えを出すための試合じゃないかな、って思っています」

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【Pancrase326】猿飛流を相手に2度目の防衛戦、小川徹の意外なる遍歴―01―「全てはMMAをやるため」

【写真】意外な素顔が、どんどんと明らかになっていった小川 (C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326で、フライ級キング・オブ・パンクラシストの小川徹が、猿飛流を相手にベルトの2度目の防衛戦を行う。

昨年開催された暫定フライ級KOP決定トーナメントを制した小川が、暫定ながらベルトを腰に巻いた。その後、ONEに出場している正規王者の仙三が王座を返上し、小川のベルトから暫定の2文字が取れている。
そんな小川はこれまで、異色ともいえるキャリアを歩んできた。空手→自衛隊→グラフィックデザイン会社経営――インタビュー前編では、紆余曲折すぎるキャリアについて語ってもらった。全てはMMAのために。


――今回はまず、これまでのキャリアについてお聞きしたいのですが、どこから聞いていいのか……キャリアが異色すぎます。

「アハハハ、何でも聞いてください!」

――まず空手を始めたのは、いつ頃のことでしょうか。

「幼稚園の先生が空手の先生でもあって、それで幼稚園の時から空手に触れるようになり、実際に道場へ通うようになったのは小学3年生の時です」

――流派は?

「松濤館ですね。県大会で優勝して全国大会出場というのが一番大きな実績です」

――なるほど、松濤館だったのですね。それで現在の小川選手のファイトスタイルが理解できました。

「ありがとうございます。子供の頃から空手以外のスポーツはやっていませんでした」

――その空手が東京オリンピックの種目に決まった時は……。

「嬉しかったですね。ただ、五輪種目に決まったのは僕が高校生か高校卒業するぐらいのタイミングで、しかも実際に行われるのは10年後ぐらいでしたから。その時点で小学生や中学生の子たちが、20代半ばでオリンピックに出るような年齢設定だったので、自分が出たいとかオリンピックを目指すという気持ちはなかったです」

――その後、高校を卒業して自衛隊に入ったのですか。

「はい。大学からの誘いもあったんですけど、高校の時からMMAをやりたかったんです。当時はKIDさんがHERO’Sで活躍していて、それを見ながら『打撃だけでは本当の強さじゃないな』と感じていました。強さを求めて空手をやっていたんですけど、ここがゴールじゃないなと思って」

――MMAをやりたいと思ったのに、高校卒業は自衛隊に入ったのですか。

「それが……実は高校卒業後に少しだけ地元のMMAの道場に通いっていました。でもアルバイトしながら練習するという環境で、MMAのトップに立つ自信がなかったんです(苦笑)。それで東京に出てから、お金を貯める目的もあって自衛隊に入りました」

――結果、自衛隊には7年間も在籍したのですよね? お金を貯める目的にしては、長かったのではないですか。

「アハハハ。自衛隊に入ってみると、すごく楽しかったんです(笑)。自衛隊の中にレンジャーという課程があって、自衛隊に入ったからにはレンジャーの資格を取りたいと思ったんですけど、階級的になかなか行けるチャンスがなく……。でも入隊してから4、5年経ってからレンジャー課程に進むことができました。それが終わった頃には僕も24歳になっていたので、そろそろMMAに行かないと間に合わないなと思って」

――ただ、小川選手の戦績を見ると、2009年にケージフォースのアマチュアマッチに出場していますよね。これは自衛隊にいる時のことですか。

「はい……自衛隊にいた時です(苦笑)。一応、上司には話をしていたんですが、もっと上のほうには秘密になっていたと思います」

――当時MMAの練習はしていたのですか。

「これも今までインタビューとかでは言っていないんですけど――自衛隊の練馬駐屯地に配属されている時、高田浩也さんが代表をされていた時の和術慧舟會RJWに入会していました。当時のRJWは、和光にあったA-3の中のクラスみたいな形で、そこで週1回ぐらい練習していたんです」

――次のアマチュア出場が2012年なので、その間に自衛隊から離れてMMAに専念したということですね。一方で、グラフィックデザイナーとしても活動していたというのは……。

「僕自身、デザインの仕事をやるとは全く予想していなかったです。自衛隊を辞める時に相談していた先輩がグラフィックデザインや名刺を作っている会社その事務所に居候させてもらっていました。居候させてもらっているからには、何か手伝いたいと思って。まずは自分の名刺を作ってみようと考えて、デザインを始めました。それまでパソコンを触ったこともなかったんですけど……」

――そのような状態から、ご自身のデザイン制作会社を立ち上げるまでに!?

