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【UFC303】「ATTで揉まれてきたい」(鶴屋怜)。UFC初勝利、鶴屋怜&鶴屋浩、親子対談─02─

【写真】勝利後の鶴屋怜陣営。プロレスラーの中邑真輔さんは、和術慧舟會在籍時代に鶴屋浩氏が主催したアマ修斗・松戸フリーファイトに出場経験があるそうだ(C)Zuffa/UFC

6月29日(土・現地時間)、米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されたUFC303で、UFC初勝利を挙げた鶴屋怜と父・鶴屋浩の対談後編。
Text by Manabu Takashima

3-0の判定勝ち、打撃の攻防がなかったことで一部のファンから厳しい声が挙がったデビュー戦だが、UFCで勝って当然というデビュー戦を迎えた日本人ファイターが、一体どれだけいただろうか。一本勝ちできなかったことで、15分を戦いミスを洗い出すこともできた。ボーナスを貰えず、インパクトを残すには至らなかったかもしれない。それでも、いやそれ故に最高の経験ができたことになる。

反省すべき点をみつけ、これからに向けて鶴屋親子は何を想うのか。

<鶴屋怜&鶴屋浩対談Part.01はコチラから>


「打撃を当てられたら、それはダメなことになります」(怜)

──一本勝ちのプランが崩れた。その時に判定勝ちなら30-27も29-28も同じだという判断もされましたか。

 それは……結果論として、なってしまった。そういう風に捉えています。本当は攻め続けたかったけど、そうなってしまったからには勝つのが大前提なので。負けないためには最終回を落としても、リスクを避けた形です。

向うの一発逆転があるとすれば打撃。一本を取られることはない。なら、離れないでいようと。自分ではあのままで勝てるという自信があったので。俺がまるでダメだったようにいう人もいますけど、パンチで危ない場面もなくて、危険なサブミッションもなかった。抑えたときに下からエルボーが一発入ったけど、それだけで。効いたパンチは一発もなかったです。

投げと無双で失敗はしました。でも、何ももらっていない。それでも試合内容が良くないと言われるのであれば、勝つことに拘ってしまった……ということになります。

──UFC初戦、勝ちに拘り勝つことができた。ぶっちゃけていうとネガティブなことを指摘される筋合いは全くないかと思います。

 同時に今回の相手だから、ミスをしても勝てました。2Rを取っていても1度のミスで逆転される相手がUFCには、当然います。5分間で2つのミスをおかしたのだから、今後は同じミスをしないことが大切になってきます。

まぁ、僕は彼の父親でもあるので今回の勝利に「良かったよ。最高だったよ」とは言えないです。そして他の選手と同じように良かった点と悪かった点をあぶりだします。それが初回の足関節と最終回のスープレックス、そして無双ですね。

あの失敗をパントージャ相手にしてしまうと、やられます。そのミスがあって、今後の課題も見えた。その上で勝ったから、今回の試合は「良し」と捉えています。

──昨日、平良選手と松根さんの対談もMMAPLANETでさせていただいたのですが、松根さんは「鶴屋さんは父親だから怜に厳しいだけで、本当に良く戦っていました。怜は強くて、しっかりと戦っていた」と言われていました。

 有難いです。

──ところで平良選手と鶴屋選手、この世に生を受けた順番がありますよね?

 ハイ……。

 フフフフフ。

 順番なんですけど、俺は日本人で最初のUFCチャンピオンになりたくて、ここまで生きてきたので。

──最初のUFCチャンピオンに拘ると焦りが生じないでしょうか。最初でなくても、UFCのチャンピオンになるという目標設定でないと。そのために一本勝ちして、インパクトを残す必要があるという考え方だと、焦って落とし穴が見えないことがありそうで。

 焦る……。焦るというか……。

 一本を取るのは、ここまで続けてきたスタイルですし(苦笑)。自分から攻めるハイスパートを続けるのが、彼のスタイルなので。見ている人が楽しめる試合になって良いかとは考えています。

──もちろん、そうです。と同時にツイスターに拘り、バックからRNCに移行しなかったことがあった。一本への拘りとインパクトを残す拘りが合致しない局面が出てくると──ということなのです。

