【写真】大サプライズの藤野参戦に対し、宝珠山が幸先の良いスタートを切る(C)MATSUNAO KOKUBO
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
Def.1R4分39秒 by RNC
エンゼル☆志穂(日本)
【写真】大サプライズの藤野参戦に対し、宝珠山が幸先の良いスタートを切る(C)MATSUNAO KOKUBO
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
Def.1R4分39秒 by RNC
エンゼル☆志穂(日本)
【写真】黒部が頭を下げるところを狙っていたという前戦。強い打撃を生かすための冷静な判断力と当てきる技術がある(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN
21日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催される女子修斗興行COLORSにて、修斗世界女子スーパーアトム級王者SARAMIに挑む渡辺彩華のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
プロ4戦目で修斗王座に挑むこととなった渡辺。対戦相手は過去2試合の相手、藤野恵実と黒部三奈の練習仲間でもあるSARAMIだ。日本女子トップファイターとの連戦で、自身でも成長を感じているという渡辺が語るSARAMI戦への自信と、その先に見据えているものとは――。
<渡辺彩華インタビューPart.01はコチラから>
――柔道出身の渡辺選手が打撃中心のファイトスタイルになったのは、いつ頃からなのでしょうか。
「なぜか最初からそうでしたね。柔道の投げを生かしたテイクダウンを練習していたのに、気づいたら打撃戦になっていて……」
――気づいたら(笑)。その理由は分からないのですか。
「分からないです……。打撃に触れたのはMMAを始めてからなのに、自分が一番驚いています(苦笑)」
――前回の黒部三奈戦を見て驚いたのは、渡辺選手の足さばきです。確かにリーチはあるし、パンチも伸びる。それ以上にプロデビュー3戦目にも関わらず、しっかりとパンチを効かせるための位置へ移動するための足さばきが目立ちました。
「そうなんですか! ありがとうございます。自分でも気づいていませんでした。ボクシングジムに通い始めたのも最近というか黒部戦のあとで。もともと打撃は我流でしたし、基本的にはAACCの打撃練習に参加していただけだったんです。
ただ、浜崎さんやRENAさんと練習しているのは大きいと思いますね。RENAさんの打撃は言うまでもなく、浜崎さんもパンチが当たるとメチャクチャ痛いんですよ。拳が固くて、石で殴られているような感じで。そう考えると、自分より強い人たちと練習することが重要なんだなって思いますね。今もAACCで、打撃もテイクダウンも寝技も自分より強い人しかいなくて(苦笑)。だから普段の練習はキツいです。でも藤野さんとの試合や黒部さんとの試合で――実際の試合で自分の成長を感じさせてもらっているというか。最近は自分より強い選手と対戦した時に、どこまでやれるのか楽しみで仕方ないです」
――戦うために生まれてきた、ナチュラルボーン・ファイターのようですね。敗れたとはいえ、プロデビュー2戦目でトップファイターである藤野選手と対戦できたことは大きかったですか。
「すごく嬉しかったです。私がMMAを始める前から、藤野選手も黒部選手も、そしてSARAMI選手のことも知っていたわけですよ。こんなにキャリアが浅い自分が、そういう選手と対戦できるのはラッキーだなって思います。やっぱり強い選手に勝つと、それだけパーンって上がっていくじゃないですか」
――黒部戦の内容と結果は、まさに選手が上がっていく様を体現したと思います。
「そうですよね。MMAを始める前から、とにかく強い相手と対戦したかったし、藤野戦のオファーが来た時も嬉しくて。強い選手と試合するのも恐怖はなくて、楽しみでしかないです。やっぱり格闘技って他のスポーツと比べて、選手寿命も短いじゃないですか。短い期間の中で、どれだけ濃い格闘技人生を送ることができるか。それは練習でも、試合でも。勝てる相手とだけ試合をして、戦績だけ良くする――私がやりたいのは、そういうことじゃないんですよ。強い相手に勝っていくのは格闘技だと思っているので」
――では敗れた藤野戦とKO勝ちした黒部戦の間に、何か成長したり身につけたものはありますか。
「藤野さんとの試合は52キロ契約で、やっぱり相手が大きかったです。パンチの威力も違うし、体づくりって大事だなって痛感しました。黒部さんの時は階級を下げたうえで、自分の通常体重を上げたんですよ。だから減量の幅も試合当日の体重も、藤野戦よりも黒部戦のほうが上で。おかげで私のパンチが効いているのは分かりました。藤野さん、黒部さんと対戦させてもらって一番良かったのは、そういう体づくりの重要性が分かったことですね」
――なるほど。その藤野戦、黒部戦を経て次はSARAMI戦を迎えます。
「皆さん、練習仲間なんですよね。もうその練習会が敵になっていますよ(苦笑)」
――アハハハ。
「私の中では、やっぱり藤野さんに負けたのが悔しくて仕方ないです。同じ体重で打ち負けて――もうボッコボコにされましたから。黒部さんとの試合でも、SARAMIさんと試合をすることになっても、どうしてもその先に藤野さんのことを考えてしまいます。いずれ藤野さんにリベンジしたいんですよ。絶対に、たとえ52キロ契約でも。藤野さんはパンクラスに出ていて、私は修斗に出ているからお互いの試合があるし、タイミングが合わないかもしれません。だから今は修斗で、私がチームメイトに勝つ姿を藤野さんに見せつけたい。間接的に藤野さんと戦っている、という気持ちで自分の気持ちを盛り上げています。私、ずっと根に持つタイプなので(笑)」
――根に持つというよりも、戦うということに対して正直なのではないでしょうか。渡辺選手のチームメイトでいえば、浜崎選手と初めて話した時と同じような感覚を持っています。
「そうなんですね。自分では『今、負けただけ。最後に私が勝てば良い』と思っています。MMAって考え方はシンプルじゃないですか。勝てば良い。勝つことで発言権が得られる。黒部さんにKO勝ちして、次はベルトを目指したいと発言したら、実際にSARAMIさんとの試合が実現しましたよね。だから今後も、勝ち続けて藤野さんを引きずりだしたいです」
――とはいえ、その先に藤野選手が見えるかどうか分からないほど、SARAMI選手の壁は高いと思います。
「もちろんです。本当に何でもできる選手ですよね。何かに偏っているわけではなく、巧くて引き出しが多いと思います。でも私が柔道時代に先生から言われたことがあって――『巧い選手は強い選手に勝てない』と。巧さよりも強さを身につけろ、と教わりました。SARAMI選手はすごく巧くて、私からすればもうキャリアの差は埋められないんですよ。でも、黒部さんの試合でもそうでしたけど、私は思い切りが良いと自分でも思っています。フルスイングしてSARAMIさんの意識を飛ばしてやります!」
■視聴方法(予定)
5月21日(日)
午後1時~ABEMA格闘チャンネル
■COLORS 対戦カード
<修斗世界女子スーパーアトム級選手権試合/5分5R>
SARAMI(日本)
渡辺彩華(日本)
<女子アトム級/5分3R>
古賀愛蘭(日本)
ジェニー・ファン(台湾)
<女子アトム級/5分3R>
中村未来(日本)
川西茉夕(日本)
<グラップリングルール53キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
杉内由紀(日本)
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
杉本恵(日本)
吉成はるか(日本)
<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
エンゼル☆志穂(日本)
<女子アトム級/5分2R>
渡辺久遠(日本)
玉田育子(日本)
<グラップリングルール49キロ契約/5分1R>
井上愛羅(日本)
NOEL(日本)
<49キロ契約/5分2R>
古賀愛蘭(日本)
Draw.1-0:20-18.19-19.19-19.
