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【RIZIN】朝倉未来 平本蓮に完敗!引退発言を考える

昨日開催された超RIZIN.3。久しぶりのさいたまスーパーアリーナスタジアムバージョンの熱気にほだされる第1試合からフィニッシュシーンの連続。所英男が涙のTKO勝ちを収めると、セミでもレジェンドボクサーのマニー・パッキャオを相手に安保瑠輝也が大善戦。判定があれば勝っていたのでないかと思うほどの動きを見せて会場を沸かせました。

その中でも特筆すべきはやはり朝倉未来×平本蓮の一戦でしょう。4年に渡る激しい舌戦と張り巡らされた遺恨。その中に垣間見えるお互いのリスペクト。複雑に絡み合った伏線を回収する日がついにやってきました。

でも、待ち受けていたのは圧倒的に残酷な現実。RIZINの榊原信行CEOはその喪失感を髙田延彦×ヒクソン・グレイシーに例えていたのは絶妙。そうだよなとしみじみ思いつつ、私はどちらかというと、VTJ 1stで行われた佐藤ルミナ×所英男と重なりました。今回と同じく短時間決着。長い期間を掛けて煽られて妄想も膨らんでいただけに、「え?もう終わり?」という虚無感というか、物足りなさというか。切なさに近いものを感じたあの時と一緒の感覚です。

朝倉と平本。私の戦前の予想は5Rをフルに使っての判定決着。お互い待ちのスタイルのため、警戒し合って手が出ないまま試合が進み、歓声とブーイングに包まれながら試合終了のゴングが鳴る。。。そんな状況を想像していたので、まさか1Rで決着がつくとは予想だにしていなかったのは私だけではないでしょう。

それが故にパンチを簡単に被弾してあっさりとダウンした朝倉の姿は儚かった。格闘家として正直好きなタイプではないし、散々批判も書いてきました。それでも、ライト層にまで格闘技、RIZINの名前を浸透させてムーブメントを作ったのは朝倉未来という存在があってこそ。その男がこうもあっさりの敗れるとは。。。その姿は見ていて辛いものがありましな。

そして一夜明けて朝倉は宣言通り引退を表明。でも、平本蓮や榊原CEOなど現役続行を期待する声があちこちから湧き上がっています。確か、ウガール・ケラモフに一本負けを喫した後も引退表明をしながら、一転して現役続行を決断した前例もあるし、焦って結論を出さずに時間をかけてゆっくり考えればいいのではないかなと。

格闘家にとって引退撤回はプロテインを飲むくらい普通な事だし、引退するかどうかは本人の決断次第。何度も書いてますが、ピークが過ぎても三浦知良のように現役にこだわる選手もいれば、中田英寿のように余力を残しながらもスパッと第二の人生にシフトする選手もいます。大事なのは本人の意志。

かつて桜庭和志は「桜庭引退か?」という新聞の見出しを揶揄して「新聞記者なんかに引退させられたくない」と切って捨てました。まさしくその通り。SNSや外野の声に左右されず、自分がやりたいようにしてほしい。だって今の格闘技の盛り上がり、昨日のさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンの景色は朝倉未来がいなければ実現してませんもん。朝倉にはそれくらいのわがままを言う権利は間違いなくあります。また修羅の道に踏み入れるか。何はともあれ、まずはお疲れ様でした。
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超RIZIN.3:第7試合・所英男 vs. ヒロヤ

59kg契約。

両者オーソドックス。カーフを蹴るヒロヤ。右を打ち込む。またカーフ。足が流れて一回転した所。またカーフ。今度はミドルを入れた所。タックル。引き込んだ足関を狙う所だが、パウンドで引き剥がしたヒロヤ。離れて立った。両者カーフキックが相打ち。またカーフを蹴るヒロヤ。効いている。ヒロヤのカーフに合わせて右がビッグヒットしヒロヤ後方にダウン!すかさずマウントを取って肘のラッシュ!KO!

