【写真】Bloom FCと闘裸男、どちらも参戦する相乗効果で強化を狙う!!(C)MMAPLANET
31日(日)、福岡県福岡市中央区のアクロス福岡で開催されるBloom FC02で、泰斗が早坂優瑠と対戦する
Text by Shojiro Kameike
福岡のMMAレンジャーズジムに所属する泰斗にとっては、1年振りに地元で戦う機会を得た。修斗ではデビューから3連勝したものの、以降は2敗1分と上位陣の壁にぶち当たっている。そんな泰斗がBloom FC初出場で見せたいものとは――「喧嘩」だ。
――表情に少し疲労も見られますが、今はまだ追い込みの時期ですか。それとも減量の時期でしょうか。
「減量ですね。でも自分は、それほど減量はキツくないので大丈夫です!」
――今回はBloom FC初出場となります。Bloom FCは昨年11月に第1回大会が開催されました。修斗を主戦場としている泰斗選手にとって、この大会はどう見ていましたか。
「出ているのは先輩選手が多かったし、福岡で行われているという『地元感』が強かったです。どうしても福岡のMMAファイターって、他の場所で試合をすることが多いじゃないですか。それが地元で試合をして、地元で応援してくれる人たちの前で戦うことができるのは良かったと思います。
この大会にはハントさん(奥宮ハントMMAレンジャーズジム代表)も関わっていて。僕もずっとハントさんにはお世話になっていますから、その大会を盛り上げたいっていう気持ちは強いです」
――修斗は修斗でチャンピオンを目指し、ランキングを上げていくための試合もしないといけない。一方で修斗のランキングには影響しないBloom FCの試合をどうとらえるのか。泰斗選手の場合はいかがですか。
「その点については全然気にしていないです。やはり地元で試合ができるのというのは一番大きいので。かといって、福岡ならどの大会に出るというわけではないですよ。やはり修斗は修斗で、Bloom FCはハントさんが関わっていることが大きいですから」
――Bloom FC第1回の時、ご自身は同時期に沖縄で試合をしているだけに、余計にそう感じたのではないですか。
「アハハハ、そうかもしれないですね。でも沖縄勢との試合は敵対心というか――レンジャーズジムはパラエストラ沖縄勢(現THE BLACKBELT JAPAN沖縄)に対抗心があって(笑)。九州と沖縄ではお互いに目立っているチームだと思いますし、軽量級の選手も多いじゃないですか。だから沖縄の選手と対戦するために、沖縄にも行きますよ」
――2023年はその沖縄勢との2試合で、1分1敗という結果でした。
「もちろん勝ちたかったですが、相手はみんな格上で、良い経験にはなったと思います。自分の実力を思い知らされました。自分自身の持ち味を出せていなかったし、いろいろ気づかされたことも大きいです。次の試合も相手は格上ですけど、絶対に勝たないといけない相手だと考えています。この試合の結果で、これからの自分が決まるというか」
――個人的には、畠山戦では泰斗選手の持ち味も出た末のドローだったと思います。ただ、旭那戦は良いとこを見せることができなかった。それは相手の差なのか、あるいは福岡と沖縄という開催地も関係あるのか……。
「相手の差ですね。旭那選手はやっぱりランキング1位で、組んだ感じも全然違いましたし。力の差というか、巧さの差がありました。自分がテイクダウンを狙おうとしても、どんどん相手との距離が遠くなっていく。僕もフィジカルには自信がありますけど、やはり柔術の巧さというか……そこは自分の足りないところでもありましたね」
――では、この4カ月間で新しく取り組んできたことや、伸ばそうと考えたものはありますか。
「何より気持ちの問題だと思っています。今までの試合では、自分の試合に殺気が感じられないんですよ。いつも練習のほうが調子は良くて。だけど練習どおりの力を試合で出すことができない。それは気持ちの問題で――練習と同じように試合でも『相手を倒しに行く』という気持ちを見せることができていれば、前回の試合も田上こゆる戦でも可能性はあったんじゃないかと思っています。仕留めに行く、その気持ちを出していきたいです」
――「練習では強いけど試合では勝てない」というファイターは、今まで数多く存在していたと思います。その逆もまた然りで。ご自身の中で「練習では強いけど試合では勝てない」という要因は何だと思いますか。
