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【DEEP SF2024】5年5カ月振りの復帰戦、長谷川賢「体的にはすげえ辛いです。でもむちゃくちゃ楽しい」

【写真】凄まじい経験をして、今、ここにいる長谷川賢 (C)TAKUMI NAKAMURA

31日(土)に東京都江東区の青海R区画野外特設ステージで開催(※※雨天の場合は9月1日(日)に順延)されるDEEPサマーフェスティバル2024inお台場にて、長谷川賢がSAINTと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

イベント・タイトルにあるようにメインはジャレッド・キャノニアー×カイオ・ボハーリョが組まれた。通算戦績16勝1敗、2021年にコンテンダーシリーズからUFCに昇格したボハーリョは、オクタゴンでも8連勝中だ。そのボハーリョ、実はLFAブラジル大会でコメンテーターを務めており、英語で同朋のファイターたちの試合の模様を解説している。

2019年3月のONE日本大会でのオンラ・ンサン戦を最後に5年以上、試合から遠ざかることになっていた長谷川。ンサン戦は試合中の負傷に緊急手術を余儀なくされ、2022年に決まった復帰戦も腰の負傷によるキャンセルせざるをえなかった。

この間はPROGRESS実行委員会を率い、Gladiator、DEEP、BLOOM FCらの大会で外国人招聘のサポートをするなど、大会を運営する裏方として活動を続けていたが、ONE参戦前のホームリング=DEEPにて復帰戦を迎えることになった。怪我から復帰戦が決まるまでの道のり、試合以外での活動を通して感じたことなど、長谷川が格闘技に携わる一人として今の自分について語った。


家から2~3分のところにあるコンビニに松葉杖をついて20分かけて行った

――約5年5カ月ぶりの試合復帰が決まりました。最近では大会運営など裏方で活躍することが多かった長谷川選手ですが、試合したいという気持ちはずっとあったのですか。

「ありましたね。ただその気持ちを抑え込んでいたというか。試合するまでにクリアしなきゃいけないことが多かったんですよね」

――2019年3月のONE日本大会でのンサン戦を最後に試合から遠ざかる形でしたが、契約そのものはどういう状況だったのですか。

「ONEの方からは特に連絡がなくて、一度マネジメントを通して確認した時はまだ契約は切れてないという感じの返事だったんです。だからもし復帰戦をやるならONEという状況で、中途半端なまま復活は出来ないと思っていました。僕自身、ンサン戦以降はセミリタイア状態だったし、トレーニングキャンプに入る時間もなければ、キャンプそのものに耐えられる体も作れていない。

正直もう一度、ONEのあのレベル・強度で試合をする状況は整えることは出来ていなかったです。その一方でONEと契約がどうなっているかの話は進んでいなくて、改めてONEに契約の確認をしたら契約が切れたということで、それで復帰する舞台の選択肢が広がった感じですね」

――では身体と契約の状況もあって、なかなか復帰戦を明確に考えることができなかった、と。

「はい。ンサン戦後の手術もあって、最初の2年間は試合が出来なくて、2022年2月に復帰戦が決まったんですけど、その試合を腰の怪我で飛ばしちゃったんですよね。その怪我もかなり重症で1年くらいまともに動けなかったんです」

――長期欠場の理由はンサン戦の怪我だけではなかったんですね。腰の怪我は日常生活にも影響があるレベルだったのですか。

「はい。腰とケツが常に張っていて激痛が走るから、まっすぐに立っていられないんですよ。ずっと体が右に傾いていて、前屈もできない。トイレに行くのにもものすごく時間がかかったり、家から2~3分のところにあるコンビニに松葉杖をついて20分かけて行ったり、1日5個にしてくださいと言われていた座薬を10個使ったり………とにかく生きていて辛かったです」

――結局どこの負傷だったのですか。

「医者からはヘルニアと梨状筋の(怪我)と言われていました。とにかく色んな治療にチャレンジして少しずつ少しずつ良くなって、最終的にはPRP注射で回復した感じです」

北米に挑戦したり、上を目指すルートを創りたいと思って活動していますが、意外とそういう考えの選手は少ない(苦笑)

――そういったこともあって現役を続けるよりも、運営側にに回っていこうという考えになっていったのですか。

「試合はしたいけどできない。だからそういう(運営側に回る)タイミングなんだなと思いましたね。僕は選手の待遇面を変えたいというか、イベントの手伝い、色んな選手にチャンスを与えることをやっていこうと思いました」

――具体的にはどういった活動をされているのですか。

「主に外国人選手の招聘を手伝っています。僕としては日本にいながら外国人選手と試合をする機会を作って、そこから北米に挑戦したり、上を目指すルートを創りたいと思って活動しています。そういう道を目指す選手にどんどん出てきて欲しいのですが、意外とそういう考えの選手は少ないというのが現状です(苦笑)」

――今の日本のMMAは外国人選手と試合をする機会が少ないですよね。

「今は外国人選手と戦うというハードルそのものが高いですよね。例えばずっと日本人相手に戦っていた選手がRIZINに出るチャンスを掴んで、そこでいきなり強豪外国人選手と試合が組まれたら相当キツくないですか? 今の日本のMMAは戦う舞台・相手のレベルが一気に変わってしまうというか、僕もプロで13戦してRIZINでブレナン・ワードとやったんですけど、全くパンチが見えなかったんです。

それまで3試合ぐらい経験した外国人選手と、ブレナンは明らかにレベルが違いました。そこで初めて打撃をちゃんと教わろうと思うようになったのですが、もしDEEPで試合をしている時にそういう相手とやれていたら、もっと早い段階で打撃を強化しようと思ったと思うんですよね。だから僕は(日本人と)同じレベルか少しチャレンジするレベルの外国人選手……フィジカルがあって得意な部分と穴を併せ持っているようなアジアの選手を招聘して、大舞台や世界を目指す選手に経験を積んでもらいたいと思っています」

――そういう意味では長谷川選手が携わっているGladiatorから河名マスト選手がRoad to UFCに出場したことは、それまでやってきたことの成果ですよね。

「そうですね。自分のことじゃないのに自分のことのようにうれしかったです(笑)」

佐伯さんからは「お前、ONEと契約切れたらしいな。早く言えよ!」と

――その中でDEEPで復帰戦が決まるわけですが、これは長谷川選手の方から手をあげたのか、佐伯繁代表から声がかかったのか。どういった流れで決まったのですか。

「ずっと周りの人は僕に試合をさせたがっていて(ONEの)契約切れが分かったその日に佐伯さんから電話がかかってきたんですよ。しかもマネージャーから契約切れの連絡があった30分後くらいに。誰から聞いたのか分からないですけど(笑)」

――まさに速攻ですね(笑)。

「佐伯さんからは『お前、ONEと契約切れたらしいな。早く言えよ!』と言われて『僕もそれを知ったのが30分前なんですけど…』みたいなやりとりをして(笑)。それで8月に野外イベントをやるんだけど出てみないかと打診されて、ドラゴンボールの天下一武道会みたいで楽しそうだなと思って決めました」

――話をまとめるとONEの契約切れが分かって、すぐに復帰戦が決まったんですね。

「はい。最初の電話で佐伯さんから『明日、事務所に来て』と言われて、次の日にはイベントの詳細と『対戦相手はSAINTでどう?』と言われて。相手のことはよく分からなかったんで『誰でもいいですよ』と言ったら、目の前で佐伯さんがSAINT選手サイドに連絡を入れて、2~3分後にOKの返事が来たんです。だからONEと契約切れが分かって、24時間経たないくらいで復帰戦が決まっていました(笑)」