所まさかのKO勝ち。2012年、VTJでの佐藤ルミナ戦以来。

所マイク。「こんな展開になるとは考えていなかったけれど、ヒロヤ選手は日本を代表する選手になると思います」

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【修斗】プロフェッショナル修斗2023 Vol.8“FIGHT&MOSH”

231102shooto-sasuke-tanaka
お昼のCOLORS Produce by SHOOTO Vol.2 “FIGHT&MOSH”に続いて豊洲PITで開催されたプロフェッショナル修斗2023 Vol.8“FIGHT&MOSH”。こちらもメインでは世界フェザー級チャンピオンシップが配置され、さらにはレジェンド岡見勇信の修斗初参戦。そして修斗で初めて2階級制覇を達成したマモルの引退エキシビションマッチなどバリエーション豊かな大会になりました。


【第2試合 フライ級】
×内藤頌貴(パラエストラ松戸)
(2R 三角絞め)
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA)
前進してパンチをでプレスを掛けていた内藤。しかし逆に石井のパンチを被弾するとテイクダウンを許して形勢逆転。2Rに内藤の飛び膝をかわした石井がまたもテイクダウン。バックに周ってチョーク、下になりながら腕十字と仕掛けて最後は三角絞め。これで内藤は失神して石井が鮮やかな一本勝ち。まさかここまで差が出るとは。。。フライ級に戻して石井は凄味を増している。試合後にはフライ級王者の新井丈に宣戦布告。落ち着いたかに見えた修斗フライ級がまた荒れてきた。


【第3試合 フライ級】
〇猿丸ジュンジ(修斗ジム東京)
(1R TKO)
×安芸柊斗(MMAZジム)
予想外の短時間決着。勢いと若さで安芸が圧倒するかと思いきや、開始直後に猿丸のパンチがヒット。安芸がバランスを崩したところを上になってあっと言う間にパウンドアウト。現在進行形で現役バリバリの安芸に勝って引退なんてもったいないけど、かっこよすぎる。試合後の「修斗がずっと続きますように」というマイクも痺れました。


【第4試合 68kg契約】
〇リオン武(RISING SUN)
(2R TKO)
×内藤太尊(ROOTS)
4年半ぶりに復帰したリオンですが見えない右ストレートは今だ錆び付かず。じわじわと前に出てくる内藤に対して距離を取ってカウンターの右ストレート一閃。パンチが効いて背中を向けた内藤に右のパンチで追撃してTKO勝利。継続して試合をするかは別にして定期的に試合をするとなれば、バンタム級、フェザー級の台風の目になる可能性も。。。


【第5試合 マモル引退エキシビションマッチ】
マモル
(勝敗なし)
漆谷康宏&清水清隆& 佐藤ルミナ
Xとなっていた対戦相手の最後の1枠はまさかのルミナ。何とも心憎い演出。令和のRIZIN世代にはピンと来ないかもしれませんが、マモルはMMA冬の時代の軽量級戦線を支えてきた立役者。修斗で2階級を制覇したばかりか、パンクラスでも王座を戴冠した戦績はレジェンドと言うに相応しいでしょう。引退セレモニーもシンプルかつアットホームで非常によい雰囲気。マモルが指導した選手が修斗で活躍してくれる事に期待。お疲れ様でした!


【セミファイナル 第6試合 ミドル級】
〇岡見勇信(EXFIGHT)
(判定2-1)
×キム・ジェヨン(NOVA MMA)
岡見の試合をまた日本で、しかも修斗で見る事になるとは。。。どこか非現実感のある対戦カード。UFCで活躍していた全盛期の圧倒的な攻撃力はありませんでしたが、最後まで泥臭く組み付いてパンチ打っていく姿もまたMMA。アスリートとしてピークを越えてもなお現役に拘る岡見に最敬礼。


