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Interview J-CAGE Shooto2020#06 ブログ 工藤諒司 野瀬翔平

【Shooto2020#06】愛犬の死に涙……野瀬翔平に圧勝の心優しき工藤諒司「今後は修斗の王座も視野に」

【写真】腐れ外道もいれば、良いヤツもいるby 長南亮(C) MMAPLANET

19日(土)、東京都渋谷区のTUSTAYA O-EASTで開催されたShooto2020#06。その第1部に福岡の新鋭=野瀬翔平と対戦し1R2分13秒で勝利した工藤諒司。

豪快なTKO勝ちを収めた彼は、ケージのなかで愛犬の死に触れ涙を浮かべた。動物に優しい人間に悪いヤツはいない──試合終了後の控室で、工藤に今度を尋ねた。


──お疲れさまです。4月の椿飛鳥戦に続き今回も工藤選手のキャリアを考えると、しっかり勝つしかないというマッチメイクでした。ポテンシャルは十分ですが、実績はこれからの野瀬選手との試合でどのように気持ちを創ったのでしょうか。

「いつも通り、特に変わることなくコンディションと気持ちは創ることができました。ただ5分2Rだったので、そこは戦術とかも変わってくるので……できれば3Rが戦いたかったです。2Rは難しいです」

──それでも初回でTKO勝ちです。

「組んでくる予想はあったので、しっかりと相手の良さを潰して自分の打撃でいく。思った通りの試合ができました」

──ケージ際で押し込まれても、差し返すよりも小手を巻いて対応していました。

(C)KEISUKE TAKAZAWA

「野瀬選手は結構組みが強かったです。あそこは力で対抗するよりも、向こうに力を使わせようと思って試合を組み立てました。最初はガツガツ来ていたのですが、途中から落ちてきたのでヒジを使おうと思ったんです」

──あのヒジは相当に効いたように見えました。

「効いたと思いました。なので、あそこから攻めることにしたんです」

──現在、工藤選手はONE Warriorと契約中ですが、いつ活動再開かも見えてきません。そうなると引き続き修斗やRoad to ONEなど引き続き国内で戦うということもあるのでしょうか。

「個人的にはONEの方で試合がしたいですが、この状況で日本で試合をさせてもらったことはブランクを空けなくて済んだので有難かったです。

これからも海外ではいつ試合ができるか分からないですし、日本で戦うことも視野にいれてはいます」

──そうなるとONE Warriorで戦っていることで、タイトル戦線などに絡むカードを組むのも難しくなるのではないかと。

「あぁ(笑)。そこまで考えてはいないのですが……ONE Warriorがいつあるのかにもよりますが、組まれた試合を戦っていきます」

(控室にいた)長南亮 まぁ、次に勝てばONE本戦も見えてくるかと思いますが、現地での活動が見えてこないので。本戦が始まらないと、ONE Warriorは余計に見えないですよね。コイツはそんなに深く考えてないし、誰とでも戦うので。自分の方でも色々と話をしていきますが、工藤は決まれた修斗の今日の夜のメイン(環太平洋フェザー級選手権試合)の勝者でも、誰とでも戦いますよ」

──と、いうことですが。

「ハイ。特に誰と戦いたいとかはなくて、長南さんに言われた相手に勝っていくだけです」

──ところで試合後にケージの中で、愛犬のレオ君を亡くしたことで涙を浮かべていました。可愛がっていた犬が死んでしまうことは悲しいです。と同時に、リング上で犬が死んで涙というのは過去に見た記憶がありません。試合前の精神状況にも影響があったのでは?

「前日だったので、家族も自分に伝えるかどうか悩んだみたいで……」

──そこまで……タイトな関係だったのですか。

「14年間一緒でしたから……。いや、ちょっと悲しくなってしまいました……」

長南 (石井逸人を見やり)こういう腐れ外道がいれば、工藤のような優しいヤツもいるんです。

──アハハハハ。スイマセン、大笑いしてしまって。

「いえ、大丈夫です……。今日はレオに力を貰って勝つことが出来ました」

──とにかく悲しみを乗り越えての勝利。長南さんの助言もりましたが、最後に改めて今後について聞かせてください。

「そうですね、修斗の王座も視野に入れて頑張っていきたいです」

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J-CAGE Report Shooto2020#06 ブログ 工藤諒司 野瀬翔平

