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【Grachan65】J-MMA Rookies CUPフライ級決勝=鈴木崇矢「格闘技をして、生き物として強くなりたい」

【写真】J-MMA Rookies CUPは、鈴木のような立ち位置にいる選手にとっては本当に良い機会になったことだろう(C)MMAPLANET

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15th Anniv」のJ-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦で鈴木崇矢が金井一将と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

格闘DREAMERS出身、POUNDSTORMでプロデビューし、J-MMA Rookies CUPを順調に勝ち進んできた鈴木。3月のトーナメント一回戦を終えて、MMAへの向き合い方が変わり、気持ちを新たにMMAに取り組んできたことという。UFCという明確な目標に向けて、MMAファイターとして進化を続ける鈴木に話を訊いた。


――GRACHAN65でJ-MMA Rookies CUPフライ級 決勝戦を控える鈴木崇矢選手です。試合が目前に迫っていますが、今の心境ですか(※取材は11日に行われた)。

「いつも通りの試合前だなって感じで、今はもう落ち着いています。いつも緊張よりも楽しみな気持ちの方が大きいので『やばい。試合だ…』ではなくて『よし! やってやるぞ!』って気持ちです」

――5月の準決勝ではしゅんすけ選手のシングルレッグを潰してバック→マウントをとってからのパウンドアウトでした。あの試合の良かった点、悪かった点はどこですか。

「今まで以上にMMAとしての練習をがっつりやったうえでの試合で、何が来ても大丈夫と思えるぐらいチームと一緒に作り込むことができた試合だったので、それがああいう結果になったと思います。良かった点・悪かった点というより、MMAの練習をして試合に臨めたという部分で、一つの道が開けた・見えた試合ではありました」

――それまではそこまでMMAらしい練習をしていなかったということですか。

「僕は殴って勝つことが好きなので、そのための練習ばかりになっていたんですよ。でも3月の一回戦(小田魁斗に判定勝ち)が終わったあとに自分の戦い方を見つめなおして、ちゃんとMMAとして勝つためには何が必要なのかを髙谷(裕之)さんと岡見(勇信)さんに指導してもらって、それがちょっとずつ形になる中で臨んだ試合でした」

――ずばり「試合になったらぶっ飛ばせばいい」くらいの感覚だったのですか。

「はい。とにかくタックル切って殴る、みたいな。でもMMAをやる人間としてMMAをちゃんと理解して学ばないといけないと思いました。練習そのものはむちゃくちゃキツくて、僕は落ち込みやすい性格なんです。自分がイメージしている動きと実際の自分の動きにギャップがあると、それが段々と積み重なって、本当に落ち込んでました(苦笑)。でもそこで踏ん張って練習を続けたからこそ見えてきたものがあります」

――具体的にはドリル練習などを増やしたのですか。

「それまではスパーリングばっかりやって、それで練習した気になっていたんです。5月の試合前は自分が嫌な態勢から始めるシチュエーションスパーやドリルを延々とやって、完全に心が削れていましたね(苦笑)。今思えばそんな簡単にできるものじゃないんですけど、この時期に細かいけど自分の土台になる練習をやってもらいました」

――鈴木選手は空手出身で、MMAに必要なレスリング・グラップリングの練習を一から学ぶことは苦手分野でしたか。

「テイクダウン狙いを切ることには自信があるんですけど、MMAで勝つためにはそれだけではいけなくて。MMAはやればやるほど味が出るというか、いぶし銀の競技だと思うんですよ。そういう技術や歴史を髙谷さんや岡見さんから教わると『先輩たち、やばい!』みたいに思って。MMAに対する深みっていうんですかね。やっぱり3月の試合で『ちゃんとMMAをやらないと強くならない』って身体が感じたんです。

感覚、瞬発力、反応、僕の場合は若さ。今はそれに任せてバババババッ!と動けちゃうんですけど、それには限界がある。例えば今のUFCチャンピオンはほとんど30代で、一番若いショーン・オマリーでも28歳なんですよ。これって絶対何か理由があるよなって思った時に、僕はMMAをやりこんだ時間と量だと思ったんです。だったらやるしかねえじゃん──みたいな。MMAはやることが多いというのは頭では分かっていたけど、自分の身体で気づけたことはこの半年くらいの大きな収穫だったと思います」

――そういった意味ではプロ3戦目でJ-MMA Rookies CUPのような各団体を交えたトーナメントに出場することが決まったことは大きなステップアップですね。

「僕がプロで出た試合はPOUND STORMとEXFIGHTなので、ある意味、身内の大会だったと思うんです。だからJ-MMA Rookies CUPで初めて外の大会や試合に触れたのでデビュー戦のような気持ちでした。しかも各団体の選手たちと交わる貴重な機会だったし、本当にありがたいです」

――しかも出場選手のキャリアがほぼ同じという部分も刺激になると思います。

「オファーをもらった時からモチベーションは高いですね。修斗の新人王とかパンクラスのネオブラッドトーナメントとかDEEPのフューチャーキングトーナメントとか、若くてキャリアが浅い選手のためのトーナメントって各団体にあると思うんですけど、そういう戦いを団体関係なくできるっていうのがすごくワクワクするんですよ。何て表現したらいいか分からないけど…ワクワクしました(笑)!」

――決勝で対戦する金井一将選手にはどんな印象を持っていますか。

「シンプルにガンガン前に出てくるグラップラーですよね。僕が勝つパターンと苦戦するパターンがはっきりイメージできる相手かなと思います」

――MMAファイターとしての成長を感じる中、どんな試合をして勝ちたいと思いますか。

「今の僕はめちゃくちゃ強いんで、一方的に相手を殴って、気づいたら相手が倒れているんだろうなって感じです」

――レスリング・グラップリングの技術が上がったことで打撃の面でプラスになったこともありますか。

「ルーツである空手とMMAの打撃を上手くミックスできているので、今まで以上にスピードも威力もタイミングも精度も上がっていると思います。今の自分が試合をしたらどうなるんだろう?という自分への楽しみもありますね」

