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45 MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 手塚基伸 笹晋久

【POUNDOUT01】手塚のTD&コントロールを凌いだ笹が延長戦でトップを奪取して判定勝ち

【写真】勝者にも笑顔なしのタフファイト(C)MMAPLANET

<バンタム級/5分2R+ExR>
笹晋久(日本)
Def. Ex3-0
手塚基伸(日本)

ともにサウスポー。笹が右ジャブを突く。手塚がフェイントからシングルレッグで入り、背中を着かせる。スイープする笹をスクランブルから立ち上がった手塚がケージに押し込む。笹は左腕で手塚の首を抱えて引き込んだ。腰を上げてマットに頭をつけてディフェンスする手塚。笹にも展開はなく、レフェリーがブレイクをかけた。

残り2分、手塚が距離を詰めて左ローを蹴る。笹も左カーフを返した。手塚のシングルレッグに対し、笹は右テンカオを合わせたが、そのまま組まれてドライブされてしまう。右オーバーフック&右足を差し入れる笹を、手塚が押し込み続けて初回を終えた。

最終回、距離を詰めた笹に手塚が左ストレートを浴びせる。続くシングルレッグを切られた手塚は、得意のディープハーフからスクランブルへ。さらにバックを奪取した。立ち上がる笹をケージに押し込み、再びシングルレッグで組む。ハイクロッチに切り替えた手塚に対し、笹は足を抜いて正対する。右腕を差し上げて切り返した笹は、離れて打ち合いへ。距離を置いた笹、手塚は左に回る。

笹の右ボディを受けた手塚はシングルレッグで笹を捕まえ、ハイクロッチでケージに押し込む。笹もギロチンで抱えるが展開はなく、レフェリーがブレイクをかけた。再開後、パンチの交換から笹が右跳びヒザを見せる。手塚はシングルレッグで笹に背中を着かせ、右足を抱えてパスを狙う。

左腕で笹の首を抱えた手塚がパスすると、すぐに笹がスクランブルから立ち上がる。ケージ際から離れた両者は打ち合いに。手塚の左ストレートが顔面に突き刺さると、笹も右を打ち込み試合を終えたが、裁定は三者三様のドローで延長戦に突入する。

延長戦、パンチからシングルレッグに繋げた手塚だが、ここは潰されてしまう。ガードからオープンハンドで叩く手塚。両腕を差し上げた笹に対し、手塚はケージウォークを狙うが、笹が少しケージ際から離してトップをキープする。笹の右足を挟んでバックを狙う手塚だが、ここも笹が潰した。

手塚はハーフガードからバックを狙う。右オーバーフックで耐える笹。しかし手塚が起き上がり、笹をケージに押し込む。笹は首相撲で切り返し、ヒザをボディに突き刺す。ラウンド終了間際、笹のヒザ蹴りがローブローとなり、手塚に休憩が与えられる。すぐに試合は再開され、ケージ中央でパンチを振るい合う両者。手塚が笹にケージを背負わせ、パンチを当てていった。

延長戦は笹がユナニマスで制した。


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45 AB DREAM Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 Poundstorm Road to UFC UFC YouTube   チャンネル 中村京一郎 中村倫也 修斗 児山佳宏 宮内拓海 山内渉 山本琢也 岡田達磨 岡見勇信 岡野裕城 岩﨑ヒロユキ 手塚基伸 斎藤 新井丈 松場貴志 海外 笹晋久 鍵山雄介 髙谷裕之

【POUNDOUT01】髙谷裕之、第二章2ndクール「純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を」

【写真】選手は強化してきた。その場を創る活動が、再び始まる (C)MMAPLANET

本日5 日(土)、ついに千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUTが産声を挙げる。
Text by Manabu Takashima

POUNDSTORMから2年半、2021年と2022年に実施された格闘DREAMERSは中村倫也というUFCファイターを生み、外敵ファイターを含めJ-MMA界の中心を担う、海外に活路を求めるという両面で人材を輩出してきた。

両大会の総監督であった髙谷裕之が手がけるPOUNDOUTはあの日の続き、言い出しっぺのプライドが日本人を強くするベクトルを持ち再び動き出す。リアル・ガチ路線続行、髙谷の話を訊いた。


選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました

──POUNDSTORMから2年半、LDHの格闘技イベントが諸事情で休止しているなかで髙谷裕之総監督が手掛ける新しいMMA大会=POUNDOUTが始まります(※取材は9月25日に行われた)。ここで自らのイベントをスタートさせることになったのは?

「もともとPOUNDSTORMで、プロモーターとして活動をしていこうと思っていたのですが、そこの動きが止まった。でも選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました。選手を強くするのと、大会を開くというのは自分のキャリアとして別モノとして捉えていて。後者の方は止まってしまっていたのですが、色々な人の協力もあって動き出すことができました」

──POUNDSTORM後、描いていた将来像が崩れたといっても過言でないかと思います。

「再開を待つこともできました。でも、だんだんとモヤモヤしてきて。このままじゃいけないんじゃないのか、と。それに再開したときに何かをやっていた方が合流もしやすいという想いでした」

──Grachanの岩﨑ヒロユキ代表が実務面で相当にサポートしているようですが、なぜ関係性の強いサステインでなくGrachanの協力を仰ぐことになったのでしょうか。

「なんでですかね……(笑)。たまたま声をかけてもらったこともありすし、坂本(一弘サステイン代表)さんは先生なんで。ちょっと一緒にというのは、おこがましいというか……(苦笑)。岩﨑さんは宮田(和幸)さんをサポートして、Brave Fightとの合同興行の経験も長いので、その乗りで『一緒にやらない?』みたいな感じでしたね、最初は。

僕の活動が止まってしまっているので、心配して声をかけてくれたんです。『じゃあ、やってみたいんです』みたいな感じで気楽に……そこまで深く考えていなくて(笑)。でも、進めていくなかでドンドン気合いが入って、ちゃんと世界を目指していけるような大会にしたいと思うようになりました」

──POUNDOUTという名称は?

「僕が考えました。POUNDSTORMもそうで。その流れで考えていくうちにPOUNDOUTという名前に決めたことで、しっかりとやらないといけないという考えになって」

──格闘DREAMERSの卒業生やFight Farm所属選手で、今一緒にやっていける選手が中心という考えだったのですか。

「もちろん、自分が指導している選手は全員が出て欲しいという気持ちはありました。でも(中村)倫也はUFCですし、出られるわけがないですよね。修斗でチャンピオンになった(齋藤)奨司も、修斗世界王者をいきなり担ぎ出すことも失礼だし。と同時に全員が同じ大会で試合があると、実はしっかりと練習ができない。皆が自分の戦いのことを第一に考えるのは当然なので、練習仲間を勝たせるために練習ができないんですよ。

個々を勝たせる練習を同時に行うことはできなくて。皆が自分が勝つ練習ばかりになり、チーム力が分散してしまう。これは本当にPOUNDSTORMの時に学んだことでした」

──なるほどっ!! そういうなかで岩﨑代表が、良い対戦相手を用意してくれたかと。Grachan関係の主力級の選手が出場します。

「山内に関しては、新井丈戦でダメージを受けてからの再起戦で。『弱いヤツとはやりたくない。あと何試合、戦えるのか分からない。自分の体は消耗品』という気持ちでいます。そこで松場(貴志)君は元チャンピオンだけど、現チャンピオンよりも強いという風に聞かされた山内が、『ぜひ戦いたいです』と。

