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Interview UFC チムール・ワリエフ トレヴィン・ジョーンズ ブログ 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─11─ジョーンズ✖ワリエフ「格闘技の神様が降臨した瞬間」

【写真】一発逆転のノックダウン奪取から正確なパウンドでジョーンズは勝利を手にした (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチ第11回。

ここでは22日(土・現地時間)のUFC ESPN15で行われたバンタム級戦=トレヴィン・ジョーンズ✖チムール・ワリエフ戦について話してもらった。


──岡田遼が気になる8月のUFCプレリミマッチ、岡田選手が気になったUFCプレリミ2試合目は?

「トレヴィン・ジョーンズ✖チムール・ワリエフですね。PXCから活躍して、DEEPで大塚隆史選手に勝ったジョーンズが代役ですがUFCデビューを迎えました」

──正直、勝ち目はないと思っていました。相手はワリエフですから。

「ワリエフって、クソ強いですよね。何でいうのか、攻撃が絶えることがない。ずっと手を出していて、手数が多いだけでなく多彩です。カカト落としをMMAで使いますか? それこそチェンジ・スピード、チェンジ・レベル、チェンジ・アングル、その全てを駆使して際限なく攻撃を続けていました。こんなヤツ、いるのかってぐらいに!!」

──対してジョーンズに関しては、私はずっと手堅い攻撃をする選手というイメージでしたが、もう見事なまでに手の打ちようがない。ボロボロにされていました。

「大塚選手に一本勝ちしていて、相当に強い選手だと思います。ACBやTOP FCで戦ってきて。でも防戦一方で、何もできていなかったです。腹も顔もやられて──UFCでここまで一方的な試合は珍しいなっていうぐらいの序盤でした。

それでもジョーンズはボコボコにされながら、起死回生のテイクダウンを素晴らしいタイミングで決めています。あそこで時間を使って呼吸を整えていました。あのダブルレッグとトップにステイしたのは、痺れましたね。

あそこまでボロボロにされている選手が、ダブルレッグをしっかりとドライブして決めて。あの活きの良いワリエフを倒して、マットに背中をつけさせた。そして時間を使った。あぁ、ジョーンズもUFCで戦える力の持ち主なんだと感心させられました」

──インターバルで立て直すことができると思っていましたか。

「風向きが少しは変わって来るんじゃないかとは思っていました。ワリエフは1Rに倒しにいって、それができなかったので。アレは相当疲れているはずなんです。僕も昔、トリスタン・グリムズリーっていう弱い米国人に1Rにボディを効かせたけど倒しきれなくて……めちゃくちゃスタミナが削れてしまいRNCでやられてしまったことがあるんです」

──もちろん、存じ上げています。

「でも僕と違い、ワリエフは初回と同じような切れで戦っていました。バケモノですね(笑)」

──ひょっとするとテイクダウンされて、休んだのかもしれないですね。

「それはあるかもしれないですね。そうしていたのだとしてら、それもクレバーで怖いです」

──しかし、その2Rに大逆転KO劇が起こりました。

「格闘技の神様が降臨した瞬間でしたね。ローに右フックを合わせた形だったと思います。ただ、あれだけやられていたのに手を出した結果です。パウンドも適格でしたし。大前提として、ジョーンズも強い選手なんだと……。

あそこまで腹を効かされて、あれだけ頭部も殴られていた状態でダウンを奪えたとしても、あの正確なパウンドを打てるのかって聞かれると、今の僕には自信がないです。ジョーンズはあそこで逃げられると、もう絶対に勝ち目がない。そこで仕留めに掛り勝ち切りました」

──同じバンタム級ですね。

「ぶっちゃけジョーンズなら、それなりに良い試合はデキると思います。でもワリエフはやりたくないです(笑)」

──やりたくない宣言、いただきました。

「アハハハハ。ワリエフとやるには、出席日数と内申点が足りていないです」

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Interview Special UFC UFC ESPN15 アマンダ・レモス ブログ 岡田遼 魅津希

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─10─レモス✖魅津希「普遍性の原則、個別性の原則」

【写真】どれだけ強い相手に対しても、絶望的な負けは決してないのが魅津希だが── (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチ。

ここでは16日(木・現地時間)のUFC ESPN15で行われた女子ストロー級戦=アマンダ・レモス✖魅津希戦について話してもらった。


──過去1カ月、岡田選手が気になったUFCプレリミ1試合目は?