【Shooto2020#06】結果として工藤諒司、野瀬に力の差を見せつけてKO勝ち

【写真】負けられない工藤、しっかりとKO勝ちした(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

<ライト級/5分2R>
工藤諒司(日本)
Def.1R2分13秒by KO
野瀬翔平(日本)

いきなりダブルレッグでケージに工藤を押し込んだ野瀬。小手を決めて工藤が体を入れ替えようとする。一度は耐えた野瀬だが、有働は右を差しえて体を入れ替える。クリンチ合戦のなかで、エルボーを入れた工藤は野瀬のシングルを切り、右を打ち込む。

効かされた野瀬はパンチを打ち返すが逆に連打を浴び、最後は右フックで野瀬がキャンバスに沈んだ。

「愛犬の死が意味のあるものだったと証明できたので。本当にありがとうと伝えたいです」と工藤は実家で飼っていた犬に感謝の言葉を述べた。


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Interview J-CAGE Shooto2020#06 ブログ 工藤諒司 野瀬翔平

【Shooto2020#06】無謀な挑戦?? 工藤諒司と2回戦で戦う野瀬翔平「圧倒的に差があるとは思ってないです」

【写真】1年前の野瀬。どこまでフィジカルが上がっているのか、楽しみだ (C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

19日(土)、東京都渋谷区のTUSTAYA O-EASTでダブルヘッダーで開催されるShooto2020#06。その第1部に福岡から野瀬翔平が出場し、工藤諒司と対戦する。

九州の柔道エリートながら、試合で首の骨を折り、奇跡的な回復を見せた彼はMMAファイターの道を歩むこととなった。

素質は抜群、師・弘中邦佳が厳しくも温かい目で育て来た野瀬は、戦績4勝2分でONE本戦契約を目指しONE Warrior Seriesで連勝中、先のRoad to ONEでは中原由貴との試合が期待されるという格上の相手と戦う。

修斗に限らず、このスポーツでは期待の新鋭が力のあるランクが上のファイターに挑み、コテンパンにやられるという歴史が繰り返されてきた。野瀬の行方に何が待っているのか。試合前の彼に心境を尋ねた。


──工藤選手との試合が攻めってきました。3月に小林孝秀戦が決まっていましたが、大会が中止に。その後、緊急事態宣言が出ました。福岡でもジム等な休館という状態だったかと思いますが、その間に野瀬選手はどのように体調をキープしてきたのでしょうか。

「緊急事態宣言が出て、マスタージャパンはゴールドジムの中にマットスペースがあって練習をしているので、ゴールドジム自体がやはり閉めないといけない状況でした。

その時に弘中先生とプロ、プロ志望選手と少人数に集まって山の中や川沿いに行って、走ったり、オンブしてフィジカルだとかをマスクをしてやっていました」

──山や川ですか!!

「ハイ。徹底してフィジカル、体力トレを毎日していました。ただ、やはり人目につかないように、見つかっちゃいけないと思って体を動かしていました。

それでも僕らはファイターですし、弘中先生も体だけはうごかしておかないといけないっていう風に指導してくれましたし。むしろ、あの1カ月少しの間でフィジカルはメチャクチャ上がったと思います」

──おお、ピンチをチャンスとしたわけですね。

「スパーリングやミット打ちというものはできなかったですけど、その分──体も大きくなりました」

──緊急事態宣言が終わってからは、これまでのように練習できたのですか。

「ゴールドジムで検温、消毒、マスク着用がルールになっているのですが、練習メニュー的にはこれまで通りになりました。ただ家族のある会員さんは練習に来られなくなったり、マスタージャパンのなかで練習して出稽古はやっていなかったのですが、逆に出稽古に来て貰っていた人が今はそういうわけにいかないのもあるので、練習相手という点では人数的に減りました。

それでも弘中先生と打撃と柔術は真正面からやっていましたし、MMAスパーリングでは菅原(和政)さん、結城(大樹)選手と1階級上と同階級の選手がいるので、毎日やってきました」

──今回の試合のオファーはいつ頃にあったのですか。

「8月の前半だったと思います。この時期に東京での試合に福岡から呼んでもらえることは、凄く感謝しています」

──さきほどフィジカルをやり込んだということですが、野瀬選手はこれまで水抜き減量なしのフェザー級でした。コロナ禍で水抜き減量を禁じることを目的に1階級上で当日計量というフォーマットを修斗では採用していますが、ナチュラル・フェザーだとライト級リミットでは、実質上一階級上の相手と戦うことになりませんか。

「それが本当に体が大きくなって、今は通常体重で71キロぐらいあるので、本当にナチュラルで戦える状態なんです。逆に次からフェザー級でやるには水抜きが必要になってしまう感じで(笑)」

──一階級、体が大きくなったのですね!! 急激に大きくなり、動きに影響の方は?

