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【PFL MENA2024#01】中東&マグレブ発、世界へ。PFL第2の地域戦はフェザー級&バンタム級で開幕

【写真】サウジMMA界期待のハッタン・アルセイフが、アマ女子アトム級でエジプトのナダ・ファフィマルと戦う一番も、現地では非常に注目を集めている(C)PFL

10 日(金・日本時間)、サウジアラビアはリヤドのザ・グリーンホールズで欧州に次ぎPFLの地域リーグ戦が、戦いの幕を切って落とす。
Text by Manabu Takashima

MENAとはMiddle East & North Africaの略称で中東&北アフリカ地域を指す言葉だ。特に明確な地域の特定はないが、PFLにおけるMENAとはアラビック&ムスリム世界で、今大会の出場選手を見る限りカナダやスウェーデン、フランスなど欧州や北米からもアラビックファイターが参戦している。


メインではご当地ファイターで2月のPFL vs Bellatorにも出場していたアブドゥラ・アルカタニが、ヨルダンのヤジット・ハサネインと戦う。もともとはラスベガス在住のモロッコ人ファイター=タハ・ベンドウドと対戦予定だったが、ベンドウドの計量失敗でハサネインと戦うことが決まった。

しかし145.6ポンドで計量をクリアしたアルカタニに対し、ハサネインは146.6ポンドとフェザー級リミットをオーバーしての対戦。この点についてPFLのリリースでは試合が実行されること以外、ペナルティなどが存在するかは明らかとされていない。リヤド大会でアルカタニの試合は欠かせないのは確かだが、プレーオフ進出を賭けたフォーマットだけに、この辺りは明確にしてほしいところだ。

資金が豊富な中東ではMMAは国家レベルで奨励されており、既に個人の能力でワールドクラスとなったアフリカ勢に続き、この中東&マグレブのファイターの強化が進むと、MMAはまさにサッカーと並ぶ、世界中で広まったスポーツとなる。現状は日本では知られていないファイターばかりなのは否めないが、将来(いや既に)日本勢のライバルとなりうる可能性を今回のPFL MENAが後押しすることになる。

そんななかメイン出場のアルカタニ以外の注目すべきファイターは、コメインでノウラス・アブザクと対戦するアリ・タレブか。タレブは吉野光に勝ち、コンテンダーシリーズからUFC進出を果たしたヴィニシウス・オリヴェイラを破り、UAEWバンタム級のベルトを巻いていた選手だ。その後、PFL欧州に転じ――PFLとUAEWで通算7勝1敗というレコードを残している。

そのオリヴェイラに敗れ、ベルトを失ったザビエル・アラウイはカナダ人の元UAEWバンタム級王者で、PFL欧州ベテランのスペイン人ラシッド・ハズと相対する。タレブ、アラウイの両者はバンタム級の本命という見方ができるだろう。

そんなバンタム級の対抗馬にはプレリミ出場となったエリアス・ブグズダムの名を挙げたい。アルジェリア国籍として出場となるブグズダムだが、フランス生まれフランス育ちのアルジェリア系フランス人ファイターは元BRAVE CFフェザー級王者で、そのBRAVEだけでなくUAEW、アレスFCで積み上げてきたキャリア18勝8敗。MENA大会では頭一つ抜けた試合数を誇る。

破れはしたがスティーブン・ローマン、ババ・ジェンキンスというレベルのファイターと戦ってきた経験値も他のファイターにはない。8人トーナメント形式のシーズン制、この3者の戦績を踏まえた上で、パフォーマンスを確認しアラビック&イスラム社会のMMAの今――を判断したい。

■視聴方法(予定)
5月11日(日・日本時間)
午前0時15分~U-NEXT

■ PFL MENA01対戦カード

<フェザー級/5分3R>
アブドゥラ・アルカタニ(サウジアラビア)
ヤジット・ハサネイン(ヨルダン)

<バンタム級/5分3R>
アリ・タレブ(スウェーデン)
ノウラス・アブザク(ヨルダン)

<バンタム級/5分3R>
ザビエル・アラウイ(カナダ)
ラシッド・ハズ(スペイン)

<フェザー級/5分3R>
イスラム・レダ(エジプト)
アダム・メスキニ(フランス)

<バンタム級/5分3R>
タリク・イスマイル(カナダ)
ジャラル・アルダジャ(ヨルダン)

<バンタム級/5分3R>
エリアス・ブグズダム(フランス)
ハッサン・マンドール(エジプト)

<アマチュア女子アトム級/3分3R>
ハッタン・アルセイフ(サウジアラビア)
ナダ・ファフィマル(エジプト)

<フェザー級/5分3R>
メラウン・ベラジュイット(モロッコ)
ミド・モハマッド(エジプト)

<フェザー級/5分3R>
アフマッド・ターラク(エジプト)
アブドゥルラフマン・アリヤサット(ヨルダン)

<アマ・フライ級/3分3R>
マリク・バサハル(サウジアラビア)
ハーシュ・パンディア(インド)

■放送予定
5月11日(土・日本時間)
午前0時15分~U-NEXT

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AB MMA o RIZIN UFC キック キャメロン・サーイマン 吉野光

UFC on ESPN+96:第5試合・ヴィニシウス・オリベイラ vs. ベルナルド・ソパイ

バンタム級

ブラジルのオリベイラは昨年9月のコンテンダーシリーズで1RKO勝ちしてUFCと契約。コンテンダーシリーズ出場前の3月には、UAEウォーリアーズでRIZINにも出場している吉野光と対戦し、右フックから返しの左フックをヒットさせてダウンを奪いKO勝ちしている。19勝(15KO・2一本勝ち)3敗の28歳。

当初はUFC0勝1敗のゲムーリと組まれていたが、ゲムーリが負傷欠場。スウェーデンのソパイの緊急UFCデビューが今週に入ってから急遽決まった。

アルバニアのソパイは来週スウェーデンAFNバンタム級王座防衛戦への出場が決まっていたため、減量が間に合いバンタム級での代役出場となる。11勝2敗で7KO・3一本勝ち。キックの試合にも出場しているストライカー。2000年生まれの23歳で、バンタム級では19歳ロザスJr.、23歳キャメロン・サーイマンに次ぐ3番目の年少。MMAプロデビューは15歳。

飛び込んで右を放ったソパイ。両者スイッチを繰り返す。オリベイラカーフキック。プレスしてきた。カーフを連打。オリベイラのバックスピンキックのタイミングで組み付いたソパイ。テイクダウン。オリベイラの下からの足関狙いを押さえ込みで潰してハーフ。自ら立ったソパイ。スタンドに。詰めるソパイ。ケージを背負うオリベイラに左ハイ。しかしオリベイラのカーフキックでぐらつく。残り1分。ソパイダブルレッグでテイクダウン。即マウント。すぐにガードに戻したオリベイラ。パウンドを落とすソパイ。ホーン。

