加古拓渡 バックコントロール・ラボラトリー
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Institute of Jiu-jitsu BACK CONTROL LABORATORY
by TAKUTO KAKO
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岡田准一さん、1回戦勝利。
— Takuto Kako:加古拓渡 (@takutokako) August 31, 2023
茶帯で勝てるのは凄いです! pic.twitter.com/4C4hB1mCiZ
【写真】トップのポイントが入らない──柔術の結果論でなく、過程を重視した得点方式に敗れた感もある飛龍。改めて奥深い競技だ(C)SATOSHI NARITA
2021年12月9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text by Satoshi Narita
レポート第10弾、茶帯ルースター級に参戦した丹羽飛龍の決勝戦と──黒帯での将来を見据えた、試合後のインタビューをお届けしたい。
<ルースター級決勝/8分1R>
マテウス・ヴィラサ(ブラジル)
Def. 2-0
丹羽飛龍(日本)
連続一本勝利で勝ち上がってきた飛龍、決勝の相手はAres BJJ所属のマテウス・ヴィラサだ。
序盤、飛龍はダブルガードからベリンボロを狙うが凌がれ、ヴィラサをクローズドガードに捕らえたところで上になったヴィラサに2ポイントが入る。
その後、クローズドを解除した飛龍は左足へのアンダーフックデラヒーバから潜り込み、ウェイターガードからバックを狙う。執拗にバックを狙う飛龍は一連のアタックで3つのアドバンテージを獲得する。
さらにハーフマウントにヴィラサを捕らえると肩固めを仕掛けてアドバンテージを追加──残り3分、相手をスタックしてプレッシャーをかける飛龍だが、守勢に立つヴィラサも柔軟なガードでポジションを与えることは巧みに回避する。
残り1分、50/50で上からヴィラサの左足をフットロックのグリップで抱えていた飛龍は身を翻して右足へのトーホールドに切り替え、最後のアタックに望みをかけるが、ヴィラサは回転してエスケープしタイムアップ。
最終的に8つのアドバンテージを得た飛龍だが、序盤の2ポイントを返すことができず、あと一歩のところで優勝を逃した。
前回の2019年大会では紫帯3位。優勝は逃したとはいえ、茶帯というよりハイレベルなトーナメントで一段高い表彰台に上った丹羽飛龍に、今回の戦いを振り返ってもらった。
ーー1回戦はシード、初戦(準々決勝)と準決勝は一本勝ちで快調に勝ち上がりました。
「『全試合一本で行くように』とギィ(・メンデス)から言われていたし、自分もそのイメージだったので、決勝は負けちゃったんですけど、初戦と準決勝は1〜2分で極められたのは良かったです。初めてのムンジアルだった前回(2019年)は初戦しか極められなくて、けっこうヘロヘロになりながら試合して、加古拓渡さんと試合したケヴィン・カラスコに準決勝で僅差で負けちゃったんですけど、今回は体力的にも余裕を残して決勝に行けました。
そのために練習でも“極める練習”をするようにギィに言われていたんです。練習内容がAOJの中で僕だけ特殊だったというか、茶帯ルースターは僕とココ(・イズツ)君だけで、同じ体重の選手と練習する機会があまりなかったので、ムンジアルの2週間前まではフェザーやライトの大きな人とガンガン練習して、2週間を切ってからは紫帯や青帯のジュブナイルを極める練習ばかりしていました。ポジションを取ったあとに極める練習と、ガードから一気に極める練習の2パターンに取り組んで」
ーーその練習が生きたわけですね。