京一郎はRookies Cupを途中欠場したので、Grachanで戦う選手にしっかりと勝ってGrachanのタイトルを狙うという意味合いの試合ですね」

──それと千葉から世界へ。なかなか首都圏に属している大都市圏からは出てくるフレーズではないですが、千葉連合が実現したようにも見えます。

「地元から、ですね。地元の企業も応援してくれますし。鶴屋(浩)さんも、その考えに共鳴してくれて。千葉から世界に出したい。鶴屋さんが協力してくれたので、自分が思っていた以上のカードが組めました。それでいて千葉同士を当てているんですけどね(笑)」

──アハハハハ。千葉から世界へ──という部分ですが、日本人を強くするためにLDHとABEMEMAのリアリティTVショーと大箱での大会があった。そして2年が過ぎて、Road to UFCでは準決勝で日本人が姿を消した。この現実を髙谷さんはどのように見ていますか。

「確かにショックでした。準決勝で中国人ファイターに日本人選手が全敗をして。ただ中国人選手が優勝するために選手を選んだ。そんな風に感じられていました。あの結果が日本の全てではないと思っています。POUNDOUTから、その場を目指す選手を育てたいです」

『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない

──格闘DREAMERSに出ていた選手たちが、今や日本をリードし中枢にならんとばかりの活動を続けています。

「そこは凄く嬉しく思います。色々な選手が集まっていた、良い企画でした。ただ僕が育てたわけじゃないですけどね(笑)。素直にあの企画に出演していた選手たちのキャリアアップに、元DREAMERSという肩書が役立っているのは嬉しいです。今回も今も地方でも頑張っている選手に声を掛けると、岡田(達磨)が出てくれました。DREAMERSがスタートで、ここに来たというのは絶対です」

──POUNDSTORM、EXFIGHTのことがあったので継続という部分にはしっかりと向き合っているかと思いますが、今後の青写真というのは?

「『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない。POUNDSTORMが復活する時も、自分がPOUNDOUTをやっていることが、形としても責任を果たしていることになりますし。自分で、そういう風に思いたい。なので少なくとも年に2度のペースで開いて、しっかりと定期開催をしていきます。今後は世界に行くためなら、国際戦も組まないといけないですし。簡単ではないですが、それだけの力をつけないといけないです」

──旗揚げ戦のガチ路線はSTORMからOUTになっても、しっかりと引き継がれています。

「いや、そういうカードしか思いつかないんですよねぇ(笑)」

──格闘技ってこうじゃなかっただろう……と思うことが増えた2024年のMMA界にあって、それこそが我々が髙谷裕之に望む部分です。なんせ「強い外国人とは戦いたくない」という選手が普通にいる現状です。

「そんなこと、本当にあるんですか!! ウチには、そんなヤツはいないですよ。そして、そんなヤツらに夢を見させたのは自分なんだから。続けないといけないというプライドもあります。コレを続けないと、恥ずかしいです。

やはり選手たちには、世界を目指して欲しいですし。僕自身がDREAMでチャンピオンになったけど、世界一になった気持ちは少しもなかったです。僕は世界一を目指していたし、今の選手達にも、どうせやるなら世界一を目指して欲しい。その世界一はUFCなので、UFCを目指して欲しい。そういう気持ちの選手が集まる大会にしたい。ゆくゆくはここからUFCファイター、UFC世界チャンピオンが生まれて欲しいとは思っています。でも、まずは純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を創りたいと思っています」

──押忍。盟友の岡見勇信選手が、どこで合流するのか期待しています(笑)。

「アハハハハ。岡見はまだ現役なので。自分のことに集中して、次の試合ことを考えるべきなんです」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後4時30分~髙谷裕之YouTubeチャンネル

■ POUNDOUT対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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45 DEEP DEEPフライ級GP Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 YouTube チャンネル ライカ 中村京一郎 児山佳宏 宮内拓海 山内渉 山本琢也 岡田達磨 岡野裕城 御代川敏志 手塚基伸 斎藤 松場貴志 笹晋久 鍵山雄介 髙谷裕之

【POUNDOUT01】メインで山内渉と激突。前Grachan王者、松場貴志「大縄跳びに加わっていきたい」

【写真】リモート取材では本人の希望で2パターンのスクショを撮影。ポーズに意味はないそうです……(C)SHOJIRO KAMEIKE

5日(土)、千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT01のメインで、松場貴志が山内渉と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年2月、松場は御代川敏志に敗れてGrachanフライ級のベルトを失った。結果こそ松場が御代川の投げに対してマットに手を着き、左ヒジを脱臼したため負傷TKOとなったが、試合前からいつもの松場と違っていたことは確かだ。そんな王座交代劇、そしてPOUNDOUTでの復帰戦について松場は何を語るのか――と思えば、やはり松場は松場だった。


――御代川戦で左ヒジを脱臼していましたが、その後の回復具合はいかがですか。

「何も問題ありません。次の試合は新生松場を見てほしいです」

――……いきなりインタビューを終わらせようとしないでください。新生ということは、生まれ変わったのですか。

「はい。ヒジを負傷したことで、ヒザの重要性を感じることができました」

――ヒザの重要性とは?

「……、……ひとつ何かを失うことで、大切なものに気づくことができたんです」

――おそらくオチはないだろうと思って聞いていたら、本当に何もなかったです。

「いやいや、そんなことはないです。新生松場を見てほしいです」

――試合ではあれだけ二手三手と用意しているのに、トークでは一の手しか用意していないですよね。

「アハッハァ! 前回の試合も、一の手しか用意していないから、ああいう結果になったんじゃないですか」

――ベルトを失ったことについては、今の時点でどのように考えていますか。

「やらかした、というか。まぁ、うん、何というか……」

――試合の話になると急に素のモードですね。

「まぁ、等身大でやっていかないといけないですね」

――等身大というのは分かります。あの時、試合前から少しムキになっていませんでしたか。いつもの松場選手とは違う雰囲気を漂わせていました。

「そうなんですよ。なんだか試合前からグッと力んでしまっていて。いろいろと歯車が回っていなかったような気はします」

――試合後、松場選手のセコンド陣に訊くと「いつもより攻め急いで、スタミナが切れるのが早かったのではないか」という意見がありました。

「それもありますけど、いっぱい練習しているので、あれでスタミナが切れることはないです。ただいつもより力んでいて……、もうこの話は止めましょう(苦笑)」

――リアルに止めようとしている表情じゃないですか。ひとつ言えるのは、タイトルマッチなのに王者がベルトを自宅に忘れてきたのは……。

「はい。その点は私が100パーセント悪いです」

――試合で敗れ、そのベルトを失ったことについては?