 それはそうですね……。それは、そうだ。

 俺が攻められていたり、拮抗した勝負だったらRNCを選択していたと思います。でも一方的に攻めていたし、取れそうだったから拘ったわけで。ただ、その考えこそが相手を舐めていた証拠です。ツイスターで取れないのなら、バックでチョークに切り替えるべきでした。そこは反省しています。

──ヘルナンデスが、最後の最後の局面に対処ができる選手だったというのも大きいです。同時にUFCで戦うには打撃が必要だという指摘もあります。個人的には勝つために必要で。UFCだから、打撃が必要というのはまた違うなぁという風に感じてはいるのですが……。

 ハイ。打撃を使って、負けでもしょうがないですからね。最適だと思う攻撃をする。彼は打撃の練習をしていないわけでもなくて、常にジムで打撃の練習を続けています。

 絶対に打撃戦が必要になる試合があることは分かっています。今回の試合ではテイクダウンをするために打撃を使いました。打撃を打ち合わないとダメなんですかね? 何を指摘して、ダメなのかは分からないです……。俺が打撃を当てられたら、それはダメなことになりますけど。

 相手の打撃を受けずに、組んでいく。勝つための技の選択ですからね。

──ハイ。テイクダウン狙いを切られ、打撃勝負に持ち込まれることはなかったわけですし。それこそが、現状の怜選手にとってされたくない試合になると思います。

 そうですね。そういう選手が、フライ級でいるのか……。レスリング・ボクサーと対戦になった時、例えばモカエフはまぁまぁレスリングを使いますね。

 モカエフは打撃も思い切りがあります。レスリングでやられることはないけど、打撃の方は警戒が必要だと思います。

 だから怜よりも、レスリングが強い選手が出てきた場合ですよね。彼が打撃を出す時というのは。

──MMAでは打撃はレスリングや柔術よりも、実力差を跳ね返すことができるという風にも感じます。

 でも、MMAだからレスリング力を跳ね返すことができると思います。俺は(中村)倫也さん、(太田)忍さんとレスリングをやると、天と地ほどの差があります。でもMMAレスリングだとそこまでじゃない。

──スミマセン、言葉が足りませんでした。MMAにおけるレスリングの攻防、柔術での攻防の方がMMAでの打撃戦よりも、そこの部分で力のある方が確実に勝てるということでした。

鶴屋 つまり怜がテイクダウン防御力が高くて、打撃を入れることができる選手と戦ったらということですよね。現状、フライ級ではそういうタイプは見当たらないですが、これから出てくる可能性はいくらでもありますしね。

──そういう風に、チームで意識ができれば良いことで。別にSNSで何か言われて、軸を乱す必要はない。

 とりあえず勝てた。それが一番で。判定勝ちだったけど、今回の経験を生かして次はしっかりと一本勝ちをしたいです。こんなもんじゃないという気持ちではいます(笑)。

──APEXでなくTモバイル・アリーナで戦ったファイトウィークは、どのような経験になりました。

 デカい会場で戦うことは、一つの夢でした。やっとUFCで戦えたこともあるし、過去一で興奮して。そして嬉しかったです。

そうですね、楽しかったといえば楽しかったです!! 計量とか、凄い人で。アレを経験できて良かったと思います。

デミアン・マイアと。実は今回の取材をしたファミリーレストランは、父・浩氏とジャカレ・ソウザ、マリオ・ヘイス、マイアが食事をしたことがある思い出の場所でもあった

 ただラスベガスの大会のファンって、PPVまで会場に来ない人が多いですよ。あれは驚きました。

それでも、これまでにない雰囲気で試合をしていました。怜はお客さんが多くて盛り上がっていると、より乗って来るタイプだと思います(笑)。今回の試合でも、入場の時から凄くリラックスしていて。

「北の湖のように「負けろっ!!」って思われるぐらい強くなれば良い」(浩)