1Rソパイ。

2R。オリベイラが出てカーフを入れる。ソパイタックルへ。しかしこらえた。オリベイラが四つからテイクダウンを狙ったが逆に倒したソパイ。ハーフバックから両足フックしてバックマウント。パウンドを入れると体を伸ばしてからパウンド・ヒジのラッシュ。オリベイラ正対してハーフに戻したが、ブリッジで返そうとしてまたバックマウントに。ヒジ。またハーフに戻したオリベイラだが、パスされるとまた背中を向けバックマウントを取られる。また体を伸ばすと左右のパウンド連打。また体を伸ばすソパイ。オリベイラ背負って立ち上がる。チョークを狙ったソパイだが、オリベイラが手を掴んで落として上になる。上からパウンドラッシュ。今度はソパイが背中を向けたが立ってスタンドバック。後方に倒したオリベイラ。ソパイガードを取る。前半で攻め疲れたか。下で動きが鈍い。オリベイラパウンド・ヒジを入れていく。背中を向けて立ったソパイ。オリベイラハイキック。残りわずかでアッパーを入れたオリベイラ。ヒットして効いた。ホーン。

2Rは最後のアッパーの印象でオリベイラが取り返したか。

3R。出るオリベイラ。ソパイ消耗している。オリベイラカーフキック。右を入れたオリベイラ。距離を取るソパイ。追ってくるオリベイラに組もうとするがかわされる。蹴りを入れるオリベイラ。またカーフ。ケージに詰めて左右のパンチを入れる。オリベイラのパンチがヒット。ソパイ疲れは明らかだがなんとかしのいでいる。カーフのカットも出来ないソパイ。オリベイラのの右がヒット。カーフから右フック。ソパイもう手が出ない。ケージを背負ったソパイにカーフ。そして左ストレートが顔面を捕らえる。ワンツーから右ハイ。ソパイサンドバック状態。残り1分。オリベイラのタックルを切ったソパイだが、離して蹴りを入れるオリベイラ。カーフからの左フックがヒット。よろけながら距離を取ったソパイだが、オリベイラダッシュして飛び膝!ビッグヒットしKO!

2RにKO負け寸前まで追い込まれたオリベイラだったが、ギリギリしのぐと逆転勝ち。しかしソパイの攻め疲れに救われた部分もある。

ソパイは緊急出場だったし、勝利目前でスタミナ切れしたのも致し方ないか。

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45 AB Brave CF MMA MMAPLANET o UAEW UFC UFN UFN238   アザット・マクスン アブドゥルカリーム・アルセルワディ アレックス・ペレス アレッサンドロ・コスタ アレッシャンドリ・パントージャ ウマル・ヌルマゴメドフ エイマン・ザハビ エリク・アンダース キック シャミル・ガジエフ ジェイミー・ピケット ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク ジャビッド・バシャラット スティーブ・アーセグ タイソン・ペドロ ダヴィッド・ドヴォルザーク デイヴィソン・フィゲイレド ビクター・ヘンリー ベクザット・アルマカーン ボクシング マット・シュネル ムハマド・モカエフ ルドヴィット・クライン ヴィトー・ペトリーノ 中村倫也 吉野光 平良達郎 風間敏臣 鶴屋怜

【UFN238】計量終了 モカエフがついにタイトル挑戦経験者と。吉野に勝ったオリヴェイラ×ソパイも注目

【写真】歴史の浅い――しかも仕切り直しがあった階級だからこそ、これから動きも大きくなるはずだ(C)MMAPLANET

2日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN238: UFN on ESPN+96「Rozenstruik vs Gaziev」の計量が行なわれ、全選手が滞りなくクリアしている。
Text by Manabu Takashima

メインはヘビー級のジャイルジーニョ・ホーゼンストライク×シャミル・ガジエフという今大会だが、日本のファンからすると気になるのは軽量級、やはりフライ級とバンタム級の戦いだろう。


フライ級では平良達郎がコールアウトしたムハマド・モカエフが、ついにタイトル挑戦経験のあるファイター=アレックス・ペレスと対戦する。2020年11月にデイヴィソン・フィゲイレドの持つ世界フライ級王座に挑戦して敗れたぺレスは、その後の3年4カ月で流れた試合数は「9」、実際にオクタゴンに足を踏み入れたのはたったの1度でアレッシャンドリ・パントージャに91秒でRNCで一本負けを喫している。

いえばこの40カ月でペレスは、僅か3分28秒しか戦っていない。対するモカエフは、この間にNCを含めると9試合を経験してきた。ペレスにケージロスがあるかどうは分からないが、勢いがあるのはモカエフであることは間違いない。ペレスがタイトル戦線に再浮上するためには、キャリア10連勝の新鋭に初黒星を与えることが必須だ。

そんなペレスとの対戦が4度に渡り流れたマット・シュネルと戦うスティーブ・アーセグは、Eternal MMAフライ級王者から昨年6月にスクランブル出場でオクタゴン初陣を戦った。そしてダヴィッド・ドヴォルザークを下し、2戦目でシュネルと戦うことが決まっていたが、シュネルの欠場で試合が不成立に。結果、代役アレッサンドロ・コスタに判定勝ちを収めている。

仮にアーセグがシュネルを下して3連勝とすれば、今後数カ月で平良の対戦相手になることは十分にあるだろう。

平良、そして鶴屋怜目線で眺めるフライ級に対し、中村倫也&風間敏臣視線で俯瞰すべきなのがバンタム級戦線だ。メインカードではウマル・ヌルマゴメドフとベクザット・アルマカーンという16勝0敗×16勝1敗という凄まじい戦績の持ち主同士がぶつかる。とはいえ、アルマカーンは今回がUFC初陣ということもあり、フライ級の同胞アザット・マクスンの例を見るまでもなく16勝1敗という数字は参考記録に留めるべきだろう。

UFCデビュー戦といえば、ヴィニシウス・オリヴェイラと対戦するスウェーデンのベルナルド・ソパイは、今大会に初めて世界最高峰の舞台に上がる。ライオンキングの異名を持つ、アルバニア系スウェーデン人選手はコロナ禍の2020年8月にスロックホルムで無観客ウィークリショーを開いたBRAVE CFに出場し、一躍注目を集めるようになった。

その流れでバーレーンで戦ったことがあるソパイだが、ほぼスウェーデン国内で経験を積み、UFCにたどり着いたレア・ファイターだ。キックボクシングを思わせる近い距離で、右オーバーハンドの強さが目立ったソパイだが、執拗なテイクダウン狙いには手を焼く――BRAVE CF時代はそんなヤングブラッドだった。

あれからほぼ3年が過ぎ、UAEWで吉野光をKOしているオリヴェイラの打撃に対し、どのような幅のある戦いを見せることができるのか。粗いが当たれば倒す、そしてなぜか当たるオリヴェイラのパンチ。その分KOパンチを被弾することも少なくないオリヴェイラとの距離、振りの大きさの対比が楽しみな一戦となる。

オリヴェイラ×ソパイ戦の前に組まれた試合順に、不満を抱いていて然りなのがジャビッド・バシャラットだろう。キャリア14勝0敗1NC、前戦ビクター・ヘンリー戦こそローが急所に入りNCとなったが、オクタゴン3連勝でランカーとの対戦を強く要望してきた。