「勉強になった、というぐらいですね。そんなにベルトにはこだわっていないですし。それよりも今まで大きな怪我をしたことがなかったので、良い経験になりました」

――翌月のDEEP大阪大会にセコンドとして来ていた時、何もなかったように腕を動かしていたので回復具合に驚きました。

「5月ぐらいには試合したいと思っていましたからね。それほど大ごとになることもなくて良かったです。ちょっと他にも怪我があって、ここまで復帰も延びちゃいましたけど。この期間に良いところを残しつつ、いろいろ進化してきました。次の試合は新生松場を見てください」

――今回はその一言だけで乗り切ろうとしていますね。

「アハッハァ」

――話を戻すと、DEEPフライ級GPを経てグラチャンのベルトを失って以降、松場選手が何を目指していくのでしょうか。

「何かを目指す、ということじゃないんですよね。どこで引退するか、なんてことも決めていないし。何なんですかね?」

――そんななかで、復帰の舞台がPOUNDOUTになったことは少し意外でした。

「そうですか? POUNDOUTに出ることができて嬉しいですよ。僕、髙谷裕之さんのことがメッチャ好きで」

――えっ、それは本当の話ですか。

「本当ですよ。何もかも疑わないでください(笑)。高校生の頃に試合を見ていて、メチャクチャ好きでしたよ。今でも当時の試合映像を視ているほどですから」

――髙谷さんと松場選手はファイトスタイルが違うので、それも意外です。

「髙谷さんってストライカーで、スタンドではメチャクチャ強いじゃないですか。でも、あの立ち方はレスリングも強いと思うんですよ。あれだけテイクダウンを防いでスタンドで戦う姿が本当にかっこ良くて」

――POUNDOUTでは、高谷さんの弟子である山内選手と対戦します。

「はい。僕はずっと髙谷さんの試合映像を視ていますから、弟子が試合でやってくることも筒抜けです。もう髙谷さんの試合を見るだけで、何もかも分かりますよ」

――山内選手の試合映像は視ていないのですか。

「視ていません。髙谷さんの試合映像を視ていれば大丈夫です」

――……また一点突破しようとしていますね。

「アハッハァ。もちろん100パーセント勝つ気でいますよ。今の国内フライ級って、実力的に拮抗していると思うんです。ほぼ団子状態というか――扇久保選手、神龍選手をはじめ、多くのトップ選手が大縄跳びに並んでいる状態で。

僕もしっかりとリズムを取って、縄に引っかかることがないよう大縄跳びに加わっていきたいです。そして何回も何回も、跳べるかぎり跳び続けていきます。山内選手はその大縄跳びに加わるというより、縄を回す選手という印象ですね」

――縄を回す選手、というと?

「所詮は縄を回す人だな、ってことですよ。僕たちは跳ぶ側の人間ですから。そして僕は何回も跳び続けて、最後まで大縄跳びに残ります。ファンの皆さんは会場で、あるいは配信で何回跳んだか声を挙げて数えてください」

■POUNDOUT01 視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後16時30分~ YouTube髙谷裕之チャンネル

■POUNDOUT01 対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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45 Gladiator Gladiator028 Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 TSUNE YouTube   チャンネル パン・ジェヒョク プロレス 伊藤空也 手塚基伸 水野翔 笹晋久 筋トレ 髙谷裕之

【POUNDOUT01/GLADIATOR028】手塚基伸×水野翔、マンツーマンの壁スパー「スタイルは変えない」

【写真】背景はケージ模様マット。オーダー品で、かなりケージの雰囲気が出ます(C)SHOJIRO kAMEIKE

5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT01にて手塚基伸が笹晋久と、6日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR028で水野翔がパン・ジェヒョクと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年2月、TSUNEに敗れてGrachanバンタム級王座を手放した手塚が、髙谷裕之の主催興行で復帰戦を行う。また、Gladiatorフェザー級挑戦者決定トーナメントのリザーブファイトでの勝利から、準決勝でパン・ジェヒョクと対戦することになった水野。二人は所属ジムが異なるものの、手塚が運営する大阪市鶴見区のジム「シークレットベースドミネート」で2人が行うマンツーマンの練習を行っている。そんな2人の練習では、両者のファイトスタイルが理解できる壁際のトレーニングが行われ続けていた――。


いつもこの練習しかやっていないです(手塚)
MMAを始めた時、手塚さんの指導を受けていました(水野)

――先ほどは1時間強、壁際の攻防を中心とした練習が行われました。お二人での練習は、いつも同じメニューなのでしょうか。それとも本日は、たまたま壁際の練習だったのですか。

1時間ノンストップで壁際の攻防を続けた両者。時おり寝技になるも、壁レスからのポジション取りが前提だ

手塚 いつもこの練習しかやっていないです(笑)。ジムが狭いので、あとはフロアで寝技の練習をするぐらいですね。水野君はとにかく頑張る選手で、この練習では俺が教えるというか潰していく。それに対して水野君がどうアプローチしてくるか――俺の肥やしとして成長してくれていますよ。

水野 アハハハ! やはり僕にとって手塚さんとの練習は本当に良いもので……やられまくりですけど(苦笑)。僕は手塚さんのようなファイトスタイルを目指していて。そのスタイルを実際に練習で感じ取って、試合に生かしていきたいと思っています。

――お二人で練習し始めたのは、いつ頃なのですか。

水野 去年の1月か2月ぐらいからですね。

手塚 俺がこのジムを開いて、パーソナルトレーニングを受けるようになってから、身動きが取れなくなったんですよ。他のジムに練習に行くことができなくなって。でも練習はしたい。そこでウチのジムに、一緒に練習してくれる選手を呼ぶようになったんです。その練習メンバーの中に水野君がいました。

水野 ここで練習が始まった頃は4~5人いて、今は手塚さんと僕でマンツーマンの練習になりました。

――シークレットベースドミネートで練習を始める前から、お二人は交流があったのですね。

水野 そもそも僕が格闘技スタジオSTYLEでMMAを始めた時、手塚さんの指導を受けていたんです。

手塚 そうなんですよ。僕はSTYLEでクラスを持たせてもらっていて。

――TSUNE選手と同じケースですね。水野選手と対戦するわけではないですが。

手塚 アハハハ! そういう選手、他にもいるんですよね。水野君とはもう5~6年の付き合いになります。

――当時、水野選手がMMAを始めた理由を教えてください。

水野 僕はもともとプロレスラーになりたかったんです。「プロレスラーになるためには何から始めたら良いのか」と調べていて、まずMMAを習おうと。そこで自宅の近くにあったSTYLEに入会しました。

手塚 当時は新日本プロレスに入ろうとして、体を大きくしていたよね。

水野 プロレスラーになるために筋トレして、体重も80キロぐらいありました。でも身長制限があって、入団することができなかったんです。

――現在はMMAを戦いながらプロレスラーとしても活動している水野選手です。手塚選手が自身のジムを設立し、練習相手として水野選手にも声をかけたと。

水野 いえ、僕の場合は自分から手塚さんに連絡させていただきました。

手塚 あぁ、そうやった。プロレスもやっていたけど、もう一回MMAに取り組みたいというので「それやったら、この時間に練習しているからおいで」と伝えたんですよ。

週4~5ほど、マンツーマンで練習させてもらっています(水野)
前日に時間を連絡して、「行けます!」と言ってくれる(手塚)

――今日の練習を見ていると、手塚選手がケージを利用してサブミッションを極めるのも、水野選手がケージ際で戦うスタイルであることも理解できました。

水野 前回もほぼケージ際でしか戦っていないですからね(笑)。

テイクダウン、ポジショニング、パスガード、パウンドーーほぼ全て壁際で

手塚 もともとポテンシャルがメチャクチャ高かったんですよ。プロデビューしたのは、いつだっけ?