──コールの時の表情など、自信が漲っていました。アンチからすると生意気に見えるでしょう(笑)。UFCで生意気に見える日本人も頼もしい限りですが。

 アハハハハハ。「負けろっ」って思っているんでしょうね(笑)。まぁ、アンチも増えていますね。

──本当に平良選手と対照的です。

 北の湖のように「負けろっ!!」って思われるぐらい強くなれば良いんだよ。

──親父さん……例えが、古くないですか(笑)。

 アハハハハ。まぁ、Xとかで色々なことを書かれていますけど、セフードが良く言ってくれていたので。それで十分です(笑)。

──平良選手の活躍で、怜選手のUFCのデビュー戦を視るようになったライト層までその認知度が広まったということではないでしょうか。

 中学生か高校生が、何でも自分の意見を発信するという文化になりましたしね。まぁ、UFCで勝つことを当たり前に捉えてもらっているなら、それも期待値の高さだと受け止めて……そういう声も含めて、本来の予定よりも早くUFCデビュー戦を受けて、僕は良かったと思えています。5分3Rを戦って、何が良くないのかも怜自身が理解して、このままではいけないという気持ちになっている。すぐにATTに行きたいと言ってきました。

──そこで国内ではなくて、ATTにいう選択になるのは?

 もちろん日本でも良い練習はできます。ただATTでは世界のトップが揃っていて、練習に向かう時にも自分が緊張しているのが分かるんです。それは日本ではない、寝起きでそのままジムにいっても練習できるぐらいの感覚になってしまっていました。

それがATTだと1時間前に起きて、心の準備をする必要があった。スパーリングが5Rあると、全て世界のトップが来るんです。あの空気に慣れてしまえば、どこにいっても自分の力を出すことができる。全然、怖くないはずです。だからATTで、また練習をしたいんです。

堀口選手とやって、次がパントージャ。アドリアーノ・モライシュ、ハニ・ヤヒーラ、ダニー・サバテロが順々に前の目にいる。一回休もうと思うと、コーチから「レイ、休むな」って戻されて(笑)。で、アマチュアの選手にやろうって言われてスパーリングの相手をしたら、「ダメだ。こっちに来い」ってトップの方に連れていかれる(笑)。

──最高じゃないですか。そこにハニの名前が聞かれるのも嬉しいです。

 ハニ・ヤヒーラには寝技でボコられました。最初はヤヒーラと分からなくて、「このおじさん、誰だ?」って思っていたんです。

──ハハハハハ。渋くなり過ぎましたしね(笑)。

 でも、もう組んだらボコられて。やっぱり、良い経験になりましたよ。

 こういう話を聞くと、強くなれるなと思いますよね。僕らも負けない環境を創ろうと努力をしていますが、今ある最高の環境で練習をすることは大切です。ATTに行って、怜も一回り、二回りと大きくなったと感じています。

──パントージャが目標と公言していても、ATTやパントージャ自身は受け入れてくれるのですか。

 パントージャはPIで会った時も凄くフレンドリーでしたし、水抜き中もずっと話しかけられました(笑)。コーチたちも来てくれて『痩せたから分からなかったよ』って言う感じで。

──中村倫也選手も7月中にATTに行くという話も聞きましたが、怜選手の方は?

 気持ち的には8月中には行きたいですけど、次の試合がいつになるのかも考えて、1カ月から2カ月ほどATTに行こうと思います。とりあえず、揉まれて来たいです。

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC303 カーロス・ヘルナンデス 中邑真輔 鶴屋怜

【UFC303】組んで。投げて。攻めて、疲れた。鶴屋怜、オクタゴン初陣は29-28×3の判定勝ち

<フライ級/5分3R>
鶴屋怜(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
カーロス・ヘルナンデス(米国)

グローブタッチから右ジャブを見せる鶴屋が、レベルチェンジのフェイク。そして左リードで前に出る。ヘルナンデスは蹴りのフェイントを見せ、左ロー。鶴屋はダブルレッグから左足を取ってテイクダウンも、スクランブルからバックに回ったヘルナンデスが前方へスラム。鶴屋はキムラからヒザ十字に移行し、反応したヘルナンデスと共にスタンドに戻る。

ヘルナンデスが左ロー、右を見せる。鶴屋はジャブに左ジャブを合わされそうになる。ケージを背負ってからシングルに出た鶴屋は、ケージにヘルナンデスを押し込むとベリートゥベリーで後方に投げテイクダウン、サイドで抑える。ヘルナンデスはディープハーフもトップをキープした鶴屋は、トラックポジションからバックに。両足をフックすると背中を捩じるように逃げたヘルナンデス。ここから鶴屋は再びトラックに戻り、初回を戦い終えた。

