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【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

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【ONE FN23】ワン・シェ戦前、和田竜光&岡田遼対談─02─「踏ん張るとヒザも危ないし、首も…」(和田)

【写真】今回の対談のために千葉から愛車をドライブして、和田の地元=都内有数のハイソな住宅街までやってきてくれた岡田。多謝(C)MMAPLANET

明後日6日(土・現地時間)にONE FN23「Ok vs Rasulov」にシェ・ウェイと対戦する和田竜光と岡田遼の対談後編。1年4カ月振りの実戦復帰となる和田が、平良達郎の勝利で世界中に広まったオタツロックについて、岡田と深掘りトークを引き続き繰り広げてくれる。
Text by Manabu Takashima

ポジションとしてのオタツロックと派生したオタツイスター。ケガを防ぐために自らの得意技の対処方法まで和田は言及。この懐の深さは、和田のMMAの味わいそのもの。オタツロック=和田竜光でないからこそ、岡田とのオタツロックをテーマとしたMMA談義を楽しんで欲しい。

<和田竜光&岡田遼対談はPart.01はコチラから>


「キネマティクス(運動学)とキネティクス(運動力学)」(岡田遼)

──平良選手の勝利で、オタツロックが一般層に届くような気配です。これまで後藤丈治選手もRIZINで勝って、オタツロックをアピールしていましたし。

和田 あれは1回目に勝った時に、「だめだよ。オタツロックってアピールしないと」って冗談で言ったんですよ(笑)。そうしたら、次の試合にオタツイスターで取って、言ってくれましたね。

岡田 上久保選手も、グラップリング(FNISH10)で石橋(佳大)選手の肋骨を折ったんですよね。1回目に入った時に耐えて、2回目でケガをしたと聞いています。

──かつてのヒール、今のオタツロックですね。

和田 知らない人が受けると危ないですね。ただヒザを狙う技ではなくて、ポジショニングの一つと考えて欲しいです。そこからツイスターが出てきたのは、最近のことで。

岡田 僕が和田さんと練習をしている時には、なかったですしね。

和田 相手が振り向いてきた時に、ツイスターみたいな形になって嫌がった相手からバックを取る。そういう技だったのが、極に発展してきたんです。

岡田 竹中(大地)選手が和田さんと戦った時に、必死に胸を合わそうとして。でも、振り向けなかったですよね。

和田 もともと振り向き辛い技なんですけど、オタツイスターがあるからなおさら胸を合わせることができなくなってきました。フィニッシュに繋がるようになっているので。ポジションコントロールの技術から、一本が取られるように自分のなかでも進化をさせてきて。

そこで上久保が使いだして。僕よりも効果的に使っています(笑)。RIZINのなかでも、その形がでると解説の人も言及してくれるようになって。「もっと言ってくれぇ」って思いながら視ています(笑)。

岡田 達郎はもともとバックキープが好きで、上手くて。両足フックからオタツロックを使うようになって。ところで……実はTHE BLACKBELT JAPANって、練習でカニバサミは禁止なんです。

和田 危ないからね。

岡田 スポーツ生理学にいうと、キネマティクス(運動学)とキネティクス(運動力学)というものがあって。キネマティクスは動作の見た目で、キネティクスは動作の内側で起こっている力の作用をいいます。

──ハイ。

岡田 キネマティクスでいえばオタツロックとカニバサミは違います。でもキネティクスでは同じなんです。前額面上にヒザに圧力をかけると、ACLが断絶しやすいです。関節の危ない角度をシアーロードと言いますが、足関節もこのシアーロードが創られて極められています。

ヒールを取った時、相手が足を真っ直ぐに延ばすと極まらないじゃないですか。

和田 うんうん。

岡田 必ず少し曲げて、角度をつける。あの角度で横から圧力をかけると、パチンとヒザの内側でACLが壊れてしまいます。キネティクスでいうとスタンドのオタツロックで外側から煽って、横ベクトルで圧力をかけると──それはカニバサミやヒールと同じで、切れてしまうんですよ。

ペレス戦の達郎は一、スタンドのオタツロックで相手が抵抗しないで倒れる。二、スタンドでチョークを取る。三というか、ヒザが壊れることもある。それぐらいの考えでやっていました。

「背中に乗られたら、寝た方が絶対に良い」(和田竜光)

和田 スタンドでバックを取っていると、首も取りやすいです。だから背中に乗られたら、寝た方が絶対に良い。自分のケガも防止もそうだし、絞められないための対処としても。オタツロックは踏ん張っちゃうとヒザも危ないし、首も取られやすくなります。

──構わないのですか、それをここで公表してしまっても。

和田 分かっていなくて練習をすると、ケガしちゃいますから。それだけは避けて欲しくて。本当にこの技のメカニズムを分かって、特に練習では掛ける方も掛けられる方も対処してほしいです。

岡田 いうとペレスも知らなかったのだと思います。踏ん張らないことです。

和田 さっきも言いましたが、DJは倒れて本当にうまく対処をしてきました。体の捩じりが強くて、ブリッジをする選手にはスパッと取れることがあります。竹中選手がそういうたタイプで。練習でも祐弥やノリピー(田中路教)とかは、捻ってブリッジだから取れちゃうことがあるんです。

でも、DJにはちゃんと胸を合わされました。今、映像を見ても理由は分からないです。なぜ、あんな風に抜かれたのか。オタツイスターを掛けるタイミングもあったけど、察知されました。DJだって仕掛けられたのは初めてのはずなのに……。実際、餌を蒔いてそうなるように仕向けていたんですけど。

DJが動けるだけの力の入れ方をしていたんです。敢えて緩めて、動かせてツイスターに入れるように。それで僕は何百回とスパーリングで極めてきたので。でも、DJは全くそっちに動かなかったです。

──それはキネマティク的、キネマティクス的に分かるのですか(笑)。

岡田 いや、一切分からないです(笑)。本当にその理由が知りたいです。

和田 だからDJと戦って、良い場面も創れたけど全然やられちゃって。逆に嬉しかったです。やっぱりDJは凄いなって思えて。掌の上で回されて、もう清々しかったほどで。

──痺れますね。 

和田 DJとやって、もう特別に戦いたい相手っていないっていのは、そういうことなんです。強い選手はいるし、好きな選手もいるけど──そういう気持ちなんです。もう、やりたいヤツっていないんです。DJ以外なら、フライ級で戦っていた時の(ヘンリー)セフード、それと今はフライ級の堀口(恭司)君ぐらい……触ってみたい相手は。

──もう納得です。

「僕はカーフだって、和田さんに教えてもらいました」(岡田遼)

和田 なんで、今はONEから用意された相手を倒す。そしてチャンピオンを目指す。誰と戦いたいといことではなくて、目指しているのはONEのベルトです。

──その用意された相手がシェ・ウェイ戦だと。いやぁ、この話を聞くと余計に楽しみですね。では改めて岡田選手、和田選手の次の試合で何を期待しますか。

岡田 カーフキックで、KOですね(笑)。

──そっちですか。

岡田 いや今回、和田さんはオタツロックで注目されたかもしれないけど、こんなにMMAができるウェルラウンダーの選手はいないんです。MMAだからこそという動きができる。僕はカーフだって、和田さんに教えてもらいましたから。

和田 ありがとう(笑)。あと、俺も岡田君に訊きたかったことがあって。

岡田 えっ。ハイ、何でしょうか。

和田 あのう……手塚(裕之)選手と仲が良いでしょ?