そのなかでUFCで4勝2敗のザハビとのマッチアップ、グラップリングに特化した相手をジャブと蹴りで突き放し、完全ドミネイトもしくはポイントアウトの遂行していくに違いない。だからこそ、注目すべきはザハビの戦い方だ。実兄である名将フィラスが控えるザハビは、前述したようにグラップリングに特化したという印象を利して、予測不能な打撃を有効な武器としつつある。

バシャラットが持ち味である徹底して落ち着き払ったファイトで、やるべきことを選択すればザハビに勝ち目はない。しかし、少しでも奢りを見せ、ザハビを軽視するような心の隙があれば……そこが命取りになるやもしれない。

■視聴方法(予定)
3月3日(日・日本時間)
午前3時30分~UFC FIGHT PASS
午前2時45分~U-NEXT

■UFN238計量結果

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 257ポンド(116.57キロ)
シャミル・ガジエフ: 261ポンド(118.38キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ: 205.5ポンド(93.21キロ)
タイソン・ペドロ: 205.5ポンド(93.21キロ)

<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス: 126ポンド(57.15キロ)
ムハマド・モカエフ: 126ポンド(57.15キロ)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ: 136ポンド(61.69キロ)
ベクザット・アルマカーン: 136ポンド(61.69キロ)

<フライ級/5分3R>
マット・シュネル: 126ポンド(57.15キロ)
スティーブ・アーセグ: 126ポンド(57.15キロ)

<ミドル級/5分3R>
エリク・アンダース: 185.5ポンド: 186ポンド(84.37キロ)
ジェイミー・ピケット(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ヴィニシウス・オリヴェイラ: 135.5ポンド(61.46キロ)
ベルナルド・ソパイ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット: 136ポンド(61.69キロ)
エイマン・ザハビ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ミドル級/5分3R>
クリスチャン・レロイ・ダンカン: 186ポンド(84.37キロ)
クラウジオ・ヒベイロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ライト級/5分3R>
ルドヴィット・クライン: 156ポンド(70.76キロ)
AJ・カニンガム: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ライト級/5分3R>
ロイック・ラジャポフ: 155.5ポンド(70.53キロ)
アブドゥルカリーム・アルセルワディ: 156ポンド(70.76キロ)

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Grachan Grachan66 MMA MMAPLANET o キック パンクラス ボクシング 伊藤空也 修斗 吉野光 山本喧一 弘田颯志 田中智也

【Grachan66】北海道の猛者がバンタム級戦線へ、田中智也─01─「格闘技を辞めるべきかどうか――」

【写真】これまで14勝のうち5勝は三角絞めによるもの。他にも腕十字、キムラ、ヒールフックを極めているサブミッションファイターだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(日)、東京都江東区のTFTホール500で開催されるGRACHAN66で、田中智也が伊藤空也と対戦する
Text by Shojiro Kameike

北海道出身の田中は2013年にPFCでプロデビュー以降、パンクラス札幌大会、グラチャン札幌大会、そして修斗札幌大会で戦ってきた。それはまさに北海道MMAの歴史の一つでもある。もともとフライ級を主戦場としていた田中は、今回から正式にバンタム級へ転向し、伊藤というベルトに絡む試合を迎えることに。北海道で生まれ育ち、北海道で戦ってきた男が、怪我に悩まされながらも王座戦線に辿り着くまでのストーリーを語る。


――MMAPLANETでは1年半振りのインタビューとなる田中智也選手です。リモート画面の背景にも映っていますが、田中選手の所属先である「fit」というのは田中選手が運営されている鍼灸整骨院のお名前なのですか。

「はい。鍼灸整骨院がメインで、パーソナルトレーニングの指導も行っています」

――今回は田中選手のMMAキャリアについてお聞きします。もともと柔道がベースで、MMAを始めたのは地下格闘技がキッカケだったのですよね。

「小学校の頃から柔道をやっていて、鍼灸整骨の専門学校に入った頃が地下格闘技がブームだったんです。格闘技の練習をしている知人から『良かったら練習に参加してみなよ』と誘われ、MMAにのめり込んでいきました。それが12年前ぐらいのことですね。ただ、僕自身はそのチームから試合に出ることはなく、個人でキックボクシングや柔術のジムに通い、次第に試合に出るようになっていきました。地下格闘技は一度出たぐらいで、最初はアマチュア修斗に出ることが多かったです」

――アマチュア修斗に出場していたということは、プロのファイターを目指していたということですね。

「はい。せっかくMMAを始めたからには、プロの舞台で戦いたいと思いました」

――12年前の北海道MMA事情といえば、MMAの練習ができるジムは増えていたものの、まだ他の地域と比べて試合の機会は圧倒的に少なかったと思います。アマチュア修斗のワンマッチ大会も、1日7試合というケースがあるほどで。MMAの経験を積むためには、他都府県に出ていくことが多かったのではないですか。

「当時は北海道でMMAをやりながら、アマチュア修斗から全国に出ていこうと考えていました。北海道内でアマ修斗が行われるのも年1回ぐらいで。でも北海道から全国へ進む――アマチュアからプロになるためには、当時はアマ修斗しか手段がなかったと思います」

――そんななかで2013年8月、札幌で行われたPFC02でプロデビューしています。どのような経緯でPFCに出場することになったのですか。

「第1回目のPFCが行われたあと、山本喧一さんのパワー・オブ・ドリームに通っている方に大会のことを教えてもらったことがキッカケで出るようになりました。MMAだけでなくグラップリングの試合もあって、毎月のように試合に出させてもらっていました」

――その後PFCからパンクラス札幌大会、グラチャン札幌大会、そして修斗札幌大会まで出場するなど北海道MMAを網羅していますね。

「アハハハ、そうかもしれないです。だんだん北海道でMMAを戦う環境も整ってきていると思います。自分としては『どこまで行けるか』という感じで、ただただ戦っていただけではありましたけど……」

――デビュー当時から三角絞めによるフィニッシュが多かったのは、柔道時代のスタイルでMMAを戦っていたのでしょうか。

「そうですね。柔道の経験に柔術の練習が加わったような感じです。柔道時代から寝技のほうが好きでした。もしかしたら学校によっては『試合で寝技の時間はないから立ち技を練習する』というところもあったかもしれません。でも僕の学校は、立ち技も寝技も同じくらい練習していました」

――その柔道スタイルのMMAが、現在のスタイルに変化し始めたのは、いつ頃だったのですか。

「デビューしてから暫くは、キックボクシングのジムに通っていたものの、柔道+柔術のスタイルでした。やはりMMAを練習する場がなく、うまくアジャストすることができなかったですね。ずっと『立ち技は立ち技のジム、寝技は寝技のジムで』という練習環境で。それが次第に他のジムの方々との練習——特に4~5年ぐらい前からマルスジムさんへ出稽古に行かせてもらって、自分のスタイルも変わってきたと思います」