宝珠山桃花(日本)
サウスポーの古賀が左インロー。宝珠山の右ストレートをかわして左インローを当てる。古賀の左フックをもらった宝珠山が右ストレートを返すと、顔面にもらった古賀がダウン。すぐに宝珠山が抑え込みにいくも、古賀がスクランブルから左腕を差し上げて宝珠山をケージに押し込む。左腕を差し入れて耐える宝珠山に対し、頭を着けて四つで組みに行く古賀が、足をかけていく。
しかし宝珠山もひねって体勢を入れ替える。左腕を差し上げる宝珠山。レフェリーがブレイクをかけた。離れると、古賀が下がりながら左右フックを当て、さらに宝珠山をケージに押し込みシングルレッグでテイクダウンを狙う。それでも倒れない相手を、右腕を差してケージに押し込む古賀。宝珠山は左ヒザを腿に打ち込んで削るも、古賀がシングルレッグで尻もちを着かせた。
立ち上がる宝珠山をケージに押し込み続ける古賀。左ヒザを立てる宝珠山を後ろに引き倒した古賀が、パスしてマウントを奪いにいくも、宝珠山がブリッジで返した。両者スタンドに戻り、宝珠山がパンチを連打していくも古賀の右フックがヒットした。
最終回、古賀の左インローからスタート。距離が近くなると、古賀の右ストレートと左フックが当たる。それでも前に出て来る宝珠山に組みついた古賀がケージに押し込んでいく。左腕を差し上げる古賀に対し、宝珠山はオーバーフックとヒザ蹴りで堪えるもケージ際から脱することができない。
またもレフェリーがブレイクをかけ、さらに試合を中断。古賀に掌底、宝珠山にローブローの口頭注意を与えられる。再開後、古賀がステップを使いながら相手の顔面にパンチを叩き込み続ける。さらに組みついてケージに押し込むという、同じ展開となってしまう。しかし古賀が右足へのシングルレッグに切り替えた。
これを押し離した宝珠山。再び組んできた古賀の頭を押さえてヒザ蹴りを突き上げる。古賀は左足へのシングルレッグに切り替えるも、グラウンドに持ち込むことはできない。またもレフェリーがブレイクをかけた。
スタンドでは古賀がパンチの嵐。左フックをアゴに受けてグラつく宝珠山。体格差を生かして前に出るが、またも古賀にケージへ押し込まれ、さらにシングルレッグからヒザを着いてしまう。立ち上がった宝珠山を、古賀がケージに押し込み続けて試合終了となった。
古賀がパンチのクリーンヒットとテイクダウンで上回ったかに思われたが、1Rに宝珠山がダウンを奪ったことは重視されたか。ジャッジ2名が19-19をつけて試合はドローとなった。
【写真】組み技を伸ばすには最適の環境に身を置く古賀が、どのような成長の跡を見せることができるか(C)SHOJIRO KAMEIKE
12月4日(日)、山口県周南市の新南陽ふれあいセンターで開催されるTORAO28で、宝珠山桃花と対戦する古賀愛蘭のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
敗れたとはいえ、今年4月のパク・シウ戦でポテンシャルの高さを見せ、会場にいた関係者からも高評価を受けていた古賀。しかし、そのパク・シウ戦で組みと寝技の課題が明確になったのも事実だ。活動の拠点をBURSTに移して、彼女はどのように成長しているのだろうか。試合の1週間前、次の試合がMMA5戦目のルーキーが今後について語る。
<インタビューPart.01はコチラから>
――大阪でMMAを始めて以降は、どのような練習環境にあったのでしょうか。
「中村優作さんとの練習以外では、TEAM KIZUNA(柴田MONKEY有哉代表)や日本拳法の道場に行っていました」
――TEAM KIZUNAでは柔術の練習をしていたのですか。
「いえ、そこまではやっていないです……」
――そうだったのですね。古賀選手の寝技といえば、パク・シウ戦でマウントを取られてもブリッジで返していた印象が強いです。
「アハハハ、はい(苦笑)。レスリングやグラップリングは、ちょこちょこやっていたぐらいで。デビュー2試合目も、相手が組みついてきたところを自分が倒すことができただけで、組んだ時のレパートリーがないなぁと、自分でも思っていました。そのあとの2試合は自分の弱いところ――四つで組まれた時の対応や寝技で負けてしまって」
――一方、パク・シウ戦では3Rに左ボディを効かせていました。あのパク・シウの体が一瞬くの字になり、ケージに背中を預けるほどのパンチを見せています。
「試合中、セコンドの人たちもそう言ってくれていたんですけど、全然分かっていなくて。自分の中では、やられたなっていう印象しかなかったです」
――そのパク・シウ戦までは大阪で活動していた古賀選手ですが、現在は広島県福山市のBURST所属です。いつ、どのような経緯で福山市に移ったのでしょうか。
「パク・シウ選手とは今年3月に試合をするはずだったんですが、相手がコロナウイルスに感染して試合が4月の大阪大会へ延期になりました。その頃にBURSTへ出稽古に行ったんです。池本(誠知)さんや他の方から、『BURSTは女子も多いし寝技も強いから練習に行ってみるといいよ』と言われて。池本さんからBURSTへ練習していただき、出稽古に行ったのが最初です」
――その時、今お隣にいる藤井惠さんのことはご存じだったのですか。
「RIZINの映像で、いろんな女子選手がBURSTの練習で追い込まれているところが紹介されるじゃないですか。あぁ藤井惠さんの練習ってヤバいんだな、って(苦笑)。寝技でもメチャクチャ強いのが映像で写っていますし、初めて出稽古に行った時はドキドキでした」
――アハハハ、出稽古に行ってみて実際はどうでしたか。
「ボッコボコにされました(笑)。スパーリングで極められまくって。走り込みとか他の練習もキツかったです。こんなに追い込まれたのは、プロになってからは初めてでした。日本拳法部の合宿では追い込まれることもあるんですけど、今はそれが毎日で。でも楽しかったですね。これが私の好きなことなんだなと思って」
――その出稽古を経て、正式にBURSTへ入ったのはいつ頃なのでしょうか。