岡田 ハイ……。

和田 最近、どうしちゃったのかなぁって。

岡田 あっ、Xですか(笑)。

和田 そうなんだよ。どういうことなのかって。

岡田 それはですね──。

──スミマセン。そこからはプライベートな話ということで(笑)。今日は本当に貴重な話をありがとうございました。

■放送予定
7月6日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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【ONE FN23】シェ・ウェイ戦前の和田竜光を岡田遼が訪ねた─01─オタツで勝利の平良達郎、その原風景とは

【写真】岡田が鶴屋怜のセコンドでベガスに向かう前夜、和田を訪ねて都内某所で取材。ココカ〇ファインの明かりを借りてオタツロックを実演 (C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FN23「Ok vs Rasulov」に和田竜光が出場し、シェ・ウェイと対戦する。
Text by Manabu Takashima

1年4カ月振りの実戦復帰となる和田だが、今、その存在過去最高に注目されている。6月15日のUFC ESPN57のメインで平良達郎がアレックス・ペレスを負傷TKOに追い込んだのが、和田の十八番=オタツロックから、煽って後方に倒れたことでヒザの負傷をペレスが負った。

日本ではお馴染みのオタツロックだが、まだ世界のMMA界に使い手という使い手は見当たらず、衝撃な結末とともに和田オリジナルというべきオタツロックが世に拡散されている。

そんななか、平良のセコンドを務める岡田遼が和田を訪問、かつてTRIBE TOKYO MMAで練習をしていた両者。世の中はもちろん、和田本人がオタツロックの本当の怖さに気付いていない時の光景が、平良のUFC6連勝に繋がっていた。

ただし、オタツロックだけが和田ではない。岡田が認めるように、練習仲間やコアファン層は承知のウェルラウンダー=和田と、岡田のオタツロック論と和田竜光のこれからについて対談を行ってもらった。


「ONEがなかったら、MMAを辞めているかもしれない」(和田)

――和田選手、1年4カ月振りの試合が近づいてきました(※取材は6月25日に行われた)。

和田 去年の3月のFriday Fights以来ですね。

岡田 ずっと日本大会に出場するものだと思っていました。こないだ久しぶりに電話をくれても、試合のこととか教えてくれなかったですもん(笑)。

和田 契約問題は言っちゃいけないことが多いから(笑)。

──守秘義務というやつですね。ただ自分が知っている限りは、実は日本大会の時に契約は切れていたと。

岡田 えっ、そんなことがあるんですか。

和田 あるんだよ。Friday Fightsは単発だったみたいで(笑)。

岡田 まぁ、それだと日本大会の出場もないですよね。

和田 皆が気付いていなかったようで。そりゃぁリストに名前がないんだから、日本大会に出場も何もないよね(笑)。

──ある意味、奇跡ですよ。マネージメント、マッチメイカーが気付いていないなんて……。

和田 去年の12月に気付いたけど、そこからクリスマス休暇とか新年とかでなかなか時間が掛ってしまって。

──そのタイミングになると和田選手は試合に出られても、ビザが取れないから外国人選手を招聘できないですよね。それにしても、そこからまた7カ月が掛ったわけですし。

和田 長かったですね。でも、組まれないものはしょうがない。ようやく決まりましたね。

岡田 なんで、再契約したんですか。

和田 そもそも俺はONEに感謝しているから。ONEがなかったら、MMAを辞めているかもしれない。DEEPでチャンピオンになって、RIZINの出場も1回きりで。UFCも行けないし、『もうやれることはない。このままダラダラやってもしょうがない』って思っている時にONEが契約してくれて。

──「なぜなら、僕は修斗を愛してるから」と叫んで、全然でない人もいますが。

岡田 アッハハハハハハ。それ、僕じゃないですか。でも和田さん、義理堅いッスね。

和田 俺も悩んだよ。色々な人と話もしたし。RIZINも頭にあったけど、俺の試合が組まれるなんて保障もないし交渉もしていない。だからファイトマネーがいくらになるのかも分からない。けど、そういう状況でいえばONEの方が確実に稼げるので。

──う~ん、勝手ながら和田選手とブラジル人や欧州系の選手との試合、例えUFCでなくても見たいです。

和田 UFCには一応、この契約が空いている期間に交渉をしてもらいましたが、全然だめでした(笑)。

──それでも交渉を試みたんですよね。いやぁ、良い話です。

和田 まぁ年齢もあって、成績も抜群に悪いんで。DJとやって良いところがあった。それと大昔ですけど、カイ・カラフランスに勝っている。そこを材料にダメもとで、契約が切れている間に一丁聞いてもらいました。

ただ変な話、僕はONEと契約した時からDJ以外に試合がしたいという相手がいなかったんです。で、DJと試合ができてから僕のなかでは、ある意味もう上がっていて。もう一番戦いたい人と試合はした。だから明日、ケガをしてMMAができなくなっても、僕のなかでは悔いはないです。もうやりたいことはやったというベースがあります。そこと海外で試合をすること、それと稼ぎも天秤に掛かっていて。

岡田 で、再契約をしたのですね。

──6日に戦う相手は、シェ・ウェイです。かつて若松選手と戦った中国人選手ですね。

和田 佑弥がハイドレーションで引っ掛かった時に戦って、やっつけたヤツで。

岡田 あぁ、あの時の。

和田 今はランカーじゃないけど、トップ5だった時もある。現状はその下の選手です。

岡田 いや、もうフィニッシュしてください。やっぱり、ここはオタツロックから。本家ですから。

「あの形といえばあの形なんです。達郎が勝った理屈も、もう7、8年前のあの練習の時も」(岡田)

和田 オタツロックねぇ。ホント、平良君。ありがとうって。まぁ、得意だから出せる可能性は高いけど、一本を取るならそこからの形ですね。でも、狙って出すようなモノではないので。あれって、オタツロックだよねぇ?

岡田 ハイ、勿論オタツロックです。TRIBE TOKYO MMAのプロ練習に参加させてもらっていた時に、僕と同門の佐久間健太も一緒で。その時に和田さんが練習で仕掛けて、あの形といえばあの形なんです。達郎が勝った理屈も、もう7、8年前のあの練習の時も。

和田 あの時は僕も未熟で。あれでケガをして以来、佐久間選手をTRIBE TOKYO MMAで見かけなくなってしまって……。

岡田 でも、僕もあの時は何が起こったか、分からなかったです。

和田 本当にこの間の平良君とアレックス・ペレスの試合のような形でした。立った状態でオタツロックに入って、組んでいる方でない足に全体重が掛かってしまって。それで倒れた時にはACLがいくような……。ただおんぶされていただけなら煽っても踏ん張られてしまいます。

オタツロックは組んでいる足が入っていくことで、相手の足が持ち上がるような形になります。するともう一方の足にオタツロックを仕掛けた方の人間と、仕掛けられた相手の2人分の体重が全て掛かるんです。

岡田 踏ん張ると、ケガしちゃいます。グラウンドに自分からいくぐらいでないと。

──ペレスは一度目の煽りで倒れず、平良選手が後ろ手に取ってから煽って倒れました。

岡田 体が強い。だから、耐えてケガをした形ですね。

和田 DJは体重を逃がして、転がっていました。初見だったはずなのにさすがです。ただ佐久間選手にケガをさせてしまった時は、オタツロックのメカニズムがまだ分かっていなかったです。もちろん、平良選手のように煽ることもなかったし、足を上げて崩そうとしていたぐらいで。

今だとあんな風にはやらないです。でも、当時は危なさにも気付いていなかった。それで練習相手に仕掛けて、相手がバランスを崩して倒れることがほとんどで。その時、踏ん張り過ぎたり、マットに引っ掛かったりして佐久間選手にケガをさせてしまいました。

岡田 あれはインシデントでなく、アクシデントでした。ああいう風になることを狙うわけがなく。狙っても、そんな風になるものでもないですし。

「達郎って和田さんに憧れていたんです」(岡田)

和田 偶然でも起こり得る動きなので、練習では本当にそうならないようにしています。だから、オタツロック単体で勝とうとかはなく、そこから展開のために使っています。平良選手もあの結末を狙ったわけじゃなかったよね?

岡田 起こり得ると想定した中での仕掛けです。達郎のアクションで事故が起こることもある。その意識でしたね。

和田 試合だとケガをするとか躊躇すると、隙を与えて逃げられてしまいます。同時にケガをさせようなんて思わない。ただし、ケガをするかもしれないとは頭にあって仕掛けています。

──ケガは付き物ですし。殴って、蹴ってという競技ですからMMAは。ところで岡田選手が佐久間選手のケガを見ていたことが、平良×ペレス戦に繋がっているのでしょうか。

岡田 それをいうなら、僕もナンボでもオタツロックの餌食になっています。被害者の会の一員ですから。ケガはしていなくても。何より、これはこの間の勝利があるから話すのではなくて、達郎って和田さんに憧れていたんです。

僕が和田さんと毎週のように練習をさせてもらっていた時期に沖縄に行って、まだ修斗のチャンピオンになる前の達郎から「オタツロックってどうすれば、掛けることができるのですか」って質問されたことがあったんです。達郎は当時から和田さんの試合映像を見て、ずっと研究していましたね。

和田 へぇ、嬉しいなぁ。

──世界的にもヘンゾ・ロックはあっても、日本人選手以外でオタツロックは見た記憶がありません。

岡田 ヘンゾ・ロックは対角に足を入れる。アルジャメイン・ステーリングが使っているやつですね。

和田 僕もこないだの平良君の試合後に、ヘンゾ・ロックなのっていうリプを見てチェックしたのですが、アレは斜めにいれているだけで、足一本に2人分の体重が掛かるということはないです。

──となると、オタツロックは日本のMMAを代表する技ですね。上久保選手、後藤選手、鶴屋怜選手らがオタツ・ツイスターを使っています。

和田 鶴屋君、使っているよね?