――4~5年前といえば、2019年から現在に至る5連勝が始まった頃でしょうか。MMAの練習ができるようになった影響が、如実に表れているわけですね。

「2018年9月、PFCで吉野光選手にKOされたことで大きく変わりました。それまでは勝っていても、常に単調な攻めばかりだったんです。要は打撃もなく、ただ寝技に持って行くために組むだけで――まさにMMAの試合で柔道をやっていただけですよね。今考えると、それでよく勝てていたなって思います(苦笑)」

――吉野戦以降は5試合連続、1Rでフィニッシュしています。ご自身としてはKOや一本で勝つことにこだわりを持っているのでしょうか。

「これも柔道時代の影響ですね。柔道時代から一本で勝つことを目標にしていました。やはり柔道部だと――相手にもよりますが、先生から『なぜあんな相手に一本で勝てないんだ!』と言われることもあって(笑)」

――現在は年に一度という試合ペースが続いていますが、年に一度試合に出て1Rで仕留めて勝っていく。職人的な雰囲気を漂わせていますね。

「いやぁ、それは……。自分としては『とにかく試合を早く終わらせたい。一本で勝ちたい』と思っているだけで(苦笑)。試合ペースが年に1回というのは、怪我が多かったんです。MMAを始めてから柔道時代の負傷の影響が出て来て、何度か手術もしています。実は今年7月にグラチャンで試合をした時(弘田颯志に三角絞めで一本勝ち)も、ヒジの状態が悪くて。これは柔道時代から慢性的なもので、握力も10キロほどしかない状態でした」

――えぇっ!? 負傷といえば、今年2月からスタートしたグラチャンのフライ級トーナメントを、中心性脊髄損傷のために欠場しています。脊髄の負傷というのは……。

「まぁ、ヤバいですよね(苦笑)。試合の2週間前ぐらいに、体重も順調に落ちていて『今回は調子が良いなぁ』と思っていたところで――練習中に首にビリッという痛みが走りました。そのあと打撃のマスで軽くパンチが顔に当たった瞬間に、腕が上がらなくなったんです。ペットボトルやスマホも持ち上げられない状態になり、病院へ行ったあと申し訳ないですがトーナメント出場を辞退することにしました」

――……。

「今は回復していますし、もし痛みがあれば休むようにはしています。ただ、あの時は格闘技どころか日常生活もどうなるのか――という状態でした。正直、格闘技を辞めるべきかどうかも考えました。今まで怪我をするたびに、同じように考えることがありました。でも、まだ試合で自分の力を出し切れていない。ここで辞めて後悔したくない。その気持ちでMMAを続けています」

<この項、続く>

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藤田大和、吉野光 出場『UAE Warriors 45』試合結果

るるぶドバイ'24



▼UAEWライト級王座決定戦 5分5R
〇アムル・マゴメドフ(ロシア)7勝0敗
[1R 3分38秒 リアネイキドチョーク]
×ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)10勝4敗
※マゴメドフがライト級王者に

▼バンタム級 5分3R
〇ラニー・サーデ(ドイツ)13勝4敗
[2R 4分59秒 リアネイキドチョーク]
×ジェニル・フランシスコ(フィリピン)13勝8敗

▼150ポンド契約 5分3R
〇ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)14勝4敗1分
[1R 3分56秒 TKO] ※右ストレート
×アリ・アルカイシ(ヨルダン)15勝7敗

▼バンタム級 5分3R
〇リネット・ハバロフ(ロシア)8勝0敗
[2R 2分15秒 TKO]
×吉野 光(ALMA FIGHT GYM LIFE)12勝4敗

▼フライ級 5分3R
〇ヴィクター・ヌネス(ブラジル)10勝5敗
[1R KO]
×ノウラス・アブザク(ヨルダン)11勝5敗

▼フライ級 5分3R
〇藤田大和(リバーサルジム新宿 Me,We)11勝4敗
[1R 4分43秒 ギロチンチョーク]
×サンスハル・アディロフ(カザフスタン)11勝2敗1分

▼ライト級 5分3R
〇アブダラ・コツァエフ(タジキスタン)5勝0敗
[1R 4分21秒 TKO] ※マウントヒジ
×ペトル・バズドゥガン(モルドバ)5勝1敗

▼139ポンド契約 5分3R
〇ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)9勝0敗 ※
[2R リアネイキドチョーク]
×マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)12勝2敗1分

▼女子フライ級 5分3R
〇ワン・コン(中国)3勝0敗
[判定3-0] ※30-27×3
×アミーナ・ハダーヤ(豪州)3勝2敗

▼ミドル級 5分3R
〇ハビブ・ナビエフ(ロシア)7勝0敗
[2R リアネイキドチョーク]
×アディス・タライベク・ウウル(キルギス)8勝5敗2分

▼ライトヘビー級 5分3R
〇バルトズ・シェフチェク(ポーランド)7勝2敗1分
[2R TKO]
×アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)4勝1敗1分

 10月17日にアラブ首長国連邦アブダビのアルジャジーラ・クラブで開催された『UAE Warriors 45』の試合結果。藤田大和はサンスハル・アディロフに1Rギロチンチョークで勝利。吉野光はリネット・ハバロフに2R TKO負けしています。続きを読む・・・
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MMA MMAPLANET o UAEW UAEW45 リネット・ハバロフ 吉野光

【UAEW45】組み勝てなかった吉野光は、ハバロフのバックコントロール&パウンドでTKO負け──2連敗

<バンタム級/5分3R>
リネット・ハバロフ(ロシア)
Def.2R2分15秒by TKO
吉野光(日本)

Eagle FCバンタム級王者に挑む吉野が、ハバロフの右ヒザに左を合わせにいったタイミングで押し倒すようにテイクダウンを奪う。すぐに立ち上がったハバロフにヒザを突き上げた吉野は、左ワキを差して投げを打つがハバロフはしっかりと対応し倒れない。それでもケージに押し込んだ吉野だが、レフェリーがブレイクを命じる。左ローの吉野が、ワンツーで前に出てクリンチ。投げにワキを潜って防いだハバロフは、吉野の左にダブルレッグを合わせてバックコントロールへ。ボディロックから持ち上げてテイクダウンを取ったハバロフのバックコントロールが続く。

ハバロフは左足をフックし、立ち上がった吉野をコントロールし左で殴っていく。そのパンチのタイミングで吉野は立ち上がろうとしたが、ハバロフが許さない。左をフックされパンチを受けた吉野は自ら背中をつけ、ハーフから足を抱えてスクランブル狙いのところで時間となった。

2R、左から右を伸ばして前に出る吉野に対し、真っ直ぐ下がったハバロフはケージに詰まりながらダブルレッグでテイクダウンを決める。初回と同様にバックコントロールのハバロフが左足をフックし、左でワキ腹&顔面を殴る。我慢の時間が続く吉野は、上を向きながらハーフに取ろうとするが、ハバロフが逆にニアマウントのような状態に殴ってバックをとり切る。鉄槌、パンチと左右の拳を受け続ける吉野は頭を抱えるような仕草を見せたところでレフェリーが割って入りTKO負けとなった。