【メインイベント 第7試合 修斗世界フェザー級チャンピオンシップ】
〇SASUKE(マスタージャパン東京)
(3R TKO)
×田中半蔵(FUN'S)
2年連続でROAD TO UFCに出場してUFC参戦を目指したものの成就しなかったSASUKE。心機一転しての修斗参戦。絶対に負けられない試合でしたが、やっぱり修斗での安定感は抜群。3Rには膝蹴りを効かせてダウン気味にタックルにきたのを潰してパウンドアウト。王座防衛に成功しました。修斗では抜きん出た存在だけにやはりUFC参戦に拘りを見せるかのか。個人的には群雄割拠のRIZINフェザー級に打って出ると俄然面白くなると思いますが。。。2024年のSASUKEに注目が集まります。
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【FIGHT&MOSH】マモルがルミナ&漆谷&清水と引退エキシ「満足のいく幸せな現役生活でした」

【写真】「涙を流すのはキャラじゃない」。そんなマモルのための引退エキシだった(C)MMAPLANET

<エキシビションマッチ/1分3R>
マモル(日本)
※エキシビションのため勝敗なし
佐藤ルミナ(日本)&漆谷康宏(日本)&清水清隆(日本)

マモルの引退エキシビションマッチは1分3R制で、それぞれ3選手が順に登場。事前に名前が伏せれらていた「X」はマモル自身も正体を知らないという。

一人目は2009年の「修斗vsパンクラス対抗戦」で対戦した清水。ゴングが鳴ると清水はドロップキックを放ち、マモルはミドルの蹴り合いからスピニングバックエルボー。首相撲からヒザ蹴りを突き上げれば、清水はドラゴンスクリューを見せる。マモルは首相撲からヒザ・ヒジを繰り出した。

二人目は修斗で2戦して1勝1敗の漆谷。マモルはサウスポーの漆谷とミドルとローを蹴り合い、マモルが蹴り足をとってテイクダウンを狙いつつ、パンチを顔とボディに打ち分ける。さらにマモルは首相撲からヒザ蹴り。漆谷のハイキックをブロックして、このラウンドを終えた。

そして最後の相手「X」として登場したのが佐藤ルミナ。マモルが首相撲からヒザ蹴りを入れると、ルミナはスピニングバックエルボーからタックル。バックをとりつつ、ヒールホールドを極めて、マモルがタップアウトする。再開後、マモルが組んでヒジ・ヒザを繰り出して、エキシビション終了となった。エキシ終了後、マモルの相手を務めた3人がそれぞれマモルに言葉を送る。

清水清隆
「マモルさん、こうして現役生活を区切りをつけることになって、本当におつかれさまでした」

漆谷康宏
「マモルはライバルというか、格闘技に関しては尊敬しているけど、人としては尊敬してない。エキシのオファーを受けて、ぶっ飛ばしてやりたいと思ったけど、身体が動かなったです。マモルは僕がアマチュアの頃からチャンピオンで、尊敬する選手でした。マモルの背中を追いかけてやってきて、強くなることができました。おつかれさまでした」

佐藤ルミナ
「俺でよかったんですかね?田原さんに無茶ぶりされて。もともと俺と田原さんが知り合って、格闘家をサポートするようになって、その第1号がマモルで。17年前に自分がジムを出した時から打撃の指導員としてきてくれています。今日のエキシが盛り上がってくれてよかったです。今の若い子はマモルのことを知らないかもしれないけど、こんなだけどすごい。本当にすごいことをやった人間です。これをきっかけにみんなマモルのことをググったり、映像を見て技術を勉強してみてください。これからも後進の指導をやってほしいです」

そしてマモルにゆかりのある方々からのVTRメッセージが流され、マモルが最後の挨拶を行った。

マモル
「この度、引退セレモニーを行っていただけるということで、エキシを終えてうれしく思っております。この場を設けていただいた田原さん、サステイン坂本さん、大変感謝しています。今までずっと応援してくれたファンのみなさま、支えてくれた家族、両親。特に両親には心配もかけて、サポートもしてくれて、私事ですが心より御礼申し上げたいです。