2R、即ダブルレッグに出た鶴屋がリフトしてテイクダウン。ネルソンのヘルナンデスをねじ伏せるように背中をつかせる。頭を抜いた鶴屋はシングルのヘルナンデスにクルスフィックスへ。いわゆる腹固めでエルボーを落とすと、自ら背中をついてヒジを続ける。ヘルナンデスの反転にバックを取った鶴屋は、パンチを入れてフックを狙う。体を滑らせて背中をつけたヘルナンデスだが、再び鶴屋はトラックポジションに。ツイスター狙いの鶴屋は、腕を取らせないヘルナンデスにエルボーを落とし、ついにツイスターへ。足を抜こうとするヘルナンデスだが、サイドに移行した鶴屋は足を戻されても枕で抑えた。

ヘルナンデスのハーフから仕掛けを頭を掛けて潰し、エルボーを入れた鶴屋。さらにスクランブルのなかでパンチとエルボーを落としラウンド終了となった。

最終回、「上手く戦え。あと1R頑張れ」と父のアドバイスを受けた鶴屋は、すぐにシングルレッグに出て、ボディロックから後方に投げようとして潰される。下になった鶴屋は、肩で顔を潰されるがワキは許さない。レフェリーが動くように指示を受けたヘルナンデスに対し、質やが潜ってシングル狙いへ。ダースを取らせないでボディロックからレッスルアップの鶴屋は、ケージ押し込まれも時間を使う。鶴屋は前方に崩されつつ、腰に乗せて投げようとする。ここもポジションを許し切らず、立ち上がった鶴屋。ヘルナンデスも押し込むだけで、その先は鶴屋が防いでいる。

鶴屋はポジションを入れかえようとしたが、再びケージを背負わされシングルを防ぎ切ってタイムアップに。ジャッジは3者とも29-28で鶴屋を支持しコーナーを務めた中邑真輔ポーズを取った。


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【UFC】鶴屋怜のUFCデビュー戦に中邑真輔がセコンド入り

618: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/06/27(木) 06:12:39.06 ID:1H3UvUcG0
鶴屋のセコンド中邑真輔なのかw


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鶴屋怜「(『UFC 303』のカルロス・ヘルナンデス戦は)中邑真輔さんにセコンドに付いてもらうことになりました」(動画)

KAMINOGE 130 中邑真輔に20の質問 KAMINOGE編集部/編




 6月29日にネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催する『UFC 303: Pereira vs. Prochazka 2』でカルロス・ヘルナンデスを相手にUFCデビュー戦を行う鶴屋怜のインタビュー動画。中邑真輔にセコンドに付いてもらうことになりましたとコメントしています。


 格闘家の鶴屋怜(22=THE BLACKBELT JAPAN)は日本時間30日、格闘技イベント「UFC 303」でUFCデビュー戦を迎える。UFC日本公式のインタビューでセコンドにWWEスーパースターの中邑真輔が付くことを明かした。

 世界最高峰の舞台への挑戦がいよいよ始まる。鶴屋の戦績はこれまで9戦9勝無敗。判定決着は1戦のみでフィニッシュ率も高い期待のファイターだ。今回の相手はカルロス・ヘルナンデス(30=米国)となっている。

 鶴屋は元UFCファイターの水垣偉弥氏による試合前インタビューで中邑がセコンドに付くことを告白。鶴屋の父で「THE BLACKBELT JAPAN」総帥である鶴屋浩氏は大のプロレス好きとして知られている。

 中邑はいまやWWEスーパースター。ABEMAプロレスの公式YouTubeチャンネルでは昨年11月、柔術の名門ジム「カルペディエム」での練習映像が公開され、茶帯であることが明かされていた。



Shinsuke Nakamura(Sherdog)

 オールドファンはご存知でしょうが、中邑真輔は20年ほど前はプロレスラーのMMA要員としてINOKI BOM-BA-YEやDynamaite!!、K-1 ROMANEX等に出場したことがあります。MMA戦績3勝1敗1無効試合。続きを読む・・・
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お蔵入り厳禁【UFN239】3月16日にUFC2戦目。風間敏臣が話していたこと「打撃専門のジムに任せたい」

【写真】インタビューから1カ月半、また風間の話が聞きたい (C)MMAPLANET

3月16日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN239:UFN on ESPN+97でチャラランポス・グリゴリユウと戦うことが報じられている風間敏臣。
Text by Manabu Takashima