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DEEP DWCS MMA MMAPLANET o TSUNE UAEW UAEW45 UFC   アムル・マゴメドフ アリ・アルカイシ キック サンスハル・アディロフ チムール・ヴァリエフ パウリアン・パイヴァ フィルカドベク・ヤクボフ ボクシング リネット・ハバロフ ヴァルテル・コリアンドロ 上久保周哉 吉野光 海外 藤田大 藤田大和

【UAEW45】2度目のアブダビでアディロフと対戦、藤田大和「前回のように伸び伸びと戦います」

【写真】現地でよく利用するというショッピングモール『ムシュリフモール』前にて。2度目のUAEW出場とあってか、現地到着後もリラックスできているようだ (C)TAKESHI YAMAZAKI

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45で、藤田大和がカザフスタンのサンスハル・アディロフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

藤田は8月にフィルカドベク・ヤクボフをギロチンで倒して以来、2度目のUAEW出場となる。21日に開催されるUFCのファイトウィーク内で行われる今大会で、11勝1敗1分の強豪アディロフと対戦することになった藤田。現地入り翌日に現地の様子と試合への意気込みを訊いた。


――今回の試合は開催日が20日から17日に変更されました。その日程変更は現地入りスケジュール等に影響を及ぼしましたか。

「特に影響はないですね。開催日の変更を聞いたのは最近の話ですけど、実は最初に試合の話が来た時――開催日については17日~22日の間で、まだ会場も決まっていなくて。そこから細かく決まっていくなかで、最初から『これは17日の開催もあるな……』と思っていました(笑)」

――えっ!? 21日に現地でUFCが行われるため、開催日が流動的だったことは致し方ないとしても、22日ということはUFCの翌日に試合をする可能性もあったのですね。

UFCファイトウィーク内でもあるため、空港からホテルまでの道にUFCの看板が設置されている(C)TAKESHI YAMAZAKI

「そうなんですよ。僕は17日の試合という最短のスケジュールを想定して動いていたので、特に問題はなかったです。それに17日開催で良かったと思っています。早く試合がしたかったので」

山﨑剛Me,We代表 9月に入って試合のオファーがあり、開催日も20日で決まって契約書にもサインして返送しました。でも9月末にUAEWのSNSで、開催日が17日に変わっていることに気づいて(苦笑)。僕は15日のグラチャンでTSUNEのセコンドについてからアブダビに入るつもりでしたが、予定を変更しました。グラチャンが終わってすぐ日本を発っても、大和の試合の前日には到着できたんです。でも減量のこともありますし、さすがに大和を1人でアブダビ入りさせるわけにはいきませんからね。

――それは大変でしたね……。今年8月にフィルカドベク・ヤクボフと対戦した時は、1試合契約だとお聞きしていました。ヤクボフに勝ち2度目のUAEW出場が決まったということは、前回の試合が現地でも評価されていたということですか。

「いえ、こちらから前回の試合後にアピールしていました。UAEWが10月に――しかもUFCのファイトウィーク内に大会を開催することは知っていたので。大会後にマッチメイカーの方に『次も出たい!』と伝えて、会場から帰りました(笑)」

――それだけ10月の出場をアピールしたのは、やはりUFCのファイトウィーク内の開催……UFC関係者が試合を見に来るという点が大きかったのでしょうか。

「はい。それは間違いないです」

――なるほど。8月のヤクボフ戦ですが、ヤクボフが打撃戦ではなく組みに来たのは意外ではなかったですか。

「過去の試合を視ていると、ローキックに合わせてテイクダウンを狙っているので、それは想定内でした。試合では僕としても思っていた以上に右カーフが当たって、相手も効いていたからテイクダウン中心で来たんだと思います。でも、もともとパンチを振りつつ組んでくる選手で。自分もテイクダウンされていましたが、あの展開になっても驚きはなかったです。本当は1Rも寝かされてから立ち上がりたかったけど、少し様子を見て……。結果、相手が組んできたところにギロチンが入るなと思っていて、2Rにフィニッシュすることができました」

――アブダビでの試合と日本の試合では、何が違いましたか。

ホテルにはマットスペースも(C)TAKESHI YAMAZAKI

「前回の試合は、とにかく気持ちが楽でした。日本で試合をする時は、どうしても試合前にやることも多くて。試合当日も応援してくれる方が多いので、気負ってしまうこともあるんですよね。僕の場合、気負いすぎることが多くて(苦笑)」

――アハハハ。知っている人が誰もいない会場のほうが戦いやすかったのですね。

「会場で知っている人といえば山﨑さんとコーチ、それと日本から応援に来てくださったジムの会員さんが1人という状況でした」

――その状況の中でヤクボフに勝利した瞬間は、どのような気持ちでしたか。

「それはもう視てのとおりです。久しぶりに勝って叫んじゃいました。あんなに叫んだのは、DEEPのベルトを獲った時以来じゃないですか」

――確かに、あれだけ藤田選手が感情を露わにしたことは驚きでした。前回の1勝は自身のMMAキャリアに、どのような影響を及ぼしたと思いますか。

「それはまだ分からないですね。前回の勝利も、たまたまだと思っていますし。UAEWでの戦いも始まったばかりで、今回の試合もそう簡単にはいかないです」

――では今回対戦するサンスハル・アディロフの印象を教えてください。

「アディロフは8月の大会にも出場するはずだったんですよね。戦績を見て『強い選手がいるんだなぁ』と思っていたら、前日に試合がキャンセルになって。今回の試合が決まってから映像を視てみると、足を使ってジャブを突くパンチ主体の選手ですけど、自分から組みに行く場面もある。対して相手が組んで来るとスプロールすることもできて、何でもやれるタイプです。あとはRNCでフィニッシュしている試合が多いので、そこは注意しないといけないと思います」

――前回のインタビューではヤクボフの出身地であるウズベキスタンのボクシング事情についてお話いただきましたが、ちなみにカザフスタンの印象というのは……。

「いまアマチュアボクシングではウズベキスタンが世界一ですけど、その前はカザフスタンでした。僕も初めて海外の大会に出た時、カザフスタンの選手に負けていて。大会では、その選手が優勝していました」

――アディロフもそうですが、スムーズにパンチを出してくるボクサーが多いですね。

同日UAEW45に出場する吉野光、帯同している上久保周哉(C)TAKESHI YAMAZAKI

「僕は、どちらかといえばパンチを振ってくる選手のほうが、やりやすかったです。でも今はMMAの試合ですし、どういうタイプが来ても大丈夫です。相手が打撃戦をやってくるなら自分もやりますし、どんな展開になっても良いですよ」

――それは楽しみです。ご自身の試合が終わったあと、UFCも観戦して帰国するのですか。

「いえ、試合の翌日に帰国します(苦笑)。UFCが21日開催なので、4日も空いてしまっていますからね……。最初は20日開催だったので、観戦して帰るつもりでした。空港からホテルに向かうまでの道にもUFCの看板がたくさん設置されていて」

――UFCのファイトウィーク内に開催される大会で、アブダビ版DWCSの様相を呈している今回のUAEWです。対戦相手のアディロフもDWCSにエントリーしていておかしくない戦績ですし、その中で藤田選手はどのような試合を見せたいですか。