「最初は、先輩のパソコンを借りて、電源を消す時にいきなり電源ボタンを押して怒られるぐらいでした(笑)。当時は自衛隊にいて貯金もできていたので、練習しながら少し時間もあったんです。その間に自分の名刺を作っていたら、知り合いの方から『俺の名刺も作ってよ』とお仕事を頂くようになり……。そうしたら意外とデザインの仕事にハマっていって」

――自衛隊でレンジャーの資格を取り、グラフィックデザインという手に職をつけ、それでもプロMMAファイターになろうという想いは消えなかったのですか。格闘技は、プロデビューしてもファイトマネーだけで生活することは難しい状態が続きます。それよりは身につけた資格や技術で食っていこうとは……。

「いや、逆ですね。格闘技だけで食っていくのは難しいことが分かっていたから、生活を安定させるためにデザインの仕事を始めたんです。自衛隊に入ったのも、デザインの仕事を始めたのも、全てはMMAをやるためでした」

<この項、続く>

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【Pancrase326】「頂点の試合として」年齢差、経験の差、過去最大。KARENの挑戦を受ける藤野恵実―02―

【写真】MMAファイターとしてグラップリングの試合、しかもアマチュアの試合まで出ている藤野にはMMA王者のプライドがある (C)MMAPLANET

21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326で、ランキング1位のKARENを相手にストロー級クイーン・オブ・パンクラスの防衛戦を行う、藤野恵実インタビュー後編。

対戦相手のKARENは現在18歳、2019年にパンクラスでプロデビューして以降、4戦無敗だ。藤野にとっては年齢でもキャリアでも大きな開きのある選手との試合となる。しかし、その年齢もキャリアも関係ない、と藤野は言う。決して相手を舐めているわけではない。そこに、格闘技と共に生きる藤野恵実のMMAがある。

<藤野恵美インタビューPart.01はコチラから>


――藤野選手にとってMMAの試合は、昨年9月の浜崎朱加戦(RIZINで判定負け)以来となります。今回の試合オファーは、いつ頃届いていたのでしょうか。

「今年に入った時点で来ていたとは思います。その前から試合のお話はあって、実際に試合はなくても、試合のことは意識していました。ただ、試合がないからって練習しないっていうわけではないし、普段から取り組む意識も変わらないです」

――練習仲間でもある黒部三奈選手も、以前のインタビューで同じことを言っていました。

「アハハハ、そういうところは似てくるんでしょうね。2人の共通点として、他に楽しいことがないんですよ(笑)。ただ楽しいから格闘技をやっているだけで、キツいと感じてはいないからじゃないですか。他に楽しいことがあれば、他のことをやっていると思います」

――端貴代選手も昨年パンクラスの女子フライ級王者となりました。この年齢とキャリアで、まだ強くあり続ける。本当に凄いことだと思います。

「今も貴代ちゃんと練習しているんですけど、彼女もずっと練習しています。貴代ちゃんの練習、知っていますよね?」

――ここ数年の練習は分かりませんが、以前に拝見したことがあります。常に追い込んで、追い込まれて……とにかくハードな練習でした。

「今も変わらないですよ。試合がない期間の練習でも、試合と同じような檄を飛ばされて。だから、ずっと強いんだと思います」

――なるほど。端選手は昨年10月、20歳の年齢差があるNØRI選手を下しての戴冠でした。今回、藤野選手と対戦するKAREN選手はまだ10代です。

「相手の年齢やキャリアについては、もうあまり意識していないですね。あくまで一人の対戦相手として考えるだけ。誰であろうと挑戦権を得たら、その選手が対戦相手になるので」

――では対戦相手としてのKAREN選手の印象を教えてください。

「もともとサークリングを多用する選手が多いチームですけど、その中でも彼女はまだ打ち合おうという気が見えますよね」

――確かに、以前はサークリング&サイドキックというパターンが多かったチームですが、KAREN選手には距離が近くなれば強烈なヒジ打ちがあります。

「彼女もヒジ打ちを出すまでは、だいぶ動き回りますけどね(苦笑)」

――ただ、そこでヒジ打ちが出るのはファイターとしての成長かと思います。サークリング&サイドキックというパターンだけでは、それが判定で優位になるためのパターンなのか分かりませんでしたが……。

「ポイントを取るためにやっているなら、それはそれで良いと思うんです。でも私たちがやっているのは格闘技なんですよ。格闘技で勝つためのパターンでなければ、その戦い方はどうなのかと……。でも彼女は打ち合うし、そこで結果を出してきていますからね」