「まずは魅津希選手とアマンダ・レモスですかねぇ……。ホント、魅津希選手が強いのは重々承知していて。でも相手がメチャクチャ強かったです。レモスが強かった。最初の左ミドルを見た時に、凄く伸びていて『なんだ、コイツは!』って思いましたね。

何よりも凄く落ち着いて戦っていて、カウンターが取れる。アレは男も顔負けのレベルです。非常に完成度の高い選手ですね」

──バンタム級では戦っていたのが禁止薬物使用で出場停止になり、復帰後はストロー級に。転向初戦は寝技ですぐに勝ってしまったので、バンタム級の時と比較して打撃がどうなるのか分からない。そういう状況でした。

「魅津希選手は小刻みに体を揺らすフェイントを多用して、動いてはいたのですが、レモスがよく動きを見て一発、一発の精度が良かったです。アレはスピード云々という部分ではない強さでしたね。

ダウンを取ったのも、その前に左ミドルと前蹴りで腹を攻めていて。サウスポーで奥足の蹴りを出し、そのまま前方に着地してオーソに変えてのワンツー」

──蹴り足を前に着地してのスイッチは、マイケル・チャンドラーもベンソン・ヘンダーソンをKOした時に使っていましたね。

「最近のトレンド的な攻撃ですが、ATTはアレをドリルでやっていたんです」

──えぇ!! あのスイッチがドリルに組み込まれているのですが。

「ハイ。だから、レモスのあの蹴りを見た時は『コレだっ!!』、『見えないやつだっ!!!!』って。練習していますよね。あのダウンを奪ったシーンは、積み重ねていたモノが見えた気がしました。

それにあのスイッチがあると、次から蹴りへの反応が変わってしまいます。とらわれ過ぎると」

──魅津希選手は相手の情報がないと不安だというようなことをインタビューで話していました。岡田選手の場合、相手の情報がない時はどういう風な心構えでいますか。

「僕は自分のやってきたことを信じるしかないです。相手に意識を集中するのではなくて。自分のやるべきことにフォーカスする。それは対戦相手の情報が不足している時に限らず、いくらでも映像が視聴できる選手に対しても、僕の場合はそうしています。誰が相手でも。

まぁ、気にしてしまうのかしれないですけど、アレだけ強いんだから。自分を信じて戦えば良いと思います。きっと色々できて、本当に強いのですが試合で、そこが出ないケースもありますしね。

最終回も魅津希選手はケージに押し込んでいたじゃないですか。2つ取られていて、3Rは押し込むべきではなかったと思います。時間を使ってしまって……アレはなぜのなかって。でも、逆に色々とできて選択肢が多いからなのでしょうかね。とにかく強いんだから、自分を信じて欲しいです。もっとできるだろうし」

──どの局面でも強い。だから、どこでも戦う。そこから北米MMAで勝つ動きを身に付けてきた。でも、まだ試合に出し切れていない。

「もちろん、相手が強かったというのはあります。本当にそこは。あのレモスっていうのは相当に強いです。それでも魅津希選手はUFCでチャンピオンを狙える器ですから、ああいう選手にも勝たないといけない。それには自分の力以上のモノすら出さないといけないのがUFCだと、僕なんかでも思うんです。普遍性の原則と、個別性の原則というのか……」

──また、難しい言葉をだしてきましたねぇ(苦笑)。

「普遍性の原則は誰にでも当てはまります。ただし、個別性の原則はある人には合うけど、自分には合わないモノがある。米国でUFCに勝つスタイルには王道があるからもしれないけど、自分には合わないということもある。そういうことだと思うんです。そこに寄せ過ぎて、自分の良さを失うこともあります。もちろん、王道を知る必要がありますが、やはりそこからは自分を知って、自分が強い戦いをする。それもMMAの戦い方ではないでしょうか。

だいたいUFCで強い人って、個性的な人ばかりで、誰も真似できない……個別性の原則の究極系のような奴らばかりですからね。魅津希選手にも個別性の原則はある。そういう風にあの3Rの戦いぶりを見ていて感じました……UFCに行きたいと思っている、その他大勢の素質的にはB級の僕ですけど(笑)」

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Interview Special UFC UFC ESPN13 ヒカルド・ハモス ブログ レローン・マーフィー 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─09─マーフィー✖ハモス「スクランブルorクローズド?」

【写真】強烈無比なパウンドで無名のマーフィーがハモスを倒した (C)Zuffa/UFC


修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチ。

第9回は7月16日(木・現地時間)のUFC ESPN13で行われたフェザー級戦=レローン・マーフィー✖ヒカルド・ハモス戦について話してもらった。


──岡田遼が気になる7月のUFCプレリミマッチ、最後の試合をお願いします。

「レローン・マーフィー✖ヒカルド・ハモスです」

──またまた英国人絡みですね。

「勝ち、負けときて、今回は勝ちですね。マーフィー、全く知らなかったですけど、コイツ凄く良くないですか?」

──初回は完全にハモスの試合だったのですが……。

「そうなんですよね。ハモスって田中選手に勝っているし、日本のバンタム級ファイターとして勝ち続けてくよ──しっかり頼むぜというのはあります。

この試合はフェザー級だったということは踏まえても……ちゃんとやってくれと。だいたい、あの後ろ足を前足の裏からチョイと出す、意味不明の蹴りは何ですか!! しかも2度もやっていましたよ。あの動きは本当に理解に苦しみました」