山﨑 入れ込みすぎると良いことはないので、前回のようにリラックスして戦ってほしいです。

――先に山﨑さんから注意のようなコメントが入りました(笑)。

「アハハハ。前回のように伸び伸びと戦ってきます!」

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時00分~ UFC Fight Pass

■UAEW45対戦カード

<UAEWライト級王座決定戦/5分5R>
アムル・マゴメドフ(ロシア)
ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)

<バンタム級/5分3R>
チムール・ヴァリエフ(ロシア)
パウリアン・パイヴァ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ラニー・ザーデ(ドイツ)
ジェニル・フランシスコ(フィリピン)

<ライトヘビー級/5分3R>
アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)
バルトシュ・シェフチェク(ポーランド)

<150ポンド契約/5分3R>
アリ・アルカイシ(ヨルダン)
ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
リネット・ハバロフ(ロシア)
吉野光(日本)

<フライ級/5分3R>
ノウラ・アブザク(ヨルダン)
ヴィクトル・ヌネス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
サンスハル・アディロフ(カザフスタン)
藤田大和(日本)

<ライト級/5分3R>
アブダラ・コツホフ(タジキスタン)
ペトル・ブスドゥガン(モルドバ)

<139ポンド契約/5分3R>
マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)
ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<女子フライ級/5分3R>
アミーナ・ハダーヤ(豪州)
ワン・ホン(中国)

<ミドル級/5分3R>
カビブ・ナビエフ(ロシア)
アディス・タライベク・ウウル(キルギス)

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【UAEW45】ヌルマゴ門下ハバロフと対戦、吉野光「皆はタゲスタン人には組みで勝てないと思っているけど」

【写真】結果で自己証明。夢を実現するために、今、J-MMA界で最も険しい道を選択しているといっても過言でないUAEW参戦組の吉野(C)TAKUMI NAKAMURA

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45。吉野光はリネット・ハバロフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

3月大会で、のちにコンテンダーシリーズでUFCとの契約を勝ち取るヴィニシウス・ジ・オリヴェイラにTKO負けを喫して以来の再起戦となる吉野。今大会で対戦するハバロフはヌルマゴ・チーム所属、プロ戦績7勝0敗というオリヴェイラ以上の強敵だ。

自ら厳しい道を行く吉野は「僕はハバロフのような相手と戦いたくてUAEWに参戦している。ハバロフに勝つことが出来たら自分の実力に自信を持てると思う」と語った。


――前回3月大会ではヴィニシウス・ジ・オリヴェイラにTKO負けという結果に終わりました。まずあの試合から振り返ってもらえますか。

「基本的に自分は組んで寝かせて極めるか判定で勝つかというスタイルで、前回は寝かせて削ってフィニッシュする作戦だったんです。でも僕が思っている以上に相手が頑なに組みから逃げて付き合ってもらえなくて、自分のペースで戦えなかったですね。細かい部分では、最初にテイクダウンしたとところでパウンドを打とうとして立たれてしまったこと。一度のテイクダウンを大事にできなかったことが反省点です。結果論ですが、あそこは殴るのではなく、まずしっかりと抑えるべきでした。そのあと何度かテイクダウンにトライしたのですが、テイクダウンできずにテンパったというか体力を消耗してしまいました」

――オリヴェイラはリーチも長く、徹底的に吉野選手のテイクダウンを嫌ってスタンドの打撃で勝負してきました。戦前からテイクダウンには苦戦すると予想していたのですか。

「簡単にはテイクダウンできないと思ったんですけど、僕も自分のテイクダウン力には自信があるし、だいたい初見の相手はテイクダウンできるんですよ。実際に先にテイクダウンできていますし。相手は過去の映像を見ても比較的組みをやる選手だったので、僕の時もそうなると思っていたら、いざやってみると組みから逃げることを徹底していたので、そこは意外でしたね」

――KOシーンについては完全に意識が飛ばされたわけではなく、まだ続行できるように見えました。試合が止まった時はどんな心境でしたか。

「今まで試合でダウンをしたことがなくて、一瞬だけ記憶が飛んでいました。で、気が付いた時に『あっ、俺、寝てる。いかなきゃ!』と思ったら、レフェリーに試合を止められちゃいました。試合直後は止めないでくれよと思ったし、まだ続行できたと思うんですけど、僕がパンチをもらったのが悪いですし、あの倒れ方をしていたら止められても仕方ないかなと思います」

――あの敗戦を踏まえて、どのようなことを意識して練習をしていましたか。

「デビュー当初は自分の引き出しがなかったこともあって、テイクダウンして上を取ることしか考えてなかったんです。でも何戦か前から打撃にも自信がついてきて、テイクダウンして立たれても『打撃でやってやるよ!』というスタンスになって。抑え込まずに殴ったり、欲を出してフィニッシュしにいったり…そういう戦い方になっていました。今はそこを見つめ直して、まずはコントロール優先で戦うことを意識するようになりました」

――また吉野選手の打撃は思い切りがいい分、相手の打撃を被弾するリスクもあるように見えます。そこはどう考えていますか。

「これは僕の感覚なんですけど、中途半端に相手のカウンターを警戒して打撃を出す方が危ないんですよ。だったら思いっきりいったほうがカウンターをもらいにくい。僕は自分の打撃の強味は思い切りの良さと突進力だと思うので、その強味を活かして戦いたいです。とは言え思い切りが良すぎるのもリスクがあるので、思い切り良くいくところと相手の打撃をもらわないで見るところのバランスを考えて練習しています」

――そこはスパーリングでも手応えを感じていますか。

「今までの僕は縦の動きしかなくて、離れた間合いで真正面からバーン!とテイクダウンに入る感じだったんです。でも今はサイドステップや横の動きを使うように意識していて、まだ完ぺきではないですけど少しずつ変わってきたと思います」

――何か新しい練習として取り入れたものはありますか。

「いつもセコンドをやらせてもらっている新居すぐるさんと一緒にレスリングの安楽龍馬さんのパーソナルトレーニングを受けていて、安楽さんの関係で早稲田大学のレスリング部に行かせてもらいました。試合が決まったのが大会まで一カ月を切ったタイミングでしたが、今回の相手はレスリングが強い選手なので、強いレスラーを体感したいと思ってお願いしました」

――その対戦相手ハバロフはヌルマゴ・チーム所属、7勝0敗のいわゆる未知の強豪です。

「打撃で倒している試合もあるんですけど、基本的にはジャブ中心でそこまで倒すための打撃じゃないと思うんですね。あくまで一番の武器はテイクダウンとパウンドで。もちろん打撃にも警戒していますが、一番はレスリングに気をつけています」。

――ハビブ・ヌルマゴメドフと同門らしく、構えをスイッチしての打撃&テイクダウンで試合を組み立てるタイプです。

「相手は組み技が強いですけど、僕の武器も組み技だし、細かいテクニックに違いはあっても、大雑把に分けるとファイトスタイルは一緒だと思うんですよ。僕はMMAグラップリングが強い選手、例えばロシア人やタゲスタン人と戦って、自分の強みがどこまで通用するかを試したかったので、今回はすごく試合が楽しみです」