「今年の6月です。佐々木(信治)さんとメグさんには出稽古ですごくお世話になって、短期間ですごく成長させてもらいました。自分の中でも、ここに来れば強くなれるなと思ってBURSTに来ました。当時と比べたら、際の部分と寝技は成長していると思います。それとパワーもついてきたし、技術のレパートリーも増えています」
――そうした成長を経て、今回の宝珠山戦を迎えます。対戦相手の印象を教えてください。
「そこまで試合映像を見ることができていないんですが、打撃が強い印象です。今回は山口県で試合をするということもあって、地元(福岡県飯塚市)から友達や皆さんが応援に来てくださるので嬉しいです」
――今回は『藤井惠Produce』として行われる試合です。
「あ、そうだ! ウフフフ(と、隣にいる藤井惠さんを見る)」
――師匠の名前を冠した試合に対して、プレッシャーはないですか。
「プレッシャーはないです。試合でプレッシャーを感じることはないですね。常に楽しもうと思っています。でも、いつも最初はカチカチなんですけど」
――確かに、これまでの試合も後半にいくにしたがってエンジンが掛かっている印象が強いです。
「毎試合、みんなにそう言われます(苦笑)。そこは直したいですね。最初からガンガン行けたら、その後の展開も違うと思うので」
――古賀選手は現在21歳、プロMMAキャリアはまだ4戦です。MMAを戦っていくうえで、現在の目標は何ですか。
「まずは国内のチャンピオンになりたいです。今回は49キロ契約ですけど、これからは47.6キロ――アトム級で戦っていく予定です」
――現在、修斗では女子アトム級インフィニティリーグが行われ、優勝者は女子世界アトム級のベルトを獲得します(取材は後楽園ホール大会の前日、11月22日に行われた)。現時点で、その輪に加わって勝つ自信はありますか。
「え、それは……うーん」
佐々木信治 勝ちますよ。
「ちょっと、そういうことを言わないでください! リーグ戦は誰が勝つんだろうなとは思います。でも私はまだ、そこまでの実績がないので――もし試合できるなら、リーグ戦に参加した選手と戦って、準優勝者、優勝者と順番に試合していきたいです。まずは今回の試合に勝って、そういうことを言えるように頑張ります!!」
■視聴方法(予定)
12月4日(日)
午前11時30分~ Twit Casting LIVE
■Torao28対戦カード
<67キロ契約/5分2R>
毛利 昭彦(日本)
宮崎“師範代”清孝(日本)
<バンタム級/5分3R>
野尻 定由(日本)
神田T800周一(日本)
<49キロ契約/5分2R>
宝珠山 桃花(日本)
古賀 愛蘭(日本)
<闘裸男寝試合73キロ契約/5分2R>
森戸 新士(日本)
白木アマゾン大輔(日本)
<フライ級/5分2R>
植木“令和”新(日本)
若宮 龍斗(日本)
【写真】21歳、MMA戦績は2勝2敗の古賀。4月のパク・シウ戦の敗北は致し方ない。しかし、ポテンシャルが高いのは明らかだ(C)SHOJIRO KAMEIKE
12月4日(日)、山口県周南市の新南陽ふれあいセンターで開催されるTORAO28で、古賀愛蘭が宝珠山桃花と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
これまでDEEP JEWELSやRIZINにも参戦経験のある古賀は、大阪で中村優作らと練習を共にしていた。その古賀は今年6月に広島県福山市のBURSTへ移籍し、佐々木信治&藤井惠夫妻の指導を受けている。一方、TORAOは今大会から藤井惠をプロデューサーに迎え、「藤井惠Produce」として女子公式戦をスタート。古賀にとっては宝珠山戦が、BURST移籍第1戦、そして藤井惠Produceのプロ修斗公式戦初出場と、初モノづくしの試合に。そんな古賀に、幼少期から培ってきた日本拳法の経歴とMMAを始めた経緯を訊いた。
――古賀選手は福岡県飯塚市出身で、MMAを始める前は5歳から日本拳法をやっていたそうですね。
「最初は長谷川穂積さん(ボクシング元世界3階級制覇王者)の試合を見て、ボクシングをしたかったんです。でもボクシングジムは遠くて、近くにあった日本拳法の町道場に入りました。小学校、中学校の頃は町道場で練習していて、高校からは部活になっています」
――ボクシングと日本拳法……入門した当時は日本拳法について、どのようなものかご存じでしたか。
「知り合いの人がやっていて名前を知っているぐらいで、日本拳法については知りませんでした(苦笑)」
――まずボクシングを始めたいと思った時は、プロになることを目指していたのでしょうか。
「いえ、その時は考えていなくて。日本拳法をやっていくうちに、プロのMMAファイターになりたいなと思うようになりました」
――日本拳法といえば直接打撃制で、投げも寝技も認められている競技です。小学生の頃はルール上、それがどこまで行えるのですか。
「子供は、胴は当てて良いんですけど、顔面は寸止めです。顔面は突きも蹴りも寸止めで、綺麗に寸止めができたらポイントが入ります。投げ技は高校生からですね。初めて日本拳法の試合に出たのは、小学1年生か2年生の頃でした。何の大会かは覚えていないんですけど、その時に準優勝していて。中2と中3の時に全国3位。高2で全国2位、高3の時に全国で優勝しました」
――日本拳法の女子の競技人口というのは……。
「子供の頃は、周りに日本拳法をやっている女の子はいなかったです。学校では珍しがられていて。でも高校は部活だったので、女子は全学年合わせて十何人いました。全国では、かなり多いですし」
――それほどの競技人口であれば、日本の女子MMA関係者は日本拳法をチェックしておかないといけないですね。そのようななかで、プロのMMAファイターになりたいと思った理由は何だったのですか。
「日本拳法って階級がないんです。だから体重別の大会とかもなく、体が大きな人も小さな人も一緒に試合をするんですよね。誰とでも試合をするというか……。だから、自分に適性の階級で戦ってみたいと思いました。適正の階級で、どこまで行けるのかなって」
――まず階級制の格闘競技に興味を抱いたわけですね。
「はい。日本拳法には投げも関節技もあるじゃないですか。それで日本拳法に近いのはMMAだと思いました」
――では誰か憧れのMMAファイターがいたり、何かの試合を見てMMAを志したというわけではないのですか。