──昔の私なら八百長が始まる合図かと勘繰ってしまいますよ(笑)。でも、あんな蹴りを見せていたら質量がガクンと落ちました。

「落ちましたねぇ。本当に意味不明で……不可解でした。逆にマーフィーは、あれだけ追い込まれて反撃できた。凄く良い組手、四つ組みからしっかりとテイクダウンし、それからもハモスを金網に押し込んでパウンドを打って。

ハモスを動かなくして殴る。これがパウンドだっていうパンチでしたね。ちょっと前かがみかもしれないですけど、相手が動けなくなっているので、反撃を気にせずに殴っていました。ハモスはエルボーを効かされたのもあって、蹴り上げても右のパンチで殴れると、もう動けなかったです」

──背中は譲らなかったですが、横を向いて殴られ続けました。

「だいぶ頑張って上を向いていたのですが……頭のてっぺんを金網に押し付けられ、下半身を束ねられて担がれ気味になるともう動けないですね。窮屈な態勢で腰を上げられると、体を伸ばせないですし、足を効かすこともできないですからね」

──岡田選手があの状態で下になると、意識がクリアで動ける体力があったとして、どのように対処しますか。

「いやぁ……これは……。僕だったら、うつ伏せになります。あの状態でもうつ伏せにはなれるでしょうし」

──でも足をフックされて首を取られないですか。

「そのリスクを冒してでも動かないとダメですね。まだ1分以上時間も残っていましたしね。半面、スクランブルMMAの時代ですが、下になるとマイナスというなかで、パンチを効かされた状態では背中を見せてのスクランブルよりも、クローズドガードを取る方が見えない攻撃はないのではないかと考えることもあります。殴られて倒れた人は反応のスピードも遅いですしね」

──あぁそういう考え方もあるのですね。

「勿論、絶対でないですけどね。クローズドを取っても殴られることはいくらでもありますし。だから……現状の僕だったら、背中を見せて逃げる方が助かる可能性が高まると思います。あのえぐいパウンドを上を向いてもらう方が、倒される確率は高い。なら、動いて逃げる可能性に賭けます」

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Interview Special UFC UFC251 ブログ マクワン・アミルカーニ 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─08─マクワン・アミルカーニ✖ダニー・ヘンリー

【写真】カミルカーニにとってアナコンダでの勝利は3度目。ここから時計回りに足をヘンリーに近づけていき落とした (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチ。

第8回は7月12日(日・現地時間)のUFC 251で行われたフェザー級戦=マクワン・アミルカーニ✖ダニー・ヘンリー戦について話してもらった。


──岡田遼が気になる7月のUFCプレリミマッチ、2試合目は?

「マクワン・アミルカーニ✖ダニー・ヘンリー戦ですね。これも対戦相手はどうなのかっていう話にはなりますが(笑)、フィニッシュが素晴らしかったです。

シングルレッグからボディロックで倒して、そのまま亀のヘンリーのバックにアルミカーニが就いたのですが、普通はシートベルト──襷掛けに行くかと思います。アミルカーニはそこでシートベルトでなく、『それやっちゃダメでしょ』というクラッチをします」

──まるでバックをキープするという意識はなかったです。

「ハイ、右手で頭を抱えに行って。そんなことをやってくるのならって、ヘンリーもシングルレッグからスクランブルに持ち込もうとしました。

そうしたスイープするように跳ねて隙間を創ると、上を取るのではなくてヘンリーのヒザを着かせて首を取り続けていました。そこから左足でヘンリーの右腕を引き寄せて、RNCクラッチにとってアナコンダに入りました。そのまま定石通りに足をヘンリーの方に寄せていき、落としてしまいました」

──ヘンリーの足がピクピク痙攣していて。なかなかのインパクトでした。

「このパターン、アルミカーニは得意パターンなんだと思います」

──シートベルトに行かないところから、アナコンダへの導入が始まっているということでしょうか。

「逃げ道を一つ、ヘンリーに与えましたね。これならシングルレッグにいくことができると思わせておいて、まんまとガチっとはめ込んでギロチンからのアナコンダでした。この動きはめっちゃ勉強になると思って、打ち込みをやってみました」

──シングルでスクランブルなら、岡田選手はギロチンという選択もあるのではないですか。アナコンダに移行せずに。

「ギロチンで終わらせることができるならベストですね。ただし、アームインのギロチンだったのでなかなか極め切ることは難しいかと思います。あの形だと、僕もアナコンダで極めたいですね。

もともと狙いはアナコンダで、だからノーアームではなくてアームインギロチンだったはずです。なかなか見られない入りで、凄く興奮しましたね。これから、この打ち込みを内藤弟と繰り返して、モノにしたいと思います。この入りは凄いですよ。皆、絶対に知らないですし」

──でも、UFCで見られたムーブですよ。

「そうなんですけど、皆、UFCもメインカードは見ていてもプレリミは見ていないですよ」

──えぇ……そうなのですか。

「ほとんどの選手がそんな感じだと思います」

──私も全試合をチェックするということは正直ないですが、プレリミとかメインに関わらずチェックしたい試合は視聴するようにしていますが……。でも、速報をしているとメインイベントが始まる頃には疲れ切っています。