岡田 使っています。ハイ、使っています。

和田 俺や上久保が掛けたことがあって。で、極め方は違うのですが、そこにオタツロックの原型は残っているんです。俺もあの極め方のアレンジを使っているから。で、怜君に「良いでしょ。あの仕掛け」って話しかけたら、「あれは違います』って(笑)。それを聞いていた上久保も「いやアレは自分たちが掛けたやつです」と言っていて(笑)。

岡田 アハハハハハは。そこが怜っぽくて良いです。それが達郎だったら「ハイィ。そうなんですぅ」って言いますよ(笑)。

和田 あの若さが良いですよね。買いです。あの雰囲気ね。良いです。イケイケで。絶対に、そこが怜君の強味です。実際にUFCに行っているし。火曜日にロータスまで来て、一緒に練習していますけど本当に強いです。

岡田 怜の目標は日本人初のUFCチャンピオンだから、達郎に先を越されたくなくて。そこがアイツの良さなんです。でも「そうなんですぅ」って言っておけば、先輩に可愛がってもらえるのに。

──その気持ちが透けて見えるのが、岡田選手ですよね(笑)。

<この項、続く>

■ ONE FN23放送予定
7月6日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

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MMA o Road to UFC UFC YouTube キム・ハンスル キ・ウォンビン シエ・ビン ソン・ヨンジェ ソ・イェダム チェ・ドンフン ユ・スヨン ルエル・パニャレス 原口伸 安藤達也 小崎連 岡田遼 本野美樹 松井斗輝 透暉鷹 野瀬翔平 鶴屋怜

UFCへの登竜門!ROAD TO UFC シーズン3 日本人出場選手 大解剖! 鶴屋怜 UFC初陣への意気込みも!

ROAD TO UFC シーズン3
5月18日(土)&19日(日) U-NEXTで全試合完全生配信!

5月18日(土)【ROAD TO UFC シーズン3 エピソード1,2】
詳細はこちら↓↓↓
https://video.unext.jp/genre/martial?lc=LIV0000005408?=FS00001

5月19日(日)【ROAD TO UFC シーズン3 エピソード3,4】
詳細はこちら↓↓↓
https://video.unext.jp/genre/martial?lc=LIV0000005409?=FS00001

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エピソード1,2 対戦カード
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【エピソード1:日本時間19時開始】
男子フェザー級(65.8kg以下)
ズー・カンジエ vs 安藤達也

男子フェザー級(65.8kg以下)
原口伸 vs ホン・ジュニョン

女子ストロー級(52.2kg以下)
フォン・シャオツァン vs キラン・シン

女子ストロー級(52.2kg以下)
ホアン・フェイル vs 本野美樹

ウェルター級(非トーナメント)
バテボラティ・バハテボラ vs キム・ハンスル

【エピソード2:日本時間21時開始】
男子フェザー級(65.8kg以下)
シエ・ビン vs イーブーゲラ

女子ストロー級(52.2kg以下)
シー・ミン vs ソ・イェダム

男子フェザー級(65.8kg以下)
河名真寿斗 vs ソン・ヨンジェ

女子ストロー級(52.2kg以下)
プリヤ・シャルマ vs ドン・フアシャン

女子フライ級(非トーナメント)
ワン・ツォン vs パウラ・ルナ

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エピソード3,4 対戦カード
======================
【エピソード3:日本時間19時開始】
男子バンタム級(61.2kg以下)
ダーエミィスウ・ザウパースー vs 小崎連

男子フライ級(56.7kg以下)
ジョン・アルマンサ vs アンガド・ビシュト

男子バンタム級(61.2kg以下)
ユ・スヨン vs 野瀬翔平

男子フライ級(56.7kg以下)
ジー・ニウシュイエ vs チェ・ドンフン

ライト級(非トーナメント)
キ・ウォンビン vs. 雑賀達也

【エピソード4:日本時間21時開始】
男子バンタム級(61.2kg以下)
バーエゴン・ジェライスー vs カンタラージ・アガーサ

男子フライ級(56.7kg以下)
キルー・シング・サホタ vs イン・シュアイ

男子バンタム級(61.2kg以下)
キム・キュサン vs 中西透暉鷹

男子フライ級(56.7kg以下)
松井斗輝 vs ルエル・パニャレス
※松井斗輝選手の体重超過により試合中止

女子フライ級(非トーナメント)
ヤン・チーフイ vs リサ・キリアコウ

※対戦カード・対戦順は直前まで変更する場合があります。
※直前の変更により当日の内容が異なる場合があります。

【目次】
0:00 オープニング
1:42 鶴屋怜 UFC初陣への意気込み
5:11 日本人出場選手 大解剖
10:07 フライ級トーナメント 出場選手
12:08 バンタム級トーナメント 出場選手
18:56 フェザー級トーナメント 出場選手
25:47 ライト級 出場選手
27:22 ROAD TO UFC “ここを見ろ!”
28:54 鶴屋怜 デビュー戦への意気込み

格闘技観るならU-NEXT!
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【RIZIN46】キム・スーチョル越えに確かな自信──中島太一「100パー、RIZINでもチャンピオンになれる」

【写真】自分を信頼できるだけ、日々積んでいるということ (C)SHOJIRO KAMEIKE

29日(月・祝)、東京都江東区の有明アリーナで開催されるRIZIN46で、中島太一がキム・スーチョルと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

中島は2021年12月の井村戦から、デビュー当初に戦っていたバンタム級に戻した。その階級変更の裏にあったものとは――。次に対戦するキム・スーチョルは、昨年ROAD FC グローバル63キロトーナメントを制している。中島はRIZINのベルトを見据えて、韓国バンタム級トップファイターを迎え撃つ。


――リモート画面からもご家族の声が聞こえてきますが、SNSを拝見していても家庭の幸せが伝わってくる中島選手です。

「そうですね。結構SNSに家族のことを載せてしまっています(笑)」

――個人的には中島選手にインタビューするのが10年ぶりで、前回は2013~2014年にパンクラスで行われたワールドスラムトーナメントの頃だったと思います。あれから結婚し、お子さんも生まれたことによって何か感じるものは変わりましたか。

「MMAもプライベートも、全て良い方向に進んでいます。最初は『結婚するとMMAに掛ける時間が減ってしまうんじゃないか』とも思っていたんですよ。でも結婚してからのほうがMMAに集中できていますね」

――ご結婚されたのはコロナ禍であり、また2017年から2019年にかけては敗戦も多い時期です。中島選手にとっても30歳を迎えるうえで節目となった時期でしたか。

「当時は将来のことについて、すごく考えました。このままMMAを続けていて良いのかどうか……。特にISAO戦で負けた時(2021年5月、フェザー級KOPのISAOに挑戦して敗れる)は考えました。『ここまでやってチャンピオンになれないなら、潔く現役を辞めてジムを出そうか』って。実際、物件を探して内見もしていたぐらいでしたから」

――……。

ISAO戦のあとにバンタム級へ落とす――というよりもバンタム級に戻していなければ、今どうなっていたんだろうなって思います」

――中島選手はデビュー当初はバンタム級でした。ロシアACBに参戦して以降はフェザー級で戦っていましたが、ずっとバンタム級で試合がしたいとは考えていたのでしょうか。

「いえ、それは考えていなかったです。僕の中でバンタム級に戻すことは『逃げる』ことになってしまう。だから、それほど積極的ではなかったんですよ。でも妻がISAO戦のあとに『バンタム級でも戦えるでしょう?』と言ってきて」

――えっ!?

「僕が『戦えるけど……』と答えたら、妻から『じゃあツイッター(現X)で、バンタム級でも戦えるって投稿しよう』と言われて(笑)。妻もそう言ってくれるなら――と思ってツイッターに投稿したんですよ。そうしたらパンクラスの坂本靖さんから連絡が来たので、バンタム級の話をしたところ井村塁戦(2021年12月、暫定バンタム級KOP決定戦)のオファーを頂きました」

――バンタム級転向も奥様からのアドバイスだったのですね!