「ここもただ体を大きくしたのではなくて、毎日のように走り込んでいたので問題ないです!! 前までは菅原さんや弘中先生とやると、フィジカルの差を感じていたのですが、今はそれもなくなって。脂肪はついていないので、体が重いというのは全くないです」

──それは凄く楽しみになる言葉なのですが、一方で対戦相手の工藤選手は今でこそONE Warriorと契約していますが、修斗に残っていればフェザー級でタイトル戦線にいた選手のはずです。そのような格上の相手と戦うことについてどのように思っていますか。

「これまで試合をしてきた選手とは、全くレベルの違う相手だと思います。でも、そんなに圧倒的に差があるとは思ってないですし、同等というか……僕が極端に劣っている部分はないです。

だからオファーが来た時には何も迷うことはなかったですし、弘中先生も『行こう、勝って次を目指そう』と言ってくれました」

──あの慎重な弘中さんが、太鼓判を押しているわけですね!! では工藤選手と戦ううえで、ここは注意しないといけないという点はどこでしょうか。

「打撃の一発と、際が上手いです。打撃と組みで詰めるのが上手いので、そこを許さず自分の得意なところで戦いたいです。僕の武器は組みですが、打撃も9月の試合と比較すると別人になっているので、何も臆することはなく戦えます。それでも柔術が好きなので、そういう部分を出したいです」

──野瀬選手は普段をおっとりとしているのですが、試合になるとカッカすることがあります。

「そこは弘中先生からも気を付けるように言われています(苦笑)」

──それにしても2Rなのですね。この一戦が。

「僕はクラスBでまだクラスAに昇格していないから、修斗だと3回戦は戦えないんです。だから……工藤選手に勝って、僕は3Rを戦える力をあることを証明したいです」

──では現時点でキャリア最強の相手との試合を前に、意気込みの方をお願いします。

「まず、こんなご時世のなかで地方から呼んでもらえることだけでも凄く有難く嬉しいです。ここでしっかりと勝って、さらに上を目指せるよう頑張ります」

■視聴方法(予定)
8月1日(土)
第1部:午後2時~ Abema TV格闘チャンネル
第2部:午後6時30分~ Abema TV格闘チャンネル


             
■Shooto2020#06対戦カード

【第2部】

<修斗環太平洋フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] 仲山貴志(日本)
[挑戦者] SASUKE(日本)

<フェザー級/5分3R>
藤井伸樹(日本)
後藤丈治(日本)

<ウェルター級/5分2R>
ヨシ・イノウエ(日本)
飯田健夫(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
関口祐冬(日本)

【第1部】

<フライ級/5分3R>
猿丸ジュンジ(日本)
飯野タテオ(日本)

<ウェルター級/5分5R>
大尊伸光(日本)
マックス・ザ・ボディ(日本)

<ライト級/5分2R>
工藤諒司(日本)
野瀬翔平(日本)

<ライト級/5分2R>
西川大和(日本)
椿飛鳥(日本)

<51キロ級契約/5分2R>
中村未来(日本)
永尾音波(日本)

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J-CAGE News Shooto2020#06 ブログ マックス・ザ・ボディ 大尊伸光 工藤諒司 椿飛鳥 西川大和 野瀬翔平

【Shooto2020#06】渋谷大会で大尊✖マックス・ザ・ボディ、そして工藤諒司✖野瀬翔平!! 椿✖西川も

【写真】この一戦は楽しみ──である一方で、危険かもしれない(C) MMAPLANET

26日(火)、Sustainより19日(土)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催するShooto 2020#06の追加カードが発表された。

既報の通り環太平洋フェザー級選手権試合=王者・仲山貴志✖SASUKE、フライ級の猿丸ジュンジ✖飯野タテオ、フェザー級の藤井伸樹✖後藤丈治が組まれている、この昼夜大会。本日明らかとなったのは3回戦が1試合、2回戦が5試合の計6試合だ。