「作戦通りに運べました。体力を温存しながら勝ち進んでいけるように、初戦はフットロックやトーホールドを狙う予定でしたし、実際に試合で足関を極めたのは初めてだったと思います。今まで足を狙いにいくことがあまりなく、トーホールドとかは茶帯でAOJに戻ってきてから本格的に練習し始めたので、最初は全然使えなくて。パンナムでも1、2回戦は足関で勝つプランだったけどうまくいきませんでした。でも、ムンジアルの1、2カ月前から練習で極まるようになって『試合でも使える』という気持ちになれたと思います」
ーー決勝のマテウス・ヴィラサ戦では、序盤で取られたスイープのポイントを返せずに0-2で敗退でした。中盤でバック狙いから上になった飛龍選手にポイントが入らない、とセコンドのギィたちが猛抗議をしていましたね。
「ギィはそう言ってくれていたんですけど、ポイントが入らないのが正しいみたいです。一度バックを狙ってワンフックまで入れたので下ではなくなったので、上を取ってもポイントが入らなかった感じで。ただ、結局極められなかったのが悪かったと思っています。
試合後にギィとも話したんですけど、『タイナン(・ダウプラ)たちのレベルになると、試合で何が起こっても極められる。ヒリュウも優勝するレベルにはいるけれど、そこが足りていない』と言われました。
実際にそうだと思います。メンデス兄弟やタイナン、ジョナタ(・アウベス)なら何が起こっても逆転していると思うし。紫帯で初めてパンナムに出た時の準決勝の相手で、その時はパスもマウントも取って三角で極めたんですけど、今回はツメが甘かったです」
ーー改めて、茶帯での準優勝という結果についてはどう思いますか。
「うれしくないわけではないけれど、やっぱり悔しい気持ちのほうが強いです。黒帯1年目でインパクトを残せる強さになるためには、今回のメンバーなら優勝していないとダメでした。タイナンみたいに黒帯でいきなり優勝するにはまだまだ実力が足りないと感じた2位でした。でも、メダルを獲れないで終わったわけではないので、来年こそは優勝したいです」
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8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi
2年半ぶりに開催された、道着着用柔術の世界最高峰の大舞台。レポート第2弾はライトフェザー級に挑んだベテラン=加古拓渡のラストムンジアルの模様をレポートしたい。
<ライトフェザー級1回戦/10分1R>
ケヴィン・カラスコ(米国)
Def. 1分03秒by 腕十字
加古拓渡(日本)
競技柔術が大きな変革期を迎えたゼロ年代後半、いち早くその技術を吸収し「日本のベリンボロ・マスター」と呼ばれた加古の相手は13歳年下、22歳のケヴィン・カラスコは昨年のパン大会の茶帯の部を制し、師匠のケイシーニョことオズワウド・モイジーニョから黒帯を与えられた新鋭だ。
試合開始と同時に引き込む加古だが、同時にカラスコも足を左足を飛ばしており、これがテイクダウンと判定され2点が宣告された。
片襟の加古に対して、カラスコは素早く左に回ってのパスを仕掛ける。上四方につかれたかに見えた加古だが、ここはヒザを入れて隙間を作り体勢を戻す。するとカラスコは、左手で加古の右のズボンを掴んで大きな動作のレッグドラッグへ。
カラスコはそのままサイドに回ると、間髪入れず腕十字を仕掛ける。
完全に右腕を伸ばされながらもなんとか動いて脱出を試みる加古だが、腰を浮かせたカラスコに強烈に極められてしまい万事休す。僅か1分3秒の出来事だった。
敗れた加古は、試合後自らのSNSにて10年に及ぶムンジアル挑戦からの撤退を表明した。
日本における競技柔術新時代を牽引し、2016年には優勝したパウロ・ミヤオの失格もあったが、ライトフェザー級で3位を獲得。ライトヘビー級で戦うための過酷な減量、ムンジアル出場ポイントを得るために豪州遠征など、競技柔術家として自己ベストを目指す姿勢を貫き、その名を柔術史に刻んだ。
今回も最後まで妥協せず勝利の可能性が最も大きいライトフェザー級に出場した加古拓渡。新鋭に真っ向勝負を挑んだ上での潔くも見事な散り際だった。
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