「そうなんですよ。だから今もずっと妻の言うことを聞いています(笑)」

――ただ、その時点ではバンタム級に戻してどうなるかという不安はなかったですか。結果論ではありますが、フェザー級の時よりも体のキレは良いように感じます。

「もともとフェザー級で戦うことになったのも、ACBと契約した際に『現地でどういった調整、減量ができるか分からないから』という理由で。フェザー級で戦うためにバルクアップしていました。でもバンタム級に戻して以降は、自分でも本領発揮できているなって感じます。フェザー級で強い相手と対戦してきたからこそ、バンタム級では圧力で負けることもないという自信もありますし。フェザー級では何回も負けてしまったけど、その敗北が今に繋がっていると思います」

――そして今回、RIZINで国際戦に挑むこととなりました。

「ずっと強い相手と対戦したいと思っていました。だからパンクラスのタイトルマッチもそうだし、RIZINで元修斗王者の岡田遼選手との試合(2023年9月、中島が判定勝ち)が決まった時も嬉しかったです。今回も国際戦というより、キム・スーチョルという強い選手との試合が決まって良かったです。ずっとRIZINにも『強い相手と戦いたい』と伝えていたので。でもRIZINに出て3戦目でキム・スーチョル戦というのは驚きましたけど」

――その点でいえばRIZIN初戦はフェザー級でヴガール・ケラモフと戦い、そのあとは岡田戦、キム・スーチョル戦と強敵との試合が続いています。

「確かにそうですね」

――ただ、昨年9月に岡田選手を下したあとは、やはり大晦日に試合をしたかったですか。

「はい。日本の格闘技といえば、やっぱり大晦日だと思うので。岡田戦から3カ月後だから試合間隔としてはちょうど良いし、自分としては『大晦日、確定したんじゃないか』とも考えていたところもあって(笑)。大晦日に試合が組まれなかったのは悔しいけど、出られないなら出られないで気持ちも切り替えて、当日は純粋な一人のファンとして観戦しました」

――一方で、7カ月も試合間隔が空くのは予想外ではなかったですか。

「大晦日に試合がないと分かってから、2月と3月に大会があるから出たいとは伝えていたんですよ。でも佐賀大会と神戸大会だから、地元の選手も出るし難しいとは言われていて」

――ではこの7カ月間で、前回のインタビューで語っていただいたジャブ以外に何か新しいものに取り組みましたか。

「作戦にも関わるので細かいことは言えないですけど……。もちろん万遍なく練習してきているし、新しいことも取り入れてきました。それと同時に、岡田戦ではKOできなかったので、とにかく『どうすればKOできるのだろうか』ということを考えて練習してきました。そのためには、まず僕が得意なジャブからの展開と距離設定ですよね」

――KOするための技術を磨く、あるいはその気持ちが強くなったのは、いつ頃からなのでしょうか。

「パンクラスの頃から考えてはいましたけど、その気持ちはRIZINで戦うようになって、より強くなりました。MMAだから勝つことを目指すことは当たり前で。そのうえでKOか一本で勝たないと、上に行くことができない。

パンクラス時代も『勝つには勝ったけど判定か……』という気持ちになることはあって。でも、まずは勝ったから良しとする。次はKOできるように頑張ろう、ということの繰り返しですね」

――バンタム級に戻して調子も良い。しっかり勝つことができるようになったからこそ、次のステップとしてKO勝ちをより強く考えるようになったのではないですか。

「それはありますね。もう勝つのは当たり前で、次はどうやって勝つか。確かに、自分自身が次のステップに進みたいという気持ちはあります。僕の場合であれば、左ジャブの次にどう展開するのか。その部分の精度を高めてきました」

――なるほど。次の対戦相手、キム・スーチョルの印象を教えてください。

「……タフで、ギロチンが強いというイメージです」

――その答えを言う前に、自信ありげな笑顔を浮かべましたね。キム・スーチョルの印象を語る時にその笑顔が出るということは、すでに倒すイメージは出来上がっているのですか。

「アハハハ、そう見えましたか(笑)」

――SNSでは「バンタム級のベルトが見えてきた」という旨の投稿もありました。

「自分自身のことを信じていて100パーセント、RIZINでもチャンピオンになれるという自信があるんですよ。僕としてはRIZINで戦うようになって、ベルトに挑むまでは結構時間が掛かると思っていました。『バンタム級ファイターを全員倒していかないと』って。でもキム・スーチョル選手をKOしたら、次はすぐタイトルマッチでも良いですよね。あるいはタイトルマッチの前に、井上直樹選手と挑戦権を賭けて試合するか。最速で年内にはベルトに挑みたいと思っています」

――現時点で、RIZINバンタム級王者の朝倉海選手を倒すイメージも出来ているのですか。

「自分が持っているものを全て出せば勝てると思っています。まだRIZINファンの人たちは僕のことを全然知らないでしょうけど、『今に見とけよ』っていう感じですね」


■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後2時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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【Special】Fight&Life#101より鶴屋浩ラストインタビューasパラエストラ千葉ネット代表「僕の仕事は─」

【写真】取材は2月某日に行われたが、次に柏を訪れる時はロゴは下のように変わっているはずだ(C)MMAPLANET

13日(水)、THE BLACKBELT JAPANの発足会見を開いた鶴屋浩元パラエストラ千葉ネットワーク代表。愛弟子であり盟友でもある松根良太元THEパラエストラ沖縄代表と新チームを創ったことで現役UFCファイター2人を含み、数だけでなく質でも日本を代表するMMAチームが誕生した。
Text by Manabu Takashima

その鶴屋代表が新チーム発足に関しての詳細を語ったインタビューが現在発売中のFIGHT & LIFE#101に掲載されている。鶴屋浩パラエストラ千葉ネットワーク代表としてのラストインタビューを全文掲載。自らのジムを立ち上げた際の中井祐樹パラエストラ・ネットワーク代表、高校生の時から鶴屋を支持する松根THE BLACKBELT JAPN副代表との人間関係とJ-MMA強化の想いとは──。


──SNSでパラエストラ千葉ネットワークとTHEパラエストラ沖縄が中井祐樹氏率いるパラエストラ・ネットワークから離れ、新しいグループで活動を始めるという発表がありました。

「1999年の12月に中井先生のお世話になり、パラエストラにとって7番目の道場として、パラエストラ松戸を立ち上げて約24年が過ぎました。この辺りで自分も中井先生の後ろ盾がなくやって行く。その時期が来たのではないかと」

──そもそも日本の総合格闘技の黎明期に消防士をされていた鶴屋さんは、松戸ちびっこレスリングという所属名こそありましたが、実質無所属として打撃と組み技が混ざったルールの大会に出場。常にアウェーの戦いに臨むような形でした。

「当時、僕は格闘技業界に友人はいませんでした。そんな頃、シューティングジムと呼ばれていた頃だったか、大宮でも練習をさせてもらうことがありました。あの時、大宮で自分の話し相手になってくれたのが中井先生だったんです」

──もう全日本アマ修斗で優勝をした後でしょうか。

「僕が優勝したのは1997年ですが、1996年で3位になった時に、一度プロデビューの話があったんです。優勝したマッハ(桜井マッハ速人)の相手で」

──えっ? そうだったのですか。マッハ選手のデビュー戦の相手は、アマ修斗決勝の再戦となった宇野薫選手のデビュー戦でもありました。

「実は最初は僕のところにオファーがあったんですよ。マッハは4試合中3試合で一本勝ちし、僕だけがポイント差だったので」

──トリビアですね。

「僕も受けるつもりだったんですけど、消防の仕事が入っている日で無理でした。あの時、中井先生は『俺がセコンドに就くよ』と言ってくださっていて。当時から中井先生は技も確かで、頭が良い人だから信頼をしていました。そして1999年にジムに立ち上げようと思った時に、中井先生に相談に行ったんです。中井先生もパラエストラ東京を立ち上げて1年が過ぎた頃で。その時の話のなかで『パラエストラ松戸というのもありじゃないの?』と言ってもらって。

──中井さんから、そのように言ってもらえたのですね。

「ハイ。そして、それを松根に話すと『やりましょう』って彼も言ってきて」

──えっ? 松根良太さんですか? 翌2000年の全日本アマ修斗に優勝した時、まだ高校生でしたが……。

「あの頃、とあるボディビルジムの3階の狭いスペースで週に2度ほど格闘技クラスを担当していたんです。ほんの少ししかいな生徒の中の一人が松根でした。当時から松根は天才的な動きをしていて、僕について回って付き人のような感じだったんです(笑)。で、『こうやっていこうと思う』と伝えると、『やりましょう!!』って乗ってきたわけです」

──それから24年、なぜこのタイミングで独立を?