まず3回戦はウェルター級(※本来はライト級──新型コロナウィルス感染予防のために当日計量&水抜き減量禁止、1階級上のクラスで戦うというフォーマットを他の試合と同様に用いている)で、大尊伸光が2年振りの修斗出場となり、マックス・ザ・ボディと対戦する。

大尊は2018年大晦日のRIZIN、トフィック・ムサエフ戦以来の実戦復帰となり、マックス・ザ・ボディは6月のTTFC08で村岡倫行をパウンドアウトしたばかり。プロ修斗初陣ながら、過去にマックス・ザ・ボディはGladiatorでプロシューターのウエタ・ユウから勝利を収めており、キャリア再浮上を願う大尊とともに、一戦の結果と内容如何で勝者はライト級の台風の目となる可能性もある。

この他、2回戦ながら修斗からONEウォリアーシリーズに転じた工藤諒司が、ライト級で野瀬翔平と戦うというカードも組まれた。現状、海外渡航がままならない状況でウォリアーシリーズのイベント再開の目途が立っておらず、4月にはRoad to ONEで椿飛鳥に圧勝している工藤。9月のRoad to ONE03出場という声も聞かれたが、ここで1年半ぶりのプロ修斗参戦となった。対する野瀬は中止となった3月大会で小林孝秀戦がキャンセルされ、半年遅れで試合出場機会を得たことになる。

柔道王国・九州のエリート柔道家だった野瀬は、高校の時に首の骨を折る大事故から復活を遂げMMAの道を歩んできた。2017年アマ修斗で全日本を制覇し、闘裸男を中心にキャリアアップに努め、現在は5勝1分と順調に成長している。そんななかで、MMAファイターとしての評価では1歩ばかりか、2歩、3歩と先をいく工藤の対戦。工藤としては、勢いのある若い選手に対して星を落とせない試合であり、野瀬は一発大物食いで2ステップ、3ステップとジャンプアップの機会としたい。

一点気になるのは──この一戦も計量無しで通常階級より1階級思いライト級で組まれているが、野瀬はもともと減量なしでフェザー級で戦ってきた選手で、水抜き減量を行えば修斗ではバンタム級で戦うことができる。ONE階級でいえば昨年9月のRoad to ONEでもフェザー級で試合をしている。コロナ禍の間に野瀬のフィジカルが大いに強化されていない限り、工藤という実力者を前にして実質1階級の体の違うは、勝負の行方を占ううえで大きなファクターとなる可能性は高い。

さらに4月のRoad to ONEで工藤に爆殺された椿が、プロ修斗初陣で西川大和と戦うというマッチアップも見られる。西川は椿と同じく、4月のRoad to ONEのムエタイマッチに出場、緑川創に敗れるも立ち技だけでも強さと頑張りを見せ評価を挙げた。

結果5月のプロ修斗無観客大会で木下タケアキとの試合機会を掴むと、この試合では一転テイクダウンを駆使して破り、今回の椿戦を迎えることなった。勢いでは西川だが、工藤戦の敗北を生かすためにも、椿は意地を見せないといけない顔合わせといえる。

この他、フライ級で大 陽✖関口祐冬、女子51キロ契約で中村未来✖永尾音波、そしてウェルター級ではヨシ・イノウエ✖飯田健夫というカードが決まっているダブルヘッダー、その他のカードの発表と、第1部と第2部の割り振りも気になるところだ。

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Bu et Sports de combat ブログ 岩﨑達也 工藤諒司 椿飛鳥

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。工藤諒司✖椿飛鳥。「殴る実感が拳にある」

Kudo vs Tsubaki【写真】工藤が圧勝した試合に存在した、椿の突破口とは(C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──工藤諒司✖椿飛鳥とは?!