「アハハハハ。今はUFCも週1でありますしね。でも、3月の終わりから4月を想えば、UFCを見ることができるって本当に幸せなことです」

──確かにその通りですね。しかし、アミルカーニはフィンランドですよ。アイスホッケーやF1、ラリーじゃないですからね。

「ファイトアイランド大会は本当に色々な国の選手が出ていますよね。UFCに行き着く大会も北米とは違っていて。だからチャンスはあるんじゃないかと思っちゃう自分もいます」

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Interview Special UFC アーロン・フィリップス ジャック・ショア ブログ 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─07─ジャック・ショア✖アーロン・フィリップス

【写真】多彩な攻撃、やるべき主題があるなかで、選択肢が多いことは絶対的に優位性を保てる要素になる(C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチ。

ここでは16日(木・現地時間)のUFC ESPN13で行われたバンタム級戦=ジャック・ショア✖アーロン・フィリップス戦について話してもらった。


ファールカップを力点として

──過去1カ月、岡田選手が気になったUFCプレリミ1試合目は?

「一番印象に残っているのはジャック・ショアとアーロン・フィリップスの試合における──ショアですね。個人的な好みなんですけど、ケージレスリングが強い。壁際で崩せるし、強いパウンドも打てる。スタンドで四の字バックを取った時も、自ら解除してサイドバックに戻って良い形を崩さない。

そしてサイドバックから顔面にヒザも入れる。金網際であれだけ多彩な攻撃を出せるというのは素晴らしいと思いました。あの辺は上手かったですねぇ。選手って僕もそうだけど、バックを取れると拘ってしまうので、そこを切り替えることができるのはクレバーです。

しかもあの時、四の字フックが相当に上手く入っていて。あのままでも落ちなかったかもしれない。でも角度が変わると、すぐに解除した。これかぁ、そうくるのかぁと思いました」

──ショアのことは元々注目していたのですか。

「いえ、全然知らなかったです(笑)」

──アハハハ。私も全くノーチェックでした。Cage Warriorsのバンタム級王者で、UFCで2勝目を挙げた。ケージウォリアーズはフォローしていなくて……。

「ウェールズ出身ということですけど、ウェールズ出身のMMAファイターって聞かないですよね」

──そこはもうなぜMMAは英国=イギリスでなく、イングランド、ウェールズ、スコットライト、北アイルランドという国籍を残しているのか。同君連合としてエリザベス女王を君主としている豪州、ニュージーランド、カナダは独立した政府がありますが、英国は単一国家でイングランドやウェールズらとの連邦国家ではないのに……。

「なんか難しい話ですね」

──5教科7科目の相手に合わせました(笑)。

「アハハハ。サッカーとかラグビーとかも、そうですよね。アイルランドは独立しているから分かるのですが……」

──格闘技大会って、国籍を増やしたい傾向があるような気がします。いずれによせ、そのウェールズからショアのような選手が出てきたと。

「本当にどこで練習しているのかも分からないんですけど、英国勢は強くなっていますよね。ショアの2Rに左に合わせてダブルレッグを決めた──あの動きは最高でした。それまでに誘いのミドルを蹴っていて、フィリップスを動かせてテイクダウンを決める。フィリップスがクローズドガードを取ると金網まで押し込んで、エビをできなくして殴る。

そしてガードが割れると、背中を取ってRNCというのは最高の流れですね。フィリップスが横向きでいると、両足フックでなく、一本で背中を潰した。まさに支点・力点・作用点です」

──でたっ!! MMAに学習用語を用いる男。

「アハハハ。ダブルフックでなく、片足をかけているだけで背中を伸ばすことができる。

アレは一本入れた足をフィリップスのヒザ裏において伸ばす。それでフィリップスの足が伸びて、背中も伸ばした。きっとファールカップを力点として使っています」

──ファールカップを押し付けると、痛いものですか。

「痛いですし、一点に釘や杭を打つようにすると、梃子の原理のように力が入ります。自分でも試合でやってみたい流れをショアはやっていました。良い選手だと思いませんでしたか?」

──正直なことを言いますと、この試合は良かったです。でも、相手はどうなんだろうと。ファイトアイランドの4連戦はUFCとしては出場選手の質にバラつきがあった。だから、次が大切というのはあります。

「なるほど。フィリップス相手では査定できないということですね」

──岡田選手、ご自身とフィリップスが戦うとどうなると思いますか。

「正直、この選手なら俺もUFCで勝てると思いました(笑)。相手はお粗末だというのはありましたが、ショアの組みのなかでの距離で凄くえげつないパンチとかは、本当に凄いです。第1試合でこの試合ですからね……。ショアはこれで13連勝のようですし、次の試合を期待して視てみたいと思います」

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Interview J-CAGE Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 岡田遼 田丸匠