――トーナメント優勝も含めて、今後に向けてどのような目標を持って戦っていきたいと思いますか。

「ちゃんと優勝することが大前提として、UFCに出るためにはどうしたらいいかを考えたときに、今だったらRoad to UFCがアジア人にとってUFCへの明確な道だと思うんですよ。チャンスがあればいつでも出ていきたいし、国内でベルトを獲ることもRoad to UFCへの近道になると思うので、ベルトも狙っていきたいです」

――今日初めて鈴木選手を取材しましたが、明確な目標を立てて、そこから逆算して自分がやるべきことを考えられる選手だと感じました。UFC王者の年齢を自分と照らし合わせて考える選手は少ないと思います。

「ありがとうございます(笑)。僕は格闘技をやっていて生き物として強くなりたいという気持ちがあって、その基準で一番強いのはUFCチャンピオンだと思うんですよ。だから(MMAを)始める前からUFCチャンピオンなろうと思っていたし、UFCチャンピオンになるという目標・意思は本当に固いです」

――それでは最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。しっかり勝って優勝してくるので楽しみにしていてください!」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grahan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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Grachan Grachan52 MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC TSUNE UFC パンクラス 中村京一郎 伊藤空也 原口伸 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 弘田颯志 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 田中智也 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】15周年大会にバンタム級王者の手塚が出場。パンクラスランカーTSUNEを迎え撃つ

【写真】グラウンド勝負の前に、どう組むかがカギとなる両者の一戦だ(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール1000で開催されるGrachan65の全対戦カードが決定した。旗揚げ15周年記念大会として行われる今回の興行では、現バンタム級王者の手塚基伸が、パンクラスの王座挑戦経験を持つTSUNEと対戦する。

Text by Shojiro Kameike

GRACHANは2008年12月にディファ有明で旗揚げ。以降は15年間で70を超える大会を開催してきた。そのGRACHANについて「自分にとってホームやと思っている」と語る手塚は、2021年12月のGrachan52以来、1年9カ月ぶりのホーム参戦だ。前回は伊藤空也を秒殺し、かつて自身が返上したバンタム級王座を奪還。昨年はRIZINで2試合を経験している。

テイクダウンとトップコントロールが必要とされる現代MMAにおいて、手塚のスタイルは異色なものとなった。自ら下になり、相手の腕を殺しながら腕十字や三角絞めを狙う。昨年10月にはRIZINで、アゼルバイジャンのメイマン・マメドフを三角で捕えてからパンチ連打を浴びせ、TKO勝ちを収めた。

手塚に挑むのは、昨年12月のパンクラス暫定バンタム級王座決定戦で田嶋涼に敗れて以来の復帰戦となるTSUNEだ。田嶋戦はTSUNE有利という声も多かったなか、結果はTKO負け。来はテイクダウン&トップコントロールの選手であるTSUNEは、「序盤にパンチが当たったので、そのままパンチで攻めてしまった」と敗因を語っていた。

TSUNEとすれば、手塚の伸びるパンチを警戒して中途半端な距離から飛び込むことは避けたい。それこそ手塚にとって最も良い形--引き込んでからサブミッションに移行する展開の強さは健在で、それは伊藤戦とマメドフ戦でも証明済だ。互いにグラウンド勝負よりも、いかにしてスタンドで削り、自分の得意な形で組めるかどうかが鍵となる。

さらに今回は同じバンタム級で、伊藤空也×高須将大がマッチアップされた。主催者側からは、7月にフライ級で弘田颯志を下した田中智也を加え、バンタム級を活性化させたいという狙いも伝わってくる。

すでに発表されているライト級の2試合も同様だ。ライト級王者の原口伸はRoad to UFCに出場中で、UFCと契約に至れば王座は返上となるだろう。今回出場するダリ、岸本、小谷、そして林RICEがそのベルトを争うことになるのは間違いない。今後のライト級戦線を占うマッチメイクとなった。

なお今大会は、元GRACHANライト&フェザー級王者の阪本洋平が引退エキシビジョンマッチを行う。その相手を、同じく元2階級王者の山本琢也が務めることも発表された。

■Grachan65対戦カード

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ共和国)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王8日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
YO-HEI(日本)
今村豊(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

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Grachan Grachan62 MMA MMAPLANET o 小川道的 林RICE陽太

【Grachan62】試合タイムは13秒!! 林RICE陽太が、跳びヒザ蹴りで小川道的をKO

【写真】(C)SHOJIRO KAMEIKE

<ライト級/5分2R>
林 RICE 陽太(日本)
Def.1R0分13秒by KO
小川道的(日本)

右ローを蹴った小川。林も右ローを返し、一旦距離を取ると右の跳びヒザ蹴り。この一発が小川の顔面に打ち抜く。小川は腰から崩れ落ち、林が鉄槌を落とし一瞬にして勝敗が決した。

「今日までしっかりと練習してきて、小川選手が前に出てきてくれたので最後に良い試合ができました。僕をメインに選んでくれてありがとうございます。練習仲間の皆さん。ホンマにありがとうございます。202年の林RICE陽太は強いです。どんどん試合がしたいので10月の記念大会、今日応援に来てくれる皆が来てくれると思うのでぜひ出してください」と林は話した。


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Grachan58 MMA MMAPLANET o ONE イ・ハンヒョン キック ハシモト・ブランドン ブラジリアン柔術 ルクク・ダリ 上田幹雄 伊藤空也 和田健太郎 小島勝志 崎山勲 川中孝浩 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 獅庵 瓜田幸造 金太郎 鍵山雄介 高橋孝徳 黒井海成