「まず、この24年という間、中井先生には本当にお世話になりました。もちろん技術もたくさん教えていただきましたし、パラエストラを離れるというのは、僕も凄く悩みました。今は子供たちが4人とも格闘技をやっていて、多分このまま続けていくと思います。そこも考えましたね。自分の組織、チームを立ち上げてやっていくべきなのか。5年ぐらい前から考えるようになって。中井先生にも以前から相談はさせていただいていました。中井先生は竹を割ったような性格の方なので、『良いじゃないか』ということは言ってもらっていました。同時に松根にも相談をして、彼が『やるならついて行きます』と言ってくれて。松根の言葉は、今回の決断を大きく後押ししてくれました」

──そこにも松根さんの存在があったわけですね。

「松根と僕の関係は師匠と弟子、もう25年以上です。何かあると僕は彼に相談し、彼も僕にそうしてくれる。その関係はずっと変わりないです。松根のところから平良達郎がUFCと契約した。うちはROAD TO UFCの際中でしたが、鶴屋怜がサインをするのは絶対と見ていました。その勢いも独立に関係してきたとは思います」

──とはいえ、そもそもパラエストラ千葉ネットワークはJ-MMA界でも、最も人材が豊富なトップジムの一つで、パラエストラという名前があっても、もう独立国家のように見てしまっていました。

「自分はパラエストラ千葉ネットワークの代表ですが、何かあった時には中井先生が後ろに控えてくださっている。その気持ちがあったのは絶対です」

──パラエストラは何年か前にアフリエイトを支払う形に変わったかと思いますが、あの時にグループを抜けたジムもありました。

「僕はあの時に抜ける気はなかったです。凄くお世話になっていたし、これまで1年に1回は中井先生にパラエストラ柏でセミナーをやってもらい、終わった後は飲み会を開いていましたし(笑)。先日、松根と一緒に中井先生に挨拶に行き、『これまでと変わりない付き合いをしよう』と言って貰えて。本当に有難かったです。だから僕と中井先生の間は何か変わるということはなくて」

──結果、独立してどのような変化があるのでしょうか。

「それは自分の気持ちだと思うんです。中井先生、そしてパラエストラという後ろ盾がなくなり、全ての責任は自分にある状況です。そこ以外は何が変わるということはなく、今まで通り世界に通用するMMAチームを創っていくつもりです。さっきも言ったのですが、そのためにも今の勢いというのは必要だったのかもしれません。新たな気持ちで世界を目指そうということで」

──ハイ。

「早稲田大学レスリング部4年で、去年の全日本学生フリーで優勝しグレコで2位になっている山倉孝介(2021&2022年全日本選手権フリースタイル79キロ2位)が入会して、今年デビューする予定です。山倉は中学の時から教えていて戻ってきた形ですね。そういう風に色々なことがスタートします。

──ところで新しいチーム名は決まっているのでしょうか。

「いえ。候補はあるのですが、まだ決まっていないんです。やっぱり横文字ですかね。松根と岡田(凌)と相談しているんですよ。それほど気にしていなかったのに、これからずっと続くモノなので考えてしまうようになって(苦笑)。3月の終わりが4月の初めにRYO OKADA TOKYO INSTITUTEで正式発表を考えています。松根、達郎、扇久保(博正)とか(浅倉)カンナ、神田コウヤ達を呼んで。やっぱり色々な人に柏まで来てもらうのは、ご足労かと思って」

──ハイ。確かに(笑)。

「いやいや(苦笑)。ちなみに高島さんだったら、どのような名前が良いと思いますか」

──僭越ながら自分が鶴屋さんの立場なら、パラエストロイカですかね。

「ハハハハハ。却下です」

──ではジャパン・トップエストチームというのは?

「……。そこですか(笑)。僕はジャパン・トップチームができたことは業界として良いことだと捉えています。あの立派なケージがあって、指導者を外国から呼ぶことができる。それだけの資金があるジムが日本に誕生するということは。色々と言われていますが、それは米国がやってきたことと同じなので。ジャパン・トップチームを見て、僕らもしっかりとやらないといけないっていう気持ちになりますから。ライバルが頑張っているなら、自分たちも頑張らないといけない。負けていられないという気持ちはあります

──ジャパン・トップチームは誕生したばかりですが、TRIBE TOKYO MMA、BRAVE、HEARTS、そしてパラエストラ千葉ネットが若い世代の育成という部分で日本をリードしていると思います。そこに対して、負けるかという気持ちはあるのでしょうか。

「負けるかというよりも、良い意味でライバル心を持って皆で日本を盛り上げないといけないです。ラスベガスでUFC PIを見て、上海のPIを見ました。あれに勝つには町道場では無理だなというのが僕のなかにあって。だからジム同士も交流できるところは交流して、対世界ということを本気で考えないといけないです。目指しているところは、そこなんで。だから変えなければならないところは、ありますよね」

──だからこそジャパン・トップチームを歓迎するということですね。

「ハイ。これまでにないことをやっていますからね。あのやり方は批判する人もいますが、有りです。だからこそ、僕らも考えないといけない。千葉県のレスリングチームは以前、週に2度しか練習をしていなかったんです。それを僕のチームが6度練習を取り入れると、全国的に強くなりました。すると他のチームも4度、5度と練習するようになり千葉県全体が強くなりました。そこにライバル心があったからで。そういう効果が、MMAでもジャパン・トップチームの出現で見られるのではないかと思っています」

──新体制では千葉ネットの柏、松戸、千葉、そして沖縄の2つのジムになるということでしょうか。

「それとパーソナルジムですが、岡田も僕らの選手をサポートしてくれるグループの一員です」

──ここまで千葉ネット、沖縄と関係がなかったジムから新グループに加わりたいという声が挙がる可能性もあるかと思います。

「受け入れるために話を聞きます。話し合い合いによって一緒にやっていけるかどうかを判断する。そういう形になると思います」

──同じグループ内の選手同士の対戦は行っていくのでしょうか。

「組まれて、本人が戦う意向があれば戦わせます。平良達郎と鶴屋怜の試合をUFCが組めば、戦います。ウチのチームはもともと同門対決をやっていますし。修斗のインフィニティ―リーグ、ネクサスのミドル級王座決定トーナメントもパラエストラ千葉ネットワークから2人ずつ出場しています。一昨年のパンクラス、ネオブラッドトーナメント・フライ級は6人中3人がウチのチームでした。しかも柏から2人が出て」

──ハイ、濱田巧選手と伊藤まこと選手が決勝で対戦しています。

「今、試合も出ていない選手も含めると千葉、柏、松戸で50人以上のプロ選手がいるので当たってしまうこともあります。基本的に本人達が戦うというのであれば、試合はさせます。なるべくは、そうならないことを願っていますけど、それこそタイトル戦やトーナメントの決勝なら、選手もやりますよね」

──世界を目指すため、沖縄を含めるとこれだけの陣容が揃う中で自主興行の再開というのは?

「僕がプロモーター業をやることはないです。僕の仕事は道場で生徒を強くすること。それが僕のプロフェッションなので、死ぬまでコレ以外をする気はないです。ただしグループ内で、例えば岡田が大会を開きたいというのであれば、それは話し合います。大会をやれるならやってもらいます。何より独立をするから、今より環境を整えるということではないです。独立しなくても、そうすべきことですから。ただし、行動をすることは大切です」

──その行動という部分で、鶴屋さんも目に見えるような行動は起こされていますか。

「世界を目指すという部分で土屋(進)トレーナーに来てもらって、ラントレなどを指導してもらうようになりました。それと実は今日も、ボクシングのトレーナーと契約をして常勤になってもらいます。レスリングも日体柏高校が5分のところにあるので、以前からピュアレスリングの練習をさせてもらえるようになっていますし」

──指導に力を入れていく。それが鶴屋さんの役割なのですね。

「それとイリディウム・スポーツエージェンシーとも話をして、『良い選手がいればどんどん海外修行ができるようにする』と言われています。実際に向うを見て、練習をすることは勉強になりますから。あとはそこについて回るファイナンシャルの部分ですね。選手たちにスポンサーを見つけることも、大切になってきます。とにかく選手たちは金がないですから」

──そこは沖縄も同調しているという理解で宜しいですか。

「ハイ。松根も平良達郎をUFC世界フライ級チャンピオンにさせたいので。イリディウムとは別に国内のマネージメント会社とも連携をとっていますし。なるべく選手達が働かないで練習できる環境を整えていかないといけないです。変化を求めて動かないと、世界との距離はどんどん離されていきます」

──業界として変わることが難しいのであればジム単位、あるいは選手単位で変化が求められると。

「ROAD TO UFCを見ても中国が強くなっていることは明らかです。それは上海にPIがあり、あれだけの人口がある国で選ばれた選手が、PIで練習だけをしているからです。あっという間に、日本は逆転されました。つまり、このまま何もしないでいると日本のMMAはアジアでもおいていかれます」

──……。

「環境ですね。あと日本社会はMMAファイターとして世界で戦うという人間に対して、世間の目が冷たいです。昼間にここで練習をしていると、ちゃんと仕事をしていないっていう風に見られます。本当に変えていないかといけない。上手く機能しなかったら、また元に戻せば良いだけで。だからこそ、僕らから率先してどんどんと日本のMMAの環境を変えていかないと。そこに関してはこれまでと同じように色々と考えてやっていこうと思っています」

──格闘技ジム経営は選手育成よりも、一般会員を集める方が商売になります。それこそ鶴屋さんと松根さんの背中を見てきた岡田遼選手が、パーソナルのジムを選択したように。それでも選手育成が鶴屋さんにとって最重要視する部分なのですか。