現役時代一番の目標だったUFCには行けませんでしたが、最後の最後に四冠を獲ることができて、満足のいく幸せな現役生活でした。かっこいいことを言おうと思ったけど、エキシで飛んじゃいました。涙を流すのはキャラじゃないので、笑顔でみなさんに最後のご挨拶をしたいと思います。今までありがとうございました」


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【FIGHT&MOSH】修斗豊洲PIT大会でリオン武×内藤太尊、猿丸ジュンジ×安芸柊斗、マモル引退エキシが決定

【写真】3度目のMOBSTYLES興行には同ブランドにゆかりのあるファイターたちが集結することになる (C)サステイン

20日(水)YouTube「SHOOTO OFFICIAL」チャンネルにて、12月2日(土)に東京都江東区にある豊洲PITで開催される「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」の第1弾対戦カードが発表された。

修斗初進出となる豊洲PIT大会は昼の部=女子修斗公式戦COLORS Produce by SHOOTO、夜の部=MOBSTYLES presents FIGHT&MOSHの昼夜興行で行われる。MOBSTYLES(モブスタイル)は修斗をはじめ多くのファイターをサポートするスポーツギアブランドで、約3年9カ月ぶりに修斗とタッグを組んで3度目の大会開催となった。


動画ではMOBSTYLESの田原洋代表、サステインの坂本一弘代表が揃って挨拶。「久しぶりに修斗と一緒に大会をやらせてもらえることを楽しみにしています」(田原)、「MOBSTYLESとゆかりがある選手がたくさん出てくると期待しています」(坂本代表)と語った。

そしてリオン武×内藤太尊、猿丸ジュンジ×安芸柊斗の2カードが発表された。リオンは2019年7月のデュアン・ヴァン・ヘルフォート戦以来の試合で、内藤も2021年5月に宇野薫にKO勝ちして以来の試合となる。このカードはリオンが田原代表からオファーを受けて出場を承諾。自ら内藤との対戦をリクエストし、決定したカードだという。動画ではリオンと内藤が揃って登場し、試合への意気込みを語った。

リオン武
「お久しぶりです。試合が久々なんですけど、練習はずっと続けていて、いつか使う時が来るだろうと思って刀は磨いていました。そしてMOBSTYLESの興行があるから出ないか?と言われて、それでバシッとスイッチが入りました。その時にもう一個スイッチが欲しいと思い、僕の修斗のルーツは佐藤ルミナなんで、その血を受け継ぐ選手とやりたいと思い『内藤選手とやらせてもらえないですか?』とお願いしました。

試合が決まってからいきなり練習での動きが変わり、心が身体を動かすんだと実感しています。僕はルミナさんとやらせてもらって、その時もこういう心境だったんですけど、時を経て、ルミナさんの現役最後を知る弟子と対戦させてもらえることをうれしく思います。佐藤ルミナで始まったストーリーがほぼ完結するのが佐藤ルミナの弟子で、色んな方に感謝して当日を迎えて太尊とぶっ飛ばし合いたいです」

内藤太尊
「大先輩のラブコールを受けないわけにはいかないです。修斗が作り上げてきた歴史を、宇野さんとやらせていただいた時のように、背負うものがたくさんあると思いますが、気負いせずに自分らしい試合をして、殴り合って会場が爆発するような試合をしたいです。(リオンは)バリバリストライキングが強くて、僕とはバチバチの試合ができると思います」

続いて発表されたのが猿丸×安芸の一戦。猿丸は2008年に安芸の父=安芸佳孝に勝利したという過去がある。動画に登場した猿丸が「前回の試合でプロとしての役目が終わって、現役は終わりでいいかなと思ったんですけど、MOBSTYLESにはずっとお世話になっているので出ないとなと思いました。親父と戦って、息子とやるのも面白いですし、僕もだいぶベテランになって、この俺を倒してみろという気持ちです」と語る。

徳島在住の安芸からは「これから先、もうやることないだろうと思っていた選手と、おそらく最初で最後になると思っているので、みなさんが楽しめるような面白い試合になればいいと思います」というメッセージが届いた。