――そんなKAREN選手を相手に、どのように戦いますか。

「相手がやってくるのは、蹴って離して、距離が近くなればヒジ――ということですよね。でも彼女が一本を取ることはできないと思います。もちろん格闘技の試合に100パーセントはないけど、グラップリングのほうがキャリアや経験の差が出てしまうので。

今、彼女はそこまでグラップリングをやっていないんじゃないですか? だから理にはかなっているんですけどね。グラップリングをやっていないから、蹴りで突き放してからヒジというパターンは」

――KAREN選手もNØRI選手も、グラウンド状態になった瞬間、優位なポジションでいれば攻め込んできます。しかし下になった時の足の利かせ方からは、できるだけ寝技を避けたい……というイメージは感じられます。

「私がやっているのは、あくまでMMAですから。しかもこれはタイトルマッチなので。頂点の試合としてやらせてもらうからには最低限、全てのことができないといけないと思っています。グラップリングが得意ではないからグラップリングは避けたい、というのは違いますよね。そんな試合だと、他のチャンピオンたちに申し訳ないです」

――これまで藤野選手が戦ってきたチャンピオンに対して申し訳ない、ということですか。

「それもありますけど、同日のパンクラスでタイトルマッチをやる選手たちに対してです。たとえば、メインの小川徹選手と猿飛流選手、どちらも何かをやりませんっていう選手ではないですよね。あの2人も、MMAの中で持てる全てを出すはずです。そういう中で私とKAREN選手との試合はどうなるんだろうな、っていう気持ちはあります」

――そこで藤野選手がMMAというものを見せつける試合にしたいですか?

「そう思います。試合はやってみないと分からないところがあるし、彼女も決して弱い相手じゃないです。ここまでヒジという武器で、結果を残してきているから。それはそれで凄いことですよ。でもMMAってそれだけじゃないよ、と思うところはありますね」

――楽しみにしています。最後に、MMAPLANETの読者の皆さんへ、試合への意気込みをお願します。

「試合は相手あってのものだから、どうなるかは分からないです。でも毎試合、前回よりも強くなっている姿を見せたいと思っています。そのために練習をしているので。それを見てほしいです。私がクイーン・オブ・パンクラシストだっていうところを見せたいですね」

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ABEMA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase327 上田将竜 小川徹 有川直毅 木下憂朔 杉山廣平 村山暁洋 猿飛流 藤田健吾 鶴屋怜

【Pancrase327】このままで終われない九州男児・上田将竜が、グラジ効果の有川直毅と対戦

【写真】業界の巡りとして、良いカード(C)MMAPLANET

16日(水)にパンクラスから4月29日(金・祝)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase327で上田将竜×有川直毅のフライ級マッチが組まれることが発表された。

木下憂朔×村山暁洋、鶴屋怜の参戦が話題の立川大会で決まった。MMA好きにはじわるカードが決まった。


フライ級暫定王座決定トーナメント=猿飛流戦に敗北、その猿飛流の負傷により巡ってきた──不戦勝で王者に認定された小川徹の持つベルトへの挑戦と3度のタイトル挑戦機会を逸した上田は、リリースによると引退も考えたという。

戦い続ける選択をした、上田の再起戦の相手を務める有川はZSTからパンクラスとほぼほぼ順調にキャリアを積んできたが、一昨年7月に杉山廣平に一本負け。それでも昨年6月に山中拳次に判定勝ちを収め再起を果たしている。

今年の1月にはGladiatorで藤田健吾を判定で破り、ヘッドライナーとして熱いファイトをやってのけた。打撃と組みを融合させ、ここ一番でテイクダウンを奪い切る戦いを藤田戦でしっかりと見せた有川。首都圏で試合機会が空いた間に、大阪のグラジエイターで成果を挙げて──のタイトルコンテンダー上田と対戦機会をゲットした。

この流れは契約なき独占ではなく、各プロ―ションの循環が見られる良いマッチアップといえる。もちろん、上田とってはこれ以上負けられない、キャリア何度目かの崖っぷちの状況で迎える一戦は、有川にとってさらに上を目指す大切なファイトとなる。

有川を回転させるか、遮断できるか。やや相手を見る傾向がある最近の上田にとって、先手を打つことが大切な一戦だが、有川とすれば当然それを許したくはない。と同時に先手を取られても回せるか、そこが問われるとういう見方もでき、有川にとってもキャリアップの試金石となるマッチアップだ。