【Grachan58】イ戦前の伊藤空也─02─も注目トーナメント「無差別級は桜井選手、フェザー級は小島選手」

【写真】伊藤空也がファン目線で当日行われる両トーナメントの見所を話してくれた (C)MMAPLANET

4日(日)、千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示10ホールで開催されるGRACHAN58で、韓国のイ・ハンヒョンと対戦する伊藤空也のインタビュー後編。

昨年、手塚基伸に敗れバンタム級のベルトを手放した伊藤が、この1年の取り組みを語る。さらに現在行われている無差別級&フェザー級についても、GRACHANファン目線で紹介してくれた。

<伊藤空也インタビューPart.01はコチラから>


――以前は柔術の練習を、そこまで取り入れてはいなかったのですか。

「4年ぐらい前まで長野県にいて、当時は毎週やっていました。でも関東に来てからは、そんなに柔術に触れる機会もなくて。どちらかといえばレスリングとグラップリングが中心になっていたんですよね。BRAVEジムでトライフォース柔術アカデミーと連携した柔術クラスが始まったので、去年から参加するようにしました。そこで改めて柔術の奥深さ、寝技の基礎の大切さをイチから学んでいます。そうして迎えたのが魚井戦だったので、自分のやるべきことはやれたんじゃないかと思っています」

――柔術クラスで学んでいるのは、MMAの中の柔術ですか。それともベーシックなブラジリアン柔術をイチから学んでいるのでしょうか。

「純粋なブラジリアン柔術を教わっています。柔術をやることによって、組んでも落ち着いて対処できるようになりますよね。しっかりと際の展開で、一つひとつ組み立てていくことができる。相手が仕掛けてくることを、一つひとつ潰していける。そういう動きが身体に染みついてきました。あとはムエタイのウィラサクレックジムさんへ行って、首相撲の動きも取り入れています」

――柔術だけでなく、ムエタイも! すると、この1年で動きは大きく変わったのではないですか。

「そうですね。動きも変わったし、打撃に関しては去年の倍は研ぎ澄まされていると思います。得意なところは伸ばし、苦手なものは一つひとつ潰して――ということをやってきたので。技に深みが出て来たような感じがあります」

――なるほど。プロモーターサイドやファンからすれば、獅庵戦と金太郎戦を経て、これからも伊藤選手には同じような……むしろ、それ以上の激闘が求められるかもしれません。しかし現在、伊藤選手が取り組んでいることは、そうした激闘とは方向性が異なる部分もあります。そこに葛藤はないですか。

「MMAなので、その激闘とは違う見せ方がありますからね。ただ、僕自身も練習ではスマートな動きができるのですが、試合だと激しい展開になっちゃうんですよ(苦笑)。自分で意識しているわけではなく、試合中のテンションでそうなってしまいます。やっている動きは、練習してきたものなんです。だからテンションの問題か……。

でも魚井戦は、激闘にならなかったけど、相手の動きを潰して完封できました。試合のない期間は、ずっとスマートな動きを試合で出せるように練習してきたので、あとはしっかりと試合で見せるだけですね。自分でも未知数な部分はありますが、自信はあります」

――魚井戦はリングで行われました。リングで出せたことをケージで出せるか、あるいは同じことをやっていいのかどうかは一つの課題ではあります。

「はい。でも今はずっとケージを想定して練習しているので、次のイ・ハンヒョン戦では新しい自分を見せることができると思います。相手がキックボクサーになったのも、これまでムエタイをやってきた成果を見せるチャンスなのかな、って。結果的に良かったんじゃないですか。今はONEのオープンフィンガー・ムエタイを結構見ていて、それに近いものが見せられるんじゃないかと思います」

――それは次の試合がとても楽しみです。次に伊藤選手の試合以外のお話を伺いたいのですが、グラチャンで他の試合はチェックされていますか。

「はい。グラチャン放送局でチェックしています」

――グラチャンでは無差別級とフェザー級のトーナメントが開催されており、今回は同じ大会で準決勝戦が行われます。いちGRACHANファンとして、各トーナメントに対する印象をお願いします。

「無差別級は怪物みたいな選手が揃いましたよね。やっぱり僕たちは無差別級の試合に魅力を感じて、格闘技を始めた時代じゃないですか。だから今でも無差別級に求められているのは、そういう怪物性だと思うんです。そんな試合をグラチャンで実現してくれるのは、観ていてワクワクというか、ゾクゾクします。ファン目線で見ても楽しみですね」

――組み合わせは前日の計量時に決まるとのことですが、準決勝に勝ち上がった4選手の中で誰が勝ち上がると思いますか。

「僕が注目しているのは、桜井隆多選手です。もともとウェルター級で戦っていた選手が無差別級に出場していて。前回の試合も体格差があるのにパンチで仕留めて――まるでドラマを見ているようでした。僕自身も昔から見ていた選手なので、思い入れもあります。桜井選手ってカッコイイんですよね。

変わらない強さの中に、進化しているところもあって。そこでヘビー級に挑戦する生き様がカッコイイ、僕もすごく憧れている選手です。MMAの経験はダントツじゃないですか。トーナメントに出場している他の選手と比べても、一番ケージでの戦い方が分かっている試合内容だと思うんですよね。だから僕の考えではありますけど、桜井選手が優勝に一番近いんじゃないかと思っています」

――フェザー級トーナメントはいかがでしょうか。

「フェザー級は小島勝志選手に注目しています。僕は和田健太郎が決勝に行くのかな、と考えていたんですよ。でも小島選手が和田選手を相手に、あれだけパンチとボディブローで試合をつくっていって、最後はTKOで仕留めた。対レスラーの試合としては、理想的な勝ち方だったと思います。その和田戦を見ても、今までの試合と比べてさらに強くなっていましたから。これまでも打撃の強さは見せていましたが、さらにレスリング技術もプラスされて、際の部分でも綺麗に戦っていて。全局面で強さを感じました。