「今までは『スポーツをしよう』という気持ちが強かったんです。MMAはスポーツじゃないですか。だから当然なんですけど――でも格闘技だから、喧嘩が必要な時もあって。そういう荒々しい面も自分には欠けていたんじゃないかと思うんですよ。今回は喧嘩をします」
――「喧嘩も必要」というのは意識面のお話で、それが自分の中で足りなかった「仕留めに行く」という意識なのでしょうか。
「そうです。あとは、せっかく地元でたくさんの応援団が来ているのに、中途半端な試合は見せられないですよね。もちろん試合は勝敗が最優先です。でもそれ以上に、みんなに自分の気持ちを見せたくて。全力で仕留めに行きます」
――なるほど。「試合で殺気が感じられない」という意見は、誰か他の人から聞いたものですか。それとも自分自身で出した結論なのでしょうか。
「まず自分はチームメイトから、よくパンチ力について褒められるんですよ。『それだけのパンチ力があるなら、もっと試合で出せば良いのに。出したら相手は絶対に倒れるよ』って」
――泰斗選手にはテイクダウンとフィジカル、そしてスタミナという武器があります。勝つために、その武器を選択するのも当然でしょう。
「結局、自分自身がその武器に捕らわれていたと思うんです。なぜ、みんなが褒めてくれるパンチを出せていないのか。それは気持ちの問題であり、仕留めに行くという試合への姿勢の問題であって。だから一言でいえば、喧嘩をするのが一番良いのかなと思っています」
――なぜ今までの試合では喧嘩ができなかったのでしょうか。泰斗選手も昔は喧嘩をしていたほうだと推測するのですが……。ただの印象で、すみません(苦笑)。
「アハハハ。まぁ、それなりには……。でも喧嘩をしていたから――だと思うんですよね」
――というと?
「MMAを始める時『これは喧嘩じゃない。スポーツなんだ』と自分に言い聞かせていました。だからスポーツとして勝つ意識のほうが強くなってしまったんだと思います。でもMMAは格闘技なわけだから、喧嘩する気持ちもあったほうが良い。その気持ちを取り戻したくて。無理に喧嘩をするわけじゃなく、そのほうが本当の自分なんじゃないかって気づいたんですよ」
――あれだけテイクダウンをトップコントロールで動き続けることができる泰斗選手なら……。
「同じぐらい打撃を出し続けることもできます。もうフルラウンド、打ち続けるぐらいに(笑)。それだけ自分は打撃にも自信はあって。次の試合は、今まで見せていない部分も出していきたいですね」
――ただ、打撃を出そうとすることでテイクダウン&トップコントロールという自分の良さも消えたりはしないですか。
「そこをどう織り交ぜていくか、ですね。相手も組んでくるタイプですし、自分も組みの展開でも上回らないといけない。組みを生かしたうえでの打撃というのが、今回のテーマなんですよ。組みも打撃も練習しているので、あとは気持ちだけです」
――では対戦する早坂優留選手の印象を教えてください。
「もう40戦、自分の何倍も試合をしているベテランで。組みが中心ですけど、何をやってくるのか分からないというタイプです。でも、もう全盛期は過ぎていると思いますし。キャリアの差は、あくまで数字でしかない。決して甘く見ているわけではなく、現時点では僕のほうが勝っている部分も多いし、どちらかというと『やりやすい相手』だと思います」
――地元での試合ということで、周囲の期待も高いのではないですか。
「実は2カ月前に自分のバーをオープンしたんですよ。そのお付き合いで、いろんな広がりもあって……。今回はバーのお客さんも含めて、たくさん応援に来てくれます。その人たちの前で絶対に負けるわけにはいかないし、寒い試合もできないです」
――この試合で勝った先のことは考えていますか。
「あまり先々のことは考えていません。あえて言えば、舞台はどこでも良いので常に強い選手、格上の選手と対戦したいと思っています。スケジュールの面では、もし今回勝って怪我もなければ、5月26日のTORAO福岡大会も出たいです。そのためにも今回の試合では、しっかり仕留めて勝ちます!」
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