――まさに怒濤の1日でしたね(笑)。練習自体は動ける範囲で続けていたのですか。

「ちょいちょいやってたんですけど、趣味レベルですね。体を動かして気持ちいい感じでやる練習みたいな。だから今試合に向けて追い込んでいて、体的にはすげえ辛いです。でもむちゃくちゃ楽しいんですよ」

――厳しい練習すら楽しめていますか。

「はい。周りからも最近顔が変わったよって言われるんです。そのくらい格闘技を楽しめていますね。なんでこんなに楽しいんだろう……あんなに辛いのに。だからバカなんですよ。最高のバカです(笑)」

――怪我を含めて本当に大変な時期を過ごしたと思うのですが、それでも戦いたいと思ったということは、何かしらまだ試合に対して気持ちが残っていたということですか。

「ンサン戦のあの内容じゃ終われないですよね。僕の中では中途半端な形で終わっちゃったんで」

――ンサン戦は試合中にンサンのミドルキックで横隔膜が切れて出血し、最後はンサンの右フックからのパウンドでTKO負けという結果でした。試合後には緊急手術も受けるなど壮絶な試合でしたが、あの試合は結果や内容に対して悔い、やり残しがあったのでしょうか。

「あの試合はやり残したことがあるというか、やり切れなかった、出し切れなかったんですよね、自分を。まあ試合中にアバラが折れて力が入らないから、そりゃそうだよなとは思いますけど」

――実際にあの時は試合中どういう状況だったんですか。

「僕の左ストレートにンサンの右ミドルがカウンターでもろに入る場面があったんですけど、おそらくそれだと思います。ミドルの衝撃が明らかに変だったんで。なんて言うんだろう。とにかく痛いんですよ。固いものと固いものがぶつかって、こっちの固いものが負けた感じというか。とにかく普通じゃない痛みだったので、何かしらのトラブルがあったことはすぐ分かりました」

「このまま朝まで出血が続いたらどうなると思う? 朝になったら死んでるよ」と言われちゃって(苦笑)

――今まで格闘技をやっていて感じる痛みではなかったですか。

「いや、そういう痛みは何回か経験しています。眼窩底骨折で試合が終わった時とか、前十字(靭帯)を切った時とか。その時と同じくらいの痛みだったので、試合後はただで済んでないだろうなとは思いました。でも試合中そんなことは頭の片隅にしかないじゃないですか。とにかく勝つことだけを考えて、この状況でどう勝とうかを考えてましたね」

――ただ身体は言うことを効かなったと。

「はい。とにかく痛くて体を回せないし、ガードを下げたら顔をやられるからガードは下げられない。それでもう正面突破するしかないと思って行ったら、案の定ンサンに右を打ち抜かれました」

――試合後はすぐに病院に搬送されたのですか。

「試合直後にドクターに『アバラがやばいです』と伝えたら『折れているだけだから、明日病院に行ってください』と言われたんですよ。でも控室に戻ってから明らかに痛みがおかしいんです」

――それは周りも気づいていたのですか。

「いや、周りは気づいてなかったです。ただ僕は過去にアバラを折ったことがあるし、その時とは痛みの度合いが違ったんで『絶対におかしいから、今すぐ病院に行かせてくれ』と頼んで病院に搬送してもらいました。ただそこがあまり大きくない病院だったこともあって(アバラは)折れてないという診断だったから『嘘でしょ?』と思って、絶対折れてるからCTスキャンを取ってくれてとお願いしました。

それでCTを見たらアバラが折れていることが分かって、しかも肺の横に血が溜まっていると。それですぐ大学病院に連れていかれました。この時は本当に意識がなくなりそうになっていて、緊急搬送の隊員さんが来てくれたときには椅子にも座っていられなくて、地面に寝転がっていたんです。そこから段々気持ち悪くなってきて、血圧も3分前は130ぐらいあったのが、一気に82くらいまで下がっちゃって。正直、その3分くらいの間に『俺、このまま死ぬな』と思いましたよ」

――そうだったのですね……。

「大学病院に運ばれて点滴を入れてもらったら少し回復して。それで麻酔を打ってもらって、溜まっている血を抜くわけですけど、僕は筋繊維と脂肪繊維が分厚いから血を抜くための針が簡単には通らないと。アバラとアバラの間に針を刺すんですけど、それがもうあまりにも痛すぎて。痛みで失神寸前でした」

――しかも出血量そのものが2リットルですよね。

「抜かれた血は容器に入れられてベッドの下に置いてあったんですけど、2リットルって一番デカいペットボトルくらいの量じゃないですか。それを見たときに自分でもひきましたね。しかも血を抜いて終わりじゃなくて、そこから傷口をふさぐための手術が必要だと言われて。でもあまりに体がしんどいから『血を抜いて終わりじゃないんですか?』と言って抵抗したんですけど『このまま朝まで出血が続いたらどうなると思う? 朝になったら死んでるよ』と言われちゃって(苦笑)。

傷の場所によっては胸を開いて手術しなきゃいけないと言われて、それは本当に嫌だったんですけど、命と引き換えにはできないじゃないですか。そうしたら不幸中の幸いで、胸は開かずに内視鏡による手術で済みました」

――もし最初のドクターの診断に従って翌日病院に行こうと思っていたら、と思うとぞっとしますね。

「今ここにはいなかったと思います。あとでこのことを知り合いのドクターに話したら、むちゃくちゃ怒っていましたね。どういうことだ!?って」

選手にいい想いをしてもらいたいと言っている人間が下手な試合はできない

――そういった経験をしたからこそ、悔いなく格闘技をやりたいとか、選手に対して少しでもいい思いをさせてあげたいとか、そういった考えを持つようになったのでしょうか。

「そうですね。選手としては試合中の怪我で自分を出し切れなかったという悔いが残っていたし、裏方としてはみんながみんな恵まれた条件・環境で試合が出来るものではないから、何かを変えなきゃいけない。自分が出来ることをやりたいと思うようになりましたね」

――今回はファイターとしてリングに立つわけですが、自分の試合を通してどんなものを見せたいですか。

「きっと僕のような経験をした選手は少ないと思うんですよね。で、復帰が決まってから逆に恐怖心がなくなったというか、練習でも前よりも怖くなくなったというか、気にしなくなりました。それが試合になった時にどうなるのかは自分でも分かりません。あとは試合には関係ないことかもしれませんが、選手にいい想いをしてもらいたいと言っている人間が下手な試合はできなくない?とは思っています」

――そういった意味では今までの試合とは責任感も変わりましたか。

「昔とはちょっと違うかなと思っています。正直、自分がどれだけ強くなってるか?というのはないんですよね。もし5年前の僕だったら、SAINT選手は問題ない相手だったと思います。でも今回は自分の弱さと向き合いたいというか、試合では怖さをなくして戦いたいです。練習では怖くないようになっているから、いざ試合の時にどうなっているのかですよね。

技術的にはなぜか上がっているところもあって。打撃に関しては技術的に良くなっている。結構人を倒す感覚を掴んでるんですよ。コツン!とやれば、こうやって倒れるんだみたいな。練習では相手にちょっと嫌な顔をされることが多くなりました」

――今の長谷川選手だからこそ見せられる試合があると思うので、それを楽しみにしています。

「ンサン戦で悲しい想いや落胆させた人たちがいたり、もっと頑張ればいいじゃんと言ってくれた人たちもいます。怪我で試合が空きましたけど、前回悲しませた人たちに復活したんだぞという姿を見せたいですね」