あと、小島選手は山梨県在住で、僕は長野県出身じゃないですか。同じ地方出身者として、ファン目線で応援してしまいます。しかも地元で自分のジムも出していて、自分の練習もしながらトーナメントで勝ち上がっていく。そこで優勝するストーリーに期待してしまいますね」

――最近では首都圏以外の選手が勝ち上がるケースが、どんどん増えています。

「桜井隆多選手もそうですよね。そういう意味では、僕は関東にいる立場ですけど、地方をナメんなよって気持ちがあります。で、それこそグラチャンがやってきたことじゃないですか。地方の選手が首都圏でチケットを売れるわけじゃない。でも大阪もそうだし、北海道でも大会を開催し、地方でも活躍した選手を首都圏の試合に呼んでいて。僕もファイトマネーをもらう限りは、そのぶん皆さんが見に来てくれるように頑張ります」

■視聴方法(予定)
12月4日(日)
午後4時30分~ GRACHAN放送局

■ Grachan58対戦カード

<ウェルター級/5分2R>
川中孝浩(日本)
渡辺良知(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
イ・ハンヒョン(韓国)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
林RICE陽太(日本)

<Grachan無差別級準決勝/5分2R>
桜井隆多(日本)
瓜田幸造(日本)
荒東 怪獣キラー 英貴(日本)
ハシモト・ブランドン(ペルー)

<Grachanフェザー級T準決勝/5分2R>
小島勝志(日本)
高橋孝徳(日本)
崎山勲(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R>
岸本篤史(日本)
渡辺和幸(日本)

<無差別級/5分2R>
上田幹雄(日本)
ソン・ムジェ(韓国)

<柔術/5分1R>
村田良蔵(日本)
田中義篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
萩原一貴(日本)
黒井海成(日本)

<無差別級/5分2R>
石川廉(日本)
田馬場貴裕(日本)

<バンタム級/5分2R>
YO-HEI(日本)
ロバ・モー(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本尚大日本)
佐々木歩夢(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本大輔(日本)
安部路人(日本)

<フライ級/5分2R>
水谷健人(日本)
金井一将(日本)

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【GRACHAN58】極真世界王者=上田幹雄のMMA2戦目が決定。韓国のソン・ムジェと対戦

【写真】上田のプロ2戦目がグラチャンのケージに決まった。世界王者とはいえ別競技、基礎工事となる時間を大切にしてほしい (C)MMAPLANET

8日(火)、12月4日(日)に千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示10ホールで開催されるGRACHAN58に極真空手・第12回全世界空手選手権大会優勝の上田幹雄が韓国のソン・ムジェと対戦することが発表された。

2013年に全日本ウエイト別、2018年に全日本、2019年に世界大会を制し、2021年4月に百人組手に挑戦も60人目でドクターストップとなり八巻建志以来となる史上2人目の極真グランドスラムを逃した上田は、昨年9月にMMA転向を発表した。


その5カ月後にMMA転向を発表し、BRAVE所属なり今年の4月にRIZINでデビュー戦を戦った上田。しかし、高阪剛の右フックに倒されパウンドアウト負け──打撃で敗れるという厳しい船出となった。

7カ月を経てケージでMMAを戦うこととなった上田の相手ソン・ムジェは全く実体が知れないが、今回がプロデビュー戦で韓国のセミプロで6戦6勝とリリースには記されている。

既に桜井隆多、荒東英貴、瓜田幸造、ハシモト・ブランドンが出場する無差別級トーナメント準決勝。小島勝志、鍵山雄介、高橋孝徳、崎山勲が戦うフェザー級トーナメント準決勝、
川中孝浩✖渡辺良知のウェルター級戦、ライト級のルクク・ダリ✖林RICE陽太、バンタム級ではチャンピオン伊藤空也とキム・ヒョロンなどが決まっている同大会。今日のリリースでSJJJF(スポーツ柔術日本連盟)提供の柔術マッチ=村田良蔵×田中義篤という柔術マッチが実現することも明らかとなっている。


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Grachan56 MMA MMAPLANET o 大宮優 林RICE陽太

【Grachan56】林RICEの長い手足に苦しみながら、大宮優がTD&グラウンドコントロールで判定勝ち

【写真】トップコントロールで優位に立った大宮。本人がインタビューで言うとおり、今後の課題は体格差の克服か(C)SHOJIRO KAMEIKE

<ライト級/5分2R>
大宮優(日本)
Def.3-0
林RICE陽太(日本)

サウスポーの林が繰り出した左ミドルに合わせて、ニータップで組みついた大宮がシングルレッグに切り替えてドライブ。林はハイクラッチを取られるも、右腕を差し上げ、さらに左腕も差し込んで立ち上がる。ケージレスリングから大宮が林の左足へシングルレッグを仕掛け、右足へのハイクラッチに切り替え、そのままリフトアップする。ここは右腕を巻き付けていた林が耐えるも、大宮はすかさずバックコントロールへ。正対した林をボディロックから足に組み替えて背中を着かせた。

しかし林は下から大宮の右腕に足を絡みつけてコントロール。反転しようとする大宮の顔面にパンチを浴びせながら、ハーフネルソンでポジションをキープする。ここで体をねじった大宮が脱出し、サイドからバックへ。両足を差し入れるが、完全にバックマウントを奪取することはできない。

相手が前へ振り落とそうとしたところで、大宮は林の右腕を取って腕十字を狙う。腕を抜いた林が立ち上がり、背中を着けた大宮の足に蹴りを浴びせようとしたところで、大宮がスクランブルに持ち込み、トップを奪った。林もすぐに立ち上がったところで初回が終了している。