水野 去年の6月です。

手塚 一緒に練習していて、この1年間で凄く成長しているのは実感しています。グラジでもたくさん試合を組んでもらって。

水野 いやぁ、もう……気持ちだけで攻めているようなものです(苦笑)。

手塚 最初は俺の練習要員に、というのが頭にあって。だけど今は凄く成長して、いつか俺を追い抜かしていくかもしれない。その水野君を超えるように――という感じで練習しています。

――マンツーマンの練習で、よくバランスが取れていますよね。手塚選手が押して、水野選手が潰していくパターンもあります。そこで切り返す手塚選手に対して、水野選手がいかにトップをキープできるか。お互いに必要なものを埋め合っているように感じられます。

手塚 はい。彼は体も強いので、怪我もしにくいんです。だから、いつでも一緒に練習できる――呼んだら何時でも来るし。

水野 週4~5ほど、マンツーマンで練習させてもらっています。

――週4~5! ほぼ毎日ではないですか。

手塚 こっちの時間に全部合わせてくれるので、助かっていますね。パーソナルトレーニングの指導の間に時間ができたら、それこそ前日に時間を連絡して、「行けます!」と言ってくれるんです。

水野 日付が変わる直前に「明日、○時に来られる?」と言われても「行きます!」と答えていますね(笑)。手塚さんは選手としてだけでなく、生物として凄いと思います。朝からパーソナルトレーニングがあって、夜はクラスの指導があり、その間に僕とマンツーマンで練習していて。本当に凄いです。

――なるほど。手塚選手はGrachanバンタム級のベルトを失って以来の復帰戦となります。前回のTSUNE戦について振り返っていただけますか。

手塚 1Rと2Rを取られているわけやから、最終ラウンドはしっかり極めに行かないかん。でも最後も微妙な感じで終わってしまいました。負けたのでショックはショックでしたよ。でも全力で挑んだし、そういう流れやったんかな――という感じですね。

――試合後のセレモニーでは、手塚選手自身がTSUNE選手の腰にベルトを巻きました。

手塚 2回も負けているんでね。TSUNE選手も俺へのリスペクトを言ってくれていたし、ああいう流れやったら――とパッて思いつきました。

――続いてケージに入った伊藤空也選手が「手塚さん、引退しないでくださいよ。自分がリベンジするんですから」と言い、手塚選手も大会後に「ああ言われたら、まだ続けなきゃいけないですね」と笑顔を見せていましたね。

手塚 格闘技って相手あってのものやから、皆がそうやってリスペクトし合って、盛り上げようと発言してくれる。「長いこと格闘技を続けてきて良かったなぁ」と思えるような年齢になりましたよ(笑)。

――アハハハ。一方、TSUNE戦を経て何か変えないといけない部分はありましたか。

手塚 壁の練習もそうやし、あとはフィジカルですね。今までフィジカルは鍛えているつもりでしたけど、年齢を重ねるにつれてガムシャラにできなかったです。どうしてもセーブをかけてしまう……組んでも攻め切れない時が何度もありました。

だから10年前に戻った気持ちで、改めて176BOXでフィジカルトレーニングに取り組んでいます。水野君も参加したほうがエェかなと思って声をかけたら「行きたい」と言うので、一緒に行っています。週2回フィジカルで一緒、週4~5回このジムで練習していて。

水野 ありがとうございます!

組みもフィジカルも強そう。柔らかさで対抗したい(手塚)
綺麗な打撃をかわして、組んでからは気持ちの勝負です(水野)

――今回の復帰戦で戦う笹選手は、正直なところベルトを失ってからの復帰戦としては厳しい相手かと思います。

手塚 僕は基本、オファーは断らないです。プロモーター側が考えて出してくれるオファーって、それがプロモーター側の僕に対する見方やと思うんですよ。だから出されたオファーを断ることもない。今回もその対戦相手が笹選手やったというだけで。

ボトムからの強さも必要なのがMMA。さらに体格で上回る水野に、手塚はトップゲームでも譲らず

「また強いのを呼んできたなぁ」と思いましたよ。パンチは腕っぷしが強いイメージがあるし、組みもフィジカルも強そうですね。だからこそ柔らかさで対抗したいです。今回は5分2R、延長ありでトータルマスト判定で……最近はMMAの判定基準も変わってきているので、どうなるかは分からないですけど。

――今の国内の採点基準で考えると、トップからのコントロールが評価されにくいなか、ボトムからのコントロールとなると……。

手塚 それでも俺は、このスタイルでやります。ここまで続けているので、変に大きく変えるよりは、このままのほうがエェんかなと思っていますし。

――水野選手にとってもトップコントロールが評価されるかどうか、という採点基準に変わってきています。

水野 最近の判定をみると、ただトップを取っているだけでは難しいです。だから気持ちで組んで倒して、3Rやり切ります。

――リザーブファイトから準決勝進出となったことについては、どのように感じていますか。

水野 凄いチャンスやと思いました。お話を頂いた時にすぐ、相手が誰とか関係なく試合を受けようと。

準決勝で戦うバン・ジェヒョク選手は体も気持ちも強くて、打撃も綺麗なファイターです。その打撃をかわして、組んでからは気持ちの勝負ですね。今は手塚さんと一緒にフィジカルトレーニングもやっていますし、気持ちを切らさずに勝負していきたいです。

――今回は5日に千葉で手塚選手が、6日に大阪で水野選手が試合をします。セコンドなどは……。

手塚 前日に俺が試合なので、水野君のセコンドは別の人にお願いしていますね。

水野 一番の不安は、セコンドに手塚さんがいないことです(苦笑)。その不安を乗り越えて、勝ってトーナメント決勝に進みます!

■POUNDOUT01 視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後16時30分~ YouTube髙谷裕之チャンネル

■GLADIATOR028 視聴方法(予定)
10月6日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

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45 Eterna Grachan Grachan Herios Grachan70 Grachan71 MMA MMAPLANET o ROAD FC TSUNE YouTube パク・シウ パク・シウォン ロクク・ダリ ロッド・コスタ 中村京一郎 伊藤空也 原口伸 小島勝志 手塚基伸 林RICE陽太 海外 鍵山雄介

【Grachan Herios】1年のトリを飾る新イベントでTSUNE×伊藤、林RICE×ダリのW王座戦が決定

【写真】今年2月に交わされた約束が果たされる(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)に東京都江東区のTFTホール500で開催されているGrachan70の中で、12月22日(日)に「GRACHAN Presents:HERIOS」がTFTホールにて行われることが発表された。
Text by Shojiro Kameike

併せて同大会の決定カード=バンタム級とライト級のタイトルマッチも発表されている。バンタム級は王者TSUNEが伊藤空也を挑戦者に迎え、ライト級はチャンピオン林RICE陽太にロクク・ダリが挑む。


HERIOSについて、GRACHAN実行委員会から届いたプレスリリースには、次のように記されている。

「GRACHAN Presents: HELIOSは、GRACHANが長年にわたり築き上げてきた歴史と闘志を象徴する、年に一度のスペシャルイベントです。「HELIOS」はギリシャ神話に登場する太陽神を意味し、選手たちが限界を超え、輝きを放つ姿を象徴しています。
この大会には、年間を通じてGRACHANで選ばれた精鋭たちが出場し、最高峰の戦いを繰り広げます。彼らは勝利への激しい戦いを経て、この特別な舞台に立つことを許された選手たちです。HELIOSでは、勝者が栄光を手にし、新たな伝説がここで生まれることでしょう。
圧倒的なスリルと挑戦的なバトルが展開され、HELIOSという名にふさわしい、最高の格闘技イベントをお届けします。GRACHANの新たな時代の幕開けに、ぜひご注目ください。」