■DEEP Summer Festibal in Odaiba視聴方法(予定)
8月31日(土)
午後5時50分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■ DEEP SFIO対戦カード

<メガトン級/5分3R>
長谷川賢(日本)
SAINT(米国)

<フェザー級/5分3R>
西谷大成(日本)
海飛(日本)

<バンタム級/5分3R>
窪田泰斗(日本)
日比野”エビ中”純也(日本)

<バンタム級/5分2R>
大岩翔哉(日本)
Akiyoshi(日本)

<フェザー級/5分2R>
劉獅(日本)
安井飛馬(日本)

<バンタム級/5分2R>
朝比奈龍希(日本)
漆間將生(日本)

<54キロ契約/5分2R>
坂本瑠華(日本)
月井隼南(日本)

<バンタム級/5分2R>
八須拳太郎(日本)
みやび(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
琥(日本)
近藤大真(日本)

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【DEEP SF2024】後世に語り継がれる? 過酷な真夏のお台場、屋外大会開催!! &長谷川賢が5年ぶりの復帰戦

【写真】この対戦CGは、盛る方でなく削る方で詐欺(笑)。右が現状の長谷川、彼のたってのリクエストでDEEPミドル級で戦っていた当時の写真が使用されたそうだ(C)DEEP & MMAPLANET

12日(水)、DEEPより8月31日(土)に東京都港区のお台場青梅R区画野外ステージで開催される「DEEP Summer Festival 2024 in Odaiba」に長谷川賢が出場し、SAINTと対戦することが発表されている。

真夏のお台場、屋外マッチ。ラウンドガールオーディションや格闘技関係者による歌合戦(万智の出場が内定している!!)共に、同イベントでは8試合のMMAマッチが組まれるという。

そのうちの1試合となるメガトン級3回戦で、長谷川が2019年3月以来、実に5年5カ月振りの実戦復帰を果たす。


オンラ・ンサンとのONE世界ミドル級タイトル戦2連戦の激闘。東京での再戦はミドルキックで折れた肋骨が肺に突き刺さり、数リットルの血が肺に溜まるなど、長谷川が文字通り死線を彷徨っこともある。

2022年2月のONE復帰戦は腰の古傷が悪化し欠場となり、それ以降は実戦の舞台に立つことなかった。この間、PROGRESS実行委員会を創設しMMAとグラップリングの溝を埋めてJ-MMAの強化に動き出し、THE 1 TVという動画サイトをスタートさせると──どこに届けたいのかというスーパーマニアックな動画を発信。さらにはGladiatorのタレントリレーション代表に就任しフィリピン、モンゴル、韓国勢を発掘の招聘をサポートするとLFAとパートナーシップを成立させるなど、裏方として活動してきた。

同時に93キロのONEミドル級で戦っていた長谷川の体は、みるみる大きくなり──現在は推定120 キロを超えるという話も。先日は電車のなかに〇百万が入ったカバンを忘れるという信じ難い投稿をSNSに行っていた長谷川は、MMAファイターとして果たしてどのようなパフォーマンスを魅せることができるのか。

「そこは練習を一番に、やるべきことをやり勝ちます」と言い切っているが、ヒザや腰の負担を考えるとまずはMMAの動きをして、体を搾ることが第一となってくるであろう。

動画でイタンビューイからインタビューアーに回っていた長谷川に対して、SAINTがコンディションで上回るのは絶対だ。いずれにせよ、そのような内的要因ばかりか、予測不能の外的要因が同イベントでは起こることが予想される。

雨が降れば翌日に順延──そうなった場合はメガトン以外の出場選手の体重はいかに設定されるのか──。3カ月予報では「平年と同様に晴れの日が多いでしょう」という真夏の屋外大会。ちなみに昨年8月31日は観測史上初となる8月に全日で真夏日となり、東京都心は34.1度を記録し猛暑日一歩手前だった。試合開始は午後6時、会場には潮風が吹くこともあろうが、過酷な状況での戦いになることは間違いない。

その点、長谷川は2018年6月のミャンマーでのンサン戦で、空調設備の無いソールドアウトの体育館でTVライティングに晒され、40度はあろうかというケージの中を経験している。もちろん、その経験が今の動きに役立つことはないだろうが、過酷さを低く見積もることがないだろう。

長谷川×SAINTのメガトン戦以外でも3回戦を戦うフェザー級の西谷大成×海飛。2回戦ではバンナム級の窪田泰斗×日比野”エビ中”純也と朝比奈龍希×漆間將生、八須拳太郎×みやび。フェザー級では劉獅×安井飛馬というマッチアップが決まっているが、彼らは後世に語り継がれる環境下でMMAを戦うことになるかもしれない。

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45 DEEP DEEP Tokyo Impact DEEP TOKYO IMPACT2024#01 MMA MMAPLANET o TATSUMI 海飛

【DEEP Tokyo Impact2024#01】打の海飛、組みのTATSUMI。持ち味を発揮した接戦は、海飛が競り勝つ

【写真】勝利のウルトラマンポーズの海飛(C)MATSUNAO KOKUBO

<フェザー級/5分2R>
海飛(日本)
Def.2-1:20-18.19-19(マスト海飛).19-19(マストTATSUMI)
TATSUMI(日本)

サウスポーの海飛がいきなり左ハイを当てる。左ハイを続ける海飛だが、TATSUMIが距離を詰めて組むとバックを伺う。海飛はウィザーで耐えるが持ち上げられて、テイクダウンを許す。同時にマウントを取ったTATSUMI対し、海飛がケージを2度、3度と蹴ってリバーサルに成功する。

海飛が殴り、TATSUMIが立ち上がると左ハイを入れる。組みを切った海飛は誘ってヒザ蹴り、左右の連打から腹にヒザを決める。首相撲のTATSUMIと腹をヒザで突き刺し合って離れる。海飛は左ハイをガードされても、右を当て左右のコンビへ。テンカオにテイクダウンを合わせたTATSUMIが、スクランブルでバックへ。海飛は正対し、離れてTATSUMIの攻撃が急所に入り座り込む。インターバルを経て試合が再開さると、TATSUMIが右カーフからパンチへ。ハイをキャッチしてテイクダウンのTATSUMIだが、すぐに立ち上がった海飛がハイを狙ったところで時間となった。

2R、すぐにダブルレッグを狙ったTATSUMIだが、切った海飛がショートのコンビへ。打ち返して組んだTATSUMIだが、体を入れ替えられると海飛が離れて前蹴り、三日月を連続でける。海飛はエルボーを狙い、右ボディストレート。TATSUMIもフックの連打で距離を詰めるが、海飛が離れる。TATSUMIが右を再び打ち込み、まっすぐクリンチへ。そのまま差し上げられ、テイクダウンを許した海飛は背中をマットにつかされる。

頭を抱えて半身になろうとする海飛に対し、TATSUMIは左腕を差してハーフで抑える。海飛はクローズドに戻し、蹴り上げからスクランブルを狙う。TATSUMIはボディロックから背中を伺うと、海飛のシングルを切ってバックに回る。仰向けでワンフックのTATSUMI、ケージを蹴る海飛が両足のフックを許す。左腕をアゴの下に入れ、ワンアームで絞めたTATSUMIだが決めきれず、ノンストップで両者が動き続けた熱戦は――マストが割れたスプリットで海飛が制した。