「どちらかに比重を置いているつもりはないんですよ。ただプロを強化していると、そんなプロ選手の活躍を見た子たちが入門をしてきます。プロ選手に憧れて、プロになりたいと。地方都市からも、やってきますし」

──プロ志望の子たちの多くは、長続きしないというのも定説になっているかと思いますが……。

「技術指導だけでなく、コミュニケーションを取ることが大切です。やっぱり来なくなっちゃいますからね。そこで僕も若い頃のように『来ないなら辞めろ』っていう姿勢ではなくて、話をして、話を聞いて。彼らが続けられる道を見つけていく。それが僕の仕事で、それが良い環境を創ることになります」

──なるほど。可能性のある選手も、何かに躓くとジムに足が向かなくなることもあるでしょうし。そこは温かい目で根気よく付き合うと。

「そうです。そして地方の子にしても、都内と違って家賃が安くて済む。それが、この辺りの良さでもあります」

──なるほど。理に適っています。

「家賃が3万円程度だから、バイトをしながら練習ができます。そういう子たちをたまには家に呼んで飯を一緒に食うとか。同時に夜のプロ練習に加わって頑張っている一般会員さんもいて。結果的にプロを目指すようになる人もいます」

──あくまでも鶴屋浩は現場主義ということですね。

「そこは絶対です」

──今日はありがとうございました。新体制の正式発表と、それからの益々のご活躍に期待しています。

「ありがとうございます。とにかく僕の仕事は良い練習環境を整えること。それが選手の強化になり、日本のMMAを強くすることだと思っています」

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【NEWS】J-MMA黒帯集団誕生! パラ千葉ネット&THEパラ沖縄連合、新チーム名はTHE BLACKBELT JAPANに!!

【写真】日本有数のMMAチームが誕生した(C)MMAPLANET

13日(水)、東京都墨田区のRYO OKADA TOKYO INSTITUTEで旧パラエストラ千葉ネットワーク及び旧Theパラエストラ沖縄が合同会見を開き、パラエストラネットワークから独立しTHE BLACKBELT JAPANとして新たに活動をしてくことが明らかとなった。

既に独立に関しては1月に鶴屋浩THE BLACKBELT JAPAN 代表、そして松根良太THE BLACKBELT JAPAN 副代表がSNSで明らかとしていたが、その日本有数のプロMMA集団のネーミングは鶴屋代表の武道を尊び気持ちが表れている。

国際武道大卒業論文のテーマが「武道とは」だったという鶴屋代表。THE BLACKBELT JAPANというチーム名には──礼が欠ける一面が目立ってきたMMAにあって、「戦いを止める道」こそ武道の本質であり、その道をMMAにおいても追い求めるという想いが込められていた。

今回の会見には総勢70名に及ぶプロ選手が在籍することとなったTHE BLACKBELT JAPANを代表し、扇久保博正、岡田遼、神田コウヤ、太田忍、浅倉カンナ、鶴屋怜、御代川聡志、重田ホノカ、KAREN、そして米国でのトレーニングから帰国したばかりの平良達郎が出席した。


以下、各選手の新チーム発足に向けての抱負となる。

扇久保博正
「うちのジムは日本でトップのジムだと個人的に思っていますので、その名に恥じぬようしっかりと結果を残していきたいと思います」

平良達郎
「ジム名が変わって、チームの一員としてUFCという舞台で良い戦いをして結果を残していけるよう頑張ります。押忍」

鶴屋怜
「自分はUFCが決まって、このTHE BLACKBELT JAPANを日本一、世界一のジムにするために、UFCのベルトをこのジムに持って来るんで期待してください」

太田忍
「パラエストラ千葉ネットワークの所属という形で、昨日はRIZINの記者会見に出ましたが、これからはTHE BLACKBELT JAPAN所属の太田忍として、4月29日に試合が決まっているので帯を締め直して新たな気持ちで頑張っていきたいと思います」

神田コウヤ
「BLACKBELTということで今、柔術は茶帯なのでしっかりと黒帯を取れるようにするのと、もう1本チャンピオンベルトを獲れるように頑張りたいと思います」

重田ホノカ
「新しい風を吹かせて、結果を出して頑張っていきたいと思います」

浅倉カンナ
「新しい気持ちでジムの皆とまた強くなっていければと思っています」

KAREN
「4月から新しい名称で、チーム全体でさらに上を目指していくと思うので、自分も勝ち続けて年内にはベルトを獲って世界に行きます。応援宜しくお願いします」

岡田遼
「引き続き鶴屋代表と松根さんのチャレンジを、まぁちょこっとだけ選手として、あとは裏方としてサポートしていきたいと思います」

なお御代川聡志は会見時間に間に合わずコメントはなかった。ここからは質疑応答からMMAPLANETの問いに対しての返答を抜粋してお送りしたい(※要約)

──岡田選手、もう少し現役でという話がありましたが、その後の黒幕としての活動はどのように考えていますか。

岡田 BLACKBELTだけに黒幕ということなんですけど、いつというのはまだ決まっていなくて──ですね。師匠2人に相談しつつ、サポートしている選手の状態も鑑みて、最後に1回必ず試合をしたいと考えています」

──代表と副代表に質問です。チーム名にTHEが入っていますが、これはTHEパラエストラ沖縄と同じです。とはいえ、書き手としてカタナカ表記になると使いづらい。今後、カナカナ表記でも「ザ」は欠かせないという考えでしょうか。

松根 この名前を打ち出された時に鶴屋さんの方から「BLACKBELT JAPAN」としてやりたいと。私はずっと鶴屋さんの後をついて歩いてきたので、『鶴屋さんが決めたのなら、それが一番良いと思う』と伝えました。ただ、僕の希望としてTHEを入れさせていただきました。パラエストラ沖縄にもTHEをつけたのは鶴屋浩(つるやひろし)エンターテイメント、鶴屋浩を尊敬するところからでした。今後、歩んでいくうえで鶴屋浩代表が引っ張って行ってくれて、それが先々長く続くために──『鶴屋浩が創ったジムとして、THEをつけてください』とお願いし、了承してもらった形です。ぜひ、ザをつけてくださればと思います(笑)」

─チーム名発表から、一番手としてパンクラスのタイトル戦に挑むことになることについて重田選手、改めて意気込みのほどをお願いできますか。

「第一号のベルトを獲ることが凄く大切だと思うので、良い風を吹かせることができるように31日にベルトを獲ってあたらしいジムに勢いをつかせたいです」

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【ONE FN19】手塚裕之、対戦相手がアモリンに変更も「自分の良いところを出せば相手の光は消える」

【写真】苦難は続く。それでも手塚はケージに入る。勝つために(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN19にて、手塚裕之がブラジルのアブラォン・アモリンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

手塚にとっては、昨年10月にスクランブル出場でジン・テホを下して以来の試合だ。今年1月の日本大会には出場ならずも、その後すぐに今回の試合オファーが届いたという。ただ、当初はヴァウミール・ダ・シウバと対戦予定であったが、計量時点で相手がアブラォン・アモリンとなっている(計量終了後も公式リリースはない)。苦難の戦いが続く手塚だが、勝利に向けて気持ちは清々しいほど明るい。


――日本を発つ直前にも関わらず取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は2月12日に行われた)。

「いえいえ。明日、日本を出発して夕方にはタイに着く予定です」

――昨年10月のジン・テホ戦は9日前の試合オファーだったそうですが、今回は準備期間もあって。

「オファーを頂いたのは試合の1カ月前でした。日本大会に出たいと思っていたけど、結局は試合がなくて。直前まで何があるか分からないから、ギリギリのオファーでも試合ができるように練習して、スタンバイしていたんです。でも日本大会では試合がなく『マジかぁ……』と思った直後に、『次のバンコク大会はどうですか?』という話が来ました」

――手塚選手にとってベストだったのは、日本大会で秋山成勲選手と対戦することだったのですか。ジン・テホ戦直後に秋山戦をアピールしていました。

「日本大会に出場するなら――ですね。僕が日本で試合をするなら、一番盛り上がる相手じゃないですか。秋山選手は名前もあって、レコード上は日本人選手には無敗ですし。そんなカッコいいまま引退してほしくないな、って。日本大会なら秋山選手と対戦したい。それは本心でした」

――その日本大会出場は叶わず。しかしルンピニー大会に出場できるので良かった、ということでしょうか。

「う~ん……日本大会で家族やチームメイト、応援してくれている人たちに試合を見せたかったという気持ちはあります。でもファイターは試合をして勝ち上がっていくことが一番の目的だし、ファイトマネーも特別変わらないのであれば、どこで戦うのも同じだとは思っていますね」