GRACHANの新たな時代の幕開け――その兆しは、実は既に発表されている2025年の大会スケジュールにも表れていた。来年は年2回の大阪大会、そして初進出となる福岡大会はもちろん、東京大会がいずれもTFTホール500で行われる。そんななか、年末の東京大会のみ、会場が「TFTホール1000」となっている。東京都江東区有明のTFTビルには席数が異なる3つのホールがあり、12月大会のみ通常よりも大きな「TFTホール1000」を使用するのはなぜか。その理由が今回の発表で明らかとなった。

アマチュア大会=GRACHANチャレンジからプロへ、そして通常の大会で経験を積み、結果を残した選手が年末のHERIOSへ――。もちろん、この流れの軸にあるのはベルトを巡る戦いだ。今回すでに2階級のタイトルマッチが発表されており、さらにベルトに関わる試合が決定することは間違いない。さらにHERIOSを経て、豪州Eternal MMAなど海外イベントへの進出も大いに考えられる。

今年2月の大阪大会で並んだ両者(C)SHOJIRO KAMEIKE

そんなGRACHANの新機軸を象徴するのが、TSUNE×伊藤空也のバンタム級タイトルマッチだろう。今年2月の大阪大会でTSUNEが手塚基伸を下してベルトを巻いた直後、伊藤がケージイン。新王者への挑戦をアピールした伊藤は、6月にロッド・コスタを下してEternal MMAバンタム級のベルトを獲得し、改めてTSUNEに挑むストーリーラインが繋がった。挑戦者の伊藤はGRACHAN71のケージに登場し、「本来は僕が持っていたベルトを獲り返しに行きます」と意気込みを語っている。対する王者のTSUNEも「最高の試合を会場に観に来てください」とアピールした。

また暫定ライト級王者の林RICEも、今年4月に韓国ROAD FCでパク・シウォンに敗れて以来の復帰戦となる。正規王者の原口伸がベルトを返上し、改めて林RICEがダリと防衛戦を行うことに。挑戦者のダリとは2022年12月に一度対戦しており、その時はダリが判定勝ちを収めている。林RICEにとっては王座防衛とリベンジを賭けた一戦だ。この敗北から5連勝し、王者にまで上り詰めた林RICEが韓国での戦いを経て、どのような試合を見せるか。対するダリはGRACHAN71でケージインし、「もう一回GRACHANのチャンピオンになります。試合は1Rで終わらせます」と挨拶した。

10月5日に千葉で行われるPOUNDOUTでは、中村京一郎×鍵山雄介というGRACHANフェザー級のランカー対決も組まれている。王者の小島勝志がベルトを返上したなか、この試合の勝者もまたHERIOSに関わってくるのか見逃せない。

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45 Eterna Eternal MMA85 Grachan MMA MMAPLANET o Road to UFC TSUNE UFC   キック ライカ ロッド・コスタ 伊藤空也 原口伸 大成 手塚基伸 海外

【Eternal MMA & Grachan】豪州で王座奪取月、伊藤空也「どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて」

【写真】GrachanでのストーリーとEternalのストーリーを描いている点も、好感が持てる (C)TAKUMI NAKAMURA

Road to UFC準決勝で日本人4選手が全滅という結果に終わるなか、さかのぼること約2カ月半前、6月8日に豪州はパースで開催されたETERNAL MMA85で伊藤空也がロッド・コスタをスプリット判定で下して、同団体の豪州バンタム級王座のベルトを巻いた。
text by Takumi Nakamura

テイクダウンやコントロールよりも打撃・ダメージが明らかに評価されるようになった最近のMMA。伊藤はコスタにテイクダウンを許しながらも確実にジャブとカーフキックでダメージを与え続け、要所要所のビッグヒットやラッシュで攻勢を印象づけ、ジャッジの傾向を味方につけて勝利を引き寄せた。

改めて伊藤にコスタ戦を振り返ってもらいつつ、今後の展望、そして海外でのタイトルマッチで感じたことを訊いた。


――試合からしばらく経ってしまいましたが、改めてEternal MMAでの王座戴冠劇を振り返っていただきたいと思います。この試合は黒帯柔術家のロッド・コスタと対戦して、スプリット判定で勝利しました。ご自身で試合映像を見返して、どんな試合だったと感じましたか。

「世界的にもユニファイドルールの判定基準が変わってきて、今は打撃寄り・ストライカー有利じゃないですか。そのなかで対戦相手のコスタが、黒帯柔術家で1本勝ちが多い選手で、僕とは真逆のファイトスタイルだったと思うんですね。

正直1Rは取ったと思ったのですが、2R~5Rは相手がテイクダウン&トップキープしてきた試合だったと思います。そのなかで僕は相手のグラウンドを凌ぎながらパンチを当てていて、自分の方がダメージを与えていたなと思います。それが判定にも反映されたと思うのですが、『スプリットディシジョン…』とコールされた時は正直負けたと思いました。

でも結果的には僕の方にポイントが入っていて、打撃寄りの判定基準だったらそうなるかなとは思いましたね」

――今回の取材前に試合映像を見直したのですが、僕もコスタの組み技よりも伊藤選手の打撃が評価されるなら伊藤選手の勝ちだなと思いました。ただし試合が行われた時点では、今ほど打撃の方が評価されるという傾向はなかったので、伊藤選手自身が負けたと感じたのも納得できます。

「Grachanの岩﨑(ヒロユキ)代表も現地入りしていて、日本人数名で試合を見ていたそうなんですけど、判定になった時は僕が負けたと思ったそうです。だからもしかしたらあの試合で僕が負けると思うのが日本人の感覚なのかもしれないですし、選手はもちろんセコンドも今までの考え方を変えなければいけないと思いました。 

僕もあとで試合映像を見直したら、僕が与えたダメージを(ポイントとして)取ったんだったら、そういう判定になるのかなと思うし、テイクダウン・コントロールするだけでは評価されない時代なんだと思います」

――実際にコスタ戦では相手の相性もあったの思うのですが、打撃で削って見せ場を作ることを想定していたのですか。

「5Rあったので、打撃で削る作戦でした。コスタは本当にしつこかったし、ケージ際での細かい技術は上手かったんですけど、僕もそこはひたすら練習していたところだったので、何とか対応できたかなと思います。コスタは常にバックを狙っていて、少しでも僕が気を抜いていたらバックを取られていたでしょうね」

――コスタが狙っていたのはバックコントロールですか。

「そう思います。僕はバックを取られたら致命的だと思ったので、もしそうなったらそのラウンドは捨てようと思っていたんです。でもそこでバックを許さずに凌ぎ切れたので、ちょっとそこは自分で自分を褒めてあげたいです」

――背中を見せて立ち上がるよりも、バックを取らせないことを一番意識していたのですか。

「はい。あと試合をやっていてコスタがすごく力を使っているのが分かったんです。だからグラウンドを凌いで、スタンドになったら細かいパンチを当てる。そこを考えて戦っていました」

――打撃の手応えはいかがでしたか。

「4Rに僕のパンチ、おそらくジャブか右のクロスだと思うんですけど、それでコスタの鼻が折れちゃったんですよね。インターバル中に必死に止血していたし、おそらくあれ以降は血で鼻呼吸もできていなかったと思います。そのくらい組んだ時にコスタの息が荒くなっているのを感じました。ただ僕も5Rは未知数だったのでかなりしんどくて。3Rを過ぎてからはラウンド数がどうでもよくなるというか、ゴールのない水泳をやっているような感覚なんですよ」