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【DEEP Tokyo Impact2024#01&Pancrase341】極真空手出身、海飛&天弥「打撃の回転力と威力が違う」

【写真】性格や考え方は違うが、自信は同じの極真空手出身ブラザーズ(C)SHOJIRO KAMEIKE

和術慧舟會HEARTS所属の兄弟ファイター、海飛&天弥が共に試合を迎える。海飛は24日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2024#01でTASUMIと、天弥は31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで行われるPancrase341で松本光史と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

地元の山口県で極真空手を学んだ2人は、MMAファイターとなるため上京した。しっかり者の兄・海飛と、ヤンチャな弟・天弥というイメージが強い。なぜ二人が極真空手を始め、そしてMMAに辿り着いたのか。いろいろと異なる両者の考え方から、それぞれの個性が浮き彫りになる。


――お二人は極真会館山口支部の出身とのことですが、極真空手は一緒に始めたのですか。

天弥 年齢が6歳ぐらい離れているので、僕のほうがだいぶ後ですね。

海飛 まず僕が4歳の時に極真空手を始めました。もう20年前になります。

天弥 ということは、自分が生まれる前の話ですね。すげぇ(笑)。

海飛 アハハハ。僕は母に道場へ連れていかれたことがキッカケでした。当時は気持ちが弱い感じの子だったらしいんですよ。もっと強い気持ちを持てるようにと、極真空手の道場に入会させたと聞いています。

天弥 母ちゃんは伝統派空手の道場にも行って、「当てないのは意味ない」とか言っていましたよ(笑)。格闘技だから当てるべき、と思っていたんでしょうね。父ちゃんも不良だし。

海飛 その世代だと、地域で誰でも知っている3兄弟だったらしいです(苦笑)。

天弥 その父ちゃんがPRIDEとかK-1が大好きで、ずっとテレビで格闘技を視ていました。もしかしたら子供を格闘家にさせたいと思っていたかもしれないけど、最初は父ちゃんのほうが空手をやることに乗り気じゃなかったんですよ。

海飛 自分が成績を残し始めてから、子供の格闘技に力を入れ始めたっていう記憶がありますね。僕たちは4人兄弟で自分が長男、天弥が三男で。次男と四男は、それほど長くは空手を続けませんでした。

――幼少期に空手を始めた頃の記憶はあるのですか。

海飛 あります。まず見学に行った時、道場にいる人がみんな優しくて。それで自分も楽しくなって入会しました。

天弥 自分もそうですね。最初に戦隊ヒーローの変身グッズを身につけて道場に行ったんですよ。みんながそれで可愛がってくれたのが嬉しくて入会しました。

――皆さん、地元では小学生の時から有名な空手兄弟だったのでしょうか。

天弥 地元の新聞では何度も紹介されていましたね。自分は中四国大会を6連覇していて、全国大会や国際大会でも3位になりました。

海飛 僕は小学校の時に弱くて、中国地方大会で3位とか、全国大会でも入賞できないぐらいでした。次男も天弥も、めちゃくちゃセンスがあるんですよ。ずっと自分よりも結果を残していて、同じ空手をやっている身としては歯がゆかったです。でも弟たちだから嬉しいし、自分も早く追いつきたいと思っていましたね。

――極真空手の世界大会や全日本大会を取材していた頃に、一つ印象に残ったことがあります。極真空手の大会はセコンドにつく人数が多いのですが、服装がバラバラの道場よりも、チームTシャツなどで揃えている道場の選手が勝ち上がるケースが多くて。

天弥 あぁ! 確かに。

海飛 ウチの道場もそうでした。山口県支部全体で土日は集まり、合同稽古や合宿をしたりとか。そういうのって大切だと思います。ウチはまた四男が強くて、小学生なのに下段蹴りが強くて県大会も優勝していました。

天弥 全然かわいくない小学生だ(笑)。

海飛 僕たちでも食らったら痛いぐらいで、周りの子たちも練習を嫌がるレベルでした。

――お二人は空手時代、何の技が得意だったのですか。

天弥 自分は左ディですね。

海飛 天弥は子供の頃から当て勘が良くて、空手の試合でもバンバン左ボディを当てるんです。

――子供の試合であればボディでも真っ直ぐの突きを胸元に当てることが多いと思いますが、そうではなく完全に左ボディブローだったのですね。

海飛 子供の試合もボディのプロテクターはなくて。それなのにバンバン左ボディを打つんですよ。

天弥 めちゃくちゃ得意で、それはMMAをやっている今でも同じですね。

海飛 僕は昔から蹴りが得意でした。左上段蹴りや顔面ヒザが好きで。なぜか兄弟全員でファイトスタイルが違うんです。

天弥 あれ、なぜなんだろうね?

海飛 天弥は4歳の時に空手を始めた時から、バンバン左ボディを入れていたよ(笑)。年長さんのクラスで優勝した時も左ボディで技ありを取っていて。

天弥 何だろうなぁ……。当時から殴るのが好きだったんだよ(笑)。

――お二人はヤンチャな道には進まなかったのでしょうか。

海飛 それは天弥だけですね。地元の公立校は荒れていて、僕は私立に入りました(笑)。

天弥 アハハハ。でもピークは小6ぐらいでしたよ。それが中2~3ぐらいに落ち着いて。

海飛 グレるのも落ち着くのも早すぎるよ!

天弥 単にやることがなかったんですよね。みんなテレビゲームが好きだったけど、自分はそうでもなくて。家にいても楽しいことはないし、外に出て○○の方法を覚えて××をやるようになったりとか。

――……書けない話はやめましょうか(苦笑)。

海飛 兄としては心配でしたよ。とにかく親や他の人に迷惑をかけることはないように、と注意していて。

――すごい世界観です。格闘技の話に戻しますが、空手をやっている頃からプロのMMAファイターになりたいと思っていたのですか。

海飛 僕はずっとプロになりたいと思っていました。

天弥 自分は何も考えていなかったですね。ただ強いヤツとやり合うのが好きで。

海飛 MMAをやるために僕が先に東京に来ていて。当時は天弥が高校に進むかどうか、という話になっていたんですよ。でも天弥は本当に空手の才能が凄くて――正直、それほど練習していないのに強かったので(笑)。

天弥 アハハハ!

海飛 それなら格闘技をやったほうが良いと思い、天弥を東京に来るように誘いました。「本人がやりたいと思うなら、東京に来れば良い。東京では自分が一緒に住むから」と。

――弟想いのお兄さんですね……。海飛選手はなぜ上京したのですか。

海飛 MMAをやるなら東京が最先端だと思ったからです。それでジムを見学しようと思って、最初にこのHEARTSに来ました。もともと大沢ケンジさんのことはテレビ解説とかで知っていて。実際に来てみて話をしているうちに、大沢さんの選手との距離感が好きになったんです。それでHEARTSに入ろうと決めました。

――天弥選手は、海飛選手が上京してMMAファイターになっていくのを、どのように見ていたのですか。

天弥 特に――何も(笑)。

海飛 弟たちは3人とも、僕には全く興味がないです。

天弥 MMAやるには線が細いんじゃないか、っていうぐらいですね。アハハハ。

―ちなみに四人兄弟で、他のお二人は……。

実は四人兄弟。他の2人にも期待したいところだが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

海飛 次男は空手を辞めてバスケットボールを始めたのですが、今は山口県の有永道場Team ResolveでMMAをやっています。

天弥 去年、MMAを始めて2~3カ月ぐらいでアマチュア修斗の山口トーナメントで優勝していましたよ(※注)。今年は全日本選手権に出るかもしれないです。

海飛 四男はMMAをやっていなくて。全日本選手権は呼んだら見に来るかな……。

注:次男は吉村大地。有永道場Team Resolve所属で、昨年12月に山口県で開催されたアマ修斗オープントーナメントでウェルター級を制し、取材後の3月17日にも同トーナメントで優勝している。