――自分のストロングポイントをぶつけて勝ちたいですか。

「相手の組みが強いからといって、距離を取ってテイクダウンを切って打撃を当てて…みたいな考えは一切ないですね。自分の強みをぶつけて、どう相手をそこにはめていくか。その過程で打撃を当てる部分もあると思いますが、あくまで僕は自分の組みで勝負します」

――打ち合いならぬ組み合いでの真っ向勝負ですね。

「僕が打撃のことを分かっていないのかもしれないですけど、足を止めて打ち合って、狙っていなかったパンチが当たってKOすることってあると思うんですよ。でも組み技はそういう要素が少ないというか、打撃ほどラッキーが起こりにくいと思うんです。しかもハバロフはそこが強い相手だから、ハバロフに勝つことが出来たら自分の実力に自信を持てると思います。みんなロシア人、タゲスタン人には組み技で勝てないと思っているけど、僕がそうじゃないところを見せます」

――見ている側もロシア系の選手の組み技を必要に警戒している部分はあるのかもしれませんね。

「それは多少あると思います。大人と子供のほど差があるとは思わないですし、ある程度のレベルまでいけば相性で勝ち負けが決まるくらいの差しかないと思っています。同じ人間が同じ体重でやるわけですし。柔道時代に100キロの先輩に稽古つけていただいていたことを思えば楽ですよ(笑)」

――次でUAEWは3戦目となります。UAEで試合を続けていることをどう捉えていますか。

「凄く嬉しいし、楽しいです。僕とやったオリヴェイラもコンテンダーシリーズに出てUFCと契約していて、UAEWはUFCへの距離が近いと思いますし、UFCには出ていないけど強い選手たちが集まっている大会なので、そこで戦えることを嬉しく思っています」

――海外の大会に出て、そこでUFC出場という同じ目標を持つ選手たちと競り合うことに意味を感じていますか。

「ここで連敗しているようではUFCにもいけないし、UFCで勝っていく選手にはなれない。絶対ここで勝ち残ってやろうと思っています」

――日本の団体でキャリアを積むだけではUFCへの距離感が分かりづらい部分もあると思います。

「それが海外で試合をしようと思った理由ですね。例えば日本のトップ選手がUAEWに出ても勝ったり負けたりだと思うんですよ。でも世界的にはUAEWで戦っている選手たちの方が評価が高いと思うので、僕はその中に飛び込んで結果を出すキャリアを積みたいです」

――ハバロフはまさに知名度はなくても強い、UFC参戦の可能性を秘めたファイターです。

「僕はハバロフのような相手と戦いたくてUAEWに参戦しているので、そういう意味でも試合が楽しみです」

――では今回どのような試合を見せたいですか。

「僕はUAEWと単発契約ですし、負けたら呼ばれなくなると思うので、今回に関しては何が何でも勝ちにしがみつきます」

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時00分~ UFC Fight Pass

■UAEW45対戦カード

<UAEWライト級王座決定戦/5分5R>
アムル・マゴメドフ(ロシア)
ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)

<バンタム級/5分3R>
チムール・ヴァリエフ(ロシア)
パウリアン・パイヴァ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ラニー・ザーデ(ドイツ)
ジェニル・フランシスコ(フィリピン)

<ライトヘビー級/5分3R>
アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)
バルトシュ・シェフチェク(ポーランド)

<150ポンド契約/5分3R>
アリ・アルカイシ(ヨルダン)
ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
リネット・ハバロフ(ロシア)
吉野光(日本)

<フライ級/5分3R>
ノウラ・アブザク(ヨルダン)
ヴィクトル・ヌネス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
サンスハル・アディロフ(カザフスタン)
藤田大和(日本)

<ライト級/5分3R>
アブダラ・コツホフ(タジキスタン)
ペトル・ブスドゥガン(モルドバ)

<139ポンド契約/5分3R>
マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)
ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<女子フライ級/5分3R>
アミーナ・ハダーヤ(豪州)
ワン・ホン(中国)

<ミドル級/5分3R>
カビブ・ナビエフ(ロシア)
アディス・タライベク・ウウル(キルギス)

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Black Combat DEEP MMA MMAPLANET o Road to UFC UAEW UAEW45 UFC UFC Fight Night その他 アムル・マゴメドフ アリ・アルカイシ カイラー・フィリップス カイ・カラフランス クリス・グティエレス サンスハル・アディロフ ショーン・オマリー ダナ・ホワイト チムール・ヴァリエフ ディラン・サルバドール ハオーニ・バルセロス パウリアン・パイヴァ フィルカドベク・ヤクボフ ブラッド・カトーナ ホジェリオ・ボントリン ボクシング マーク・ストリーグル ユ・スヨン ライカ リネット・ハバロフ ヴァルテル・コリアンドロ ヴィニシウス・ジ・オリヴェイラ 吉野光 藤田大 藤田大和

【UAEW45】藤田大和&吉野光が、UFCファイトウィークのアブダビでRoad to UFCよりも厳しい相手と対戦

【写真】吉野と藤田が、とんでもない猛者とアブダビで戦う (C)UAEW

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45に日本から藤田大和、吉野光の2選手が出場することが同プロモーションの公式SNSで明らかとなっている。
Text by Manabu Takashima

藤田は8月のフィルカドベク・ヤクボフをギロチンで倒して以来2カ月弱のUAEW再出場で、吉野は3月に──コンテンダーシリーズ第8週でUFCとサインを果たした──ヴィニシウス・ジ・オリヴェイラにTKO負けを喫して以来の再起戦となる。

当初の予定ではUFC294の前日=20日開催だった同大会だが、17日に前倒しとなり、会場も二転ほどした結果──同国のプロサッカー・チーム=アルジャジーラ・クラブの本拠地で実施されることとなった。

9日(月・同)に出されたプレスリリースで上位5カードが正式発表され、その文末には「その他のカードは今週中に決定する」と記されながら、実は同じ日に全対戦カードのCGが公とされており、そこにはしっかりと藤田と吉野の顔と名前が確認できる。

いかにも中東らしく、また「中東ではよくあることだ」と関係者が公言してしまうドタバタ感のあるイベントだが、Abu Dhabi Showdown Week2023と呼ばれるファイトウィーク大会らしく、16カ国からファイターが集まるなど注目すべき試合が多い。


そもそもUFCの前日開催ではセレモニアル計量と時間がバッティングし、ダナ・ホワイト&カビブ・ヌルマゴメドフのルッキンフォー・ファイトとして機能しないことから、スケジュールが前倒しになったとも伝わってくる今大会。かなりの可能性で両者が視察する展覧試合になり、出場選手にとっては千載一遇の機会ともいえる。

そんなUAEW45のメインはUAEWライト級王座決定戦=アムル・マゴメドフ✖ジェコンギル・ジュマエフの一戦だ。マゴメドフはヌルマゴ軍団の24歳の新鋭で、これまでの戦績は6勝0敗──3試合でRNCより一本勝ちがある。