――3Rに慣れていると、4R以降をどういう感覚で戦えばいいのかが分からないんですね。終わりをイメージできないというか。

「そうですね。自分としては5R用の練習をしてきたんですけど、試合での5Rの戦い方や時間の使い方があるんだなと思いました」

――ただ伊藤選手も大きなピンチにハマることなく5R戦い抜きましたよね。

「3Rにマウントを取られたんですけど、あれもマウントを取られただけと言えば取られただけで。特にダメージを受けていないので、そこまで評価されてなかったんだと思います。マウントとかいいポジションを取っても確実にダメージを与えるか、サブミッションでキャッチが入るくらいじゃないと厳しい時代ですよね」

――テイクダウンや寝技の対応など、この試合に向けて取り組んできたことは出せましたか。

「かなり出ましたね。この試合に向けて、とにかくグラップリングを強化しようと思って、トライフォースさんにお世話になって、そこで組み技の選手とたくさん練習してきたんです。それが活きたと思います。打撃に関しては1Rで感覚が掴めたので、そこは問題ないだろうと思いました」

――しっかり打撃で距離を取ることも意識していましたか。

「はい。具体的にはジャブとカーフキックですね。それで近い位置にはいないように遠い間合いで戦って、そこで削りながら右の強打やハイキックを当てる作戦でした。お互い体力的にきつくなって、後半は四つで組む場面もありましたが、そこで細かいヒジも当てられて、あれも良かったです」

――ポイント的にはスプリットでしたが、自分がやるべきことはできた試合だったようですね。

(C)ETERNAL MMA

「でも5Rにラッシュを仕掛けなかったら負けていたと思います。

あのまま展開が変わらずに判定になっていたら負けると思っていたので、あれはもうとにかく攻撃しようと思って必死に手を出しました」

――試合後に現地のプロモーターとは話はできたのですか。

「はい。相手のコスタが豪州在住なので、地元のお客さん的には僕が勝って微妙な雰囲気でしたけど、プロモーターからはすごく評価してもらいました」

――海外の団体でベルトを巻いたことは伊藤選手にとって大きなターニングポイントになったと思います。

「ひとまず僕の格闘技キャリアの中では大きな集大成を1つ作ることができたと思います。ただこれで終わりじゃないし、次は防衛戦になるので、そこでしっかり勝って、さらに次ですよね」

――今回の王座奪取で今後の可能性も大きく広がったと思うのですが、今はどんなことを考えていますか。

「おそらく12月にGrachanでタイトルマッチがあるので、TSUNE選手に勝ってベルトを奪還すること。そのあとはGrachanのストーリー的には手塚基伸選手にリベンジしたいと思います。そこも視野に入れつつ、Eternal MMAでベルトを防衛していきたいです。試合後にプロモーターと防衛戦の話をしましたし、次はストライカーがいいんじゃないかということで何人か候補も出てきているんですよ。僕も是非次はストライカーとやってみたいです」

(C)ETERNAL MMA

――今年のRoad to UFCはベスト4で日本人が全滅し、厳しい結果が出ました。伊藤選手は海外で戦うことをどうとらえていますか。

「僕もこの間のRTUは見ていて歯がゆかったですし、選手たちはもっと歯がゆかったと思います。実際に原口伸も帰国した次の日から練習しましたからね。僕自身、伸は負けてないと思いますけど、日本人がああいう結果になったということは海外とは差があると感じますし、そこで圧倒的に力の差を見せつけられる何かを身につけなければいけないと思いました。僕も前回は勝つことが出来ましたけどギリギリだったし、どうやれば外国人選手に勝てるのかを考えて、これから練習を続けていきたいと思います」

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45 AB DREAM Grachan MMA MMAPLANET o POUNDOUT01 RIZIN YouTube 中村京一郎 修斗 児山佳宏 山内渉 山本琢也 岡田達磨 岡野結城 手塚基伸 松場貴志 海外 笹晋久 鍵山雄介 髙谷裕之 齋藤翼

【POUNDOUT01】髙谷裕之が新イベント開催!! 山内渉&中村京一郎揃い踏み。山本琢也もライト級で再起戦

【写真】格闘DREAMERSの1期生と2期生。髙谷チルドレンが集結する(C)MMAPLANET

27日(火)、Gグローバルより10月5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUT旗揚げ戦の開催と対戦カードが発表された。
Text by Manabu Takashima

同大会を主宰するのは「格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています」という髙谷裕之だ。髙谷といえば2022年4月にLDHマーシャルアーツの格闘技プロジェクトの一環として、対世界を目指す若い選手を世に送り出す──格闘DREAMERSと連携したPOUNDSTORMを開催したが、その後は人材育成大会として開いていたEX FIGHTと共に活動は停止していた。

今回のPOUNDOUTは企画としては上記の試みとは一線を画しているのは明らかだが、髙谷の格闘技に対する軸にはブレはない。リリースで9試合と1名の出場選手の名前が記されており、ずばり髙谷人脈にGRACHANが協力という形でイベントが実施されるような形だ。


(C)SATOSHI NARITA

髙谷の城というべきFIGHTFARMからは昨年11月の修斗フライ級王座決定戦以来の実戦復帰となる山内渉、齋藤翼、そして樋口幹太が出場。

EXFIGHTから中村京一郎、SAI-GYMから岡田達磨とDRAMERS系ファイターの名前が見られ髙谷チルドレンが集まる。そこに上記にあるようにGRACHAN畑のファイター、THE BLACKBELT JAPAN、マッハ道場、津田沼道場など千葉系列が揃う。

山内は元GRACHN & GRANDフライ級王者の松場貴志、中村京一郎は鍵山雄介という一筋縄にはいかないファイターとの対戦が決まっている。山内としては松場がかつてのような徹底して組んでコントロールというファイトを仕掛けてくると、これまでに経験がしたことがない試合展開になるやもしれない。

格闘代理戦争で強さを見せた中村は超RIZINでも、海外でもなく鍵山戦を迎えることになる。MMA打撃能力の高さは周知のところといって良い中村は、柔術家の組みへの対処も3分3Rという戦いのなかで見せている。では1R5分の時間軸のなかで、しつこさに定評のあるベテランとの戦いはどうなるのか。その辺りが焦点となる鍵山戦だ。

さらにはバンタム級で手塚基伸×笹晋久という渋すぎる実力者対決。さらにさらに齋藤✖児山佳宏、ここで復活か──という山本琢也×岡野結城の千葉✖茨城ライト級対決も見ものだ。

「名前を上げたいなら、力で掴み取れ」、「ジムを創るならクラファンに頼るな」という髙谷節が聞こえてきそうなカードが揃ったPOUNDOUT。その旗揚げ戦に向けての髙谷のコメントは以下の通りだ。

髙谷裕之
「僕自身、格闘技との出会いが人生を大きく変えてくれました。それは、ただのスポーツではなく、僕の人生に新たな道を切り開いてくれたものです。格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています。この力を皆様にも感じていただきたく、今回のPOUNDOUTを開催することを決意しました。

POUNDOUTでは、本当の強さを求め、自分の限界に挑む選手たち、そして世界に挑戦する勇気を持つ選手たちを応援しています。彼らの熱い戦いを通して、格闘技が持つ無限の可能性と感動を感じていただければ幸いです。

地元千葉から世界へ。新たな挑戦の瞬間を、皆様と共に作り上げていきたいと心から願っています。どうぞ、僕たちと一緒に格闘技の力を感じ、選手たちに熱い応援をお願いします。皆様のご声援が、彼らの力になります。よろしくお願いいたします」

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AB ABEMA DEEP MMA o RIZIN クレベル・コイケ 倉本一真 所英男 手塚基伸 朝倉未来 河村泰博 秋元強真

【ABEMA】秋元強真×ヒロ・ヤマニハ 格闘代理戦争で激突!