なお今大会には内藤頌貴の出場が決定。また修斗で2階級制覇、パンクラス、KOTCでもベルトを巻いたマモルの引退エキシビションマッチも行われる。

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女子格闘家が男子選手にスパーリングでボロボロにやられてしまう

佐藤ルミナのジムに出稽古に来たRENAが浅倉カンナ対策の為、男子選手とスパーリング。寝技で圧倒されてしまうシーン。

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【VTJ2021&Shooto2021#07】坂本一弘代表に訊く、VTJ─02─「VTJはずっと続けるモノではない」

【写真】今や伝説、Vale Tudo Japan99のTeam Japan登場シーン(C)SUSUMU NAGAO

11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストでVTJ2021とShooto2021#07を主催するSustainの坂本一弘氏インタビューPart.02。

歴史の節目に修斗に表れる裏歴史=VTJを1997年から指揮し、その前年の10月よりワールド修斗~サステインを母体に修斗公式戦を開いてきた坂本氏にVale Tudoとのパーセプションから、日本最弱を経て修斗のレコンキスタ、そして世界と遭遇する大航時代の象徴となったVTJを振り返ってもらい、11月のVTJ2021が果たす役割について話してもらった。

<坂本一弘インタビューPart.01はコチラから>


──カーロス・ニュートン!!  今も中村倫也選手と親交があるそうですよね。

「カーロスは倫也のお父さんの晃三社長にお世話になっていましたからね。あの時、カーロスは初来日で修斗ライトヘビー級王者だったエリック・パーソンに腕十字で一本勝ちしたんですよね。トム・エリクソンもフリーウェイトでエド・デ・クライフに勝っていますね」

──日本勢ではプロデビュー2年目で桜井マッハ速人選手も出場している。凄い面子ですね。

「凄いですねぇ、そう考えたら。今、誰に通じるんかいって話ですけど(笑)、エェ選手が集まっていますよね。まぁ、この年はやっぱりルミナがジョン・ルイスにリベンジを果たしたってことですかね。試合結果でいえば、ドローから一本勝ちなので決着をつけたということになるのですが、97年の公式戦からVJTと結果を残せたのも、ルミナだけは96年に仕留められずに引き分けたから。そういう違いは大きかったんだと思います。

そうですね……94年、95年から96年の日本最弱と呼ばれた大会を経て、VTJもグレイシー柔術への挑戦から、97年と次の年の98年では対世界という部分が色濃くなりましたね」

──なんといっても1998年は……。

(C)SUSUMU NAGAO

「エンセン井上✖ランディ・クートゥアーですね。

90年代のVTJと、その後のVTJ──性格も時代背景も違いますが、ベストバウトという見方をすると1位も2位もなくエンセン井上✖ランディ・クートゥアー、それと堀口恭司✖石渡伸太郎──この2試合しか出てこないです。3位以下はもう皆頑張った、エェ試合で選べない。でも、この2試合は別格。デカいです」

──とはいえ90年代VTJの集大成、1999年のVTJはイベント自体として印象に強く残っているモノではないでしょうか。

「あの年は原点回帰というか、世界を知った修斗が打倒バーリトゥードの母国に挑む。そういうコンセプトでしたね。試合前のセレモニーのチームJAPANの入場シーンは、未だに『格好良かった』と言われますね」

3分間流れたブラジル国歌、この日の第1試合で佐藤ルミナと戦ったのは、今やKINGS MMAの総帥ハファエル・コルデイロだ

──あれは語り継がれるべき、登場シーンだったと思います。

「そしてブラジル国歌がフルバージョンで流れ、ブラジル勢をブックしてくれたエリオ・グレイシーの愛弟子ジョアン・アルベルト・バヘットさんの挨拶が延々と終わらない。それに友情の印で木刀のプレゼントですよ(笑)」