――上京した時期は1年も違わないお二人ですが、プロのキャリアは海飛選手が10戦で天弥選手が3戦という試合数の差は何か理由があるのでしょうか。

海飛 僕のプロデビューが早すぎました。MMAを始めて半年ぐらいでアマチュアパンクラスやDEEPのフューチャーキングも優勝して、さらに格闘DREAMERSの相手役に選ばれて勝ったじゃないですか。それでプロデビューしなきゃいけない、という流れになり……。

やっぱりMMAを始めた当初は、レスリングや寝技が大変で。最初は『殴れば勝てるでしょ』と思っていたし、実際にアマチュアで勝っていました。でもそれは打撃貯金で勝っていただけでしたね。だからプロデビューしてからは苦しかったです。2連勝して2連敗、また2連勝したあとに3連敗で――最後は減量にも失敗してしまったので。もうメンタル的には地の底にいるような感じでした。

――その状態から、いかに立ち直ったのですか。

海飛 前回の五明戦は、とにかくメンタルを安定させようって考えました。やっぱり気持ちがフワフワしていると勝てないですよね。打撃は国内でもトップクラスだと思っています。組技はそこまでではないけど、自分はできると信じる。ちゃんと自信を持って試合に臨めば勝てるという気持ちで戦いました。要は自分自身に勝てるかどうか、ですよね。

――その五明戦は、とにかく相手が嫌がることをやり通したという印象です。

海飛 はい。相手がやりたいだろうと思っていることを全部潰しました。五明選手は伝統派空手のチャンピオンで、踏み込みの幅もスピードも凄いじゃないですか。その踏み込みから来る左ストレートが強くて。だからまず相手の踏み込みを、カーフキックで潰したんです。

――そうだったのですね。では次に対戦するTASUMI選手の印象を教えてください。

海飛 RNCが得意な選手ですよね。それさえ警戒しておけばKOできると思っています。絶対に勝たないといけない試合です。

――2022年4月に鈴木崇矢選手をKOした時は、どうしても我々も「鈴木崇矢をKOした選手」という見方をしていたと思います。そして今回「五明宏人に勝った男」と見られるかもしれません。そういった注目のされ方については、どう考えますか。

海飛 別に僕は何とも思っていないですね。そもそも五明選手が特別強いと考えていなかったので。あの打撃が見えないだけで、別に組み技は強くなかったですし。もちろん五明選手のほうが注目されていたことは分かっていました。でも最初に左ストレートをもらった時も、『このパンチでは倒れないな』と思いましたし。

天弥 まぁ、TATSUMIって誰だよって感じですよ。僕としては『そんな相手に負けるなよ』としか思っていませんね。

海飛 アハハハ(苦笑)。

――一方、天弥選手はデビュー戦で芳賀ビラル海選手にKO勝ちしたものの、2戦目で反則負けを喫しました。

天弥 結果は結果なので悔しかったです。でも特に何とも思っていないというか、そこまで気にはしていないですね。それで3戦目もKO勝ちして、大沢さんからパンクラスの坂本靖さんに『次は松本光史選手と試合したい』と言ってもらいました。松本選手も僕の映像を視て、試合を受けてくれたという流れですね。

――自分から元チャンピオンとの対戦をアピールしたのですか。

天弥 僕は自信満々なので。大沢さんから『次は誰と対戦したい?』と聞かれて、僕が『松本選手です』と答えました。松本選手に勝ったら、次はタイトルマッチだと思いますし。

――松本選手に対しては、どのような印象を持っていますか。

天弥 まぁ……試合は面白くないですよね。

海飛 いや、あの――(苦笑いしながら顔を背ける)。

天弥 本当にちゃんとしたMMAファイターだと思うんです。トップキープが得意で、テイクダウンして漬け込んでくる。さらにボクシングの練習をして、パンチにも自信がついてKOも増えたっていうイメージです。

――松本選手はキャリアを重ねるごとにカウンターが向上している印象があります。

天弥 そうですね。でもカウンターを合わせられるものなら合わせてみろ、って思いますよ。絶対に倒されないです。

海飛 まず天弥とはスピードが違うと思うんですよね。僕たちは回転力、パンチと蹴りの威力が違うし、そして切り返しが強い。特に天弥は自分の空間を作る能力が高いというか、距離の取り方が巧いので。なかなか相手は触ることもできないと思います。

天弥 今年からベルトを狙って動き出したので、まずは松本選手を倒します!

■DEEP Tokyo Impact2024#01 視聴方法(予定)
3月24日(日)
12時25分~DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■Pancrase341 視聴方法(予定)
3月31日(日)
13時~U-NEXT

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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o キック 五明宏人 海飛

【DEEP114】フェザー級転向の海飛が左カーフキックで優位に。五明のパンチをかわしてスプリット判定勝利

【写真】左右ロー&カーフ、海飛が空手らしさも見せた(C)MMAPLANET

<フェザー級/5分2R>
海飛(日本)
Def.2-1:20-18.19-19.19-19
五明宏人(日本)
ドローのジャッジはマスト判定で1名が海飛、1名は五明

ともにサウスポー。五明が左ストレートから右フックを返す。海飛が左ローを連打で当てた。五明がパンチを振るい、左ストレートを当てる。海飛は右ジャブを突くが、五明の左ストレートが何度も海飛の顔面を捉える。しかし海飛のパンチも当たり、五明にケージを背負わせた。ケージ際を脱した五明だが、左ストレートは届かず海飛の右フックをもらって顔を跳ね上げられる。

左から右フックに繋げる五明に対し、海飛の右フックが当たる。さらに海飛がプレスをかけたところで、五明がボディロックで組みついた。五明はバックを狙うも、海飛が背中をケージに着けた。差し返した海飛に対し、五明は左右フックを浴びせる。ケージ中央に戻り、海飛の左カーフキックがヒット。五明の左ストレートも海飛の顔面を捉えるが、海飛の右フックもクリーンヒットしている。

海飛が左カーフキックを繰り出す。五明の左ストレートから右フックが当たった。海飛は右フックや右インローを合わせている。残り10秒で海飛が右ハイから左カーフキックを当てていった。

最終回、五明が左ストレートを伸ばす。海飛は左カーフと右ローを当てた。距離が近くなると五明の左右ショートが海飛の顔面を捉える。海飛は右ハイキック。五明がダブルレッグで組みつくも海飛が切った。海飛は左カーフキックを当て、五明が距離を詰めると右フックをカウンターで合わせる。右ミドルハイを繰り出した海飛は、五明のパンチをブロックして右インローを繰り出す。

五明が組みついたが、海飛が離れる。ケージ中央で左右のカーフキックを当て続ける海飛が、五明にケージを背負わせた。海飛が左を打ち込み、五明の左をかわす。ローから左右フックを繰り出す海飛に対し、五明がワンツーを伸ばしたが届かず。スイッチしながら蹴りを上下に散らす海飛は、五明が中に入ってくると右フックを合わせていく。