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ABEMA MMA MMAPLANET PANCRASE Pancrase326 ハンセン玲雄 ブラジリアン柔術 プロレス ロッキー川村2 内藤由良 小川徹 尾崎龍紀 山北渓人 狩野優 猿飛流 藤野恵実 野田遼介 風間敏臣 高島俊哉 鹿志村仁之介

【Pancrase326】追加カード続々。ブレーキの壊れたハンセン玲雄×ブレーキ無用のSub=鹿志村仁之介

【写真】エンジン全開サブミッション、鹿志村がMMA4戦目に挑む(C)ZST

3月21日(月・祝)に東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPancrase326の追加カードの発表が続いている。

内藤由良×ロッキー川村2の間でミドル級王座決定戦、女子ストロー級タイトル戦=藤野恵実×KAREAN、フライ級選手権試合=チャンピオン小川徹×チャレンジャー猿飛流とトリプルクラウン大会。27日(木)にライト級=渡部拓馬×DARANI、28日(金)にはストロー級の高島俊哉×尾崎龍紀、フェザー級のハンセン玲雄×鹿志村仁之助というカードが公となった。


渡部×DARANIは10勝10敗1分の前者と、6勝6敗1分と勝率5割同士の対戦だ。上位進出への交通手形となる白星先行という状況を欲していることは間違いない。そこでこうじる手段がどうなるのか。

高島と尾崎の一戦は、ネオブラT優勝者同士の東西対決となった。昨年5月に野田遼介を相手に、手痛い一本負けを喫したものの年内に再起の勝利を挙げた高島に対し、尾崎は同門である山北渓人に一本負けを喫し2連敗中だ。3連敗、そしてMe,We勢に対して連敗は許されない──それが尾崎に心境だろう。

リリースで「ブレーキの壊れた殴り屋・ハンセンが馬場に上陸。鹿志村は同郷・同門だった風間敏臣を超えられるか?」と、ハンセンと馬場という往年の全日本プロレスを連想させる煽りの文字が躍っていたハンセン×鹿志村戦は、黒星先行ながら3連勝中のハンセンと、4戦目の鹿志村という現状でのマッチアップだ。

煽りの一文にあるように鹿志村は昨年のネオブラ優勝、23日の石渡伸太郎引退興行でも生きの良い若手が揃った4人制トーナメントを制した風間とパラエストラ茨城時代の同期だ。大学進学とともに状況し、現在はIGLOOに所属、ZSTのGTFの活躍後、パンクラスでプロMMAデビューも2戦目にして狩野優に敗れる。

そして格闘DREMARSで一次をパスしながら辞退と話題にことかかないルーキーは、昨年は全日本ブラジリアン柔術選手権で茶帯ミドル級を制し、プロ3戦目も腕関節で一本勝ちと自信の強い部分でしっかりと結果を残している。ハンセンの殴られても殴るというスタイルは、鹿志村にとって嫌な部分であることは間違いない。とはいえ関節技に入るスピード、一気に極める鹿志村のサブミッションもブレーキ無用の怖さを持っている。

タガが外れた一面を持つ者同士、短期決戦も十分にありうる

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ABEMA ISAO MMA MMAPLANET ONE PANCRASE Pancrase326 RYO ロッキー川村2 上田将竜 中田大貴 久米鷹介 亀井晨佑 仙三 内藤由良 名田英平 小川徹 岩本達彦 松岡嵩志 松本光史 林源平 猿飛流 葛西和希 藤野恵実 透暉鷹 雑賀ヤン坊達也

【Pancrase326】3つ目のタイトル戦は小川×猿飛流。中田×亀井&岩本×Ryoのフェザー級T、葛西×松本も

【写真】互いに戦っておかなければならない相手との試合、だ(C)MMAPLANET

24日(月)から本日26日(水)に掛けてパンクラスから3月21日(月・祝)に東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPancrase326の追加カードが3日連続で発表されている。

内藤由良×ロッキー川村2の間でミドル級王座決定戦、女子ストロー級タイトル戦=藤野恵実×KAREANに続き、3試合目のタイトル戦=フライ級KOTCが同大会で組まれる。24日(月)に同日付でフライ級正規王者の仙三が「王座防衛戦の見通しが立たない」ということで返上し、暫定王者から正規王者となった小川徹に猿飛流が挑戦することが決まった。


両者は昨年行われた暫定フライ級王座トーナメントの準決勝で勝利し、王座決定戦を戦う予定だったが猿飛流の負傷で予定通りに試合が消化できず自動的に小川の腰にベルトが巻かれることになった。