(C)Zuffa/UFC

グリゴリユウはUFC唯一のキプロス人ファイター。

空手のキプロス、パンヘレニック(全ギリシャ)、欧州王者からキックボクサーとなりGLORYで戦った経験もあるストライカーで、Combat FCバンタム級王者から昨年8月のコンテンダーシリーズへ。第2週にキャメロン・スマーザーマンを60秒KOで破り、UFCとサインを果たした。風間はグリゴリユを通して、自らの課題と真っ向から向き合うUFC2戦目となった。

昨年8月の初陣は惨敗といって良い内容だった風間だが、その敗北と柔術ベースの自らのスタイルをどのように考えていたのか。MMAPLANETでは11月にWWEスーパースターの中邑真輔とシェイナ・ベイズラーの柔術公開トレーニングに参加した風間の胸中を訊いていた。お蔵入り厳禁、風間敏臣のUFCで戦っていくために下した──選択とは。


――実は8月のギャレット・アームフィールド戦の敗北以来、どのタイミングで風間選手の話を訊けば良いのか。そのような気持ちもありました。

「……(苦笑)」

──あれから3カ月、どのようにMMAと向き合ってきたのでしょうか。

「あの試合に向けて練習で創っていたのは、距離を大切にすることでした。それまでは、そういうことをしたこともなくて。でも試合が始まって……その大切にしてきた部分が、最初のジャブを貰ってから『全く距離感分かっていねぇじゃん』ってなりました。

それは試合中もそうですし、後から映像を見返しても本当にそうで。全部、ズレていました。中途半端で相手の距離にいました。やっていたことが体に沁み込んでいなかった。そう思いました」

──本音の本音をいえば、UFCと契約する前にその辺りのことを気付く経験をしている方が良かったはずです。ただし、UFCと契約できるのに契約しないなんてことはありえないわけで。その辺りにおいて、風間選手は難しいポジションにあると思っていました。

「葛藤は自分でもありました。これは誰にも言っていなかったのですが、試合が終わってから大沢(ケンジHEARTS代表)さんが部屋に来てくれた時に凄く無力感を感じて、『もう無理だよ』って言いそうになって。試合後は、それぐらいの気持ちでした。目も見えていないし、もう無理だよって。本当にそう口から出そうになっていました(苦笑)。

でも、なんというのか……正直、現状のままだとただ体を壊すだけだと自分でも分かっています。試合が終わってからも、ずっと考えてきました。やるとなった時、UFCで戦うとなった時──実際に今、僕が置かれている場がUFCで。自分は結構、流れを大切にしていて。今、置かれている場がUFCなら、その場でやらないといけないと思って。

日本に戻って来てからも自分一人で考えて……。その時にもケガを治し次戦までにUFCレベルに底上げしないと、ホントに体が壊れていくと思いました。一方的に倒されて終わる……と。今でも不安……不安よりも焦りですね。焦る気持ちはずっとあります」

──契約した時にも、『早い』という空気があり、跳ね返そうと努力してきたかと思います。そして初戦の敗北で突きつけられた現実を見て、練習環境など変えてきた部分はありますか。

「柔術……得意な部分を捨ててでも、苦手な部分を克服しないとあの舞台では勝負できない──と思っています。そこに向けて、少しずつではあるけど生活を変えています」

──海外の練習も経験しましたが、現状はどこに基盤を置こうと思っていますか。

「今は国内で十分です。そのことについては良く言う人も、そうでない人もいますが、打撃専門のジムに自分の打撃を任せたいと思っています。得意な部分をゼロにしても良いので、そこで打撃をやりこもうと。言っちゃえば、これで変われるのか・変われないのかで、自分の今後が決まってきます。だから、そこで打撃の成長の細部を任せるつもりです」

──風間選手には今も言われたように柔術という絶対的な武器がある。だからこそ、MMAの打撃云々以前に組み技がない打撃を身に着けることは凄く理に適っているように思います。

「そうッスね。それこそ、自分もキックのジムで打撃だけをやると話すとMMAの打撃をやれば良いという意見は出てきます。でも自分は納得できなくて。だから、自分の納得できる方法で、どういう風に未来を切り開くことができるのか。それは自分でも楽しみなことでもあります。自分がどうなるのか、自分で見ていきたい」