「それは特になかったです。初めてMMAを見たのも覚えていなくて――」
――……驚きです。今の若い選手にとっては――特に女子でも、それだけMMAが浸透してきているということなのですね。グレイシーに憧れた、というわけでもなく。
「そうですね(苦笑)。誰かに憧れたというのはなくて、格闘技のプロになりたかったんです。そこで日本拳法をやっていたMMAファイターさんのところへ行ったほうが良いのかな、と思って。それで中村優作さんのことを教えてもらいました」
――結果、高校を卒業して単身大阪へ。プロのファイターになることに、周囲の方は反対しませんでしたか。
「お母さんは反対していました(笑)」
――日本拳法がOKでMMAは反対というのは……。
「日本拳法は顔に防具を着けていますけど、プロのMMAはヘッドギア無しじゃないですか。やっぱり女の子だから顔に傷をつけてほしくなかったみたいで。でも日本拳法で実績を残したら認めてくれるかなと思って、まず日本拳法を頑張ろうと思いました。そうしたらお母さんも、MMAやってOKかなっていう感じになって」
――そこから中村優作選手と一緒に練習するようになるまでは、特にMMAで必要なグラップリングをやったことはなかったのですか。
「やったことがなくて、最初は難しくて仕方なかったです。日本拳法の投げや寝技の動きとも違いますし。日本拳法ではシングルレッグやダブルレッグもOKなんですけど、やる人がいなくて。だから最初にテイクダウンの練習をした時は、何これ、っていう感じでした。ステーンって転がされまくって(笑)」
――一方で、古賀選手の打撃に対する反応は目を見張るものがあります。今年4月のパク・シウ戦でも、敗れたとはいえ相手のパンチはほぼ全て見切っていませんでしたか。
「えぇ、そうですか。自分では分からないです(苦笑)。でも、そう見えていたとしたら、やっぱり日本拳法をやっていたおかげだと思います。子供の頃から、顔面は寸止めでも綺麗な形で入ったらポイントになってしまうので、ずっと正面から突きをもらわないように意識していました。おかげで、プロになってからも今まで試合でクリーンヒットは食らったことがないと思います。お母さんの希望どおり、ずっと顔はキレイなままにしています(笑)」
The post 【TORAO28】日本拳法→MMA。宝珠山桃花と対戦、古賀愛蘭─01─「ずっと顔はキレイなままに」 first appeared on MMAPLANET.<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28.
宝珠山桃花(日本)
サウスポーのKARENが右ローでけん制。宝珠山が右ローを返す。打ち終わりに右ストレートを見せた宝珠山が、KARENにケージを背負わせる。右サイドキックを顔面に伸ばすKAREN、宝珠山はかわしてケージ中央に戻る。KARENは左インローで距離を保つ。宝珠山もローを受けて、距離を詰めることができない。蹴り足をすくわれて背中を着いてしまった宝珠山が、立ち上がってスクランブルへ。KARENはケージに押し込まれながらヒジを打ち込む。右腕を差し上げられたKARENは左ヒジを突き刺すも、宝珠山がワキをくぐってボディロックで押し込み続ける。宝珠山は右足をかけ、左右に揺さぶるがKARENも倒れなかった。
1Rはジャッジ3者ともKARENに10-9をつけている。
2R、KARENが左ローでけん制する。しかし宝珠山は相手が出て来たところに右ショートを合わせ、組みついてボディロックでケージに押し込んだ。KARENは左右のヒジを打ち込むも、宝珠山を引きはがすことができない。首相撲からヒザをボディに突き刺すKAREN。宝珠山も小内刈りを仕掛けるが、凌いだKARENが反対にテイクダウンを仕掛けた。一度は立ち上がった宝珠山を、再びグラウンドに持ち込んだKARENがトップから左ヒジを落とす。さらにバックへ回ったKARENが、右腕でRNCへ。凌ぐ宝珠山に、何度もRNCを仕掛けるKARENだが、極めきることはできなかった。
2Rもジャッジは3者がKARENの10-9に。
最終回、距離を詰めた宝珠山が細かいパンチから右ミドル。KARENは右ジャブから蹴りで押し戻す。宝珠山の右がKARENの顔面を捉える。KARENは足を使って左インロー。組みから打撃に切り替えた宝珠山の右が、またもKARENの顔面へ。KARENの左ミドル、左ローに右を合わせ続ける宝珠山が蹴りも散らしながら、KARENにケージを背負わせてワンツーをヒット。パンチを受けると嫌がる表情を見せるKAREN。しかしここで組んだ宝珠山、KARENはケージ際で体勢を入れ替えて宝珠山を押し込む。そして四つからグラウンドに持ち込み、マウントを奪って左ヒジを連打。バックマウントに移行し、パンチの連打からまたもRNCへ。KARENは右カカトをボディに突き刺して削るも、宝珠山がスクランブルで上を取る。両者立ち上がり、ケージ際の攻防で試合を終えた。
判定はユナニマスでKAREN。ベルト獲得後の初戦を勝利で飾った。
【写真】全ての想いを鶴屋怜というバケモノのような強い相手にぶつける(C)MMAPLANET
11日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE329で、鶴屋怜と対戦する上田将竜のインタビュー後編。
昨年2連敗を喫したあと、上田はケージに戻ってきた。そして、国内フライ級が盛り上がるなか、鶴屋怜との対決を選んだ。これまで貫いてきたMMAの人生を後悔しないために--プロデビューから10年、上田がその決意を語る。
<上田将竜インタビューPart.01はコチラから>
――今年4月、有川直毅選手を判定で下し、再起を果たしました。復帰戦の出来はいかがでしたか。
「練習では良い感じで仕上がったんですが、試合では堅くなりすぎたところがありました。最後まで気持ちも切れませんでした。でも、試合が終わって『今日は満足できたばい!』と感じた経験がないんですよね。10年MMAをやってきても。たとえば、試合中に気持ちが折れたとしても、自分にしか分からない部分ってあるじゃないですか。