【Shooto2020#05】環太平洋バンタム級王座決定戦の行方を──暫定世界チャンピオン岡田遼に尋ねる

【写真】別件取材中に思いつきで勝利予想をしてもらうことになったのだが、それは岡田からは『土曜日の試合はめっちゃ楽しみです』と言葉が聞かれたからだった (C)SUSTAIN

8月1日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05で環太平洋バンタム級王座を賭け安藤達也と田丸匠が戦う。

群雄割拠の修斗バンタム級戦線も、頂点が留守にしている間の生き残り合戦の末にかなり趨勢が判明してきた。そんななか5月に暫定世界王座に就いた岡田遼に、王座決定戦の予想をしてもらった。


──安藤達也選手と田丸匠選手の環太平洋王座決定戦、ズバリ勝利者予想をお願いします。

「安藤ですっ!!」

──! 即答でしたが、その理由を教えてください。

「クソジジイ同盟として、クソガキが勝つとは言えないです(笑)」

──アハハハハ、乗っていただきありがとうございます。で、本音は?

「う~ん、それは難しいですねぇ。田丸君ってパワー系に弱いイメージがあります。ライリー・ドゥトロとの試合を見てみると……まぁ、あの時は減量が常識外だったのでまた違うのかもしれないですが、パワー系に弱いままだと……安藤達也のパワーはえげつないですから。

安藤君はキレーにやらずに、本能の赴くまに野性味タップリにラフなぐらいでやった方が良いと思います。凄く、安藤寄りですけど(笑)。そうなると安藤有利だと思います。

ただMMAPLAETの田丸匠インタビューを読んで、彼のMMA論っていうのはちょっと僕に近いというか……シンパシーを感じます。全然、有りだと思っています」

──でも見た感じの試合展開は違いますよね。

「距離の取り方も、下になることも思い切った選択をしているとは思うのですが、見映えが悪くなってしまいますよね。そこは何とかした方が良いのですが、彼が自分で考えてやっていることなので。そういった創意工夫ができるのがMMAの良いところです。田丸君が弱者でもできるMMAをやっているのは僕と同じです」

──「クソジジイと一緒にするな」と言ってきたらどうしますか。

「アハハハハ。いや、だって彼は何も言ってないじゃないですか(笑)。思いっきりの仮定の話で……(笑)。それに、そういう元気な若者が出てこないと困りますよ」

──安藤選手とはドローとはいえ、一度戦いました。そういう意味でも、田丸選手と戦うことを考えることはありますか。

「それは全然考えていないです。彼とやりたくないってことじゃなく、別に戦っても良いのですが……。ただ僕はクソジジイだから、もうそんなに長い間MMAができる時間は残されていないんです。だから、できれば田丸と交わることがないMMA人生を今後は進んでいければなっていうのはあります」


         
■Sooto2020#05対戦カード

<修斗女子スーパーアトム級王座決定戦/5分3R>
黒部三奈(日本)
杉本恵(日本)

<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分5R>
安藤達也(日本)
田丸匠(日本)

<フライ級/5分3R>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
黒澤亮平(日本)

<インフィニティLバンタム級/5分2R>
小野島恒太(日本)
石井 逸人(日本)

<ウェルター級/5分2R>
宮路智之(日本)
飯田健夫(日本)

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Interview Special UFC ブログ ロクサン・モダフェリ ローレン・マーフィー 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─06─ローレン・マーフィー✖ロクサン・モダフェリ

【写真】ロクサンのファイトが岡田の胸を突き刺した理由は? (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が語りたいUFCプレリミマッチ。

第6回からは20日(土・現地時間)のUFC ESPN11で行われた女子フライ級戦=ローレン・マーフィー✖ロクサン・モダフェリ戦について話してもらった。


──本来は岡田遼のGreat UFCプレリミファイト、1カ月で3試合ということなのですが、どうしても語りたい試合がもう1つあると。

「ハイ。ねじ込ませてください(笑)」

──その1試合というのは?

「ローレン・マーフィー✖ロクサン・モダフェリのロクサンなんです。ロクサンがロックダウンの間も凄く練習しているって聞いていて。で、1月のメイシー・バーバーとの試合が良い勝ち方だったじゃないですか」

──ハイ。

「あの試合のイメージがあったので、『アレっ?』って感じがして。そう思わなかったですか」

──ローレン・マーフィーがこんなにデキるのか、と思って視ていました。

「マーフィー、強かったですねぇ。ロクサンは打撃が凄く伸びていて、ちゃんと練習してきたんだと思うんです。だから打撃ばかり使ってしまったような……。本当ならもっと組み技とか、臨機応変に使える選手のはずなのに。

怪我か何かで、余りレスリングに行けなかったのかと思ってしまうぐらい、寝技が強いのに打撃ばっかりになってしまったなぁっと。

打撃ができなかった時の組みへの執着心と、打撃ができるようになってから組みへの拘りって、やっぱり選手も変わってしまう。いや、本当に練習してきている選手だなっていうは、試合を見ていると伝わってくるんです。そして、余りにも練習してきたことを出して、正々堂々と戦い過ぎていて」