――日本大会か今回のルンピニー大会か。どちらにしても前回の試合から3~4カ月後という試合間隔です。ジン・テホ戦は1年8月振りの試合でした。

「4カ月というのは理想的な試合間隔ですね。何よりも、いつ試合があるか分からない状態が長いよりは、しっかり試合が決まって練習できるようが良いです。試合が決まっていない時期の練習って、『自分は何のために練習しているだろう……』と思う時もあるんですよね。9日前にオファーが来ることもあるから、いつ誰と対戦しても良いように普段から準備はしています。でも、前々から対戦相手も日程も決まっていたほうが、しっかりと自分をつくり上げることができるのも当然で」

――そんななか、セコンドとして岡田遼選手がタイへ帯同するそうですね。所属ジムが異なる岡田選手がセコンドにつくのは、どのような縁があったのでしょうか。

「岡田さんとは一緒に練習しているわけではないのですが、同い年ということを知って、そこからお互いのジムを行き来して意気投合しました。彼は現役選手であると当時に経営者でもあり、かつセコンドとして平良達郎君や鶴屋怜君のセコンドとして海外を飛び回っているじゃないですか。

対して自分の地元というのは、ジムの会長であっても格闘技とは別の仕事を持っているのが普通で。だから急に海外で試合をすることになっても、仕事があるから休みも取れない。前回の試合は9日前だから誰も来てくれる人がいなくて……岡田さんにお願いしたら、快諾してくれたんです。しかもRIZINの中島太一戦が終わってから10日後ぐらいで疲れも残っていたと思うんですけど、快諾してくれて良かったです」

――手塚選手は以前、海外の試合でセコンドを帯同できないこともありました。

「そうなんです。シンガポールで試合をした時は、コロナで現地に連れていくことができなくて――イヴォルブの会員さんを紹介してもらいました。

でも、『戦うのは自分だから』と思っています。もちろん普段から一緒にいる人のほうが良いかもしれないけど、自分の場合は試合直前ってそれほど体も動かさないので。体を休めながら、イメージトレーニングして試合を迎えています」

――そんななかで、岡田選手がセコンドを務めくれた時は……。

「やっぱり同い年だから自分も気を遣わずに、いろんなことをお願いできるんですよ。何より彼は頭が良い人で、指示も的確なおかげで前回は勝つことができたと思います」

――手塚選手がONEで戦うなかで、これまでも様々な困難がありました。それでもONEで戦い続ける理由は何でしょうか。

「まずは海外で、強豪外国人選手と対戦できるという点ですよね。そこでメインストリームにいることができる――かどうかは、自分次第ですけどね。あとはやっぱりファイトマネーの部分は大きいです。プロのファイターである以上、自分のことを高く評価してくれるところで戦いたいので」

――試合間隔は空きながらも、現在は3試合連続フィニッシュしています。その結果、ご自身がONEウェルター級のメインストリームにいると思いますか。

「どうなんでしょうね……。ONEは今、ライト級以上の階級はランキングがないから分かりづらいところはありますね。どうしても軽量級に目が行きがちで。自分の中ではトップ戦線の中にいるとは思っていますけど」

――ライト級&ウェルター級2冠王者のクリスチャン・リーが1年以上試合をしていないのも、階級の現状を考えづらい要因になっているとは思います。もしクリスチャン・リーが復帰し、手塚選手が挑戦者に選ばれた場合――自信はいかがですか。

「クリスチャン・リーかぁ……。もちろん対戦が決まれば、『絶対に勝つ!』という気持ちで試合に臨みます。でも自信があるかどうかは、やってみないと分からないですよね。やっぱり強いチャンピオンだし――何なんでしょうね、あの強さは(苦笑)。でも『対戦したい。ベルトに挑戦したい』という気持ちは、今もずっと持って試合をしています。そのためにも次の試合もバッと倒して、自分が一皮むけたところを見せたいですね」

このインタビューはダ・シウバ戦を前提としたものだったが、15日(木・現地時間)の計量後に手塚の対戦相手がアブラォン・アモリンに変更されたことが正式に発表された。アモリンのMMA戦績は9勝4敗で、昨年からONEに出場し1勝1敗だ。初参戦となったパク・デソンには1R KO勝利を収めたものの、昨年11月にはパキスタンのアフメド・ウジダバに三角絞めを極められている。ここまでライト級(※77.1キロ)で戦ってきたが、今回はスクランブル出場で、ウェルター級(※83.9キロ)契約で手塚と戦う。対戦相手の変更後、手塚がMMAPLANETに送ってくれたメッセージは次のとおりだ。

「前回は9日前のオファーで、前々回が1週間前に対戦相手が代わり――そして今回も現地に着いてから相手が変更となりました。それが僕らしいといいますか(笑)。ハードな状況でも勝つことができる。それが自分の成長を証明する手段だと思っています。

アモリンは喧嘩ができて、柔術が巧い選手という印象です。特に、きちんとフィニッシュに対する嗅覚を備えて、ここぞという時に攻め込むのが巧いというファイターですね。

でも僕が自分の良いところを出せば相手の光は消えます。いつもどおり極めて、4試合連続フィニッシュを狙います!」

■放送予定
2月17日(土・日本時間)
午前9時45分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN19 計量結果
※日本時間 2月15日 23時50分時点

<ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー:65.31キロ
[挑戦者] フィリッピ・ロボ:65.54キロ

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス:65.77キロ
モハメド・ユネス・ラバー:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ダニエル・ウィリアムス:56.70キロ
リト・アディワン:56.59キロ

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン:76.54キロ
ナウゼット・トルヒーリョ:76.66キロ

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之:82.78キロ
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)➡アブラォン・アモリン:82.78キロ

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ:未計量
エディ・アバソロ:69.74キロ

<ミックスルール女子ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
ワンダーガール・ナット・ジャルンサック:56.70キロ
ダヤニ・カルドゾ:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マンスール・マラチェフ:56.59キロ
猿田洋祐:56.59キロ

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ:56.70キロ
ティムール・チュイコフ:56.59キロ

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【RIZIN45】元谷友貴が元UFCファイターのモラレスと対戦、新井丈×ヒロヤ、那須川龍心×ジョンミンが決定

【写真】11月のDEEPではCOROにTKO勝利した元谷。6年連続での大晦日出陣となった(C) MMAPLANET

18日(日)、ABEMAで放送されたRIZIN特番にて、12月31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45の追加カード発表された。

大会まで約2週間、新たに元谷友貴×ヴィンス・モラレス、新井丈×ヒロヤ、那須川龍心×シン・ジョンミンの3カードが追加された。元谷のRIZIN参戦は今年5月の朝倉海戦以来、約7カ月ぶり。11月にDEEPでCOROと再起戦を行い、TKO勝利を収めてのRIZIN凱旋となる。

(C)Zuffa/UFC

一方のモラレスはレスリング出身で、2018年11月からはUFCに参戦して8戦3勝5敗のレコードを残しているファイター。今年5月にはXMMAで石原夜叉坊と対戦し、2Rに右のオーバーハンドを効かせると、アナコンダチョークで一本勝ちを収めている。現在は朝倉海のスパーリングパートナーとして来日中で、今回のRIZIN参戦が決まった。

元谷がRIZINを離れている間、RIZINバンタム級では岡田遼とのパンクラス×修斗王者対決に勝利した中島太一、初参戦で太田忍を下した佐藤将光、ツイスターで2連勝した後藤丈治らが台頭している。同日にはフアン・アーチュレッタVS朝倉海のバンタム級タイトル戦が組まれており、元谷×モラレスは2024年のタイトル戦線浮上をかけた一戦だ。

修斗世界ストロー級&フライ級王者・新井丈とヒロヤの一戦も決まった。新井は昨年9月に猿丸ジュンジを下して修斗世界ストロー級王座に就くと、今年11月には山内渉をKOしてフライ級王座も戴冠。修斗史上初の2階級同時戴冠を達成した。

一方のヒロヤは朝倉未来1年チャレンジ一期生で、2003年7月からRIZINに参戦し、伊藤裕樹と中村優作に連敗しているものの、いずれもスプリット判定によるもので健闘が光った。修斗で11連勝してRIZIN初参戦となる新井と結果こそ出ていないもののRIZINで戦績を積むヒロヤという対照的なキャリアを歩んできた2人のマッチアップだ

また会見前日のRISE両国大会でRIZIN参戦&MMA挑戦をアピールした那須川龍心の出場も正式に決まり、韓国のシン・ジョンミンと対戦することもアナウンスされた。

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【ONE FN15】腕十字で一本勝ち、手塚裕之が振り返るジン・テホ戦「身長は168センチでもリーチは180─」

【写真】腕十字でのフィニッシュも、手塚にとっては意外ではなかった(C)ONE

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されたONE Fight Night15にて、手塚裕之がジン・テホに腕十字で勝利した。
Text by Takumi Nakamura