最終回、左右のパンチを振りながら組みついた大宮が、ダブルレッグからすくい上げて林に尻もちを着かせた。そのまま相手の左足を抑え、ボディロックで押し込んでいく大宮。林も立ち上がったが、大宮がしつこくシングルレッグで組みつき、林に背中を着かせた。

林は1Rと同様、両足で大宮の右腕に絡みつこうとしたが、ここは大宮がすぐに体をねじってトップへ。さらにハーフガードを取る相手にワキ差しでプレッシャーをかけながらパスしてマウントを奪った。

スクランブルに持ち込まれるも、立ち上がった林を再びシングルレッグからグラウンドに持ち込む大宮。ここでも林は同じ体勢からバックを狙うも、大宮がトップからバックを狙う。立ち上がる林。最後は相手のパンチをもらいながら、大宮が前に出て林にケージを背負わせた。

判定はトップを奪い続けた大宮へ。勝者は雄たけびを挙げ、大会終了後にも単独でラウンドガールと写真を撮影してもらっていた。


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Grachan56 MMA MMAPLANET o UFC コナー・マクレガー ミランダ亜廉 中村倫也 大宮優 大搗汰晟 林RICE陽太 海外 鍵山雄介

【Grachan56】「100キロぐらいまでならバック投げも」。デビュー戦欠場、ミランダ亜廉が語っていたこと

【写真】非常に残念な欠場だが、このご時世では致し方ない。男前の仕切り直しの時を待ちたい(C)GRACHAN

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56の第1試合に出場予定であったミランダ亜廉は、コロナウイルス感染のため欠場が発表された。
Text by Shojiro Kameike

MMAPLANETDではコロナウイルス感染が分かる前のミランダにインタビューを行っていた。試合はなくなってしまったが、幼少期からレスリングを学び、アマチュア時代に相手を投げまくったことで注目を浴びるミランダの、MMA英才教育ぶりを知ってほしい。


――プロデビュー戦を目前に控えた現在の心境はいかがですか。

「いつもと変わらずリラックスできています」

――MMAの前はレスリングをやっていたそうですね。

「幼稚園の頃からやっていました。自分自身では始めたレスリングを始めた頃の記憶はないのですが、親が言うには、いろんな習い事をやってみたなかでレスリングが一番楽しそうにやっていたそうです。自分の記憶としては小学校1年生の時ですね。スパリング中にヒザの靭帯を痛めてしまって……」

――それが最初の記憶ですか! ヒザの靭帯とはハードですね。

「それが最初に強く印象に残っていることです。すごく痛かった記憶があります(苦笑)」

――小1でヒザの靭帯を痛めると、その時はレスリングを辞めたくなりませんでしたか。

「メチャクチャ辞めたかったですね(笑)。小学校の時は何百回も、レスリングを辞めたいと親に言っていました。毎日練習漬けで、友達と遊びに行く暇もなくて。そういう周りの友達を見ていると、うらやましかったです。自分も自由になりたいなぁと」

――他のスポーツには興味はなかったのでしょうか。

「バスケには興味があったのですが、チームプレイには向いていないことが自分でも分かっていまして。親からも、もうちょっと続けなさいと。父は、僕がレスリングを辞めないように大きな夢を創ったんですよ。オリンピックに行くという夢ですね。まずそこまで頑張ろうかということで、なかなかレスリングを辞めさせてくれませんでした(笑)」

――ミランダ選手は今年20歳ということで、目指していたのは東京オリンピックではなく、2024年のパリ五輪だったのですか。

「そうです。でも現実的に考えると、レスリングでは無理だなと諦めてしまいました。高3年の時に、リオ五輪で活躍した選手や東京オリンピックに出場する選手と試合をして、あっさり負けてしまうことがあったんです。ここから自分が五輪レベルの選手になるのは、相当時間かかりそうやなと、メンタルが折れてしまいましたね」

――なるほど……。ミランダ亜廉という名前は、お父さんかお母さんが海外の方なのですか。

「父が米国で、母が日本人です。生まれも育ちも大阪ですけども」

――ご両親のどちらかがレスリングをやっていたわけではないのですよね。

「はい。でも父が、もともとUFCが大好きで。ハワイの出身の父が、昔から警察や海兵隊にいたこともあって、格闘技がメチャクチャ好きだったそうなんですね。それでUFCを見ていて、レスリングの重要性が分かっていたと……」

――ミランダ選手をUFCファイターにすべく、お父さんがレスリングを習わせていたのですか!

「父の真意は分からないんですけど、僕も小学校の頃から一緒にUFCを見ていました。今となっては、レスリングをやらせてくれたことを父に感謝しています」

――最初にUFCを見た時の印象はいかがでしたか。

「どの試合、どの選手とかは覚えていなくて……ただ、見るのが嫌やった記憶があります。自分はレスリング一途やったし、ケージの中で殴り合っているのが怖くて。もちろん、あの時は自分が将来MMAをやるなんて、想像もしていなかったです」

――レスリング時代の実績を教えていただけますか。

「小中の時は全然勝てなくて、中3で初めて全国大会で4位になりました。高校時代は3年生の最後の大会で、全国大会8位になっています。大学までレスリングをやりたいという気持ちもあったんですが、行きたい大学から推薦がもらえなかったのと、高3の時にMMAをやりたいという気持ちが強くなりました」

――子供心に嫌だったMMAをやりたくなった理由は何だったのでしょうか。

「あまりよろしくない話なんですけど――高1の時に、隣の地区の子と喧嘩したことがあって。そこでド突き合いも面白いんじゃないかと思ってしまいました」

――ということは、その喧嘩で勝ったのですね(笑)。

「……はい(苦笑)」

――実は高校時代、ストリートファイターだったということですか。

「いえ、そういうわけでは……。真面目に過ごしていたつもりですし、自分から喧嘩を売ったことはなかったです。街を歩いていると因縁をつけられたりして。

その頃から自分でもよくUFCを見るようになっていました。そうしたらレスリングをやっている選手のほうが有利で。正直、レスリングをやっていても社会人になって稼ぐことはできないんですよ。それならMMAをやろうようかなと思いましたね」