海飛の跳びヒザに右フックを合わせた五明。海飛は距離を戻し、ケージ中央で右ハイをクリーンヒットさせた。五明は押し戻すもパンチが届かず。海飛は組みついてから離れ、最後は右フックを当てていった。

この試合からフェザー級に転向した海飛がスプリット判定で勝利し、連敗から脱した。


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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC YouTube ガブリエル・シウバ チャンネル 五明宏人 劉獅 力也 小金翔 平松翔 松嶋こよみ 水野竜也 江藤公洋 泉武志 泰斗 海飛 酒井リョウ 野村駿太 雅駿介 鹿志村仁之助

【DEEP114】スクランブル発進=劉獅と対戦、松嶋こよみ「73キロ契約ぐらいまでなら戦おうと」

【写真】非常に静か。これです(C)MMAPLANET

2日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTでガブリエル・シウバが来日せず、松嶋こよみは劉獅と戦うこととなった。

試合の2日前の対戦相手の変更は、試合に出るという視点で捉えると急遽代役出場を飲んだ劉獅に救われたことになる。

そんな状況下で、熱い想いをぶつけてくる劉志に対して松嶋は「あの熱さがムカつく」と無慈悲とも取れる表情で冷たく言い放った。


──明日の試合、ガブリエル・シウバが来日せずに劉志選手と戦うことになりました。8月27日のRoad to UFC準決勝大会のワンマッチ出場を狙うなら、とにかく、このタイミングで試合をすることが必要だった。そういうなかで対戦相手の変更は大きな問題ではないでしょうか。

「いや、そんなことはないです。なんせ試合の2日前になって、色々と起きたわけですし。相手が来なくなって、北岡さんからはNARIAGRI、2週間後の呼ぶこともできるかもしれないということを聞かされました。それでも構わないですと返答した一方で……Road to UFCの準決勝大会に出られるのか、出られないのかモヤモヤしていたので2週間遅れるよりも、ここで代役を探せないですかという風にも伝えました」

──シウバが前日に来日し、当日計量の71キロで戦うという案もあったようですが。

「僕のところには、その話が届く前に向うが来ないという状況になっていたようです。でも、それで来日していたら当日計量の71キロでも全然やっていました。それに北岡さんには代役の選手を探してもらえるなら、ライト級でも軽い選手ならやりますと言っていて……73キロ契約ぐらいまでなら戦うつもりでいました」

──そのような状況でフェザー級の劉獅選手と、68キロ契約で戦うことできるようになりました。こういう状況では、対戦相手に感謝の気持ちを抱いてしまうようなことは?

「今は全くないです。むしろ、あの熱さがムカつく感じすらしています。だって、こんなことがなければ僕と戦うことはできない選手ですよ。それだけの差があると思っています。言い方は悪いですけど、あれだけの熱量をこの状況で決った試合でぶつけられると……気持ち悪いなって思ってしまいます(笑)」

──ろくでなしですね(苦笑)。ただしケージのなかではそのような精神性が、欠かせないのだと思います。

「受けてくれたことには感謝しています。ただ、あの熱は要らない。ただの試合でしかない。それ以上、何もない試合なのにあの熱さは勘弁してほしいです。繰り返しますけど、試合をしてくれることは感謝しています」

──そう、その言葉です。冷静にボロクソにいう。北岡選手にはツイッターで否定されましたが、荒ぶって欲しいというのはそういうことだったんです。

「ああ……。僕は荒ぶるということが、何を指しているのかは理解しているつもりでいました。Road to UFCの時、そういう気持ちが見えなかったということだと」

──冷静でいるのは当然ですが、あの時は強い気持ちが見えなかった。

「分かります。もちろん、喧嘩をしちゃいけないので北岡さんが言っていることも分かります。結局は自己責任、自分がやりたいように試合をやりたいと思っています。それこそ簡単にKO勝ちはしないです。自分の練習でもあるという意識で戦おうと思っています。色々と試したいこともあるので、そのなかで強さを見せられれば良いですね」

■視聴方法(予定)
7月2日(日)
午後5時50分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP114計量結果

<DEEPメガトン級選手権試合/5分3R>
酒井リョウ:108.75キロ
水野竜也:105.05キロ

<68キロ契約/5分3R>
松嶋こよみ:67.75キロ
劉獅:67.9キロ

<ライト級/5分3R>
江藤公洋:70.7キロ
野村駿太:70.7キロ

<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.15キロ
海飛:66.1キロ

<バンタム級/5分3R>
力也:61.55キロ
窪田泰斗:61.6キロ

<ライト級/5分2R>
小金翔:70.6キロ
泉武志:70.65キロ

<バンタム級/5分3R>
平松翔:61.6キロ
雅駿介:70.65キロ

<バンタム級/5分2R>
日比野“エビ中”純也:61.6キロ
鹿志村仁之助:61.45キロ

<60キロ契約/5分2R>
朝比奈龍希:59.8キロ
秋元強真:59.55キロ

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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o YouTube チャンネル 五明宏人 劉獅 力也 小金翔 平松翔 松嶋こよみ 水野竜也 江藤公洋 泉武志 泰斗 海飛 酒井リョウ 野村駿太 雅駿介 鹿志村仁之助

【DEEP114】松嶋こよみとの対戦を望み続けてきた──劉獅「格闘技って、一番強くなるためにやるもの」

【写真】覚悟の決った表情をしていた (C)MMAPLANET

2日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTで急遽、松嶋こよみと戦うことが決まった劉獅。

「一番強くなるために格闘技をやっている」と言い切った劉獅は、この試合後にフェザー級の図式を一新するために松嶋こよみに挑む。


──急遽、松嶋こよみ選手と戦うことが決まり計量をクリアしました。

「私の状況ではあまりチャンスが回ってくることはないので、いつでも試合ができる状態にしていました。それが松島選手と戦えるということで、メチャクチャ怖いですけど、メチャクチャわくわくしています」

──スタンバっていた甲斐があったと。

「松嶋選手がDEEPに出る。でも対戦相手は見つからないという話を聞いて、すぐに佐伯さんに連絡させてもらったんです。『戦わせて欲しい』と。僕は断っていないということを公にしたかったです。でも余計なことを言ってDEEPの運営に迷惑を掛けられないので、ずっと黙ってはいたのですが……。

出して欲しいというアピールは、直接していました。結局、松嶋選手が外国人選手と戦いたがっているということで……諦めかけていたのですが……。ただ大会が近づいてきて『ビザの問題で来日できないときは用意してほしい』と言われたと思ったら、結局ビザが取れそうだと今週の初めに聞いて……テンションが凄く落ちました(笑)」

──一度は30日の大阪大会で試合が組まれる方向で話が進んでいたのが、急転直下の決定。精神的に上下があったのではないですか。

「全く問題ないです。それだけ松嶋選手と戦うことへの想いが強かったので。大阪大会に出場する話が進むなかで、どのタイミングで、どんな条件でも松嶋選手とはやる気でした」

──そこまで戦いたい気持ちを持っていた劉獅選手ですが、他の選手が断ったと聞いた時はどのような気分だったのでしょうか。

「そもそもなんのために格闘技をやっているのかと思いました。アマチュアじゃないんだから。僕のなかでは格闘技って、一番強くなるためにやるもんなので。強い選手との試合を断るっていうのは、何を想って格闘技をやっているのかって。明日、皆が恐れるぐらい強い選手と戦うことができる。正直、メチャクチャ怖いです。怖いですけど、メチャクチャわくわくしています。僕が松島選手を倒すようなことがあれば、フェザー級の図式が一気に変わってくるので、このチャンスを絶対に掴みたいです」