大会10日前に緊急オファーを受け、約1年9カ月ぶりにリングに立った手塚。いざゴングが鳴るとブランクを感じさせない動きを見せ、ONEでは初の一本勝ちを収め、試合後にはONE日本大会での秋山成勲戦をアピールした。このインタビューではONE日本大会での秋山戦、そして今後のONEでの展望について訊いた。


――ONE Fight Night15では約1年9カ月ぶりの試合で見事な一本勝ちでした。急遽出場が決まった試合でしたが、反響も大きかったのではないですか。

「そうですね。SNSでも話題になっていたようで、急なオファーでしたが受けてよかったなと思います」

――試合が終わったあとも、しばらくタイに残ってムエタイの練習をしていたそうですね。

「せっかく無傷で終わってバンコクにいたので、現地でムエタイの練習をやろうと思い、ONEにお願いしてフライトのスケジュールを変えてもらいました。練習させてもらったのはスーパーボン・トレーニングキャンプ、PKセンチャイムエタイジム、フェアテックスジム、ヴェノム・トレーニングキャンプ、ランバー・ソムデートM16さんのジム…ですね」

――そうそうたるジムで練習してきたんですね。手塚選手はムエタイが好きなのですか。

「普段、キックボクシングZEROというジムでタイ人の先生にミットを持ってもらっているんですけど、その影響でムエタイの試合を見るようになったんですね。だからムエタイ自体は好きです」

――それでは試合の話を聞かせてください。今回はジン・テホ選手に1R4分45秒、腕十字での一本勝ちでした。試合自体はイメージ通りに進めることができましたか。

「なんか妙に落ち着いていて、練習みたいな感じでできましたね。相手が僕の攻撃を警戒していて、そこまでアグレッシブに来なかったので、そういう立ち上がりになったと思います。久々だから動きが固いとか、そういうものはなかったです」

――スタンドの打撃ではカーフキックが効果的に当たっていました。

「事前にテホ選手の試合映像をチェックして、蹴りをカットできる構えではなかったので、カーフキックを蹴って削って行こうと思っていました」

――手塚選手のカーフが当たり、テホの蹴りは空振りに終わる場面が多く、手塚選手が良い距離感で戦えている印象でした。

「打撃には自信があるんで、リーチ差があっても気にならないというか。自分の距離で戦えば相手の攻撃は見えるんで。逆に自分のスピード感はこの階級でアドバンテージになると思うので、相手の蹴りはすべてカットして、僕の蹴りだけ当てられたと思います」

――映像を見る限り、かなり身長差・リーチ差(※テホは身長182センチ)があるように見えましたが、そこは問題なかったですか。

「自分も映像で見てみて、相手がこんなにデカかったんだと思ったんですけど(苦笑)、向き合ったときはそこまで差は感じなかったです。あと僕、身長は168センチなんですけど、リーチは180センチくらいあって、身長よりもだいぶ長いんですよ。それも関係しているのかなと思います」

――左ミドルをキャッチしてテイクダウンを奪ってからは、得意な形に持ち込むことが出来ましたか。

「はい。テイクダウンしてからも、しっかりワキを差して固めて、そこからパウンドで削って行こうと思いました。ただ一つ誤算だったのが、相手のキムラロックは警戒して対処できたんですけど、アメリカーナをやられたんですよ。下からアメリカーナを極めるのは珍しいと思うんですけど、あれで一瞬ヒジがブチブチとなって。試合中は何とか大丈夫だったんですけど、試合が終わって3~4日はヒジは伸ばせなかったです(苦笑)」

――あの場面にはそのようなことがあったのですね。

「テホ選手は力も強かったですし、テコの使い方というか関節技を極めるのが上手い選手だなと思いました」

――フィニッシュはサイドポジションから奥の腕をとって、相手の頭をまたいでの腕十字でした。

「ハーフガードで抑え込んでいて、残り30秒くらいのタイミングでセコンドの岡田遼さんから『足が抜けるよ』と言われて、腰を切ったら足が抜けてサイドポジションについたんですよ。僕自身、相手の頭をまたいで極める腕十字が得意で、相手もそれに引っかかる動きをしてくれたんです。残り時間も20秒くらいだったので思い切って極めにいきました」

――テホ選手が桜庭和志選手のファンでも知られていますが、逆に手塚選手の腕十字の入り方が桜庭選手を彷彿とさせるものでした。

「ファンの人たちからもそういうコメントが来ていて光栄です(笑)。でも極めが強い相手に極めて勝てたのは自信になりますね」

――試合を通して相手をコントロールできた手応えはありますか。

「ONEではKO勝ちが多かったので手塚=ストライカーというイメージがあったと思うんですけど、僕自身は寝技も得意なんです。今回ONEで初めての一本勝ちが出来て、寝技の部分でも評価されると思うし、周りの選手に対しても脅威になると思います」

――大会10日前というショートノーティスでの試合でしたが、結果的にはいい結果とパフォーマンスを見せることが出来ましたね。

「いつでも行ける準備をしている方が多くチャンスを掴めると思って準備しています。ただ今回はさすがに試合が空きすぎました(苦笑)」

――さて試合後にはチャトリCEOも明言している2024年のONE日本大会について言及し、秋山成勲選手の対戦アピールがありました。

「海外の大会だったら僕と秋山さんがやる意味はないと思うんですけど、日本大会だったら僕と秋山さんがやったら盛り上がるだろうし、やる意味もあると思ったのでアピールさせていただきました。僕はずっと昔から秋山さんを見てきたし、秋山さんは去年青木(真也)さんにも勝っているから今でも十分強いと思うので、やってみたいという気持ちがあります。実は秋山さんに対戦アピールしたのは今回が初めてじゃなくて、過去の試合後にもアピールしているんですよ。このカードが実現するかどうかは秋山さん次第だと思うんですけど、僕は日本大会で秋山さんとやりたいです」

――手塚選手は秋山選手のようなビッグネームと戦いたいという希望があるのですか。

「そうですね。ビッグネーム喰いしないと、自分の名前も上がらないですからね。あのアピールのあとに『なんでいまさら?』や色んな意見が出ていますけど(苦笑)」

――ずばり周りのそういった意見を率直にどう思いますか。

「もちろん強い選手とガンガンやってONEのベルトを狙っていきたいですし、そのどちらも見ているよって気持ちです」

――秋山選手の名前を出したのはやはり日本大会の影響が大きいのでしょうか。

「はい。日本ではRIZINが一番知名度がある大きなプロモーションで、海外でやっている僕らは知名度的に劣るところがある。もし本当にONEが日本で大会をやるなら、日本で知られている選手同士の試合をやる方が盛り上がると思って、秋山さんの名前を出しました。決して僕がONEのベルトをあきらめたり、世界標準の選手になることを視野から外しているわけじゃないです」

――ONEでトップを目指すという芯はぶれていないということですね。

「もちろんです。自分の中ではONEのファイターとして、海外に出て世界と戦っている自負もありますし、そのなかで自分の強さを証明したいという気持ちもあります」

――これからONEで上を目指すために、どんなことを取り入れていきたいと思っていますか。

「今はアメリカで練習する選手が増えて、アメリカの練習スタイルを取り入れている選手も多いですけど、僕はアメリカ式を模倣せずに日本式で強くなりたいというか。日本特有の練習方法や練習環境を活かして強くなりたいと思っているんですよ。僕の話をすると去年から伝統派空手の練習を始めて、堀口恭司選手の師匠にあたる二瓶弘宇先生の長男の二瓶卓郎さんが代表をやられている弘仁会二瓶道場という空手道場に行かせてもらっています」

――どのような繋がりで練習に行くようになったのですか。

「数年前に卓郎さんを紹介していただいたことがあって、ちょうど海外の選手に勝つためには何が必要かを考えていて、海外の真似ではなくて、自分のオリジナルなものを生み出さないといけないと思っていたんです。それで伝統派空手をやりたいと思い、卓郎さんの道場が近くだったので連絡をして、練習させてもらうようになりました。

僕の場合は間合いによって構えを変えようと思っていて、遠い間合いは伝統派空手で、近い間合いはヒジ・ヒザのムエタイ。そこにボクシングの動きも取り入れてミックスして、自分だけのスタイルを創って、そのレベルを上げていきたいと思っています」

――手塚選手がオリジナルの手塚スタイルを完成させて、ONE日本大会で戦う姿を楽しみにしています。

「ずっと日本で試合ができていなかったので、ONEの日本大会が開催されるなら、身近な人たちに自分の試合を見せたいです。日本のファンにも僕らのようなファイターがいることを知ってもらって、ONEを日本でも今以上に注目される舞台にしたいです」

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