『良い試合だったよ』って言われても、自分としては『あの時、もういいかな……と思ってしまったんよね』と考えることがあって。それは他の選手と話をしても、同じようなことがあるみたいなんです。前回の試合は、勝てたことは嬉しいです。でも当然ですが反省点もあるので、すぐに練習を再開しました」
――昨年10月の小川徹戦から有川戦までの間に、DEEPフライ級GPの開催が公表されました。同じ階級で戦うファイターとして、DEEPフライ級GPはどのように映っていたのでしょうか。
「正直、興味はありました。練習仲間の本田(良介)選手も出場することになりましたから。でも4月のパンクラスで僕が有川選手に勝ったあと、鶴屋怜選手が秋葉太樹選手に一本勝ちした試合を見て、次は絶対に鶴屋戦だなと思ったんですよね。
そのあとDEEPフライ級GPの出場メンバーが発表されて、興味はありました。でも自分は今パンクラスで戦っていて、しかもバケモノみたいな強い選手が出て来た。その相手から逃げるわけにはいかない、そう思ったんです」
――バケモノみたいな強さ、確かにインパクトは大きいですね。
「彼とは去年の10月に一度、手合わせしたことがあるんです。パラエストラ柏へ出稽古に行った時に鶴屋浩先生から紹介されて――初めて同階級の選手に練習でボコボコにされました。
まだ彼がDEEPに出ている頃で、その時は対戦することもないだろうと思いながら、呑気に『日本MMAの未来は明るいなぁ』とか言っていたんです(笑)。本人にも『応援するけん、頑張ってね!』と言って。その裏では、自分に対して自信を失くしていました。
それで鶴屋先生に聞いたら、他の選手も同じようにやられているそうです。『そうですよね、彼は強くなりますよね』って鶴屋先生とも話をしていたんです。しかし数カ月経って、鶴屋怜選手がパンクラスに来た時点で、覚悟はしていました。お互い勝ち上がっていけば、いつか対戦することになるだろうと」
――練習で鶴屋選手にボコボコにされた経験は、精神的な面でマイナスに働きませんか。
「いや、これは自分にとって大きなプラスになります。あの時ボコボコにされていなかったら、今回の試合も1Rで仕留められていると思いますから(笑)。
でなければ、また自分の思い描いていた鶴屋選手と実際の試合は違っていて、彼の得意なところで勝負に行って負けていると思います。でも彼と対峙したことによって、その強さが分かっています。だから、彼の強い部分では勝負に行かず、相手の嫌なことをし続けますよ」
――なるほど。今回の鶴屋戦の先も含めて、上田選手の現在の目標は何なのでしょうか。
「こんなことを言うと、ベルトを目指して戦っている選手に失礼かもしれないけど……。今の自分のモチベーションは、地元の福岡で試合をすることなんです。その目標を実現するためには、勝たないといけない。
地方では他の人とは違うことをやっていると、白い目で見られることもあるんですよ。そんな中でも家族や、自分のために時間を割いて練習してくれる仲間、応援してくれる地元の友人たちがいます。その人たちに恩返しをするために、福岡で試合をしたいです」
――パンクラスでは2015年12月に北九州大会が開催されました。上田選手も出場し、宮城友一選手に判定勝ちを収めています。あれから約7年、再び福岡で大会を行うには、ベルトが必要になってくるでしょう。
「そうなんですよね。鶴屋選手に勝ったら、次は地元でパンクラスのベルトに挑戦したいと思っています。それが今の自分にとって、一番大きな目標です」
――ではその目標に向けて重要な試合となる、鶴屋戦への意気込みをお願いします。
「怖さやドキドキというより、自分の中でも久々に楽しみな試合です。どうしても自分より下馬評が低い選手と戦ったら、自分のほうが堅くなってしまう。勝ちたいという気持ちより、負けたくないという気持ちのほうが上回ります。でも間違いなく、鶴屋選手は強い。だから楽しみなんです。
鶴屋戦のオファーが来た時は、シビれました。強い相手との試合のオファーが来た時、予定が合わないとか嘘をついて避けることもできます。この試合に関してもメリットとデメリットを考えたら、鶴屋選手とは戦わないという選択肢もあったと思いますよ。自分から断ったことを公表しなければ、誰にもバレないですし。でも、それをやってしまうと自分自身を裏切ってしまうような気がして」
――それこそ一生後悔し続けるかもしれないですね。
「はい。オレは何のためにMMAをやっているのか。これまで恥をかきながらも続けてきたMMAなのに、鶴屋戦を断ったら全てを失ってしまうんじゃないかと思いました。だからオファーが来た時、二つ返事でした。『やります』って。
その答えは日曜日に出ます。ランキングは自分のほうが上ですけど、突撃していきますよ。しっかりと調整して、当日は盛り上がる試合をしますので、よろしくお願いします!」
■視聴方法(予定)
2022年9月11日(日)
午後2時45分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後3時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後3時00分~ U-NEXT
■ Pancrase329対戦カード
<暫定ライト級王座決定戦/5分5R>
松本光史(日本)
アキラ(日本)
<フライ級/5分3R>
上田将竜(日本)
鶴屋怜(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
宝珠山桃花(日本)
<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也(日本)
松岡嵩志(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
平田丈二(日本)
<バンタム級/5分3R>
TSUNE(日本)
平岡将英(日本)
<ウェルター級/5分3R>
中村勇太(日本)
林源平(日本)
<ストロー級/5分3R>
宮澤雄大(日本)
若林耕平(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