──工藤選手と椿選手、力の差があると予測されていた試合でした。

「う~ん、今回の試合だけを見ると、本来はそれほど力の差は大きくないと私は感じました」

──それはどういう点からでしょうか。

「まず構えとして、椿選手の重心は蹴りがある戦いとして捉えると良い構えです。対して工藤選手の構えや重心はレスリングがベースにあるのも関係しているでしょうが、蹴りが出せる構えではない。ただし、構えが良くても蹴らない、パンチを出さない椿選手は工藤選手からすると怖くないですよね。

そこで椿選手はサウスポーにスイッチし、そこで出された左ミドルが良かったです。工藤選手のあの反応は危ういものだったのも確かです。あの瞬間は椿選手にとって試合の突破口となりえたのですが、続く攻撃がなかったです。繰り返しますが、あの左ミドルでチャンスを切り開いたのに、そこで攻撃が終わってしまいました。単体で見た質量でいえば工藤選手が上でしたが、あそこは相手の関係による質量で椿選手が上回っていた。でも、その先がなかった」

──重心や構えでは椿選手の方が良い、ただし個々の質量においては工藤選手が上というのはどういうことですか。

Kudo vs Tsubaki 02「それは工藤選手が常に殴る気でいるからです。これは格闘技と向かいあうと一生の課題になってくるのですが、工藤選手には殴る実感が拳(けん)にあります。相手の顔を殴る感触が常にある。椿選手はそこがなかったです」

──両者の技量以外に以前にアマ時代ですが対戦経験があり、工藤選手が勝っている。その後のキャリアの積み方を見ても、圧倒的に工藤選手の方が経験もあった。そういうなかで組まれた試合で、気持ちという部分で椿選手が最初から圧されており質量が下がるということはありますか。

「気持ちという言葉は、適切ではないですね。誰にでも気持ちはあります。ただ、私個人としては気持ちには具体性がないので、何かを検証するベースにしたくはないのです。『気持ちだ』っていう言葉、アレを試合中に使いたいとは思えない。もっと具体的であるべきで。それが思考だとか、意識だと分かります。気持ちって、説得力ないですよ。ぶっちゃけて言うと嫌いな言葉です(笑)」

──では精神状況として、不利だと思われている選手が思考や意思のありようで質量が下がるということは?

「これは失礼な言い方になってしまいますが、椿選手は勝つ気持ちがどれだけあったのか。ただし、それは椿選手に限ったことではないんです。MMAだ、空手だ、格闘技の試合だといっても、漫然と試合場に上がる人は少なくない。言ってしまえば、私もそうでした。

試合に出ている人間の誰もが、やる気満々で勝つ気満々ってことは決してないです。それがどれだけの大舞台で大切な試合でも。疲れて果てて試合場に上がる人もいます。防護服がケージサイドにいる異様な空間での試合でも、格闘技は一対一なんです。そのなかで工藤選手はもう勝つことしか考えていなかった。そういう思考の差が、能力以上に違っていたと思います」

──工藤選手は油断も驕りもなかったということですね。

「ばかりか、ここで負けて失うモノが多いのは圧倒的に工藤選手という試合だったわけですよね? 試合はどちらも負けられない。でも、より負けられないという状況は存在します。そして、より負けられない工藤選手は優位だったと思います。工藤選手は何が来てもぶん殴る、パウンドアウトするっていうのが拳にありました」

──椿選手は試合前に以前の試合で背中を向けてしまったので、そういう風にはなりたくないという決意はあったのですが。

「背中を見せないようにするのは、まず避け方を上達させるところからですね。あの避け方をしていると、結果的に背中を見せてしまう。喧嘩をしたことがない子が、いくらでも格闘技をしている時代になったので。そうですね、後ろを向く……そこは頑張って克服してほしいです。

椿選手は右足前で、左足で蹴った時の質量を基本にして……あの重心だとしっかりと打てるし、しっかりと蹴ることができます。両手両足を使える重心なんです。左足が前の時は、どうでもない。受動的です。本人はオーソの方が動きやすいと思っているかもしれないですが、攻撃するならサウスポーでないかと思いました。そういう長所はあったんです。だから、長所を伸ばして自信をつけて行って欲しいです。

背中を見せてしまうのは、自信がないから。なら工藤選手と戦ったなかで、良い点があったのだから、そこを自分の切り口にして全体の動きを創っていければと思います。工藤選手は殴る実感が拳にあって、何があっても殴る気でいます。そしてレスリングという武器がある。MMAを戦ううえで、多くの武器を既にモノにしているんです。だから用心して、手堅くいってもイニチアシブを握ることができる。

椿選手はそういう工藤選手に負けはしましたが、能力的に大きな差があるわけではない。工藤選手と同じことをするのではなくて、自分の特徴を生かして稽古で核を創っていってほしいです。左の蹴り、左の突きなんかで相手をおちょくることができるようになれば良い選手になると思います。そこで自信がつけば、もう背中なんて見せなくなります。頑張って欲しいです」