その小川は本来、王座決定戦がマッチアップされる予定だった昨年10月大会で、上田将竜を相手に3度目の正直となる判定勝ちで初防衛に成功している。両者にとってまさに未完の対決──猿飛流が追う立場で実行される。

火曜日にはフェザー級KOPのISAOへの挑戦権を賭けて、4人制の王座決定トーナメントが組まれることが公とに。準決勝が3月大会、決勝は4月29日の立川大会で組まれる。

状況によっては、ワンナイトよりも過酷なトーナメントはランク1位の中田大貴と同3位の亀井晨佑、同2位の岩本達彦と 同4位のRyoの間で準決が実施され、補欠戦ではランク5位=透暉鷹×ランク8位=名田英平も決まっている。

本来、ランクに基づいた4人制トーナメントは1位✖4位、2位✖3位が戦うところだが、既に中田がRyoとパンクラスでなくRoad to ONEで岩本に勝利していることが初戦の顔合わせに関係しているのであろう。

また補欠戦出場選手を加えると、トーナメント出場選手の相関関係はRyoが透暉鷹、岩本が名田に勝利しており、亀井は誰とも拳を交えたことがなくトーナメント中に誰と対戦しても初顔合わせとなる。

そして本日発表されたのは葛西和希×松本光史のライト級戦だ。

昨年9月に暫定タイトルコンテンダー林源平で判定ながら完勝した葛西に対し、松本は12月大会で松岡嵩志に衝撃的な76秒KO勝ちで再起した。KOP久米鷹介もそうだが、勝者が雑賀ヤン坊達也との絡みも期待したくなる──勝てば確実にゲインする顔合わせだ。

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猿飛流

PANCRASE324:メインイベント・小川徹 vs. 上田将竜

フライ級暫定王座防衛戦5分5R。

暫定王者決定トーナメントで決勝に進んでいた小川だが対戦相手の猿飛流が負傷欠場となり、戦わずしてタイトル獲得。決勝戦の代わりに王座防衛戦が組まれ、相手は過去2戦2敗の上田。勝って堂々とベルトを巻きたい。

上田は同じく暫定王座決定トーナメントに出ていたが猿飛流に敗れてタイトルへの夢が潰えたところだったが、思わぬチャンスが巡ってきた。34歳でこれがラストチャンスになってもおかしくない。

前回KOした右ハイをオープニングで放った上田。前蹴り。小川は間合いに入らず様子見。ボディから右フックを放った小川。当たってないがバランスを崩した上田。小川パンチで飛び込み組み付いた。ボディロック。シングルレッグに切り替えたがこらえて膝を入れる上田。ホーン。

オープンスコア三者小川。

2R。上田ミドル。小川また飛び込んで押し込み。押し込まれたままの展開が続く上田だがこのままではラウンドを落とすだけで、何をやりたいかが見えない。小川がテイクダウンを狙うがこらえるのみで時間が過ぎる。細かい打撃は入れているが…。投げを狙った小川。こらえてパンチを入れる上田だがまた押し込まれる。肘で抵抗する上田。ホーン。

オープンスコア二者小川、一者上田。

3R。また蹴りから入れていく上田だが、じわじわ下がってケージ際に。ステップしない上田。単発の打撃の入れ合い。上田は特に単発の蹴りしかない。また小川が出て押し込む。こうなるとラウンドを落つのは確定だが、上田1、2Rと同じくこらえるだけの姿勢。小川が足をかけて倒しに行く。こらえる上田。ホーン。

3Rも三者小川。もう判定勝ちはないと見ていい上田だが何か変えてくるか?このシチュエーションになってから変えたところでという気がするが。

4R。やはり上田単発の蹴りだけ。小川はフェイントを見せる。上田飛び込んだが逆に組まれてまた1~3Rと同じ体勢に。小川テイクダウン。サイド。上田下からホールディングするだけ。小川が密着したままパウンド・膝。ホーン。

4R三者小川。

5R。前に出た上田だが頭があたりバッティング。再開。やはり単発の蹴りしかない上田。手を出すのはむしろ小川。小川の踏み込みにカウンターを合わせようとしているのかもしれないが、小川は行かなくていいから何も起きない。残り1分になってセコンドが急に煽り出した。パンチで出ると四つに組んだ上田。セコンドは離れて殴れという指示だが無視してクラッチしたまま膝を入れる上田。タイムアップ。

判定三者49-46×2、48-47の3-0で小川勝利。

勝つ気持ちが見えなかった上田。判定では負けが決まった5R終盤に組んでケージに押し込んだのは何故。