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5月17日に行われるABEMA『格闘代理戦争 THE MAX』決勝戦。その中でクレベル・コイケ推薦のヒロ・ヤマニハ(ボンサイ柔術)と朝倉未来推薦の秋元強真(ジャパントップチーム)が62.5kg契約で対戦する事が発表されました。

実績格差マッチメイク?下剋上マッチメイク?さすがは格闘代理戦争。なかなか思い切ったマッチメイクを用意してきたもんだ。

秋元は18歳ながらMMA4戦4勝の期待の新星。DEEPで3試合連続で1Rフィニッシュで勝利し、朝倉未来が率いるJAPAN TOP TEAMに移籍して今回の参戦に至りました。引き続きDEEPでひとつずつ実績を重ねてステップアップすると思いきや、飛び級的にたどり着いたのがまさかのヤマニハ戦です。

ヤマニハはRIZINにも定期的に参戦しているボンサイ柔術第4の男。柔術をベースにしながらもスタンドでの打ち合いも出来るオールラウンダー。倉本一真、手塚基伸、河村泰博、所英男と一癖ある実力派に勝利しており、RIZINのバンタム級の中でも一定の位置に付けているのは間違いないでしょう。

そのヤマニハに秋元がどこまで通用するのか。もし秋元が勝つような事があれば、RIZINバンタム級戦線に一気に割り込んでくる下剋上。逆に敗れるようなら幻想崩壊。このノルかソルかのスリルがたまらない。この試合が行われるのが金曜の19時ですって!?有給取るしかないな。
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45 Grachan Grachan67 MMA MMAPLANET o ONE TSUNE UFC 南友之輔 御代川敏志 徳弘拓馬 手塚基伸 松場貴志

【Grachan67】ベルト防衛&リベンジへ、手塚基伸「3R制&ラウンドマスト、大阪開催で自分が有利に」

【写真】表情からもコンディションの良さをうかがわせていた(C)Zuffa/UFC

3日(土)、大阪府豊中市の176BOXで翌日に行われるGrachan67の計量が行われた。メインイベントのバンタム級選手権試合に出場する王者の手塚基伸と挑戦者TSUNEは、共に1回目で計量をクリアしている。
Text by Shojiro Kameike

昨年10月のノンタイトル戦で、TSUNEに判定負けを喫している手塚にとって、今回はベルトとリベンジを賭けたダイレクトリマッチとなる。計量直後、手塚が初戦の反省点と、今回の取り組みを語ってくれた。


――計量直後のインタビューとなります。今回、減量は順調に進みましたか。

「はい。前回は体重が増えすぎて、76キロあったところからバンタム級まで落としたんです。1年間も試合をしていなかったこともあり、長期間かけて落としたら筋量も減ってしまったのか、体も細くなってしまっていました。今回は70キロからバンタム級までバッと落とす感じで、しっかりと体をつくることができたと思います」

――前戦は、そうした減量の影響もあったのでしょうか。

「減量というよりも、試合をしていなかったことが大きいですね。1年間、試合がある、ない――ということの繰り返しで、気持ちをつくることもできていなかったです。あと、今回は酒を断ちました」

――えっ!?

「もともと浴びるほど飲んでいたわけではないんですけどね(苦笑)。特に年末年始だと、お付き合いで飲む機会も出て来るじゃないですか。前戦から4カ月、そういうのは全て断ちました。お酒に関しては、このままフェードアウトしていこうと思っています。

昔は普段、晩酌程度にお酒を飲んでいても勝つことができていたんですよ。連勝している時もそうでした。だけど、もう年齢的に……」

――少し飲んだ程度でも、お酒が体に残るようになってしまいましたか。

「そうなんです。結果、疲れが取れなくなってしまって」

――前戦の試合内容はいかがでしたか。スクランブルとグラウンドの展開が噛み合った好勝負でしたが、結果は判定負けでした。

前戦はトータルマスト判定で判定負け。ラウンドマストとの違いは大きい(C)GRACHAN

「自分が行ききったほうが良いところもあったし、なんだかアヤフヤになってしまいましたよね。映像を見返しても、自分が何をしたかったのか分からない――そんな試合になりました。何か歯車が噛み合わず、1Rも2Rも同じような展開になって。そういうところを修正する練習をやってきました」

――初戦は2R制でした。今回タイトルマッチで3R制になることは、ご自身に有利だと思いますか。

「はい。判定がラウンドマストであれば尚更、有利になると思います」

――なるほど。前回はノンタイトル戦で、2Rトータルでの判定でした。ノンタイトルとベルトを賭けた試合というのも、気持ちは違いますか。

「そうですね。本来は違っちゃいけないんですけど(苦笑)。やっぱりこのベルトはジムに置いていて、常に目に入ってくる存在なんですよ。ベルトがジムにあるかどうかで、自分のメンタル面やコンディションにも大きく関わってくるかもしれない。とにかくベルトを獲られたくないという気持ちは高いです」

――さらに今回は地元、大阪での試合となります。

「まさしく! それが一番大きいです。なかなか大阪でタイトルマッチができる機会もないですからね。応援してくれる方もたくさん来てくれるので――前戦は負けたので、今回はしっかり勝つところを見せないといけないと思っています」

――最後に試合への意気込みをお願いします。

「前回負けてからスパーリングの数も増やしてきました。最近、また手帳に全て書き込むようにしたんですよ」

――また、というのは……。

「以前は手帳にスパーリングした数も、反省点や改善点なども書き込んでいたんですよ。それをまた始めて。この3カ月間やってきて、手帳を見ると寝技のスパーリングだけで400ラウンドを消化していました。若い気持ちで――といったらアレですけど(笑)、昔の気持ちに戻って今回はつくってきましたから。絶対に前回とは違う試合をお見せできると思いますし、今回は勝たせてもらいますよ」

■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67計量結果

フライ級選手権試合も両者、1回目で計量クリア(C)SHOJIRO KAMEIKE

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(61.2キロ)
[挑戦者]TSUNE(61.2キロ)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(56.7キロ)
[挑戦者]御代川敏志(56.7キロ)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(70.1キロ)
大道翔貴(70.1キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(61.4キロ)
南友之輔(62.3キロ → 再計量 62.1キロ)
※南が計量オーバー。徳弘が試合出場に合意し、試合では南にはイエローカード1枚が提示され、南が勝利した場合は試合結果がノーコンテストとなる

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(66.1キロ)
櫻庭泰裕(64.5キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(61.2キロ)
堀之内蒼斗(61.2キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(61.6キロ)
秋田良隆(61.6キロ)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(60.4キロ)
木下竜馬(61.3キロ)

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45 Grachan Grachan67 MMA MMAPLANET o ONE TSUNE UFC ニック・ディアス ライカ 児玉勇也 南友之輔 宮内拓海 御代川敏志 徳弘拓馬 手塚基伸 松井斗輝 松場貴志 海外

【Grachan67】松場貴志に挑戦、御代川敏志「組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる」

【写真】移動で交通機関の遅れが生じるなか、カラオケ店に入りリモート取材に応じてくれました (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan67で、御代川敏志が松場貴志の持つフライ級王座に挑戦する
Text by Shojiro Kameike

昨年8月、フライ級挑戦者決定トーナメント決勝で児玉勇也をKOした御代川が松場への挑戦権を獲得した。それは御代川にとって、2021年12月に敗れている児玉にリベンジを果たした瞬間でもあった。これまで御代川といえばグラップラーの印象が強かったが、トーナメント中にストライカーへと変貌を遂げている。その御代川に、スタイルの変化とタイトルマッチへの意気込みを訊いた。


――御代川選手といえば丸坊主のイメージが強かったのですが、今は金髪になっています。確かグラジエイターに出場した時はドレッドヘアでした。いろいろ髪型が変化しているのですね。

「確かに変わっていますね。丸坊主にしたのは、ドレッドヘアが絡まるようになり、試合しづらくなったからなんですよ(笑)。でも、せっかく髪を伸ばしていて勿体ないなぁと思って、丸坊主にした時に刈った髪は今も部屋にあります」

――部屋にドレッドヘアが飾られているのですか!