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J-CAGE ONE Report Road to ONE02 ブログ 工藤諒司 椿飛鳥

【Road to ONE02】工藤、全局面で椿を圧倒してTKO勝利

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
Def.1R2分59秒 by TKO
椿飛鳥(日本)

打撃の交換から工藤がテイクダウンを奪う。工藤は椿の背中をしっかりマットにつけてV1アームロックを狙いながら、マウントポジションへ移行。確実に椿の動きを制しつつ、肩固めを狙う。これがかなり深く入ったように見えるが、椿も身体をずらして頭を抜いて脱出する。チャンスを逃した工藤だったが立ち上がった椿に右フックから襲い掛かって一気に連打。距離を取ろうとする椿にパンチの連打を浴びせて、最後はレフェリーストップでTKO勝利を呼び込んだ。

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 工藤諒司 椿飛鳥

【Road to ONE02】椿飛鳥戦へ──工藤諒司「椿選手は強くなっているはず。僕はそれ以上に強くなっている」

Kudo【写真】アマ修斗で戦った時はレスリングだけだったと、打撃に自信をつけた工藤は言う (C)MMAPLANET

17日(金)に開催されるRoad to ONE02で、椿飛鳥と対戦する工藤諒司。

アマ修斗時代に戦った両者。工藤はアマ修斗関東選手権優勝からプロへ進み、昨年10月にウォリアーシリーズを選択。一方、椿は工藤に敗れてからアマ修斗全日本を制し、格闘代理戦争出演を経て──それ以前にトライアウトで合格していた──ウォリアーで戦うようになる。

同じウォリアーで戦うもの、歩んできた道は違う。工藤は「それぞれの道を歩んだ」と互いのプロセスは気にせず、新型コロナ感染問題で不安定な時期を経て──ただ勝負に集中している。


──金曜日に試合が迫ってきました。新型コロナウィルス感染の拡大、さらには非常事態宣言がなされた状態での準備期間でした。

「ジムが休館になったりとかはあったのですが、選手だけでは練習をしてきたので、トレーニングの頻度が落ちることはそれほどなかったです。出稽古に来ている選手とか、いつもより数は減ってはいましたが……」

──日程、会場が変わることなどストレスになることはありませんでしたか。

「大会があるのかないのか、ハッキリしないところはあったので、2週間前から1週間前は考えることはありましたね。緊急事態宣言が出た時は厳しいとは思ったのですが、その時もやりたいという気持ちでした」

──今、格闘技をする時かという声も挙がるかと思います。

「ハイ。周囲の声は気になります。応援してくれる人もいると思いますが、自粛すべきだと言う人もいるはずですし。ただし、ケージに入ればやるだけです」

──ところで2月のウォリアーシリーズでイ・ミンヒョクに判定勝ちを収め、2カ月後の試合で他の選手のように『ここで試合がしたいから』という状況ではなかったかと思います。

「そうですね。期間は短かったですが、試合があるなら出たいとは思っていました」

──昨年10月にはウォリアーシリーズで4連勝中だったジェリー・ホルシムに勝利し、先ほど言ったように2月も勝った。ONE本戦で戦える力を既に示したのではないかと。

「う~ん、僕はONEウォリアーで4試合やって、勝っていればONEに上がれると思っています」

──改めてオルシムに勝った試合を振り返ってもらえますか。ウォリアーシリーズ初戦で初の国際戦、チーム・ラカイのファイターが相手でした。

「あの試合はケガがあって練習があまりできていなくて、スタミナが心配でした。だから見過ぎてしまいましたね。ただ、アレはアレで練習状況からすると勝てて良かったと思います。初めて外国人選手と戦ったのですが、組んでもそれほど力強さは感じなかったです。ただ右は怖かったので、貰わないよう警戒して戦っていました」

──ではイ・ミンヒョク戦の手ごたえは? 相手のフックをしっかりと外してテイクダウンだけでなく、パンチ、蹴りもミドルを決めるなど圧倒しました。

「外からフックを振りまわしてくる相手で、そこを頭に入れて戦っていました。練習してきたことが出せたかと思います。打撃も上達したというか、そこを試合に出せて嬉しかったですね。ただ、これまで戦った選手にはない気持ちの強さを感じましたし、倒しきりたかったです」

──ウォリアーシリーズで2連勝、ここで椿選手と戦うということはどのように思いますか。

「アマチュア修斗で戦った時の印象は残っています。あの時はレスリングだけで戦いましたけど、椿選手もアレから強くなっているはずです。でも、僕はそれ以上強くなっていると思うので、負けることはないかと……」

──アマ修斗からプロ修斗で戦ってきた工藤選手としては、格闘代理戦争からウォリアーで戦う椿選手に負けられないという気持ちは?