──この試合を受けたことで、これからも劉獅選手への注目度は変わってくるかと思います。

「松嶋選手と戦うことだけで認められるのではなくて、明日は絶対に見ている人が面白いと思う試合をします。テイクダウンされて漬けられるという試合にはならないです。自分から絶対に仕掛けます」

■視聴方法(予定)
7月2日(日)
午後5時50分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP114計量結果

<DEEPメガトン級選手権試合/5分3R>
酒井リョウ:108.75キロ
水野竜也:105.05キロ

<68キロ契約/5分3R>
松嶋こよみ:67.75キロ
劉獅:67.9キロ

<ライト級/5分3R>
江藤公洋:70.7キロ
野村駿太:70.7キロ

<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.15キロ
海飛:66.1キロ

<バンタム級/5分3R>
力也:61.55キロ
窪田泰斗:61.6キロ

<ライト級/5分2R>
小金翔:70.6キロ
泉武志:70.65キロ

<バンタム級/5分3R>
平松翔:61.6キロ
雅駿介:70.65キロ

<バンタム級/5分2R>
日比野“エビ中”純也:61.6キロ
鹿志村仁之助:61.45キロ

<60キロ契約/5分2R>
朝比奈龍希:59.8キロ
秋元強真:59.55キロ

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【DEEP114】計量終了 ウルトラマンポーズの後輩・海飛のエールに──先輩・江藤公洋は……

【写真】ウルトラマンのポーズを取った海飛(C)MMAPLANET

明日2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTの計量が、1日(土)に新宿区ホテルローズガーデンのオークルームで行われている。

松嶋こよみ注目のDEEP初陣は対戦がガブリエル・シウバから、劉獅に変更され68キロ契約となり、ともにパスしている。


今大会は2回戦も充実のラインナップが揃っており、第2試合で日比野“エビ中”純也と対戦する鹿志村仁之助は「試合順とか気にしていないです。前回の試合で負けているし、ここから巻き返します」とのこと。

その鹿志村、宇佐美正パトリックと計量会場に訪れえいたが、「パトリックとの練習で苦手分野がバッチシ、克服できています。あとは極めに行くので、スタミナの配分をしっかりします」といつも通り、自信満々で明日を迎える。

打撃に関して、どれだけ伸びているのかパトリックに尋ねると、「良くなっていますよ。僕も寝技をガンガン練習していますし、レスリングも習いに行っているん」と鹿志村のことはそっちのけで、自身の充実振りを語っていた。

同じく2回戦で五明宏人と戦う海飛は計量台の上でウルトラマンのポーズを取り、「勝って江藤さんに繋げる」とコメントしたが、当の江藤公洋は計量を終えて一息、松嶋と談笑しており──このエールは残念ながら届いていなかった……。その海飛、とにかく「反則だけはしない」と実弟・天弥の前回の敗北をちゃかす余裕を見せるなど、リラックスできている様子だった。

■視聴方法(予定)
7月2日(日)
午後5時50分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

■ DEEP114計量結果

<DEEPメガトン級選手権試合/5分3R>
酒井リョウ:108.75キロ
水野竜也:105.05キロ

<68キロ契約/5分3R>
松嶋こよみ:67.75キロ
劉獅:67.9キロ

<ライト級/5分3R>
江藤公洋:70.7キロ
野村駿太:70.7キロ

<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.15キロ
海飛:66.1キロ

<バンタム級/5分3R>
力也:61.55キロ
窪田泰斗:61.6キロ

<ライト級/5分2R>
小金翔:70.6キロ
泉武志:70.65キロ

<バンタム級/5分3R>
平松翔:61.6キロ
雅駿介:70.65キロ

<バンタム級/5分2R>
日比野“エビ中”純也:61.6キロ
鹿志村仁之助:61.45キロ

<60キロ契約/5分2R>
朝比奈龍希:59.8キロ
秋元強真:59.55キロ

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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o キック 中村大介 五明宏人 海飛 神田コウヤ 青井人

【DEEP114】海飛と仕切り直しの一戦、五明宏人「相手が煽ってくるなら空手対決として受けて立ちます」

【写真】MMA歴は短くとも競技者として、成熟度合が高い五明(C)SHOJIRO KAMEIKE

7月2日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114で、五明宏人が海飛と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

伝統派空手からMMAに転向し、3連勝を収めていた五明は今年2月、神田コウヤとのDEEP暫定フェザー級王座決定戦に敗れた。5月に青井人と対戦が一度は発表されたが、五明の負傷により試合は流れていた。初の敗戦から4カ月。そこには冷静で、かつ笑顔を浮かべながら語る――空手家ではない、MMAファイターの五明宏人がいた。


――今回の海飛選手と試合、「空手対決」という謳い文句があります。五明選手は伝統派空手で、海飛選手は極真空手出身ということですが、その空手対決というイメージは持っていますか。

「いえ、それほど……(苦笑)。もちろん空手あっての僕ですが、今回が空手対決だとは思っていないです。ただ相手が空手出身で、MMAの試合を行うっていうだけで。でも、空手対決っていうほうが盛り上がるなら、それで構いませんよ」

――空手対決というよりも、伝統派×極真という見方のほうが面白いかもしれません。

「そうですよね。相手も煽り映像で、僕の空手のほうが軽い――軟派な空手だというふうに言っていたので」

――フルコンタクトの極真空手から見て、ポイント制の伝統派空手のほうが軽いと。

「自分としてはどちらでも良いんですけど、相手がそう煽ってくるなら僕も空手対決として受けて立ちますよ」

――一方で、海飛選手も空手家というよりはMMAファイターになってきていますよね。グラウンドで勝負することも多いですし。

「キックっぽい動きもありますしね。勝ち負けが激しいけど、若くて勢いのある選手なので、僕も噛み合うんじゃないかと思います。空手対決といっても、お互いに打撃でいくかどうかは分からないですよ。それは試合が始まってみないと」

――MMAとして打撃をやりたいですか。それとも寝技で勝負したいですか。

「打撃をやりたいです。僕自身も打撃で勝っている試合のほうが面白く感じる部分はあるので。やっぱり打撃で倒したいですね。前回、僕が先手を取られてしまったので、今回は自分が先手を取りたいです。そして全ての試合で、圧倒して勝つ。短距離よりは中距離の戦い方で、しっかり勝ちます」

──押忍。もともとは今年5月に青井人選手との復帰戦が予定されていましたが、五明選手が怪我で欠場となりました。欠場に至るのは、どのような状況だったのでしょうか。

「僕が試合の1カ月前に、椎間板ヘルニアになってしまったんです」

――えっ!? それは厳しい状況ですね。

「これが初めての発症で。左手が痺れて動かず、練習もできない状況でした。試合の1カ月前で試合を飛ばすことはしたくなかったのですが、前回のタイトルマッチで負けていたこともあり、欠場させていただくことになりました。練習の強度が上がっていたことも要因だったと思います」

――空手時代には、それほどの状況になることはなかったのですか。

「椎間板ヘルニアに関していえば、やはり打撃の競技なので、この状態になることはなかったです。相手を倒して突くという動作もありますけど、レスリングほど激しい組み合いではないですからね」

――ということは、それだけレスリング面を強化してきたというわけですね。ただ、初めての経験ということで「今後MMAを続けられるかどうか」など不安にならなかったのでしょうか。