――子供の頃に見た時と、レスリングを経験してから見るMMAでは印象も違ったのではないでしょうか。

「全然違いました。攻防が分かるし、あぁこういうことだったんだと気づくことも多かったです」

――特に印象に残っているのは、どの試合ですか。

「カビブ・ヌルマゴメドフとコナー・マクレガーの試合ですね。やっぱりレスリングと寝技って強いんだなぁと思いました」

――すると、好きなファイターはヌルマゴメドフなのですか。

「いえ、好きなのはマクレガーのほうです。ストライカーのほうが好きで(笑)」

――アハハハ、高校時代のド突き合いが影響していますね。そこから高校を卒業してパラエストラ大阪に入会したのですか。

「正確にはいつ入会したのか覚えていないんです。お母さんがパラエストラ大阪で柔術を習っていて、僕もよく一緒に練習させてもらっていました」

――そうだったのですか! 完全に英才教育ですね。UFCが好きだったお父さんは、ミランダ選手がMMAを始めたことに対して何と仰っていますか。

「僕が自分で決めたことなので、特に何も言ってはいないです。ただ、内心は喜んでいると思います」

――そうですよね(笑)。しかし格闘DREAMERSでは、アマチュアの試合で中村倫也選手と対戦し、敗れています。その時の心境は……。

「相手が中村倫也選手だと分かった瞬間、ビックリしました。負けたのはメチャクチャ悔しかったです。もちろん中村選手のことは尊敬しています。レスリングでもMMAでも結果を残しているので。いつか同じ舞台に立って、リベンジしたいと思っています」

――では中村戦以降、何か変わったところはありますか。

「あの時はまだMMAを始めて日が浅かったこともあって、まずちゃんとMMAをやろうと思いました。そのあとGRACHANのアマチュア大会でも、まだ投げるというかレスリングの動きしかできていなくて。ちゃんとMMAをやろうと考えていたのに、組んだら体が勝手に動いてしまいました」

――昨年8月の大阪大会で行われたAクラスマッチ、弘田颯志戦ですね。最後はマウントからパウンドアウトしましたが、その前に相手を投げまくっていました。特にバックを奪ってからの投げは、ブリッジが美しかったです。

「アハハハ、ありがとうございます。でも自然と反応してしまって、投げたあとにスラムで反則にならないか心配でした」

――それと相手をがぶりからリフトして投げたのは印象的でした。かつてのアレクサンダー・カレリンを思い出します。

「メチャクチャ古いですね(笑)。あれはレスリングの返し技で、ダメージを与えられるわけではないんですが、あの体勢になれば誰でも持ち上げられる自信があります。100キロぐらいまでなら、バック投げもいけると思います。高校からグレコの試合で使っていました」

――対して、以降のアマチュアマッチではテイクダウンからトップコントロールで勝利していましたね。自身の中で何か変化があったのでしょうか。

「その間に蹴りを出せるようになりました。打撃メインの練習が増えています。ただ、そのアマチュアの試合の時はコンディションが悪くて、スタミナを温存しながら試合をしていました。MMAを戦うために、あの経験も良かったと思っています」

――なるほど。では次の対戦相手、安倍路人選手の印象を教えてください。

「打撃の選手、という印象ですね。キャリアは長いですけど、途中にMMAはブランクがあるので、自分がしっかり勝たなければいけないと思っています。レスリング力でキープしながら勝ちたいです」

――まだプロデビュー戦を控えている状況ですが、目指すはUFCですか。

「はい。やるからには一番を目指したいし、MMAで世界一はUFCなので」

■視聴方法(予定)
8月7日(日)
午後12時30分~ GRACHAN放送局

■Grachan56計量結果

<Grachan無差別級T1回戦/5分2R>
荒東”怪獣キラー”英貴:―キロ
岡本純一朗:―キロ

<Grachan無差別級T1回戦/5分2R>
鍵山雄介:66.1キロ
大搗汰晟:65.85キロ

<ライト級/5分2R>
林RICE陽太:70.4キロ
大宮優:70.75キロ

<フライ級/5分2R>
永井美自戒:57.0キロ
小林大介:57.72キロ

<バンタム級/5分2R>
今村豊:61.5キロ
中嶋紳乃介:61.6キロ

<ウェルター級/5分2R>
青木忠秀:76.85キロ
遠塚浩希:77.5キロ

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DEEP Grachan56 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC キック セルゲイ・ハリトーノフ ダナ・ホワイト パンクラス 原口伸 大宮優 木下憂朔 松場貴志 林RICE陽太 海外

【Grachan56】林RICE陽太と対戦、大宮優―02―「格闘技の怖さと面白さを体現していきたい」

【写真】松葉同様、イラっとさせるモノは持っている?!(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56で、林RICE陽太と対戦する大宮優のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

なかなか濃いめのキャラクターを発揮する大宮だが、プロデビュー以降の話は意外と真面目に――かと思えば、結局はかなり濃いめのファイターだった。果たして、原口戦でKO負けを喫してからの再起戦で、真価あるいは進化を見せることができるか。

<大宮優インタビューPart.01はコチラから>


――今、柔術は何帯なのですか。

「柔術は茶帯で、もっと柔術も強くなりたいです。今はMMAをやっていますが、もちろん柔術が好きなので。

あ、全然関係ないんですけど、僕は那須川天心君と同い年なんですよ。僕が高校の時に柔道で勝てなくて悩んでいる時、RIZINで那須川天心君の試合を見て『同い年でこんなに凄い子がいるんだな』って、すごく刺激になりました。こんな凄い選手が同い年で、自分は学校でヘラヘラ話をしていていいのか、と勝手に焦ったりして。