──その打撃練習は始めたのでしょうか。

「ハイ。ただ、まだ前回の負傷した箇所が完全でなくて、対人で当てることはできないですけど。体のこともあるし、次の試合まで少しは空くかと思いますが、その間にしっかりと創ります。ホント、次で魅せたいと思います」

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【WWE & BJJ】中邑真輔&シェイナ・ベイズラー=WWEスーパースターに訊く、日本のプロレスファン

【写真】ベイズラーのMMAPLANET登場は2015年3月のアマンダ・ヌネス戦以来となる(C)MMAPLANET

17日(金)にWWE所属のプロレスラー中邑真輔とシェイナ・ベイズラーが、東京都港区のCARPE DIEM三田で同道場所属の2022年JBJJF全日本ブラジリアン柔術選手権・黒帯女子ライトフェザー級優勝の石黒遙希とUFCファイターの風間敏臣の両者と柔術の公開練習を行った。

26日(土)午前にABEMAで中継されるWWE SURVIVOR SERIESのPRのために里帰り&来日を果たした両者。風間&石黒とは体格差もあり、ソフトな動きに終始しつつも元慧舟會でダニエル・グレイシー門下の柔術スクールでトレーニングを行うという中村と、元UFCファイターでジョシュ・バーネットにキャッチレスリングの手解きを受け、柔術でも黒帯のベイズラーは確かな動きを披露した。

ここでは公開練習後の囲み会見でMMAPLANETの質問に対する両者の受け答えをお届けしたい。


──MMAファイターは日本のファンに関して、判を押したように「MMAを理解していて、選手を尊敬してくれる」と絶賛しています。プロレスの場合は、日本のファンにはどのようなイメージを持たれているのでしょうか。

ベイズラー 日本のプロレスファンは私のリングスタイルに対して、世界中の他のファンよりも少し良く理解してくれているのが分かるわ。私はMMA出身で、シュートスタイルのバックグラウンドがあって。米国では飛び回るスタイルが広まっているから、理解してもらうのに時間が掛ることがあるの。

でも日本にはファイティングとプロレスリングの豊かな交流の歴史があるから、私がやっていることをより理解してくれて、楽しんで見てくれるわ」

──シェイナのプロレスを見る目以外に、日本のファンはプロレス自体を米国のファンより理解しているという風に思われますか。

ベイズラー 日本のファンは、レスリングとファイティングの歴史を認識しているわね。米国では完全に分かれていて、MMAファンがプロレスリング・ファンを好きでないこともあるの。『俺たちはリアルで、お前らはリアルじゃないだろう』とか言っていて。

でも日本のファンはプロレスとMMAは同じ歴史を歩んできたことを理解している。私はジョシュ・バーネットに習ったキャッチレスリングのスタイルが根付いているといってもおかしくない日本で、このスタイルを披露することをとても大切に思っているわ。

──中邑選手、ファンの反応の仕方で乗りが変わってくることはあるのでしょうか。

中邑 レスラーの話でいうと、日本のプロレスファンは分かっていると思っています。米国と日本、メキシコには長いレスリングの歴史があって、米国人のレスラーはWWEで普段面白い試合をしていても、日本にやってくるとやっぱり緊張するんですよ。そしてがっぷり四つでやって来るのもいるし。

日本のプロレスの歴史も皆、理解していて。三銃士だとか、四天王のファンだとか。いまだに小橋建太のTシャツを見せびらかしてくるWWEの現役レスラーもいるんです。グンターっていうんですけど(笑)。日本で修行経験もあるし、そうやって──なんというのか……その通りなんですけど、お客さんの反応によって変わるというのもありますね。

日本のファンはちょっと礼儀正しい。それを米国人のレスラーはリスペクトがあると捉えています。でもメキシコとか中南米に行くと指先一つ動くだけで、『ギャー』となるテンションで。それによって乗せられることもあれば、こっちから乗せにいくこともある。お客さんとのエネルギーの交換のようなコミュニケーションですね。

リング上からこっちが引っ張ることがあれば、その時その時の空気を読みながら試合をします。

面白かったのは、ドイツのファンです。この間行ったんですけど、日本のファンに似ているなって。騒ぐっていうよりも、『うおぉ』っていような反応で(笑)。それでいて米国のレスリングファンのように騒ぎたいという気持ちもガンガン伝わっていきます。日本も毎年、そのような感じですね。

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