──ロクサンは試合の度に打撃の成長が見える。そんな選手です。

「そうなんですよ。まさにメイシー・バーバー戦なんて、本当に打撃が良くなっていた。思うのですが……ロクサンって僕と同じで、青木さんがいう『素養でいえばBクラス』の人だと思うんです」

──……。

「だからこそ、すごく真面目で、必死に練習してきたことで愚直なまでに勝負をしようとしていた。本当に良い人で頑張ってきた人が、そのままの人の良さで戦っていました。でもMMAってもっと狡くないと。勝つためにも狡猾になる必要もあります。

勝負になると愚直は美徳じゃない。それでも、人が良くて一生懸命にやってきたロクサンに、それを求めるのは僕の気持ちが苦しくなってしまって……。ロクサンって絶対に良い人なんだって、切なくなる試合でした。努力して、積み上げてきて」

──勝負だから勝ち負けは絶対です。でも戦っているのは人間で。ファイターだけど、人間。そこにロクサンらしい素晴らしさがあった。でも、試合は勝たないといけない。

「最終回になり、逆転を掛けて戦いたいロクサンに対して、マーフィーが上手く時間を使った。それでも、ロクサンは打撃でいくしかなかった。そして、打撃を効かせたようになった時にマーフィーがテイクダウンしてしまう。

それこそMMAなんです。でも、いくしかないって打撃で前に出るロクサンもMMAです。ただし、勝つために全力を尽くすってことでいえば、狡く戦うことも全てに含まれている。もちろん、反則はダメですよ。でも、ロクサンはああ戦わないと良さが出ないのかもしれないし。

僕とロクサンは同じで、素養ならBの選手です。でも、ロクサンは僕と違って良い人で、真っすぐで。僕もまぁ、努力ということでは負けていると思わないですが、性格は良くないし、腹黒です。だからこそ、ロクサンの真っすぐさが切なく、心に突き刺さる試合になりました」

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Interview Special UFC UFC250 コディー・ステーマン ブライアン・ケレハー ブログ 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─05─コディ・ステーマン✖ブライアン・ケレハー

【写真】とてもテイクダウンが強烈に強いようには見えなかったケレハー戦のステーマン (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が語りたいUFCプレリミマッチ。

第5回からは6日(土・現地時間)のUFC250で行われた140ポンド契約マッチ=コディ・ステーマン✖ブライアン・ケレハー戦について話してもらった。


──過去1カ月、岡田選手が気になるプレリミ3試合目は?

「ステーマンとケレハーの試合が、この1カ月のプレリミで一番でしたね。いや……ステーマン、あの人ってレスラーなんですよね?」

──NCAAのD-2レスラーですね。でも、高校の時からボクシングもやっていてMMAはダロン・クルックシャンの下で習い、昨年からエクストリーム・クートゥアーの所属になっています。なんでもボクシングでもプロの経験があるようです。

「そうなんですか……。この試合でも解説が良いレスラーって話しているのに、全然レスリングなんてしていなくて。アレックス・ペレスもそうでしたけどね。ステーマンは正面から打撃を使って、スイッチをしてボディにもパンチを散らすことができていました。でも、蹴りも強力で完成度の高いストライカーでしたよ。アッハハハハハ。笑っちゃいますよね」

──ワンツーだけでなく、スリーまで出せる選手かと思いました。

「あの軸の強さは……3つ目に関して普通は、僕だったら体がブレブレになってしまうと思います」

──ソン・ヤードンと戦った時は、テイクダウンを5、6回決めてバックも制し、さらに蹴り上げの反則があったのにドローという意味不明な判定でした。とにかく、あの試合ではレスリング全開で戦っていました。

「なのに打撃があれだけ強い、と。ケレハー戦のテイクダウンは打撃で支配しておいてニータップだとか、本当にローエナジー、疲れないレスリングをしていましたね。楽に倒していました。

ATTで練習していた時に思ったのですが、日本ではレスリングって一番しんどいことをやるというイメージを皆が持っていると思います。でも、米国の連中はそんな気持ちではないですね。サァーって倒して。全体練習の時もマイク・ブラウンは、力を使わずテイクダウンするようにと口を酸っぱくして言っていたんです。

一生懸命頑張り過ぎないでテイクダウンできるような打ち込みもやりました。テイクダウンで疲れるなということは皆の共通項でした」

──例えばレスリングの試合で実力が拮抗している者と戦い、そんな風にエネルギーを使わず戦えるのは、もう達人かと思います。ただ、打撃もあるMMAではより可能になるのかもしれないですね。

「そうですよね。絶対に倒す必要がなく、倒せなくても打撃に自信があれば、打撃でやりあえば良いですし。ATTで経験してきたのも、そこでした。レスラーが決してレスリングありきではない。