髙橋攻誠(日本)
押忍マン洸太(日本)
<フライ級/5分3R>
荻窪祐輔(日本)
萩原幸太郎(日本)
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子(日本)
原田よき(日本)
【写真】インタビューの受け答えもデビュー直後とは違い、しっかりとできるようになってきた!! (C)MMAPLANET
11日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase329。同大会で上田将竜と対戦する鶴屋怜インタビュー後編。
UFCを目指し、UFCに頂点に立つことだけを考える鶴屋。パンクラス王座のも、その前哨戦の今回の試合も、全てはUFCで戦うための通過点でしかない。とはいってもデビューから1年半、キャリア5戦目。大いなる目標に向かい、現実と向き合う20歳はこの夏にラスベガスでの出稽古を経験した。
パラエストラ千葉ネットにフライ級ファイター特集──ひと夏の経験で、何を感じたのか。そして、今やるべきことをどのように考えているのかを鶴屋怜に尋ねた。
<鶴屋怜インタビューPart.01はコチラから>
──逆に「コイツ、ヤバいな」と思った選手はいましたか。
「いました(笑)。一番強かったのは階級が一つ上なんですけど、パッチー・ミックスですね(苦笑)。さすが堀口さんに勝つだけのことはあるなって。バックを取られて、ずっと殴られて続けました。ホント、絞めてくれなくてパンチを入れ続けるんです(苦笑)。それでも向うが油断している時は結構入ることができたんで、通用する部分もあるとは感じています。凄く良い経験になりました。
あとアルジャメイン・ステーリングとスパーリングできなかったのは、残念でした。スパーリングの日じゃない時に、彼がジムに来たのでスパーはできなかったです。ただ、僕が想ったのは名前を知らない選手、日本で知られていない選手が強い。カレッジでレスリングをやっていたような選手で、プロでは1試合しかしてない奴がいて。『まだMMAは1戦しか経験していないんだ』っていう頭で練習すると、メチャクチャ強くて。名前も知らないし、MMAの経験がないのに強いヤツがいる。そこなんじゃないかと。
自分よりレスリングが強いので、なかなかテイクダウンができない。テイクダウン争いで取れることがあっても、取られることが多い。結果、自分の強いところで負けて。レスリングの相性もあったかと思いますけど」
──そういう選手がいることが、米国の真実なのですね。きっとゴロゴロいるから、層がとんでもなく厚くなっている。
「そういう風に名前が無くても強い選手がいるから、皆が何かに特化しているのではなく、バランスの良い選手になっていくのかと思いました。バランスが取れた選手が多いです。僕はレスリングで向うが上回ると、そこを返せないことがありました。だから、自分ももっと打撃を強化しないといけないと思いました」
──帰国してから1カ月少しで、次の試合がある。そういう状況でラスベガスで経験したことを何か千葉の練習に採り入れたということはありますか。
「スパーリングで自分のやることを変えました。以前はテイクダウンをして、コントロールすることを軸にスパーをやっていたのですが、どの選手と戦ってもテイクダウンに頼らないようにしています。
そこまでの打撃を使う時間を増やすというか。テイクダウンからコントロールは、グラップリングのスパーで存分にできるので。MMAのスパーリングの時は、なるべく自分から組まないようにしています。結果、打撃が多くなっていますね」
──そこを経て、上田選手との一戦。どのような試合をしたいと思っていますか。
「相手はウェルラウンダーで全部できる選手です。自分はまだテイクダウン後の戦い方も完成していないけど、それでも全体的にできることを見せたいです。もしかしたら3Rを戦い切ることになるかもしれないので、そこで粘り強さを見せることがデキれば良いなと思っています」
──タイトル戦のことは意識していますか。
「タイトルマッチは……勝てば12月にやらせてもらいたいです」
──ラスベガスというUFCのホームに滞在したことで、よりUFCを意識するようになったということはありませんか。
「自分、向うでコンテンダーシリーズを観に行ったんですよ。フライ級の試合も見て。その時に感じたのは、『こいつらに俺、絶対に勝てるな』ってことでした」
──アハハハハ。やはり、そうなりますか。
「あれでUFCと契約できるなら……UFCに出たいという気持ちはより強くなりました」
──以前は今、UFCに行っても勝ち続けることができない。だから、力をつけてから進みたいということも言っていました。その辺りの心境に変化がありますか。
「UFCに行くとしても最低でも半年はあると思います。まだ時間はあるので、パンクラスのタイトルを取ってからも、しっかりと自分の足りないところを磨いてUFCで通じるようにしていきます」
──何か日本で経験しておきたいということはないですか。向うに行く前に国際戦とか。
「そうですね、できればコンテンダーシリーズとかRoad to UFC経由でなく、いきなり本戦で戦いたいので、その前に外国人選手と日本で試合をするのも良いですね。パンクラスでできれば良いですけど、それが難しいなら海外で試合をするのもありだと思います。
正直、今はパンクラスのチャンピオンになることまでしか考えていなくて。それがあと2試合なのか。今のところ、全試合でフィニッシュしているので、次の試合とタイトル戦もフィニッシュ勝利を続けて──それから先は、まだ考え中です。パンクラスで外国人選手とやっても良いし、海外で試合をしても良い。とにかくUFCの本戦で戦えるよう仕上げていきたいです」
──ところでお兄さんの健人選手が8月にNEXUSでプロMMAデビューを飾りました。刺激になっていますか。「お兄ちゃんは打撃に特化していて、自分に足りないところを持っています。そこは兄弟で足りない部分を補いあって、トレーニングしていきたいです。ただ単にボクシングを採り入れるのではなくて、MMAの打撃として補っていきたいです」
──負けるかって言うライバル心は?
