【写真】リモート取材では本人の希望で2パターンのスクショを撮影。ポーズに意味はないそうです……(C)SHOJIRO KAMEIKE
5日(土)、千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT01のメインで、松場貴志が山内渉と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
今年2月、松場は御代川敏志に敗れてGrachanフライ級のベルトを失った。結果こそ松場が御代川の投げに対してマットに手を着き、左ヒジを脱臼したため負傷TKOとなったが、試合前からいつもの松場と違っていたことは確かだ。そんな王座交代劇、そしてPOUNDOUTでの復帰戦について松場は何を語るのか――と思えば、やはり松場は松場だった。
――御代川戦で左ヒジを脱臼していましたが、その後の回復具合はいかがですか。
「何も問題ありません。次の試合は新生松場を見てほしいです」
――……いきなりインタビューを終わらせようとしないでください。新生ということは、生まれ変わったのですか。
「はい。ヒジを負傷したことで、ヒザの重要性を感じることができました」
――ヒザの重要性とは?
「……、……ひとつ何かを失うことで、大切なものに気づくことができたんです」
――おそらくオチはないだろうと思って聞いていたら、本当に何もなかったです。
「いやいや、そんなことはないです。新生松場を見てほしいです」
――試合ではあれだけ二手三手と用意しているのに、トークでは一の手しか用意していないですよね。
「アハッハァ! 前回の試合も、一の手しか用意していないから、ああいう結果になったんじゃないですか」
――ベルトを失ったことについては、今の時点でどのように考えていますか。
「やらかした、というか。まぁ、うん、何というか……」
――試合の話になると急に素のモードですね。
「まぁ、等身大でやっていかないといけないですね」
――等身大というのは分かります。あの時、試合前から少しムキになっていませんでしたか。いつもの松場選手とは違う雰囲気を漂わせていました。
「そうなんですよ。なんだか試合前からグッと力んでしまっていて。いろいろと歯車が回っていなかったような気はします」
――試合後、松場選手のセコンド陣に訊くと「いつもより攻め急いで、スタミナが切れるのが早かったのではないか」という意見がありました。
「それもありますけど、いっぱい練習しているので、あれでスタミナが切れることはないです。ただいつもより力んでいて……、もうこの話は止めましょう(苦笑)」
――リアルに止めようとしている表情じゃないですか。ひとつ言えるのは、タイトルマッチなのに王者がベルトを自宅に忘れてきたのは……。
「はい。その点は私が100パーセント悪いです」
――試合で敗れ、そのベルトを失ったことについては?
「勉強になった、というぐらいですね。そんなにベルトにはこだわっていないですし。それよりも今まで大きな怪我をしたことがなかったので、良い経験になりました」
――翌月のDEEP大阪大会にセコンドとして来ていた時、何もなかったように腕を動かしていたので回復具合に驚きました。
「5月ぐらいには試合したいと思っていましたからね。それほど大ごとになることもなくて良かったです。ちょっと他にも怪我があって、ここまで復帰も延びちゃいましたけど。この期間に良いところを残しつつ、いろいろ進化してきました。次の試合は新生松場を見てください」
――今回はその一言だけで乗り切ろうとしていますね。
「アハッハァ」
――話を戻すと、DEEPフライ級GPを経てグラチャンのベルトを失って以降、松場選手が何を目指していくのでしょうか。
「何かを目指す、ということじゃないんですよね。どこで引退するか、なんてことも決めていないし。何なんですかね?」
――そんななかで、復帰の舞台がPOUNDOUTになったことは少し意外でした。
「そうですか? POUNDOUTに出ることができて嬉しいですよ。僕、髙谷裕之さんのことがメッチャ好きで」
――えっ、それは本当の話ですか。
「本当ですよ。何もかも疑わないでください(笑)。高校生の頃に試合を見ていて、メチャクチャ好きでしたよ。今でも当時の試合映像を視ているほどですから」
――髙谷さんと松場選手はファイトスタイルが違うので、それも意外です。
「髙谷さんってストライカーで、スタンドではメチャクチャ強いじゃないですか。でも、あの立ち方はレスリングも強いと思うんですよ。あれだけテイクダウンを防いでスタンドで戦う姿が本当にかっこ良くて」
――POUNDOUTでは、高谷さんの弟子である山内選手と対戦します。
「はい。僕はずっと髙谷さんの試合映像を視ていますから、弟子が試合でやってくることも筒抜けです。もう髙谷さんの試合を見るだけで、何もかも分かりますよ」
――山内選手の試合映像は視ていないのですか。
「視ていません。髙谷さんの試合映像を視ていれば大丈夫です」
――……また一点突破しようとしていますね。
「アハッハァ。もちろん100パーセント勝つ気でいますよ。今の国内フライ級って、実力的に拮抗していると思うんです。ほぼ団子状態というか――扇久保選手、神龍選手をはじめ、多くのトップ選手が大縄跳びに並んでいる状態で。
僕もしっかりとリズムを取って、縄に引っかかることがないよう大縄跳びに加わっていきたいです。そして何回も何回も、跳べるかぎり跳び続けていきます。山内選手はその大縄跳びに加わるというより、縄を回す選手という印象ですね」
――縄を回す選手、というと?
「所詮は縄を回す人だな、ってことですよ。僕たちは跳ぶ側の人間ですから。そして僕は何回も跳び続けて、最後まで大縄跳びに残ります。ファンの皆さんは会場で、あるいは配信で何回跳んだか声を挙げて数えてください」
■POUNDOUT01 視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後16時30分~ YouTube髙谷裕之チャンネル
■POUNDOUT01 対戦カード
<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)
<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)
<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)
<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)
<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)
<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)
<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)
<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)
<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)