それでALIVEに入会してからアマチュアの試合に誘われて、すぐに出場を決めました。100回練習するより1回したほうが、絶対に良い経験になると思ったので。それで出てみたら、ポンポンポンッと勝ってしまったので、これは来たって勘違いしちゃいましたね(笑)」

――そのアマチュア時代には、木下憂朔選手にキムラで一本勝ちを収めています。しかも木下選手の階級である、ウェルター級の試合でした。

「あれは……柔術しかできない頃で、とにかく殴られても殴られても前に出るしかない、という試合でした。あの時は何とか勝てましたけど、今ならボッコボコにされます(笑)」

――その後、木下選手はパンクラスでランキング1位となり、先日ダナ・ホワイト・コンテンダーズ・シリーズ(DWCS)出場が決まりました。

「単純に凄いな、って思います。木下君が先行しているから自分は……っていう焦りは一切ないですね。むしろモチベーションになっています。だからDWCSでガンガン活躍してもらって、ぜひUFCと契約してもらいたいです。僕も木下君に続いて、UFCのライト級とウェルター級で格闘技を盛り上げていきたいですよね」

――なるほど。大宮選手は昨年11月にDEEP大阪大会でプロデビューし、キムラで勝利しました。2戦目は今年3月のGRACHANで、原口伸選手にKO負けを喫しています。

「実は、試合直後は記憶が飛んでしまっていて、自分がどんな感じで試合をしたのか全く覚えていなかったんです(苦笑)。でも負けたことは分かっていて、試合の翌日には『あぁ自分はもう選手として価値がないのかな』って思いました」

――……。

「そう思っていると、SNSで僕の試合を評価してくださる方が多くて。GRACHANの岩﨑(ヒロユキ)代表もそうですし。試合で一生懸命やったら、勝ち負け以外のところで評価してくれる人がいるんだなって、すごく嬉しかったです。だから負けた自分に、今回のオファーをくれた岩﨑代表には、とても感謝しています。その評価に恥じないよう、次も面白い試合ができたらって思いますね」

――その後、原口戦の映像はご覧になりましたか。

「試合映像は見ていなくて、でも内容は全部思い出しました。まず、あまり言葉はよろしくないでしょうけど――あの試合は、相手を撲殺してやろうと思っていました」

――それだけ気合いが入った状態で試合に挑んでいるのは、表情からも分かります。

「デビュー戦は打撃の展開が一切ないまま勝ってしまいました。そうしたら中学校の柔道の先生から『おめぇ、打撃ヘタだなぁ』と言われたんですよ。いやいや、自分がどんな気持ちでパンチやキックの練習をしているのか分かってんのか、と思いました(笑)。だから原口戦は、絶対にパンチでKOしてやろうと考えていて。負けましたけど、パンチで良いシーンもありましたよね」

――お互いのパンチが当たる、シーソーゲームの大激闘でした。

「今振り返ると、やっぱり自分のMMA人生には可能性しかないなと思っています。良い点もあるし、悪い点もあることは分かったので、今はそれを修正しています。だから前向きな気持ちしかないですよ」

――今回の試合に至るまでに、どのような点を修正してきたのでしょうか。

「前の試合の時点では、まだ打撃とテイクダウンが噛み合っていなかった、というのが一つです。自分が得意としているのはテイクダウンやグラウンドで、そこにつなげやすい打撃のコンビネーションは何だろうか、と考えるところから始めました。それで発さんや久米さん、いろんな方のアドバイスを聞きながら、それを修正して積み重ねているところですね。今ようやく、それが噛み合い始めたと思います。寝技については驕ることなく、ずっと技術を研ぎ続けています」

――体格としては日沖さんよりも久米選手のほうが近いですよね。

「そうです。久米さんのファイトスタイルは、とても参考になります。ただ、それを久米さんに言うと『オレとお前を一緒にするのか』って怒られそうですけど(笑)」

――キャラは松場貴志選手でファイトスタイルは久米選手に。では次の対戦相手、林RICE陽太選手の印象を教えてください。

「デカいし、核弾頭みたいなパンチを打ってきますよね。見た目もセルゲイ・ハリトーノフみたいで」

――……。体格面では林選手のほうが勝っています。しかし海外で戦うとなれば、それだけの体格差も当たり前になってくるでしょう。そこでライト級からフェザー級やバンタム級に落とす考えはないのでしょうか。

「今のところ落とす予定はないですね。もちろんライト級では、自分より体格が大きい選手ばかりです。でも、それが分かっていたらイメージしやすいですから」

――というと?

「前回の原口選手は僕と体格が近くて、それがイレギュラーだったと思うんですよね。でも、この階級で僕より身長が高い選手しかいなければ、その相手を倒す技を追求していけば可能性があると思っています。今回も自分より大きい選手を相手に、殴ったらKO。寝かせたら360度回転させるぐらいの勢いでやります!」

――えーっと、360度回転させるというのは……。

「相手の肩を360度回転させてキムラを極めます。グリン! って」

――人体の構造として……まぁ、いいです(笑)。

「アハハハ。でも僕は、勝つことに必死です。極めきれない、これ以上曲げたら危ないかなっていう優しさが命取りになることもある。それが格闘技だと思うんです」

――もちろん、そうですね。

「エンターテインメント色が濃いめかもしれないけど、そんな僕が格闘技の怖さと面白さを体現していきたいです。よろしくお願いします!」

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【Grachan56】林RICE陽太と対戦、ALIVEの少しヤバめ=大宮優「格闘技への入り口は、ほぼぼぼサブカル」