「もちろん良い刺激になっているけど、ライバル心は今のところはないです(笑)。階級も違うし、そこは僕の方がプロMMAを1年半以上やってきたので。お兄ちゃんがどこを目指しているのか、僕は分からないけど──2人でチャンピオンになれれば良いなぁという感じです。兄弟でチャンピオンって、余りないのでそういうのも良いかなって(笑)」
──では改めて、上田選手との試合に向けて意気込みのほどをお願いします。
「上田選手はベテランで何でもできます。強い選手なので、その上田選手を相手に自分も全部ができること。そして何度も言っていますけど、3Rになっても粘り強さで負けないというところを見せていければと思います」
■視聴方法(予定)
2022年9月11日(日)
午後2時45分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後3時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後3時00分~ U-NEXT
■ 対戦カード
<暫定ライト級王座決定戦/5分5R>
松本光史(日本)
アキラ(日本)
<フライ級/5分3R>
上田将竜(日本)
鶴屋怜(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
宝珠山桃花(日本)
<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也(日本)
松岡嵩志(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
藤野恵実(日本)
ソン・ヘユン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
平田丈二(日本)
<バンタム級/5分3R>
TSUNE(日本)
平岡将英(日本)
<ウェルター級/5分3R>
中村勇太(日本)
林源平(日本)
<ストロー級/5分3R>
宮澤雄大(日本)
若林耕平(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
髙橋攻誠(日本)
押忍マン洸太(日本)
<フライ級/5分3R>
荻窪祐輔(日本)
萩原幸太郎(日本)
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子(日本)
原田よき(日本)
【写真】再起戦が1カ月延期された藤野──その心境と、延期前の心意気を(C)NOBBU YASUMURA
11日(日)、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE329で、ソン・へユンと対戦予定であった藤野恵実のインタビュー後編。
Text by Shojro Kameike
対戦予定であった……というのは、インタビュー後の本日7日(水)にパンクラスからヴィザ取得問題により──藤野×ソン・へユンの一戦を10月10日の品川インターシティホール大会へスライドすることが発表されたからだ。ここではリリース前に藤野が語っていたこと、そしてリリース後に藤野がMMAPLANETに送ってくれたコメントもお届けしたい。
<藤野恵実インタビューPart.01はコチラから>
――今年3月にベルトを失ってから6カ月、何か大きな変化はありましたか。
「別にベルトを巻いたからといって、何か環境が大きく変わったわけではないですからね。RIZINに出してもらったことぐらいかな。ベルトを獲る前と獲った後で、周囲の私の扱い方も変わらないですし(笑)。私も長くやっているから、ずっと応援してくれている人は私がベルトを失ったからって、何か変わる人たちでもないんですよね」
――周囲の対応は変わらない。ではご自分の中では……。
「それはね、あります。パンクラスのチャンピオンでいたかった。そのベルトを失ってしまったわけですから」
――藤野選手はMMAを戦ううえで、常に『自分の好きなことをやっている。MMAしかない』というふうに仰っています。ベルトを失ったことは、MMAを戦うためのモチベーションには影響を及ぼさなかったのでしょうか。
「負けて、ちょっと落ち込みましたよ。それこそ津田からも『そんじゃもう辞めたほうが良いんじゃない?』とも言われましたし。ただ、辞めるならベルトを獲り返してからだと思いました。あの試合内容で辞めるのは納得いかないし、それこそベルトが賭けられていなくてもやり返したい。そういう気持ちに切り替わりましたね」
――試合後どれくらいの期間を経て、そう気持ちが切り替わったのですか。
「1日か2日ぐらいです」
――切り替わるのが早いですね。
「もう失うものはないし。やられたから、やり返す。だから試合がしたい、とパンクラスにも伝えました」
――では練習なり日常生活なり、何か変える部分などはありますか。
「そんなにないですね。今までやってきたことに関して、より精度を上げていく。正直、今すぐ、いきなりもっと強くなることはないじゃないですか。格闘技を始めた20代の頃とは違いますから。負けたことで練習方法を見直すことはありますよ。『組んだ時に相手を抱えてしまう癖は直していかないと』って思います。でも前回負けた要因は、練習方法以前の問題なので」
――自分に負けてしまった、と。
「はい。ちゃんと作戦通りにできなかった。セコンドの指示を聞くことができなかった。それはメンタル的な問題なので。だから、余計に悔しいですよね。でもそれって、試合で取り返すしかない。だから、すぐに試合させてほしいとお願いしました。パンクラスもすぐに組むということで。ただ、タイミングが合わずに、今回9月に試合をすることになったんですけど」
――それはKAREN選手との再戦を、パンクラスにお願いしたということですか。
「再戦も含めてですね。もちろんすぐに再戦するのは難しいと思うので、『誰が相手でもすぐに試合をしたい』と伝えていました」
――その気持ちのままで6カ月を過ごすなか、早く試合をしたいという焦りはなかったでしょうか。
「焦りはなかったです。パンクラスさんは早く試合を決めてくれているので。6カ月間、何もなければ焦っていたかもしれないけど、今回の試合は結構前に決まっていましたから。まず試合をすることだけ決まって、そのあと対戦相手を見つけてきてくれたんですよ。私としては対戦相手にこだわりはなかったし、連敗している私の対戦相手を用意してくれるだけでありがたいです。『誰でもいい』、『誰とでもやる』と津田に言っていました」
――なるほど。では次の対戦相手であるソン・へユンの印象を教えてください。
「試合映像を見ましたけど、1試合しかしていないので、強いのか弱いのか分からないですよね(苦笑)」
――ソン・へユンのプロ戦績は昨年12月、韓国Double GFCで行われたキム・ソユル戦のみ。しかもその試合では、1R1分15秒、腕十字で敗れています。
「試合が始まってすぐにテイクダウンされて、腕十字を極められていましたね。あれでは彼女の実力が分からなくて。でもROAD FCに出させていただいた頃も、相手について何も分からずに試合をすることはあったので、それと同じ状態かなと思っています。試合当日に相手の構えが変わっていても、何も驚きません(笑)」
――ROAD FC時代ですか。相手はこれがプロデビュー戦だと聞いていたら、とてつもない打撃を持っていて(笑)。
「あぁ、パク・ジョンウン戦(2015年5月、判定勝ち)ですよね。1Rにアッパーを食らった時『いやいや、強いし!』って思いました(笑)。目も腫れちゃって。あの試合から思っていたんですけど、韓国の女子選手って皆が打撃ができるじゃないですか。レベルの違いはあっても、それなりにできる子が多くて」
――ソン・へユンもキム・ソユル戦では開始早々に組まれてしまいましたが、構えを見るかぎりアップライトのムエタイをやっている感はありました。
「そうなんですよ。あの試合内容と結果だけ見て、楽な相手のように言う人もいるんですけど、やってみないと分からないから。反対に研究も予想もできないし」