対してウズベキスタンのジュマエフはキャリア10勝3敗のストライカーで、クラシカルなグラップラー✖ストライカー対決となる。とはいえジュマエフはUAEWでディラン・サルバドールにヴァンフルーチョークで敗れた1試合しか経験しておらず、マゴメドフ・アップの試合という見方は十分になされる。

(C)Zuffa/UFC

勝負論でいえばコメインのバンタム級戦=チムール・ヴァリエフとパウリアン・パイヴァの顔合わせがより興味深い。

WSOFで5勝1敗、PLFで3勝0敗、UFCでは2勝1敗のヴァリエフは、TUFシーズン31でブラッド・カトーナに敗れオクタゴン復帰がならなかった。が、ハオーニ・バルセロスに勝利しWSOF時代には今週末のUFC Fight Nightに出場するクリス・グティエレスと1勝1敗と、正真正銘オクタゴンで戦うだけの力を持った実力者だ。

(C)Zuffa/UFC

対するパイヴァはUFCで3勝4敗。

カイ・カラフランス、ホジェリオ・ボントリン、そしてショーン・オマリーらに敗れているが、カイラー・フィリップスから勝ち星を挙げており、ヴァリエフに劣らない力の持ち主といえる。

さらにはUAEWフェザー級及びUAEWアラビア・フェザー級チャンピオンのアリ・アルカイシが、世田谷育ちのUFCベテラン=マーク・ストリーグルに勝利しているイタリアのヴァルテル・コリアンドロとノンタイトル戦で戦う。UFC級、UFCを目指す選手が砂漠に集まる大会で藤田大和は11勝1敗1分のカザフスタン人ファイター=サンスハル・アディロフ、吉野光はヌルマゴ・チーム所属のダゲスタンファイターで7勝0敗のリネット・ハバロフと戦うこと決まった。

DEEP ✖Black Combatの対抗戦で日本を震撼させたユ・スヨンがバンタム級のベルトを巻くカザフのNAIZAとヌルマゴ所有のEagle FCという両プロモーションのフライ級とバンタム級で計6勝0敗のアディロフは、スイッチヒッターでジャブが伸びるボクシングと、テイクダウン防御に優れたレスリング力を持つ。

さらには倒されないように戦うなかで、アナコンダチョークやがぶってバック奪取という堅守&カウンターアタックも強い。バックを取ってからの安定度も抜群のアディロフと藤田の一戦はフライ級タイトルが掛かっていても一切おかしくない対戦といえる。

他方、吉野と戦うハバロフは所持していたGorilla Fightingバンタム級王座がEagle FCに移管され、現時点で4度防衛中の現役王者だ。ハバロフもまたスイッチヒッターだが、打撃は前蹴りを見せて組むためのオーバーハンドが定番で、最大の強味は左右どちらの手が前にあっても、問題がなく相手を倒し続けるテイクダウン能力の高さだ。

倒せばコントロールする力も抜群で、抑え込みも非常に強い。それ故にボディロックに来た際の吉野の担ぎ系の柔道技や内股、倒された時のブリッジでリバーサルという展開が見られるのか。

もちろん、その2つの局面が強いことはハバロフ陣営は百も承知だろう。それでの通じるのが本当の意味での必殺技。吉野にとっては日本で決めまくった技術が、ダゲスタンのトッププロスペクトに通じるのか、真価が問われる一戦となる。

同様に藤田にとっての今回の試合も彼が日本で見せることがなかった近距離での打撃の攻防が、中央アジアの猛者を相手に有効なのか──ここも注目すべきポイントだ。

いずれにせよ、藤田と吉野は国内のどのプロモーション、アジア系の大会、さらにRoad to UFCよりも手強い相手と両者は砂漠で戦うことになる──これが彼らのMMA道、痺れるチャレンジだ。

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時時~UFC FIGHT PASS

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【DWCS S07Ep08】吉野光をKOしたオリヴェイラと、メキシコの柔術マジシャン=マドリガルの一戦に注目!!

【写真】粗いが一発はあるオリヴェイラ(C)UAEW

26日(火・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでDWCS S07 Ep08が開催される。
Text by Manabu Takashima

先週はタリタ・アレンカとステファニー・ルシアーノがドローとなり、後者がサインを果たすというコンテンダーシリーズ初の出来事が起こったが、そのルシアーノを含め7週間で実に13人のブラジル人ファイターがUFC行きを決めている。

1週で2人以上の高確率。そのブラジルから今週もヘビー級でマリオ・ピアゾン、バンタム級でヴィニシウス・オリヴェイラが出場する。


オリヴェイラは3月のUAEW39で吉野光から初回4分02秒、KO勝ち収めているファイターだ。一度はUAEWバンタム級王座に就いているオリヴェイラは、ベルト奪回よりも砂漠経由でUFCへの最後の難関に挑むこととなった。

KOパワーを持つ右、そしてヒザ蹴りと強烈な武器ではあるが、一方でディフェンスは甘い。よってインパクトの大きな勝ち方だけでなく、負け方もしているのがオリヴェイラの特徴といえる。吉野はその荒い打撃の渦に巻き込まれたが、UFCの中で戦うには粗すぎるという見方もできる。

とはいえUFCとの契約を賭けた試合では、「過去は関係。その日の倒す意志力」が問われるため、豪快な勝利もできるファイトはコンテンダーシリーズに向いているだろう。それでも契約確定を狙いアグレッシブさが過ぎると、穴も大きくなることも予想される。

そんなオリヴェイラと対戦するヴィクトル・ウゴ・マドリガルは、メキシコMMA界での異色の柔術ファンタジスタだ。キャリア12勝3敗、ブドー・セントー・チャンピオンシップのバンタム級王者は7つのKO勝ちと3つの一本勝ちを誇っている。

ダブルレッグを仕掛けられると、尻もちをつくまでに一回転、キャッチしてきた腕にオモプラッタをセットアップ。がぶりから、ワキを差して来た腕をウィザーで固定して頭をステップオーバー→相手の背中に乗る形で腕十字。インサイドトリップを小外で耐え、横回転で上を取る──スタンド・スイープ。首相撲で引き込んで巴スイープの要領でマウント奪取。マウントでは、正面からRNCクラッチでギロチン──等々、他の試合で目にすることがない動きをマドリガルは見せてきた。

加えてスタンドでもアグレッシブなキックボクシングを仕掛けるマドリガルだが、コンテンダーズ&PFLベテランのアレハンドロ・フローレスに判定負けを喫したこともあり、打撃戦ではオリヴェイラの大砲を被弾する可能性は決して低くない。それでも、その異次元MMAグラップリングは一見の価値がある。

■視聴方法(予定)
9月27日(水・日本時間)
午前9時~UFC FIGHT PASS

■対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
ダニー・バーロウ(米国)
ラヒム・フォレスト(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ゾルダットキン(米国)
マリオ・ピアゾン(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダニー・シルバ(米国)
エンジェル・パチェコ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
エルネスタ・カレクカイト(リトアニア)
カーリー・ジュディシー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ヴィニシウス・オリヴェイラ(ブラジル)
ヴィクトル・ウゴ・マドリガル(メキシコ)

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