「そこを気にすることはないです。それぞれの道があるので、ここでまた当たるのかって感じだけでした。今、このタイミングで大会を開催してもらえることは、とても有難いです。なので思い出に残るという言い方はおかしいですけど、普通ではない大会というイメージもありますし、ここで勝つことはとても大切だと思います。だからこそ、勝って良い思い出にしたいです」

──無観客、恐らくはこれまで経験したことがない雰囲気のなかでの試合になるかと思います。

「会場入りしてみないと分からない部分もあると思うんですけど、そこまで不安はないです。無観客が試合に影響するわけでもないですしね。気にする人は気にするかもしれないけど、特に僕は気にしないです。どういう会場よりも、どういうケージなるのかとか、そっちの方を少し気にしています」

──では改めて、この試合への意気込みをお願いします。

「前回の試合で決めきれないところがあって、本当に悔しかったです。今回の試合はフィニッシュまで持っていって、次の試合に繋がるようにしたいです」

■Road to ONE対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)

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J-CAGE News ONE Road to ONE02 ブログ 世羅智茂 宮田和幸 工藤諒司 後藤丈治 椿飛鳥 田中路教 祖根寿麻 青木真也

【Road to ONE02】Road to ONEはさらなるクローズドへ、メディアの現地取材もNG

Road to ONE【写真】メディアにも取材規制の通達があったRoad to ONE。UFCの無観客試合もメディアはクローズド、ONEは極一部(2名)のみ取材が許可されていた (C)MMAPLANET

14日(火)、サステインよりRoad to Japan実行委員会主催のRoad to ONE02に関して、メディアもクローズドアウトされるという発表があった。

昨日の対戦カード発表時に会場も公としないことや、「会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける」などコロナウィルス感染予防の姿勢がリリースで伝えられていたが、メディアにも安全性の確保と3密を避けるために会場での取材ができないことが通達された。

また一部選手の話を聞くと、今大会の出場選手の移動などにも通常にはない配慮がなされているとのこと。この時期に大会を開く、そのためには可能な限りの努力をする意思がメディアの取材規制やこの辺りにも表れている。

※MMAPLANETからMMAファン、格闘技ファンの皆さんへ。「仮にABEMAの中継で、開催場所に思い当たったという方がいらしても、SNSでの拡散及び、目星をつけた会場に足を運ばないこと」を強くお願いしたいです。


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【Road to ONE02】会場はシークレットに。ABEMA中継のTVマッチの体で大会は行われる方向に

Road to ONE02【写真】会場も公とされない、実質シークレットTVマッチとして大会は行われる (C)MMAPLANET

13 日(月・現地時間)、サステインよりRoad to Japan実行委員会主催のRoad to ONE02、全6試合の決定カードが発表された。

本来であれば昨日に港区のニューピアホールで開催予定だった同大会は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大を受け17日(金)にスライドされ無観客で行われることが決まっていた。

この時期での開催ということもあり、主催者からはウィルス対策として、「会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける」などリリースには明記されている。

また対戦相手の欠場が決まっていたSARAMIは新たな相手が見つからず女子戦は行われないこととなった。さらにキックにも変更が見られ、今大会は以下のように6試合が組まれ、その模様はABEMAでライブ中継される。


■Rod to ONE02対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)

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Road to ONE02 (4月17日) 対戦カード──SARAMIの試合は流れる……

Goto【写真】紆余曲折が見られた後藤✖祖根の一戦も組まれる。それでも、大会はこのまま行われるのか──何が起こるか分からないのが、我々の過ごす「今」だ(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

2020年4月17日(金)
Road to ONE02

■視聴方法(予定)
4月17日(金・日本時間)
午後7時~ ABEma格闘チャンネル

※プレスリリースにある予防対策など詳細の後程アップします。

■対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)