打撃ありきだから、崩れたところでそのレスリング能力が生かせている。ステーマンもそうですよね。蹴り足をキャッチして、テイクダウンを取っていますし。押せば倒れる……一番疲れないことをしていました。なので無駄に自分のスタミナをロスしないで戦うことができる。

ただし、そういう試合をするためには打撃で優位に立つ必要があります。しっかりとストライキングの技術があることで、レスリングが生きていました」

──そして3Rは最初にテイクダウンを奪うと、グラウンドにもいかずスタンドで待ちのファイトをし、最後はテイクダウンを仕掛けてきたケレハーに対しギロチンで迎え撃って、時間を使っていました。

「巧かったです。1Rと2Rは打撃でしっかりと試合をリードして、最終回は時間を使う。ラウンド毎に戦い方を変えて、本当に考えて試合をしていると思います。同じバンタム級の選手ですし、凄く面白かったです。

でもアルジャメイン・ステーリングとやった時は、ここまでの完成度は高くなくてバックとられて負けているんですよね」

──あっ、スロエフ・ストレッチで!

「ホント、ステーマンにあんな技で勝って、サンドハーゲンは最初のテイクダウンでRNCを極めてしまうって……どんだけアルジャメインは強いだって話ですよね(笑)」

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Interview Special UFC UFC250 アレックス・ペレス ジョズエ・フォルミーガ ブログ 岡田遼

【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─03─アレックス・ペレス✖ジョズエ・フォルミーガ

【写真】フォルミガを組ませず、ローで勝てるレスラー=ペレス (C)Zuffa/UFC

修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が斬る、UFCプレリミマッチ。

第3回からは──岡田遼の語りたいUFCプレリミマッチとして、6日(土・現地時間)のUFC250で行われたフライ級戦=アレックス・ペレス✖ジョズエ・フォルミーガ戦について話してもらった。


──岡田遼が話したいUFCプレリミマッチ、毎週のように開催されていたUFCからどの試合をピックアップしてもらいましょうか。

「ペレスとフォルミーガです。フォルミーガとはATTで一緒に練習した時に達人的な動きを見ていて、僕は彼が勝つと予想していたんです」

──達人的な動きとはどういうところでしょうか。組んでバックを取るのが上手いという印象が強い選手だったのですが。

「ハイ、それが必勝パターンじゃないですか。でも練習では、そこを使わずに幅広くMMAができる人なんです。絶対的な強さを持っているのに、それを使わない。打撃もかなり上手くてウェルラウンダーでした。そのフォルミーガがローで負けて……いや、ペレスも強いとは思っていました。思ってはいたのですが、あの勝ち方ができるとは驚きです」

──レスラーですが、レスリングを使わずあの試合でフォルミーガに勝ってしまう。

「引き出しが多いですね。フォルミーガが負けたのはショックですし、ペレスが本当に強いところを出さずに勝ててしまうのも印象深いです。

カーフキックに関しては、当たり所もありますが……フォルミーガも効いたのは最後の3発ぐらいだったと思います。それにしても余りにも無策だったというか、最初から効いているとスイッチしたり、強みである組みにいくだとか対処したと思うんです。

実際、僕はいくらフォルミーガが練習であれだけ色々なことをやっていても、試合になると組んでバックを制すだろうと思っていました。打撃の攻防からテイクダウンして、上を取って殴り、背中を制してドミネイトするんだろうなって。

それがまぁ近づけない、入れない(苦笑)。打撃で敵わないとなると、思い切り組んで押し込むという戦い方はあると思うんです、ブラジリアン柔術の強い選手は。でも、フォルミーガが奥の手、その切り札を切ることすらできなかった」

──いきなり我慢できない蹴りが入ってしまったと。

「ATTには打撃のコーチがたくさんいて、タイ人もいるんです。ただ担当制でフォルミーガは、ヘッドコーチのコナン・シウヴェイラの指導を受けていることが多くて……。あまりそういう練習はしていなかったかもしれないですね。

それだけペレスが強いということなのですが、遠い距離ではあの蹴りがあり、近づくと素早いパンチを持っている。過去の試合を見ると、当然のように組みもできますし……完成度が高いです。いやぁ、あんな強い人間を見ると、ちょっと落ち込んでしまいましたね(苦笑)……早朝から。でも、あれがUFCなんですよね。痺れました」

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【Special】岡田遼が斬る、UFCプレリミ戦─02─ブランドン・ロイヴァル✖ティム・エリオット

【写真】ガツガツというより、やはりガチャガチャという印象。そのなかで極め切るロイヴァル……(C)Zuffa/UFC

今回より、正式スタートする新企画=修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が斬る、UFCプレリミマッチ。