「最初は髪の毛を寄付しようと思ったんですよ。どなたかがヘアエクステンション用に使えってもらえるように。でもゴチャゴチャに絡まっちゃったので寄付もできず、オブジェとして部屋に飾っています」

――髪型と同じように、御代川選手の試合スタイルも変化してきたように感じます。まずは御代川選手のキャリアについてお聞かせください。

「MMAを始めたキッカケはUFCでした。UFCを見てMMAを好きになり――当時はGSPの全盛期でしたね。選手としてはニック・ディアスが好きでした。それで高校1年の夏ごろ、部活代わりにジムに通い始めたんです」

――それまで何かスポーツは経験していたのですか。

「何もやっていなかったです。あんまりスポーツが好きではなくて。でもMMAを始めたら楽しかったので、『MMAで生活していけたら良いなぁ』と思うようになりました」

――なるほど。現在、MMAと並行して士道館の空手大会にも出場されているので、空手がベースなのかと思っていました。

「空手はやっていなかったです。僕が今、ネクスト赤坂ベースというジムで働かせてもらっていて。その職場で空手を教わってみたら、本当に楽しいんですよ。蹴りやのバリエーションや、基本稽古、移動稽古、型とか楽しいですね。だからMMAとは別に空手も練習しているという感じなんですよ」

――御代川選手のファイトスタイルの変化として、グラップラーからストライカーへと大きく変わりました。前回の試合ではカーフを効かせてから綺麗な右ストレートで児玉選手をKOしました。その変化は空手によるところが大きいのでしょうか。

「空手の影響もありますけど、一番は赤坂ネクストでムエタイを教わったことが大きいです。トレーナーはヌンさんを筆頭に――」

――ヌンさん、とは?

「ヌンサヤームですね、元ラジャダムナン王者の……」

――ヌンサヤーム・ギャットウィチアンさんですか! 元ラジャ2階級制覇王者で、日本でもトレーナーとしての評価も高いです。

「はい。試合でKOできるようになったのは、ヌンさんに教わってからです。打撃のコンビネーションだけではなく、倒せるパンチの打ち方、蹴りの打ち方——あとはその打撃を当てるための戦略や考え方がハマりました。試合のコンセプト、どう戦うかっていう」

――これは失礼な言い方になるかもしれませんが、トーナメント決勝で児玉選手をKOした時、「このコンビネーションを出せる選手だったのか!」と驚きました。

トーナメント決勝、児玉戦では開始早々、カーフが当たり強い音が響いたほどだった(C)GRACHAN

「アハハハ、そうでしょうね。以前は組みの要素が強かったと思いますし。カーフで試合をつくれるようになったことも大きくて。カーフの効かせ方は空手で鍛えられたモノかもしれないです」

――結果、あのトーナメント決勝でご自身も手応えを感じましたか。

「それまで練習ではできていたことが、ようやく試合でも出せるようになりました。自分でも言うのも何なんですけど、器用なほうなので練習では結構できたりするんですよ。でもそれを試合で出せないという期間が長かったです」

――御代川選手は2017年にプロデビューし、2021年までは勝ちと負けを繰り返すキャリアでした。しかし2022年以降は5連勝し、トーナメントでも優勝しています。打撃以外で伸びた部分はありますか。

「やっぱりパラエストラ千葉ネットワークで、組みが伸びたからですね。組みの自信がついたから、思いっきり打撃で勝負できる。パラ千葉に入ったのも、ヌンさんに打撃を教わり始めたのも3年前——ちょうど連勝が始まった頃でした」

――そこでグラチャンのフライ級挑戦者決定トーナメント出場の機会を得るのも、不思議な縁ですね。そうなると必然というか、運命かもしれません。

「はい。練習はガッツリやっていましたが、目標が定まっていない時期でした。あのトーナメントも代役出場だったんですよ。もともと同じパラ千葉の松井斗輝が出る予定で。でも僕が出ることになり、勝ったらベルトに挑戦できる。そのチャンスをもらえたことで、ベルトという目標ができました」

――ではトーナメントに向けて新たに強化してきたものはありましたか。

「強化したものというか……、準決勝(宮内拓海にスプリット判定勝ち)は直前に抽選でカードを決めることになって。でも直前まで対戦相手が分からないと困るじゃないですか。だから岩﨑(ヒロユキGrachan代表)さんにも『困ります』と言ったんですよ」

――すると岩﨑代表は……。

「このほうが選手も成長するから、って(笑)」

――アハハハ。実際に成長できたのでしょうか。

「そうですね。誰と対戦するか分からない。予想できない。だから普段の練習が大切で――自分も成長できたと思います。自分の希望としては児玉選手にリベンジしたかったけど、それは決勝で達成して優勝できたので良かったです」

――では挑戦するチャンピオン、松場選手の印象をお願いします。

「組みでも打撃でも、自分が勝てると思います。もともと自分で勝手に、松場選手に対して強いイメージを持っていました。でも試合映像を視ていると、組みも打撃も自分のほうがレベルは高いと思うようになって。ただ、松場選手はMMAとしてのレベルが高い。試合のつくり方が巧いですよね。だから自分も戦術とか、そういう部分が大切になってきます」

――今回、ベルト挑戦ということでモチベーションも上がっていますか。

「気持ちは上がっています。でも、いつもどおり戦いたいです。グラチャンのベルトを獲ったら、海外で試合をしてみたいですね。以前ストロー級で試合をしていた時は、ONEを目標にしていました。でも勝てなくて、いろんなジムを転々としていて……。それが今はパラ千葉で若い子たちと練習させてもらって、トーナメントにも出させてもらい、自分も成長することができました。もちろん国内でもそうだし、海外の試合も含めて、どれだけ自分が成長したのかを確かめたいです」

■視聴方法(予定)
2月4日(日)
午後0時30分~ GRACHAN放送局

■ Grahan67対戦カード

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]手塚基伸(日本)
[挑戦者]TSUNE(日本)

<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]松場貴志(日本)
[挑戦者]御代川敏志(日本)

<ライト級/5分2R+Ex1R>
林”RICE”陽太(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
徳弘拓馬(日本)
南友之輔(日本)

<フェザー級/5分2R+Ex1R>
八木匠(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
今村豊(日本)
堀之内蒼斗(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
有田一貴(日本)
秋田良隆(日本)

<バンタム級/5分2R+Ex1R>
村上晴紀(日本)
木下竜馬(日本)

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