──色々な意味で伝説です。

「1999年のVTJはVale Tudoからの卒業、集大成であるのと当時に僕らがやることも修斗に舵取りをするという時期にきていたんだと思います。VTJはずっと続けるモノではない。だから10年後に再開したり、今回も5年2カ月振りになりますしね。99年のVTJを終えて、修斗という競技をしっかりと確立していく……あの前後で米国、豪州、欧州、ブラジルでアマ修斗があり、プロ公式戦が開かれるようになった。VTJというモノがあり続けると、そういう活動に支障が出ていたかもしれないです。

それは言い方を変えると、それだけのテンションを持って続けられなかったということにもなります。99年のVTJは、やはりイベント全体として最高でした」

──修斗、MMAが確立する以前の決闘の雰囲気が残っていた大会です。

「2000年からNKホール大会が公式戦に変り、あの時代における一つの役割を終えたということですよね」

──それから22年を経て、世界、世界、海外、海外と口にはできますが、全くもって国内の情勢は厳しくなっています。

「あの頃とMMAが行われている国の数が全く違います。選手も世界中で生まれ、育っている。とはいえ日本のレベルも上がっています。絶対論でいえば日本も世界も上がっている。そして後発でMMAが始まった国の選手たちの力の伸び様や、MMAの市場規模の成長という部分で日本と海外を相対的に比較すれば、海外の方が力をつけているということで。

やはり次のステップ、ネクストステージに進むときに、何か楔となるモノが必要です。平良(達郎)、SASUKEも西川大和もそうです。次のステップに行くまでに経験しておくべきことってあると思うんです。それが修斗でできることもあれば、VJTでなければできないこともあります。そういうことを踏まえた上で、結論として『やっていた方が良くない?』という試合、場を提供したいということです。先輩風を吹かせると、ですね(笑)。

もっと華やかな世界はあります。海外で戦うという場合にしても、これはやっていた方が良い、コイツは越えておいた方がエェというのは常にありますよ」

──とはいえ現状、コロナ禍において外国人の招聘が難しく、スポーツ庁などに働きかけてもそれこそ90年代のVTJのような海外勢が半分出てくるというイベントは開けないです。今後ということも含め、どのような国から海外勢を招聘したいと考えていますか。

「まずお隣の韓国は外せないです。強い選手が多いのは当然ですし、地理的にも招聘しやすい。ただ、ワクチン接種が選手の世代にはなかなか回ってこないという事情があるようで。今回のVTJに関しては、韓国勢の招聘は見送ることにしました。そうなってくると北米になりますね。ワクチン接種が進んでいますし」

──対して日本勢というのは?

「僕が出てほしいのは平良、西川、SASUKE。彼らにはやはり出てほしいと思っています。『お前らが何か変えろよ』と、彼らには変える力がありますからね。そういう選手に海外から選手を招聘できるようなら、外国勢を当てたいですね。もしくは海外を経験してきた選手を。そういう選手と戦うというのも、現状のVJTの一つの要素ですね」

──ただし現在の修斗で海外を知る選手というのは、思い当たるのは宇野選手を筆頭にして、夜叉坊選手ですか。それとONEと契約している選手ですかね。

「ONEと契約している選手は、ONEとまず話をしてクリアーにならないといけないですが、そのパターンも視野にはいれています。あと石原夜叉坊はVTJ前に米国で試合があるようで(※10月17日にFury FCに出場しドローだった)。『決めてまいましたわぇ。このままじゃ、帰られまへんねん』ということでしたね」

──『帰られまへん』とは言わないでしょう(笑)。

「アハハハ。まぁ、夜叉坊も意地があるでしょうしね。そういうことで夜叉坊の出場はないですが、宇野薫(インタビュー後に原口央との対戦が決定)以外にも、ここはVTJですし修斗に出場経験のない選手の試合というのも考えています」

──VTJと修斗の昼夜興行というのも興味深いです。

「以前は一つのイベントで公式戦とVTJルールの試合を前後にわけて組んだことがありますが、イベントを並べるのは初めてですね」

<この項、続く>

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