【写真】日沖発、久米鷹介、村元友太郎から竹本啓哉、松場貴志……どの先輩の跡を追うのか……、(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan56で、名古屋ALIVEの大宮優がプロ3戦目を迎える。対戦相手は大阪のベテラン、林RICE陽太だ。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビューした大搗は初戦こそ勝利したものの、続く原口伸戦でKO負けを喫した。しかし以降は2連続KO勝利を収めている。あの敗戦から何を得たのか。GRACHANの新しいフェザー級王者を決めるトーナメントを前に、MMAファイターとしての成長を訊いた。

昨年11月にDEEP大阪大会でプロデビューし、1Rにキムラで一本勝ち。今年3月にはGRACHAN/BRAVE合同興行で原口伸と対戦した。注目の若手同士の激突としてプロモーターが太鼓判を押した一戦は、期待に違わぬ大激闘となるも、大宮が1RにTKOで敗れている。あの試合から4カ月――再びGRACHANのケージに立つ大宮に、これまでのキャリアなどを訊いたところ、何やら強烈なキャラクターが見えてきた。


――本題の前に……写真の表情なども含めて、最近のALIVEにはキャラクターの濃い選手がいますね。竹本啓哉選手もそうですし、元ALIVEの松場貴志選手にしても(笑)。

「淡い中間の色が存在しないですね(苦笑)。松場さんの記者会見とかで物怖じしないところは凄いと思いますし、僕の今後の格闘技人生でも必要なのかなと思っています」

――いえ、そこはあまり真似しないほうが良いかと思いますが……。

「たとえスベったとしても、どんな状況でも冷静に対応できるという意味で、格闘技に向いているんじゃないでしょうか(笑)」

――アハハハ、そうかもしれないですね。大宮選手は宮城出身とのことですが、なぜ名古屋のALIVEに入会することになったのでしょうか。

「もともと高校で柔道をやっていて、卒業して自衛隊に入ったんです。でも自衛隊を離れる時に相談した高校の柔道部の顧問から、『知り合いが愛知県で柔術道場を開くので弟子を募集している』と声をかけていただいて。ずっと柔道以外の格闘技もやりたいと思っていたので、これはチャンスだと考えて二つ返事でOKしました。

そこから最初はALIVEとは別の道場で柔術を習っていたのですが、MMAをやりたいと思って、ALIVEを紹介していただいたんです」

――柔道を始めたのは高校からですか。

「いえ、中学からです。もともとは野球をやっていたんですが、中学からは何か格闘技をやりたいと思っていて。近くの中学校に柔道部があったので入って、僕の格闘技人生が始まりました。

とにかく道着の格闘技をやりたくて、空手部があれば空手を、少林寺拳法部があれば少林寺拳法をやっていたと思います。ただ、僕の中学校に武道は柔道と剣道しかなかったので、柔道を選びました」

――なぜ格闘技をやりたいと思ったのでしょうか。

「小学校の時に身内から漫画の『ジョジョの奇妙な冒険』や『グラップラー刃牙』を薦められたことがキッカケですね。ずっとバトル漫画が好きだったんです。『地獄先生ぬ~べ~』や『バオー来訪者』とか。最初は『ドラゴンボール』で、そこから『北斗の拳』や『聖闘士星矢』を見て、ジョジョや刃牙、『飢狼伝説』を知ってトキメキました。もう格闘技をやるしかないと」

――懐かしい漫画の名前が並ぶので、それについて語り合いたいところですが、話を戻します(笑)。その時点ではプロのファイターになりたいという意識はあったのですか。

「僕の家系は球技が得意で、僕も最初は必然的に野球をやっていたんですよ。でも僕だけ、うだつが上がらない状態で。他の家族は10のことを教わったら20できるようになるのに、僕だけは10のうち5ぐらいしかできなかったんですよね。

なのに柔道を始めたら、いきなり郡大会で優勝して。球技じゃなくて格闘技だ、格闘技で有名になるしかないと思いました。

そこから格闘技について調べていくと、ブラジリアン柔術、空手、MMAといろんな競技があることを知って。そのなかで当時流行っていた、ストリートファイターⅡのリュウとケンが着けていたグローブと似たようなものを使う競技はあるかな、と探したらMMAにたどり着きました」

――ストリートファイターⅡ、漫画の次はゲームですか。

「そうなんです。格闘技への入り口は、ほぼぼぼサブカルでした」

――ただ、ストⅡのリュウとケンは打撃系ですよね。打撃系競技をやりたいとは思わなかったのでしょうか。

「ストⅡの場合は、遠距離攻撃ができるダルシムが好きだったんですが、いろいろやっていくうちにブランカが好きになって。あとはガイルの肩の筋肉はどうやって出来上がるんだろうと思って、ひたすら腕立て伏せや綱登りをやっていました」

――なるほど……ゲームの話が続きそうなので、また話を戻していいですか(苦笑)。

「はい……(苦笑)。柔道でそれなりに結果が出た時に、今後は格闘技で食っていきたいという未来が見えました。それまで何をやってもダメだった自分に、一筋の光が差し込んできて、ようやく人生の希望が見えたんです。

そのまま柔道については、日本一を目指して練習していました。でも、なかなか勝てなくて。周りは僕より才能がある選手ばかりで、でも自分がそう思っている選手が全国では勝てない。だから高校を卒業する時に、自分が柔道で食べていくのは無理だと思いました」

――……。

「ただ、せっかく続けてきた柔道を生かせる仕事をしたいと思って、周りの人のアドバイスもあって自衛隊に入りました。でも、将来的にはMMAをやるつもりでいたんです。
もちろん自衛隊にいたら、安定した生活を送ることはできていたと思います。でも、それで安定しちゃったら自分はダメになると思って、すぐに辞めてしまいました。それで先ほど言った流れから、今はALIVEでMMAをやっています。

今となっては、早くに自衛隊を辞めていて良かったと思います。早いうちからALIVEで日沖発さん、久米鷹介さん、加藤久輝さんといった強い方たちに鍛えていただいているので」

<この項、続く>

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