――そのソン・へユンを迎えての復帰戦ですが、藤野選手にとって、どのような意味を持つ試合になるでしょうか。
「前回の試合で感じた自分の弱さを克服したいです。すぐ組みに逃げるとか、逃げるようなことしない自分になりたい。自分から逃げないっていうことですね。楽な方向に逃げることは一切考えません。
この年齢になって、今から海外とか大きな舞台に行けることはないと思うんですよ。だとしたら、自分がMMAをやる意味って何かという話で――。1試合1試合、観て良かったと思える試合をする。次の試合も見たいと思ってもらえる試合をします」
■延期決定のプレスリリース後のコメント
「長年MMAをやっていて、延期という初めての貴重なアクシデントを経験できました。でも準備期間が増えることはマイナスにはならないし、試合に向けて変わらず練習するだけです。10月10日、さらに良い状態で試合に臨みます!」
■視聴方法(予定)
2022年9月11日(日)
午後2時45分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ
午後3時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE
午後3時00分~ U-NEXT
■ Pancrase329対戦カード
<暫定ライト級王座決定戦/5分5R>
松本光史(日本)
アキラ(日本)
<フライ級/5分3R>
上田将竜(日本)
鶴屋怜(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
宝珠山桃花(日本)
<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也(日本)
松岡嵩志(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
平田丈二(日本)
<バンタム級/5分3R>
TSUNE(日本)
平岡将英(日本)
<ウェルター級/5分3R>
中村勇太(日本)
林源平(日本)
<ストロー級/5分3R>
宮澤雄大(日本)
若林耕平(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
髙橋攻誠(日本)
押忍マン洸太(日本)
<フライ級/5分3R>
荻窪祐輔(日本)
萩原幸太郎(日本)
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子(日本)
原田よき(日本)
【写真】持ち味を消すことはない。あの敗北を頭の片隅において戦うことができれば──(C)MMAPLANET
3日(日)、大阪市淀川区のメルパルクホールOSAKAでShooto2022#04が開催され、野尻定由が青柳洸志と対戦する。
福岡の期待の新鋭はインフィニティリーグでキャリアの優る選手たちを相手にドロー2つで得点こそ伸ばせなかったが、負け無しで乗り切った。しかし、その後は1階級上の山本空良にRoad to ONEで敗れ、修斗公式戦では中村倫也に秒殺負け、奇天烈のドローと厳しい時を経験している。
特にここ2戦は良さがマイナスになり、その良さが息をひそめた試合となり、自分探しの状況に陥っていた。結果、自分の良さを再確認できた野尻が復活を賭した一戦の前にその心境を話してくれた。
──明日が計量、日曜日に青柳洸志選手との試合が迫ってきました。今の心境は?
「調子はバッチリです」
──試合を控えている状態ですが、まず1月と5月の試合を振り返っていただけますか。1月の中村倫也戦は試合開始直後に跳びヒザを仕掛け、左のカウンターを受けてパウンドアウトとなりました。
「めちゃくちゃ調子が良くて、負ける気がしなくて。それでぶっ飛び過ぎたところがあって。自分の悪いところですね……。アレをやろうと試合当日に決めて。本当に軽率な考えだったと思います」
──あの奇襲は動き出しが撮影をしていても見えたのですが、狙いはヒザを当てること、それとも反応させて組んでいくことだったのでしょうか。
「しっかり当てようとは思っていました。ただ、当たらなくても相手が下がったところで自分のペースに持ち込もうと。本当にバカでした……」
──そこにカウンターというのは、予測することも難しいですし反応することも本当に難しいかと。
「あれは……。もう……あの瞬間がフラッシュバックして、夜も眠れなくなりました……」
──奇襲が外れましたが、成功する場合もあるわけですし。そして5月の地元福岡での闘裸男における奇天烈戦は、中村戦の敗北から立ち直るべく試合でしたが結果はドローでした。
「手痛いドローでした。焦らず戦おうと……ぶっ飛ぶことなく戦おうと思っていたら慎重になり過ぎました」
──そこも、慎重だから勝てる時もあるわけですしMMAは難しいです。この2つの試合を経験して、野尻選手の気持ちとしてはどのような試合をしようという風になりましたか。
「思い切り戦うことも大切で、慎重に戦うことも大切です。でも、自分としては思い切り戦おうと思います。やはり自分の長所は思い切りの良さなので。それが無謀な攻撃にならないように思い切りの良さ7割、考えて戦うのを3割という感じで仕上げてきました。自分は極端な性格なので、落ち着いて戦おうとすると落ち着きすぎてしまう場面があるので。なら思い切り戦いたいです。そのなかで如何に考えることができるか。その2つの感情があって、分けた練習をしてきました」
──その練習は赤崎道場で?
「ハイ。出稽古はしていないです。フィジカル・トレーニングだけ、以前にお世話になっていたところにまた通うようにしています」
──では青柳選手の印象を教えてください。
「相手に何もさせないで抑え込んでくるグラップラーです。ただパワーはアッチの方が上でも、自分の方がスタミナと回転力はあります。そこで勝負して、動き続けます。先に相手の形にはめられると厳しくなるので、相手のペースに持っていかせずに、自分のペースで試合を創ろうと思います」
──同じ福岡、同世代の野瀬翔平選手がRoad to UFCバンタム級初戦を突破しました。
「置いていかれたな……という気持ちがあって、悔しいです。だからこそ、俺もやってやるという気持ちになっています」
──キャリアの再構築、日曜日の試合に向けて改めて意気込みの方を宜しくお願いします。
「ここで負けるようだったら、大舞台への道はなくなると思っています。絶対に……死んでも勝とうと思います」
■視聴方法(予定)
7月3日(日)
第1部:午後1時~ Twit Casting LIVE
<バンタム級/5分3R>
ダイキ・ライトイヤー(日本)
加藤ケンジ(日本)
<ライト級/5分3R>
キャプテン☆アフリカ(日本)
長田拓也(日本)
<バンタム級/5分2R>
前川大輔(日本)
當房桂(日本)
<フライ級/5分2R>
井口翔太(日本)
綿谷誠(日本)
<ライト級/5分2R>
石田拓穂(日本)
後藤陽駆(日本)
<バンタム級/5分2R>
キシシ(日本)
小川隼人(日本)
<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
青柳洸志(日本)
<フェザー級/5分2R>
山本健斗デリカット(日本)
飯田建夫(日本)
<バンタム級/5分2R>
奇天烈(日本)
和田教良(日本)
<2022年度新人王決定トーナメント1回戦女子ストロー級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
渡邊富紀恵(日本)
<2022年度新人王決定トーナメント準決勝フェザー級/5分2R>
藤谷敦史(日本)
木村総一郎(日本)
<2022年度新人王決定トーナメント1回戦バンタム級/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
渡邊富紀恵(日本)
<フェザー級/5分2R>
宇藤彰貴(日本)
麻植裕太(日本)