第2回は5月30日(土)のUFC ESPN09で行われたフライ級戦=ブランドン・ロイヴァル✖ティム・エリオット戦について話してもらった。

<修斗チャンプ岡田遼が斬る、UFCプレリミ戦─01─ケイシー・ケニー✖ルイス・スモルカはコチラから>


──ティム・エリオットにブランドン・ロイヴァルが勝ってしまいましたね。

「ティム・エリオットが見たくて、あの試合を視たんです。でもロイヴァルが勝ってしまって……しかも、普通は勝てないスタイルですよね。すぐに下になり、亀になる」

──あれはエリオットが上手かったと思います。ロイヴァルはテイクダウンされると、背中をつけてクローズドやオモプラッタ、三角に入るので倒すと同時にハーフになっていて。

「あぁ、だから亀になっていたんですね。背中をつけて削られたくなくて。エリオットはテイクダウン後の動きを読んで、反応させないように倒していたんですね。いやぁ、凄いですね。それにしても今のMMAを考えると、ロイヴァルのような選択はできないですよ。現代MMAにあって、あの戦い方を迷いなく選択する勝負度胸……自分の技量に自信があるのでしょうね。コイツも本物だった思いました」

──ハーフで潜らせてもらえず、亀になっていた。ただし、初回の終わりごろからトップを奪う場面も出てきました。

「さすがにエリオットはアタックをし続けて、疲れていました。序盤のキレキレの動きと比べると、ラウンドの終盤はかなり落ちていたと思います。UFCファイターといえども疲れるんだなって。やっぱり、従来のような練習がやり込めていないのでしょうね。米国の方が締め付けも厳しいと思いますし。

ロイヴァルって、いつもあんな感じの試合なんですか」

──自分がチェックした試合はそうですね。下攻め、足をキャッチされるとプロレスの延髄斬りみたいな蹴りを出したり、そこで?というタイミングでスピニング系のパンチやエルボーを使います。

「動き続けている……スクランブルのなかで極めるっていうのは、日本では正直見られないですね。サブミッションに行く人はキチっと止めてから極める選手が多いです。いやぁ、ロイヴァルも凄いとしか言えなかったです」

──最後はマウントを取り、ロールして逃れて上を取ろうしたエリオットを肩固めで切って落としました。

「その前にエリオットがギロチンを仕掛けにいって、それで力をまた使って疲れたというのはあると思います。逆にロイヴァルは倒されて、疲れない戦法を採っていた。エネルギーゲージはかなり違っていましたね」

──まさに半日後に見られた岡田選手の試合と同じでしたね。

「ありがとうございます(笑)。ロイヴァルの最後の動きはRNCと肩固めのコンビネーションに応用のようで、それほど驚くべき流れではなくて、あの肩固めに驚きはなかったです。見たことがある動きなので。ただエリオットのスクランブルが、まだスピードがあったのに合わせた。あの速さは見事だったと思います。

いずれにしても、僕自身はケイシー・ケニーとブランドン・ロイヴァルの試合を視て、『こうだよな』、『そうだよな』って思えて良い空気で試合に挑むことができました」

──では、これからもマニアックな人選でUFCの分析をお願いします。

「了解しました。今週のUFCも楽しみですよね。水垣さんが引退を発表した週にコディー・ガーブラント、アルジャメイン・ステーリング、エディ・ワインランドが出場するって……これは、もう運命ですよ。このバンタム級3試合も凄く楽しみです。でも、水垣さんはハニ・ヤヒーラに勝っているんですよねぇ、凄いなぁと思います」

──またヤヒーラですか(笑)。

「そこが今の僕の経験値なんで(笑)」

■UFC250計量結果

<UFC世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アマンダ・ヌネス: 146ポンド(66.22キロ)
[挑戦者]フェリシア・スペンサー: 145.5ポンド(66.0キロ)

<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント: 136ポンド(61.69キロ)
ハファエル・アスンソン: 136ポンド(61.69キロ)

<バンタム級/5分3R>
アルジャメイン・ステーリング: 136ポンド(61.69キロ)
コリー・サンドハーゲン: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー: 171ポンド(77.56キロ)
アンソニー・ロッコ・マーチン: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー: 136ポンド(61.69キロ)
エディ・ワインランド: 136ポンド(61.69キロ)

<フェザー級/5分3R>
チェイス・フーパー: 145.5ポンド(66.0キロ)
アレックス・カサレス: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
イアン・ハイニッシュ: 185.5ポンド(84.14キロ)
ジェラルド・マーシャート: 185.5ポンド(84.14キロ)

<フェザー級/5分3R>
コディ・ステーマン: 145.5ポンド(66.0キロ)
ブライアン・ケレハー: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
チャールズ・バード: 184.5ポンド(83.68キロ)
マキ・ピトロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<フライ級/5分3R>
ジョズエ・フォルミーガ: 126ポンド(57.15キロ)
アレックス・ペレス: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド: 205ポンド(92.99キロ)
デビン・クラーク: 205.5ポンド(93.21キロ)

<150ポンド契約/5分3R>
エヴァン・ダナム: 149.5ポンド( 67.81キロ)
エウベウ・バーンズ: 149.5ポンド( 67.81キロ)