「それはありました。でもジムの先輩に椎間板ヘルニアになった方が多くて。その先輩方からいろんな話を聞いて、まずは治療に専念することになりました」

――確かに初めての経験である以上、その状態で1カ月後の試合に臨むことができるかどうかは分からないですよね。

「はい。それでもプロとして試合を飛ばしてしまったことは、良くなかったと思います」

――いや、たとえ試合に出たとしても、良いパフォーマンスは発揮できないでしょう。まず練習ができない状態になっているわけですから。

「もちろん良いパフォーマンスは出せないと思います。でもジムの先輩には、常に万全の状態で試合をしている人がいないんですよ」

――……。

「みんな何かしらの怪我はしているわけです。まだプロ5戦目の僕なんかが怪我で欠場してしまったのは、プロ失格だったという気持ちがあって……」

――ジム仲間の選手たちが、それだけの負傷を抱えながら練習して、試合に出ているのは傍で見ていて分かりますか。

「見て分かるというか、実際に先輩方のお話を聞くんですよね。誰も万全の状態で試合に臨むことはできていなくて。それと『僕ももう若くないんだなぁ』って思いました」

――……。

「昔は練習で無理しても全然大丈夫だったんですけど、20代後半になって『もう若くないんだな』って感じるようになりました(笑)。だから、しっかりケアするようにしています。特にウォーミングアップとアフターケアは大事ですね」

――確かに五明選手の場合はプロMMA5戦目ですが、これまでの空手キャリアがありますし。20代後半でプロ5戦目というMMAキャリアは、焦りの要因になりますか。

「いや、焦りはないですね。逆に20代後半だからこそ、若さゆえに勝ち急ぐような気持ちはなくなっているので。4戦目でタイトル挑戦というチャンスを頂けたことは本当に嬉しいけど、そこで負けたからといって焦ることはないです。一つひとつ、絶対に良くなってきているはずですから」

――そのタイトルマッチですが、神田コウヤ選手に判定で敗れました。いま振り返ると、神田戦の内容と結果は、どのように捉えていますか。

「相手がキャリアは上なのにシンドイ試合に持ち込んできた時点で、先手を取られてしまったと思います。相手が余裕を持って戦ってくるのかなと思っていたんですけど、試合が始まった時点でテイクダウンに来た。そこで先手を取られたことが一番良くなかったですね」

――試合前は神田選手が、もっとスタンドで戦ってくると考えていたということですか。

「テイクダウンに来ることは想定していました。でも――やられちゃいましたね(苦笑)」

――神田選手にとってテイクダウンは一つの重要な要素であるとはいえ、あそこまでテイクダウンからしつこく組んでくるとは思いませんでした。

「そうなんですよね……。前の試合(※昨年11月、中村大介に判定勝ち)でも、打撃で行っている場面が多かったじゃないですか。僕との試合でも打撃で来るかなとは思っていました。そこで相手のほうがシンドイ試合に持ち込んでくるとは考えていなかったです」

――試合内容から、五明選手ご自身のテイクダウンディフェンスやケージレスリングについては、どのように考えますか。

「僕としてはソッチよりも、試合中のローブローのほうが重要だったと思います。2Rに故意ではないけどヒザ蹴りが当たってしまい、それで相手を休ませてしまうことになりました。組んだ状態から相手を突き放すという選択肢もありました。でも結果的に、ヒザ蹴りを打ったことで相手に休むチャンスを与えてしまいましたよね。あれは反省点です」

――なるほど。試合中も試合後も、それだけ冷静に見ているのですね。

「そこはもう客観的に――もちろん周りの人から教えてもらうことも多いです。特にジムの先輩方が分析してくださることが多いので、自分でも冷静に見て、客観的な意見を聞いて考えることができています」

――しかしながら、試合中にペースを奪い返すことは難しかったのでしょうか。

「いつもどおりケージの中心を取って戦おうとしていました。でも前半に削られてしまったことが大きかったですね。相手も後半は疲れてきていたので、自分からもう一歩攻められたら良かったんですけど」

――結果、ベルトを巻くことができなかった点については、どのように考えていますか。

「う~ん……ベルト、欲しかったんですよねぇ(苦笑)。でも獲れなかったので、もう一度ベルトを狙いに行く。それしか考えていなかったです。悔しいというよりは、すぐに前を向いて次を考えることはできました」

――プロ4戦目でタイトルマッチの機会を得たことは、それだけ五明選手に対する期待も高かったのだと思います。そのような期待をプレッシャーには感じませんでしたか。

「正直、僕もベルトを獲れると思っていたんですよ(笑)。それでベルトを巻けなかったことよりも、自分にガッカリしました。もっと自分はできると思っていて……。MMAファイターとしての五明宏人にガッカリしましたよね」

<この項、続く

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DEEP DEEP114 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN ボクシング 五明宏人 修斗 力也 北岡悟 大原樹理 小金翔 川名TENCHO雄生 平松翔 日比野エビ中純也 松嶋こよみ 水野竜也 江藤公洋 泉武志 泰斗 海飛 酒井リョウ 野村駿太 雅駿介 雑賀ヤン坊達也 鹿志村仁之助

【DEEP114】先輩・五明と揃い踏み、野村駿太。勝てばタイトル戦?? 難攻不落の堅実派=江藤公洋戦、決定

【写真】江藤の出る瞬間を、野村が捉えることができるか。それが至難の技 (C)MMAPLANET

22日(月)、7月2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTの追加対戦カードが発表されている。

松嶋こよみの初参戦、DEEPメガトン級選手権試合=チャンピオン酒井リョウ✖チャレンジャー水野竜也、五明宏人✖海飛日比野エビ中純也✖鹿志村仁之助らが組まれている同大会。

今回の発表では3回戦で江藤公洋✖野村駿太、2回戦で小金翔✖泉武志というライト級マッチ、さらにバンタム級では2回戦が2試合=力也✖窪田泰斗、平松翔✖雅駿介という4試合が明らかとなっている。


帝京大空手部の先輩・後輩である五明と野村が初の揃い踏み。暫定ながら王座決定戦にいち早く到達した五明を追い、野村は小金、川名Tencho雄生とZSTと修斗の元王者を下しタイトル挑戦に向け着実に歩を進めてきた。

それでもキャリア6勝1敗の野村に対し、江藤はDEEPからONE WS、そしてONE本戦、修斗、RIZIN TRIGGERと場数を踏み、今回の試合が30戦目となる。

伝統派空手の踏み込み、近い距離でのボクシング、そしてテイクダウンディフェンスを磨き、MMAファイターとして完成度を高めてきた野村にとって、江藤は過去のどの対戦相手よりも難敵といえる。

グンター・カルンダ、雑賀ヤン坊達也、北岡悟、そして川名を下し現在4連勝中の江藤は、良くいえば強固な堅実さを持ったファイターといえる。

出れば、強い。それは昨年4月のヤン坊戦で立証できている。ここがキャリアの分岐点といえるTKO勝ちを収めたが、その後はまたもリスクを避けて、自分の庭でのファイトを続けている。それが江藤の強さで、その強さを捨てる必要はない。それ故に、打撃を見る目を持っているテイクダウン&コントロールファイターは、野村にとって厳しい相手になる。

野村はとにかく打撃を効かすこと。効かせば、テイクダウンとコントロールの圧が落ちる。そんな効かせる打撃を江藤のテイクダウン&スクランブルで削るファイトのなかで見せることができるのか。それができれば、野村は大原樹理との対戦がグンと近づくことになるだろう。

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